IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

特開2024-29406情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図4A
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図4B
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図4C
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図7A
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図7B
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図7C
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029406
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240228BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240228BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240228BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240228BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240228BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240228BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/00 170
H02J7/35 K
G06Q50/06
H02J3/00 180
H02J3/38 130
H02J3/46
H02J7/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131637
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 昭人
(72)【発明者】
【氏名】谷 祐志
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5L049
【Fターム(参考)】
5G066AA03
5G066AA09
5G066AE09
5G066HA13
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA08
5G503CA11
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA05
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5L049CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】気象情報に応じて蓄電池のSOCの目標値を設定することにより、蓄電池を有効活用することが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】発電システムにおいて、プロセッサ及び記憶装置を有する情報処理装置である監視制御装置は、再生可能エネルギーを利用する発電設備の発電電力の少なくとも一部を充電する蓄電池の充放電に係るスポット取引計画の入札に際して、スポット取引計画の取引日の翌日における前記発電設備の設置場所の気象情報を取得する気象情報取得部と、気象情報に応じて、取引日における蓄電池のSOC(State Of Charge)の目標値を設定するSOC目標値設定部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及び記憶装置を有し、
再生可能エネルギーを利用する発電設備の発電電力の少なくとも一部を充電する蓄電池の充放電に係るスポット取引計画の入札に際して、
前記スポット取引計画の取引日の翌日における前記発電設備の設置場所の気象情報を取得し、
前記気象情報に応じて、前記取引日における前記蓄電池のSOC(State Of Charge)の目標値を設定する、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記気象情報が台風の接近を示す情報を含むとき、前記取引日の夜間における前記蓄電池のSOCの目標値を第1割合に設定する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記気象情報が発雷を示す情報を含むとき、前記取引日の夜間における前記蓄電池のSOCの目標値を前記第1割合よりも小さい第2割合に設定する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記気象情報が台風の接近又は発雷を示す情報を含まないとき、前記取引日の夜間における前記蓄電池のSOCの目標値を前記第2割合よりも小さい第3割合に設定する、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記取引日における前記発電設備の予測発電量、予測電力価格、SOCの目標値に基づいて、前記取引日における収益が最大となるように前記蓄電池の充放電を計画する、
情報処理装置。
【請求項6】
プロセッサ及び記憶装置を有する情報処理装置が、
再生可能エネルギーを利用する発電設備の発電電力の少なくとも一部を充電する蓄電池の充放電に係るスポット取引計画の入札に際して、
前記スポット取引計画の取引日の翌日における前記発電設備の設置場所の気象情報を取得し、
前記気象情報に応じて、前記取引日における前記蓄電池のSOCの目標値を設定する、
情報処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理方法であって、
前記気象情報が台風の接近を示す情報を含むとき、前記取引日の夜間における前記蓄電池のSOCの目標値を第1割合に設定する、
情報処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理方法であって、
前記気象情報が発雷を示す情報を含むとき、前記取引日の夜間における前記蓄電池のSOCの目標値を前記第1割合よりも小さい第2割合に設定する、
情報処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理方法であって、
前記気象情報が台風の接近を示す情報及び発雷を示す情報を含まないとき、前記取引日の夜間における前記蓄電池のSOCの目標値を前記第2割合よりも小さい第3割合に設定する、
情報処理方法。
【請求項10】
請求項6に記載の情報処理方法であって、
前記取引日における前記発電設備の予測発電量、予測電力価格、SOCの目標値に基づいて、前記取引日における収益が最大となるように前記蓄電池の充放電を計画する、
情報処理方法。
【請求項11】
プロセッサ及び記憶装置を有するコンピュータに、
再生可能エネルギーを利用する発電設備の発電電力の少なくとも一部を充電する蓄電池の充放電に係るスポット取引計画の入札に際して、
前記スポット取引計画の取引日の翌日における前記発電設備の設置場所の気象情報を取得する処理と、
