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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002942
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】放電加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23H 1/04 20060101AFI20231228BHJP
   B23H 7/22 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B23H1/04 Z
B23H7/22 C
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098506
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/355,107
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】111137349
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】112114522
(32)【優先日】2023-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519404230
【氏名又は名称】日揚科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】寇崇善
(72)【発明者】
【氏名】葉文勇
(72)【発明者】
【氏名】陳長營
【テーマコード(参考)】
3C059
【Fターム(参考)】
3C059AA01
3C059AB05
(57)【要約】
【課題】放電加工装置を提供する。
【解決手段】放電加工装置は、ステージと、放電加工ユニットと、補正装置と、を少なくとも備える。ステージは、少なくとも一つの加工対象物を乗せるためのものである。放電加工ユニットは、電極と、給電ユニットと、を少なくとも備え、加工方向に沿って、電極が加工対象物の加工目標領域に対して放電加工手順を行うためのものである。電極の外面に補正対象区域が現れたときに、補正装置は電極に対して補正手順を行うことにより、放電を安定化する効果を得ることができ、放電加工手順において、短絡が発生する問題を回避することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの加工対象物を乗せるためのステージと、
電極と、給電ユニットと、を少なくとも備え、前記電極は、加工方向に沿って、前記ステージでの前記加工対象物の少なくとも一つの加工目標領域に対して、放電加工手順を行い、前記電極は、放電区分において、フローティング状態にあり、前記給電ユニットは、前記放電加工手順において、前記電極と前記加工対象物とに第1の電源を供給して、前記放電区分における前記電極を経由して、前記加工対象物の前記加工目標領域に放電エネルギーを加えるためのものである放電加工ユニットと、
前記電極の外面の補正対象区域に対して、補正手順を行うことにより、前記電極の前記外面を補正するためのものである補正装置と、
を少なくとも備えることを特徴とする放電加工装置。
【請求項2】
前記補正装置は、前記電極が、前記加工目標領域に対して、前記放電加工手順を行うと共に、前記電極に対して前記補正手順を行うことを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項3】
前記補正装置は、前記電極が、前記加工目標領域に対して、前記放電加工手順を行う前、又は前記放電加工手順を行った後、前記電極に対して前記補正手順を行うことを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項4】
前記補正装置は、前記電極のロス速度と、前記放電加工手順の送り速度とによって、定量的調整方式で前記電極の前記外面を補正することを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の放電加工装置。
【請求項5】
前記補正装置は、前記電極の即時の状態によって、ダイナミック調整方式で前記電極の前記外面を補正することを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の放電加工装置。
【請求項6】
前記補正装置はドレッシングツールを備え、前記ドレッシングツールと前記電極は、前記補正手順において、相対変位して、前記電極の前記外面を補正することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項7】
前記補正装置は、升降機構及び/又は水平移動機構を備えることにより、前記ドレッシングツールを設けることができ、前記ドレッシングツールを移動して、前記電極に対して相対変位をすることができることを特徴とする、請求項6に記載の放電加工装置。
【請求項8】
前記ドレッシングツールは、レーザー光源、切削工具、又は研磨部材であることを特徴とする、請求項6に記載の放電加工装置。
【請求項9】
前記補正装置は、更に、チップス除去エレメントを備え、前記チップス除去エレメントにより、前記補正装置が前記補正手順を行うと共に、前記電極の前記外面を補正するときに発生された切りくずが除去されることを特徴とする、請求項6に記載の放電加工装置。
【請求項10】
前記補正装置は、スクロール機構を備え、前記スクロール機構は、前記補正手順において、前記電極をスクロールするためのものであり、前記電極の前記補正対象区域が前記加工対象物の前記加工目標領域を避けることが可能であり、前記電極の前記外面を補正することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項11】
前記補正装置は、更に、スリッティングエレメントを備え、前記スリッティングエレメントは、前記放電区分において、前記電極を互いに平行な複数の電極ストリップに分割するためのものであることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項12】
前記放電加工ユニットは、更に、クランプエレメントを備え、前記クランプエレメントは、前記電極が前記放電加工手順を行うときに、前記電極の前記放電区分の少なくとも一側をクランプし、且つ前記補正装置が前記補正手順を行うときに、前記電極の前記放電区分の前記少なくとも一側をリリースするためのものであることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項13】
前記放電加工装置は、更に、チップス排出ユニットを備え、前記放電加工ユニットが前記加工対象物に対して前記放電加工手順を行うときに、前記チップス排出ユニットは、少なくとも一つの外力を提供して、前記電極が前記加工対象物に対して前記放電エネルギーを加えるときに発生された残留物を排除することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項14】
前記チップス排出ユニットは、前記加工対象物の形状に基づいて、前記外力の加え方向または加え位置を調整して、前記残留物を排除することを特徴とする、請求項13に記載の放電加工装置。
【請求項15】
前記放電加工ユニットは、更に、ジグを備え、前記ジグは、少なくとも二つの乗せ部材および少なくとも二つの保持部材をそれぞれ対応して組付けて構成され、前記二つの保持部材は二つの台座に設けられており、前記台座は移動機構または回動機構であり、前記台座により、前記放電加工ユニットが、前記加工方向に沿って前記放電加工手順を行うときに、前記電極の前記放電区分と、前記加工対象物の前記加工目標領域とは、往復方式または循環方式で相対移動することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項16】
前記電極は、前記二つの乗せ部材を包み込み、又はその両側がそれぞれ前記二つの乗せ部材に当接することにより、前記電極は、前記放電区分において、フローティング状態にあることを特徴とする、請求項15に記載の放電加工装置。
【請求項17】
前記補正装置は、更に、方向修正エレメントを備え、前記方向修正エレメントにより、前記電極の前記加工方向に発生されたズレ現象を基づいて、前記電極と前記加工対象物の相対的方向を調整して、前記加工方向を修正することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項18】
前記補正装置は、前記外面に、前記補正対象区域の電極移動位置を現れることにより、前記補正対象区域が前記加工対象物の前記加工目標領域を避け、前記補正対象区域は、断裂現象または断裂痕であることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項19】
前記電極は、複数あり、前記放電区分において、第1の方向及び/又は第3の方向に沿って互いに平行であるように配列され、前記第3の方向は前記第1の方向に垂直であることを特徴とする、請求項1から3及び6から17のいずれかの一つに記載の放電加工装置。
【請求項20】
前記補正装置は、更に、電極調整エレメントを備え、前記電極調整エレメントは、前記複数の電極を分離することにより、前記複数の電極は、前記放電区分において、互いに平行であるように配列される状態を保持することを特徴とする、請求項19に記載の放電加工装置。
