(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029388
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】DHCPサーバおよびネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 61/5014 20220101AFI20240228BHJP
【FI】
H04L61/5014
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131615
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】300059979
【氏名又は名称】エイチ・シー・ネットワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】益子 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】江藤 馨
(57)【要約】
【課題】情報端末の入れ替えに伴うネットワークの運用を効率化することが可能なDHCPサーバおよびネットワークシステムを提供する。
【解決手段】固定IP取得部26は、固定IP設定テーブル16を参照し、対象の端末IDが入替元端末IDとして登録されている入替元ヒットであるか否かを判定し、入替元ヒットである場合、対応する固定IPアドレスを取得する。IPアドレス割り当て部27は、リース管理テーブル17を参照することで、取得された固定IPアドレスが使用状態であるか否かを判定し、未使用状態である場合、対象の端末IDに固定IPアドレスを割り当てる。設定テーブル変更部28は、条件を満たした時点で、固定IP設定テーブル16に対して、入替元端末IDの登録内容を入替先端末IDの登録内容に置き換え、入替先端末IDの登録内容を削除するという変更を行う。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末にIPアドレスを割り当てるDHCPサーバであって、
入替元の情報端末を特定する入替元端末IDと、入替先の情報端末を特定する入替先端末IDと、前記入替元端末IDまたは前記入替先端末IDに割り当てる固定IPアドレスとの対応関係を定める固定IP設定テーブルと、使用状態であるIPアドレスを表すリース管理テーブルと、を記憶するメモリと、
情報端末からのIPアドレスの割り当て要求を受信し、前記割り当て要求に含まれる端末IDを対象の端末IDとして取得する端末ID取得部と、
前記固定IP設定テーブルを参照し、前記対象の端末IDが前記入替元端末IDとして登録されている入替元ヒットであるか否かを判定し、前記入替元ヒットである場合、対応する前記固定IPアドレスを取得する固定IP取得部と、
前記リース管理テーブルを参照することで、前記固定IP取得部で取得された前記固定IPアドレスが前記使用状態であるか未使用状態であるかを判定し、前記未使用状態である場合、前記対象の端末IDに前記固定IPアドレスを割り当てるIPアドレス割り当て部と、
を備える、
DHCPサーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のDHCPサーバにおいて、
前記固定IP取得部は、前記入替元ヒットでない場合、前記対象の端末IDが前記入替先端末IDとして登録されている入替先ヒットであるか否かを判定し、前記入替先ヒットである場合、対応する前記固定IPアドレスを取得し、
前記IPアドレス割り当て部は、前記入替元ヒットまたは前記入替先ヒットに応じて取得された前記固定IPアドレスが前記未使用状態である場合、前記対象の端末IDに前記固定IPアドレスを割り当て、取得された前記固定IPアドレスが前記使用状態であり、かつ、前記入替先ヒットであった場合、前記対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当てる、
DHCPサーバ。
【請求項3】
請求項2に記載のDHCPサーバにおいて、
前記対象の端末IDに前記入替先ヒットに応じて取得された前記固定IPアドレスを割り当てた場合、前記固定IP設定テーブルに対して、前記入替元端末IDの登録内容を前記入替先端末IDの登録内容に置き換え、前記入替先端末IDの登録内容を削除するという変更を行う設定テーブル変更部を備える、
DHCPサーバ。
【請求項4】
請求項1に記載のDHCPサーバにおいて、
前記固定IP設定テーブルでは、前記対応関係に紐付けて手動切替のオン/オフを選択可能となっており、
前記手動切替のオンが選択されている際には、
前記IPアドレス割り当て部は、前記入替元ヒットでなかった場合に、前記対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当て、
手動での入力に基づく切替トリガが生じた場合に、前記固定IP設定テーブルに対して、前記入替元端末IDの登録内容を前記入替先端末IDの登録内容に置き換え、前記入替先端末IDの登録内容を削除するという変更を行う設定テーブル変更部を備える、
DHCPサーバ。
【請求項5】
請求項4に記載のDHCPサーバにおいて、
前記手動切替のオフが選択されている際には、
前記固定IP取得部は、前記入替元ヒットでない場合、前記対象の端末IDが前記入替先端末IDとして登録されている入替先ヒットであるか否かを判定し、前記入替先ヒットである場合、対応する前記固定IPアドレスを取得し、
前記IPアドレス割り当て部は、前記入替元ヒットまたは前記入替先ヒットに応じて取得された前記固定IPアドレスが前記未使用状態である場合、前記対象の端末IDに前記固定IPアドレスを割り当て、取得された前記固定IPアドレスが前記使用状態であり、かつ、前記入替先ヒットであった場合、前記対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当て、