前記気象情報に応じて、前記取引日における前記蓄電池のSOCの目標値を設定する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポット取引計画の入札に際して、再生可能エネルギーを利用する発電設備の発電電力の少なくとも一部を充電する蓄電池のSOC(State Of Charge)の目標値を設定するための情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽電池と、パワーコンディショナと、蓄電システムと、を備えた太陽光発電システムが開示されている。蓄電システムは、太陽電池の直流電力を蓄える蓄電池と、上記の直流電力を所定の直流電力に変換して蓄電池を充電するコンバータと、蓄電池に蓄えられた直流電力を放電するスイッチと、上記のスイッチから放電された直流電力をパワーコンディショナへ導くダイオードと、パワーコンディショナの入力電力を検出して検出信号を出力するセンサと、上記の検出信号に基づいてコンバータ及びスイッチを制御する制御部と、を備えている。そして、日中の時間帯では太陽電池が発電する余剰電力を蓄電池に充電し、夜間の時間帯では蓄電池に既に充電されている電力を放電する、所謂タイムシフトを行うことにより、需要家に対して太陽電池の発電電力を効率的に供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-98952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の太陽光発電システムでは、当日における蓄電池の最終的なSOCは、日中における太陽電池の余剰電力や、夜間における需要家の電力需要等に依存して様々な割合となる。例えば、当日における蓄電池の最終的なSOCが低い割合のまま、翌日における天候が太陽光による日射が太陽電池まで届きにくい状況(例えば曇天、雨天、雪天、台風等)となった場合、蓄電池は充電不足になることから、夜間に需要家の電力需要に応えられなくなる虞があった。一方、当日における蓄電池の最終的なSOCが高い割合のまま、翌日における天候が太陽光による日射が太陽電池まで届く状況(例えば晴天等)となった場合、蓄電池には容量的に太陽電池の余剰電力を充電する余裕がないことから、日中における安価な太陽電池の余剰電力を蓄電池に充電(タイムシフト)する機会を逸する虞があった。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、スポット取引計画の入札に際して、再生可能エネルギーを利用する発電設備の発電電力の少なくとも一部を充電する蓄電池のSOCの目標値を、スポット取引計画の取引日の翌日における発電設備の設置場所の気象情報に応じて設定することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明のうちの1つは、プロセッサ及び記憶装置を有する情報処理装置であって、再生可能エネルギーを利用する発電設備の発電電力の少なくとも一部を充電する蓄電池の充放電に係るスポット取引計画の入札に際して、前記スポット取引計画の取引日の翌日における前記発電設備の設置場所の気象情報を取得し、前記気象情報に応じて、前記取引日における前記蓄電池のSOCの目標値を設定する。
【0007】
本発明の情報処理装置によれば、気象情報に応じて蓄電池のSOCの目標値を設定することにより、蓄電池を有効活用することが可能となる。例えば、気象情報が太陽光による日射が発電設備まで届きにくいことを示す情報(例えば曇天、雨天、雪天、台風等)である場合、夜間における蓄電池のSOCの目標値を高い割合(例えば100%)に設定することにより、取引日の翌日は、非常用電源として蓄電池に既に充電されている電力を放電することが可能となる。一方、気象情報が太陽光による日射が発電設備まで届くことを示す情報(例えば晴天等)である場合、夜間における蓄電池のSOCの目標値を低い割合(例えば0%)に設定することにより、取引日の翌日は、蓄電池に日中の安価な電力を充電することが可能となる。
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、情報処理装置であって、前記気象情報が台風の接近を示す情報を含むとき、前記取引日の夜間における前記蓄電池のSOCの目標値を第1割合(例えば100%)に設定する。
【0009】
本発明の情報処理装置によれば、台風が接近すると、太陽光による日射が発電設備まで届きにくくなるとともに、家屋において停電、水害、倒壊等の被害が発生する可能性が高まるため、取引日の夜間における蓄電池のSOCの目標値を第1割合に設定することにより、取引日の翌日は、蓄電池を非常用電源として利用することが可能となる。
【0010】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、情報処理装置であって、前記気象情報が発雷を示す情報を含むとき、前記取引日の夜間における前記蓄電池のSOCの目標値を前記第1割合よりも小さい第2割合(例えば30%)に設定する。
【0011】
本発明の情報処理装置によれば、雷が発生すると、太陽光による日射が発電設備まで届きにくくなるとともに、家屋において停電、火災等の被害が発生する可能性が高まるため、取引日の夜間における蓄電池のSOCの目標値を第2割合に設定することにより、取引日の翌日は、蓄電池を非常用電源として利用することが可能となる。
【0012】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、情報処理装置であって、前記気象情報が台風の接近又は発雷を示す情報を含まないとき(例えば晴天等)、前記取引日の夜間における前記蓄電池のSOCの目標値を前記第2割合よりも小さい第3割合(例えば0%)に設定する。
【0013】
本発明の情報処理装置によれば、太陽光による日射が発電設備まで十分に届く天候であるため、取引日の夜間における蓄電池のSOCの目標値を第3割合に設定することにより、取引日の翌日は、蓄電池に日中の安価な電力を充電することが可能となる。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、情報処理装置であって、前記取引日における前記発電設備の予測発電量、予測電力価格、SOCの目標値に基づいて、前記取引日における収益が最大となるように前記蓄電池の充放電を計画する。
【0015】
本発明の情報処理装置によれば、取引日における蓄電池のSOCの目標値に応じて、取引日における蓄電池の充放電に伴う収益は異なってくるが、取引日における蓄電池のSOCの目標値の達成を優先しつつ、蓄電池が充放電を行う時間帯を適宜選択することにより、取引日における蓄電池のSOCの目標値に応じて取得し得る収益を最大とすることが可能となる。
【0016】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、気象情報に応じて蓄電池のSOCの目標値を設定することにより、蓄電池を有効活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る情報処理装置を用いる発電システムの概略的な構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る情報処理装置に記憶される、気象情報と日中及び夜間における蓄電池のSOCの目標値とを対応付けた一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る情報処理装置によって実現される監視制御装置の主な機能を示すブロック図である。