【請求項21】
前記放電加工ユニットは、更に分離用カラムを備え、前記複数の電極は前記分離用カラムに押し付けることにより、前記複数の電極は、前記放電区分において、互いに平行であることを特徴とする、請求項19に記載の放電加工装置。
【請求項22】
更に、安定部材を備え、前記安定部材は、複数の案内溝を有し、前記案内溝はそれぞれ前記電極を可動的に収納することにより、前記電極の安定化および案内が行われて、前記電極は、前記加工方向に沿って、前記放電加工手順を行うことを特徴とする、請求項19に記載の放電加工装置。
【請求項23】
前記補正装置は、前記複数の電極の前記外面に、前記補正対象区域の少なくとも一つの電極移動位置を現れることにより、前記補正対象区域が前記加工対象物の前記加工目標領域を避け、前記補正対象区域は、断裂現象または断裂痕であることを特徴とする、請求項19に記載の放電加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関し、特に、放電加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体産業の活発な発展に伴い、放電加工技術は結晶インゴットまたはウェーハを加工するために一般的に使用されてきた。放電加工(Electrical Discharge Machining,EDM)は、放電によって火花を発生させ、加工対象物を所望の形状に加工する製造手順である。誘電材料は、2つの電極を分離し、電圧を印加して周期的かつ急速に変化する電流放電を発生させ、上記の処理対象物を処理する。EDM技術では2つの電極が使用され、一方の電極はツール電極または放電電極と呼ばれ、もう一方の電極は、被加工物電極と呼ばれ、上記の加工対象物と接続する。EDMにおいて、放電電極とワークピース電極の間に実際の接触はない。
【0003】
2つの電極間の電位差が大きくなると、2つの電極間の電界も大きくなり、電界強さが絶縁耐力を超えると、絶縁破壊が起こり、2つの電極に電流が流れて、材料の一部を取り除く。電流の流れが止まると、新しい誘電材料が電極間の電場に流れ込み、上記の材料の一部が排除されて、誘電絶縁効果が再提供される。電流が流れた後、二つの電極間の電位差は絶縁破壊前に戻り、新たな絶縁破壊が繰り返される。
【0004】
しかしながら、従来の放電加工技術の欠点は、切断面の粗さが良くなく、切断面に非常に多くの表面クラックがあり、非切断方向に沿って伸びることさえあることであり、予期しない方向にクラッキングが発生する。
また、従来の放電加工技術は、例えば、結晶インゴットを切断する際のローリングや位置ズレを防止するために、ジグを用いて結晶インゴットの周囲をクランプし、すなわち、結晶インゴットの側面を放射状にクランプする。
しかし、インゴットの切断面も半径方向に位置するため、従来技術では、ジグの外側に露出したインゴットしか切断できず、ジグとインゴットが重なる部分を切断することができないため、従来技術では、もう一度カットするには、停止して位置を再調整する必要がある。
さらに、従来のEDM技術では、一度に1枚のウェーハしか切断または薄化することができず、非常に時間がかかる。
さらに、従来の放電加工技術は単一の切断ラインしか使用せず、従来の放電加工装置にはクイックリリース設計がなく、切断ラインが誤って破損した場合には、シャットダウンする必要がある。交換作業には、完了するまでに多くの時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決するための放電加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、少なくとも一つの加工対象物を乗せるためのステージと、電極と、給電ユニットと、を少なくとも備え、前記電極は、加工方向に沿って、前記ステージでの前記加工対象物の少なくとも一つの加工目標領域に対して、放電加工手順を行い、前記電極は、放電区分において、フローティング状態にあり、前記給電ユニットは、前記放電加工手順において、前記電極と前記加工対象物とに第1の電源を供給して、前記放電区分における前記電極を経由して、前記加工対象物の前記加工目標領域に放電エネルギーを加えるためのものである放電加工ユニットと、前記電極の外面の補正対象区域に対して、補正手順を行うことにより、前記電極の前記外面を補正するためのものである補正装置と、を少なくとも備えることを特徴とする放電加工装置を提供する。
【0007】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、前記電極が、前記加工目標領域に対して、前記放電加工手順を行うと共に、前記電極に対して前記補正手順を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、前記電極が、前記加工目標領域に対して、前記放電加工手順を行う前、又は前記放電加工手順を行った後、前記電極に対して前記補正手順を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、前記電極のロス速度と、前記放電加工手順の送り速度とによって、定量的調整方式で前記電極の前記外面を補正することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、前記電極の即時の状態によって、ダイナミック調整方式で前記電極の前記外面を補正することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置はドレッシングツールを備え、前記ドレッシングツールと前記電極は、前記補正手順において、相対変位して、前記電極の前記外面を補正することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、升降機構及び/又は水平移動機構を備えることにより、前記ドレッシングツールを設けることができ、前記ドレッシングツールを移動して、前記電極に対して相対変位をすることができることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る放電加工装置によると、前記ドレッシングツールは、レーザー光源、切削工具、又は研磨部材であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、更に、チップス除去エレメントを備え、前記チップス除去エレメントにより、前記補正装置が前記補正手順を行うと共に、前記電極の前記外面を補正するときに発生された切りくずが除去されることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、スクロール機構を備え、前記スクロール機構は、前記補正手順において、前記電極をスクロールするためのものであり、前記電極の前記補正対象区域が前記加工対象物の前記加工目標領域を避けることが可能であり、前記電極の前記外面を補正することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、更に、スリッティングエレメントを備え、前記スリッティングエレメントは、前記放電区分において、前記電極を互いに平行な複数の電極ストリップに分割するためのものであることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工ユニットは、更に、クランプエレメントを備え、前記クランプエレメントは、前記電極が前記放電加工手順を行うときに、前記電極の前記放電区分の少なくとも一側をクランプし、且つ前記補正装置が前記補正手順を行うときに、前記電極の前記放電区分の前記少なくとも一側をリリースするためのものであることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工装置は、更に、チップス排出ユニットを備え、前記放電加工ユニットが前記加工対象物に対して前記放電加工手順を行うときに、前記チップス排出ユニットは、少なくとも一つの外力を提供して、前記電極が前記加工対象物に対して前記放電エネルギーを加えるときに発生された残留物を排除することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る放電加工装置によると、前記チップス排出ユニットは、前記加工対象物の形状に基づいて、前記外力の加え方向または加え位置を調整して、前記残留物を排除することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工ユニットは、更に、ジグを備え、前記ジグは、少なくとも二つの乗せ部材および少なくとも二つの保持部材をそれぞれ対応して組付けて構成され、前記二つの保持部材は二つの台座に設けられており、前記台座は移動機構または回動機構であり、前記台座により、前記放電加工ユニットが、前記加工方向に沿って前記放電加工手順を行うときに、前記電極の前記放電区分と、前記加工対象物の前記加工目標領域とは、往復方式または循環方式で相対移動することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る放電加工装置によると、前記電極は、前記二つの乗せ部材を包み込み、又はその両側がそれぞれ前記二つの乗せ部材に当接することにより、前記電極は、前記放電区分において、フローティング状態にあることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、更に、方向修正エレメントを備え、前記方向修正エレメントにより、前記電極の前記加工方向に発生されたズレ現象を基づいて、前記電極と前記加工対象物の相対的方向を調整して、前記加工方向を修正することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、前記外面に、前記補正対象区域の前記電極移動位置を現れることにより、前記補正対象区域が前記加工対象物の前記加工目標領域を避け、前記補正対象区域は、断裂現象または断裂痕であることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る放電加工装置によると、前記電極は、複数あり、前記放電区分において、第1の方向及び/又は第3の方向に沿って互いに平行であるように配列され、前記第3の方向は前記第1の方向に垂直であることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、更に、電極調整エレメントを備え、前記電極調整エレメントは、前記複数の電極を分離することにより、前記複数の電極は、前記放電区分において、互いに平行であるように配列される状態を保持することを特徴とする。
