IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミクニの特許一覧

<>
  • 特開-スロットル装置 図1
  • 特開-スロットル装置 図2
  • 特開-スロットル装置 図3
  • 特開-スロットル装置 図4
  • 特開-スロットル装置 図5
  • 特開-スロットル装置 図6
  • 特開-スロットル装置 図7
  • 特開-スロットル装置 図8
  • 特開-スロットル装置 図9
  • 特開-スロットル装置 図10
  • 特開-スロットル装置 図11
  • 特開-スロットル装置 図12
  • 特開-スロットル装置 図13
  • 特開-スロットル装置 図14
  • 特開-スロットル装置 図15
  • 特開-スロットル装置 図16
  • 特開-スロットル装置 図17
  • 特開-スロットル装置 図18
  • 特開-スロットル装置 図19
  • 特開-スロットル装置 図20
  • 特開-スロットル装置 図21
  • 特開-スロットル装置 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029374
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】スロットル装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/10 20060101AFI20240228BHJP
   F02D 35/00 20060101ALI20240228BHJP
   G01K 13/02 20210101ALI20240228BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20240228BHJP
【FI】
F02D9/10 H
F02D35/00 360F
G01K13/02
G01K1/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131592
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】関口 眞一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 志生
(72)【発明者】
【氏名】北岡 竜也
【テーマコード(参考)】
2F056
3G065
【Fターム(参考)】
2F056CE01
2F056WF01
2F056WF05
3G065CA23
3G065DA05
3G065GA01
3G065GA27
3G065HA22
(57)【要約】
【課題】成形性の向上、低コスト化、艤装上の自由度の向上、小型化等を図れ、吸気の温度及び圧力を高精度に検出することができるスロットル装置を提供する。
【解決手段】吸気を通す主通路12,外壁に形成された取付け面16,及び取付け面に開口して主通路に通じる連通路17を有するスロットルボディ10と、主通路を開閉するスロットル弁30と、取付け面に接合されたセンサユニットUを備え、センサユニットUは、取付け面に接合される接合面62及び接合面から凹むと共に連通路に通じる凹部63を有するハウジング60と、ハウジング内に埋設された回路基板70と、回路基板に電気的に接続され凹部に導かれた吸気の圧力を検出する圧力センサ80と、回路基板に電気的に接続され凹部に導かれた吸気の温度を検出する温度センサ90を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気を通す主通路,外壁に形成された取付け面,及び前記取付け面に開口して前記主通路に通じる連通路を有するスロットルボディと、
前記主通路を開閉するスロットル弁と、
前記取付け面に接合されたセンサユニットと、を備え、
前記センサユニットは、前記取付け面に接合される接合面及び前記接合面から凹むと共に前記連通路に通じる凹部を有するハウジングと、前記ハウジング内に埋設された回路基板と、前記回路基板に電気的に接続され前記凹部に導かれた吸気の圧力を検出する圧力センサと、前記回路基板に電気的に接続され前記凹部に導かれた吸気の温度を検出する温度センサと、を含む、
ことを特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
前記連通路は、前記凹部を前記主通路の前記スロットル弁よりも下流側に連通させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットル装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記凹部の周りを囲むように前記接合面に形成された環状溝を含み、
前記環状溝には、前記スロットルボディの取付け面と密接するシール部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のスロットル装置。
【請求項4】
前記主通路から分岐して吸気を導入し前記スロットル弁を迂回して前記主通路に吸気を導出するバイパス通路と、
前記バイパス通路の通路面積を調整する調整弁と、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のスロットル装置。
【請求項5】
前記連通路は、前記凹部と前記主通路をそれぞれ連通させる第1連通路及び第2連通路を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載のスロットル装置。
【請求項6】
前記圧力センサは、前記第1連通路寄りにおいて前記凹部に臨むように配置され、
前記温度センサは、前記第2連通路寄りにおいて前記凹部に臨むように配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のスロットル装置。
【請求項7】
前記温度センサは、前記回路基板にリード線を介して接続されたリード型センサである、
ことを特徴とする請求項5に記載のスロットル装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記凹部内において突出する突出壁を含み、
前記温度センサは、前記突出壁により覆われている、
ことを特徴とする請求項7に記載のスロットル装置。
【請求項9】
前記温度センサは、前記回路基板に表面実装されたチップ型センサである、