前記設定テーブル変更部は、前記対象の端末IDに前記入替先ヒットに応じて取得された前記固定IPアドレスを割り当てた場合、前記固定IP設定テーブルに対して前記変更を行う、
DHCPサーバ。
【請求項6】
情報端末と、
前記情報端末にネットワークを介して接続され、前記情報端末にIPアドレスを割り当てるDHCPサーバと、
を有するネットワークシステムであって、
前記DHCPサーバは、
入替元の情報端末を特定する入替元端末IDと、入替先の情報端末を特定する入替先端末IDと、前記入替元端末IDまたは前記入替先端末IDに割り当てる固定IPアドレスとの対応関係を定める固定IP設定テーブルと、使用状態であるIPアドレスを表すリース管理テーブルと、を記憶するメモリと、
情報端末からのIPアドレスの割り当て要求を受信し、前記割り当て要求に含まれる端末IDを対象の端末IDとして取得する端末ID取得部と、
前記固定IP設定テーブルを参照し、前記対象の端末IDが前記入替元端末IDとして登録されている入替元ヒットであるか否かを判定し、前記入替元ヒットである場合、対応する前記固定IPアドレスを取得する固定IP取得部と、
前記リース管理テーブルを参照することで、前記固定IP取得部で取得された前記固定IPアドレスが前記使用状態であるか未使用状態であるかを判定し、前記未使用状態である場合、前記対象の端末IDに前記固定IPアドレスを割り当てるIPアドレス割り当て部と、
を備える、
ネットワークシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のネットワークシステムにおいて、
前記固定IP取得部は、前記入替元ヒットでない場合、前記対象の端末IDが前記入替先端末IDとして登録されている入替先ヒットであるか否かを判定し、前記入替先ヒットである場合、対応する前記固定IPアドレスを取得し、
前記IPアドレス割り当て部は、前記入替元ヒットまたは前記入替先ヒットに応じて取得された前記固定IPアドレスが前記未使用状態である場合、前記対象の端末IDに前記固定IPアドレスを割り当て、取得された前記固定IPアドレスが前記使用状態であり、かつ、前記入替先ヒットであった場合、前記対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当る、
ネットワークシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のネットワークシステムにおいて、
前記DHCPサーバは、前記対象の端末IDに前記入替先ヒットに応じて取得された前記固定IPアドレスを割り当てた場合、前記固定IP設定テーブルに対して、前記入替元端末IDの登録内容を前記入替先端末IDの登録内容に置き換え、前記入替先端末IDの登録内容を削除するという変更を行う設定テーブル変更部を備える、
ネットワークシステム。
【請求項9】
請求項6に記載のネットワークシステムにおいて、
前記固定IP設定テーブルでは、前記対応関係に紐付けて手動切替のオン/オフを選択可能となっており、
前記手動切替のオンが選択されている際には、
前記IPアドレス割り当て部は、前記入替元ヒットでなかった場合に、前記対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当て、
前記DHCPサーバは、手動での入力に基づく切替トリガが生じた場合に、前記固定IP設定テーブルに対して、前記入替元端末IDの登録内容を前記入替先端末IDの登録内容に置き換え、前記入替先端末IDの登録内容を削除するという変更を行う設定テーブル変更部を備える、
ネットワークシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のネットワークシステムにおいて、
前記手動切替のオフが選択されている際には、
前記固定IP取得部は、前記入替元ヒットでない場合、前記対象の端末IDが前記入替先端末IDとして登録されている入替先ヒットであるか否かを判定し、前記入替先ヒットである場合、対応する前記固定IPアドレスを取得し、
前記IPアドレス割り当て部は、前記入替元ヒットまたは前記入替先ヒットに応じて取得された前記固定IPアドレスが前記未使用状態である場合、前記対象の端末IDに前記固定IPアドレスを割り当て、取得された前記固定IPアドレスが前記使用状態であり、かつ、前記入替先ヒットであった場合、前記対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当て、
前記設定テーブル変更部は、前記対象の端末IDに前記入替先ヒットに応じて取得された前記固定IPアドレスを割り当てた場合、前記固定IP設定テーブルに対して前記変更を行う、
ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DHCPサーバおよびネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワーク管理者の負担を軽減可能なサーバ装置が示される。当該サーバ装置は、MACアドレスとIPアドレスとの対応関係が第1の予約情報として登録されるDHCP予約テーブルと、MACアドレスと固定のIPアドレスとの対応関係が第1の登録情報として登録されるアカウント管理テーブルとを備える。当該サーバ装置は、アカウント管理テーブルに第1の登録情報が登録されている場合には、それに基づいてDHCP予約テーブルに第1の予約情報を登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、社内ネットワーク等を運用する際には、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバを用いて、ネットワーク上の情報端末に固定IPアドレスを割り当てる場合がある。また、同じユーザに対して同じIPアドレスを割り当てるように運用する場合がある。同じユーザに対して同じIPアドレスを割り当てる運用の場合、ユーザが使用する情報端末を入れ替える場合には、入替元の情報端末における固定IPアドレスを、入替先の情報端末に引き継がせる必要がある。