図4A】本実施形態に係る情報処理装置に用いる日射量予測値の一例を示す図である。
図4B】本実施形態に係る情報処理装置に用いる実測実績値の一例を示す図である。
図4C】本実施形態に係る情報処理装置に用いる予測発電量の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェアの一例を示すブロック図である。
図6】本実施形態に係る情報処理装置がスポット取引計画を決定するときの処理の一例を示すフローチャートである。
図7A】本実施形態に係る情報処理装置において、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報が台風の接近を示す情報を含むときの、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池のSOCの一例を示す図である。
図7B】本実施形態に係る情報処理装置において、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報が発雷を示す情報を含むときの、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池のSOCの一例を示す図である。
図7C】本実施形態に係る情報処理装置において、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報が晴天を示す情報を含むときの、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池のSOCの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態において、同一の又は類似する構成については共通の符号を付してその説明を省略することがある。また、本実施形態において、「情報」、「データ」、「テーブル」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。また、本実施形態において、符号の前に付している「S」の文字は処理ステップを意味する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置10(詳細は後述する)を用いる発電システム100の概略的な構成を示すブロック図である。尚、本実施形態では、再生可能エネルギーを利用する発電設備として、例えば太陽光発電設備(以下、「PV発電設備」(PV:Photo Voltaic)と称する。)110を採用することとする。
【0021】
発電システム100は、PV発電設備110と、PV発電設備110の監視や制御を行うための各種の設備や装置を含む。具体的には、発電システム100は、PV発電設備110の他に、蓄電池120、蓄電池制御装置130、気象情報提供装置140、監視制御装置150(情報処理装置10)、計測装置160を含む。
【0022】
PV発電設備110、蓄電池120、蓄電池制御装置130、気象情報提供装置140、監視制御装置150、計測装置160は、通信ネットワーク170を介して互いに双方向通信が可能な状態で接続されている。尚、通信ネットワーク170は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用線、電力線通信網、各種公衆通信網等である。また、PV発電設備110、蓄電池120、計測装置160は、通信ネットワーク170の他に、一般送配電事業者等によって運用される電力系統180にも接続されている。また、気象情報提供装置140は、通信ネットワーク170の他、インターネット190にも接続されている。尚、インターネット190の代わりに、通信ネットワーク170を共用するようにしてもよい。
【0023】
PV発電設備110は、例えば、多結晶シリコン型発電素子、単結晶シリコン型発電素子、薄膜型発電素子等を用いて構成される太陽光発電パネルを備える。また、PV発電設備110は、太陽光発電パネルによって発電された直流を交流に変換して電力系統180に供給する、インバータ又はパワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning Subsystem)を備える。また、PV発電設備110は、電力系統180の周波数、過電圧、電圧不足、停電等を検出して電力系統180との接続を切り離す系統連系保護装置を備える。
【0024】
蓄電池120は、例えば、鉛電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池、燃料電池、キャパシタ電池等である。蓄電池120は、電力系統180との間で充放電を行うためのインバータ又はパワーコンディショナを備える。
【0025】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10に記憶される、気象情報と日中及び夜間における蓄電池のSOCの目標値とを対応付けた気象情報SOCテーブル210の一例を示す図である。尚、日中とは、PV発電設備110が太陽光による発電を行うことが可能とされる、スポット取引計画の取引日における日の出から日の入りまでの時間帯であることとする。また、夜間とは、PV発電設備110が太陽光による発電を行うことが不可能とされる、スポット取引計画の取引日における日の入り以後の時間帯であることとする。蓄電池120の充放電に係るスポット取引計画の入札日(例えばスポット取引計画の取引日の前日)において、取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値は、取引日の翌日におけるPV発電設備110の設置場所の気象情報に応じて設定される。例えば、取引日の翌日におけるPV発電設備110の設置場所の気象情報が台風の接近を示す情報を含むとき、取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値は例えば100%(第1割合)に設定される。つまり、取引日における蓄電池120は、取引日の翌日に台風が接近した場合には非常用電源として利用できるように、日中はPV発電設備110の余剰電力を満充電し、夜間は既に充電されている電力を放電しないように制御される。また、取引日の翌日におけるPV発電設備110の設置場所の気象情報が発雷の可能性が高い等の発雷を示す情報を含むとき、取引日の日中における蓄電池120のSOCの目標値は例えば100%に設定され、取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値は例えば30%(第2割合)に設定される。つまり、取引日における蓄電池120は、取引日の翌日に発雷した場合には非常用電源として利用できるように、日中はPV発電設備110の余剰電力を満充電し、夜間は既に充電されている電力の一部を放電するように制御される。また、取引日の翌日におけるPV発電設備110の設置場所の気象情報が台風の接近及び発雷以外を示す情報(例えば晴天等)を含むとき、取引日の日中における蓄電池120のSOCの目標値は例えば100%に設定され、取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値は例えば0%(第3割合)に設定される。つまり、取引日における蓄電池120は、取引日の翌日の日中における安価な電力を充電できるように、日中はPV発電設備110の余剰電力を満充電し、夜間は既に充電されている全電力を放電するように制御される。尚、取引日の翌日におけるPV発電設備110の設置場所の気象情報が台風の接近及び発雷以外を示す情報を含む例として、上記の晴天を示す情報を含む場合もあれば、曇天、雨天、雪天等を示す情報を含む場合もある。取引日の翌日における気象情報が曇天、雨天、雪天等を示す情報を含む場合、取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値は、取引日の翌日における気象情報が晴天を示す情報を含む場合とは異なる割合(第2割合よりも小さい割合)に設定される。
