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特開2024-2937流体を浄化するシステム及び方法、並びに該システムに接続された車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002937
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】流体を浄化するシステム及び方法、並びに該システムに接続された車両
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/44 20060101AFI20231228BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20231228BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20231228BHJP
   F02M 35/024 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B01D46/44
B01D46/52 Z
B01D46/42 A
F02M35/024 521Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023097786
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】22305914
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.ZIGBEE
3.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】505229863
【氏名又は名称】マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ユンジンガー、ベルント
(72)【発明者】
【氏名】テボー、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ウーバー、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ランボー、ビンセント
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA14
4D058NA03
4D058NA04
4D058PA04
4D058PA05
4D058PA09
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA11
4D058QA19
4D058SA20
4D058UA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フィルタの交換時期を最適化し、エネルギーロスを抑制する空気浄化システムおよび浄化する方法を提供する。
【解決手段】空気浄化システムは、吸気口1及び排気口2を有する空気流路と、フィルタ102を収容するように構成された収容部104であって、フィルタを通過する空気流の一部であるフィルタ空気流に影響を及ぼす空気流制御装置110と、所定の制御パラメータに従って、空気流制御装置を制御する制御回路120と、フィルタのフィルタ使用値を求め、該フィルタ使用値をメモリ内の履歴データに保存し、マイクロプロセッサによって、履歴データに基づいて、空気流制御装置を駆動するための調整された制御パラメータを生成するように構成された電子処理回路130と、を備え、調整された制御パラメータは、所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で、所定のフィルタ負荷が達成されるように、フィルタの平均負荷率を増減させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を浄化するシステム(100)であって、
吸気口(1)及び排気口(2)を有する空気流路と、
フィルタ(102)を収容するように構成された収容部(104)であって、空気が前記空気流路を流れているときに、前記収容部(104)に設置された前記フィルタ(102)が、空気流の流れの中にあるように構成された収容部(104)と、
フィルタ空気流を制御する空気流制御装置(110)と、
所定の制御パラメータに従って、前記空気流制御装置を制御する制御回路(120)と、
電子処理回路(130)であって、
前記フィルタ(102)のフィルタ使用値を求め、該フィルタ使用値をメモリ(122)内の履歴データに保存し、
マイクロプロセッサ(124)によって、前記履歴データに基づいて、前記空気流制御装置を駆動するための調整された制御パラメータを生成するように構成された電子処理回路(130)と、を備え、
前記調整された制御パラメータは、所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で、所定のフィルタ負荷が達成されるように、前記フィルタ(102)の平均負荷率を増減させるものであるシステム(100)。
【請求項2】
前記フィルタ使用値は、フィルタ負荷であり、
フィルタ使用値を求め、履歴データに保存することは、
使用データ及び/又はセンサデータに基づいて、前記フィルタ(102)のフィルタ負荷を求め、
該フィルタ負荷をメモリ(122)内の履歴データに保存することを含む請求項1に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項3】
前記電子処理回路(130)は、自動モードにおいて、前記空気流制御装置を制御するために、前記調整された制御パラメータを前記制御回路(120)に提供するように更に構成される請求項1に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項4】
例えばユーザインタフェース上で実行されるユーザ選択から、前記自動モードの表示を含むモードデータを受信し、前記電子処理回路(130)による使用のため、前記モードデータをメモリに保存するように構成されたセットアップユニットを更に備える請求項3に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項5】
前記電子処理回路(130)は、
前記履歴データに基づいて、前記フィルタの寿命終了時期を求め、
前記寿命終了時期と、所定の次回メンテナンス時期とを比較し、
前記寿命終了時期が前記所定の次回メンテナンス時期より前である場合、前記履歴データに基づいて、前記寿命終了時期が前記所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で発生するように、前記フィルタの余寿命を延ばすために必要な、空気流の減少などのフィルタ使用量の減少を決定するように更に構成される請求項1に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項6】
前記電子処理回路(130)は、
前記履歴データに基づいて、前記フィルタの寿命終了時期を求め、
前記寿命終了時期と、所定の次回メンテナンス時期とを比較し、
前記寿命終了時期が前記所定の次回メンテナンス時期より後である場合、前記履歴データに基づいて、前記寿命終了時期が前記所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で発生するように、前記フィルタの余寿命を延ばすために必要な、空気流の増加などのフィルタ使用量の増加を決定するように構成される請求項1に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項7】
前記電子処理回路は、フィルタ負荷情報を表示するためのディスプレイと、前記フィルタ負荷情報に基づいてユーザが前記制御パラメータの変更をリクエストするためのボタンとを含むユーザインタフェースに動作可能に接続可能である請求項1に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項8】
前記ディスプレイ上に、フィルタ使用時間、フィルタ負荷時間、残存フィルタ容量時間、フィルタ負荷、又は残存フィルタ負荷容量を含むフィルタ負荷情報が表示される請求項7に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項9】
前記制御回路(120)及び前記電子処理回路(130)は、単一の制御ユニットに統合される請求項1に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項10】
前記制御回路(120)及び前記電子処理回路(130)は、互いに物理的に分離され、
前記制御回路(120)は、データ通信インタフェースを備え、又は、データ通信インタフェースに接続され、
前記データ通信インタフェースは、前記電子処理回路(130)を含むサーバー、例えばクラウドに接続するように構成される請求項1に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項11】
前記電子処理回路(130)は、前記フィルタの寿命終了時期を求めるように構成され、
前記システム(100)は、発注サブシステムを更に備え、
該発注サブシステムは、
場所データベースから1つ以上のメンテナンス場所候補を選択し、
前記場所データベースから営業時間データをリクエストし、
場所のサーバー又は前記場所データベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストし、
交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補があるかを判定し、所定の履歴データベース及び/又は在庫データベースからの在庫データに従って、前記交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補に対する納期を推定し、
フィルタ交換が利用可能な1つ以上の前記メンテナンス場所候補と、前記フィルタの寿命終了時期の所定の許容差内でフィルタ交換が発注可能な1つ以上の前記メンテナンス場所候補と、を含む1つ以上の有効なメンテナンス場所のセットを求め、
ユーザインタフェース上に、前記有効なメンテナンス場所を含むメッセージを提供し、メンテナンス場所を選択するためのユーザ入力を受け、
ユーザによって選択された前記メンテナンス場所が、前記フィルタ交換が発注可能な1つ以上のメンテナンス場所候補のうちの1つである場合、フィルタ(102)を交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び前記所定の次回メンテナンス時期を含む発注データセットを準備し、発注データを発注受取通信インタフェースに送信することで、前記メンテナンス場所にフィルタを発注し、
前記許容差を加算した推定納期を、前記所定の次回メンテナンス時期として使用するように構成される請求項1に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項12】
前記電子処理回路(130)は、
前記フィルタの寿命終了時期を求め、
フィルタの種類と車両の種類を示すデータを少なくとも含む仕様データパケットを提供するように構成され、
前記システム(100)は、発注サブシステムを更に備え、
該発注サブシステムは、
前記仕様データパケットを受信し、
サプライヤデータベースから1つ以上のサプライヤ候補を選択し、
サプライヤのサーバー又は前記サプライヤデータベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストし、
フィルタ交換が発注可能な1つ以上の前記サプライヤ候補を含む1つ以上の有効なサプライヤのセットを求め、
ユーザインタフェース上に、前記有効なサプライヤを含むメッセージを提供し、サプライヤを選択するためのユーザ入力を受け、
フィルタ(102)を交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び前記所定の次回メンテナンス時期を含む発注データパケットを準備し、発注データを発注受取通信インタフェースに送信することで、所定のユーザアドレスにフィルタを発注し、