【0005】
この場合、通常、システム管理者は、情報端末の入れ替えタイミングを見計らって、DHCPサーバが記憶する固定IPアドレスの設定テーブルを手動で変更する必要があった。その結果、システム管理者に時間的な制約が生じていた。さらに、多くの情報端末を一度に入れ替えるような場合には、システム管理者に、時間的な制約に加えて、変更作業に伴う多大な作業負荷も生じていた。また、この際には、変更作業に伴い、ネットワークの使用不可期間等が必要とされることもあった。
【0006】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、情報端末の入れ替えに伴うネットワークの運用を効率化することが可能なDHCPサーバおよびネットワークシステムを提供することにある。
【0007】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
一実施の形態によるDHCPサーバは、メモリと、端末ID取得部と、固定IP取得部と、IPアドレス割り当て部と、を備える。メモリは、入替元の情報端末を特定する入替元端末IDと、入替先の情報端末を特定する入替先端末IDと、入替元端末IDまたは入替先端末IDに割り当てる固定IPアドレスとの対応関係を定める固定IP設定テーブルと、使用状態であるIPアドレスを表すリース管理テーブルと、を記憶する。端末ID取得部は、情報端末からのIPアドレスの割り当て要求を受信し、当該割り当て要求に含まれる端末IDを対象の端末IDとして取得する。固定IP取得部は、固定IP設定テーブルを参照し、対象の端末IDが入替元端末IDとして登録されている入替元ヒットであるか否かを判定し、入替元ヒットである場合、対応する固定IPアドレスを取得する。IPアドレス割り当て部は、リース管理テーブルを参照することで、取得された固定IPアドレスが使用状態であるか否かを判定し、未使用状態である場合、対象の端末IDに固定IPアドレスを割り当てる。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すると、情報端末の入れ替えに伴うネットワークの運用を効率化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施の形態によるネットワークシステムの構成例を示す概略図である。
【
図2A】
図1における固定IP設定テーブルの構成例を示す概略図である。
【
図2B】
図1におけるリース管理テーブル17の構成例を示す概略図である。
【
図2C】
図1における動的IP設定テーブルの構成例を示す概略図である。
【
図3A】
図1におけるDHCPサーバの処理内容の一例を示すフロー図である。
【
図3B】
図1におけるDHCPサーバの処理内容の一例を示すフロー図である。
【
図4】
図1におけるDHCPサーバによって実行される、固定IP設定テーブルの変更方法を説明する図である。
【
図5】
図1におけるDHCPサーバに対する設定画面の一例を示す図である。
【
図6】
図1におけるDHCPサーバの他の処理内容の一例を示すフロー図である。
【
図7】
図1に示したネットワークシステムにおける運用方法の一例を示す図である。
【
図8】
図1に示したネットワークシステムにおける
図7とは異なる運用方法の一例を示す図である。
【
図9】
図1におけるDHCPサーバの主要部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
<ネットワークシステムの概略>
図1は、一実施の形態によるネットワークシステムの構成例を示す概略図である。
図1に示すネットワークシステムは、ネットワーク10と、情報端末TM1,TM2と、情報端末TM1,TM2にネットワーク10を介して接続されるDHCPサーバ11とを備える。ネットワーク10は、例えば、社内ネットワーク等であり、例えば、OSI参照モデルのレイヤ2(L2)の中継処理を担うL2スイッチや、レイヤ3(L3)の中継処理を担うL3スイッチ等を備える。
【0014】
情報端末TM1,TM2は、ユーザ12によって使用され、例えば、PC(Personal Computer)やタブレット端末等のコンピュータシステムである。実施の形態では、
図1に示されるように、ユーザ12が、情報端末TM1を情報端末TM2に入れ替える場合を想定する。入替元端末である情報端末TM1は、MACアドレスMA1を有し、入替先端末である情報端末TM2は、MACアドレスMA2を有する。明細書では、情報端末TM1,TM2を総称して、情報端末TMと呼ぶ。
【0015】
DHCPサーバ11は、システム管理者13によって管理され、情報端末TMにIPアドレスを割り当てる。DHCPサーバ11は、例えば、図示しないプロセッサおよびメモリ15を有するコンピュータシステムによって実現される。ただし、DHCPサーバ11は、コンピュータシステムに限らず、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで実現されてもよい。
【0016】
メモリ15は、例えば、DRAM、SRAM等の揮発性メモリと、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性メモリとの組み合わせで構成される。メモリ15は、固定IP設定テーブル16と、リース管理テーブル17と、動的IP設定テーブル18とを記憶する。また、メモリ15は、プロセッサで実行されるプログラム等も記憶する。
【0017】
図2Aは、
