IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ロール包装体 図1
  • 特開-ロール包装体 図2
  • 特開-ロール包装体 図3
  • 特開-ロール包装体 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029323
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ロール包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 71/06 20060101AFI20240228BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B65D71/06 100
B65D65/02 E BRA
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131520
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】惟村 晴美
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E067AA16
3E067AB76
3E067AC03
3E067AC12
3E067BA18A
3E067BB01A
3E067CA30
3E067EA04
3E067EA24
3E067EB23
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD10
3E086AB01
3E086AC06
3E086AD30
3E086BA02
3E086BA14
3E086BB55
3E086BB85
3E086CA40
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】衛生薄葉紙ロールの包装に樹脂フィルムを用いずに、過剰包装を回避しつつ、衛生薄葉紙ロールの毛羽立ちや紙粉の発生を抑制するロール包装体を提供すること。
【解決手段】複数の衛生薄葉紙ロールが紙シートで直に包装されてなるロール包装体であって、前記紙シートの坪量が35g/m以上100g/mであり、前記紙シートの厚さが48μm以上180μm以下であり、前記紙シートの前記衛生薄葉紙ロールに接する内面のPPS平滑度が4秒以下である、ロール包装体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の衛生薄葉紙ロールが紙シートで直に包装されてなるロール包装体であって、
前記紙シートの坪量が35g/m以上100g/mであり、
前記紙シートの厚さが48μm以上180μm以下であり、
前記紙シートの前記衛生薄葉紙ロールに接する内面のPPS平滑度が4秒以下である、
ロール包装体。
【請求項2】
前記紙シートの前記内面のベック平滑度が170秒以上500秒以下である、
請求項1に記載のロール包装体。
【請求項3】
前記紙シートの前記内面の二乗平均平方根高さSqが0.0025mm以下である、
請求項1に記載のロール包装体。
【請求項4】
前記紙シートのMD方向の引裂強度とCD方向の引裂強度との合計が、300mN以上800mN以下である、
請求項1に記載のロール包装体。
【請求項5】
前記紙シートの前記衛生薄葉紙ロールに接しない外面の破裂強度と前記内面の破裂強度との合計が、200kPa以上350kPa以下である、
請求項1に記載のロール包装体。
【請求項6】
前記複数の衛生薄葉紙ロールは、径方向に少なくとも2行及び少なくとも1列に配置され、且つ軸方向に少なくとも2段に積み重ねられた集合体である、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のロール包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー等の衛生薄葉紙は、複数のロール製品として樹脂フィルム製の包装袋に収容された状態で流通する(例えば、特許文献1)。このような衛生薄葉紙ロールを樹脂フィルムで包装したロール包装体は、さらに段ケースやクラフト紙で複数梱包された状態で輸送、保管され、販売時にこれらの梱包を解いて店頭に陳列される(例えば、特許文献2)。
【0003】
近年、CO排出量の削減や脱プラスチックの観点から、樹脂フィルムを使用しない動きが注目されている。また、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の観点から、製品の過剰包装を減らすことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-124868号公報
