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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029383
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】箱付き台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20240228BHJP
   B65D 6/18 20060101ALI20240228BHJP
   B65D 6/22 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B62B3/02 B
B65D6/18 D
B65D6/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131608
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】北 翔磨
【テーマコード(参考)】
3D050
3E061
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB04
3D050CC05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
3E061AA01
3E061AB02
3E061AB09
3E061AB12
3E061CA01
3E061CA04
3E061CA25
(57)【要約】
【課題】運搬物を収容するための箱体を形成することができる箱付き台車を提供する。
【解決手段】枠フレーム(2)を設けた台車(1)と、台車の上に箱体を形成するためのパネル構成体(12)により構成されており、前記枠フレーム(2)は、内側に格納室(9)を形成しており、前記パネル構成体(12)は、断面が矩形となるようにパネルを展開した立体形態(P)と、パネルが相互に重なるように折畳んだ偏平形態(Q)の間において、形態を変更自在に構成されており、立体形態(P)として起立したとき上部を開口する箱体(11a)が形成されると共に枠フレーム(2)の上に載置され、偏平形態(Q)として横倒しさせたとき、前記格納室(9)に格納されるように構成されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠フレーム(2)を設けた台車(1)と、台車の上に箱体を形成するためのパネル構成体(12)により構成されており、
前記枠フレーム(2)は、それぞれ対向する一対の前側幅木(5A)及び後側幅木(5B)と左側幅木(5L)及び右側幅木(5R)により平面視を矩形とする枠体を構成し、該枠体の内側に格納室(9)を形成しており、
前記パネル構成体(12)は、それぞれ対向する一対の前側パネル(13A)及び後側パネル(13B)と左側パネル(13L)及び右側パネル(13R)により構成され、前記パネル構成体の断面が矩形となるようにパネルを展開した立体形態(P)と、パネルが相互に重なるように折畳んだ偏平形態(Q)の間において、形態を変更自在に構成されており、
前記パネル構成体(12)を立体形態(P)として起立したとき上部を開口する箱体(11a)が形成されると共に、枠フレーム(2)の上に載置されるように構成し、
前記パネル構成体(12)を偏平形態(Q)として横倒しさせたとき、前記格納室(9)に格納されるように構成して成ることを特徴とする箱付き台車。
【請求項2】
前記パネル構成体を構成する前側パネル及び後側パネルと左側パネル及び右側パネルは、相互に側縁部を回動自在に枢結されており、
左側パネル(13L)及び右側パネル(13R)は、前側パネル(13A)と後側パネル(13B)の間に向けて半折自在に構成され、半折された左側パネル及び右側パネルを挟んで前側パネルと後側パネルを重ねることにより前記偏平形態(Q)とされ、左側パネル及び右側パネルを半折状態から伸ばして前側パネルと後側パネルを離間させることにより前記立体形態(P)とされるように構成され、
前記後側パネル(13B)は、前記枠フレームの後側幅木(5B)の上端部に対して、枢結手段(18)を介して、横軸廻りに回動自在に枢結されており、
前記枢結手段は、後側パネルを起立回動したとき該後側パネル(13B)の下端面を後側幅木(5B)の上面に載置させ、後側パネルを横倒し回動したとき該後側パネル(13B)を前記格納室(9)の内部に臨ませるように構成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の箱付き台車。
【請求項3】