図1における固定IP設定テーブルの構成例を示す概略図である。
図2Aに示される固定IP設定テーブル16は、システム管理者13によって設定されるものである。具体的には、システム管理者13は、DHCPサーバ11またはDHCPサーバ11に接続される管理端末のユーザインタフェース、例えば、ディスプレイやキーボート等を介して、固定IP設定テーブル16に所定の内容を登録する。
【0018】
固定IP設定テーブル16は、入替元の情報端末TMを特定する入替元端末IDと、入替先の情報端末TMを特定する入替先端末IDと、入替元端末IDまたは入替先端末IDに割り当てる固定IPアドレスとの対応関係を定める。端末ID、すなわち端末識別子は、例えば、MACアドレスである。このように、固定IP設定テーブル16は、端末IDと固定IPアドレスとの1対1の対応関係を定める一般的な設定テーブルと異なり、端末IDとして2個の端末IDを登録可能となっている。
【0019】
この例では、システム管理者13は、入替元端末IDに、情報端末TM1のMACアドレスMA1を登録し、入替先端末IDに、情報端末TM2のMACアドレスMA2を登録している。また、システム管理者13は、MACアドレスMA1,MA2に対応して、固定IPアドレスIPAs1、例えば、“10.10.10.123”等を登録している。
【0020】
さらに、固定IP設定テーブル16では、前述した対応関係に紐付けて手動切替のオン/オフを選択可能となっている。この例では、システム管理者13は、手動切替のオフを選択している。詳細は後述するが、DHCPサーバ11は、手動切替のオン/オフに関わらず、所定の条件を満たした時点で、固定IP設定テーブル16の登録内容を自動的に変更する。ただし、所定の条件を満たす時点は、手動切替のオフが選択されている際には、自動的に定められ、手動切替のオンが選択されている際には、手動で定められる。
【0021】
また、固定IP設定テーブル16には、例えば、前述した対応関係に紐付けて、リース有効期間に伴う残りの有効期間も表示される。DHCPサーバ11は、一般的に、情報端末TMにIPアドレスを割り当てた際に、当該IPアドレスの使用可能期間をリース有効期間として管理する。リース有効期間は、通常、24時間以内の長さに設定されることが多い。
【0022】
DHCPサーバ11は、例えば、固定IP設定テーブル16を表示する際に、入替元端末IDであるMACアドレスMA1に固定IPアドレスIPAs1を割り当て中であった場合、残りのリース有効期間を算出して表示する。これにより、システム管理者13は、入替元端末が稼働中か否か、および稼働中の場合には、どの程度で有効期間が過ぎるかを確認した上で、各種登録を行うことができる。
【0023】
なお、情報端末TMは、通常、リース有効期間の半分を経過した時点で、DHCPサーバ11に、割り当て中のIPアドレスを含んだDHCPリクエストメッセージを送信する。これに応じて、DHCPサーバ11は、当該IPアドレスに対するリース有効期間を延長する。また、情報端末TMは、通常、シャットダウン時に、DHCPサーバ11に、割り当て中のIPアドレスを含んだDHCPリリースメッセージを送信する。これに応じて、DHCPサーバ11は、当該IPアドレスを使用状態から未使用状態に変更する。
【0024】
図2Bは、
図1におけるリース管理テーブル17の構成例を示す概略図である。
図2Bに示されるリース管理テーブル17は、使用状態であるIPアドレスを表すものであり、DHCPサーバ11によって登録されるものである。この例では、リース管理テーブル17は、使用状態であるIPアドレスと、当該IPアドレスを割り当てている端末IDと、残りのリース有効期間との対応関係を表す。
【0025】
図2Bの例では、DHCPサーバ11は、MACアドレスMA1に固定IPアドレスIPAs1を割り当てた際に、その対応関係と、残りのリース有効期間とをリース管理テーブル17に登録する。また、DHCPサーバ11は、MACアドレスMA2に動的IPアドレスIPAd1を割り当てた際に、その対応関係と、残りのリース有効期間とをリース管理テーブル17に登録する。なお、DHCPサーバ11は、残りのリース有効期間が過ぎた場合、または、DHCPリリースメッセージを受信した場合に、対応するIPアドレスのエントリをリース管理テーブル17から削除し、当該IPアドレスを未使用状態として管理する。
【0026】
図2Cは、
図1における動的IP設定テーブルの構成例を示す概略図である。
図2Cに示される動的IP設定テーブル18は、固定IP設定テーブル16の場合と同様に、システム管理者13によって設定されるものである。システム管理者13は、動的IP設定テーブル18に対して、動的IPアドレスのリース範囲を、最小値IPAd(min)、例えば“10.20.10.10”と、最大値IPAd(max)、例えば、“10.20.10.100”を用いて登録する。DHCPサーバ11は、情報端末TMに動的IPアドレスを割り当てる際には、動的IP設定テーブル18に基づくリース範囲の中から、リース管理テーブル17に基づく未使用状態の動的IPアドレスを選択する。
【0027】
<DHCPサーバの動作>
図3Aおよび
図3Bは、
図1におけるDHCPサーバの処理内容の一例を示すフロー図である。
図3Aにおいて、DHCPサーバ11は、情報端末TMからのIPアドレスの割り当て要求を受信し、当該割り当て要求に含まれる端末ID、例えばMACアドレスを、対象の端末IDとして取得する(ステップS101)。続いて、DHCPサーバ11は、取得した対象の端末IDをキーに固定IP設定テーブル16を参照し(ステップS102)、対象の端末IDが入替元端末IDとして登録されている入替元ヒットであるか否かを判定する(ステップS103)。
【0028】
