(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029423
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】逐次比較型AD変換回路
(51)【国際特許分類】
H03M 1/38 20060101AFI20240228BHJP
H03M 1/08 20060101ALI20240228BHJP
H03M 1/12 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H03M1/38
H03M1/08 A
H03M1/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131664
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春海 豪
【テーマコード(参考)】
5J022
【Fターム(参考)】
5J022AA02
5J022AB04
5J022BA02
5J022CA10
5J022CE01
5J022CF01
5J022CF07
5J022CG01
(57)【要約】
【課題】選択信号のアクティブ化に伴うノイズを低減する。
【解決手段】アナログ信号をデジタルデータに変換する逐次比較型AD変換回路(1)において、データ出力回路(20)は、選択信号(CSB)のノンアクティブからアクティブへの切り替わりに応答してデータ出力端子(T
SDO)の信号レベルを第1レベルに設定し、その後、アクティブ期間においてデータ出力端子の信号レベルを第1レベル又は第2レベルに設定することによりデジタルデータをシリアル信号にて出力する。レベル調整回路(30)は、アクティブ期間からノンアクティブ期間へ切り替わるときにおいてデータ出力端子の信号レベルが第2レベルを有するとき、ノンアクティブ期間への切り替わり後において、データ出力端子の信号レベルを第2レベルから第1レベルに向かわせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ信号をデジタルデータに変換する逐次比較型AD変換回路において、
アクティブ又はノンアクティブの選択信号を受けるよう構成された選択信号入力端子と、
クロック信号を受けるよう構成されたクロック入力端子と、
前記選択信号がアクティブであるアクティブ期間において、前記クロック信号に同期して前記デジタルデータを生成するよう構成された主回路と、
データ出力端子と、
前記アクティブ期間において、前記デジタルデータを前記クロック信号に同期したシリアル信号にて前記データ出力端子から出力するよう構成されたデータ出力回路と、
レベル調整回路と、を備え、
前記データ出力回路は、前記選択信号のノンアクティブからアクティブへの切り替わりに応答して前記データ出力端子の信号レベルを第1レベルに設定し、その後、前記アクティブ期間において前記データ出力端子の信号レベルを前記第1レベル又は第2レベルに設定することにより前記シリアル信号を出力し、
前記レベル調整回路は、前記アクティブ期間から前記選択信号がノンアクティブとなるノンアクティブ期間へ切り替わるときにおいて前記データ出力端子の信号レベルが前記第2レベルを有するとき、前記ノンアクティブ期間への切り替わり後において、前記データ出力端子の信号レベルを前記第2レベルから前記第1レベルに向かわせる
、逐次比較型AD変換回路。
【請求項2】
前記第1レベルはグランドの電位に相当し、前記第2レベルは前記第1レベルよりも高い電源電圧の電位に相当し、
前記レベル調整回路は、前記ノンアクティブ期間において前記データ出力端子を抵抗成分を介しグランドに接続する
、請求項1に記載の逐次比較型AD変換回路。
【請求項3】
前記レベル調整回路は、前記データ出力端子とグランドとの間に設けられたスイッチを有し、前記アクティブ期間において前記スイッチをオフに設定し且つ前記ノンアクティブ期間において前記スイッチをオンに設定し、
前記スイッチがオンとされることで前記抵抗成分を含む電路を通じ前記データ出力端子及びグランド間が接続される
、請求項2に記載の逐次比較型AD変換回路。
【請求項4】
前記レベル調整回路は、前記アクティブ期間から前記ノンアクティブ期間に切り替わってからの時間経過に伴って、前記抵抗成分の値を段階的に増大させる
、請求項2に記載の逐次比較型AD変換回路。
【請求項5】
前記第2レベルはグランドの電位に相当し、前記第1レベルは前記第2レベルよりも高い電源電圧の電位に相当し、
前記レベル調整回路は、前記ノンアクティブ期間において前記データ出力端子を抵抗成分を介し前記電源電圧が加わる電源配線に接続する
、請求項1に記載の逐次比較型AD変換回路。
【請求項6】
前記レベル調整回路は、前記データ出力端子と前記電源配線との間に設けられたスイッチを有し、前記アクティブ期間において前記スイッチをオフに設定し且つ前記ノンアクティブ期間において前記スイッチをオンに設定し、
前記スイッチがオンとされることで前記抵抗成分を含む電路を通じ前記データ出力端子及び前記電源配線間が接続される
、請求項5に記載の逐次比較型AD変換回路。
【請求項7】
前記レベル調整回路は、前記アクティブ期間から前記ノンアクティブ期間に切り替わってからの時間経過に伴って、前記抵抗成分の値を段階的に増大させる
、請求項5に記載の逐次比較型AD変換回路。
【請求項8】
前記データ出力端子から見た前記データ出力回路のインピーダンスは、前記ノンアクティブ期間において、前記アクティブ期間よりも高い
、請求項1~7の何れかに記載の逐次比較型AD変換回路。
【請求項9】
前記データ出力回路は、互いに直列接続されたハイサイドトランンジスタ及びローサイドトランジスタを有する出力段回路を備え、
前記ハイサイドトランンジスタの第1電極に前記電源電圧が加わり、前記ハイサイドトランンジスタの第2電極及び前記ローサイドトランンジスタの第1電極は前記データ出力端子に接続され、前記ローサイドトランンジスタの第2電極はグランドに接続され、
前記データ出力回路は、前記アクティブ期間において、前記ハイサイドトランンジスタ及び前記ローサイドトランジスタの内、一方をオンとすることで前記データ出力端子の信号レベルを前記第1レベルに設定し、他方をオンとすることで前記データ出力端子の信号レベルを前記第2レベルに設定し、前記ノンアクティブ期間において、前記ハイサイドトランンジスタ及び前記ローサイドトランジスタを共にオフとする