【0026】
蓄電池120は、取引日の日中及び夜間におけるSOCが目標値となることを優先しつつ、PV発電設備110の発電電力の計画値に対する余剰分の電力の充電又は不足分の電力の放電を行う役割を果たす。
【0027】
図1に戻り、蓄電池制御装置130は、監視制御装置150から通信ネットワーク170を介して受信する制御指示に基づいて、取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCが目標値となることを優先しつつ、蓄電池120の充電制御又は放電制御(以下、「充放電制御」と称する。)を行う。尚、蓄電池120が蓄電池制御装置130の機能を兼ね備えることとしてもよい。
【0028】
監視制御装置150は、FIP(Feed In Premium)制度の下で、取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCが目標値となることを優先しつつ、PV発電設備110から電力系統180への電力の供給量が予め設定された電力量(計画量)を上回る場合は、蓄電池120が余剰分の電力を充電するように、蓄電池制御装置130に蓄電池120のための制御指示(充電指示)を送信し、一方、PV発電設備110から電力系統180への電力の供給量が上記の計画値を下回る場合は、蓄電池120が不足分の電力を電力系統180に向けて放電するように、蓄電池制御装置130に蓄電池120のための制御指示(放電指示)を送信する。
【0029】
気象情報提供装置140は、PV発電設備110の設置場所の周辺地域に存在する気象観測所や、インターネット190上の気象情報提供サーバ195から、スポット取引計画の取引日の当日及び翌日における気象情報を取得し、取得した気象情報を監視制御装置150に随時提供する。本実施形態では、気象情報は、台風の接近を示す情報、発雷を示す情報、台風の接近及び発雷以外の情報(例えば晴天等)の何れかであることとする。また、気象情報提供装置140は、取得した気象情報に基づいて、スポット取引計画の取引日の日中におけるPV発電設備110の設置場所の日射量を予測し、予測した日射量(以下、「日射量予測値」と称する。)を監視制御装置150に随時提供する。また、気象情報提供装置140は、気象観測所や気象情報提供サーバ195から提供される、過去の所定期間(例えば、過去数年間)におけるPV発電設備110の設置場所の日射量(以下、「日射量実測値」と称する。)を蓄積管理し、日射量実測値を監視制御装置150に随時提供する。
【0030】
計測装置160は、電力系統180の状態に関する情報(周波数、過電圧、電圧不足、停電有無等)を計測し、計測値を通信ネットワーク170を介して監視制御装置150に送信する。
【0031】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置10によって実現される監視制御装置150の主な機能を示すブロック図である。監視制御装置150は、記憶部200、気象情報取得部300、日射量予測値取得部305、実測実績値管理部310、予測発電量算出部315、予測電力価格算出部320、SOC目標値設定部325、充電計画量算出部330、放電計画量算出部335、発電出力変動抑制部340を備える。
【0032】
上記の機能のうち、記憶部200は、主な情報(データ)として、気象情報205、気象情報SOCテーブル210、日射量予測値215、実測実績値220、予測発電量225、予測電力価格230、SOC目標値235、充電計画量240、放電計画量245を記憶する。
【0033】
気象情報205は、気象情報提供装置140から提供される、スポット取引計画の取引日の翌日におけるPV発電設備110の設置場所の気象情報である。
【0034】
気象情報SOCテーブル210は、気象情報と日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値とを対応付けた図2の情報である。気象情報SOCテーブル210は、例えば、監視制御装置150が予め作成した情報、又は、外部の情報処理装置(不図示)が予め作成した後に監視制御装置150に読み込んだ情報である。
【0035】
図4Aは、日射量予測値215の一例を示す図である。日射量予測値215は、気象情報提供装置140から提供される、スポット取引計画の取引日におけるPV発電設備110の設置場所の日射量予測値である。日射量予測値215は、日時215A及び日射量予測値215Bの各項目を有する複数のレコードからなるテーブル構造を有する。日射量予測値215の1つのレコードは、スポット取引計画の取引日の予測時間帯(日時215A)における日射量予測値215Bに対応する。
【0036】
図3に戻り、記憶部200が記憶する上記の情報のうち、実測実績値220は、過去の所定期間における、PV発電設備110の設置場所の天候と、PV発電設備110の設置場所の日射量の実測値と、PV発電設備110の発電量の実績値(以下、「発電量実績値」と称する。)と、を対応づけた情報を含む。
【0037】
図4Bは、実測実績値220の一例を示す図である。実測実績値220は、年月日220A、天候220B、日射量実測値220C、発電量実績値220Dの各項目を有する複数のレコードからなるテーブル構造を有する。実測実績値220の1つのレコードは、過去のある日(年月日220A)における実測実績値(日射量実測値220C、発電量実績値220D等)に対応する。実測実績値220によれば、過去のある日における、天候、日射量実測値、発電量実績値を得ることができる。
【0038】
図3に戻り、記憶部200が記憶する上記の情報のうち、予測発電量225は、日射量予測値215に基づき算出される、スポット取引計画の取引日におけるPV発電設備110の発電量の予測値である。
【0039】
記憶部200が記憶する上記の情報のうち、予測電力価格230は、日射量予測値215、実測実績値220、電力価格の過去実績に基づき算出される、スポット取引計画の取引日における電力価格の予測値である。
【0040】
図4Cは、予測発電量225の一例を示す図である。予測発電量225は、日時225A及び予測発電量225Bの各項目を有する複数のレコードからなるテーブル構造を有する。予測発電量225の1つのレコードは、スポット取引計画の取引日の予測時間帯(日時225A)における予測発電量225Bに対応する。
【0041】