平面上で直交するX方向とY方向に関して、前記枠フレーム(2)は、X方向に延びる前側幅木(13A)及び後側幅木(13B)とY方向に延びる左側幅木(13L)及び右側幅(13R)により矩形に枠組みされ、所定厚さ寸法(T)を有する各幅木の内側で、格納室(9)のX方向の寸法(LX)とY方向の寸法(LY)を規定しており、
前記パネル構成体(12)を偏平形態(Q)としたとき偏平体(11B)が形成され、横倒し状態とした偏平体の外形は、X方向の寸法(WX)とY方向の寸法(WY)をWX<LXかつWY<LYに構成することにより、格納室(9)に格納されるように構成され、
前記パネル構成体(12)を立体形態(P)として起立させたとき箱体(11A)が形成され、起立状態とした箱体の外形は、前側パネル(13A)及び後側パネル(13B)の左右両側縁よりも外側に左側パネル(13L)及び右側パネル(13R)を張り出しており、X方向に関する左側パネルと右側パネルの間隔の外法寸法(EX)と、Y方向に関する前側パネルと後側パネルの間隔の外法寸法(EY)をLX<EXかつLY<EYに構成することにより、箱体(11a)を形成したパネルの下端面が枠フレーム(2)の上端面に載置されるように構成して成ることを特徴とする請求項2に記載の箱付き台車。
【請求項4】
偏平形態(Q)としたパネル構成体(12)により形成された偏平体(11B)を格納室(9)に格納された状態から前記枢結手段(18)を介して回動することにより起立させ、後側パネル(13B)に対して、左側パネル(13L)及び右側パネル(13R)を半折状態から伸ばし、前側パネル(13A)を前側幅木(5A)に向けて前進移動させることにより、立体形態(P)となるように展開する構成において、
前側パネル(13A)の前進移動方向に向けて延びるガイドレール(7a)を格納室(9)の底部に設け、前側パネル(13A)の下端部に係合手段(20)を設けており、
前記枢結手段(18)を中心として偏平体(11B)を前側幅木(5A)に向けて傾く前傾姿勢とした状態で、前記係合手段(20)をガイドレール(7a)に係合状態で摺動することにより、前側パネルを前進移動させるように構成して成ることを特徴とする請求項2又は3に記載の箱付き台車。
【請求項5】
前記係合手段(20)は、前側パネル(13A)の外側面から下端部を越えて垂設された係止片(22)を形成しており、
立体形態(P)としたパネル構成体(12)を起立することにより形成された箱体(11a)を枠フレーム(2)の上に載置したとき、前記係止片(22)が前側幅木(5A)の外側面に係止されるように構成して成ることを特徴とする請求項4に記載の箱付き台車。
【請求項6】
台車の上に形成された箱体の内部を仕切る仕切板(25)が着脱自在に設けられており、
前記仕切り板(25)は、両側部が前側パネル(13A)と後側パネル(13B)に添設され、下端部に前記ガイドレール(7a)に係合して固定される固定手段(26)を設けて成ることを特徴とする請求項4に記載の箱付き台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬用の箱付き台車に関し、運搬物を収容するための箱体を設けた台車に関する。
【背景技術】
【0002】
運搬用台車は、種々の形式とされたものが提供されているところ、例えば、積載した物品の荷崩れを防止し、あるいは、物品を外部から保護する等のために、運搬物を収容できる箱体を設けた箱付き台車が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-116259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1により提案された台車は、台車に立設した左右の側枠の間に、複数のパネルを設け、パネルを側枠の間に跨設状態に展開させることにより箱を形成し、パネルを側枠に重ね合わせることにより折畳むことができるように構成しており、折畳んだ状態で、複数の台車をネスティングすることが可能であると説明されている。
【0005】
ところが、パネルの折畳みは、台車のネスティングが目的であるとされ、台車には、常に側枠が立設されており、折畳んだパネルも側枠に重ねられた状態で台車から起立させられている。このため、コンパクトな折畳み状態を可能にするものではない。
【0006】