【特許文献2】特開2021-147094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衛生薄葉紙ロールの包装に用いられる樹脂フィルムは、持ち運び用の取っ手または一時的な保管用の包材として利用されるが、最終的には破棄されるため、その使用量を削減することが望ましい。また、衛生薄葉紙ロールを樹脂フィルムで包装した包装体をさらに段ケースやクラフト紙で複数梱包することは、過剰包装となる。一方、衛生薄葉紙ロールをクラフト紙などの紙で直に包装すると、ロールの毛羽立ちや紙粉が発生するおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、衛生薄葉紙ロールの包装に樹脂フィルムを用いずに、過剰包装を回避しつつ、衛生薄葉紙ロールの毛羽立ちや紙粉の発生を抑制するロール包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の態様は、複数の衛生薄葉紙ロールが紙シートで直に包装されてなるロール包装体であって、前記紙シートの坪量が35g/m以上100g/mであり、前記紙シートの厚さが48μm以上180μm以下であり、前記紙シートの前記衛生薄葉紙ロールに接する内面のPPS平滑度が4秒以下である、ロール包装体である。
【0008】
本明細書において、PPS平滑度は、JIS P 8151:2004の規定に準拠して測定されるパーカープリントサーフ(Parker Print Surf)表面粗さを示す。紙シートの衛生薄葉紙ロールに接する内面とは、紙シートで衛生薄葉紙ロールが包装された状態で紙シートの殆んどの部分が衛生薄葉紙ロールと対面する内側の面を示す。
【0009】
第1の態様では、衛生薄葉紙ロールが紙シートで直に包装されるため、樹脂を使用しないロール包装体を提供することができる。また、第1の態様では、複数の衛生薄葉紙ロールが紙シートのみで包装されるため、過剰包装を回避することができる。
【0010】
また、第1の態様では、複数の衛生薄葉紙ロールを包装する紙シートの、坪量が35g/m以上100g/mであり、厚さが48μm以上180μm以下であることで、衛生薄葉紙ロールの外装としての紙シートの強度および折り込み性が維持される。そのため、第1の態様では、複数の衛生薄葉紙ロールを紙シートで直に包装しても、安定した包装を実現することができる。
【0011】
また、第1の態様では、紙シートの衛生薄葉紙ロールに接する内面のPPS平滑度が4秒以下であることで、包装された衛生薄葉紙ロールと該衛生薄葉紙ロールに接する紙シートの内面との間の摩擦力を低減することができる。これにより、複数の衛生薄葉紙ロールを紙シートで直に包装しても、衛生薄葉紙ロールの紙シートと接する部分で衛生薄葉紙ロールの毛羽立ちや紙粉の発生を抑制することができる。
【0012】
さらに、第1の態様では、上述のように、安定した包装が可能になるため、衛生薄葉紙ロールと紙シートとの間の擦れおよび衛生薄葉紙ロール間の擦れを抑制することができる。これにより、複数の衛生薄葉紙ロールを紙シートで直に包装しても、衛生薄葉紙ロール間で衛生薄葉紙ロールの毛羽立ちが抑制され、紙粉の発生を抑制することができる。
【0013】
本発明に係る第2の態様は、前記紙シートの前記内面のベック平滑度が170秒以上500秒以下である、第1の態様に記載のロール包装体である。本明細書において、ベック平滑度は、JIS P 8119:1998の規定に準拠して測定される平滑性の尺度を示す。
【0014】
第2の態様では、さらに、紙シートの内面のベック平滑度が170秒以上500秒以下であることで、包装された衛生薄葉紙ロールと該衛生薄葉紙ロールに接する紙シートの内面との間の摩擦力を確実に低減することができる。これにより、複数の衛生薄葉紙ロールを紙シートで直に包装しても、衛生薄葉紙ロールの紙シートと接する部分で衛生薄葉紙ロールの毛羽立ちや紙粉の発生を高い精度で抑制することができる。
【0015】
本発明に係る第3の態様は、前記紙シートの前記内面の二乗平均平方根高さSqが0.0025mm以下である、第1または第2の態様に記載のロール包装体である。本明細書において、二乗平均平方根高さSqは、ISO 25178の規定に準拠して測定された表面粗さを示す。
【0016】
第3の態様では、さらに、紙シートの内面の二乗平均平方根高さSqが0.0025mm以下であることで、包装された衛生薄葉紙ロールと該衛生薄葉紙ロールに接する紙シートの内面との間の摩擦力を確実に低減することができる。これにより、複数の衛生薄葉紙ロールを紙シートで直に包装しても、衛生薄葉紙ロールの紙シートと接する部分で衛生薄葉紙ロールの毛羽立ちや紙粉の発生を高い精度で抑制することができる。
【0017】
本発明に係る第4の態様は、前記紙シートのMD方向の引裂強度とCD方向の引裂強度との合計が、300mN以上800mN以下である、第1乃至第3の態様の何れか一つに記載のロール包装体である。
【0018】
本明細書において、引裂強度は、JIS P 8116:2000の規定に準拠して測定された引裂強さを示す。MD方向は、紙シートを製造するための抄紙機に対する紙シートの進行方向に対応する方向であり、CD方向は、該進行方向と直交する方向に対応する方向である。
【0019】