ことを特徴とする請求項5に記載のスロットル装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記接合面から前記凹部よりも深い位置に形成された保護壁と、前記凹部から前記保護壁まで延びる延長通路を含み、
前記温度センサは、前記保護壁により覆われている、
ことを特徴とする請求項9に記載のスロットル装置。
【請求項11】
前記延長通路は、第1延長通路と、第2延長通路を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載のスロットル装置。
【請求項12】
前記第2延長通路を画定するべく前記ハウジングに嵌め込まれた通路部材を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載のスロットル装置。
【請求項13】
前記第1延長通路は、前記凹部に通じ、
前記第2延長通路は、前記第2連通路に通じる、
ことを特徴とする請求項10に記載のスロットル装置。
【請求項14】
前記第2延長通路は、前記保護壁に臨む直線通路と、前記直線通路と前記第2連通路の間に介在する屈曲通路を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載のスロットル装置。
【請求項15】
前記第2延長通路を画定するべく前記ハウジングに嵌め込まれた通路部材を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載のスロットル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車等に搭載される内燃エンジンの吸気系に適用されて吸気の圧力及び温度を検出するセンサを備えたスロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動二輪車等の吸気系において、スロットルボディに取り付けられるセンサユニットとしては、スロットルボディの取付け面に接合される接合面及び接合面から突出する中空の筒状体を備えるユニットハウジングと、ユニットハウジング内に埋設される回路基板と、回路基板に接続されると共に筒状体の内部に配置されたサーミスタ等の温度検知素子と、回路基板を外側から覆うように埋設する樹脂封止剤を備えたセンサユニットが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0003】
しかしながら、上記のセンサユニットにおいては、吸気温センサを収容する筒状体がユニットハウジングの接合面から突出して形成されているため、筒状体を他の物体と衝突させないように取り扱う必要があり、センサユニット全体としても大型化を招く。
また、筒状体はスロットルボディの吸気通路内に突出するように配置されるため、吸気抵抗の増加を招くと共にスロットルボディへの艤装上の自由度が低下する。また、筒状体がユニットハウジングと一体形成されるため、ユニットハウジングを樹脂材料により成型する場合に金型等の複雑化、成形性の低下、高コスト化等を招く。
【0004】
また、吸気の温度を検出する吸気温センサを備えたスロットル装置としては、吸気通路を画定するスロットルボディと、吸気通路を開閉するスロットル弁を備え、スロットルボディが、スロットル弁を迂回するバイパス通路と、バイパス通路の途中において外部に開口する取付け孔を備え、吸気温センサが、スロットルボディの取付け孔に挿入される筒状体と、筒状体の内部に配置された温度検知素子により構成されたものが知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【0005】
しかしながら、上記スロットル装置においては、スロットルボディに形成された通路内に吸気温センサを配置するため、スロットルボディへの艤装上の自由度が低下し、又、吸気温センサとは別のセンサ(例えば、圧力センサ等)を配置する場合は、艤装上の自由度がさらに低下し、又、取り扱いの煩雑化を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-20251号公報
【特許文献2】特許第3914128号公報
【特許文献3】実開平5-17138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、成形性の向上、低コスト化、艤装上の自由度の向上、小型化等を図れ、吸気の圧力及び温度を高精度に検出できるスロットル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスロットル装置は、吸気を通す主通路,外壁に形成された取付け面,及び取付け面に開口して主通路に通じる連通路を有するスロットルボディと、主通路を開閉するスロットル弁と、取付け面に接合されたセンサユニットとを備え、センサユニットは、取付け面に接合される接合面及び接合面から凹むと共に連通路に通じる凹部を有するハウジングと、ハウジング内に埋設された回路基板と、回路基板に電気的に接続され凹部に導かれた吸気の圧力を検出する圧力センサと、回路基板に電気的に接続され凹部に導かれた吸気の温度を検出する温度センサを含む、構成となっている。
【0009】
上記スロットル装置において、連通路は、凹部を主通路のスロットル弁よりも下流側に連通させる、構成を採用してもよい。
【0010】
上記スロットル装置において、ハウジングは、凹部の周りを囲むように接合面に形成された環状溝を含み、環状溝には、スロットルボディの取付け面と密接するシール部材が配置されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記スロットル装置において、主通路から分岐して吸気を導入しスロットル弁を迂回して主通路に吸気を導出するバイパス通路と、バイパス通路の通路面積を調整する調整弁を含む、構成を採用してもよい。
【0012】
上記スロットル装置において、連通路は、凹部と主通路をそれぞれ連通させる第1連通路及び第2連通路を含む、構成を採用してもよい。
【0013】
上記スロットル装置において、圧力センサは、第1連通路寄りにおいて凹部に臨むように配置され、温度センサは、第2連通路寄りにおいて凹部に臨むように配置されている、構成を採用してもよい。
【0014】
上記スロットル装置において、温度センサは、回路基板にリード線を介して接続されたリード型センサである、構成を採用してもよい。