本発明は、特許文献1のような台車とは根本的に異なる箱付き台車を目的としており、展開した立体形態のパネルを起立させて台車の枠フレームに載置することにより箱体を提供する一方において、偏平形態となるように折畳んだパネルにより偏平体を構成し、この偏平体を横倒し回動することにより、前記枠フレームにより形成されたトレー室に格納することができるように構成した台車を提案することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明が手段として構成したところは、枠フレームを設けた台車と、台車の上に箱体を形成するためのパネル構成体により構成されており、前記枠フレームは、それぞれ対向する一対の前側幅木及び後側幅木と左側幅木及び右側幅木により平面視を矩形とする枠体を構成し、該枠体の内側に格納室を形成しており、前記パネル構成体は、それぞれ対向する一対の前側パネル及び後側パネルと左側パネル及び右側パネルにより構成され、前記パネル構成体の断面が矩形となるようにパネルを展開した立体形態と、パネルが相互に重なるように折畳んだ偏平形態の間において、形態を変更自在に構成されており、前記パネル構成体を立体形態として起立したとき上部を開口する箱体が形成されると共に、枠フレームの上に載置されるように構成し、前記パネル構成体を偏平形態として横倒しさせたとき、前記格納室に格納されるように構成して成る点にある。
【0008】
この際、本発明の好ましい実施形態において、前記パネル構成体を構成する前側パネル及び後側パネルと左側パネル及び右側パネルは、相互に側縁部を回動自在に枢結されており、左側パネル及び右側パネルは、前側パネルと後側パネルの間に向けて半折自在に構成され、半折された左側パネル及び右側パネルを挟んで前側パネルと後側パネルを重ねることにより前記偏平形態とされ、左側パネル及び右側パネルを半折状態から伸ばして前側パネルと後側パネルを離間させることにより前記立体形態とされるように構成され、前記後側パネルは、前記枠フレームの後側幅木の上端部に対して、枢結手段を介して、横軸廻りに回動自在に枢結されており、前記枢結手段は、後側パネルを起立回動したとき該後側パネルの下端面を後側幅木の上面に載置させ、後側パネルを横倒し回動したとき該後側パネルを前記格納室の内部に臨ませるように構成されている。
【0009】
好ましくは、平面上で直交するX方向とY方向に関して、前記枠フレームは、X方向に延びる前側幅木及び後側幅木とY方向に延びる左側幅木及び右側幅により矩形に枠組みされ、所定厚さ寸法(T)を有する各幅木の内側で、格納室のX方向の寸法(LX)とY方向の寸法(LY)を規定しており、前記パネル構成体を偏平形態としたとき偏平体が形成され、横倒し状態とした偏平体の外形は、X方向の寸法(WX)とY方向の寸法(WY)をWX<LXかつWY<LYに構成することにより、格納室に格納されるように構成され、前記パネル構成体を立体形態として起立させたとき箱体が形成され、起立状態とした箱体の外形は、前側パネル及び後側パネルの左右両側縁よりも外側に左側パネル及び右側パネルを張り出しており、X方向に関する左側パネルと右側パネルの間隔の外法寸法(EX)と、Y方向に関する前側パネルと後側パネルの間隔の外法寸法(EY)をLX<EXかつLY<EYに構成することにより、箱体を形成したパネルの下端面が枠フレームの上端面に載置されるように構成している。
【0010】
本発明の実施形態は、偏平形態としたパネル構成体により形成された偏平体を格納室に格納された状態から前記枢結手段を介して回動することにより起立させ、後側パネルに対して、左側パネル及び右側パネルを半折状態から伸ばし、前側パネルを前側幅木に向けて前進移動させることにより、立体形態となるように展開する構成において、前側パネルの前進移動方向に向けて延びるガイドレールを格納室の底部に設け、前側パネルの下端部に係合手段を設けており、前記枢結手段を中心として偏平体を前側幅木に向けて傾く前傾姿勢とした状態で、前記係合手段をガイドレールに係合状態で摺動することにより、前側パネルを前進移動させるように構成している。
【0011】
前記係合手段は、前側パネルの外側面から下端部を越えて垂設された係止片を形成しており、立体形態としたパネル構成体を起立することにより形成された箱体を枠フレームの上に載置したとき、前記係止片が前側幅木の外側面に係止されるように構成することが好ましい。
【0012】
台車の上に形成された箱体の内部を仕切る仕切板を設けることができ、前記仕切り板は、両側部が前側パネルと後側パネルに添設され、下端部に前記ガイドレールに係合して固定される固定手段を設けている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、台車1の上に枠フレーム2を設け、立体形態Pと偏平形態Qとの間で形態変更自在とされたパネル構成体12を設けている。この際、パネル構成体12は、立体形態Qとして起立すると共に枠フレーム2の上に載置することにより、搬送物を収容する箱体11aを提供する。