【0026】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工ユニットは、更に分離用カラムを備え、前記複数の電極は前記分離用カラムに押し付けることにより、前記複数の電極は、前記放電区分において、互いに平行であることを特徴とする。
【0027】
本発明に係る放電加工装置によると、更に、安定部材を備え、前記安定部材は、複数の案内溝を有し、前記案内溝はそれぞれ前記電極を可動的に収納することにより、前記電極の安定化および案内が行われて、前記電極は、前記加工方向に沿って、前記放電加工手順を行うことを特徴とする。
【0028】
本発明に係る放電加工装置によると、前記補正装置は、前記複数の電極の前記外面に、前記補正対象区域の少なくとも一つの電極移動位置を現れることにより、前記補正対象区域が前記加工対象物の前記加工目標領域を避け、前記補正対象区域は、断裂現象または断裂痕であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る放電加工装置によれば、次のような効果がある。
(1)補正装置は、ドレッシングツールと電極との相対変位により、電極の外面を補正するため、放電加工手順での短絡の問題を防止することができる。
(2)補正装置は、電極のスクロールや移動で加工対象物の加工目標領域を回避することにより、放電加工手順での短絡の問題を防止することができる。
(3)チップス除去エレメントは、ドレッシングツールと電極との相対変位により、ドレッシングツール及び/又は電極に残るチップスなどの物質を除去することができる。チップス排出ユニットは、一つまたは複数の加工目標領域に力を加えることにより、放電加工手順や補正手順で発生したチップスを排出することができる。
(4)スリッティングエレメントは、ドレッシングツールと電極との相対変位により、電極の放電区分を複数の電極ストリップに切断して、板状電極の偏消耗の問題を回避することができる。
(5)方向修正エレメントは、電極と加工対象物の加工方向を修正することができることにより、加工方向のズレの発生を防止することができる。
(6)クランプエレメントは、電極をクランプして、電極が引っ張られて加工方向が変わることを防止することができる。
(7)電極調整エレメントは、複数の電極同士を互いに平行である状態にすることにより、加工対象物が放電加工された後の表面がゆがむなどの凹凸現象を防ぐことができる。
(8)安定部材は、電極の振動を低減し、分離カラムとしてガイドする効果を提供し、電気接点として使用できる。
【0030】
本発明の技術的特徴および達成し得る技術的効能の理解を深めるために、より良い実施例と詳細な説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る放電加工装置を示す正面図であって、図1(A)と図1(B)は異なる実施例を示す模式図である。
図2】本発明に係る放電加工装置の一部の構造を示す上面図であって、図2(A)の電極は、複数あり、ラップアラウンド設計を採用し、図2(B)の電極は、一つあり、ラップアラウンド設計を採用し、図2(C)の電極は、一つあり、ジャンパー設計を採用する。
図3】本発明に係るジグは、複数の乗せ部材により、電極を平行に配列するレイアウトを示す図であって、図3(A)と図3(B)は異なる実施例であり、図3(A)は、複数の電極が加工方向Fに互いに平行であり、単一の加工目標領域に対して、放電加工手順を順番に行うことを示し、 図3(B)は、複数の電極が第1のの方向Xに互いに平行であり、複数の加工目標領域に対して、放電加工手順を同時に行うことを示す。
図4】放電加工手順での電極の消耗の程度が均一ではない現象を示す模式図であって、図4(A)と図4(B)は異なる角度から見た模式図である。
図5】本発明に係る放電加工装置の補正装置がドレッシングツールを有することを示す模式図であって、図5(A)と図5(B)は異なる角度から見た模式図である。
図6】本発明に係る放電加工装置の補正装置が升降機構を有することを示す模式図であって、図6(A)、図6(B)と図6(C)は、異なる実施例を示す模式図である。
図7】本発明に係る放電加工装置の補正装置がチップス除去エレメントを有することを示す模式図であって、図7(A)と図7(B)は異なる角度から見た模式図である。
図8】本発明に係る放電加工装置の補正装置がスクロール機構を有することを示す模式図であって、図8(A)と図8(B)は異なる角度から見た模式図である。
図9】本発明に係る放電加工装置の補正装置が、変位することより電極を補正することを示すフローチャートであって、図9(A)、図9(B)と図9(C)は、それぞれがステップを示すフローチャートである。
図10】本発明に係る放電加工装置の補正装置が、スリッティングエレメントにより、スリッティング手順を行うことを示す模式図であって、図10(A)と図10(B)は異なる角度から見た模式図である。
図11】本発明に係る放電加工装置の補正装置が、スリッティングエレメントにより、放電加工手順を行うことを示す模式図であって、図11(A)と図11(B)は異なる角度から見た模式図である。
図12】本発明に係る放電加工装置の補正装置が、電極調整エレメントを有することを示す模式図であって、図12(A)と図12(B)は異なる角度から見た模式図である。
図13】本発明に係る放電加工装置の補正装置が方向修正エレメントを有することを示す模式図であって、図13(A)と図13(B)は異なる角度から見た模式図である。
図14】本発明に係る放電加工装置のジグが電極をスクロールすることを示す模式図である。
図15】本発明に係る放電加工装置が張力制御モジュールを有することを示す模式図である。
図16】本発明に係る放電加工装置がチップス排出ユニットを有することを示す模式図であって、図16(A)と図16(B)は異なる実施例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態の図面における各部材の比率は、説明を容易に理解するために示され、実際の比率ではない。
また、図に示すアセンブリの寸法の比率は、各部品とその構造を説明するためのものであり、もちろん、本発明はこれに限定されない。
一方、理解を便利にするために、下記の実施の形態における同じ部品については、同じ符号を付して説明する。
【0033】
さらに、明細書全体および請求の範囲で使用される用語は、特に明記しない限り、通常、この分野、本明細書に開示される内容、および特別な内容で使用される各用語の通常の意味を有する。
本発明を説明するために使用されるいくつかの用語は、当業者に本発明の説明に関する追加のガイダンスを提供するために、本明細書の以下または他の場所で説明される。
【0034】
この記事での「第1」、「第2」、「第3」などの使用については、順序や順次を具体的に示すものではなく、本発明を制限するためにも使用されていない。これは、同じ専門用語で説明するコンポーネントまたは操作を区別するだけために使用される。
【0035】
次に、この記事で「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」などの用語が使用されている場合、それらはすべてオープンな用語である。つまり、これらは、含むがこれに限定されないことを意味する。
【0036】
図1は本発明に係る放電加工装置を示す正面図であって、図1(A)と図1(B)は異なる実施例を示す模式図である。図2は本発明に係る放電加工装置の一部の構造を示す上面図であって、図2(A)の電極は、複数あり、ラップアラウンド設計を採用し、図2(B)の電極は、一つあり、ラップアラウンド設計を採用し、図2(C)の電極は、一つあり、ジャンパー設計を採用する。図3は、本発明に係るジグが複数の乗せ部材により、電極が互いに平行であるように配列された状態を示す模式図であって、図3(A)は、複数の電極が単一の加工目標領域に対して、放電加工手順を順番に行うことを示し、図3(B)は、複数の電極が複数の加工目標領域に対して、放電加工手順を同時に行うことを示す。
【0037】
図1から図3を参照する。本発明に係る放電加工(EDM)装置10は、ステージ20と、放電加工ユニット30と、を少なくとも備える。
ステージ20は、少なくとも一つの加工対象物100を乗せるためのものである。
放電加工ユニット30の電極32の両端は、それぞれジグ36,36を橋渡し(図2(C)に示すように)、又は取り囲む(図1(A)、図1(B)、図2(A)及び図2(B)に示すように)。