記憶部200が記憶する上記の情報のうち、SOC目標値235は、スポット取引計画の入札に際して、図2に示す気象情報と日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値とを対応付けた情報を参照しつつ、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205に基づいて設定される、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値である。例えば、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205が台風の接近を示す情報を含むとき、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値はともに100%に設定され、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205が発雷を示す情報を含むとき、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値は夫々100%、30%に設定され、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205が台風の接近及び発雷以外の情報(例えば晴天等)を含むとき、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値は夫々100%、0%に設定される。
【0042】
記憶部200が記憶する上記の情報のうち、充電計画量240は、予測発電量225、予測電力価格230、SOC目標値235に基づいて算出される、PV発電設備110から電力系統180への電力の供給量を適正(計画値同時同量)とする、スポット取引計画の取引日における蓄電池120に対する充電量の計画値である。
【0043】
記憶部200が記憶する上記の情報のうち、放電計画量245は、予測電力価格230、SOC目標値235、充電計画量240に基づいて算出される、スポット取引計画の取引日における蓄電池120に対する放電量の計画値である。尚、充電計画量240は、蓄電池120の容量以下の範囲で算出され、放電計画量245は、充電計画量240以下の範囲で算出される。例えば、スポット取引計画の取引日の夜間における蓄電池120のSOCを0%にする場合、充電計画量240及び放電計画量245は等しくなるように算出される。
【0044】
図3に示す機能のうち、気象情報取得部300は、気象情報提供装置140から通信ネットワーク170を介してスポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205を取得する。記憶部200は、気象情報取得部300が取得した気象情報205を記憶する。
【0045】
日射量予測値取得部305は、気象情報提供装置140から通信ネットワーク170を介してスポット取引計画の取引日における日射量予測値215を取得する。記憶部200は、日射量予測値取得部305が取得した日射量予測値215を記憶する。
【0046】
実測実績値管理部310は、日射量実測値220C及び発電量実績値220D等の実測実績値220を管理する。実測実績値管理部310は、例えば、監視制御装置150が作成した発電量実績値220Dを管理する。また、実測実績値管理部310は、例えば、気象情報提供装置140から取得した日射量実測値220Cを管理する。記憶部200は、実測実績値管理部310が管理する日射量実測値220C及び発電量実績値220D等の実測実績値220を記憶する。
【0047】
予測発電量算出部315は、PV発電設備110の仕様、日射量予測値215、実測実績値220に基づいて、スポット取引計画の取引日におけるPV発電設備110の予測発電量225を算出する。また、予測発電量算出部315は、例えば、PV発電設備110の仕様、日射量予測値215、実測実績値220の関係を学習したモデル(機械学習モデル、ルールベース)に基づいて、予測発電量225を算出するようにしてもよい。記憶部200は、予測発電量算出部315が算出した予測発電量225を記憶する。
【0048】
予測電力価格算出部320は、例えば、スポット取引計画の取引日の前日までに、日射量予測値215、実測実績値220、電力価格の過去実績に基づいて、例えば電力価格の予測モデルを用いて、スポット取引計画の取引日における電力価格の予測値(以下、「予測電力価格230」と称する)を一定時間(例えば30分)単位で算出する。記憶部200は、予測電力価格算出部320が算出した予測電力価格230を記憶する。
【0049】
SOC目標値設定部325は、スポット取引計画の入札に際して、図2に示す気象情報と日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値とを対応付けた情報と、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205と、に基づいて、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値(SOC目標値235)を設定する。記憶部200は、SOC目標値設定部325が設定したSOC目標値235を記憶する。
【0050】
充電計画量算出部330は、予測発電量225、予測電力価格230、SOC目標値235に基づいて、スポット取引計画の取引日において蓄電池120がPV発電設備110の余剰電力を充電する際の充電計画量240を算出する。記憶部200は、充電計画量算出部330が算出した充電計画量240を記憶する。
【0051】
放電計画量算出部335は、予測電力価格230、SOC目標値235、充電計画量240に基づいて、スポット取引計画の取引日において蓄電池120がPV発電設備110から充電済みの電力を電力系統180に放電する際の放電計画量245を算出する。記憶部200は、放電計画量算出部335が算出した放電計画量245を記憶する。
【0052】
発電出力変動抑制部340は、PV発電設備110の発電量や計測装置160から送信される電力系統180の情報(周波数、過電圧、電圧不足、停電有無等)を監視し、蓄電池120がPV発電設備110の予測発電量225に対する余剰分の電力の充電又は不足分の電力の放電を行うことにより、PV発電設備110の出力変動を補い、PV発電設備110から電力系統180への電力の供給量が適正になるように、蓄電池120の充放電を制御する。発電出力変動抑制部340は、上記の制御のための充電指示又は放電指示を蓄電池制御装置130に随時送信する。
【0053】
図5は、監視制御装置150の実現に用いる情報処理装置10のハードウェアの一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置14、出力装置15、通信装置16を備える。情報処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、オフィスコンピュータ、各種サーバ装置、汎用機等である。情報処理装置10は、その全部又は一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。監視制御装置150は、通信可能に接続された複数の情報処理装置10を用いて実現されるものであってもよい。
【0054】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成される。
【0055】
主記憶装置12は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0056】
補助記憶装置13は、例えば、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカード、光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置13には、記録媒体の読取装置や通信装置16を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置13に記憶されているプログラムやデータは主記憶装置12に随時読み込まれる。
