(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029325
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】セーフティコーン用補助器具、明示装置および明示装置形成方法
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
E01F13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131523
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】根本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】米谷 健治
(72)【発明者】
【氏名】真下 大輝
(72)【発明者】
【氏名】江口 大介
(72)【発明者】
【氏名】山下 貴弘
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA11
2D101CB07
2D101DA04
2D101DA05
2D101EA09
2D101FA12
2D101FA23
2D101FB13
(57)【要約】
【課題】視認しやすく、かつ、人が跨ぎ難い明示装置を形成することができるセーフティコーン用補助器具と、この明示装置および明示装置形成方法を提案する。
【解決手段】円錐本体21を有する一対のセーフティコーン2,2と、一対のセーフティコーン2,2に横架される第一コーンバー31と、第一コーンバー31の直上に設けられた第二コーンバー32と、セーフティコーン2の頭部に設けられたセーフティコーン用補助器具4とを備える明示装置1である。セーフティコーン用補助器具4は、セーフティコーン2の上端部の外径よりも大きく、当該セーフティコーン2の中間部の外径よりも小さい内径を有したリング状部5と、リング状部5の上方に延設された嵩上部6とからなり、嵩上部6はコーンバー3の端部を掛止可能な形状を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セーフティコーンの上端部の外径よりも大きく、当該セーフティコーンの中間部の外径よりも小さい内径を有したリング状部と、
前記リング状部から上方に延設された嵩上部と、からなり、
前記嵩上部は、コーンバーの端部を掛止可能な形状を有していることを特徴とする、セーフティコーン用補助器具。
【請求項2】
前記リング状部と同一の中心軸を有した第二リング状部が前記リング状部の下方に並設されていることを特徴とする、請求項1に記載のセーフティコーン用補助器具。
【請求項3】
前記嵩上部は、前記リング状部から上方に向かって前記リング状部の中心軸から離れる方向に延びる一対の拡幅部と、前記一対の拡幅部の上端から上方に延びる正面視逆V字状の縮幅部と、を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のセーフティコーン用補助器具。
【請求項4】
円錐本体を有する一対のセーフティコーンと、
前記一対のセーフティコーンに横架される第一コーンバーと、
前記第一コーンバーの真上に設けられた第二コーンバーと、
前記セーフティコーンの頭部に設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセーフティコーン用補助器具と、を備える明示装置であって、
前記第一コーンバーは、前記リング状部の上方において、前記セーフティコーンに掛止められており、
前記第二コーンバーは、前記嵩上部に掛止められていることを特徴とする、明示装置。
【請求項5】
一対のセーフティコーンを間隔をあけて配設する工程と、
前記セーフティコーンの頭部に請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセーフティコーン用補助器具を設置する工程と、
前記セーフティコーンの頭部に第一コーンバーを掛止める工程と、
前記セーフティコーン用補助器具の前記嵩上部に第二コーンバーを掛止める工程と、を備えることを特徴とする、明示装置形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セーフティコーン用補助器具、明示装置および明示装置形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設工事等において、工事現場内の安全通路や立ち入り禁止区域等を区画したり、危険箇所等の注意喚起の明示装置として、セーフティコーン(パイロン、三角コーンなどとも呼ばれる)とコーンバーを使用する場合がある。セーフティコーンおよびコーンバーは、取り扱いやすく、日々変化する工事現場に明示装置として使用しやすい。