これにより、電極32は、放電区分Bにおいて、フローティング状態にある。
放電加工ユニット30の電極32は、第2の方向Yに沿って伸びることにより、電極32は、放電区分Bにおいて、第2の方向Yに平行であり、第2の方向Yは、それぞれ第1の方向Xと加工方向Fとに垂直である。
放電区分Bに位置する電極32(すなわち、電極32の放電区分B)と、加工対象物100の加工目標領域110とは、往復運動または円運動で相対移動し(例えば、図1に示す中空の左右の二重矢印または左向き二重矢印の方向(第2の方向Y)に沿って、相対変位する)。これにより、加工方向Fに沿って、電極32がステージ20上の加工対象物100の加工目標領域110に対して、放電加工手順を行い、例えば、加工対象物100の加工目標領域110に対して、カッティング(Cutting)及び/又は放電研削(Electric Discharge Grinding,EDG)などの放電加工手順を、順番に行い、又は同時に行う。
放電加工ユニット30の給電ユニット34は、放電加工手順において、電極32と加工対象物100とに第1の電源P1を供給することにより、放電区分Bに位置する電極32を経由して、加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加える。
図1から図3に示す実施の態様では、ジグ36の軸心が加工方向Fに垂直であることを一例とする。
しかし、本発明はこれに限定されない。別の実施の態様では、例えば、ジグ36の軸心が加工方向Fに平行であってもよい。
加工対象物100は、何れかの導体または半導体構造であり、例えば結晶インゴット又はウェーハなどである。
本発明に係るステージ20は、位置が固定されるステージであり、又は移動可能や回転可能なステージである。
本発明では、ステージ20が乗せ板21を有する作業プラットフォームであることを例として説明したが、本発明はこれらに限定されない。
本発明に係るステージ20は、乗せ板21を選択的に省略してもよいし、乗せ板21の代わりに接着剤層(例えば導電性接着剤)を採用してもよい。
電極32の放電加工手順の過程での振動の発生を回避するために、本発明に係る放電加工装置10は、選択的に安定部材22を有する。
安定部材22は、例えば、ステージ20上に設けられており、且つ例えば電極32の両側Aの間を支持する。
安定部材22の形態は、特に限定されず、電極32の振動の発生を減少できれば、本発明に適用することができる。
例えば、安定部材22の電極32と接触する接触面28は、例えば、図1(A)に示すように、平面である。接触面28は、例えばフローティング状態にある電極32を支持することにより、振動を減少することができ。
或いは、安定部材22の電極32と接触する接触面28は、図1(B)に示すように、案内溝281を選択的に有してもよい。
案内溝281は、フローティング状態にある電極32を支持することができるだけではなく、電極32が加工対象物100に対して往復に移動するときに、安定電極32を案内する効果を得ることもできる。
更に、安定部材22は、高さが伸縮可能な構造であるように設計されてもよい。
これにより、安定部材22の電極32と接触する接触面28の高さを変化することができる。
【0038】
図1から図3を参照する。放電加工ユニット30は、少なくとも一つの電極32と、給電ユニット34と、ジグ36と、を備える。
電極32は、例えば、図2(B)及び図2(C)に示すように、一つあり、又は複数ある。
電極32により、加工対象物100上の一つの加工目標領域110、又は図2(A)及び図3(B)に示すように、複数の加工目標領域110に対して放電加工手順を行う。
図3は、本発明が複数の乗せ部材により、電極を互いに平行であるように配列される、二つの実施の態様を示す模式図である。
図3(A)は、複数の電極32が、加工方向Fに沿って互いに平行であるように配列されることにより、単一の加工目標領域110に対して、放電加工手順を順番に行い、図3(B)は、複数の電極32が、第1の方向Xに沿って互いに平行であるように配列されることにより、複数の加工目標領域110に対して、放電加工手順を同時に行う。
第2の方向Yに沿って伸びる放電区分Bを有する複数の電極32を例として、これらの電極32は、例えば、図3(B)に示すように、第1の方向X及び/又は図3(A)に示すように、加工方向Fに互いに平行である線状または板状を呈する導電構造であり、例えば導電性ワイヤ又は箔である。
加工方向Fは、第3の方向Zに平行であり、且つ第1の方向Xに垂直である。
電極32の数は、実際の必要によって決める。
これらの電極32の間隔は、加工対象物100のカッティング又は薄い厚さに対応する。
これらの電極32の横方向断面の形状は、同じでもよいし、異なってもよい。
電極32の横方向断面の形状は、例えば、線状または板状(又は、シート状を称し)を呈し、或いは、何れかの対称形状(例えば円形、正方形、長方形)又は非対称形状を呈する。
給電ユニット34は、それぞれ電気接点31(electrical contact)を経由して、電極32及び加工対象物100と電気的に接続する。
給電ユニット34は、1セット又は複数セットの電源出力であり、第1の電源P1を供給する。
給電ユニット34は直列または並列で電極32と電気的に接続することもできる。
電極32を経由して、加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加えることができれば、本発明に適用することができる。
【0039】
電極32の材質は、例えば、銅(Copper)、真鍮(Brass)、モリブデン(Molybdenum)、タングステン(Tungsten)、黒鉛(Graphite)、鉄鋼(Steel)、アルミ(Aluminum)及び亜鉛(Zinc)からなるグループから選ばれる。
放電電極32の厚さは、約300μmであり、約30μmから300μmであることが好ましい。
しかし、注意すべきことは、本発明は、電極32が複数あることを例として説明したが、これに限定されず、図2(C)に示すように、単一の電極を有しても、本発明の請求の範囲に属する。
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明および先行技術の開示内容に基づいて、単一の電極または複数の電極に本発明の技術的手段を適用する方法を理解できるはずのため、詳細な説明を省略した。
複数の電極32は、加工方向Fに互いに平行であるように配列される場合に、加工方向Fに沿って、加工対象物100の加工目標領域110を順番に切断または研削するときに、後ろの電極32は前の電極32が既に通過した位置を繰り返す。
換言すると、加工方向Fが上から下へであることを例とすれば、前の電極32(例えば下方にある電極)が断線しても、後ろの電極32(例えば上方にある電極)は、前の電極32の代わりに放電エネルギーを加工対象物100の加工目標領域110に加えることができる。
これにより、電極32の断線による加工プロセスの中止などを回避することができる。
【0040】
図1及び図2を参照する。ジグ36は、例えば、少なくとも二つの乗せ部材40と少なくとも二つの保持部材50をそれぞれ選択的に対応して組付けて構成される。
電極32の両側Aは、二つの乗せ部材40に対してそれぞれ可動または固定であるように押し付けることにより、電極32の放電区分Bはフローティング状態にある。
二つの乗せ部材40の間に距離がある。
二つの乗せ部材40の寸法と、乗せ部材40に乗せる電極32の高さとは、同じ又は異なるであることは特に限定されない。
電極32の放電区分Bがフローティング状態にあれば、本発明に適用することができる。
保持部材50は、乗せ部材40に脱着することが可能である。
保持部材50は、乗せ部材40にしっかりと組み付けられている。
保持部材50は台座52上に設けられている。
台座52は、保持部材50の位置を固定するための構造であり、又は保持部材50が移動や回転などの運動を可能にするための運動機構である。
乗せ部材40の移動や回転などの運動を駆動するため、電極32の放電区分Bは、左右へ往復動することができる。
本発明は、ステージ20が加工対象物100を駆動して、放電加工ユニット30の電極32へ向けて移動する。本発明は又は台座52が電極32を駆動して、加工対象物100へ向けて移動することに限定されず、放電加工(EDM)ユニット30とステージ20上の加工対象物100とは、上記の加工方向Fに沿って相対運動を行うことができれば、本発明に適用することができる。
台座52が運動機構であることを例とすれば、運動機構は、例えば、左右へ往復動可能な任意の移動機構であり、例えばスライド機構である。或いは、運動機構は、例えば、往復または周期的に元に戻すように回転可能な任意の回動機構であり、例えばモータである。
これにより、保持部材50を駆動して、移動や回転などの運動をすることができる。
これにより、乗せ部材40及び保持部材50は、選択的に電極32と一緒に往復または周期的に元に戻すように移動する。
電極32は、放電区分Bで放電エネルギーを加工対象物100に加える。
電極32を乗せ部材40によりよく取り付けられるようにするために、乗せ部材40のエッジは、図2に示すように、選択的に面取り47を有する。
【0041】
別の実施例では、本発明に係る放電加工ユニット30は、例えば、二つ以上の乗せ部材40を、往復または周期的に元に戻すように回転することによって、複数の電極32の放電区分Bを、往復または周期的に元に戻すように移動することができる。