、請求項2~8の何れかに記載の逐次比較型AD変換回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、逐次比較型AD変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ信号をデジタルデータに変換するAD変換回路として逐次比較型AD変換回路がある。或る種の逐次比較型AD変換回路は、チップセレクト信号とも称される選択信号がアクティブであるときにAD変換を実行し、得られたデジタルデータをシリアル信号としてデータ出力端子から出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
選択信号がノンアクティブであるときにはデータ出力端子が高インピーダンス状態とされ、選択信号がアクティブに切り替わると、まずデータ出力端子の信号レベルが特定のレベルに設定されることが多い。この際、データ出力端子の信号レベルが急激に切り替わることでノイズが発生することがある。ノイズはAD変換の特性劣化を招き得る。
【0005】
本開示は、ノイズ低減を通じて特性向上に寄与する逐次比較型AD変換回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る逐次比較型AD変換回路は、アナログ信号をデジタルデータに変換する逐次比較型AD変換回路において、アクティブ又はノンアクティブの選択信号を受けるよう構成された選択信号入力端子と、クロック信号を受けるよう構成されたクロック入力端子と、前記選択信号がアクティブであるアクティブ期間において、前記クロック信号に同期して前記デジタルデータを生成するよう構成された主回路と、データ出力端子と、前記アクティブ期間において、前記デジタルデータを前記クロック信号に同期したシリアル信号にて前記データ出力端子から出力するよう構成されたデータ出力回路と、レベル調整回路と、を備え、前記データ出力回路は、前記選択信号のノンアクティブからアクティブへの切り替わりに応答して前記データ出力端子の信号レベルを第1レベルに設定し、その後、前記アクティブ期間において前記データ出力端子の信号レベルを前記第1レベル又は第2レベルに設定することにより前記シリアル信号を出力し、前記レベル調整回路は、前記アクティブ期間から前記選択信号がノンアクティブとなるノンアクティブ期間へ切り替わるときにおいて前記データ出力端子の信号レベルが前記第2レベルを有するとき、前記ノンアクティブ期間への切り替わり後において、前記データ出力端子の信号レベルを前記第2レベルから前記第1レベルに向かわせる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ノイズ低減を通じて特性向上に寄与する逐次比較型AD変換回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るAD変換システムの構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係るADコンバータの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係るADコンバータにて生成されるデジタルデータの構造図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係り、幾つかの信号と出力段回路との関係を示す図である。
【
図5】
図5は、仮想動作のタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、仮想動作にて生じ得る信号のリンギングを示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係り、レベル調整回路の一態様を示す図である(第1出力仕様に対応)。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に係り、レベル調整回路の他の態様を示す図である(第2出力仕様に対応)。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に属する実施例EX_A1に係り、レベル調整回路の内部構成を含むデータ出力回路の回路図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に属する実施例EX_A1に係り、選択信号とデータ信号の概略波形図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態に属する実施例EX_A2に係り、レベル調整回路の内部構成を含むデータ出力回路の回路図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態に属する実施例EX_A3に係り、レベル調整回路の内部構成を含むデータ出力回路の回路図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態に属する実施例EX_A3に係り、複数の信号に関わるタイミングチャートである。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態に属する実施例EX_A3に係り、選択信号とデータ信号の概略波形図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施形態に属する実施例EX_B1に係り、レベル調整回路の内部構成を含むデータ出力回路の回路図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施形態に属する実施例EX_B1に係り、選択信号とデータ信号の概略波形図である。
【
図17】
図17は、本開示の実施形態に属する実施例EX_B2に係り、レベル調整回路の内部構成を含むデータ出力回路の回路図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施形態に属する実施例EX_B3に係り、レベル調整回路の内部構成を含むデータ出力回路の回路図である。