【0015】
上記スロットル装置において、ハウジングは、凹部内において突出する突出壁を含み、温度センサとしてのリード型センサは、突出壁により覆われている、構成を採用してもよい。
【0016】
上記スロットル装置において、温度センサは、回路基板に表面実装されたチップ型センサである、構成を採用してもよい。
【0017】
上記スロットル装置において、ハウジングは、接合面から凹部よりも深い位置に形成された保護壁と、凹部から保護壁まで延びる延長通路を含み、温度センサとしてのチップ型センサは、保護壁により覆われている、構成を採用してもよい。
【0018】
上記スロットル装置において、延長通路は、第1延長通路と、第2延長通路を含む、構成を採用してもよい。
【0019】
上記スロットル装置において、第2延長通路を画定するべくハウジングに嵌め込まれた通路部材を含む、構成を採用してもよい。
【0020】
上記スロットル装置において、第1延長通路は凹部に通じ、第2延長通路は第2連通路に通じる、構成を採用してもよい。
【0021】
上記スロットル装置において、第2延長通路は、保護壁に臨む直線通路と、直線通路と第2連通路の間に介在する屈曲通路を含む、構成を採用してもよい。
【0022】
上記スロットル装置において、直線通路及び屈曲通路を含む第2延長通路を画定するべくハウジングに嵌め込まれた通路部材を含む、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0023】
上記構成をなすスロットル装置によれば、成形性の向上、低コスト化、艤装上の自由度の向上、小型化等を達成しつつ、吸気の圧力及び温度を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係るスロットル装置を示すものであり、吸気を通す主通路の上流側斜め方向から視た外観斜視図である。
図2】第1実施形態に係るスロットル装置を示すものであり、吸気を通す主通路の下流側斜め方向から視た外観斜視図である。
図3】第1実施形態に係るスロットル装置を分解して主通路の上流側斜め方向から視た分解斜視図である。
図4】第1実施形態に係るスロットル装置を分解して主通路の上流側の他の斜め方向から視た分解斜視図である。
図5】第1実施形態に係るスロットル装置の弁軸及び主通路の中心を通る面で切断した断面図である。
図6】第1実施形態に係るスロットル装置において、上流側の主通路から吸気を導入するバイパス通路(上流側通路)を示す部分断面斜視図である。
図7】第1実施形態に係るスロットル装置において、下流側の主通路に吸気を導出するバイパス通路(下流側通路)を示す部分断面斜視図である。
図8】第1実施形態に係るスロットル装置において、温度センサ及び圧力センサが臨むように配置された凹部と主通路とを連通させる連通路(第1連通路及び第2連通路)の領域を部分的に示す部分断面図である。
図9】第1実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、圧力センサの中心を通る面で切断した斜視断面図である。
図10】第1実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、温度センサの中心を通る面で切断した斜視断面図である。
図11】第1実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、温度センサの中心及び圧力センサの中心を通る面で切断した断面図である。
図12】第1実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、ハウジングと、温度センサ及び圧力センサが接続された回路基板とを分解して示した分解斜視図である。
図13】第1実施形態に係るスロットル装置において、主通路、バイパス通路、連通路(第1連通路及び第2連通路)、及びセンサユニットを示す模式図である。
図14】第2実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットを示す外観斜視図である。
図15】第2実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、温度センサに吸気を導く延長通路の中心を通る面で切断した斜視断面図である。
図16】第2実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、温度センサ及び延長通路の中心及び圧力センサの中心を通る面で切断した断面図である。
図17】第2実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、ハウジングと、ハウジングに嵌め込まれる通路部材と、温度センサ及び圧力センサが接続された回路基板とを分解して示した分解斜視図である。
図18】第2実施形態に係るスロットル装置において、温度センサ及び圧力センサが臨むように配置された凹部と主通路とを連通させる連通路(第1連通路及び第2連通路)の領域を部分的に示す部分断面図である。
図19】第2実施形態に係るスロットル装置において、主通路、バイパス通路、連通路(第1連通路及び第2連通路)、及びセンサユニットを示す模式図である。
図20】第3実施形態に係るスロットル装置に搭載されるセンサユニットにおいて、温度センサ及び延長通路の中心と圧力センサの中心を通る面で切断した断面図である。
図21】第3実施形態に係るスロットル装置において、温度センサ及び圧力センサが臨むように配置された凹部と主通路とを連通させる連通路(第1連通路及び第2連通路)の領域を部分的に示す部分断面図である。
図22】第3実施形態に係るスロットル装置において、主通路、バイパス通路、連通路(第1連通路及び第2連通路)、及びセンサユニットを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明のスロットル装置は、自動二輪車に搭載されるエンジンの吸気系において、エアクリーナより下流側で吸気管の途中に組み付けられるものである。
【0026】
第1実施形態に係るスロットル装置は、図1ないし図13に示すように、スロットルボディ10、軸線Sをもつ弁軸20、スロットル弁30、スロットル弁30を開閉駆動する駆動ユニット40、調整弁50、センサユニットUを備えている。
ここで、センサユニットUは、ハウジング60、回路基板70、圧力センサ80、温度センサ90を備えている。