【0057】
入力装置14は、外部からの入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、ペン入力方式のタブレット、音声入力装置等である。
【0058】
出力装置15は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置15は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。尚、情報処理装置10は、通信装置16を介して他の装置との間で情報の入力や出力を行う構成としてもよい。
【0059】
入力装置14及び出力装置15は、ユーザとの間で情報の受け付けや情報の提示を行うユーザインタフェースを構成する。
【0060】
通信装置16は、通信ネットワーク5等の通信基盤を介した他の装置との間での通信(有線通信又は無線通信)を実現する装置であり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USBモジュール等を用いて構成される。
【0061】
尚、情報処理装置10には、例えば、オペレーティングシステム、ファイルシステム、DBMS(Data Base Management System)(リレーショナルデータベース、NoSQL等)、KVS(Key-Value Store)等が導入されていてもよい。
【0062】
監視制御装置150が備える機能は、情報処理装置10のプロセッサ11が、主記憶装置12に記憶されているプログラムを読み出して実行するか、或いは、監視制御装置150を構成するハードウェア(FPGA、ASIC、AIチップ等)自体の機能によって実現される。監視制御装置150は、前述した各種の情報(データ)を、例えば、データベースのテーブルやファイルシステムが管理するファイルとして記憶する。
【0063】
図6は、スポット取引計画の入札に際して、スポット取引計画を決定するときの監視制御装置150の処理の一例を示すフローチャートである。尚、監視制御装置150は、発電システム100の管理者等が監視制御装置150のユーザインタフェースに対して所定の開始操作を行ったことを契機として一連の処理を開始する。また、説明の便宜上、気象情報取得部300が取得する、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205は、気象情報SOCテーブル210内の気象情報と同様に、台風の接近を示す情報、発雷を示す情報、台風の接近及び発雷以外(例えば晴天等)を示す情報、の3種類であることとする。
【0064】
先ず、発電システム100の管理者等が監視制御装置150のユーザインタフェースに対して所定の開始操作を行ったことを契機として、日射量予測値取得部305は、気象情報提供装置140からスポット取引計画の取引日における日射量予測値215を取得する。記憶部200は、日射量予測値取得部305が取得した日射量予測値215を記憶する(S101)。
【0065】
次に、予測発電量算出部315は、PV発電設備110の仕様、日射量予測値215、実測実績値220に基づいて、スポット取引計画の取引日におけるPV発電設備110の予測発電量225を算出する。記憶部200は、予測発電量算出部315が算出した予測発電量225を記憶する(S102)。
【0066】
次に、予測電力価格算出部320は、日射量予測値215、実測実績値220、電力価格の過去実績に基づいて、スポット取引計画の取引日における予測電力価格230を一定時間単位で算出する。記憶部200は、予測電力価格算出部320が算出した予測電力価格230を記憶する(S103)。
【0067】
次に、気象情報取得部300は、気象情報提供装置140からスポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205を取得する。記憶部200は、気象情報取得部300が取得した気象情報205を記憶する(S104)。
【0068】
次に、SOC目標値設定部325は、気象情報205が気象情報SOCテーブル210内に存在する何れの気象情報に該当するのかを判定する(S105)。
【0069】
例えば、気象情報205が台風の接近を示す情報に該当するとき(S106:YES)、SOC目標値設定部325は、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値をともに100%に設定する。記憶部200は、SOC目標値設定部325が設定したSOC目標値235を記憶する(S107)。
【0070】
次に、充電計画量算出部330は、予測発電量225、予測電力価格230、ステップS107のSOC目標値235に基づいて、スポット取引計画の取引日において蓄電池120がPV発電設備110の余剰電力を充電する際の充電計画量240を算出する。記憶部200は、充電計画量算出部330が算出した充電計画量240を記憶する(S108)。具体的には、ステップS107において、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値はともに100%に設定されているため、充電計画量算出部330は、日中は蓄電池120に電力を満充電し、夜間は日中に蓄電池120に満充電された電力をそのまま保持することを示す充電計画量240を算出する。
【0071】
次に、放電計画量算出部335は、予測電力価格230、ステップS107のSOC目標値235、充電計画量240に基づいて、スポット取引計画の取引日において蓄電池120がPV発電設備110から充電済みの電力を電力系統180に放電する際の放電計画量245を算出する。記憶部200は、放電計画量算出部335が算出した放電計画量245を記憶する(S109)。具体的には、ステップS107において、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値はともに100%に設定されているため、放電計画量算出部335は、日中に蓄電池120に満充電された電力を終日放電しないことを示す放電計画量245を算出する。尚、ステップS107のSOC目標値235を達成するに際して、電力価格が最低価格となる日中の時間帯を選んで蓄電池120に電力を充電することにより、スポット取引計画の取引日における損失を最小限に抑えることができる。
【0072】
次に、監視制御装置150は、ステップS107のSOC目標値235に対応する充電計画量240及び放電計画量245に基づいて、入札可能なスポット取引計画を決定する(S110)。
【0073】
また、気象情報205が台風の接近を示す情報には該当せず(S106:NO)、発雷確率が高い等の発雷を示す情報に該当するとき(S111:YES)、SOC目標値設定部325は、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値を夫々100%、30%に設定する。記憶部200は、SOC目標値設定部325が設定したSOC目標値235を記憶する(S112)。
【0074】