そして、偏平形態Qとして横倒しさせたときは、枠フレーム2の内側の格納室9にコンパクトとなるように格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る箱付き台車の作用を示しており、(A)はパネル構成体を偏平形態として形成した偏平体を枠フレームの格納室に格納した状態を示す斜視図、(B)は偏平体を起立させると共に前傾姿勢として展開させている状態を示す斜視図、(C)はパネル構成体を立体形態として枠フレームの上に載置することにより箱体を形成した状態を示す斜視図、(D)は箱体の上部開口を蓋パネルで施蓋した状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に関して、(A)は偏平形態とされたパネル構成体の偏平体を枠フレームの格納室に格納した状態の台車を示す斜視図、(B)はA-A線断面図、(C)はB-B線断面図である。
図3】パネル構成体と台車を分離状態で示しており、(A)はパネル構成体を偏平形態とすることにより形成した偏平体の断面図、(B)は台車の断面図である。
図4】パネル構成体の形態変更に関する作用を示しており、(A)は偏平形態から立体形態に向けて前側パネル及び左側パネルを半折状態から伸ばしながら前側パネルを前進移動させている状態を示す断面図、(B)は立体形態とされた状態を示す断面図、(C)は形態変更の際の左側パネルと前側パネルの動作を部分的に示す断面図である。
図5】パネル構成体における後側パネルと枠フレームにおける後側幅木の枢結手段を示しており、(A)は枢結前の状態を部分的に示す拡大断面図、(B)は枢結後の状態を示す断面図である。
図6】偏平形態から立体形態に向けて形態変更するときの作用に関して、偏平形態としたパネル構成体の偏平体を枠フレームから引き上げた状態を示しており、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
図7】枠フレームから引き上げたパネル構成体を前傾姿勢とさせて展開しているときの状態を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)は符号S1により示した部分の拡大図である。
図8】展開中の作用に関して、(A)はパネル構成体の偏平体を枠フレームから引き上げた状態を示す断面図、(B)は展開中の状態を示す断面図である。
図9】立体形態としたパネル構成体を枠フレームの上に載置させることにより箱体を形成した状態を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)は符号S2により示した部分の拡大図、(C)は符号S3により示した部分の拡大図、(D)は符号S4により示した部分の拡大図である。
図10図9(A)に示す台車の断面図である。
図11】箱体の上部開口を蓋パネルで施蓋するときの状態を示す斜視図である。
図12図11に示す台車の断面図である。
図13】箱体の上部開口を蓋パネルで施蓋した状態を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)は符号S5により示した部分の拡大図である。
図14】箱体の内部を仕切る仕切り板を示す斜視図である。
図15】仕切り板の構成に関して、(A)は図14のC-C線断面図、(B)は符号S6により示した部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0016】
図1ないし図5に示すように、台車1は、平面視を矩形とする枠体から成る枠フレーム2の下側にキャスタ3を備え、四隅に段積み用の座付き支柱4を設けたパレット台車を構成しており、台車1の上に箱体11aを形成するためのパネル構成体12を設けている。
【0017】
(枠フレーム)
前記枠フレーム2は、それぞれ対向する一対の前側幅木5A及び後側幅木5Bと、左側幅木5L及び右側幅木5Rにより枠体を構成している。図示実施形態の場合、平面上で直交するX方向とY方向(図2(A)参照)に関して、枠フレーム2は、X方向を長手辺としY方向を短手辺とする長方形の枠体とされ、前側幅木5A及び後側幅木5Bにより長手辺を構成し、左側幅木5L及び右側幅木5Rにより短手辺を構成しており、四隅において隣り合う幅木の端縁部を連結体6により連結している。この際、連結体6は、座付き支柱4を挿通保持する筒部を備えている。
【0018】
この点に関し、明細書及び図面において、枠フレーム2は、長方形としたものを実施形態として説明するが、これに限定されるものではなく、正方形としても良い。また、台車1は、前後左右に走行可能であり、特定の方向を基準とするものではないから、「前」「後」「左」「右」の語は、図面を参照したときの理解の便宜に供するための語であり、特別な意味を含むものではないことを理解されたい。
【0019】