第4の態様では、紙シートのMD方向の引裂強度とCD方向の引裂強度との合計が300mN以上800mN以下であることで、衛生薄葉紙ロールの外装としての紙シートの強度を向上させることができる。そのため、第4の態様では、複数の衛生薄葉紙ロールを紙シートで直に包装しても、より安定した包装を実現することができる。
【0020】
本発明に係る第5の態様は、前記紙シートの前記衛生薄葉紙ロールに接しない外面の破裂強度と前記内面の破裂強度との合計が、200kPa以上350kPa以下である、第1乃至第4の態様の何れか一つに記載のロール包装体である。
【0021】
本明細書において、破裂強度は、JIS P 8112:2008の規定に準拠して測定される破裂強さを示す。紙シートの衛生薄葉紙ロールに接しない外面とは、紙シートで衛生薄葉紙ロールが包装された状態で紙シートの殆んどの部分が露出する外側の面を示す。
【0022】
第5の態様では、紙シートの衛生薄葉紙ロールに接しない外面の破裂強度と衛生薄葉紙ロールに接する内面の破裂強度との合計が200kPa以上350kPa以下であることで、衛生薄葉紙ロールの外装としての紙シートの強度を向上させることができる。そのため、第5の態様では、複数の衛生薄葉紙ロールを紙シートで直に包装しても、より安定した包装を実現することができる。
【0023】
本発明に係る第6の態様は、前記複数の衛生薄葉紙ロールは、径方向に少なくとも2行及び少なくとも1列に配置され、且つ軸方向に少なくとも2段に積み重ねられた集合体である、第1乃至第5の態様の何れか一つに記載のロール包装体である。
【0024】
本明細書において、軸方向は、衛生薄葉紙ロールの周方向の中心を通る軸線方向を示す。径方向は、軸方向と直交する方向を示す。「積み重ねる」とは、ロール包装体の高さ方向(上下方向)に2つの衛生薄葉紙ロールの端面同士が対面するように衛生薄葉紙ロールを積み上げることを示す。
【0025】
「行」は、ロール包装体を構成する複数の衛生薄葉紙ロールのうち、ロール包装体の横方向(左右方向)に衛生薄葉紙ロールの周面同士が対面する1組の衛生薄葉紙ロールを示す。「列」は、ロール包装体を構成する複数の衛生薄葉紙ロールのうち、ロール包装体の縦方向(前後方向)に衛生薄葉紙ロールの周面同士が対面する1組の衛生薄葉紙ロールを示す。
【0026】
第6の態様では、複数の衛生薄葉紙ロールが径方向に2行以上及び1列以上に配置され、且つ軸方向に2段以上に積み重ねられるため、ロール包装体内で衛生薄葉紙ロールと紙シートとの間の擦れおよび衛生薄葉紙ロール間の擦れが生じやすい状態である。しかしながら、第6の態様では、上述のように、包装された衛生薄葉紙ロールと該衛生薄葉紙ロールに接する紙シートの内面との間の摩擦力が低減され、しかも安定した包装が可能になる。
【0027】
そのため、第6の態様では、複数の衛生薄葉紙ロールが径方向に少なくとも2行及び少なくとも1列に配置され且つ軸方向に少なくとも2段に積み重ねられた集合体である場合でも、衛生薄葉紙ロールの紙シートと接する部分および/または衛生薄葉紙ロール間で衛生薄葉紙ロールの毛羽立ちや紙粉の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、樹脂フィルムを用いずに、過剰包装を回避しながら、衛生薄葉紙ロールの毛羽立ちや紙粉の発生を抑制するロール包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ロール包装体の一例を示す図である。
図2】1つの衛生薄葉紙ロールを示す図である。
図3図1のA-A線断面図である。
図4図1のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。なお、各図では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、ロール包装体の長手方向をX方向とし、幅方向をY方向とし、高さ方向(上下方向または厚さ方向)をZ方向とする。
【0031】
図1は、本実施形態のロール包装体の一例を示す。図2は、図1のロール包装体を構成する衛生薄葉紙ロールを示す。図3は、図1のA-A線断面図であり、図4は、図1のB-B線断面図である。
【0032】
ロール包装体100は、複数の衛生薄葉紙ロール10が紙シート20で直に包装されている。ここで、「直に包装する」とは、衛生薄葉紙ロール10と紙シート20との間に樹脂フィルム等の他の部材を介すことなく、衛生薄葉紙ロールを紙シートで直接包装することを示す。
【0033】
ロール包装体100の包装態様は、限定されず、例えば、図1に示すように、衛生薄葉紙ロール10が紙シート20でキャラメル包装することができる。この例では、ロール包装体100は、衛生薄葉紙ロール10が紙シート20に包装された状態で、天面21、底面22、正面23、背面24、側面(左側面)25、側面(右側面)26を有する。
【0034】