セーフティコーンの高さは、700mm前後が一般的であるため、このセーフティコーンに設置されたコーンバーの高さは600mm程度となる。そのため、セーフティコーンにコーンバーを設置した明示装置は、人間でも容易に越える(跨ぐ)ことが可能である。
そのため、特許文献1には、セーフティコーンの頭部に設置する補助器具であって、台座上に円錐頭部が平行に3山形成されていて、円錐頭部を利用して複数のコーンバーを横方向に並設することを可能としている補助器具が開示されている。この補助器具を利用すると、2本のコーンバーが左右に間隔をあけて並設されるため、跨ぎ難くなる。
一方、特許文献1の補助器具を使用した場合であっても、コーンバーの高さは、地表から600mm程度で、車両や重機と人との区画明示として使用すると、重機や大型車両等からは視認し難いおそれがある。
なお、仮設の明示装置として、単管バリケードを使用する場合があるが、設置撤去に工具を使用する必要があり、セーフティコーンを使用する場合に比べて手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、視認しやすく、かつ、人が跨ぎ難い明示装置を形成することができるセーフティコーン用補助器具と、この明示装置および明示装置形成方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明のセーフティコーン用補助器具は、セーフティコーンの上端部の外径よりも大きく、当該セーフティコーンの中間部の外径よりも小さい内径を有したリング状部と、前記リング状部から上方に延設された嵩上部とからなる。前記嵩上部はコーンバーの端部(セーフティコーンの頭部に掛止可能な部分)を掛止可能な形状を有している。前記セーフティコーン用補助器具は、前記リング状部と同一の中心軸を有した第二リング状部が前記リング状部の下方に並設されているのが望ましい。また、前記嵩上部は、前記リング状部から上方に向かって前記リング状部の中心軸から離れる方向に延びる一対の拡幅部と、前記一対の拡幅部の上端から上方に延びる正面視逆V字状の縮幅部とを備えているのが望ましい。
リング部は、無端状である必要は無く、C字状であってもよい。
また、本発明の明示装置は、円錐本体を有する一対のセーフティコーンと、前記一対のセーフティコーンに横架される第一コーンバーと、前記コーンバーの真上に設けられた第二コーンバーと、前記セーフティコーンの頭部に設けられた前記セーフティコーン用補助器具とを備えており、前記第一コーンバーは前記リング部の上方において前記セーフティコーンに掛止められており、前記第二コーンバーは前記嵩上部に掛止められている。
さらに、本発明の明示装置形成方法は、一対のセーフティコーンを間隔をあけて配設する工程と、前記セーフティコーンの頭部にセーフティコーン用補助器具を設置する工程と、前記セーフティコーンの頭部に第一コーンバーを掛止める工程と、前記セーフティコーン用補助器具の嵩上部に第二コーンバーを掛止める工程とを備えている。
かかるセーフティコーン用補助器具、明示装置および明示装置形成方法によれば、第一コーンバーの上方に第二コーンバーを設置することが可能となる。第二コーンバーは、従来よりも高い位置に配設されるため、視認しやすくなる。また、第二コーンバーが高い位置にあるため、人が跨ぎにくくなる。そのため、より安全性に優れた明示装置が形成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明のセーフティコーン用補助器具、明示装置および明示装置形成方法によれば、視認しやすく、かつ、乗り越えにくいセーフティコーンとコーンバーを使用した明示装置を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る明示装置を示す斜視図である。
【
図2】セーフティコーン用補助器具を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図3】明示装置形成方法の手順を示すフローチャートである。
【
図4】明示装置形成方法の作業状況を示す側面図であって、(a)はセーフティコーン配設工程、(b)は補助器具設置工程、(c)は第一コーンバー掛止工程である。
【
図5】(a)および(b)は、他の形態に係るセーフティコーン用補助器具の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態では、工事現場における安全通路や立ち入り禁止箇所の明示に使用する明示装置1について説明する。
図1に本実施形態の明示装置1を示す。明示装置1は、