図3(B)に示すように、前側幅木5Aと後側幅木5Bの相互には、Y方向に延びる横桟フレーム7が架設されている。横桟フレーム7は、X方向に間隔をあけて複数本が配置されており、隣り合う横桟フレーム7、7の間には、積荷を載置するための基板8が設けられている。
【0020】
図示実施形態の場合、横桟フレーム7は、図3の矢印E2の拡大図に示すように、断面を中空とする十字形の型材により形成されており、横向き張出部により前記基板8を支持すると共に、高さHで示すように縦向き張出部の上部を基板8から上向きに突出させることによりY方向に延びるガイドレール7aを形成している。
【0021】
このような枠体を構成する枠フレーム2の内側には、格納室9が形成されている。格納室9は、横桟フレーム7及び基板8を底部とする矩形の浅い室として区成され、所定厚さ寸法Tとされた前側幅木5A及び後側幅木5Bと左側幅木5L及び右側幅木5Rにより囲まれた空間により、X方向の長手辺寸法LXとY方向の短手辺寸法LY(図2(B)(C)参照)を有する。
【0022】
(パネル構成体)
前記パネル構成体12は、それぞれ対向する一対の前側パネル13A及び後側パネル13Bと左側パネル13L及び右側パネル13Rにより構成されており、該パネル構成体12の断面が矩形となるようにパネルを展開した立体形態P(図1(C)参照)と、パネルを相互に重なるように折畳んだ偏平形態Q(図1(A)参照)の間において、形態を変更自在とするように構成されている。
【0023】
前側パネル13Aと後側パネル13Bの一対と、左側パネル13Lと右側パネル13Rの一対は、それぞれ同形同大に形成されており、前側パネル13Aと後側パネル13Bの間において、左側パネル13Lと右側パネル13Rが介装された状態で、相互に隣り合う側縁部がそれぞれ枢結手段14(図4参照)を介して回動自在に枢結されている。
【0024】
この際、左側パネル13L及び右側パネル13Rは、前側パネル13Aと後側パネル13Bの間に向けて半折自在に構成され、半折された左側パネル13L及び右側パネル13Rを挟んで前側パネル13Aと後側パネル13Bを重ねることにより前記偏平形態Qとされるように構成され、左側パネル13L及び右側パネル13Rを半折状態から伸ばして前側パネル13Aと後側パネル13Bを離間させることにより前記立体形態Pとされるように構成されている。
【0025】
図示実施形態の場合、左側パネル13L及び右側パネル13Rは、それぞれ2分割され、2枚の小パネルを枢結手段15(図4参照)により回動自在に枢結することにより半折自在に構成され、図4(B)に示すように、半折状態から伸ばしたとき、2枚の小パネルが同一直線上に整列されるように構成している。しかしながら、このような構成とする他、例えば、合成樹脂製のパネルにより形成する場合は、一体成形された薄肉ヒンジ等により半折自在となるように構成しても良い。
【0026】
ところで、パネル構成体12の四隅に位置する枢結手段14は、図3の矢印E1の拡大図に示すように配設されている。すなわち、偏平形態Qとされたとき、相互に重ね合わせられた右側パネル13Rと前側パネル13Aは、右側パネル13Rの端縁面13fを前側パネル13Aの端縁面13gよりも内側に配置させ、その位置で右側パネル1Rの端縁面13gの近傍部(図例の場合、側面部とのコーナ部)を前側パネル13Aの内側面部に枢結している。そこで、この状態から立体形態Pとなるように回動すると、右側パネル13Rの端縁面13fは、枢結手段14に近傍する側の面を前側パネル13Aの内側面に当接させ、枢結手段14から離れた側の面を図示符号Jで示す位置まで張り出させるように構成されている。その他の枢結手段14については、拡大図を省略しているが、四隅の枢結手段14の全てが同様の構成とされている。
【0027】
このため、パネル構成体12は、偏平形態Qから立体形態Pへと形態変更したとき、外形寸法に関して、Y方向の寸法を増加するだけでなく、前記符号Jで示すように、X方向の寸法も増加させるように構成されている。
【0028】
パネル構成体12を偏平形態Qとすることにより形成される偏平体11bは、図2(B)(C)に示すように、その外形が前側パネル13A及び後側パネル13Bのパネル輪郭形状により決定されており、横倒し状態としたときの偏平体11bのX方向とY方向の大きさは、それぞれ長手寸法WXと短手寸法WYにより規定されている。そして、上述の格納室9のX方向の長手辺寸法LXとY方向の短手辺寸法LYに対して、WX<LX、WY<LYとなるように構成されている。これにより、偏平体11bは、格納室9に格納することができる。
【0029】