乗せ部材40と電極32との接続は、図3(A)及び図3(B)に示す二つの実施例がある。各電極32は、それぞれ四つの乗せ部材40を取り囲む。
図3(A)と図3(B)は異なる実施例である。
図3(A)は、電極32が加工方向Fに沿って平行であるように配列されることにより、複数の電極32は、単一の加工目標領域110に対して、放電加工手順を順番に行うことを示している。
図3(B)は、電極32が第1の方向Xに沿って平行であるように配列されることにより、複数の電極32は、複数の加工目標領域110に対して、放電加工手順を同時に行うことを示している。
これらの電極32は、四つの乗せ部材40のうちの二つの乗せ部材40を共用するため、これらの電極32の両側Aは、互いに接触して積み上げ状態になって、共用する上記の二つの乗せ部材40に移動可能に押し付ける。
なお、残りの乗せ部材40は、ペアになって、異なる高さ、又は同じ高さの位置に設けられていることにより、電極32は、距離を置いて、図3(A)に示すように、加工方向F、又は図3(B)に示すように、第1の方向Xに、互いに平行であるように配列される。
これにより、乗せ部材40が往復または周期的に元に戻すように回転するときに、これらの電極32の放電区分Bも、加工対象物100に対して第2の方向Yに変位する。
上記の共用する乗せ部材40は、例えば、同期に往復または周期的に元に戻すように回転する。
【0042】
すなわち、本発明は、電極32の放電区分Bと加工対象物100の加工目標領域110とを加工方向Fに沿って相対移動するために複数の方式を採用することができる。
第1の方式は、加工対象物100が加工方向Fに沿って移動し、且つ電極32が加工方向Fに移動しない。
第2の方式は、電極32が加工方向Fに沿って移動し、且つ加工対象物100が加工方向Fに移動しない。
第3の方式は、電極32と加工対象物100とが、加工方向Fに沿って反対方向へ移動する。
【0043】
同じように、本発明は、複数の方式を採用することにより、電極32の放電区分Bと加工対象物100の加工目標領域110とを、第2の方向Yに沿って相対移動することもできる。
第1の方式は、加工対象物100が第2の方向Yに沿って移動し、且つ電極32が第2の方向Yに移動しない。
第2の方式は、電極32が第2の方向Yに沿って移動し、且つ加工対象物100が第2の方向Yに移動しない。
第3の方式は、電極32と加工対象物100とが、第2の方向Yに沿って反対方向へ移動する。
放電区分Bと加工目標領域110とを、第2の方向Yに沿って相対移動させる第2の方式では、本発明は、更に、例えば、ジグ36により、電極32を往復または周期的に元に戻すようにスクロールすることにより、電極32を左右(往復)に移動し、又は持続(周期的に元に戻す)に移動する。或いは、電極32をジグ36に固定するが、台座52により、各図に示すように、第2の方向Yに沿って、ジグ36を左右(往復)に移動して、電極32を間接的に移動する。
【0044】
しかし、注意すべきことは、本発明における上記の各種の放電加工の手順を行う移動の方式を説明したが、本発明はこれらに限定されない。
例を挙げて説明すると、本発明の請求の範囲も、加工対象物100が加工方向Fに沿って移動し、且つ電極32が加工方向Fと第2の方向Yとに移動せず、或いは、電極32が加工方向Fに沿って移動し、且つ加工対象物100が加工方向Fと第2の方向Yとに移動しないことを含む。
すなわち、何れかの移動方式は、放電加工手順を行うことができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
【0045】
図4(A)及び図4(B)を参照する。放電加工手順において、電極32の外面(例えば下面)に、消耗の程度が不均一である現象が発生しやすく(すなわち、本発明での補正対象区域)、ひいては放電加工手順では、短絡を発生する問題がある。
電極32の消耗の程度が不均一である現象の発生は、極めて多くの原因(例えば外部の原因及び内部の原因)がある。
上記の消耗の程度が不均一になる現象による短絡を徹底的に解決するために、図5(A)及び図5(B)に示すように、本発明に係る放電加工(EDM)装置10の特徴の一つは、補正装置80を有することにある。
補正装置80は、外面に補正対象区域を有する電極32を補正するためのものである。
補正装置80は、電極32に対して補正手順を行う。例えば、電極32は、加工目標領域110に対して放電加工手順を行うと共に、電極32の外面を補正する。
しかし、本発明はこれに限定されない。補正装置80は、例えば、電極32が加工目標領域110に対して放電加工手順を行う前に、又はその後、電極32に対して補正手順を行うこともできる。
すなわち、補正装置80が何時電極32に対して補正手順を行うことに係らず、電極32の外面を補正して放電を安定化にすることができれば、本発明の請求の範囲に属する。
図4(A)及び図4(B)は、異なる角度から見た模式図であるが、図面を簡素化にするために、図4(A)は各部材の一部の構造だけを示し、且つ図4(B)は特に表したい部材だけを示し、且つ図5とその残りの類似な図は大体同じ方式で示すため、説明を省略した。一方、図4から図16に示す実施の態様では、ジグ36の軸心は加工方向Fに平行である。
【0046】
例を挙げて説明すると、図5(A)及び図5(B)に示すように、本発明に係る補正装置80は、例えばドレッシングツール82を備える。
ドレッシングツール82は、補正手順において、ドレッシングツール82と電極32との相対変位により、電極32の外面を補正するためのものである。
本発明に係るドレッシングツール82は、例えばレーザー光源、切削工具、又は研磨部材である。ドレッシングツール82は、例えば、ステージ20又は台座52上に、固定されており、又は可動に設けられている。
或いは、ドレッシングツール82は、図6(A)から図6(C)に示すように、放電加工装置10に独立に設けられている。
本発明はこれらに限定されず、電極32の外面に変化を発生させることが可能な何れかの技術手段であれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
そして、補正装置80のドレッシングツール82が電極32の放電区分Bの外面を補正することができれば、例えば、その消耗の程度を均一にし、又は電極32の期待の外面を得ることができれば、本発明に係る補正装置80が電極32の外面をリアルタイムで、定期的にまたは不定期に、定期的または非定期的に補正手順を行うかどうかに関係なく、それはすべて本発明で請求される保護の範囲内に含まれる。
【0047】
本発明に係る補正装置80は、選択的に、電極32のロス速度(例えば、理論的または実際に測定された消耗速度)と、放電加工手順の送り速度とによって、補正電極32の外面を定量的に調整する。
補正装置80は、例えば、加工方向Fに沿って電極32の外面の補正(例えば、予定の速度で加工方向Fに沿って、ドレッシングツール82を加工対象物100に対して、予定の距離を移動し)を定量的に調整し、又は第2の方向Yに沿って電極32の外面の補正(例えば、予定の速度で第2の方向Yに沿って、電極32を加工対象物100に対して、予定の長さを移動し)を定量的に調整する。
或いは、補正装置80は、選択的に、電極32の即時の状態によって、補正電極32の外面をダイナミックに調整する。
例を挙げて説明すると、本発明は、更に、選択的に、例えば検出エレメント89により、電極32の即時の消耗の程度などを即時に把握することができる。
検出エレメント89は、例えば、放電変化検出エレメント、投光器と受光器とを有する光電検出エレメント、又は映像検出エレメントであり、光線の中断または光線の強さの変化などによって、電極32の放電区分Bの消耗の程度を把握する。
【0048】
一方、ドレッシングツール82は、選択的に升降可能にすることができ、これにより、電極32のロス速度と放電加工手順の送り速度とによって、高さを変更することができ、電極32の放電区分Bの消耗の程度を一致にすることができる。
例を挙げて説明すると、ステージ20の移動の速度(放電加工手順の送り速度)をD長さ/分とし、電極32の理論ロス速度を0.1D長さ/分とすれば、ドレッシングツール82がステージ20上に設けられていると、放電加工手順を行うときに、本発明に係るドレッシングツール82を電極32の下面に押し付けて、且つドレッシングツール82は、升降可能なため、毎分電極32の方向に0.1D長さを伸びることにより、電極32の放電区分Bは、全部の放電加工手順の過程中に、全て予定の消耗の程度になることができる。
同じように、本発明に係るドレッシングツール82も、電極32の即時の消耗の程度などの即時の状態によって、ダイナミックな調整で、必要の高さに即時に升降することにより、電極32の外面を即時に補正することができる。
例を挙げて説明すると、本発明に係るドレッシングツール82は、例えば伸縮可能であり、高さを升降することができる。
本発明に係るドレッシングツール82は、更に、図6(A)から図6(C)に示すように、例えば升降機構90に設けられていることにより、補正手順の必要によって、高さを升降することができ、且つドレッシングツール82の送り速度を制御することができる。
升降機構90は、例えば図6(B)及び図6(C)に示すように、スライドテーブル型の升降台である。升降機構90は、レール91に沿って升降可能なスライドテーブル93を有する。ドレッシングツール82は、例えば、ウエハーを乗せたステージ又は乗せ枠96を介して、スライドテーブル93上に設けられている。