【0027】
スロットルボディ10は、アルミニウム等の金属材料により形成され、上流側接続部11a、下流側接続部11b、係止部11c、調整ネジ11d、主通路12、弁軸20を通す弁軸孔13、バイパス通路14、調整弁50を収容する収容部15、外壁に形成された取付け面16、連通路17、二つのボス部18を備えている。
【0028】
上流側接続部11aは、エンジンの吸気系をなす吸気ダクトと連結される。
下流側接続部11bは、エンジンの吸気系をなすエンジンのシリンダヘッドの接合面にシール部材Srを介して接続される。
係止部11cは、駆動ユニット40に含まれるコイルバネ42の一端部42aを係止するものである。
調整ネジ11dは、駆動ユニット40に含まれるドラム41の係止レバー41cの一部を当接させるものである。
【0029】
主通路12は、エンジンの燃焼室に向かう吸気を通すものであり、軸線Sに垂直な直線Lを中心として直線L方向に伸長する円筒状に形成されている。また、主通路12は、図5に示すように、スロットル弁30が配置される領域から上流側に向けて通路面積が拡大する円錐面状に、すなわち、上流側接続部11aからスロットル弁30が配置される領域に向けて通路面積が減少する円錐面状に形成されている。
弁軸孔13は、図5に示すように、弁軸20が回転自在に通されるように円形孔に形成され、軸線S方向の外側には、リップ型シールRsを嵌め込む環状凹部13aが形成されている。
【0030】
バイパス通路14は、図6図7図13に示すように、スロットル弁30よりも上流側の主通路12から分岐する上流側通路14a、スロットル弁30よりも下流側の主通路12に合流する下流側通路14b、上流側通路14aと下流側通路14bの間に介在すると共に調整弁50により通路面積が調整される連通路14cにより構成されている。
すなわち、バイパス通路14は、スロットル弁30よりも上流側に位置する開口部14aにおいて主通路12から分岐して吸気を導入し、スロットル弁30を迂回して、スロットル弁30よりも下流側に位置する開口部14bにおいて主通路12に吸気を導出するようになっている。
【0031】
収容部15は、図4図6図7に示すように、調整弁50の弁体51を往復動自在に収容する領域であり、その端面において調整弁50の電磁アクチュエータ53を固定する押え部材54を締結するネジb3を捩じ込むネジ穴15aを備えている。また、収容部15は、上流側通路14aと下流側通路14bを連通させる連通路としても機能する。
【0032】
取付け面16は、図4及び図5に示すように、センサユニットUが取り付けられるべく、軸線Sに垂直な平面として形成されている。
また、取付け面16には、センサユニットUをネジb1で締結するための二つのネジ穴16a、センサユニットUの嵌合部61を嵌合させる円環状凹部16bが形成され、又、連通路17が開口している。
【0033】
連通路17は、図2及び図8に示すように、スロットル弁30よりも下流側において、主通路12とセンサユニットUを構成するハウジング60の凹部63とを連通させるべく、それぞれ取付け面16に開口して主通路12に通じる第1連通路17a及び第2連通路17bにより構成されている。
このように、連通路17が、二つの通路(第1連通路17a及び第2連通路17b)として形成されることにより、吸気の脈動を利用して、第1連通路17a及び第2連通路17bの一方を通して主通路12から凹部63に向かう吸気の流れと、第1連通路17a及び第2連通路17bの他方を通して凹部63から主通路12に向かう吸気の流れを、積極的に生じさせることができ、吸気の掃気作用を得ることができる。これにより、凹部63において吸気の淀みを防止することができる。
ボス部18は、エンジンのシリンダヘッドの接合面に対して、シール部材Srを挟んでスロットルボディ10を締結するネジ(不図示)を通す円孔を備えている。
【0034】
弁軸20は、図5に示すように、金属材料等により円形断面で軸線S方向に伸長するように形成され、中央領域においてスロットル弁30を嵌め込むスリット21及び二つのネジ孔22、一端側において駆動ユニット40を連結する連結部23、他端側において円板状部材24、円板状部材24よりも内側においてワッシャに隣接する止め輪Wを嵌め込む環状溝(不図示)を備えている。
連結部23は、駆動ユニット40のドラム41を一体的に回転するように嵌め込むべく二面幅部を備えている。
円板状部材24は、センサユニットUの円筒状をなす嵌合部61の内側に配置される。したがって、センサユニットUの嵌合部61の底壁においてホール素子等を含む回転位置検出センサが埋設される場合は、被検出部材として適用することができる。
【0035】
そして、弁軸20は、スロットルボディ10の弁軸孔13に通された状態で、スリット21に嵌め込まれたスロットル弁30がネジb2により締結されることにより、スロットル弁30を開閉自在に保持する。また、弁軸20は、弁軸孔13よりも軸線S方向の外側において、リップ型シールRsにより外周面がシールされ、又、ワッシャ及び止め輪Wが取り付けられ、連結部23に取り付けられたドラム41と協働して軸線S方向の移動が規制されている。
【0036】
スロットル弁30は、金属材料等により略円板状に形成され、図2及び図5に示すように、ネジb2を通す円孔31を備えている。
スロットル弁30は、弁軸20が弁軸孔13に通された後に、スリット21に通されてネジb2により弁軸20に固定され、主通路12を開閉するように配置される。
そして、スロットル弁30は、弁軸20の回転に応じて、所望の開度に主通路12を開放する。
【0037】
駆動ユニット40は、図1図2図5図7に示すように、弁軸20を軸線S回りに回転駆動するものであり、弁軸20の連結部23に連結されて固定されたドラム41、弁軸20の周りにおいてドラム41とスロットルボディ10の間に配置されたコイルバネ42を備えている。
ドラム41は、スロットルグリップに接続されたワイヤーが係止される係止孔41a,41b、コイルバネ42を係止する係止レバー41cを備えている。
係止レバー41cは、コイルバネ42の回転付勢力により、スロットルボディ10に設けられた調整ネジ11dに当接するようになっている。したがって、調整ネジ11dの繰出し量を適宜調整して、停止位置におけるスロットル弁30の弁開度が所望される位置に設定される。