前記許容差を加算した推定納期を、前記所定の次回メンテナンス時期として使用するように構成される請求項1に記載の流体を浄化するシステム(100)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の流体を浄化するシステム(100)に接続される車両であって、
前記空気流路と、前記収容部(104)と、前記空気流制御装置(110)と、前記制御回路(120)と、を備え、
前記電子処理回路(130)を更に備え、及び/又は、前記電子処理回路(130)に動作可能に接続される車両。
【請求項14】
フィルタ(102)を用いて流体を浄化する方法であって、
前記フィルタ(102)を通る空気流を提供するステップと、
空気流制御装置(110)によって、フィルタ(102)を通る空気流を制御するステップと、
制御回路(120)によって、所定の制御パラメータに従って、前記空気流制御装置を制御するステップと、
電子処理回路(130)によって、前記フィルタ(102)のフィルタ使用値を求め、該フィルタ使用値をメモリ(122)内の履歴データに保存するステップと、
マイクロプロセッサ(124)によって、前記履歴データに基づいて、前記所定の制御パラメータと異なる、前記空気流制御装置を駆動するための調整された制御パラメータを生成するステップと、を含み、
前記調整された制御パラメータは、所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で、所定のフィルタ負荷が達成されるように、前記フィルタ(102)の平均負荷率を増減させる方法。
【請求項15】
前記電子処理回路(130)によって、前記フィルタの寿命終了時期を求めるステップと、
前記システム(100)の発注サブシステムによって、
場所データベースから1つ以上のメンテナンス場所候補を選択するステップと、
前記場所データベースから営業時間データをリクエストするステップと、
場所のサーバー又は前記場所データベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストするステップと、
交換フィルタが利用可能な1つ以上の前記メンテナンス場所候補である、1つ以上の有効なメンテナンス場所を求めるステップと、
ユーザインタフェース上に、前記有効なメンテナンス場所を含むメッセージを提供し、メンテナンス場所を選択するためのユーザ入力を受けるステップと、
選択された前記メンテナンス場所に関連付けられたデータベースに、前記フィルタが予約されることを示すフィルタ予約情報を追加するステップと、を更に含む請求項14に記載の流体を浄化する方法。
【請求項16】
前記電子処理回路(130)によって、前記フィルタの寿命終了時期を求めるステップと、
前記システム(100)の発注サブシステムによって、
場所データベースから1つ以上のメンテナンス場所候補を選択するステップと、
前記場所データベースから営業時間データをリクエストするステップと、
場所のサーバー又は前記場所データベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストするステップと、
交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補があることを判定し、所定の履歴データベース及び/又は在庫データベースからの在庫データに従って、前記交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補に対する納期を推定するステップと、
前記フィルタの寿命終了時期の所定の許容差内でフィルタ交換が発注可能な1つ以上の前記メンテナンス場所候補を含む1つ以上の有効なメンテナンス場所のセットを求めるステップと、
ユーザインタフェース上に、前記有効なメンテナンス場所を含むメッセージを提供し、メンテナンス場所を選択するためのユーザ入力を受けるステップと、
フィルタ(102)を交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び前記所定の次回メンテナンス時期を含む発注データセットを準備し、発注データを発注受取通信インタフェースに送信することで、前記メンテナンス場所にフィルタを発注するステップと、
前記所定の許容差を加算した推定納期を、前記所定の次回メンテナンス時期として使用するステップと、を更に含む請求項14に記載の流体を浄化する方法。
【請求項17】
前記電子処理回路(130)によって、前記フィルタの寿命終了時期を求めるステップと、
前記システム(100)の発注サブシステムによって、
サプライヤデータベースから1つ以上のサプライヤ候補を選択するステップと、
前記サプライヤデータベースから、営業時間データをリクエストするステップと、
サプライヤのサーバー又は前記サプライヤデータベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストするステップと、
所定の履歴データベース及び/又は在庫データベースからの在庫データに従って、候補に対する納期を推定するステップと、
前記フィルタの寿命終了時期の所定の許容差内でフィルタ交換が発注可能な1つ以上の前記サプライヤ候補を含む1つ以上の有効なサプライヤのセットを求めるステップと、
ユーザインタフェース上に、前記有効なサプライヤを含むメッセージを提供し、サプライヤを選択するためのユーザ入力を受けるステップと、
フィルタ(102)を交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び前記所定の次回メンテナンス時期を含む発注データパケットを準備し、発注データを発注受取通信インタフェースに送信することで、所定のユーザの場所にフィルタを発注するステップと、
前記所定の許容差を加算した前記納期を、前記所定の次回メンテナンス時期として使用するステップと、を更に含む請求項14に記載の流体を浄化する方法。
【請求項18】
マイクロプロセッサシステムによってプログラムが実行された場合、前記マイクロプロセッサシステムに請求項14~17のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体を浄化するシステムに関する。また、本開示は、該システムに接続された車両に関する。さらに、本開示は、流体を浄化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
都市化の進展に伴い、産業廃棄物、道路交通、家庭用の炉により、特に特定の気象条件(雨が降らない、逆転現象、低風速、高度間の空気交換がない)で、大気が粒子状物質やオゾン、NO、COなどのガスの規制値を何度も超えてしまう問題がある。
【0003】
近年、交通関連排出ガスの問題は、NOや特定物質の排出により大気汚染が特に激しい地域で、特定の車両群、特にディーゼル車の運転禁止を求める声により深刻化している。空気を浄化するためにフィルタを含む装置が使用される場合があるが、フィルタの負荷容量が一杯になると、濾過の効果がなくなり、装置の作動によってエネルギーが浪費されることがある。
【0004】
本出願の目的は、このような問題を解決し、改良された空気浄化システム及び方法を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、流体を浄化するシステムに関する。流体を浄化するシステムは、吸気口及び排出口を有する空気流路、例えば、空気流の流路を形成するダクトなどの部品を備え得る。流体を浄化するシステムは、空気が空気流路を流れているときに、収容部に設置されたフィルタが空気流の流れの中にあるように、フィルタを収容するように構成された収容部を備え得る。流体を浄化するシステムは、フィルタを通過する空気流の一部であるフィルタ空気流に影響を及ぼす空気流制御装置、例えば、ファン、シャッタ、フィルタバイパス、又はそれらの組み合わせを備え得る。流体を浄化するシステムは、所定の制御パラメータに従って、空気流制御装置を制御する制御回路を備え得る。流体を浄化するシステムは、電子処理回路を備え得る。電子処理回路は、フィルタのフィルタ使用値を求め、該フィルタ使用値をメモリ内の履歴データに保存するように構成され得る。電子処理回路は、マイクロプロセッサによって、履歴データに基づいて、空気流制御装置を駆動するための調整された制御パラメータを生成するように構成され得る。調整された制御パラメータは、所定の次回メンテナンス時期に関連する所定の許容差内で、所定のフィルタ負荷(例えば、フィルタのフル負荷)が達成されるように、例えば制御パラメータと比べて、フィルタの平均負荷率を増減させる。
【0006】
本開示の一態様は、様々な実施形態による流体を浄化するシステムに接続された車両に関する。車両は、空気流路と、収容部と、空気流制御装置と、制御回路と、を備え得る。車両は、電子処理回路を更に備え得る。これに代わって又はこれに加えて、車両は、例えば車両の一部ではない電子処理回路に接続されてもよい。例えば、電子回路は、リモートサーバーに含まれてもよく、車両に搭載(携帯電話など)されてもよく、サーバーと車両との間に分散され、一部はリモートサーバーで実現され、一部は車両で、例えばエッジ処理として実現されてもよい。サーバーの例としては、クラウドが挙げられる。
【0007】
本開示の一態様は、フィルタを用いて流体を浄化する方法に関する。本方法は、フィルタを通る空気流を提供するステップを含み得る。本方法は、様々な実施形態による空気流制御装置によって、フィルタを通る空気流を制御するステップを含み得る。例えば、制御は、ファン、シャッタ、フィルタバイパス、又はそれらの組み合わせを制御することによって実行されてもよい。本方法は、制御回路によって、所定の制御パラメータに従って、空気流制御装置を制御するステップを更に含み得る。本方法は、電子処理回路によって、フィルタのフィルタ使用値を求め、該フィルタ使用値をメモリ内の履歴データに保存するステップを更に含み得る。本方法は、マイクロプロセッサによって、履歴データに基づいて、空気流制御装置を駆動するための調整された制御パラメータを生成するステップを更に含み得る。調整された制御パラメータは、所定の制御パラメータと異なり得る。調整された制御パラメータは、所定の次回メンテナンス時期に関連する所定の許容差内で、所定のフィルタ負荷(例えば、フィルタのフル負荷)が達成されるように、(例えば制御パラメータと比べて)、フィルタの平均負荷率を増減させる。
【0008】
幾つかの実施形態によると、先の請求項のいずれか一項に記載の流体を浄化する方法は、電子処理回路によって、フィルタの寿命終了時期を求めるステップを更に含み得る。本方法は、システムの発注サブシステムによって、場所データベースから1つ以上のメンテナンス場所候補を選択するステップを含み得る。本方法は、システムの発注サブシステムによって、場所データベースから営業時間データをリクエストするステップを含み得る。本方法は、システムの発注サブシステムによって、場所のサーバー又は場所データベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストするステップを含み得る。本方法は、システムの発注サブシステムによって、交換フィルタが利用可能な1つ以上のメンテナンス場所候補である、1つ以上の有効なメンテナンス場所を求めるステップを含み得る。本方法は、システムの発注サブシステムによって、ユーザインタフェース上に、有効なメンテナンス場所を含むメッセージを提供し(例えば、地図上の表示、リスト上の表示、又は音声リスト)、メンテナンス場所を選択するためのユーザ入力を受けるステップを含み得る。本方法は、システムの発注サブシステムによって、選択されたメンテナンス場所に関連付けられたデータベースに、フィルタを予約すること、又は予約されたことを示すフィルタ予約情報を追加するステップを含み得る。
【0009】