さらに、ロール包装体100の側面25、26は、それぞれ封止されている。例えば、側面25、26は、紙シート20の一部が折りたたまれた状態で、接着剤により接着されて封止されている。また、左側面25、右側面26は、折りたたまれた紙シート20の一部に接着テープを貼り付けて封止してもよい。
【0035】
衛生薄葉紙ロール10は、衛生薄葉紙がロール状に巻回されたもの(以下、ロール体またはロールという場合がある)である。本実施形態では、衛生薄葉紙ロール10の一例としてトイレットペーパーのロール体であるトイレットロールが用いられる。
【0036】
なお、ロールを構成する衛生薄葉紙の態様は、トイレットペーパーに限定されず、例えば、キッチンペーパー、ペーパータオル、ティシューペーパー等に適用可能である。衛生薄葉紙の用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用の何れも適用できる。
【0037】
衛生薄葉紙ロール10は、図2に示すように、中空コア11に長尺の衛生薄葉紙(本実施形態ではトイレットペーパー)12がロール状に巻かれ(巻回され)ている。衛生薄葉紙ロール(トイレットロール)10は、一対の端面10A、10Bと周面10Cを有する。ロール10を構成する衛生薄葉紙12は、長手方向の一端12Aはロール10の周面10Cに露出し、長手方向の他端(図示せず)は中空コア11に接着されている。
【0038】
衛生薄葉紙ロール10の寸法は、特に限定されないが、上下方向(Z方向)の寸法(ロール幅)が好ましくは85mm以上300mm以下であり、横方向(X方向またはY方向)の寸法(ロール径)が好ましくは80mm以上125mm以下である(図2参照)。
【0039】
ロール10を構成する衛生薄葉紙12は、幅が85mm以上300mm以下である。また、衛生薄葉紙12は、巻長さが20m以上120m以下で、巻密度が0.50m/cm以上2.05m/cm以下の衛生薄葉紙であり、この中には巻長さが50m以上、巻密度が0.80m/cm以上の長巻仕様の衛生薄葉紙が含まれる。
【0040】
衛生薄葉紙12のプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライまたは2プライ(2枚重ね)である。
【0041】
衛生薄葉紙12の材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布、または布等を用いることができる。なお、衛生薄葉紙12には、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、衛生薄葉紙における公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0042】
また、衛生薄葉紙12におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。
【0043】
なお、衛生薄葉紙12のパルプ組成において、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比は、限定されないが、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、衛生薄葉紙12に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0044】
衛生薄葉紙12の坪量(米坪)は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は5g/m以上80g/m以下であり、好ましくは10g/m以上60g/m以下、より好ましくは10g/m以上45g/m以下である。また、不織布の場合は20g/m以上100g/m以下のものが望ましい。なお、坪量(米坪)は、JIS P 8124:2011の規定に準拠して測定される紙の単位面積当たりの質量を示す。
【0045】
また、衛生薄葉紙12の厚さ(紙厚)は、特に限定されず、JIS P 8118:1998の規定に準拠して測定される紙厚を示す。例えば、衛生薄葉紙12が紙の場合、紙厚は、1プライあたり、50μm以上200μm以下であり、好ましくは60μm以上150μm以下、より好ましくは70μm以上135μm以下である。
【0046】
また、衛生薄葉紙12には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
【0047】
また、中空コア11は、周方向(R方向)に衛生薄葉紙12が巻き付けられる円筒状の巻芯である(図2参照)。また、中空コア11には、巻芯が存在しない構造(コアレス構造)も含まれる。中空コア11の材質は、特に限定されず、紙、樹脂等を用いることができる。
【0048】
中空コア11の形態は、特に限定されず、例えば、中空コア11が紙管の場合は、一層の厚紙で構成したもの、複数層の厚紙で構成したものの何れでもよく、厚紙への印刷や消臭剤の塗工を事前に行った塗工厚紙原紙でも良い。また、紙管の巻き方は、特に限定されず、例えば、平巻きのもの、螺旋状に巻かれたもの(いわゆるスパイラル紙管)等の何れでもよい。
【0049】