コイルバネ42は、図1図2図7に示すように、一端部42aがスロットルボディ10の係止部11cに係止され、他端部42bがドラム41の係止レバー41cに係止されて、スロットル弁30が閉弁する方向に回転付勢力を及ぼす。
【0038】
調整弁50は、図3図4図6図7に示すように、弁体51、弁体51を開弁方向に付勢するコイルバネ52、弁体51を軸線Sと平行な方向に往復動自在に駆動する電磁アクチュエータ53、電磁アクチュエータ53をスロットルボディ10に固定する押え部材54を備えている。
そして、調整弁50は、エンジンのアイドル運転領域において、バイパス通路14(連通路14c)の通路面積を増減させて、バイパス通路14を流れる吸気の流量を調整するようになっている。
【0039】
センサユニットUは、スロットルボディ10の取付け面16に取り付けられるものであり、図3図4図8ないし図12に示すように、ハウジング60、回路基板70、圧力センサ80、温度センサ90を備えている。
【0040】
ハウジング60は、樹脂材料を用いて成型されたものであり、嵌合部61、接合面62、凹部63、凹部63内に突出する突出壁64、環状溝65、外側収容凹部66、ネジb1を通す二つのボス部67、コネクタ68を備えている。
【0041】
嵌合部61は、スロットルボディ10の取付け面16に形成された円環状凹部16bに嵌合されるべく、軸線Sを中心とする円筒状に形成されている。そして、嵌合部61は、円環状凹部16bに嵌合されることにより、センサユニットUとスロットルボディ10との位置決めを行う。
接合面62は、スロットルボディ10の取付け面16に密接に接合されるものであり、軸線Sに垂直な平面として形成されている。
【0042】
凹部63は、図3図8図11図12に示すように、接合面62から軸線S方向に凹むと共に略三角形の輪郭をなすように形成されている。そして、凹部63には、第1連通路17a又は第2連通路17bを通して、主通路12内の吸気が導かれるようになっている。また、凹部63の底壁には、圧力センサ80の端面(保護カバー83)が面一で臨む開口部63aが形成されている。
【0043】
突出壁64は、図8図9図11に示すように、接合面62から外側に突出しないように凹部63の底壁から半球状に突出する薄壁により形成されている。
そして、突出壁64の内側には、温度センサ90の感温素子91が隣接して配置されるようになっている。
環状溝65は、シール部材Srを嵌め込むべく、凹部63の周りを囲むように接合面62に形成されている。
【0044】
外側収容凹部66は、図9ないし図11に示すように、接合面62と反対側の外側端面から凹むように形成され、その内側には、回路基板70が配置され、その外側から回路基板70を埋設するべく樹脂封止剤Rが充填される。
ボス部67は、センサユニットUをスロットルボディ10に締結するネジb1を通す円孔を備えている。
コネクタ68は、回路基板70に電気的に接続された端子を囲繞すると共に、外部コネクタが接続されるように形成されている。
【0045】
回路基板70は、種々の電子部品及びプリント配線が表面実装されると共に複数の端子が電気的に接続されたものあり、又、図9ないし図11に示すように、圧力センサ80のリード線82及び温度センサ90のリード線92が電気的に接続される。
【0046】
圧力センサ80は、図8図9図11、及び図12に示すように、例えば半導体歪みゲージを備えたダイヤフラム等の受圧部81、受圧部81から延出するリード線82、保護カバー83を備えている。
すなわち、圧力センサ80は、リード線82が回路基板70に電気的に接続されると共に、凹部63の開口部63aの位置において保護カバー83が凹部63の底壁と面一で露出するように配置されている。この状態において、圧力センサ80は、図8に示すように、第1連通路17a寄りにおいて、凹部63に臨むように配置されている。
【0047】
そして、圧力センサ80は、接合面62から外側に突出しないように凹部63に臨む状態で、連通路17(第1連通路17a、第2連通路17b)を経て主通路12から凹部63に導かれた吸気の圧力を、保護カバー83の小径孔83aを通して検出するようになっている。
【0048】
温度センサ90は、図8図10図11、及び図12に示すように、リード型センサであり、例えばサーミスタ等の感温素子91、感温素子91から延出するリード線92を備えている。
すなわち、温度センサ90は、感温素子91が凹部63内において突出する突出壁64の内側に隣接して配置されると共に、リード線92が回路基板70に電気的に接続されている。この状態において、温度センサ90は、図8に示すように、第2連通路17b寄りにおいて、凹部63に臨むように配置されている。
【0049】
そして、温度センサ90は、接合面62から外側に突出しないように、凹部63内において突出壁64により覆われた状態で、連通路17(第1連通路17a、第2連通路17b)を経て主通路12から凹部63に導かれた吸気の温度を、突出壁64を介して検出するようになっている。
【0050】
このように、圧力センサ80及び温度センサ90は、接合面62から突出しないように配置されるため、ハウジング60の成形性の向上及びセンサユニットUの小型化に寄与すると共に外部の部品等との干渉を防止でき、それ故に、圧力センサ80及び温度センサ90の破損等を防止できる。
また、圧力センサ80は、受圧部81が小径孔83aを備えた保護カバー83により覆われているため、吸気の吹き返し等により持ち込まれたカーボン等が受圧部81に直接付着するのを防止することができる。これにより、吸気の圧力を高精度に検出することができる。同様に、温度センサ90は、感温素子91が樹脂材料等の保護壁である突出壁64により覆われているため、吸気の吹き返し等により持ち込まれたカーボン等が感温素子91に直接付着するのを防止することができる。これにより、吸気の温度を高精度に検出することができる。
【0051】
上記のように、センサユニットUは、接合面62から突出しないように圧力センサ80及び温度センサ90を収容するため、特に、温度センサ90が外部の部品等と干渉するのを防止でき、それ故にその破損を防止でき、又、小型化できる。また、従来のように温度センサが接合面から突出してスロットルボディ内に挿入される形態の場合に比べて、スロットルボディ10の形態も簡素化でき、又、スロットルボディ10への艤装上の自由度も向上する。さらに、ハウジング60の成形性が向上し、低コスト化を達成できる。
【0052】