幾つかの実施形態によると、様々な実施形態による流体を浄化する方法は、電子処理回路によって、フィルタの寿命終了時期を求めるステップを更に含み得る。本方法は、任意に発注サブシステムによって、場所データベースから1つ以上のメンテナンス場所候補を選択するステップを更に含み得る。本方法は、任意に発注サブシステムによって、場所データベースから営業時間データをリクエストするステップを更に含み得る。本方法は、任意に発注サブシステムによって、場所のサーバー又は場所データベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストするステップを更に含み得る。本方法は、任意に発注サブシステムによって、交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補があることを判定するステップを更に含み得る。本方法は、任意に発注サブシステムによって、所定の履歴データベース及び/又は在庫データベースからの在庫データに従って、交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補に対する納期を推定するステップを更に含み得る。本方法は、任意に発注サブシステムによって、フィルタの寿命終了時期の所定の許容差内でフィルタ交換が発注可能な1つ以上のメンテナンス場所候補を含む、1つ以上の有効なメンテナンス場所のセットを求めるステップを更に含み得る。本方法は、任意に発注サブシステムによって、ユーザインタフェース上に、有効なメンテナンス場所を含むメッセージを提供する(例えば、地図上の表示、リスト上の表示、又は音声リスト)ステップを更に含み得る。本方法は、メンテナンス場所を選択するためのユーザ入力を受けるステップを更に含み得る。本方法は、任意に発注サブシステムによって、例えば、フィルタを交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び所定の次回メンテナンス時期を含む発注データセットを準備し、発注データを発注受取通信インタフェースに送信することで、メンテナンス場所にフィルタを発注するステップを更に含み得る。本方法は、任意に発注サブシステムによって、許容差を加算した推定納期を、所定の次回メンテナンス時期として使用するステップを更に含み得る。
【0010】
幾つかの実施形態によると、フィルタ使用値はフィルタ負荷であってもよい。フィルタ使用値を求め、履歴データに保存することは、使用データ及び/又はセンサデータに基づいて、フィルタのフィルタ負荷を求めることを含み、該フィルタ負荷をメモリ内の履歴データに保存することを更に含み得る。フィルタ使用量を変更、増加、減少、又は最適化することは、フィルタの将来の使用を意味し、濾過量を変更、増加、減少、又は最適化することを意味し得る。
【0011】
幾つかの実施形態によると、電子処理回路は、自動モードにおいて、空気流制御装置を制御するために、調整された制御パラメータを制御回路に提供するように更に構成され得る。
【0012】
幾つかの実施形態によると、流体を浄化するシステムは、例えばユーザインタフェース上で実行されるユーザ選択から、自動モードの表示を含むモードデータを受信するように構成されたセットアップユニットを更に備え得る。セットアップユニットは、電子処理回路による使用のため、モードデータをメモリに保存するように更に構成され得る。例として、ユーザインタフェースは、ディスプレイやボタンなど、車両インタフェース上及び/又は携帯電話インタフェース上に実装されてもよい。ボタンは、タッチスクリーンとしてディスプレイに統合されてもよい。
【0013】
本明細書において、また、様々な実施形態によると、フィルタの寿命終了時期は、履歴データに基づいて求めることができる。一例では、フィルタの寿命終了時期は、フィルタが所定のフィルタ負荷、例えば、公称フル負荷に達したときである。公称フル負荷は、フル負荷、又はフル負荷からバッファを差し引いた負荷、例えば、フル負荷の95%であってもよく、負荷バッファ(例えば5%)が残ってもよい。非限定的な例では、バッファは1%~15%の範囲から選択される。例として、最初の使用からの時間、現在の時間、現在の(相対的な)負荷、フィルタパラメータ、現在のフィルタ負荷の1つ以上に基づく外挿によって求めることができる。
【0014】
幾つかの実施形態によると、電子処理回路は、履歴データに基づいてフィルタの寿命終了時期を求めるように構成され得る。一例では、フィルタの寿命終了時期は、フィルタが所定のフィルタ負荷、例えば、公称フル負荷に達したときである。公称フル負荷は、フル負荷、又はフル負荷からバッファを差し引いた負荷、例えば、フル負荷の95%であってもよく、負荷バッファ(例えば5%)が残ってもよい。非限定的な例では、バッファは1%~15%の範囲から選択される。例として、最初の使用からの時間、現在の時間、現在の(相対的な)負荷、フィルタパラメータ、現在のフィルタ負荷の1つ以上に基づく外挿によって求めることができる。一例では、過去のデータに基づいて訓練されたニューラルネットワークによって求めることができる。
【0015】
幾つかの実施形態によると、電子処理回路は、寿命終了時期と、所定の次回メンテナンス時期とを比較するように構成され得る。
【0016】
幾つかの実施形態によると、電子処理回路は、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期より前であるか確認するように構成され得る。幾つかの実施形態によると、電子処理回路は、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期より前である場合、履歴データに基づいて、フィルタ使用量の減少を決定するように構成され得る。これに代わって又はこれに加えて、様々な実施形態によると、電子処理回路は、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期より後であるか確認するように構成され得る。幾つかの実施形態によると、電子処理回路は、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期より後である場合、履歴データに基づいて、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で発生するように、フィルタの余寿命を延ばすために必要な、空気流の増加などのフィルタ使用量の増加を決定するように構成され得る。
【0017】
幾つかの実施形態によると、フィルタ使用量の減少は、空気流の減少を含み得る。フィルタ使用量の減少は、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で発生するように、フィルタの余寿命を延ばすことを含み得る。フィルタ使用量の増加は、空気流の増加を含み得る。フィルタ使用量の増加は、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で発生するように、フィルタの余寿命を縮めることを含み得る。所定の許容差は、時間単位を有してもよく(又は分数又は百分率であってもよく)、所定の次回メンテナンス時期の許容差であってもよい。これに代わって又はこれに加えて、所定の許容差は、フィルタの負荷容量許容差(バッファ)であってもよく、質量単位を有してもよく、分数又は百分率であってもよい。所定の許容差は、それぞれが少なくとも1回のメンテナンス予約を有する多数の車両、例えば、100台以上の車両について、履歴データベースに収集された、実際のメンテナンス時期と想定のメンテナンス時期との過去の差に基づいて推定することができる。これに代わって又はこれに加えて、所定の許容差は、フィルタの負荷バッファに基づいて推定されてもよい。別の代替案では、所定の許容差は、一定の期間、例えば5日であってもよい。様々な実施形態によると、フィルタが次回メンテナンス時期に所定のフィルタ負荷を達成するか否かを判定することは、負荷容量の許容差、例えば10%以内、又は5%以内の範囲から選択される±の許容差、例えば、±10%、±7%の許容差を含んでもよい。これに代わって又はこれに加えて、許容差は、次回メンテナンス時期に関する、例えば15日以内、10日以内、又は5日以内の範囲から選択される±の許容差、例えば±10日、±7日の許容差であってもよい。これに代わって又はこれに加えて、許容差は、走行距離に関する、例えば3000km以内、又は1000km以内の範囲から選択される±の許容差、例えば±1000kmの許容差であってもよい。
【0018】
様々な実施形態によると、電子処理回路は、フィルタ負荷情報を表示するためのディスプレイを含むユーザインタフェースに動作可能に接続可能であってもよい。表示される情報の例としては、現在の負荷、現在の寿命、推定寿命終了時期、寿命終了時期の予測のうちの1つ以上から選択される。ユーザインタフェースはボタンを含んでもよく、ボタンは仮想的、物理的、又はそれらの組み合わせであってもよい。ユーザインタフェースは、フィルタ負荷情報に基づいて、ユーザが制御パラメータの変更をリクエストできるように構成される。
【0019】
様々な実施形態によると、ディスプレイにフィルタ負荷情報が表示される。フィルタ負荷情報は、フィルタ使用時間、フィルタ負荷時間、残存フィルタ容量時間、フィルタ負荷、又は残存フィルタ負荷容量のうちの1つ以上を含んでもよい。フィルタ負荷時間は、例えば、フィルタへの負荷が速い負荷領域が拡大され、及び/又は、フィルタへの負荷が遅い負荷領域が圧縮されるなど、より容易に追従できるように線形化されてもよい。これにより、ユーザは、線形化された、例えば、フィルタの単一のプログレスバー、パーセント値、プロット、及び/又は読みやすい別の形態やグラフィックを見ることができる。例えば、フィルタ負荷は非線形の場合があり(例えば、負の負荷など、電気的に負荷がかかり始める場合がある)、したがって、電気的に中立のフィルタに比べて初期により高い濾過性能を有する場合がある。したがって、人間による比較のため、線形化により、例えばフィルタの単一のプログレスバー、パーセント値、プロット、及び/又は別の形態やグラフィックとして並べて、情報を読み取り易くすることができる。
【0020】
幾つかの実施形態によると、制御回路及び電子処理回路は、単一の制御ユニット、例えばエンジン制御ユニット(ECU)に統合される。
【0021】
幾つかの実施形態によると、制御回路及び電子処理回路は、物理的に互いに分離されていてもよい。制御回路は、データ通信インタフェースを備えてもよく、データ通信インタフェースに接続されてもよい。データ通信インタフェースは、サーバーに接続するように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、サーバーは電子処理装置を含んでもよい。一例では、サーバーはクラウドであってもよい。
【0022】
様々な実施形態によると、電子処理回路は、フィルタの寿命終了時期を求めるように構成され得る。システムは、発注サブシステムを更に備え得る。発注サブシステムは、場所データベースから1つ以上のメンテナンス場所候補を選択するように構成され得る。発注サブシステムは、場所データベースから営業時間データをリクエストするように構成され得る。発注サブシステムは、場所のサーバー又は場所データベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストするように構成され得る。発注サブシステムは、交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補があるかを判定し、更に、所定の履歴データベース及び/又は在庫データベースからの在庫データに従って、交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補に対する納期を推定するように構成され得る。発注サブシステムは、1つ以上の有効なメンテナンス場所のセットを求めるように構成され得る。1つ以上の有効なメンテナンス場所のセットは、フィルタ交換が利用可能な1つ以上のメンテナンス場所候補と、フィルタの寿命終了時期の許容差内でフィルタ交換が発注可能な1つ以上のメンテナンス場所候補と、を含み得る。発注サブシステムは、ユーザインタフェース上に、有効なメンテナンス場所を含むメッセージを提供するように構成され得る。発注サブシステムは、メンテナンス場所を選択するためのユーザ入力を受けるように構成され得る。例えば、メッセージは、地図上に場所を表示する形式、場所のリストを表示する形式、場所のリストを含む音声メッセージであってもよい。
【0023】
発注サブシステムは、ユーザによって選択されたメンテナンス場所が、フィルタ交換を発注可能な場所であるか否かを判定するように構成され得る。発注サブシステムは、ユーザによって選択されたメンテナンス場所が、フィルタ交換を発注可能な1つ以上のメンテナンス場所候補のうちの1つである場合、メンテナンス場所にフィルタを発注するように構成され得る。フィルタの発注は、フィルタを交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び所定の次回メンテナンス時期を含む発注データセットを準備することを含み得る。フィルタの発注は、発注データを発注受取通信インタフェースに送信することを含み得る。発注サブシステムは、許容差を加算した推定納期を、所定の次回メンテナンス時期として使用するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】様々な実施形態による流体を浄化するシステム100の概略図である。