中空コア11の寸法は、特に限定されない。例えば、中空コア11の長手方向の長さは、ロール10のロール幅と同程度(85mm以上300mm以下)である。また、中空コア11の径方向(X方向またはY方向)の径寸法は、33mm以上50mm以下であり、好ましくは35mm以上41mm以下である(図2参照)。
【0050】
ロール包装体100において包装可能な複数の衛生薄葉紙ロール10の個数は、限定されないが、例えば、衛生薄葉紙ロール10がトイレットロールの場合、2個以上64個以下、好ましくは4個以上32個以下、より好ましくは8個~24個以下のトイレットペーパーが収容可能である。
【0051】
本実施形態では、ロール包装体100では、複数の衛生薄葉紙ロールの包装態様は、限定されないが、径方向(X方向およびY方向)に少なくとも2行及び少なくとも1列に配置され、且つ軸方向(Z方向)に少なくとも2段に積み重ねられた集合体として包装され得る。
【0052】
ここで、軸方向は、衛生薄葉紙ロール10の周方向(R方向)の中心を通る軸線方向(Z方向)を示す。径方向は、軸方向(Z方向)と直交する方向(X方向およびY方向)を示す。「積み重ねる」とは、ロール包装体100の上下方向(Z方向)に2つの衛生薄葉紙ロール10の端面10A同士が対面するように衛生薄葉紙ロール10を積み上げることを示す(図1図2)。
【0053】
「行」は、ロール包装体100を構成する複数の衛生薄葉紙ロール10のうち、ロール包装体10の横方向または左右方向(本実施形態ではX方向を示す)に衛生薄葉紙ロール10の側面(周面)10C同士が対面する1組の衛生薄葉紙ロール10を示す。「列」は、ロール包装体を構成する複数の衛生薄葉紙ロールのうち、ロール包装体の縦方向(前後方向)に衛生薄葉紙ロールの側面(周面)10C同士が対面する1組の衛生薄葉紙ロールを示す。
【0054】
例えば、包装される衛生薄葉紙ロール10が24個(24ロール)の場合は、衛生薄葉紙ロール10が3行、4列、かつ2段で包装される。また、衛生薄葉紙ロール10の個数が32個(32ロール)の場合は、衛生薄葉紙ロール10が4行、4列、かつ2段で包装される。本実施形態では、24個のトイレットロール10が、周面10C同士が左右方向(X方向)および前後方向(Y方向)に重なり、端面11A、11Bが上下方向(Z方向)に重なるように、包装されている(図1)。
【0055】
紙シート20は、本実施形態に係るロール包装体100を構成する紙シートの一例である。紙シート20は、紙製でシート状の包材である。紙シート20は、紙の比率が51%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは100%である。
【0056】
紙シート20を構成する紙のパルプ組成は、限定されず、例えば、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比が0:100~70:30であり、好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、パルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0057】
紙シート20に用いる紙の品種は、特に限定されないが、例えば、包装用紙を適用することができる。包装用紙はさらに、未ざらし包装紙、またはさらし包装紙に分類される。
【0058】
未ざらし包装紙としては、例えば、重袋用両ざらクラフト紙、一般両ざらクラフト紙、特殊両ざらクラフト紙、筋入りクラフト紙、片艶クラフト紙などが挙げられる。
【0059】
さらし包装紙としては、例えば、純白ロール紙、両ざらさらしクラフト紙、片艶さらしクラフト紙、薄口模造紙などが挙げられる。
【0060】
紙シート20に用いられる紙としては、これらの中でも、片艶紙が好ましく、片艶クラフト紙がより好ましい。ここで、片艶紙は、抄紙後ヤンキードライヤーで加熱乾燥することにより得られ、一方の面が高光沢化された艶面となる紙を示す。
【0061】
紙シート20の坪量は、35g/m以上100g/mであり、好ましくは37g/m以上100g/m以下、より好ましくは39g/m以上60g/mである。坪量(米坪)は、JIS P 8124:2011の規定に準拠して測定される。なお、紙シート20に用いる紙の坪量は、包装される衛生薄葉紙ロール10の個数によって変更することが好ましい。
【0062】
例えば、包装されるトイレットロール10が24個(24ロール)の場合、紙シート20に用いる紙の坪量は35g/m以上60g/m以下であることが好ましい。また、包装されるトイレットロール10が32個(32ロール)の場合、紙シート20に用いる紙の坪量は39g/m以上100g/m以下であることが好ましい。
【0063】
紙シート20の厚さは、48μm以上180μm以下であり、好ましくは50μm以上160μm以下であり、より好ましくは52μm以上70μm以下である。なお、厚さは、JIS P 8118:2014の規定に準拠して測定される。
【0064】