次に、上記構成をなすスロットル装置の組付け作業について説明する。
先ず、スロットルボディ10、弁軸20、スロットル弁30、駆動ユニット40、調整弁50、センサユニットU、リップ型シールRs、シール部材Sr、ワッシャ及び止め輪W、ネジb1,b2,b3が準備される。
センサユニットUは、ハウジング60に対して、圧力センサ80及び温度センサ90が接続された回路基板70が埋設されたモジュール品として準備される。
【0053】
続いて、スロットルボディ10の環状凹部13aにリップ型シールRsが嵌め込まれ、円板状部材24とワッシャ及び止め輪Wが取り付けられた弁軸20が、取付け面16側から弁軸孔13に通される。そして、スロットル弁30が弁軸20のスリット21に挿入されてネジb2により弁軸20に固定される。
続いて、駆動ユニット40が弁軸20の連結部23に連結される。具体的には、コイルバネ42が弁軸20の周りに配置され、その外側からドラム41が弁軸20の連結部23に連結されてナットにより固定される。
【0054】
そして、コイルバネ42の一端部42aがスロットルボディ10の係止部11cに係止され、コイルバネ42の他端部42bがドラム41の係止レバー41cに係止される。
また、ドラム41の回転角度位置が、係止レバー41cに当接する調整ネジ11dの繰出し量を適宜調整して、所定角度に設定される。尚、この調整は、全ての部品の組付けが完了した後に行われてもよい。
【0055】
続いて、調整弁50が、スロットルボディ10の収容部15に取り付けられる。すなわち、コイルバネ52が収容部15に挿入され、続いて、弁体51が電磁アクチュエータ53に連結された状態で収容部15に挿入される。そして、押え部材54が、電磁アクチュエータ53を固定するように、収容部15の端面に接合されて、ネジb3によりスロットルボディ10に締結される。
【0056】
続いて、センサユニットUが、スロットルボディ10の取付け面16に接合されてネジb1により締結される。すなわち、シール部材Srを環状溝65に嵌め込んだ状態で、ハウジング60の嵌合部61がスロットルボディ10の円環状凹部16bに嵌合され、接合面62が取付け面16に接合される。そして、ネジb1により、ハウジング60がスロットルボディ10に締結され、センサユニットUがスロットルボディ10に固定される。
【0057】
これにより、主通路12は、スロットル弁30よりも下流側において、取付け面16に開口する連通路17(第1連通路17a及び第2連通路17b)を介して凹部63に連通する状態となる。
ここでは、圧力センサ80及び温度センサ90が、ハウジング60の接合面62から凹むように形成された凹部63内に導かれた吸気の圧力及び温度を検出するように、すなわち、接合面62から突出しないように配置されているため、圧力センサ80及び温度センサ90が他の部品と干渉しないように注意を払うことなく、スロットルボディ10に対してセンサユニットUを簡単に取り付けることができる。
尚、スロットル装置の組付け作業は、上記の手法に限らず、他の手法で組み付けられてもよい。
【0058】
次に、上記スロットル装置がエンジンに搭載された状態での動作について説明する。
先ず、エンジンがアイドル運転領域にあるとき、スロットル弁30は主通路12を閉じた状態にあり、主通路12を流れる吸気は、スロットル弁30を迂回するようにバイパス通路14を流れて再び下流側の主通路12に流出する。
この状態において、調整弁50は、バイパス通路14(連通路14c)の通路面積を調整して、エンジンのアイドル運転を安定した状態に維持する。
【0059】
一方、エンジンがアイドル運転領域以外の運転領域にあるとき、スロットル弁30は所定の開度範囲にあり、主通路12を開放した状態となる。
したがって、主通路12を流れる吸気は、バイパス通路14を経ることなく、主通路12を流れてエンジンに吸い込まれる。このとき、調整弁50は、バイパス通路14を流れる吸気量を調整するために使用されない。
【0060】
また、主通路12を流れる吸気は、図13に示すように、第1連通路17a又は第2連通路17bを通して凹部63内に導かれる。この状態において、圧力センサ80は、凹部63に導かれた吸気の圧力を検出する。また、温度センサ90は、凹部63に導かれた吸気の温度を検出する。
このように、吸気の圧力が圧力センサ80により検出され、吸気の温度が温度センサ90により検出されて、それぞれ検出された情報は、制御ユニットの制御情報として取り込まれ、エンジンが適宜制御される。
【0061】
上記第1実施形態に係るスロットル装置は、吸気を通す主通路12,外壁に形成された取付け面16,及び取付け面16に開口して主通路12に通じる連通路17を有するスロットルボディ10と、主通路12を開閉するスロットル弁30と、取付け面16に接合されたセンサユニットUを備え、センサユニットUは、取付け面16に接合される接合面62及び接合面62から凹むと共に連通路17に通じる凹部63を有するハウジング60と、ハウジング60内に埋設された回路基板70と、回路基板70に電気的に接続され凹部63に導かれた吸気の圧力を検出する圧力センサ80と、回路基板70に電気的に接続され凹部63に導かれた吸気の温度を検出する温度センサ90を含む。
これによれば、センサユニットUが、接合面62から突出しないように圧力センサ80及び温度センサ90を収容するため、特に、温度センサ90が外部の部品等と干渉するのを防止でき、それ故にその破損を防止でき、又、小型化できる。また、スロットルボディ10に対するセンサユニットUの艤装上の自由度も向上し、ハウジング60の成形性が向上し、低コスト化を達成できる。
【0062】
また、連通路17は、スロットル弁30よりも下流側において主通路12と凹部63を連通させるように形成され、又、凹部63と主通路12をそれぞれ連通させる第1連通路17a及び第2連通路17bを含むように形成されている。
これによれば、吸気の脈動を利用して、吸気を積極的に凹部63に導くと共に吸気の掃気を行うことができ、吸気の圧力及び温度を高精度に検出することができる。
【0063】
また、ハウジング60は、凹部63の周りを囲むように接合面62に形成された環状溝65を含み、環状溝65には、スロットルボディ10の取付け面16と密接するシール部材Srが配置されている。
これによれば、圧力センサ80及び温度センサ90が臨む一つの凹部63の周りを一つのシール部材Srでシールするだけで良いため、圧力センサと温度センサを別々の凹部に臨むように配置して別々のシール部材でシールする構成に比べて、部品点数の削減、低コスト化、ハウジング60の簡素化を達成することができる。