図2】様々な実施形態による例示的な方法200を示す図である。
図3】様々な実施形態による別の例示的な方法200を示す図である。
図4】様々な実施形態による方法を説明するための例として使用される概略グラフ30を示す。
図5A】様々な実施形態による流体を浄化するシステム100の概略図である。
図5B】様々な実施形態による流体を浄化するシステム100の概略図である。
図6】幾つかの実施形態による方法の例を示す図である。
図7】幾つかの実施形態による流体を浄化するシステム100の概略図である。
図8】ユーザインタフェース150の一例を示す図である。
図9】ユーザインタフェースのバー153の別の表現を示す。
図10】交換用フィルタを注文する方法300を説明するための概略フローチャートである。
図11】交換用フィルタを注文する方法400を説明するための概略フローチャートである。
図12】車両50のシステム構成要素と、車両50の外部のシステム要素や他の要素との間の可能な通信形態を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
様々な実施形態によると、空気の浄化は、空気から粒子状物質を除去するという意味を含み得る。
【0026】
様々な実施形態によると、フィルタは、例えば、PM10以上の粒子、PM2.5以上の粒子、又はPM1以上の粒子を濾過する(通過させない)粒子フィルタであってもよい。フィルタは、微粉塵フィルタであってもよい。
【0027】
幾つかの実施形態によると、フィルタは、少なくとも1つのフィルタベローズに折り畳まれる少なくとも1つの濾材を含む少なくとも1つの濾過要素を有する。フィルタは、フィルタベローズを支持し、例えば150mm以下及び15mm以上、例えば70mmの横方向距離で互いに離間する複数の折り畳み安定化手段を含んでもよい。濾材は、1Nm以上、例えば2Nm以上の固有曲げ剛性を有するように構成されてもよい。これは、濾材の固有曲げ剛性、すなわち、未加工又は折り畳まれていない状態での固有曲げ剛性を指す。フィルタは、プリーツ安定化手段を含んでもよい。システムは、1つの水分離装置を含んでもよい。
【0028】
幾つかの実施形態によると、車両の長手方向における濾過要素の深さは、150mm未満、例えば110mm未満である。深さは、そうでない場合は使用可能なフィルタ面積が非常に小さくなるため、好ましくは15mm以上である。本願の一実施形態において、大気浄化装置の流入面の寸法は、例えば、典型的な中型乗用車の場合、45cm(高さ)×65cm(幅)である。しかしながら、車両の大きさに応じて、この範囲から大幅な逸脱が可能であり、幅20cm~120cm、高さ15cm~100cmの範囲の寸法が原則的に可能である。
【0029】
幾つかの実施形態によると、濾過要素の濾材は、単層又は多層濾材であり、耐水性であってもよい。これは、少なくとも1つの排水層及び/又は1つの前分離層を含む多層濾材であってもよい。これに代わって又はこれに加えて、濾材は、ガラス繊維及び/又はプラスチック繊維、特にポリエステル及び/又はポリエチレンを含んでもよく、これらから構成されてもよい。さらに、濾材は、厚さ方向に、好ましくは気流方向に孔径が減少するような多孔度勾配を有するように構成されてもよい。
【0030】
濾過要素の設計(体積流量圧力損失特性)に応じて、ファンとの組み合わせで、大気浄化装置によって車両の微粉塵排出を完全に補うことで、粉塵に関して、例えばPM10、PM2.5、PM1に関して、ゼロエミッション車とすることができる。典型的な中型乗用車の場合、粒子状物質の総排出量は約25mg/kmである。
【0031】
フィルタは、フィルタフレーム、例えば、濾過要素(例えば、フィルタベローズ)が収容される少なくとも部分的に円周状のフレームを含んでもよい。一例では、フレームはL字型断面形状を有し、例えば、フレームのL字型断面の1つの脚部が濾過要素のフィルタベローズに係合することで、動圧の影響に対抗してこれを支持するように構成されてもよい。フィルタは、2つ以上の濾過要素を含んでもよく、濾過要素は、単一のフィルタフレームに配置(例えば、固定)されてもよく、あるいは、各濾過要素は、フィルタフレームの別々のフレーム要素に配置されてもよい。
【0032】
濾過要素は、特に、プラスチック成形された濾過要素を含むか又はプラスチック成形された濾過要素であり、少なくとも部分的に円周状のフレームは、材料間結合によって濾材に接続することができる。しかしながら、本発明は材料結合に限定されず、濾材のフレームへの材料結合の代わりに、濾過要素をフレームに単に挿入し、フォームフィット方式でL字型の後脚部に支持されるように構成してもよい。
【0033】
幾つかの実施形態によると、収容部(receptacle)という用語は、フィルタを所定位置に保持するためにフィルタと協働する手段、例えば、ホルダ、フレーム、及び/又はクリップ、あるいは空気流路ハウジングを意味するが、これらに限定されない。フィルタは、収容部に配置される(配置可能である)。収容部は、車両に固定されてもよく、フィルタのフレームに対応してもよく、その内部に、任意に着脱可能な締結手段、例えばクリップ接続によって、フィルタが保持される。収容部は、少なくとも1つの濾過要素が直線的に挿入される取り付けシャフトとして機能するように更に構成されてもよい。これにより、例えば、フロントフードのロックキャリアの上側から、又は、昇降台での整備中に容易にアクセスできる下部側から、濾過要素を容易に交換することが可能となる。
【0034】
図1は、幾つかの実施形態による流体を浄化するシステム100の概略図である。システム100は、吸気口1及び排気口2を有する空気流路を備え、例えば、空気流路は、収容部104と接続されたダクト又は複数のダクト部品を含み得る。システムは、空気が空気流路を流れているときに、収容部104に設置されたフィルタ102が空気流の流れの中にあるように、フィルタ102を収容するように構成された収容部104を備え得る。システムは、フィルタを通過する空気流の一部であるフィルタ空気流に影響を及ぼす空気流制御装置110を備え得る。例えば、空気流システムは、シャッタ、フィルタバイパス、ファン、又はそれらの2つ以上を含み得る。一例では、システムは、フィルタ102の上流にシャッタ、フィルタと平行にバイパス、及び/又はフィルタ102の下流にファンを含む。
【0035】
本明細書において、また、様々な実施形態によると、下流及び上流という用語は、空気流の流れに関するものであり、例えば、空気が車両の空気入口から空気出口に流れる場合、空気入口は出口より上流にある。
【0036】
システム100は、所定の制御パラメータに従って、空気流制御装置を制御する制御回路120を備え得る。システム100は、電子処理回路130を更に備え得る。電子処理回路130は、フィルタ102のフィルタ使用値を求め、該フィルタ使用値をメモリ122内の履歴データに保存するように構成され得る。電子処理回路130は、例えばマイクロプロセッサ124によって、履歴データに基づいて、空気流制御装置110を駆動するための調整された制御パラメータを生成するように構成され得る。調整された制御パラメータは、所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で、所定のフィルタ負荷が達成されるように、例えば制御パラメータと比べて、フィルタ102の平均負荷率を増減させる。電子処理回路130は、履歴データ、生成された調整制御パラメータ、又はその両方を保存するメモリ122を含み得る。
【0037】
様々な実施形態によると、電子処理回路130は、車両、例えばECUに搭載されてもよい。これに代わって又はこれに加えて、電子処理回路130は、車両の外部サービス、例えばサーバー又はクラウドによって提供されてもよい。
【0038】
様々な実施形態によると、フィルタ使用値を求め、履歴データに保存することは、使用データ及び/又はセンサデータに基づいて、フィルタ102のフィルタ負荷を求めることを含み、該フィルタ負荷をメモリ122内の履歴データに保存することを更に含み得る。様々な実施形態によると、フィルタ使用値はフィルタ負荷であってもよい。本明細書において、また、様々な実施形態によると、履歴データは、フィルタの使用に関連して収集されたデータ、例えば、新しいフィルタの挿入後、フィルタが最初に使用されてから、最後に使用されるときまでのデータを意味し得る。このようなデータの非限定的な例としては、風速、空気流量、空気流束、空気温度、フィルタの上流側の圧力、フィルタの下流側の圧力、(フィルタの両側の)圧力差、これらの派生量、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
様々な実施形態によると、車両のメモリ内のデータは、連続的又は定期的に保存される。車両のメモリ内のデータは、連続的又は定期的に読み出されてもよい。メモリは、マイクロコントローラに物理的にカプセル化又は一体化されたメモリであってもよく、別チップ上のメモリであってもよい。
【0040】
本明細書における、また、様々な実施形態によるデータは、例えば、測定値、ステータス、カウンタ、タイムスタンプなどの値を示す。データの取得と、データによって示される値の取得とは、本明細書において互換的に使用され得る。
【0041】
様々な実施形態によると、フィルタのフィルタ負荷を求めるために様々な方法を使用することができる。例えば、測定されたパラメータセットを、較正データを含む較正データベースにマッピングし、所定のフィルタ負荷(例えば、フィルタのフル負荷、又は公称フル負荷)を100%として、現在のフィルタ負荷を求めてもよい。エアフィルタの質量負荷を推定するための他の方法は、当業者に知られている。フィルタの初期状態は、新しいフィルタ、例えば無負荷のフィルタであってもよい。幾つかの実施形態では、フィルタの初期状態は、静電負荷がかかった新しいフィルタであってもよい。
【0042】
様々な実施形態によると、フィルタのフィルタ負荷を求めるための較正データを生成するために、多数のフィルタの履歴データを使用することができる。例えば、このような較正データは、フィルタの種類、濾材、及び形状(例えば、面積、プリーツ形状など)によって分けることができる。これにより、使用中のフィルタの種類に固有の較正データを使用して、フィルタのフィルタ負荷を求めることができる。
【0043】
例えば、フィルタの両側の圧力差(dp)を測定し、空気の風速(S)を提供し、較正において、軸dp、S、及びフィルタ負荷(L)を有するデータから、同じフィルタ種類について、フィルタ負荷(L)を読み取ることができる。風速(S)の代わりに、例えば測定又は計算された、体積流量(VF)、質量流量(MF)、又は流束(j)を使用してもよい。
【0044】
別の例では、フィルタ負荷は、インターバル時間(Δt)中に測定された粒子の濾過量の(i)個の測定値を加算することで求めることができる。粒子の濾過量は、例えば、以下の例示的な式に示すように、空気流量(Q(t))に微粒子濃度(P(t))(例えば、PM10濃度)と濾材の効率(n)を乗算することで算出することができるが、これに限定されるものではない。空気流量(Q(t))は、フィルタ前の風速に投影要素面積を乗じたもの、及び/又は、送風機によって供給される空気流量によって推定することができる。空気流量Q(t)は体積風量であってもよく、濃度P(t)は空気体積あたりの粒子の質量であってもよい。一例では、濾材前の風速は、車速の分数、例えば車速を3で割ることで計算することができる。
【0045】
【数1】
【0046】
フィルタ負荷は、(フィルタの上流側と下流側の圧力差を測定する)圧力差センサを用いて測定することができるが、このようなセンサは高価である。したがって、ラジエータと連通するフィルタを備えるシステムの場合、他の方法を使用してもよい。例えば、空冷効率によってフィルタ負荷を測定する方法、例えば、内燃機関の冷却時間や、冷却を必要とするバッテリの充電時間(例えば、バッテリの熱管理では、所定温度に達すると充電が遅くなる)を測定する方法がある。驚くべきことに、この方法では、車両が動いていないときでも、例えば、道路で得られる圧力とは対照的な、ファンによって発生する比較的低い圧力差でも、フィルタ負荷を測定することができる。したがって、圧力測定が必要ない。