或いは、升降機構90は、例えば図6(A)に示すように、バネ型(伸縮型)の升降台である。
そして、本発明に係る升降機構90は、手動タイプや自動タイプに限定されず、ドレッシングツール82を升降することができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
一方、ドレッシングツール82は、更に、図6(C)に示すように、例えば水平移動機構92を介して、升降機構90上に設けられる。
そうすると、レール95に沿って水平に移動するスライドテーブル97を有することにより、補正手順を行うときに、選択的に水平移動機構92を利用して、レール95に沿ってドレッシングツール82を、電極32の下方に移動して、補正手順を完成した後、退去させる。
本発明は、図6に示す構造を例として説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、ドレッシングツール82を移動して、電極32に対して相対変位することができ、又は電極32を移動して、ドレッシングツール82に対して相対変位をすることができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
【0049】
ドレッシングツール82は、例えばレーザー光源または切削工具である。
この場合に、例えば電極32の底側または側面に位置し、ドレッシングツール82が電極32に対して相対変位するときに、レーザー光源のレーザー、又は切削工具のブレードにより、電極32底部の一部の厚さを削除する。これにより、電極32の放電区分Bに、消耗の程度が不均一である電極32の外面をスムーズにすることができる。
ドレッシングツール82が例えば、研磨部材である場合には、例えば電極32の底側に位置し、ドレッシングツール82が電極32に対して相対変位するときに、研磨部材の研磨成分で電極32の底部の一部の厚さを除去する。これにより、図5(B)及び(A)から図6(C)に示すように、消耗の程度が不均一である電極32の外面をスムーズにすることができる。
【0050】
一方、補正装置80が補正手順を行う過程中に、ドレッシングツール82又は電極32に切りくずなどを残す可能性がある。そのため、図7(A)及び図7(B)に示すように、本発明に係る補正装置80は、更に、選択的に、チップス除去エレメント83を備える。
チップス除去エレメント83は、例えば、スポンジやスクレーパーなどの掃除用具、又は超音波エレメントである。
チップス除去エレメント83は、例えばステージ20、台座52、又はその他のエレメントに設けられていることにより、電極32の底部及び/又はドレッシングツール82の頂部に押し付けられる。
これにより、補正装置80は、ドレッシングツール82が電極32に対して相対変位する。
ドレッシングツール82で電極32の外面を補正するときに、チップス除去エレメント83は、更に、ドレッシングツール82及び/又は電極32に残る切りくずなどを除去することができる。
チップス除去エレメント83の設置は、固定式・可動式に限らず、残る切りくずなどを清潔して除去することができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
一方、本発明に係るチップス除去エレメント83は、更に、選択的に超音波エレメントであってもよい。
チップス除去エレメント83は、例えば、図6に示すドレッシングツール82、升降機構90、又は水平移動機構92に設けられていることにより、刃の修理の速度を向上することができ、チップスを除去する効果を得ることができ、研磨紙の詰まりや電極 32に付着する研磨屑を減らすことができる。
【0051】
一方、本発明に係る補正装置80は、更に、例えば、変位することにより、電極32に消耗の程度が不均一である区域Cをずらして、放電区分Bとして使用することを回避することができる。
図8(A)及び図8(B)に示すように、本発明に係る補正装置80は、選択的に、例えばスクロール機構84を備える。
電極32の外面が、放電区分Bにおいて、補正対象区域が現れたときに、例えば不均一な摩耗、又は断裂や断裂の兆候が表れたときに、補正装置80のスクロール機構84は、例えば少なくとも上記の外面に補正対象区域が現れた電極32を、時計回り又は反時計回りへスクロールするか、又は上記の外面に補正対象区域(区域C)が現れた電極32を移動することにより、電極32を加工対象物100の加工目標領域110からずらし、例えば、断裂した電極32を安定部材22の外側にスクロールすることにより、電極32の他の正常区域を放電区分Bとすることができて、断裂した電極32による干渉を防止することができる。
本発明は、例えば、スクロール設計を有する保持部材50及び乗せ部材40のジグ36をスクロール機構84とする。
本発明に係るスクロール機構84は、手動または自動の設計に限定されず、構造の設計も上記の例に限定されない。
スクロール機構84は、電極32の消耗の程度が不均一な区域を、ずらすことにより、放電区分Bとすることを回避することができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
【0052】
例を挙げて説明すると、図9(A)から図9(C)に示すように、放電加工手順を行う過程中に(すなわち、放電加工手順を完成する前に)、最も下方にある電極32の外面が、放電区分Bにおいて、図9(A)に示すような断裂が現れた場合、本発明では、選択的に、変位することにより、加工対象物100を移動する(例えば、図9(B)に示すように、左方に移動することにより、右方にある、断裂した電極32を加工対象物100からずらす)。
次に、例えば、再び右方に移動することにより、左方にある、断裂した電極32を加工対象物100からずらす。
このとき、選択的に、断裂した電極32を吸着し、又は粘着し、更に、断裂した電極32を切り外し、又は断裂した電極32を加工対象物100から離脱させるとよい。
次に、図9(C)に示すように、従来の放電加工の位置に加工対象物100を移動して、他の断裂しない電極32で、加工対象物100に対して、全部の放電加工手順を完成するまで、従来の完成されていない放電加工手順を行う。
このため、本発明によれば、従来のもののように、全部の放電加工装置及び放電加工手順を完全に中断して、手動で電極32を整理しないと、上記の完成されていない放電加工手順を行うことができないことを回避することができる。
同じように、本発明も、例えば、ジグ36(又は、補正装置80のスクロール機構84)により、断裂した電極32を左方へ及び/又は右方へ、安定部材22の外側にスクロールして、図9(C)に示すように、全部の放電加工手順を完成するまで、他の未断裂の電極32で加工対象物100に対して、従来の完成されていない放電加工手順を行う。
図9(A)から図9(C)に示す実施例では、本発明は、安定部材22が、ステージ20上に位置し、且つ例えば加工対象物100の両側に位置することを例とすることにより、電極32は、安定部材22の外側に排出された後、安定部材22の内側に再び入ることができないため、断裂した電極32を排除しやすくなる。
同じように、本発明ではこれらに限定されず、本発明に係る安定部材22は、選択的に、台座52上に位置し、又はステージ20上と台座52上とに同時に位置しても、変位することにより、断裂した電極32を排除することができるという効果を得ることができる。
【0053】
換言すると、本発明に係る補正装置80は、例えば、変位することにより、電極32の放電区分Bの消耗の程度を一致にすることができる。これにより本発明では、放電を安定化にする効果を得ることができる。
或いは、本発明に係る補正装置80は、例えば、変位することにより、電極32の消耗の程度が不均一である区域Cをずらして、放電区分Bとすることを回避することができる。
しかし、本発明はこれに限定されず、本発明に係る補正装置80は、例えば、上記の二つの方式を合わせ、又は何れかの行い可能な方式を採用することにより、電極32の外面を補正することもできる。
換言すると、補正装置80が何れかの技術的手段を採用して、電極32に対して補正手順を行うことに係らず、消耗の程度が不均一である現象による短絡を解決できれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
【0054】
本発明に係る補正装置80は、更に、選択的に、少なくとも一つのクランプエレメント86を備える。
クランプエレメント86は、図4から図9に示すように、台座52上、又は放電加工装置10の他の部材上に固定されており、電極32の放電区分Bの少なくとも一側、例えば両側を選択的にクランプする。
クランプエレメント86の実施の態様は、例えば、万力を有する構造であるが、これに限定されない。
例を挙げて説明すると、本発明は、第2の方向Yに沿って、左右へ台座52を移動することにより、ジグ36を介して電極32を駆動して、電極32が加工対象物100に対して、同期に左右に変位するときに、クランプエレメント86は、図8(B)に示すように、選択的に電極32をクランプすることにより、電極32で放電加工手順を行うことができる。
クランプエレメント86により、選択的に電極32の位置を固定することができ、放電加工手順を行っているときに、電極36が引かれて緩められることによる電極32の張力の降下を回避することもできる。
同じように、ジグ36が電極32をスクロールすることが必要であるときに(例えば、補正手順を行い、又は電極32を移動して放電加工手順を行うときに)、クランプエレメント86は電極32を解放することができる。
【0055】