図1に示すように、一対のセーフティコーン2,2と、一対のコーンバー3,3(第一コーンバー31,第二コーンバー32)と、セーフティコーン用補助器具4とを備えている。
セーフティコーン2は、円錐本体21と、円錐本体21の下端に形成された台座22とを備えている。円錐本体21は、700mm程度の高さからなり、上端が半球状を呈している。台座22は、円錐本体21の下端縁から側方に張り出す板状部分である。台座22は、一辺が390mm程度の正方形状を呈していて、セーフティコーン2の転倒を抑制する。本実施形態では、必要に応じて台座22に錘7を載せることで、セーフティコーン2の転倒や移動を抑制している。
【0009】
コーンバー3は、一対のセーフティコーン2,2に横架される棒状部材である。本実施形態のコーンバー3は、長さが2mとなっている。コーンバー3の両端には、掛止部33,33が形成されている。掛止部33は、円錐本体21の頭部に掛止される部位であり、円錐本体21の上端から10cm付近の外径と同等の内径を有した環状を呈している。掛止部33に円錐本体21の頭部を挿通する(すなわち、掛止部33を円錐本体21の頭部に被せる)ことで、コーンバー3の端部をセーフティコーン2の頭部に掛止めることが可能となる。
本実施形態では、一対のコーンバー3,3を上下に並設するものとし、下側の第一コーンバー31を一対のセーフティコーン2,2に横架し、上側の第二コーンバー32を各セーフティコーン2に設けられたセーフティコーン用補助器具4を介して第一コーンバー31の真上に設ける。すなわち、一対のコーンバー3,3は、平面視で重なる位置に設けるものとする。
【0010】
セーフティコーン用補助器具4は、セーフティコーン2(円錐本体21)の頭部に設けられて、第二コーンバー32を掛止める部材である。
図2にセーフティコーン用補助器具4を示す。セーフティコーン用補助器具4は、金属製で、
図2に示すように、上下2段のリング状部5,5と、嵩上部6とを備えている。本実施形態のセーフティコーン用補助器具4は、全高が約590mmで、セーフティコーン2に設置した状態で、地上からセーフティコーン用補助器具4の上端までの高さが約1mである。本実施形態のリング状部5は、炭素鋼鋼管を所定の長さ(高さ)で切断することにより形成されている。
【0011】
上側に配設されたリング状部5である第一リング状部51は、セーフティコーン2の上端部の外径よりも大きく、かつ、当該セーフティコーン2の中間部の外径よりも小さい内径を有した環状部材である。第一リング状部51は、第一コーンバー31の掛止部33の下側において、セーフティコーン2に周設される。
下側に配設されたリング状部5である第二リング状部52は、第一リング状部51と同一の中心軸を有した環状部材であって、第一リング状部51の下方に並設されている。第二リング状部52は、第一リング状部51よりも大きな内径を有していて、第一リング状部51の下側において、セーフティコーン2に周設される。
【0012】
嵩上部6は、第一リング状部51から上方に延設された部材であって、コーンバー3(第二コーンバー32)の掛止部(端部)33を掛止可能な形状を有している。本実施形態の嵩上部6は、φ6mmの亜鉛アルミ合金製の棒材を加工することにより形成されている。
本実施形態の嵩上部6は、第一リング状部51および第二リング状部52を連結する一対の連結部61,61と、連結部61の上端(第一リング状部51)から上方に向かって第一リング状部51の中心軸から離れる方向に延びる一対の拡幅部62,62と、一対の拡幅部62,62の上端から上方に延びる正面視逆V字状の縮幅部63とからなる。拡幅部62とセーフティコーン2の円錐本体21の外面との間には、コーンバー3の掛止部33(
図1参照)を挿入可能な隙間が形成されている。本実施形態の縮幅部63は、セーフティコーン2の円錐本体21の外面と同等の傾斜角により形成されている。縮幅部63には、第二コーンバー32の掛止部33が掛止られる。
【0013】
以下、本実施形態の明示装置1を組み立てる明示装置形成方法について説明する。
図3に本実施形態の明示装置形成方法を示す。
図3に示すように、明示装置形成方法は、セーフティコーン配設工程S1と、補助器具設置工程S2と、第一コーンバー掛止工程S3と、第二コーンバー掛止工程S4とからなる。
図4(a)~(c)に明示装置形成方法の各工程を示す。
セーフティコーン配設工程S1は、
図4(a)に示すように、一対のセーフティコーン2,2を、所定の間隔(約2m)をあけて配設する工程である(
図1参照)。このとき、必要に応じてセーフティコーン2の台座22に錘7を載せる。
補助器具設置工程S2は、
図4(b)に示すように、各セーフティコーン2の頭部にセーフティコーン用補助器具4を設置する工程である(