【0047】
幾つかの実施形態によると、空気浄化システムを備える車両においてフィルタ負荷推定値を算出する方法は、空気が流れる際に空気流に置かれるフィルタとラジエータを備えるフロントエンド空冷システムとしても効果的である。ラジエータは冷却流体を冷却するためのものであり、冷却流体は車両の一部(例えば、内燃機関、電気エンジン、又は燃料電池)からラジエータに熱を運ぶためのものである。本方法は、車両のコンピュータメモリから、冷却流体温度を表す冷却流体温度データを取得することを含んでもよい。本方法は、(例えば、車両のコンピュータメモリから)外気温度を取得することを含んでもよい。本方法は、車両が動いていない(例えば、エンジンが停止しているか、スタンバイ状態である)ことを判定することを含んでもよい。本方法は、ファンを用いて、ラジエータ及びフィルタを通る空気流を提供することを含んでもよい。フィルタはラジエータと直列に配置される。本方法は、ファンが作動していることを判定することを含んでもよく、ファン速度を取得することを更に含んでもよい。本方法は、冷却流体温度、充電電力、及び外気温に基づいて、(例えばマイクロプロセッサを用いて)フィルタ負荷推定値を計算することを含んでもよい。フィルタ負荷推定値は、冷却ベースの負荷推定値とも呼ばれる。さらに、フィルタ負荷推定値は、ファン速度などのファンパラメータ、例えばrpmやHz単位のファン角周波数に基づいて計算されてもよい。これに代わって又はこれに加えて、ファン速度は所定の公称速度であってもよく、フィルタ負荷推定値は、ファンが所定の公称速度で動作している場合にのみ計算されてもよい。
【0048】
様々な実施形態によると、電子処理回路130は、自動モードにおいて、空気流制御装置110を制御するために、調整された制御パラメータを制御回路120に提供するように更に構成され得る。
【0049】
図2は、システム100が構成され得る、様々な実施形態による例示的な方法200を示す。フィルタ102を用いて流体を浄化する方法200は、フィルタ102を通る空気流を提供することを含み得る。方法200は、空気流制御装置110によって、フィルタ102を通る空気流を制御することを含み得る。例として、空気流を制御するために、ファン、シャッタ、フィルタバイパス、又はそれらの組み合わせを使用することができる。方法200は、制御回路120によって、所定の制御パラメータに従って、空気流制御装置110を制御することを含み得る。方法200は、電子処理回路130によって、フィルタ102のフィルタ使用値を求める210ことを含み、フィルタ使用値を、例えば、ローカル又は車両の外部のメモリ122内の履歴データに保存222することを更に含み得る。方法200は、マイクロプロセッサ124によって、履歴データに基づいて、所定の制御パラメータとは異なる空気流制御装置110を駆動するための調整された制御パラメータを生成230することを更に含み得る。調整された制御パラメータは、所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で、所定のフィルタ負荷が達成されるように、制御パラメータ(現在の制御パラメータ)に対して、フィルタ102の平均負荷率を増減させる。この生成では、調整された制御パラメータを生成するため、所定の次回メンテナンス時期が更に入力224され得る。方法200は、調整された制御パラメータを空気流制御装置110に提供240することを更に含み得る。
【0050】
図3は、システム100が構成され得る、様々な実施形態による別の例示的な方法200を示す。フィルタ102を用いて流体を浄化する方法200は、フィルタ102を通る空気流を提供することを含み得る。方法200は、空気流制御装置110によって、フィルタ102を通る空気流を制御することを含み得る。例として、空気流を制御するために、ファン、シャッタ、フィルタバイパス、又はそれらの組み合わせを使用することができる。方法200は、制御回路120によって、所定の制御パラメータに従って、空気流制御装置110を制御することを含み得る。方法200は、電子処理回路130によって、フィルタ102のフィルタ使用値を決定210することを含み、フィルタ使用値を、例えば、ローカル又は車両の外部のメモリ122内の履歴データに保存222することを更に含み得る。方法200は、所定の次回メンテナンス時期を提供224することを更に含み得る。ステップ224は、判定ステップ228の前の任意の位置で行うことができる。所定の次回メンテナンス時期の提供224は、限定されないが、メモリ(例えば、メモリ122)からの読み出し、外部サービス又はデータベースからの通信装置を介した取得、ユーザ入力装置からの取得、又はそれらの組み合わせから選択することができる。方法200は、(例えば、マイクロプロセッサ124によって)次回メンテナンス時期におけるフィルタ負荷を求める226ことを更に含み得る。本方法は、フィルタが次回メンテナンス時期に所定の負荷に達しているか否かを判定228することを更に含み得る。この負荷は許容差を含んでもよい。フィルタのフル負荷が許容差を超えて達成される場合、方法200は、マイクロプロセッサ124によって、履歴データに基づいて、所定の制御パラメータとは異なる空気流制御装置110を駆動するための調整された制御パラメータを生成230することを更に含み得る。調整された制御パラメータは、所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で、所定のフィルタ負荷が達成されるように、制御パラメータ(現在の制御パラメータ)に対して、フィルタ102の平均負荷率を増減させる。この生成では、調整された制御パラメータを生成するため、所定の次回メンテナンス時期が更に入力され得る。方法200は、調整された制御パラメータを空気流制御装置110に提供することを更に含み得る。
【0051】
図4は、様々な実施形態による方法を説明するための例として使用される概略グラフ30を示す。グラフ30は、縦軸がフィルタ102の負荷32を表し、横軸がフィルタ102のフィルタ稼働時間33を表している。プロット31は、初期時刻と現在時刻tnowとの間のフィルタ負荷の測定データを表し、これはフィルタ102の履歴データとして保存され、所定の次回メンテナンス日tNMTにおけるフィルタ負荷の推定値を求めるために使用される。例えば、履歴データは、モデルでフィッティングされてもよく、又はtNMTにおける負荷を推定するための訓練された機械学習モデルに入力されてもよい。いつフィルタ負荷が100%となるかについて推定が行われてもよく、所定の次回メンテナンス日tNMTにおけるフィルタ負荷を推定するために、内挿又は外挿が使用されてもよい。例えば、破線35で示されるように、推定値は、フィルタが所定の次回メンテナンス日tNMTよりずっと前に所定のフィルタ負荷(L100%)に達することを示している。本方法は、履歴データに基づいて、フィルタ102のフル負荷(L100%)が所定の次回メンテナンス日tNMTに達成されるように、調整された制御パラメータを生成することを更に含み得る。この例では、調整された制御パラメータは、例えば、シャッタを少なくとも部分的に閉じることで空気流を減少させることによって、フィルタ使用量を減少させるように空気流制御装置110を駆動する。したがって、推定フィルタ負荷プロット35(破線)は、破線36まで傾きが減少する。他の制御方法を採用することも可能であり、例えばシャッタを全閉にして断続的にしか開かないようにしたり、他のシャッタ制御プロファイルを採用したりすることもできる。また、シャッタの代わりに、あるいはシャッタに加えて、バイパス及び/又はファン制御を使用することもできる。範囲37は、フィルタのフル負荷が許容差(例えば、負荷容量バッファ)を有することを示す。これに代わって又はこれに加えて、許容差は、tNMTに関する時間許容差として使用されてもよい。
【0052】
シャッタを含む例を図5A及び図5Bを参照して示す。図5A及び図5Bは、様々な実施形態による流体を浄化するシステム100の概略図である。システム100は、吸気口1及び排気口2を有する空気流路を備え、例えば、空気流路は、収容部104に接続されたダクト又は複数のダクト部品を含み得る。システムは、空気が空気流路を流れているときに、フィルタ102が空気流の流れの中にあるように、フィルタ102を含む収容部104を備える。システムは、フィルタを通過する空気流の一部であるフィルタ空気流に影響を及ぼす空気流制御装置110を含み、説明のためであり限定するものではないが、シャッタ110が示されている。この例では、シャッタ110は初期時刻からtnowまで開いていた(図5A、シャッタ羽根112参照)。tnow以降は、次回メンテナンス日tNMTの前に所定のフィルタ負荷(例えばフル負荷)にならないように、フィルタの余寿命を延ばす必要があるため、調整された制御パラメータによってフィルタ使用量が低減される。調整された制御パラメータは、図5Bのシャッタ羽根112に見られるように、シャッタを少なくとも部分的に閉じるように制御して、空気流とフィルタ使用量を減らすことができる。
【0053】
様々な実施形態によると、電子処理回路130は、履歴データに基づいて、フィルタの寿命終了時期(フィルタが所定のフィルタ負荷を達成したと推定される時間)を求め、寿命終了時期を所定の次回メンテナンス時期と比較するように構成され得る。システムは、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期より前である場合、履歴データに基づいて、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期に関連する所定の許容差内で発生するように、フィルタの余寿命を延ばすために必要な、空気流の減少などのフィルタ使用量の減少を決定するように構成され得る。これに代わって又はこれに加えて、システムは、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期より後である場合、履歴データに基づいて、寿命終了時期が所定の次回メンテナンス時期の所定の許容差内で発生するように、フィルタの余寿命を延ばすために必要な、空気流の増加などのフィルタ使用量の増加を決定するように構成されてもよい。
【0054】
図6は、幾つかの実施形態による方法の例を示す。本方法は、履歴データに基づいて、空気流制御装置110を駆動するための調整された制御パラメータを生成230することを含み得る。例えば、本方法は、次回メンテナンス時期より前に、例えば、次回メンテナンス時期より前且つ許容差の範囲外で、フィルタが所定のフィルタ負荷を達成するか(例えば、フル負荷となるか)否かを判定232することを含む。判定の結果がYesの場合、本方法は、フィルタ使用量を減少させるように、例えば、次回メンテナンス時期に、又はその許容差内で、フィルタが所定のフィルタ負荷を達成するような速度までフィルタ使用量を減少させるように、制御パラメータを調整234する。判定結果がNoの場合、本方法は、次回メンテナンス時期より後に、例えば、次回メンテナンス時期より後且つ許容差の範囲外で、フィルタが所定のフィルタ負荷を達成するかを判定236する。判定の結果がYesの場合、本方法は、フィルタ使用量を増加させるように、例えば、次回メンテナンス時期に、又はその許容差内で、フィルタが所定のフィルタ負荷を達成するような速度までフィルタ使用量を減少させるように、制御パラメータを調整234する。判定232及び236は、入力として、所定の次回メンテナンス時期とフィルタ102の推定寿命終了時期を使用することができる。判定232及び236は、逆の順序で確認されてもよく、幾つかの実施形態では、一方の判定及び調整のみが本方法に含まれてもよい。制御パラメータの調整234、238後、本方法は、調整された制御パラメータを空気流制御装置110に提供240する。また、図3に示されるように、判定228は、その結果が判定232及び236に統合されるため、省略されてもよく、あるいは、例えば処理を速めるために、追加で保持されてもよい。
【0055】