図5から図9に示すように、放電加工手順において、電極32の放電区分Bは、加工方向Fに沿って進んで、放電エネルギーを加工対象物100の加工目標領域110に加え、且つ電極32の放電区分Bと、加工対象物100の加工目標領域110とは、第2の方向Yに沿って同時に相対移動する。
放電加工手順の過程中に、電極32が振動することを回避するために、本発明に係る放電加工装置10は、選択的に安定部材22を有する。
安定部材22は、台座52上、又は放電加工装置10の他の部材(例えばステージ20)上に設けられている。安定部材22を設ける位置は、例えば電極32の放電区分Bの少なくとも一側または外側にある。
安定部材22の形態は、特に限定されず、電極32の振動を減少することができれば、全て本発明に適用することができる。
例を挙げて説明すると、安定部材22は、例えば案内溝281を有する。
案内溝281の寸法(例えば深さ又は幅)は、電極32を動かすのに十分であるように電極32を収容することができる。
案内溝281の数量は、電極32に対応することにより、電極32同士の距離を保持することができ、第1の方向Xに沿って揺動することを減少でき、電極32を安定化にすることができ、電極32をガイドすることもできる。
一方、安定部材22は、選択的に、高さを伸縮可能な構造にすることもできる。
これにより、加工対象物100の加工目標領域110の加工溝の深さによって、安定部材22の電極32と接触する案内溝281の高さを変化することができる。
安定部材22同士の互いに隣接する案内溝281の間のストリップ状の構造は、分離用カラムとして使用することにより、複数の電極32を分離し、且つこれらを互いに平行であるようにすることができる。
電極32は分離用カラムに当接し、例えば、電極32は、分離用カラムに可動なように押し付けて、分離用カラムの位置を固定するが、固定式またはローリング式のデザインにすることができ、且つ制限スロットを有することにより、方向案内コラムとする。
分離用カラムは、選択的に導電性材料を採用してもよい。
これにより、電極32は、分離用カラムを介して給電ユニット34と電気的に接続することができる。
すなわち、分離用カラムは、選択的に、図1の電気接点31として使用することもできる。一方、分離用カラムは絶縁材料を採用してもよい。
これにより、電極32同士の短絡を回避することができる。
二つの乗せ部材40は、例えば、同期に往復または周期的に元に戻すように回転し、且つ回転速度が同じであるため、これらの電極32の第2の方向Yに沿って往復または周期的に元に戻すように移動する速度も同じである。
【0056】
図10(A)、図10(B)、図11(A)及び図11(B)に示すように、本発明に係る補正装置80は、更に、少なくとも一つのスリッティングエレメント85を選択的に備える。
スリッティングエレメント85は、例えば、台座52上、又は放電加工装置の何れかの位置に設けられており、スリッティングエレメント85と板状電極32との相対移動により、電極32(例えばプレート状)を互いに平行である複数の電極ストリップ32’(例えばストリップ状)に切る。
スリッティングエレメント85は、例えば、複数のブレードを有するバイスクランプであるが、これに限定されない。
例を挙げて説明すると、バイスクランプのブレードが板状の電極32をクランプしたと、スリッティングエレメント85と板状電極32とが第2の方向Yに沿って相対移動するときに(例えば、スリッティングエレメント85の位置が固定であるが、電極32は、ジグ36のスクロールにより、第2の方向Yに沿って、スリッティングエレメント85に対して水平に移動する)、幅がより広い板状の電極32は、幅がより狭い複数の電極ストリップ32’に切られる。
隣接するブレード同士の間の間隔は、電極ストリップ32’の幅と同じである。
このため、本発明は、更に、バイスクランプの複数のブレードの間の間隔または数量を変更することにより、電極ストリップ32’の幅または本数を調整することができる。
一方、本発明は、電極32をスクロールする方式を採用することにより、スリッティングエレメント85が電極32に対してスリッティング手順を行う。
ジグ36は電極32をスクロールすることが必要なため、本発明に係るクランプエレメント86は、選択的に、スリッティングエレメント85がスリッティング手順を行うときに、電極32を一時的に解放する。
同じように、本発明がスリッティングエレメント85を移動する方式を採用して、位置が固定される電極32に対してスリッティング手順を行うと、本発明に係るクランプエレメント86は、選択的に、スリッティングエレメント85がスリッティング手順を行うときに、電極32をクランプして電極32のスクロールを防止することができる。
【0057】
図12(A)及び図12(B)に示すように、本発明に係る補正装置80は、選択的に、少なくとも一つの電極調整エレメント87を備える。
電極調整エレメント87は、例えば、台座52上、又は放電加工装置10の何れかの位置に設けられており、電極32と接触し、電極調整エレメント87と電極32との相対移動により、ストリップ状または板状を呈する電極32の放電区分Bを直線状または垂直状に整理することができる。
電極32が複数ある場合に、電極調整エレメント87は、電極32を互いに平行である状態に整理することができる。
電極調整エレメント87は、例えば、複数のくし歯を有する。
隣接するくし歯同士は、それぞれ各電極32の両側に押し付け、且つ電極調整エレメント87は、例えば可動設計を採用し、例えば、放電区分Bの一側から他側へ(第2の方向Yに沿って)移動するが、これらに限定されない。
一方、本発明は、電極調整エレメント87を移動する方式により、位置が固定される電極32に対して電極調整手順を行うと、本発明に係るクランプエレメント86は、選択的に、電極調整エレメント87が電極調整手順を行うときに、電極32をクランプして電極32の緩めを防止する。
同じように、本発明は、電極32をスクロールする方式を採用して、電極調整エレメント87が電極32に対して電極調整手順を行うと、ジグ36は電極32をスクロールする必要があるため、本発明に係るクランプエレメント86は、選択的に、電極調整エレメント87が電極調整手順を行うときに、電極32を一時的に解放する。
そうすると、電極調整エレメント87のくし歯は、分離用カラムとして使用することができる。これにより、複数の電極32を、互いに平行であるように分離することができる。
【0058】
図13(A)及び図13(B)を参照する。本発明に係る補正装置80は、選択的に、更に、方向修正エレメント88を備える。
方向修正エレメント88は、電極32の加工方向Fに、ズレなどの現象がある場合に、このズレ現象によって、電極32と加工対象物100との相対方向を調整して、電極32と加工対象物100との加工方向Fを修正する。
例を挙げて説明すると、方向修正エレメント88は、例えば、伸縮プッシュロッド(例えば手動または電動伸縮プッシュロッド)であり、例えば、ステージ20、電極32、又は放電加工装置における、電極32または加工対象物100の相対方向を変更可能なその他の部材をプッシュすると、例えば、第1の方向Xに沿って、それに応じて電極32と加工対象物100との相対方向を調整することができる。
例を挙げて説明すると、本発明は、例えば、検出エレメント89により、電極32の加工方向Fにズレの有無を把握することができる。
検出エレメント89は、例えば、放電変化検出エレメント、投光器と受光器とを有する光電検出エレメント、又は映像検出エレメントであり、光線の中断、又は光線の強さの変化などにより、電極32の加工方向Fにズレの有無を把握することができる。
【0059】
一方、本発明では、図14及び図15に示すように、ジグ36が電極32を往復または周期的に元に戻すようにスクロールする技術手段を採用することができる。
電極32は、例えば、二つのジグ36を囲み(両側跨ぎ)、又は片側のみ二つのジグ36を跨ぐ。
二つのジグ36は、台座52上に回動可能に設けられており、二つのジグ36は、例えば、二つのカップリング55を介して二つのモータ58と接続する。
これにより、二つのジグ36は、二つのモータ58の駆動により、回転されて、電極32が第2の方向Yに沿って往復または周期的に元に戻すように移動する。
電極32の放電区分Bはフローティング状態にあるため、本発明は、選択的に、図15に示すように、張力制御モジュール66を有する。
張力制御モジュール66は、例えば、張力測定ユニット60と、制御器68と、を備える。
張力測定ユニット60は、電極32の張力を測定するためのものである。
制御器68は、二つのモータ58と電気的に接続することにより、電極32の張力によって二つのモータ58を制御して、二つのモータ58がそれぞれ同じ速度で、時計回り又は反時計回りへ回転することにより、電極32の張力を調整する。
これにより、電極32は、第2の方向Yに沿って運動するときに、指定された張力を保持することができる。
一方、本発明は、更に、例えば、電極32の長さと移動の速度とによって、二つのモータ58の回転方向を切り替える時間を計算することにより、電極32を往復動する効果を得ることができる。
【0060】
注意すべきことは、本発明は、複数の部材で一つ又は複数の機能を実行することを例として説明したが、本発明はこれらに限定されない。
本発明は、選択的に、単一の部材で複数の機能を実行することができ、例えば安定部材22及び電極調整エレメント87を合わせて一つの部材になり、又は例えば、安定部材22、電極調整エレメント87、クランプエレメント86、チップス除去エレメント83及び放電加工装置10の一つ又は複数の他の部材を合わせて一つの部材になる。