図1参照)。セーフティコーン用補助器具4は、第一リング状部51の内空および第二リング状部52の内空にセーフティコーン2の頭部を挿入させた状態で、セーフティコーン2の上方から載置する。
【0014】
第一コーンバー掛止工程S3は、
図4(c)に示すように、セーフティコーン2の頭部に第一コーンバー31を掛止める工程である。第一コーンバー31を掛止める際には、まず、掛止部33をセーフティコーン用補助器具4の第一リング状部51(セーフティコーン2の頭部)と嵩上部6(拡幅部62および縮幅部63)により囲まれた空間に挿入する。次に、セーフティコーン2の頭部の上方から掛止部33を下降させて、掛止部33をセーフティコーン2の頭部に載置(周設)する。
第二コーンバー掛止工程S4は、
図1に示すように、セーフティコーン用補助器具4の嵩上部6に第二コーンバー32を掛止める工程である。第二コーンバー32を掛止める際には、セーフティコーン用補助器具4の上方から、縮幅部63の頭部が掛止部33に挿入されるように、掛止部33を下降させることにより、掛止部33を縮幅部63に掛止める。
【0015】
本実施形態の明示装置1は、セーフティコーン2とコーンバー3とセーフティコーン用補助器具4とを組み合わせるのみで形成できるため、簡易に組み立てることができ、作業性に優れている。
また、第一コーンバー31の上方に間隔をあけて第二コーンバー32を設置することで、従来よりも高い位置にコーンバー3が配設されるため、明示装置1が視認しやすい。そのため、重機オペレーターや車両運転手からの視認性が向上し、安全性が向上する。
また、第二コーンバー32が高い位置(地上から90cm程度の位置)にあるため、人が跨ぎにくくなる。そのため、より安全性に優れた明示装置1が形成される。
また、コーンバー3を上下2段に配置することで、コーンバー3が1本の場合に比べて、コーンバー3を取り外すのに手間がかかる。コーンバー3の取り外しが煩わしくなれば、コーンバー3を取り外して不正に通過しようとする試みを躊躇させるようになるため、安全設備としての効果が高い。
【0016】
セーフティコーン用補助器具4は、軽量なため、取り扱いやすい。そのため、明示装置1の組立、解体や移動を簡易に行うことができ、工事の進行に応じた工事現場の安全通路や立ち入り禁止領域の変化に対応可能である。
また、セーフティコーン用補助器具4は、棒材と環状部材を組み合わせることにより形成されていて、風荷重を受け難いため、明示装置1が風にあおられて倒れることが抑制されている。
複数のリング状部5をセーフティコーン2に周設しているため、安定しており、セーフティコーン2から外れ難い。
【0017】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、第一リング状部51と第二リング状部52とを有している場合について説明したが、リング状部5の数は限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
前記実施形態では、第一リング状部51および第二リング状部52が炭素鋼鋼管により形成されている場合について説明したが、第一リング状部51および第二リング状部52を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、亜鉛アルミ合金製や樹脂製であってもよい。また、本実施形態では、管材(鋼管)を輪切りにして第一リング状部51および第二リング状部52を形成する方法を例示したが、の棒材や帯板を曲げ加工することにより形成してもよいし、板材から切り出すことにより形成してもよい。
【0018】
また、第一リング状部51および第二リング状部52は、無端状(環状)に限定されるものではなく、例えば、C字状であってもよい。
前記実施形態では、嵩上部6が亜鉛アルミ合金製の棒材を加工することにより形成するものとしたが、嵩上部6を構成する材料は限定されるものではない。例えば、アルミ合金製の板材を加工することにより形成してもよい。
嵩上部6の形状は、コーンバー3の掛止部33を掛止めることができれば限定されるものではなく、例えば、
図5(a)に示すように、逆J字状であってもよいし、
図5(b)に示すようにJ字状の部材から側方に掛止部を載置するための部分が張り出した形状となっていてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 明示装置
2 セーフティコーン
21 円錐本体
22 台座
3 コーンバー
31 第一コーンバー
32 第二コーンバー
33 掛止部
4 セーフティコーン用補助器具
5 リング状部
51 第一リング状部
52 第二リング状部
6 嵩上部
61 連結部
62 拡幅部
63 縮幅部