調整された制御パラメータは、所定の次回メンテナンス時期に関連する所定の許容差内で、所定のフィルタ負荷が達成されるように、制御パラメータ(現在の制御パラメータ)と比べて、フィルタ102の平均負荷率を増減させる。この生成では、調整された制御パラメータを生成するため、所定の次回メンテナンス時期が更に入力224される。フィルタ使用量の増加により、車両の正味排出量を減少させ、十分に使用されていないフィルタの交換を回避し、全体的な持続可能性を向上させることができる。
【0056】
様々な実施形態によると、方法200は、フィルタ使用量を減少させるために制御パラメータを調整する前に、減少したフィルタ使用量が許容されるか否かを、例えば、得られる正味排出量及び/又は減少フィルタ使用量をメモリに保存された規制データと比較することによって判定する、規制確認ステップを更に含んでもよい。それに応じてシステムが構成されてもよい。
【0057】
様々な実施形態によると、制御回路は、環境空気が浄化を必要とするか否かを判定するように更に構成されてもよく、環境空気が浄化を必要とすると判定された場合、車速がファン影響速度範囲内にあるときにファンを作動するように更に構成されてもよい。これにより、低速で空気流が最適化され、濾過機能を最大化することができる。制御回路は、車速がファン影響速度範囲外であるときにはファンを作動しないように構成されてもよい。これにより、電力の浪費とそれに伴う追加的な汚染物質の排出を防止することができる。
【0058】
例えば、空気の浄化が必要であることを判定するために、空気が汚染されているかを判定してもよく、あるいは、空気が汚染されており、その場所が空気浄化を必要とする地域(例えば都市部)であるかを判定してもよい。一方、空気が汚染されているが、その場所が空気浄化を必要としない地域(例えば、田舎、非都市部)であると判定された場合は、浄化は必要でない。幾つかの実施形態では、環境空気が汚染されていると判定された場合に、車速がファン影響速度範囲内であっても、市街データが、車両の位置が空気浄化を必要としない地域(例えば、田舎)であることを示す場合は、ファンを作動させなくてもよい。これにより、都市部での空気浄化を優先することができる。
【0059】
幾つかの実施形態によると、システム100は、ラジエータを備えるか、ラジエータが設置されるように構成され得る。例えば、ラジエータはフィルタ102の下流に設けられてもよい。システム100は、制御パラメータを調整する前に、制御パラメータの変更が熱管理に影響を及ぼすか否か、例えば、シャッタが閉じられると、ラジエータを通る空気流が減少するか否かを確認するように構成されてもよい。例えば、制御パラメータを調整することで、熱放出が所定の閾値以下に減少する場合、制御パラメータの調整は実施されなくてもよく、あるいは、調整された制御パラメータは使用されなくてもよい。これに代わって又はこれに加えて、制御パラメータの調整には、フィルタを通る空気流の変化を少なくとも部分的に補償するために、ラジエータを通る空気流を制御するためのバイパスパラメータを調整することが含まれてもよい。
【0060】
様々な実施形態によると、フィルタ負荷は、空気中の汚染物質の情報やフィルタを通過する空気の風速(又は流量、又は流束、又は別の派生量)に基づいて求めることができる。汚染物質の情報は、例えば、気象データ、空気品質、及び/又は空気温度の形式であってよい。制御回路は、車両に組み込まれた(例えば、車両に固定された)センサからデータを受信することによって、気象データ、空気品質、及び/又は空気温度を取得してもよく、例えば、フィルタの上流で、空気温度、空気品質データのうちの1つ以上が測定されてもよい。また、雨センサは、雨の情報を提供することができる。空気品質データは、PM10濃度、PM2.5濃度、PM1濃度、相対湿度、VOC濃度、NO濃度のうちの1つ以上を含んでもよい。様々な実施形態において、空気品質データは、少なくとも1つの粒子状物質濃度の測定値を含んでもよい。車両のセンサからデータを得ることに代わって又は加えて、上記データ(又はその一部)は、(例えば、無線通信を介して)車両の外部の気象データベース、例えばクラウドから得ることもできる。このような気象データベースは、例えば、気象サービスプロバイダによって提供されるような気象データベースであってもよい。無線通信は、以下で説明するように、セルラーインフラ(3G、4G、5G、6G以上)又はWIFIなどにより提供され得る。
【0061】
様々な実施形態によると、本方法は、フィルタが次回メンテナンス時期に所定のフィルタ負荷を達成するか否かを判定228することを含み得る。この判定は、負荷容量の許容差、例えば10%以内、又は5%以内の範囲から選択される±の許容差、例えば、±10%、±7%の許容差を含んでもよい。これに代わって又はこれに加えて、許容差は、次回メンテナンス時期に関する、例えば15日以内、10日以内、又は5日以内の範囲から選択される±の許容差、例えば±10日、±7日の許容差であってもよい。これに代わって又はこれに加えて、許容差は、走行距離に関する、例えば3000km以内、又は1000km以内の範囲から選択される±の許容差、例えば±1000kmの許容差であってもよい。
【0062】
図7は、幾つかの実施形態による流体を浄化するシステム100の概略図であり、電子処理回路130は、フィルタ負荷情報を表示するためのディスプレイ140と、フィルタ負荷情報に基づいてユーザが制御パラメータの変更をリクエストするためのボタンを含むユーザインタフェース(又はユーザインタフェース装置)に動作可能に接続可能である。ユーザインタフェースとディスプレイは、フィルタ負荷情報を表示するように構成され得る。フィルタ負荷情報は、フィルタ使用時間、フィルタ負荷時間、線形化フィルタ負荷時間、残存フィルタ容量時間、フィルタ負荷、質量負荷、残存フィルタ負荷容量、現在の寿命時間、推定寿命終了時期、寿命終了時期の予測のうち1つ以上を含むことができるが、これらに限定されない。ボタンは、例えば、機械式ボタン、静電容量式ボタン、タッチインタフェースで動作する仮想スクリーンボタンであってもよい。ユーザインタフェースは、携帯電話、例えばスマートフォン20に統合されてもよいし、車両のダッシュボード上のディスプレイであってもよい。電子処理回路130と携帯電話との間の通信は、例えば、WIFI、Bluetooth、インターネット経由(例えば、携帯電話の通信インフラを使用する)、又は別の無線通信手段であってもよい。
【0063】
幾つかの実施形態によると、電子処理回路130は、フィルタ負荷情報を再生するための音声出力インタフェース(例えば、スピーカ)と、フィルタ負荷情報に基づいてユーザが制御パラメータの変更をリクエストするためのボタンを含むユーザインタフェース(又はユーザインタフェース装置)に動作可能に接続可能である。ボタンの代わりに、又はボタンに加えて、インタフェースはマイクロフォンを含んでもよい。ユーザインタフェースと音声出力インタフェースは、フィルタ負荷情報を再生するように構成され得る。フィルタ負荷情報は、フィルタ使用時間、フィルタ負荷時間、線形化フィルタ負荷時間、残存フィルタ容量時間、フィルタ負荷、質量負荷、残存フィルタ負荷容量、現在の寿命時間、推定寿命終了時期、寿命終了時期の予測のうち1つ以上を含むことができるが、これらに限定されない。ボタンは、例えば、機械式ボタン、静電容量式ボタン、タッチインタフェースで動作する仮想スクリーンボタンであってもよい。ユーザインタフェースは、携帯電話、例えばスマートフォン20に統合されてもよいし、車両のダッシュボード上のマイクロフォンであってもよい。電子処理回路130と携帯電話との間の通信は、例えば、WIFI、Bluetooth、インターネット経由(例えば、携帯電話の通信インフラを使用する)、又は別の無線通信手段であってもよい。
【0064】
幾つかの実施形態によると、制御回路120及び電子処理回路130は、単一の制御ユニット、例えばエンジン制御ユニット(ECU)に統合される。
【0065】
幾つかの実施形態によると、制御回路120及び電子処理回路130は、物理的に互いに分離されていてもよい。制御回路120は、データ通信インタフェースを含んでもよく、データ通信インタフェースに接続されてもよい。データ通信インタフェースは、電子処理回路130を含むサーバー、例えばクラウドに接続するように構成されてもよい。
【0066】
様々な実施形態によると、フィルタ負荷情報がディスプレイに表示されてもよい。フィルタ負荷情報は、フィルタ使用時間、フィルタ負荷時間、線形化フィルタ負荷時間、残存フィルタ容量時間、フィルタ負荷、残存フィルタ負荷容量のうちの1つ以上を含み得る。図8は、ユーザインタフェース150の構成の一例を示す。ユーザインタフェース150は、長方形151上のバー153などのインジケータを含んでもよい。長方形151はフィルタ容量を表し、長方形の右境界152は、次回メンテナンス時期に理想的に達成されるフル容量を表す。斜線(点線)部153は、次回メンテナンス時期におけるフィルタ負荷の推定値を示す。a)では、次回メンテナンス時期におけるフィルタ負荷の推定値は、テキスト155や154で終わる点線部により表されるバー153で示されるように、86%であり、次回メンテナンス時期にはフィルタの寿命に達しないため、フィルタは十分に使用されていない(14%が使用されていないと推定される)。b)では、別の例が示されており、次回メンテナンス時期におけるフィルタ負荷の推定値は、テキスト155や154で終わる点線部により表されるバー153で示されるように、112%である。したがって、フィルタは過剰に使用されている。
【0067】
この推定フィルタ負荷及び/又は残容量に関する情報に基づいて、ユーザは、例えばボタン156を介して、フィルタ使用率を手動で減少又は増加させることができる。例えば、ユーザはボタンの1つをクリックすることができ、本方法は次回メンテナンス時期における推定負荷を再計算し、それに応じて変化するバー155を表示することができる。このように、ユーザは、所定の次回メンテナンス時期に所望の推定フィルタ負荷(例えば、100%)が達成されるまで、パラメータをクリックして調整することができる。これに代わって又はこれに加えて、ユーザは、例えば「最適化」とラベル付けされたボタン157をクリックしてもよく、これにより、様々な実施形態による調整された制御パラメータの生成が実行されてもよい。他のユーザインタフェースも可能であり、例えば、現在のフィルタ負荷が示されてもよい。本開示は、空気を浄化することを目的としている。ユーザがフィルタ負荷及び/又は推定フィルタ負荷に関する情報を受信し、フィルタ使用量を増加、減少、及び/又は最適化するように任意に設定できるユーザインタフェースを設置することで、ユーザは、フィルタが十分に使用されていないことを通知され、平均負荷率を増加させるように制御パラメータを変更するオプションを与えられた場合に、フィルタの使用量を増加しやすくなるため、フィルタをより良好に使用にすることができる。
【0068】
幾つかの実施形態によると、本方法又はシステムにより、ユーザは、フィルタの過負荷に至る(例えば、公称フル負荷を超える)可能性のあるフィルタ使用量を手動で変更、例えば増加、減少、又は設定できる場合がある。例えば、次の所定の時間若しくは距離内で(例えば、次の50km若しくは30分以内に)、又は次回メンテナンス時期において、フィルタが過負荷となる可能性がある。本方法又はシステムでは、ユーザにより手動で変更されたフィルタ使用量に関連する新しい制御パラメータに基づいて、次回メンテナンス時期(及び/又は次の所定の時間若しくは距離)における推定フィルタ負荷を求め、この推定フィルタ負荷と所定のフィルタ負荷とを比較することができる。推定フィルタ負荷が所定のフィルタ負荷を超える場合(任意に、それ以上である場合)、ユーザは、変更されたパラメータの確認のリクエストを伴う(例えば、視覚的及び/又は聴覚的)プロンプトを発行されてもよい。本方法は、ユーザが変更されたパラメータを承認しないかを判定し、以前の運転条件、例えば以前のパラメータや以前の最適化ルーチンに戻す、又はそれらを維持することを含んでもよい。一杯になったフィルタは、空気流を遮断し、冷却が必要なシステムの過熱や損傷を引き起こす可能性があるため、これは車両の熱管理にとって重要である。また、フィルタが一杯になると、大気の濾過機能が低下し、車両の正味の粒子状物質排出量が所定のレベルを超えてしまう可能性がある。これにより、車両の運転が所定の運転マージンを超えてしまい、大気が過剰に汚染されてしまう可能性がある。
【0069】