その一方において、図4(A)(B)に示すように、パネル構成体12を偏平形態Qから立体形態Pへと形態変更すると、上述のように、左側パネル13L及び右側パネル13Rが前側パネル13A及び後側パネル13Bの左右両側縁よりも外側に張り出すので、左側パネル13Lと右側パネル13Rの間隔の外法寸法EXは、上述の偏平体11bの長手寸法WXよりも大きく、かつ、格納室9の長手辺寸法LXよりも大きくなる。つまり、LX<EXとする形態が形成される。これにより、立体形態Pとされたパネル構成体12を起立させることにより箱体11aを形成すると、箱体11aの左側パネル13L及び右側パネル13Rは、厚さ寸法Tとされた枠フレーム2の左側幅木5L及び右側幅木5Rの上面に載置可能となる。
【0030】
この際、左側パネル13L及び右側パネル13Rにより離間させられて展開された前側パネル13Aと後側パネル13Bの間隔の外法寸法EYは、上述の偏平体11bとされたときの短手寸法WYよりも大きく、かつ、格納室9の短手辺寸法LYよりも大きくなるように構成されている。換言すると、左側パネル13L及び右側パネル13Rは、半折状態から伸長されたときに、前記外法寸法EYを形成させるような大きさのものとされている。これにより、箱体11aの前側パネル13A及び後側パネル13Bは、LY<EYとされるので、厚さ寸法Tとされた枠フレーム2の前側幅木5A及び後幅木5Bの上面に載置することが可能である。
【0031】
枠フレーム2の上に載置される箱体11aは、基板8(横桟フレーム7を含む)を底部として上部を開口することにより、台車1の上に、搬送物の収容室を提供する。この際、図示のように、箱体11aの上部開口を開閉自在に閉蓋する蓋パネル16を設けることが好ましい。蓋パネル16は、後側パネル13Bの上端縁部に枢結手段17を介して回動自在に枢結されており(図9ないし図13参照)、箱体11aの上部開口を開放したときは、後側パネル13Bに重ね合わせられる。
【0032】
上記のように構成されたパネル構成体12は、図5に示すように、偏平形態Qとされた状態で、前記後側パネル13Bを枠フレーム7の後側幅木5Bの上端部に起倒用の枢結手段18を介して横軸廻りに回動自在に枢結されている。起倒用の枢結手段18は、後側パネル13Bを起立回動したとき該後側パネル13Bの下端面を後側幅木5Bの上面に載置させ、後側パネル13Bを横倒し回動したとき該後側パネル13Bを格納室9の内部に臨ませるように構成されている。
【0033】
(作用)
以下、上記実施形態の作用を説明する。
【0034】
(格納状態)
図1(A)は、台車1の不使用時の状態を示しており、パネル構成体12は、偏平形態Qとされた状態で起倒用の枢結手段18を介して横倒しされ、これにより、枠フレーム2により形成された格納室9に格納されている。図示実施形態の場合、図2及び図5(B)に示すように、格納室9に対して、重ね合わせられた前側パネル13Aと左側パネル13L及び右側パネル13Rだけが格納され、後側パネル13B及び蓋パネル16は格納されず上方に露出しているが、全体を格納できるように構成しても良い。尚、偏平形態Qとしたパネル構成体12を格納した台車1は、コンパクトに折り畳まれているので、座付き支柱4を介して複数の台車を段積みした状態で保管することができるが、最上層の蓋パネル16に搬送物を積載することにより、平台車として使用することも可能である。
【0035】
(展開)
図1(B)は、台車1の上に箱体11aを形成するため、偏平形態Qとされたパネル構成体12の偏平体11bを格納室9から引き起こし、前傾姿勢とした状態で、立体形態Pに向けて展開している状態を示している。
【0036】
格納室9に格納された偏平体11bは、図6に示すように、起倒用の枢結手段18を支点として引き起こすことにより、格納室9から斜め上向きに脱出させられる。引き起こし作業を容易とするため、前側パネル13A及び後側パネル13Bにハンドル19を設けておくことが好ましい。
【0037】
図7及び図8に示すように、引き起こしたパネル構成体12は、前記枢結手段18を中心として前側幅木5Aに向けて傾く前傾姿勢とした状態で、左側パネル13L及び右側パネル13Rを半折状態から伸ばし、前側パネル13Aを前側幅木5Aに向けて前進移動させることにより、展開することができる。前側パネル13Aは、左側幅木5Lと右側幅木5Rの間に遊嵌された状態で、下端部を横桟フレーム7に沿って摺動させながら前進移動する。この際、図7(B)に示すように、前側パネル13Aの下端部には、係合手段20が設けられており、係合手段20をガイドレール7aに係合状態で摺動することにより、前側パネル13Aを好適に前進移動させることができる。図示実施形態の場合、係合手段20は、断面コ字形に形成されており、ガイドレール7aを抱持した状態で摺動する。
【0038】
(箱体)
図1(C)は、パネル構成体12を立体形態Pとした状態で、枠フレーム2の上に載置することにより、箱体11aを形成した状態を示している。
【0039】