本実施形態では、紙シート20の衛生薄葉紙ロール10に接する内面20BのPPS平滑度が4秒以下であり、好ましくは3秒以下、より好ましくは2.6秒以下である。なお、PPS平滑度の下限値は、特に限定されないが、実現可能な下限値としては0.1秒以上であることが好ましく、より好ましくは0.5秒以上、さらに好ましくは1.0秒以上である。
【0065】
ここで、PPS平滑度は、JIS P 8151:2004の規定に準拠して測定されるパーカープリントサーフ(Parker Print Surf)表面粗さを示す。
【0066】
紙シート20の衛生薄葉紙ロール10に接する内面20Bは、紙シート20で衛生薄葉紙ロール10が包装された状態で紙シート20の殆んどの部分が衛生薄葉紙ロール10と対面する内側の面を示す。例えば、紙シート20が片艶クラフト紙等の片艶紙の場合は、片艶紙の艶面が紙シート20の内面20Bとなるように衛生薄葉紙ロール10を包装することが好ましい。
【0067】
本実施形態では、紙シート20の内面20Bのベック平滑度が170秒以上500秒以下であり、好ましくは200秒以上400秒以下、より好ましくは250秒以上300秒以下である。ここで、ベック平滑度は、JIS P 8119:1998の規定に準拠して測定される平滑性の尺度を示す。
【0068】
本実施形態では、紙シート20の内面20Bの二乗平均平方根高さSqが0.0025mm以下であり、好ましくは0.0020mm以下、より好ましくは0.0017mm以下である。なお、二乗平均平方根高さSqの下限値は、特に限定されないが、実現可能な下限値としては0.0001mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.0005mm以上、より好ましくは0.0010mm以上である。
【0069】
ここで、二乗平均平方根高さ(root mean square height)Sqは、ISO 25178の規定に準拠して測定された表面粗さを示す。
【0070】
本実施形態では、紙シート20のMD方向の引裂強度とCD方向の引裂強度との合計が、300mN以上800mN以下であり、好ましくは350mN以上750mN以下、より好ましくは400mN以上700mN以下である。
【0071】
ここで、引裂強度は、JIS P 8116:2000の規定に準拠して測定された引裂強さを示す。MD方向は、紙シート20を製造するための抄紙機に対する紙シート20の進行方向(流れ方向)に対応する方向であり、CD方向は、該進行方向と直交する方向に対応する方向である。
【0072】
本実施形態では、紙シート20の衛生薄葉紙ロール10に接しない外面20Aの破裂強度と衛生薄葉紙ロール10に接する内面20Bの破裂強度との合計が、200kPa以上350kPa以下であり、好ましくは220kPa以上330kPa以下、より好ましくは240kPa以上300kPa以下である。
【0073】
ここで、破裂強度は、JIS P 8112:2008の規定に準拠して測定される破裂強さを示す。紙シート20の衛生薄葉紙ロール10に接しない外面20Aは、紙シート20で衛生薄葉紙ロール10が包装された状態で紙シート20の殆んどの部分が露出する外側の面を示す。
【0074】
本実施形態のロール包装体100では、上述のように、衛生薄葉紙ロール10が紙シート20で直に包装されるため、樹脂を使用しないロール包装体を提供することができる。また、本実施形態では、複数の衛生薄葉紙ロール10が紙シート20のみで包装されるため、過剰包装を回避することができる。
【0075】
また、本実施形態では、複数の衛生薄葉紙ロール10を包装する紙シート20の、坪量が35g/m以上100g/mであり、厚さが48μm以上180μm以下であることで、衛生薄葉紙ロール10の外装としての紙シート20の強度および折り込み性が維持される。そのため、本実施形態では、複数の衛生薄葉紙ロール10を紙シート20で直に包装しても、安定した包装を実現することができる。
【0076】
また、本実施形態では、紙シート20の衛生薄葉紙ロール10に接する内面20BのPPS平滑度が4秒以下であることで、包装された衛生薄葉紙ロール10と該衛生薄葉紙ロール10に接する紙シート20の内面20Bとの間の摩擦力を低減することができる。これにより、複数の衛生薄葉紙ロール10を紙シート20で直に包装しても、衛生薄葉紙ロール10の紙シート20と接する部分における衛生薄葉紙ロール10の毛羽立ちや紙粉の発生を抑制することができる(図3)。
【0077】
さらに、本実施形態では、上述のように、安定した包装が可能になるため、衛生薄葉紙ロール10と紙シート20との間の擦れおよび衛生薄葉紙ロール10間の擦れを抑制することができる。これにより、複数の衛生薄葉紙ロール10を紙シート20で直に包装しても、衛生薄葉紙ロール10間で衛生薄葉紙ロール10の毛羽立ちが抑制され、紙粉の発生を抑制することができる(図4)。
【0078】