図9は、長方形151の代替表現を示しており、斜線(点線)バー153は、フィルタ102の現在の負荷Lnowを表し、右境界152は、フィルタのフル負荷L100%を表している。バー158を用いて、所定の次回メンテナンス時期にフル負荷が達成されるための現時点での理想的なフィルタ負荷Lidealを表すことができる。ここでユーザは、例えばフィルタ使用量を増加させることで、Lideal(所定の次回メンテナンス時期にフル負荷を達成するための現時点での理想的なフィルタ負荷)とLnowが一致するまで推定値を移動させるように、Lnow=Lidealになるまでボタンを操作することができる。
【0070】
図10は、交換フィルタを発注する方法300を説明するための概略フローチャートを示す。これは、流体を浄化する方法200の一部であってもよく、方法200とは別に実施されてもよい。方法300は、例えば電子処理回路130によって、フィルタ102の寿命終了時期を求める310ことを含み得る。方法300は、場所データベースから1つ以上のメンテナンス場所候補を選択320することを更に含み得る。例えば、場所データベースは、車両のメモリにキャッシュとして保存されてもよく、及び/又は、クラウドサービスに保存されてもよい。選択320は、所定の選択基準に従ってもよい。この選択基準には、例えば、公認の整備工場、ユーザによって及び/又は車両によって過去に利用されたことのある整備工場、車両の所定の場所から所定の走行距離又は走行時間内にある整備工場、運転者及び/又は車両の所有者の自宅が含まれ、このグループは整備地点タイプのグループとも呼ばれる。メンテナンス場所には、運転者及び/又は車両の所有者の自宅(整備は別の場所で行われる)、又は郵便局など、整備地点ではない場所も含まれる。車両の所定の場所の例としては、基準地、最も一般的に走行する場所、車両に計画された将来のルート内の場所、それらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
方法300は、場所データベースから営業時間データをリクエスト330することを更に含み得る。これは、例えば、各場所について、曜日、祝日、及び/又は他の例外的な閉店時間を含め、いつ開いているか、及び/又は、いつ閉まっているかのデータである。ステップ330は、320と同時に実行してもよいし、別々に実行してもよいし、逆の順序で実行してもよい。
【0072】
方法300は、サービスプロバイダ、例えば場所のサーバー又は場所データベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエスト340することを更に含み得る。利用可能性のリクエスト340は、例えば、フィルタの種類、フィルタの仕様、又はフィルタの部品番号をサービスプロバイダ、例えば、場所のサーバー又は場所データベースに送信し、応答を待つことを含み得る。この応答は、交換フィルタの入手可能性のデータを含み得る。このデータは、利用可能な交換フィルタの数、交換フィルタが利用可能となる日付、フィルタの仕様、交換フィルタが利用不可能である旨の表示、又はそれらの組み合わせを示すデータであってもよいが、これらに限定されない。
【0073】
方法300は、交換フィルタが利用可能な1つ以上のメンテナンス場所候補である、1つ以上の有効なメンテナンス場所を求める350ことを含み得る。このように、各場所について、その場所に所定の次回メンテナンス時期と重なる営業時間があるか否か、その場所に利用可能な適切な交換フィルタがあるか否かが判定され、「Yes」の場合、交換フィルタが利用可能な1つ以上のメンテナンス場所候補に追加される。
【0074】
方法300は、ユーザインタフェース上に有効なメンテナンス場所を含むメッセージを提供360することと、メンテナンス場所を選択するためのユーザ入力を受けることとを更に含み得る。例えば、メッセージは、これらに限定されないが、開店時間、現在位置までの距離、基準点までの距離、現在位置からの運転時間、基準点からの運転時間、フィルタの価格、フィルタの利用可能性情報などの情報を更に含む場所のリストのような視覚的なものであってもよい。また、地図の形式で表示することもできる。別の例では、情報は音声形式であってもよく、例えば、通信インタフェースは、「交換のため、日付Yまでに整備工場Xを選択しますか?」と再生してもよい。上記の例のうち2つ又はすべてを組み合わせることもできる。ユーザは、例えば、ディスプレイ上のボタンを押す、ステアリングホイール上のボタンを押す、又は「最も近い場所を選択してください」と話しかけて口頭で確認するなど、場所の選択及び/又は選択の確認により、入力を行うことができる。
【0075】
方法300は、選択されたメンテナンス場所に関連付けられたデータベースに、フィルタを予約することを示すフィルタ予約情報を追加370することを更に含み得る。例えば、交換フィルタを予約することの確認が、整備工場又は整備工場に関連付けられたデータベースに追加されてもよい。ここで、フィルタの利用可能性は、フィルタ発注可能性に置き換えられてもよく、したがって、有効な場所は、フィルタの寿命終了時期に関連する所定の許容差内でフィルタ交換が発注可能である1つ以上のメンテナンス場所候補を含んでもよい。このように、フィルタ予約情報は、フィルタ発注情報を含んでもよく、フィルタ発注情報であってもよい。
【0076】
ステップ320~370は、図とは別の順序で実施されてもよく、単一のステップに統合されてもよく、例えば、ステップ330~350は、単一の照会に統合されてもよい。ステップ320~370は、システム100の一部であり得る発注サブシステムによって実施されてもよい。発注サブシステムは、車両に(例えば、電子処理回路130内に)搭載されてもよく、クラウド上に実装されてもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。例えば、ステップ330~350はクラウドで実施されてもよく、ステップ360は車両内(例えば、電子処理回路130内)で実施されてもよい。
【0077】
幾つかの例では整備工場について述べているが、これに代わって又はこれに加えて、別のタイプの場所を使用することもできる。例えば、商店、スーパーマーケット、郵便局、給油所などが挙げられる。
【0078】
図11は、交換フィルタを発注する方法400を説明するための概略フローチャートを示す。これは、流体を浄化する方法200の一部であってもよく、方法200とは別に実施されてもよい。方法400は、例えば電子処理回路130によって、フィルタの寿命終了時期を求める410ことを含み得る。方法400は、場所データベースから1つ以上のメンテナンス場所候補を選択420することを含み得る。例えば、場所データベースは、車両のメモリにキャッシュとして保存されてもよく、及び/又は、クラウドサービスに保存されてもよい。選択320は、所定の選択基準に従ってもよい。この選択基準には、例えば、公認の整備工場、ユーザによって及び/又は車両によって過去に利用されたことのある整備工場、車両の位置から所定の走行距離又は走行時間内にある整備工場が含まれる。車両の所定の場所の例としては、基準位置、最も一般的に走行する場所、車両に計画された将来のルート内の場所、それらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
方法400は、位置データベースから営業時間データをリクエストすることを更に含み得る。これは、例えば、各場所について、曜日、祝日、及び/又は他の例外的な閉店時間を含め、いつ開いているか、及び/又は、いつ閉まっているかのデータである。ステップ430は、420と同時に実行してもよいし、別々に実行してもよいし、逆の順序で実行してもよい。
【0080】
方法400は、場所のサーバー又は場所データベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストすることを更に含み得る。利用可能性のリクエスト440は、例えば、フィルタの種類、フィルタの仕様、又はフィルタの部品番号をサービスプロバイダ、例えば、場所のサーバー又は場所データベースに送信し、応答を待つことを含み得る。この応答は、交換フィルタの入手可能性のデータを含み得る。このデータは、利用可能な交換フィルタの数、交換フィルタが利用可能となる日付、フィルタの仕様、交換フィルタが利用不可能である旨の表示、又はそれらの組み合わせを示すデータであってもよいが、これらに限定されない。
【0081】
方法400は、交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補があることを判定445し、所定の履歴データベース及び/又は在庫データベースからの在庫データに従って、交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補に対する納期を推定することを更に含み得る。
【0082】
方法400は、フィルタの寿命終了時期に関連する所定の許容差内でフィルタ交換が発注可能である1つ以上のメンテナンス場所候補を含む、1つ以上の有効なメンテナンス場所のセットを求める450ことを更に含み得る。
【0083】
方法400は、ユーザインタフェース上に有効なメンテナンス場所を含むメッセージを提供460することと、メンテナンス場所を選択するためのユーザ入力を受けることとを更に含み得る。例えば、メッセージは、これらに限定されないが、開店時間、現在位置までの距離、基準点までの距離、現在位置からの運転時間、基準点からの運転時間、フィルタの価格、フィルタの利用可能性情報、フィルタの発注可能性などの情報を更に含む場所のリストのような視覚的なものであってもよい。また、地図の形式で表示することもできる。別の例では、情報は音声形式であってもよく、例えば、通信インタフェースは、「交換のため、日付Yまでに整備工場Xを選択しますか?」と再生してもよい。上記の例のうち2つ又はすべてを組み合わせることもできる。ユーザは、例えば、ディスプレイ上のボタンを押す、ステアリングホイール上のボタンを押す、又は「最も近い場所を選択してください」と話しかけて口頭で確認するなど、場所の選択及び/又は選択の確認により、入力を行うことができる。
【0084】
方法400は、フィルタ102を交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び所定の次回メンテナンス時期を含む発注データセットを準備し、発注データを発注受取通信インタフェースに送信することで、メンテナンス場所にフィルタを発注470することを更に含み得る。方法400は、所定の許容差を加算した推定納期を、所定の次回メンテナンス時期として使用することを更に含み得る。
【0085】
方法300及び方法400は、例えば、交換フィルタが利用可能な場所及び/又は交換フィルタが発注可能な場所を考慮して、組み合わせることができる。
【0086】
ステップ420~470は、図とは別の順序で実施されてもよく、単一のステップに統合されてもよく、例えば、ステップ430~450は、単一の照会に統合されてもよい。ステップ420~470は、システム100の一部であり得る発注サブシステムによって実施されてもよい。発注サブシステムは、車両に(例えば、電子処理回路130内に)搭載されてもよく、クラウド上に実装されてもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。例えば、ステップ430~450はクラウドで実施されてもよく、ステップ460は車両内(例えば、電子処理回路130内)で実施されてもよい。
【0087】
幾つかの例では整備工場について述べているが、これに代わって又はこれに加えて、別のタイプの場所を使用することもできる。例えば、商店、スーパーマーケット、郵便局、給油所などが挙げられる。
【0088】
流体を浄化するシステム100は、本明細書に記載の方法のいずれか、例えば、方法300及び/又は方法400を実施するように構成することができる。
【0089】
様々な実施形態による流体を浄化するシステム100の幾つかの実施形態では、電子処理回路130は、フィルタの寿命終了時期を求めるように構成され得る。システムは、場所データベースから1つ以上のメンテナンス場所候補を選択し、場所データベースから営業時間データをリクエストし、場所のサーバー又は場所データベースから交換フィルタデータの入手可能性をリクエストするように構成された発注サブシステムを更に備え得る。
【0090】