次に、充電計画量算出部330は、予測発電量225、予測電力価格230、ステップS112のSOC目標値235に基づいて、スポット取引計画の取引日における蓄電池120の充電計画量240を算出する。記憶部200は、充電計画量算出部330が算出した充電計画量240を記憶する(S108)。具体的には、ステップS112において、スポット取引計画の取引日の日中における蓄電池120のSOCの目標値は100%に設定されているため、充電計画量算出部330は、日中に蓄電池120に電力を満充電することを示す充電計画量240を算出する。
【0075】
次に、放電計画量算出部335は、予測電力価格230、ステップS112のSOC目標値235、充電計画量240に基づいて、スポット取引計画の取引日における蓄電池120の放電計画量245を算出する。記憶部200は、放電計画量算出部335が算出した放電計画量245を記憶する(S109)。具体的には、ステップS112において、スポット取引計画の取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値は30%に設定されているため、放電計画量算出部335は、日中に蓄電池120に満充電された電力の一部(70%)を放電することを示す放電計画量245を算出する。尚、ステップS112のSOC目標値235を達成するに際して、電力価格が最低価格となる日中の時間帯を選んで蓄電池120に電力を充電し、電力価格が最高価格となる夜間の時間帯を選んで蓄電池120に充電されている電力を放電することにより、スポット取引計画の取引日における収益を最大にすることができる。
【0076】
次に、監視制御装置150は、ステップS112のSOC目標値235に対応する充電計画量240及び放電計画量245に基づいて、入札可能なスポット取引計画を決定する(S110)。
【0077】
また、気象情報205が台風の接近を示す情報及び発雷を示す情報の何れにも該当しないとき(S111:NO)、晴天を示す情報に該当することとして、SOC目標値設定部325は、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値を夫々100%、0%に設定する。記憶部200は、SOC目標値設定部325が設定したSOC目標値235を記憶する(S113)。
【0078】
次に、充電計画量算出部330は、予測発電量225、予測電力価格230、ステップS113のSOC目標値235に基づいて、スポット取引計画の取引日における蓄電池120の充電計画量240を算出する。記憶部200は、充電計画量算出部330が算出した充電計画量240を記憶する(S108)。具体的には、ステップS113において、スポット取引計画の取引日の日中における蓄電池120のSOCの目標値は100%に設定されているため、充電計画量算出部330は、日中に蓄電池120に電力を満充電することを示す充電計画量240を算出する。
【0079】
次に、放電計画量算出部335は、予測電力価格230、ステップS113のSOC目標値235、充電計画量240に基づいて、スポット取引計画の取引日における蓄電池120の放電計画量245を算出する。記憶部200は、放電計画量算出部335が算出した放電計画量245を記憶する(S109)。具体的には、ステップS113において、スポット取引計画の取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値は0%に設定されているため、放電計画量算出部335は、日中に蓄電池120に満充電された電力の全てを放電することを示す放電計画量245を算出する。尚、ステップS113のSOC目標値235を達成するに際して、電力価格が最低価格となる日中の時間帯を選んで蓄電池120に電力を充電し、電力価格が最高価格となる夜間の時間帯を選んで蓄電池120に充電されている全ての電力を放電することにより、スポット取引計画の取引日における収益を最大にすることができる。
【0080】
次に、監視制御装置150は、ステップS113のSOC目標値235に対応する充電計画量240及び放電計画量245に基づいて、入札可能なスポット取引計画を決定する(S110)。
【0081】
尚、気象情報SOCテーブル210が、気象情報の種類として、台風の接近、発雷、晴天の他に、曇天、雨天、雪天を有し、日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値として、気象情報の各種類に対応する値を有するようにし、SOC目標値設定部325が、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205が、気象情報SOCテーブル210内の何れの気象情報に該当するのかをより詳しく判定するようにしてもよい。また、気象情報SOCテーブル210の代わりに、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205に予め定められた処理を行うことにより、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値を算出する関数を用いるようにしてもよい。また、監視制御装置150の代わりに、過去における、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報と、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値と、を対応付けた学習データを読み込んで学習を行う学習モデルを有し、人工知能であるAIを実現するコンピュータを用いてもよい。また、気象情報205が台風の接近及び発雷を示す情報であるときは基準値以上に該当し、気象情報205が台風の接近及び発雷以外を示す情報であるときは基準値未満に該当するような基準値を定め、気象情報205が基準値以上又は基準値未満の何れに該当するのかに応じて、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値を設定するようにしてもよい。
【0082】
図7Aは、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205が台風の接近を示す情報を含むときの、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCを示す図である。尚、説明の便宜上、スポット取引計画の取引日の前日及びスポット取引計画の取引日における天候はともに晴天であることとする。
【0083】
スポット取引計画の取引日の前日は、天候が晴天であるため、夜間に蓄電池120に既に充電されている電力を全て放電し、夜間における蓄電池120のSOCを0%にする。つまり、スポット取引計画の取引日における蓄電池120の初期SOCを0%にする。スポット取引計画の取引日は、日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値をともに100%に設定するため、日中に蓄電池120に電力を満充電するとともに、夜間に蓄電池120に既に充電されている電力をそのまま保持し、夜間における蓄電池120のSOCを100%にする。つまり、スポット取引計画の取引日の翌日における蓄電池120の初期SOCを100%にする。従って、スポット取引計画の取引日の翌日における天候として台風が接近したとしても、蓄電池120を非常用電源として利用することが可能となる。
【0084】
図7Bは、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205が発雷を示す情報を含むときの、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCを示す図である。尚、説明の便宜上、スポット取引計画の取引日の前日及びスポット取引計画の取引日における天候はともに晴天であることとする。