上述のようにして展開したパネル構成体12は、ほぼ立体形態Pとされた状態で、前側パネル13Aを格納室9から引き上げると共に前側幅木5Aの上に載せると、図9及び図10に示すように、左側パネル13L及び右側パネル13Rがそれぞれ直線状に伸ばされた状態で左側幅木5L及び右側幅木5Rの上に載せられる。尚、後側パネル13Bは、起倒用の枢結手段18に連結された状態で後側幅木5Bの上に載せられている。これにより、台車1の上に箱体11aが形成される。
【0040】
箱体11aは、図9(B)(C)(D)に示すような手段により、立体形態Pを保持されるように構成することが好ましい。
【0041】
図9(B)に示すように、半折状態から伸長させられた左側パネル13L及び右側パネル13Rは、係止固定手段21を係止固定することにより伸長状態を保持され半折不能とされる。図例の場合、トグルレバー式の係止固定具が使用されており、係止を解除すれば、左側パネル13L及び右側パネル13Rを再び半折自在とすることができる。
【0042】
図9(C)に示すように、前記係合手段20は、前側パネル13Aの外側面から下端部を越えて垂設された係止片22を形成している。係止片22は、上述のように立体形態Pとしたパネル構成体12を枠フレーム2の上に載置したとき、前側幅木5Aの外側面に係止され、前側パネル13Aが格納室9に向けて落下することを防止する。
【0043】
図9(D)に示すように、前側パネル13Aの下端部は、前側幅木5Aの外側面に対して、係止固定手段23により上下動不能となるように係止固定される。図例の場合、トグルレバー式の係止固定具が使用されており、係止を解除すれば、前側パネル13Aを持ち上げることが可能となる。
【0044】
(蓋パネル)
図1(C)(D)に示すように、台車1により運搬物を運搬する際、運搬物を箱体11aに収容し、箱体11aの上部開口を蓋パネル16により閉鎖することができる。
【0045】
蓋パネル16は、図11及び図12に示すように、枢結手段17を介して、後側パネル13Bに重ねられた状態から起立回動させ、図13に示すように、立体形態Pとされた4枚のパネル13A、13B、13L、13Rの上に載せることにより、箱体11aの上部開口を閉鎖する。この際、施蓋ロック手段24を設けることが好ましく、図13(B)に示すように、蓋パネル16と前側パネル13Aを相互に係止固定する係止固定具が設けられている。図例の場合、トグルレバー式の係止固定具が使用されており、南京錠等の錠前を付設することが可能なように構成されており、係止を解除すれば、蓋パネル16を再び開蓋することが可能となる。
【0046】
(仕切りパネル)
図示実施形態の場合、図14及び図15に示すように、台車1の上に形成された箱体11aの内部を仕切るための着脱自在な仕切板25が付設されている。
【0047】
仕切り板25は、箱体11aの内部空間をX方向に分割するように前側パネル13Aと後側パネル13Bの間に挿入される。図15(B)に示すように、仕切り板25は、下端部に前記ガイドレール7aに載置したとき係合して固定される断面コ字形の固定手段26を設けていることが好ましく、これにより仕切り板25の挿入位置を位置決めした状態で固定することができる。更に、図14に示すように、仕切り板25の上端部には、前側パネル13Aと後側パネル13Bに設けた係止孔27aに挿脱自在に挿入係止される係止ピン27bを設けることが好ましい。
【0048】
図例では、1枚の仕切り板25を示しているが、複数本のガイドレール7aに対応する複数枚の仕切り板25を設けることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 台車
2 枠フレーム
3 キャスタ
4 座付き支柱
5A 前側幅木
5B 後側幅木
5L 左側幅木
5R 右側幅木
6 連結体
7 横桟フレーム
7a ガイドレール
8 基板
9 格納室
LX トレー室の長手辺寸法
LY トレー室の短手辺寸法
11a 箱体
EX、EY 箱体の外法寸法
11b 偏平体
12 パネル構成体
P パネル構成体の立体形態
Q パネル構成体の偏平形態
WX 偏平体の長手寸法
WY 偏平体の短手寸法
13A 前側パネル
13B 後側パネル
13L 左側パネル
13R 右側パネル
14 パネル構成体の四隅の枢結手段
15 左側・右側パネルを半折自在とする枢結手段
16 蓋パネル
17 蓋パネルの枢結手段
18 起倒用の枢結手段
19 ハンドル
20 係合手段
21 左側パネル及び右側パネルの係止固定手段
22 係止片
23 前側パネルの係止固定手段
24 施蓋ロック手段
25 仕切り板
26 固定手段
27a 係止孔
27b 係止ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15