本実施形態のロール包装体100では、上述のように、さらに、紙シート20の内面20Bのベック平滑度が170秒以上500秒以下であることで、包装された衛生薄葉紙ロール10と該衛生薄葉紙ロール10に接する紙シート20の内面20Bとの間の摩擦力を確実に低減することができる。これにより、複数の衛生薄葉紙ロール10を紙シート20で直に包装しても、衛生薄葉紙ロール10の紙シート20と接する部分で衛生薄葉紙ロール10の毛羽立ちや紙粉の発生を高い精度で抑制することができる。
【0079】
本実施形態のロール包装体100では、上述のように、さらに、紙シート20の内面20Bの二乗平均平方根高さSqが0.0025mm以下であることで、包装された衛生薄葉紙ロール10と該衛生薄葉紙ロール10に接する紙シート20の内面20Bとの間の摩擦力を確実に低減することができる。これにより、複数の衛生薄葉紙ロール10を紙シート20で直に包装しても、衛生薄葉紙ロール10の紙シート20と接する部分で衛生薄葉紙ロール10の毛羽立ちや紙粉の発生を高い精度で抑制することができる。
【0080】
本実施形態のロール包装体100では、上述のように、紙シート20のMD方向の引裂強度とCD方向の引裂強度との合計が300mN以上800mN以下であることで、衛生薄葉紙ロール10の外装としての紙シート20の強度を向上させることができる。そのため、本実施形態では、複数の衛生薄葉紙ロール10を紙シート20で直に包装しても、より安定した包装を実現することができる。
【0081】
本実施形態のロール包装体100では、上述のように、紙シート20の衛生薄葉紙ロール10に接しない外面20Aの破裂強度と衛生薄葉紙ロール10に接する内面20Bの破裂強度との合計が200kPa以上350kPa以下であることで、衛生薄葉紙ロール10の外装としての紙シート20の強度を向上させることができる。そのため、本実施形態では、複数の衛生薄葉紙ロール10を紙シート20で直に包装しても、より安定した包装を実現することができる。
【0082】
本実施形態のロール包装体100では、上述のように、複数の衛生薄葉紙ロール10が径方向(X方向またはY方向)に2行以上及び1列以上に配置され、且つ軸方向(Z方向)に2段以上に積み重ねられるため、ロール包装体100内で衛生薄葉紙ロール10と紙シート20との間の擦れおよび衛生薄葉紙ロール10間の擦れが生じやすい状態である。
【0083】
しかしながら、本実施形態では、上述のように、包装された衛生薄葉紙ロール10と該衛生薄葉紙ロール10に接する紙シート20の内面との間の摩擦力が低減され(図3)、しかも安定した包装が可能になる。
【0084】
そのため、本実施形態では、複数の衛生薄葉紙ロール10が径方向(X方向またはY方向)に少なくとも2行及び少なくとも1列に配置され且つ軸方向(Z方向)に少なくとも2段に積み重ねられた集合体である場合でも、衛生薄葉紙ロール10の紙シート20と接する部分および/または衛生薄葉紙ロール10間で衛生薄葉紙ロール10の毛羽立ちや紙粉の発生を抑制することができる。
【実施例0085】
以下、本発明について、さらに実施例を挙げて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行う。
【0086】
[試験体(ロール包装体)]
試験体として、ロール包装体100を作製した。ロール包装体100は、図1に示すように、24個(24ロール)のトイレットロール(衛生薄葉紙)10を3行、4列、かつ2段に配置した集合体AGを、クラフト紙(紙シート)20で直に包装した。トイレットロールには、大王製紙社製の「イーナトイレットティシュー100mシングル(210g/ロール)」を用いた。紙シートには、クラフト紙を用いた。
【0087】
[米坪]
試験体の米坪(坪量)を、JIS P 8124:2011の規定に準拠して測定した。米坪の単位は、「g/m」である。
【0088】
[紙厚]
試験体の紙厚(厚さ)を、JIS P 8118:1998の規定に準拠して測定した。紙厚の単位は、「μm」である。
【0089】
[引裂強度]
試験体の引裂強度を、JIS P 8116:2000の規定に準拠して測定した。引裂強度は、MD方向およびCD方向をそれぞれ測定し、MD方向の引裂強度とCD方向の引裂強度の合計(MD+CD)を算出した。引裂強度の単位は、「mN」である。
【0090】
[破裂強度]
破裂強度を、JIS P 8112:2008の規定に準拠して測定した。破裂強度は、紙シートの外面(表)および内面(裏)をそれぞれ測定し、外面(表)の破裂強度と内面(裏)の破裂強度の合計(表+裏)を算出した。破裂強度の単位は、「kPa」である。
【0091】
[PPS平滑度]
PPS平滑度を、JIS P 8151:2004の規定に準拠して測定した。PPS平滑度の単位は、「秒」である。
【0092】
[ベック平滑度]
ベック平滑度を、JIS P 8119:1998の規定に準拠して測定した。ベック平滑度の単位は、「秒」である。
【0093】
[Sq]
Sq(二乗平均平方根高さ:root mean square height)を、ISO 25178の規定に準拠して測定した。Sqの単位は「mm」である。