【0085】
スポット取引計画の取引日の前日は、天候が晴天であるため、夜間に蓄電池120に既に充電されている電力を全て放電し、夜間における蓄電池120のSOCを0%にする。つまり、スポット取引計画の取引日における蓄電池120の初期SOCを0%にする。スポット取引計画の取引日は、日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値を夫々100%、30%に設定するため、日中に蓄電池120に電力を満充電するとともに、夜間に蓄電池120に既に充電されている電力の一部(70%)を放電し、夜間における蓄電池120のSOCを30%にする。つまり、スポット取引計画の取引日の翌日における蓄電池120の初期SOCを30%にする。従って、スポット取引計画の取引日の翌日における天候として雷が発生したとしても、蓄電池120を非常用電源として利用することが可能となる。
【0086】
図7Cは、スポット取引計画の取引日の翌日における気象情報205が晴天を示す情報を含むときの、スポット取引計画の取引日の日中及び夜間における蓄電池120のSOCを示す図である。尚、説明の便宜上、スポット取引計画の取引日の前日及びスポット取引計画の取引日における天候はともに晴天であることとする。
【0087】
スポット取引計画の取引日の前日は、天候が晴天であるため、夜間に蓄電池120に既に充電されている電力を全て放電し、夜間における蓄電池120のSOCを0%にする。つまり、スポット取引計画の取引日における蓄電池120の初期SOCを0%にする。スポット取引計画の取引日は、日中及び夜間における蓄電池120のSOCの目標値を夫々100%、0%に設定するため、日中に蓄電池120に電力を満充電するとともに、夜間に蓄電池120に既に充電されている電力を全て放電し、夜間における蓄電池120のSOCを0%にする。つまり、スポット取引計画の取引日の翌日における蓄電池120の初期SOCを0%にする。従って、スポット取引計画の取引日の翌日における天候が晴天になると、日中に蓄電池120に安価な電力を満充電することが可能となる。
【0088】
以上説明したように、プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13を有する情報処理装置10(監視制御装置150)は、PV発電設備110の発電電力の少なくとも一部を充電する蓄電池120の充放電に係るスポット取引計画の入札に際して、スポット取引計画の取引日の翌日におけるPV発電設備110の設置場所の気象情報205を取得し、気象情報205に応じて、取引日における蓄電池120のSOCの目標値を設定する。
【0089】
情報処理装置10によれば、気象情報205に応じて蓄電池120のSOCの目標値を設定することにより、蓄電池120を有効活用することが可能となる。例えば、気象情報205が太陽光による日射がPV発電設備110まで届きにくいことを示す情報(例えば曇天、雨天、雪天、台風等)である場合、夜間における蓄電池120のSOCの目標値を高い割合(例えば100%)に設定することにより、取引日の翌日は、非常用電源として蓄電池120に既に充電されている電力を放電することが可能となる。一方、気象情報205が太陽光による日射が発電設備まで届くことを示す情報(例えば晴天等)である場合、夜間における蓄電池120のSOCの目標値を低い割合(例えば0%)に設定することにより、取引日の翌日は、蓄電池120に日中の安価な電力を充電することが可能となる。
【0090】
また、情報処理装置10は、気象情報205が台風の接近を示す情報を含むとき、取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値を第1割合(例えば100%)に設定する。
【0091】
情報処理装置10によれば、台風が接近すると、太陽光による日射がPV発電設備110まで届きにくくなるとともに、家屋において停電、水害、倒壊等の被害が発生する可能性が高まるため、取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値を第1割合に設定することにより、取引日の翌日は、蓄電池120を非常用電源として利用することが可能となる。
【0092】
また、情報処理装置10は、気象情報205が発雷を示す情報を含むとき、取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値を第1割合よりも小さい第2割合(例えば30%)に設定する。
【0093】
情報処理装置10によれば、雷が発生すると、太陽光による日射がPV発電設備110まで届きにくくなるとともに、家屋において停電、火災等の被害が発生する可能性が高まるため、取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値を第2割合に設定することにより、取引日の翌日は、蓄電池を非常用電源として利用することが可能となる。
【0094】
また、情報処理装置10は、気象情報205が台風の接近又は発雷を示す情報を含まないとき(例えば晴天等)、取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値を第2割合よりも小さい第3割合(例えば0%)に設定する。
【0095】
情報処理装置10によれば、太陽光による日射がPV発電設備110まで十分に届く天候であるため、取引日の夜間における蓄電池120のSOCの目標値を第3割合に設定することにより、取引日の翌日は、蓄電池120に日中の安価な電力を充電することが可能となる。
【0096】
情報処理装置10は、取引日における予測発電量225、予測電力価格230、SOC目標値235に基づいて、取引日における収益が最大となるように蓄電池120の充放電を計画する。
【0097】
情報処理装置10によれば、取引日における蓄電池120のSOC目標値235に応じて、取引日における蓄電池120の充放電に伴う収益は異なってくるが、取引日における蓄電池120のSOC目標値235の達成を優先しつつ、蓄電池120が充放電を行う時間帯を適宜選択することにより、取引日における蓄電池120のSOC目標値235に応じて取得し得る収益を最大とすることが可能となる。
【0098】
尚、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0099】
10 情報処理装置
11 プロセッサ
12 主記憶装置
13 補助記憶装置
14 入力装置
15 出力装置
16 通信装置
100 発電システム
110 PV発電システム
120 蓄電池
130 蓄電池制御装置
140 気象情報提供装置
150 監視制御装置
160 計測装置
170 通信ネットワーク
180 電力系統
190 インターネット
195 気象情報提供サーバ
200 記憶部
205 気象情報
210 気象情報SOCテーブル
215 日射量予測値
220 実測実績値
225 予測発電量
230 予測電力価格
235 SOC目標値
240 充電計画量
245 放電計画量
300 気象情報取得部
305 日射量予測値取得部
310 実測実績値管理部
315 予測発電量算出部
320 予測電力価格算出部
325 SOC目標値設定部
330 充電計画量算出部
335 放電計画量算出部
340 発電出力変動抑制部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C