【0064】
また、圧力センサ80は、第1連通路17a寄りにおいて凹部63に臨むように配置され、温度センサ90は、第2連通路17b寄りにおいて凹部63に臨むように配置されている。
これによれば、主通路12の吸気が、図13中の矢印(実線)で示すように、第1連通路17aを通して凹部63に導かれると共に凹部63内の吸気が第2連通路17bを通して主通路12に戻される掃気作用、又は、主通路12の吸気が、図13中の矢印(点線)で示すように、第2連通路17bを通して凹部63に導かれると共に凹部63内の吸気が第1連通路17aを通して主通路12に戻される逆向きの掃気作用を利用することにより、凹部63の吸気が淀まないようにして、吸気の圧力及び温度を検出することができる。
【0065】
また、温度センサ90は、回路基板70にリード線92を介して接続されたリード型センサであるため、凹部63に近接した領域で吸気の温度を検出することができる。特に、ハウジング60が、凹部63内において突出する突出壁64を含み、温度センサ90が突出壁64により覆われるように配置されているため、吸気の吹き返し等により持ち込まれたカーボン等が感温素子91に直接付着するのを防止することができる。これにより、吸気の温度を高精度に検出することができる。
【0066】
図14ないし図19は、本発明の第2実施形態に係るスロットル装置を示すものであり、第1実施形態に係るスロットル装置のセンサユニットUをセンサユニットU2に変更した以外は第1実施形態と同一である。したがって、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態に係るスロットル装置は、スロットルボディ10、軸線Sをもつ弁軸20、スロットル弁30、スロットル弁30を開閉駆動する駆動ユニット40、調整弁50、センサユニットU2を備えている。
ここで、センサユニットU2は、ハウジング160、回路基板70、圧力センサ80、温度センサ190を備えている。
【0067】
ハウジング160は、樹脂材料を用いて成型されたものであり、嵌合部61、接合面62、凹部63、環状溝65、外側収容凹部66、ネジb1を通す二つのボス部67、コネクタ68、保護壁164、延長通路165、筒状の通路部材M1を備えている。
【0068】
保護壁164は、図15及び図16に示すように、接合面62から凹部63よりも深い位置において薄板状に形成され、回路基板70に表面実装された温度センサ190と延長通路165の間に介在して、温度センサ190を覆うように形成されている。
【0069】
延長通路165は、図14図16図18に示すように、凹部63に臨む小径孔83aから離れた位置でかつ第2連通路17b寄りにおいて、凹部63から保護壁164まで延びるように形成されている。
通路部材M1は、延長通路165の一部を占有するように嵌め込まれて、延長通路165を第1延長通路165aと第2延長通路165bとに区分けするものである。
すなわち、延長通路165は、通路部材M1の周りに画定される第1延長通路165aと、通路部材M1により画定される第2延長通路165bを含むように形成されている。
ここで、通路部材M1の一端開口部は第2連通路17bに連通し、通路部材M1の他端開口部は保護壁164との間に隙間領域Gaをおいて対向する。
【0070】
温度センサ190は、図17に示すように、回路基板70に表面実装されたチップ型センサであり、例えば、チップ型NTCサーミスタ等である。
このように、温度センサとしてチップ型センサを採用することにより、小型化、低コスト化を達成することができる。
【0071】
上記構成においては、延長通路165が、第1延長通路165a及び第2延長通路165bの二つの通路として形成されることにより、主通路12の吸気が、図19中の矢印(点線)で示すように、第2連通路17b及び第2延長通路165bを通して保護壁164に臨む隙間領域Gaに導かれると共に隙間領域Gaから第1延長通路165a及び凹部63並びに第1連通路17aを通して主通路12に戻される掃気作用が得られる。また、主通路12の吸気が、図19中の矢印(実線)で示すように、第1連通路17a及び凹部63並びに第1延長通路165aを通して保護壁164に臨む隙間領域Gaに導かれると共に隙間領域Gaから第2延長通路165b及び第2連通路17bを通して主通路12に戻される逆向きの掃気作用が得られる。
【0072】
このように、主通路12の吸気を保護壁164の近傍の隙間領域Gaまで導くことができる。これにより、圧力センサ80により吸気の圧力を高精度に検出することができると共に、温度センサ190により吸気の温度を高精度に検出することができる。
また、第2延長通路165bを画定する通路部材M1を採用することにより、ハウジング160の成形性が向上する。
上記第2実施形態に係るスロットル装置によれば、前述の第1実施形態と同様に、成形性の向上、低コスト化、艤装上の自由度の向上、小型化等を達成しつつ、吸気の圧力及び温度を高精度に検出することができる。
【0073】
図20ないし図22は、本発明の第3実施形態に係るスロットル装置を示すものであり、第2実施形態に係るスロットル装置のセンサユニットU2をセンサユニットU3に変更した以外は第1実施形態及び第2実施形態と同一である。したがって、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
第3実施形態に係るスロットル装置は、スロットルボディ10、軸線Sをもつ弁軸20、スロットル弁30、スロットル弁30を開閉駆動する駆動ユニット40、調整弁50、センサユニットU3を備えている。
ここで、センサユニットU3は、ハウジング260、回路基板70、圧力センサ80、温度センサ190を備えている。
【0074】
ハウジング260は、樹脂材料を用いて成型されたものであり、嵌合部61、接合面62、凹部63、環状溝65、外側収容凹部66、ネジb1を通す二つのボス部67、コネクタ68、保護壁164、延長通路265、筒状の通路部材M2を備えている。
【0075】
延長通路265は、図20及び図21に示すように、凹部63に臨む小径孔83aから離れた位置でかつ第2連通路17b寄りにおいて、凹部63から保護壁164まで延びるように形成されている。