【0094】
Sqは、3D形状測定機(キーエンス社製、ワンショット3D測定マクロスコープVR-6000)で撮影した画像に対し、画像解析ソフトウェア(キーエンス社製、比較計測モジュールVR-H4CA)を用いて形状補正としてうねり除去(補正の強さ20)を行い、測定全面のSq(二乗平均平方根高さ)を5点測定し平均値を算出した。
【0095】
[包装後の強度]
トイレットロールを2つ並べた状態で包装し、ロールとロールの隙間部分を手で持ち上げた際に破れが生じるかどうかを確認した。包装後の強度の評価は、以下の基準で行った。
〔評価基準〕
良:破れなかった
不良:破れた
【0096】
[ロール表面の毛羽立ち]
試験体を輸送(宅配便で静岡と愛媛を往復)後に、目視でトイレットロールの毛羽立ちの発生と紙粉の発生を確認した。
〔評価基準〕
良:毛羽立ちがない
不良:毛羽立ちがある
【0097】
[紙粉の量]
上記のロール表面の毛羽立ちを確認する際に、紙粉の発生を確認した。
〔評価基準〕
良:紙粉の玉がない
不良:紙粉の玉がある
【0098】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0099】
[実施例1]
米坪40g/m、紙厚54μm、引裂強度(MD+CD)432mN、破裂強度(表+裏)250kPa、トイレットロールに接する内面(内側)のPPS平滑度2.44秒、同内面(内側)のベック平滑度294秒、同内面(内側)のSq0.0012mmの片艶クラフト紙(片艶クラフト紙の艶面がトイレットロールに接する内面となる)を用いて試験体(ロール包装体)を作製し、包装後の強度、ロール表面の毛羽立ち、紙粉の量を評価した。実施例1の条件および結果を表1に示す。
【0100】
[実施例2]
米坪50g/m、紙厚65μm、引裂強度(MD+CD)671mN、破裂強度(表+裏)287kPa、PPS平滑度2.55秒、ベック平滑度283秒、Sq0.0014mmの片艶クラフト紙を用いた以外は、実施例1と同様に試験体を作製し、評価した。実施例2の条件および結果を表1に示す。
【0101】
[比較例1]
米坪30g/m、紙厚43μm、引裂強度(MD+CD)299mN、破裂強度(表+裏)255kPa、PPS平滑度2.34秒、ベック平滑度495秒、Sq0.0015mmの両ざらクラフト紙(両ざらクラフト紙の一方の面がトイレットロールに接する内面となる)を用いた以外は、実施例1と同様に試験体を作製し、評価した。比較例1の条件および結果を表1に示す。
【0102】
[比較例2]
米坪50g/m、紙厚71μm、引裂強度(MD+CD)823mN、破裂強度(表+裏)361kPa、PPS平滑度5.99秒、ベック平滑度43秒、Sq0.0026mmの両ざらクラフト紙を用いた以外は、比較例1と同様に試験体を作製し、評価した。比較例2の条件および結果を表1に示す。
【0103】
[比較例3]
米坪100g/m、紙厚161μm、引裂強度(MD+CD)3630mN、破裂強度(表+裏)646kPa、PPS平滑度8.54秒、ベック平滑度5秒、Sq0.0041mmの両ざらクラフト紙を用いた以外は、比較例1と同様に試験体を作製し、評価した。比較例3の条件および結果を表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
表1より、坪量が35g/m以上100g/m、厚さが48μm以上180μm以下、衛生薄葉紙ロールに接する内面のPPS平滑度が4秒以下、同内面のベック平滑度が170秒以上500秒以下、同内面のSqが0.0025以下、引裂強度(MD+CD)が300mN以上800mN以下、破裂強度(表+裏)が200kPa以上350kPa以下の紙シートで直に複数の衛生薄葉紙ロールを包装した試験体(ロール包装体)は、包装後の強度、ロール表面の毛羽立ち、紙粉の量は、何れも良好であった(実施例1、2)。
【0106】
これに対して、坪量が35g/m未満、厚さが48μm未満、引裂強度(MD+CD)が300mN未満の紙シートで直に複数の衛生薄葉紙ロールを包装した試験体(ロール包装体)は、包装後の強度が不良であった(比較例1)。また、衛生薄葉紙ロールに接する内面のPPS平滑度が4秒を超え、同内面のベック平滑度が170秒未満、同内面のSqが0.0025を超え、破裂強度(表+裏)が350kPaを超える紙シートで直に複数の衛生薄葉紙ロールを包装した試験体(ロール包装体)は、ロール表面の毛羽立ち、紙粉の量が、何れも不良であった(比較例2、3)。
【0107】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0108】
100 ロール包装体
10 衛生薄葉紙ロール(トイレットロール)
10A 端面
10B 端面
10C 側面(周面)
11 中空コア
12 衛生薄葉紙(トイレットペーパー)
12A 一端
20 紙シート
20A 外面
20B 内面
21 天面
22 底面
23 正面
24 背面
25 側面
26 側面
図1
図2
図3
図4