ステップS103で入替元ヒットである場合(“Yes”の場合)、DHCPサーバ11は、対応する固定IPアドレスを取得する(ステップS104a)。次いで、DHCPサーバ11は、取得した固定IPアドレスをキーにリース管理テーブル17を参照し(ステップS105a)、取得した固定IPアドレスが使用状態であるか未使用状態であるかを判定する(ステップS106a)。
【0029】
ステップS106aで未使用状態である場合(“Yes”の場合)、DHCPサーバ11は、対象の端末ID、すなわち入替元端末IDに、取得した固定IPアドレスを割り当てる(ステップS107a)。そして、DHCPサーバ11は、リース管理テーブル17に、対象の端末ID、すなわち入替元端末IDと、割り当てた固定IPアドレスとの対応関係、例えば、
図2BにおけるMACアドレスMA1と固定IPアドレスIPAs1との対応関係を、残りのリース有効期間と共に登録する(ステップS108a)。
【0030】
一方、ステップS106aで使用状態である場合(“No”の場合)、DHCPサーバ11は、リース有効期間の延長またはエラー処理を行う(ステップS109a)。具体的には、DHCPサーバ11は、入替元端末IDと固定IPアドレスとの対応関係が既にリース管理テーブル17に登録されている状態で、ステップS101で入替元端末IDからの割り当て要求を受信した場合には、リース有効期間を延長する。一方、DHCPサーバ11は、入替元端末IDとは異なる端末IDと固定IPアドレスとの対応関係がリース管理テーブル17に登録されている状態で、ステップS101で入替元端末IDからの割り当て要求を受信した場合には、エラー処理を行う。
【0031】
また、ステップS103で入替元ヒットでない場合(“No”の場合)、
図3Bに示されるように、DHCPサーバ11は、手動切替のオフが選択されているか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201で手動切替のオンが選択されている際には(“No”の際には)、DHCPサーバ11は、対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当てる(ステップS204)。すなわち、手動切替のオンが選択されている際には、DHCPサーバ11は、ステップS103で入替元ヒットでなかった場合、言い換えれば、入替元端末IDとは異なる端末IDからの割り当て要求である場合、動的IPアドレスを割り当てる。
【0032】
そして、DHCPサーバ11は、対象の端末ID、すなわち入替元端末IDとは異なる端末IDと、割り当てた動的IPアドレスとの対応関係を、残りのリース有効期間と共にリース管理テーブル17に登録する(ステップS205)。このように、手動切替のオンが選択されている際には、DHCPサーバ11は、実質的に、固定IPアドレスと入替元端末IDとの1対1の対応関係が登録された一般的な設定テーブルに基づく割り当て処理と同様の処理を行う。
【0033】
一方、ステップS201で手動切替のオフが選択されている際には(“Yes”の際には)、DHCPサーバ11は、対象の端末IDが入替先端末IDとして登録されている入替先ヒットであるか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202で入替先ヒットでない場合(“No”の場合)、すなわち、入替元ヒットでも入替先ヒットでもないミスヒットの場合、DHCPサーバ11は、ステップS204,S205において、対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当て、リース管理テーブル17に、割り当て内容を登録する。
【0034】
また、ステップS202で入替先ヒットである場合(“Yes”の場合)、DHCPサーバ11は、
図3Aに示したステップS104a~S108aの場合と同様にして、ステップS104b~S108bの処理を行う。すなわち、DHCPサーバ11は、固定IP設定テーブル16を参照して、対応する固定IPアドレスを取得する(ステップS104b)。そして、DHCPサーバ11は、リース管理テーブル17を参照して、取得した固定IPアドレスが未使用状態である場合、対象の端末ID、すなわち入替元端末IDに固定IPアドレスを割り当てる(ステップS105b~S107b)。
【0035】
このように、DHCPサーバ11は、ステップS107a,S107bに示されるように、入替元ヒットまたは入替先ヒットに応じて取得された固定IPアドレスが未使用状態である場合、対象の端末ID、すなわち入替元端末IDまたは入替先端末IDに固定IPアドレスを割り当てる。そして、DHCPサーバ11は、リース管理テーブル17に、割り当て内容を登録する(ステップS108a,S108b)。
【0036】
ただし、入替元ヒットと入替先ヒットとでは、ステップS109と、ステップS204,205とに示されるように、取得した固定IPアドレスが使用状態である場合の処理内容が異なる。具体的には、DHCPサーバ11は、ステップS106bにおいて、取得された固定IPアドレスが使用状態である場合(“No”の場合)、すなわち、使用状態であり、かつ、入替先ヒットであった場合、対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当てる(ステップS204)。そして、DHCPサーバ11は、リース管理テーブル17に、入替先端末IDと、割り当てた動的IPアドレスとの対応関係、例えば、
図2BにおけるMACアドレスMA2と動的IPアドレスIPAd1との対応関係を登録する(ステップS205)。
【0037】
さらに、入替先ヒットでは、入替元ヒットの場合と異なり、ステップS108bの後に、ステップS203の処理が行われる。ステップS203において、DHCPサーバ11は、固定IP設定テーブル16を変更する。すなわち、DHCPサーバ11は、入替先ヒットであった場合(ステップS202:Yesの場合)、かつ、対象の端末IDである入替先端末IDに固定IPアドレスを割り当てた場合(ステップS107b)、固定IP設定テーブル16を変更する。