通路部材M2は、延長通路265の一部を占有するように嵌め込まれて、延長通路265を第1延長通路265aと第2延長通路265bとに区分けするものである。
すなわち、延長通路265は、通路部材M2の周りに画定される第1延長通路265aと、通路部材M2により画定される第2延長通路265bを含むように形成されている。
そして、第2延長通路265bは、保護壁164に臨む直線通路265bと、直線通路265bと第2連通路17bの間に介在する屈曲通路265bを含むように形成されている。
ここで、通路部材M2の一端開口部(屈曲通路265b)は第2連通路17bに連通し、通路部材M2の他端開口部(直線通路265b)は保護壁164との間に隙間領域Gaをおいて対向する。
【0076】
上記構成においては、延長通路265が、第1延長通路265a及び第2延長通路265bの二つの通路として形成されることにより、主通路12の吸気が、図22中の矢印(点線)で示すように、第2連通路17b及び第2延長通路265bを通して保護壁164に臨む隙間領域Gaに導かれると共に隙間領域Gaから第1延長通路265a及び凹部63並びに第1連通路17aを通して主通路12に戻される掃気作用が得られる。また、主通路12の吸気が、図22中の矢印(実線)で示すように、第1連通路17a及び凹部63並びに第1延長通路265aを通して保護壁164に臨む隙間領域Gaに導かれると共に隙間領域Gaから第2延長通路265b及び第2連通路17bを通して主通路12に戻される逆向きの掃気作用が得られる。
【0077】
ここでは、特に、第2延長通路265bが、屈曲通路265bを含むように形成されているため、主通路12から第2連通路17bを通して導かれた吸気にカーボン等が混在する場合に、カーボン等を屈曲通路265bで捕獲して隙間領域Gaまで侵入するのを防止することができる。一方、主通路12から第1連通路17aを通して導かれた吸気にカーボン等が混在する場合には、凹部63から第1延長通路265aに通じる通路が屈曲通路をなすため、カーボン等を凹部63の領域で捕獲して隙間領域Gaまで侵入するのを防止することができる。
【0078】
このように、主通路12の吸気を保護壁164の近傍の隙間領域Gaまで導くことができる。これにより、圧力センサ80により吸気の圧力を高精度に検出することができると共に、温度センサ190により吸気の温度を高精度に検出することができる。
また、第2延長通路265bを画定する通路部材M2を採用することにより、前述同様に、ハウジング260の成形性が向上する。
上記第3実施形態に係るスロットル装置によれば、前述の第1実施形態及び第2実施形態と同様に、成形性の向上、低コスト化、艤装上の自由度の向上、小型化等を達成しつつ、吸気の圧力及び温度を高精度に検出することができる。
【0079】
上記実施形態においては、センサユニットとして、圧力センサ80及び温度センサ90,190を備えたセンサユニットU,U2,U3を示したが、これに限定されるものではなく、弁軸20の回転角度を検出する位置検出センサをさらに備えていてもよい。
この場合、位置検出センサとしては、嵌合部61の内側領域に埋設されたホール素子等を含む非接触式の磁気式センサを採用してもよい。
【0080】
上記実施形態においては、凹部63から保護壁164まで延びる延長通路として、一つの延長通路165,265に通路部材M1、M2を嵌め込んで、二つの通路(第1延長通路165a,265a、第2延長通路165b,265b)を画定する構成を示したが、これに限定されるものではなく、ハウジングの製造において許容されれば、通路部材M1,M2を廃止して、ハウジングに二つの通路(第1延長通路、第2延長通路)を直接形成してもよい。
【0081】
上記実施形態においては、通路部材M1,M2の一端開口部が、第2連通路17bに通じる構成を示したが、これに限定されるものではなく、第2連通路17bの近傍において凹部63に通じるように構成されてもよい。
具体的には、延長通路が第1延長通路及び第2延長通路を含む構成として、通路部材M1,M2の周りに画定される第1延長通路は上記同様に構成し、通路部材M1,M2により画定される第2延長通路の一端開口部が、第2連通路17bに直接通じるのではなく、凹部63内に開口し、凹部63を介して、第2連通路17bに通じる構成を採用してもよい。
【0082】
上記実施形態においては、凹部63から保護壁164まで延びる延長通路として、二つの通路(第1延長通路165a,265a、第2延長通路165b,265b)を含む構成を示したが、これに限定されるものではない。例えば、一つの延長通路により保護壁164の近傍まで吸気を容易に導入できる形態である場合は、凹部63から保護壁164まで延びる延長通路として、一つの延長通路を採用してもよい。
【0083】
上記実施形態においては、取付け面16に開口して主通路12に通じる連通路として、第1連通路17a及び第2連通路17bを含む連通路17を示したが、これに限定されるものではなく、主通路12の吸気を凹部63に導くと共に凹部63内の吸気を主通路12に戻す掃気作用が容易に得られる形態であれば、一つの連通路を採用してもよい。
【0084】
以上述べたように、本発明のスロットル装置は、成形性の向上、低コスト化、艤装上の自由度の向上、小型化等を達成しつつ、吸気の温度及び圧力を高精度に検出することができるため、自動二輪車等に適用できるのは勿論のこと、その他の車両においても有用である。
【符号の説明】
【0085】
10 スロットルボディ
12 主通路
14 バイパス通路
16 取付け面
17 連通路
17a 第1連通路
17b 第2連通路
20 弁軸
30 スロットル弁
40 駆動ユニット
50 調整弁
U センサユニット
R 樹脂封止剤
60 ハウジング
62 接合面
63 凹部
64 突出壁
65 環状溝
Sr シール部材
70 回路基板
80 圧力センサ
90 温度センサ(リード型センサ)
91 感温素子
92 リード線
U2 センサユニット
160 ハウジング
164 保護壁
165 延長通路
M1 通路部材
165a 第1延長通路
165b 第2延長通路
190 温度センサ(チップ型センサ)
U3 センサユニット
260 ハウジング
265 延長通路
M2 通路部材
265a 第1延長通路
265b 第2延長通路
265b 直線通路
265b 屈曲通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22