様々な実施形態によると、システムは、交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補があるかを判定し、所定の履歴データベース及び/又は在庫データベースからの在庫データに従って、交換フィルタが利用不可能なメンテナンス場所候補に対する納期を推定し、1つ以上の有効なメンテナンス場所のセットを求めるように構成された発注サブシステムを更に備えてもよい。1つ以上の有効なメンテナンス場所のセットは、フィルタ交換が利用可能な1つ以上のメンテナンス場所候補を含み、フィルタの寿命終了時期に関連する所定の許容差内でフィルタ交換が発注可能な1つ以上のメンテナンス場所候補を含み得る。
【0091】
様々な実施形態によると、発注サブシステムは、例えば、方法300に関連して上述したように、有効なメンテナンス場所を含むメッセージをユーザインタフェース上に提供し、メンテナンス場所を選択するためのユーザ入力を受けるように更に構成され得る。
【0092】
様々な実施形態によると、発注サブシステムは、ユーザによって選択されたメンテナンス場所が、フィルタ交換が発注可能な1つ以上のメンテナンス場所候補のうちの1つである場合、フィルタ102を交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び所定の次回メンテナンス時期を含む発注データセットを準備し、発注データを発注受取通信インタフェースに送信することで、メンテナンス場所にフィルタを発注し、所定の許容差を加算した推定納期を、所定の次回メンテナンス時期として使用するように更に構成され得る。
【0093】
幾つかの実施形態によると、先の請求項のいずれか一項に記載の流体を浄化する方法は、電子処理回路130によって、フィルタの寿命終了時期を求めることを含み得る。本方法は、例えばシステム100の発注サブシステムによって、サプライヤデータベースから1つ以上のサプライヤ候補を選択することを更に含み得る。本方法は、例えばシステム100の発注サブシステムによって、サプライヤデータベースから営業時間データをリクエストすることを更に含み得る。本方法は、例えばシステム100の発注サブシステムによって、サプライヤのサーバー又はサプライヤデータベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストすることを更に含み得る。本方法は、例えばシステム100の発注サブシステムによって、所定の履歴データベース及び/又は在庫データベースからの在庫データに従って、候補に対する納期を推定することを更に含み得る。本方法は、例えばシステム100の発注サブシステムによって、フィルタの寿命終了時期の所定の許容差内でフィルタ交換が発注可能な1つ以上のサプライヤ候補を含む、1つ以上の有効なサプライヤのセットを求めることを更に含み得る。本方法は、例えばシステム100の発注サブシステムによって、ユーザインタフェース上に、有効なサプライヤを含むメッセージを提供し、サプライヤを選択するためのユーザ入力を受けることを更に含み得る。本方法は、例えばシステム100の発注サブシステムによって、フィルタ102を交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び所定の次回メンテナンス時期を含む発注データパケットを準備し、発注データを発注受取通信インタフェースに送信することで、所定のユーザの場所にフィルタを発注し、所定の許容差を加算した推定納期を、所定の次回メンテナンス時期として使用することを更に含み得る。上記の方法ステップの詳細は、簡潔さのため本明細書では繰り返さないが、方法300及び400に関連して上述した通りである。
【0094】
様々な実施形態によると、電子処理回路130は、フィルタの寿命終了時期を求め、フィルタの種類と車両の種類を示すデータを少なくとも含む仕様データパケットを提供するように構成され得る。システム100は、仕様データパケットを受信するように構成された発注サブシステムを更に備え得る。発注サブシステムは、サプライヤデータベースから1つ以上のサプライヤ候補を選択し、サプライヤのサーバー又はサプライヤデータベースから、交換フィルタの利用可能性のデータをリクエストするように構成され得る。発注サブシステムは、フィルタ交換が発注可能な1つ以上のサプライヤ候補を含む1つ以上の有効なサプライヤのセットを求めるように構成され得る。発注サブシステムは、ユーザインタフェース上に、有効なサプライヤを含むメッセージを提供し、サプライヤを選択するためのユーザ入力を受けるように構成され得る。発注サブシステムは、フィルタ102を交換するための交換フィルタの発注のために、交換フィルタモデル及び所定の次回メンテナンス時期を含む発注データセットを準備し、発注データを発注受取通信インタフェース(例えば、選択されたサプライヤ)に送信することで、ユーザの所定のアドレスにフィルタを発注するように構成され得る。発注サブシステムは、所定の許容差を加算した推定納期を、所定の次回メンテナンス時期として使用するように構成され得る。これにより、次回メンテナンス時期を更新することができる。
【0095】
幾つかの実施形態は、流体を浄化するシステム100に接続された車両に関する。車両は、吸気口1及び排気口2を有する空気流路を備え、例えば、空気流路は、収容部104と接続されたダクト又は複数のダクト部品を含み得る。車両は、空気が空気流路を流れているときに、収容部104に設置されたフィルタ102が空気流の流れの中にあるように、フィルタ102を収容するように構成された収容部104を備え得る。車両は、フィルタを通過する空気流の一部であるフィルタ空気流に影響を及ぼす空気流制御装置110を備え得る。例えば、空気流システムは、シャッタ、フィルタバイパス、ファン、又はそれらの2つ以上を含み得る。一例では、車両は、フィルタ102の上流にシャッタ、フィルタと平行にバイパス、及び/又はフィルタ102の下流にファンを含む。車両は、所定の制御パラメータに従って、空気流制御装置を制御する制御回路120を備え得る。車両は、空気流路と、収容部104と、空気流制御装置110と、制御回路120と、を備え得る。車両は、電子処理回路130を更に含んでもよく、及び/又は、例えばエッジ処理ユニット又はサーバー処理ユニットである、電子処理回路130に動作可能に接続されてもよい。
【0096】
図12は、車両50のシステム構成要素と、車両50の外部のシステム要素や他の要素との間の可能な通信形態を説明するための概略図である。車両50は、制御回路120又は電子処理回路130を介して無線で外部サービスと通信してもよく、携帯電話の通信インフラ80、衛星通信80、及び/又はインターネットなどの既存のインフラを介してクラウドサービス及び/又は場所、例えば整備工場70と通信してもよい。
【0097】
様々な実施形態によると、無線通信は、これらに限定されないが、以下の無線通信技術及び/又は規格のいずれか1つ以上によって提供され、1つ以上に従って動作し得る:移動通信用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile Communications)無線通信技術、汎用パケット無線サービス(GPRS:General Packet Radio Service)無線通信技術、第3世代パートナーシップ・プロジェクト(3GPP:Third Generation Partnership Project)無線通信技術、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)、Freedom
of Multimedia Access(FOMA)、3GPP Long Term Evolution(LTE)、符号分割多重アクセス2000(CDM2000)、セルラー方式デジタルパケットデータ(CDPD:Cellular Digital Packet Data)、Mobitex、広帯域符号分割多重アクセス(ユニバーサル移動通信システム)(W-CDMA(UMTS))、高速パケットアクセスプラス(HSPA+:High Speed Packet Access)、時分割-符号分割多重アクセス(TD-CDMA)、NTT(日本電信電話株式会社)の高容量バージョン(Hicap)、セルラー方式デジタルパケットデータ(CDPD)、Wideband Integrated Digital Enhanced Network(WiDEN)、iBurst、Unlicensed Mobile Access(UMA)(3GPPジェネリックアクセスネットワーク又はGAN規格とも呼ばれる)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(BLE)、IEEE802.15.4準拠のプロトコル(例えば、IPv6 over Low power Wireless Personal Area Networks(6LoWPAN)、WirelessHART、MiWi、Thread、802.11a))、WiFi-direct、ANT/ANT+、ZigBee、Z-Wave、3GPP device-to-device(D2D)又はProximity
Services(ProSe)、Low-Power Wide-Area-Network(LPWAN)、SEMTECH社及びLoRa Allianceにより開発されたLong Range Wide Area Network(LoRA)又はLoRaWANTM、Sigfox、Wireless Gigabit Alliance(WiGig)規格、mmWave汎用規格(WiGigなどの10~300GHz以上で動作する無線システム、IEEE802.11ad、IEEE802.11ay)、300GHz及びTHz帯以上で動作する技術、(3GPP/LTEベース又はIEEE802.11pなど)V2X通信技術、3GPPセルラーV2X、高度道路交通システムなどのDSRC(Dedicated Short Range Communications)通信システム、欧州ITS-G5システム(すなわち、ITS-G5A、ITS-G5B、ITS-G5CなどのIEEE802.11pベースのDSRCの欧州実装)。上記の無線通信技術及び/又は規格に加えて、例えば、ITU(国際電気通信連合)、又はETSI(欧州電気通信標準化機構)が発行する規格に準拠した無線機、特にStarlinkTMを含む任意の数の衛星アップリンク技術を使用することもできる。したがって、本明細書で提供される実施形態は、既存の、及びまだ策定されていない、様々な他の通信技術に適用可能であると理解される。
【0098】
様々な実施形態によると、車両は、例えば2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の車輪を有する、人間が運転する又は自動モータ駆動の車両であってもよい。車両の例としては、乗用車、トラック、バス、ローリー、又は鉄道車両、例えば機関車が挙げられる。車両は、空気の侵入を可能にするため、システムの上流側の前部領域に空気入口開口部と、空気の排出を可能にするため、システムの下流側に空気出口とを含み得る。後方に大気浄化装置が存在する空気入口開口部は、特に、冷却空気入口開口部であってよく、例えば、グリルによって覆われていてよい。例えば、これは、車両の鉛直軸に関してフロントヘッドライトと同じ高さにあってもよく、これらの下方又は上方に位置してもよい。別の例では、空気入口と空気出口は、車両の下側又はその近傍に配置される。別の例では、システムは車両の上部に設置され、したがって、空気入口と空気出口は、車両の上面又はその近傍に配置される。空気入口開口部の断面積は、可能な限り大きな空気量を供給できるように、可能な限り大きくすることができる。
幾つかの実施形態において、車両は、電気自動車又はハイブリッド(内燃機関及び電気)車であってもよい。いくつかの実施形態では、車両は、内燃機関(ICE)車(すなわち、非ハイブリッド)であってもよい。例えば、このようなICE車両のバッテリは、比較的大きな容量を有し、オルタネータによって充電されていない場合であっても、大きなドレインなしに長時間(例えば、1h)ファンを作動させることができる。いくつかの実施形態において、車両は内燃機関を備え、(高温側からの)冷却流体温度は、エンジン温度の表現として使用され得る。いくつかの実施形態では、車両は燃料電池を備え、(高温側からの)冷却流体温度は、燃料電池温度の表現として使用され得る。

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】