【0038】
図4は、
図1におけるDHCPサーバによって実行される、固定IP設定テーブルの変更方法を説明する図である。
図3BでのステップS203に際し、DHCPサーバ11は、
図4に示されるように、固定IP設定テーブル16に対して、入替元端末IDの登録内容、ここでは、MACアドレスMA1を、入替先端末IDの登録内容、ここでは、MACアドレスMA2に置き換える。そして、DHCPサーバ11は、入替先端末IDの登録内容、ここでは、MACアドレスMA2を削除する。
【0039】
その結果、DHCPサーバ11は、以降、MACアドレスMA2を有する情報端末TM2を、入替元端末として取り扱う。そして、DHCPサーバ11は、以降に生じる情報端末TM2からの割り当て要求に対しては、
図3Aに示したフローを実行することになる。
【0040】
図5は、
図1におけるDHCPサーバに対する設定画面の一例を示す図である。
図5に示される設定画面20は、DHCPサーバ11、または、その管理端末のディスプレイに表示されるものである。当該設定画面20には、固定IP設定テーブル16に加えて、切替トリガのボタン21が表示される。また、固定IP設定テーブル16では、
図2Aの場合と異なり、固定IPアドレスIPAs1のエントリに対する手動切替として、オンが選択されている。
【0041】
図6は、
図1におけるDHCPサーバの他の処理内容の一例を示すフロー図である。
図6において、DHCPサーバ11は、固定IP設定テーブル16において、手動切替のオンが選択されているエントリが有るか否かを判定する(ステップS301)。DHCPサーバ11は、ステップS301で手動切替のオンが選択されているエントリが無い場合(“No”の場合)には、処理を終了する。
【0042】
一方、DHCPサーバ11は、ステップS301で手動切替のオンが選択されているエントリが有る場合(“Yes”の場合)には、切替トリガを監視し(ステップS302)、切替トリガが検出されるのを待つ(ステップS303)。
図5の例では、DHCPサーバ11は、切替トリガのボタン21が押されたか否かを監視する。なお、切替トリガは、ボタン21に限らず、システム管理者13の手動での入力に基づいて生じるものであればよい。具体的には、切替トリガは、例えば、システム管理者13が手動でタイマの時間や発生時刻等をセットし、それに基づいて生じるようなものであってもよい。
【0043】
ステップS303で切替トリガを検出した場合(“Yes”の場合)、DHCPサーバ11は、固定IP設定テーブル16において、手動切替のオンが選択されているエントリを変更する(ステップS304)。具体的には、DHCPサーバ11は、
図4に示したように、固定IP設定テーブル16に対して、入替元端末IDの登録内容を、入替先端末IDの登録内容に置き換え、入替先端末IDの登録内容を削除する。
【0044】
なお、DHCPサーバ11は、手動切替のオンが選択されているエントリが複数存在する場合、例えば、1個のボタン21に応じて、複数のエントリを一度に変更する。ただし、これに限らず、例えば、エントリ毎に切替トリガのボタンを設ける、または、エントリを選択した上で切替トリガのボタンを押すことにより、エントリ毎に切替トリガを与えるような方式であってもよい。
【0045】
<ネットワークの運用方法>
[手動切替オフ]
図7は、
図1に示したネットワークシステムにおける運用方法の一例を示す図である。ここでは、固定IP設定テーブル16において、手動切替のオフが選択されている場合を想定する。
図7において、まず、システム管理者13は、例えば、情報端末TMの入れ替え日の前日以前に、DHCPサーバ11の固定IP設定テーブル16に対して、
図2Aに示したような内容を登録しておく(ステップS401)。この場合、入替元端末IDは、情報端末TM1のMACアドレスMA1であり、入替先端末IDは、情報端末TM2のMACアドレスMA2である。
【0046】
続いて、ユーザ12は、入れ替え日に、情報端末TM1を起動する(ステップS402)。これに伴い、DHCPサーバ11は、情報端末TM1からのIPアドレスの割り当て要求、例えばDHCPディスカバーメッセージを受信し(ステップS403)、当該割り当て要求に含まれる情報端末TM1のMACアドレスMA1を取得する(ステップS404)。
【0047】
次いで、DHCPサーバ11は、取得したMACアドレスMA1をキーに固定IP設定テーブル16を参照し、これによって取得した固定IPアドレスIPAs1をキーにリース管理テーブル17を参照する(ステップS405)。その結果、DHCPサーバ11は、固定IPアドレスIPAs1が未使用状態であることを認識し、情報端末TM1に固定IPアドレスIPAs1を割り当てる(ステップS406)。また、これに伴い、DHCPサーバ11は、リース管理テーブル17に、割り当て内容を登録する。
【0048】
その後、ユーザ12は、情報端末TM2を起動する(ステップS407)。これに伴い、DHCPサーバ11は、情報端末TM2からのIPアドレスの割り当て要求、例えばDHCPディスカバーメッセージを受信し(ステップS408)、当該割り当て要求に含まれる情報端末TM2のMACアドレスMA2を取得する(ステップS409)。
【0049】
次いで、DHCPサーバ11は、各種テーブルを参照する(ステップS410)。具体的には、DHCPサーバ11は、取得したMACアドレスMA2をキーに固定IP設定テーブル16を参照し、固定IPアドレスIPAs1を取得する。ただし、固定IPアドレスIPAs1は、リース管理テーブル17において使用状態となっている。そこで、DHCPサーバ11は、動的IP設定テーブル18およびリース管理テーブル17に基づいて、未使用状態の動作IPアドレスIPAd1を選択する。