同じように、本発明は、上記の全部の部材を選択することに限定されず、本発明に係る放電加工装置は、上記の複数の部材から、一部の部材を選択して放電加工手順を行うこともできる。
【0061】
上記の各実施例において、本発明に係る放電加工ユニット30の全ては、選択的に、チップス排出ユニットを備える。
例を挙げて説明すると、図16(A)及び図16(B)に示す実施例のように、本発明に係る放電加工ユニット30は、選択的に、チップス排出ユニット64を備える。
放電加工ユニット30が加工対象物100に対して放電加工手順を行うときに、チップス排出ユニット64は、一つ又は複数の外力を提供して、電極32の加工対象物100に対して放電エネルギーを加えた後に発生された残留物を排除する。
チップス排出ユニット64による外力の加え方向または加え位置は、電極32の放電区分Bに対応する。
チップス排出ユニット64は、例えば、気流発生器、水流発生器、超音波発生器、圧電発振器、又は磁力発生エレメントである。
外力は、例えば、気流、水流、超音波発振、圧電発振、吸引力、又は磁力などである。
チップス排出ユニット64は、ステージ20上に設けられていることに限定されず、更に、電極32の放電区分Bの周囲に設けられていてもよい。
チップス排出ユニット64が超音波発生器または圧電発振器であることを例とする場合に、チップス排出ユニット64は、例えば、ジグ36又はステージ20上に設けられており、外力を直接に発生してジグ36又はステージ20に加える。
チップス排出ユニット64からの外力は、更に、例えばジグ36、加工対象物100、又は電極32を発振することもできる。
そして例えば同時に発振すると、残留物の排除を補助する効果を得ることができる。
一方、図16(B)に示すように、本発明に係るチップス排出ユニット64は、選択的に、加工対象物100の形状によって、外力の加え方向及び/又は加え位置を調整して、電極32の加工対象物100に対して放電エネルギーを加えた後に残された残留物を排除する。
例を挙げて説明すると、チップス排出ユニット64は、水を噴射することにより残留物を除去する水流発生器を例とする場合には、チップス排出ユニット64は、例えば複数の移動可能なノズル65であり、加工対象物100の形状によって、水を噴射する方向を調整することができる。
例えば、加工対象物100が結晶インゴットである場合に、チップス排出ユニット64の複数のノズル65は、結晶インゴットの円弧面に分布されており、且つ選択的に、インゴットの円弧面の両側に分布されている。
更に、チップス排出ユニット64の複数のノズル65は、更に、例えば、選択的に、放電加工の即時の深さによって、円弧の形状またはノズルの位置を調整することにより、加工対象物100の形状によって、水を噴射することをダイナミックに調整する効果を得ることができる。
同じように、チップス排出ユニット64は、上記のチップス除去エレメントとして使用することもできる。
本発明ではチップス排出ユニット64が水流発生器であることを例として説明したが、本発明に属する技術分野に対して通常の知識を有する者は、チップス排出ユニット64を如何に変形して、本発明の水を噴射することをダイナミックに調整するという効果を得ることができ、又は加工対象物100の形状によって、水をダイナミックに噴射するという効果を得ることができるため、説明を省略した。
図16(A)及び図16(B)に示す実施例では、乗せ部材40は、第1のシート44A及び第2のシート44Bをそれぞれ有する。
電極32は第1のシート44Aと第2のシート44Bとの間にクランプされていることにより、複数の電極32を加工方向Fに互いに平行であるようにすることができ、加工対象物100に対して放電加工手順を行うことができる。
例を挙げて説明すると、乗せ部材40は、選択的に、例えば貫通スロット43を有する。
乗せ部材40は、貫通スロット43を利用して、保持部材50のバンプ53に嵌めることができる。
電極32がジグ36にクランプされるため、本発明は、ジグ36の快速脱着可能の設計により、電極32を快速に脱着することができる効果を得ることができる。
【0062】
本発明では、乗せ部材40の表面に、選択的に、図2に示すように、例えば複数の制限スロット42が設けられていることにより、電極32が制限スロット42内に限定され、異なる制限スロット42における電極32は、それぞれ電気的に独立してもよいし、順番に接続されて互いに電気的に接続してもよい。
異なる制限スロット42における電極32の数量は、同じであることに限定されない。すなわち、異なる制限スロット42における電極32の数量は、互いに異なってもよい。
制限スロット42は、同じように、上記の間隔Dで第1の方向Xに沿って平行に配列されることにより、電極32が第1の方向Xに沿って互いに平行であるように配列される。
制限スロット42の幅は、電極32の幅に対応し、例えば制限スロット42の幅は、電極32の幅よりやや大きいことにより、電極32を制限スロット42内に限定することができる。
保持部材50は、選択的に、着脱可能、又は固定式で乗せ部材40にしっかり組み付けられている。
乗せ部材40と保持部材50との組み付け態様は、特に限定されず、乗せ部材40を保持部材50に組付けることができ、又は乗せ部材40が、保持部材50の移動または回転などの運動により、選択的に移動または回転などの運動を行うことができれば、本発明に適用することができる。
乗せ部材40は、例えば、軸穴41を有する、図2に示すような円筒形またはその他の形状を呈するスリーブである。
乗せ部材40は、軸穴41により保持部材50のバンプ51に嵌めて接続することができる。
一方、電極32が不意に断裂したときに、電極32を交換するための時間を減少するために、本発明は、更に、例えば、まず、乗せ部材40の軸穴41を、同じようにバンプを有するダミー(Dummy)支持部材に嵌める。
これにより、ユーザーは、ダミー指示部材から、電極32が囲まれている乗せ部材40を快速に取り出して、乗せ部材40の軸穴41を保持部材50のバンプ51に嵌め、又は保持部材50のバンプ51を乗せ部材40の軸穴41に差し込むことができるため、ジグ36の組付けを快速に完成することができる。
しかし、本発明に係るジグ36は、これに限定されず、ジグ36は、電極32を乗せ可能な構造であり、電極32により放電加工手順を行うことができれば、本発明の請求の範囲に属する。
【0063】
本発明に係る放電加工装置によれば、次のような効果がある。
(1)補正装置は、ドレッシングツールと電極との相対変位により、電極の外面を補正するため、放電加工手順での短絡の問題を防止することができる。
(2)補正装置は、電極のスクロールや移動で加工対象物の加工目標領域を回避することにより、放電加工手順での短絡の問題を防止することができる。
(3)チップス除去エレメントは、ドレッシングツールと電極との相対変位により、ドレッシングツール及び/又は電極に残るチップスなどの物質を除去することができる。チップス排出ユニットは、一つまたは複数の加工目標領域に力を加えることにより、放電加工手順や補正手順で発生したチップスを排出することができる。
(4)スリッティングエレメントは、ドレッシングツールと電極との相対変位により、電極の放電区分を複数の電極ストリップに切断して、板状電極の偏消耗の問題を回避することができる。
(5)方向修正エレメントは、電極と加工対象物の加工方向を修正することができることにより、加工方向のズレの発生を防止することができる。
(6)クランプエレメントは、電極をクランプして、電極が引っ張られて加工方向が変わることを防止することができる。
(7)電極調整エレメントは、複数の電極同士を互いに平行である状態にすることにより、加工対象物が放電加工された後の表面がゆがむなどの凹凸現象を防ぐことができる。
(8)安定部材は、電極の振動を低減し、分離カラムとしてガイドする効果を提供し、電気接点として使用できる。
【0064】
以上の記述は例を挙げたものにすぎず、限定するものではない。本発明の精神及び範疇から逸脱しない、それに対して行ういかなる同等効果の修正又は変更も、添付の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10 放電加工装置
20 ステージ
21 乗せ板
22 安定部材
28 接触面
30 放電加工ユニット
31 電気接点
32 電極
32’ 電極ストリップ
34 給電ユニット
36 ジグ
40 乗せ部材
41 軸穴
42 制限スロット
43 貫通スロット
44A 第1のシート
44B 第2のシート
47 面取り
50 保持部材
51 バンプ
52 台座
53 バンプ
55 カップリング
58 モータ
60 張力測定ユニット
62 振動測定ユニット
64 チップス排出ユニット
65 ノズル
66 張力制御モジュール
68 制御器
80 補正装置
82 ドレッシングツール
83 チップス除去エレメント
84 スクロール機構
85 スリッティングエレメント
86 クランプエレメント
87 電極調整エレメント
88 方向修正エレメント
89 検出エレメント
90 升降機構
91 レール
92 水平移動機構
93 スライドテーブル
95 レール
96 乗せ枠
97 スライドテーブル
100 加工対象物
110 加工目標領域
281 案内溝
A 両側
B 放電区分
C 区域
D 間隔
X 第1の方向
Y 第2の方向
Z 第3の方向
F 加工方向
P1 第1の電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16