【0050】
そして、DHCPサーバ11は、選択した動作IPアドレスIPAd1を情報端末TM2に割り当てる(ステップS411)。また、これに伴い、DHCPサーバ11は、リース管理テーブル17に、割り当て内容を登録する。この状態で、ユーザ12は、例えば、情報端末TM1から情報端末TM2に業務データや設定データ等の移行作業を行う(ステップS412)。
【0051】
また、移行作業を終了すると、ユーザ12は、情報端末TM1をシャットダウンする(ステップS413)。情報端末TM1は、シャットダウン時に、DHCPサーバ11にDHCPリリースメッセージを送信する(ステップS414)。これに応じて、DHCPサーバ11は、リース管理テーブル17を更新し、固定IPアドレスIPAs1を未使用状態に変更する。
【0052】
その後、ユーザ12は、例えば、情報端末TM2を再起動する(ステップS415)。これに伴い、DHCPサーバ11は、情報端末TM2からのIPアドレスの割り当て要求を受信し(ステップS416)、当該割り当て要求に含まれる情報端末TM2のMACアドレスMA2を取得する(ステップS417)。なお、情報端末TM2の再起動に伴い、動的IPアドレスIPAd1は、未使用状態となる。
【0053】
次いで、DHCPサーバ11は、各種テーブルを参照する(ステップS418)。具体的には、DHCPサーバ11は、取得したMACアドレスMA2をキーに固定IP設定テーブル16を参照し、固定IPアドレスIPAs1を取得する。固定IPアドレスIPAs1は、ステップS414に伴い、リース管理テーブル17において未使用状態となっている。
【0054】
そこで、DHCPサーバ11は、情報端末TM2に、固定IPアドレスIPAs1を割り当てる(ステップS419)。また、これに伴い、DHCPサーバ11は、リース管理テーブル17に、割り当て内容を登録する。さらに、DHCPサーバ11は、
図4に示したように、固定IP設定テーブル16を変更する(ステップS420)。
【0055】
これにより、同じユーザに対して同じIPアドレスを割り当てるという運用において、ユーザの情報端末TMの入れ替えに伴うネットワークの運用を効率化することが可能になる。特に、システム管理者13の作業負荷を軽減することが可能になる。比較例として、端末IDと固定IPアドレスとの1対1の対応関係を定める一般的な設定テーブルを用いる場合を想定する。この場合、システム管理者13は、例えば、ステップS412における情報端末TMの移行作業が終えるタイミングを見計らって、設定テーブルを手動で変更する必要があった。その結果、システム管理者13に時間的な制約が生じていた。
【0056】
さらに、情報端末TMの入れ替え台数が多くなると、現実的には、例えば、ある程度の期間内に、各ユーザ12に移行作業を行わせ、その後、ネットワーク10の使用不可期間を設けて、当該期間内で、システム管理者13が、設定テーブルの登録内容を纏めて変更する、といった運用が必要であった。この場合、ネットワーク10の利用効率が下がり、また、ネットワーク10の使用不可期間を短くするために、システム管理者13に多大な作業負荷を負わせる必要があった。
【0057】
一方、
図7の場合には、システム管理者13は、ステップS401において、固定IP設定テーブル16に対し、例えば、入れ替え日の前日までの都合のよいタイミングで入替先端末IDを登録しておけばよい。また、システム管理者13は、入れ替え日には、特に何も行う必要がない。さらに、ネットワーク10の不使用期間を設ける必要もない。これらの結果、ネットワークの運用を効率化することが可能になる。
【0058】
[手動切替オン]
図8は、
図1に示したネットワークシステムにおける
図7とは異なる運用方法の一例を示す図である。ここでは、固定IP設定テーブル16において、手動切替のオンが選択されている場合を想定する。
図8において、まず、システム管理者13は、
図7の場合と同様に、例えば、情報端末TMの入れ替え日の前日以前に、DHCPサーバ11の固定IP設定テーブル16に対して、
図5に示したような内容を登録しておく(ステップS501)。
【0059】
続いて、ステップS502~S511においても、
図7に示したステップS402~S411の場合と同様の処理を順次行われる。ただし、ステップS510において、DHCPサーバ11は、ステップS410の場合と異なり、固定IPアドレスを取得することなく、MACアドレスMA2が入替元端末IDとして登録されていないことに基づいて、動的IPアドレスIPAd1を選択する。そして、DHCPサーバ11は、
図7におけるステップS411の場合と同様に、選択した動的IPアドレスIPAd1を情報端末TM2に割り当てる(ステップS511)。
【0060】
その後、
図7のステップS412の場合と同様に、ユーザ12は、情報端末TM1から情報端末TM2への移行作業を行う(ステップS512)。移行作業が完了したのち、
図7の場合と異なり、システム管理者13の入力に基づいて、切替トリガが生成される(ステップS513)。これに応じて、DHCPサーバ11は、
図4に示したように、固定IP設定テーブル16を変更する(ステップS514)。
【0061】
これによっても、情報端末TMの入れ替えに伴うネットワークの運用を効率化することが可能になる。すなわち、システム管理者13は、ステップS501において、固定IP設定テーブル16に対し、入れ替え日の前日までの都合のよいタイミングで入替先端末IDを登録しておけばよい。また、システム管理者13は、入れ替え日には、例えば、
図5に示した切替トリガのボタン21を押せばよく、システム管理者13に多大な作業負荷は生じない。
【0062】
なお、手動切替のオンは、固定IP設定テーブル16の変更が、意図せずに生じる事態を確実に防止したい場合に有益である。具体的には、例えば、ユーザ12が移行作業を終えたのち、入替先の情報端末TM2の実際の適用日を先延ばしにし、その間、入替元の情報端末TM1を使用したいような場合が挙げられる。また、
図7においては、例えば、移行作業の最中に、ユーザ12が、情報端末TM1をシャットダウンした状態で情報端末TM2を起動すると、意図せずに、固定IP設定テーブル16の変更が生じ得る。このような事態を防止したい場合が挙げられる。
【0063】
<DHCPサーバの構成>
図9は、
図1におけるDHCPサーバの主要部の構成例を示すブロック図である。
図9に示されるDHCPサーバ11は、メモリ15に加えて、端末ID取得部25と、固定IP取得部26と、IPアドレス割り当て部27と、設定テーブル変更部28と、を備える。これらの各部は、例えば、プロセッサがメモリ15内のプログラムを実行することで実現される。ただし、
図1で述べたように、これらの各部は、一部または全てが、FPGAやASIC等のハードウェアで実現されてもよい。
【0064】
メモリ15は、前述したように、固定IP設定テーブル16と、リース管理テーブル17と、動的IP設定テーブル18とを記憶する。ここで、まずは、手動切替のオフが選択されている場合を想定して、各部の動作を説明する。端末ID取得部25は、
図3AにおけるステップS101に示したように、情報端末TMからのIPアドレスの割り当て要求を受信し、当該割り当て要求に含まれる端末IDを対象の端末IDとして取得する。
【0065】
固定IP取得部26は、ステップS102,S103に示したように、固定IP設定テーブル16を参照し、対象の端末IDが入替元端末IDとして登録されている入替元ヒットであるか否かを判定する。そして、固定IP取得部26は、入替元ヒットである場合、ステップS104aに示したように、対応する固定IPアドレスを取得する。また、固定IP取得部26は、入替元ヒットでない場合、
図3BにおけるステップS202に示したように、対象の端末IDが入替先端末IDとして登録されている入替先ヒットであるか否かを判定する。そして、固定IP取得部26は、入替先ヒットである場合、ステップS104bに示したように、対応する固定IPアドレスを取得する。
【0066】
このように、固定IP取得部26は、固定IP設定テーブル16を参照し、入替元ヒットであるか、入替先ヒットであるか、その他、すなわちミスヒットであるかを判定する。そして、固定IP取得部26は、入替元ヒットまたは入替先ヒットである場合には、対応する固定IPアドレスを取得する。
【0067】
IPアドレス割り当て部27は、
図3Aおよび
図3BにおけるステップS106a,S106bに示したように、リース管理テーブル17を参照することで、入替元ヒットまたは入替先ヒットに応じて取得された固定IPアドレスが使用状態であるか未使用状態であるかを判定する。そして、IPアドレス割り当て部27は、取得された固定IPアドレスが未使用状態である場合、ステップS107a,S107bに示したように、対象の端末IDを有する情報端末TMに、固定IPアドレスを割り当てる。
【0068】
一方、IPアドレス割り当て部27は、取得された固定IPアドレスが使用状態であり、かつ、入替先ヒットであった場合、
図3BにおけるステップS204に示したように、対象の端末IDを有する情報端末TMに動的IPアドレスを割り当てる。この際に、IPアドレス割り当て部27は、リース管理テーブル17および動的IP設定テーブル18に基づいて、動的IPアドレスを選択する。
【0069】
設定テーブル変更部28は、条件を満たした時点で、固定IP設定テーブル16に対して、入替元端末IDの登録内容を入替先端末IDの登録内容に置き換え、入替先端末IDの登録内容を削除する。詳細には、設定テーブル変更部28は、
図3BにおけるステップS203に示したように、対象の端末IDに固定IPアドレスを割り当てた場合、かつ、入替先ヒットであった場合に、固定IP設定テーブル16を変更する。
【0070】
次に、手動切替のオンが選択されている場合を想定する。この場合、IPアドレス割り当て部27は、
図3Aおよび
図3BにおけるステップS103,S201,S204に示したように、入替元ヒットでなかった場合に、対象の端末IDに動的IPアドレスを割り当てる。また、設定テーブル変更部28は、
図6におけるステップS303,S304に示したように、手動での入力に基づく切替トリガが生じた場合に、固定IP設定テーブル16を変更する。
【0071】
<実施の形態の主要な効果>
以上、実施の形態の方式では、入替元端末IDと入替先端末IDとを登録可能な固定IP設定テーブル16が設けられる。そして、DHCPサーバ11は、条件を満たした時点で、当該固定IP設定テーブル16の登録内容を自動的に変更可能となっている。これにより、代表的には、情報端末TMの入れ替えに伴うネットワークの運用を効率化することが可能になる。具体的には、システム管理者13の作業負荷を軽減することや、または、ネットワークの利用効率を高めることが可能になる。
【0072】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0073】
例えば、前述したプログラムは、非一時的な有形のコンピュータ可読記録媒体に格納された上で、コンピュータに供給され得る。このような記録媒体として、例えば、ハードディスクドライブ等を代表とする磁気記録媒体、DVD(Digital Versatile Disc)やブルーレイディスク等を代表とする光記録媒体、フラッシュメモリ等を代表とする半導体メモリ等が挙げられる。
【符号の説明】
【0074】
10:ネットワーク、11:DHCPサーバ、15:メモリ、16:固定IP設定テーブル、17:リース管理テーブル、18:動的IP設定テーブル、21:切替トリガのボタン、25:端末ID取得部、26:固定IP取得部、27:IPアドレス割り当て部、28:設定テーブル変更部、TM:情報端末