【
図19】
図19は、本開示の実施形態に属する実施例EX_B3に係り、複数の信号に関わるタイミングチャートである。
【
図20】
図20は、本開示の実施形態に属する実施例EX_B3に係り、選択信号とデータ信号の概略波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“AIN”によって参照されるアナログ信号は(
図1参照)、アナログ信号AINと表記されることもあるし、信号AINと略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体を用いて形成されて良い。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本開示の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。
【0011】
レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の注目した信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。
【0012】
任意の注目した信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをアップエッジと称し、ローレベルからハイレベルへの切り替わりのタイミングをアップエッジタイミングと称する。アップエッジをライジングエッジに読み替えて良い。同様に、任意の注目した信号又は電圧において、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをダウンエッジと称し、ハイレベルからローレベルへの切り替わりのタイミングをダウンエッジタイミングと称する。ダウンエッジをフォーリングエッジに読み替えて良い。
【0013】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。また、特に記述なき限り、任意のMOSFETにおいて、バックゲートはソースに短絡されていると考えて良い。以下、任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。
【0014】
任意の回路素子、配線、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
【0015】
図1に本開示の実施形態に係るAD変換システムの構成図を示す。
図1のAD変換システムはADコンバータ1とMPU2(Micro Processing Unit)とを備える。ADコンバータ1は逐次比較型A/D変換回路である。ADコンバータ1に対してアナログ信号AINが入力される。ADコンバータ1はアナログ信号AINに対するAD変換動作を行う。AD変換動作では、アナログ信号AINをバイナリサーチによってデジタルデータDOUTに変換し、得られたデジタルデータDOUTを後述のデータ出力端子T
SDOからシリアル信号にて1ビットずつ出力する。尚、
図1においてデジタルデータDOUTは図示されていない。デジタルデータをデジタル信号と読み替えても良い。
【0016】
図2はADコンバータ1の外観斜視図である。ADコンバータ1は、半導体基板上に形成された半導体集積回路を有する半導体チップと、半導体チップを収容する筐体(パッケージ)と、筐体からADコンバータ1の外部に対して露出する複数の外部端子と、を備えた電子部品である。半導体チップを樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することでADコンバータ1が形成される。
図1には、上記複数の外部端子に含まれる端子T
VDD、T
GND、T
AIN、T
SDO、T
CSB及びT
SCKが示されている。これら以外の外部端子もADコンバータ1に設けられ得る。尚、
図2に示されるADコンバータ1の外部端子の数及びADコンバータ1の筐体の種類は例示に過ぎず、それらを任意に設計可能である。
【0017】
端子TVDDは電源端子である。図示されない電圧源から電源端子TVDDに対し電源電圧VDDが供給される。電源電圧VDDは正の直流電圧である。ADコンバータ1内の各回路は電源電圧VDDに基づいて駆動する。電源電圧VDDから他の直流電圧である内部電源電圧を生成する内部電源回路がADコンバータ1に設けられていて良い。ADコンバータ1内の幾つかの回路は内部電源電圧に基づいて駆動しても良い。端子TGNDはグランド端子である。グランド端子TGNDはグランドに接続される。
【0018】
端子TAINはアナログ入力端子である。アナログ入力端子TAINはADコンバータ1の外部に設けられた配線WR_AINに接続される。配線WR_AINにアナログ信号AINが加わる。配線WR_AINを介して伝搬されるアナログ信号AINがアナログ入力端子TAINに入力される。
【0019】
端子TSDO、TCSB、TSCKは、夫々、データ出力端子、選択信号入力端子、クロック入力端子である。端子TSDO、TCSB、TSCKは、夫々、配線WR_SDO、WR_CSB、WR_SCKの各一端に接続される。配線WR_SDO、WR_CSB及びWR_SCKの各他端はMPU2に接続される。即ち、ADコンバータ1とMPU2は、配線WR_SDO、WR_CSB及びWR_SCKを介して接続される。
【0020】
端子TSDO及び配線WR_SDOに加わる信号をデータ信号SDOと称する。端子TCSB及び配線WR_CSBに加わる信号を選択信号CSBと称する。端子TSCK及び配線WR_SCKに加わる信号をクロック信号SCKと称する。選択信号CSBは一般にチップセレクト信号と称されることがあり、端子TCSBは一般にチップセレクト端子と称されることがある。
【0021】
データ信号SDOはADコンバータ1から出力され、MPU2にてデータ信号SDOを受ける。選択信号CSB及びクロック信号SCKはMPU2から出力され、ADコンバータ1にて選択信号CSB及びクロック信号SCKを受ける。
【0022】
信号SDO、CSB及びSCKは、ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる二値信号である。信号SDO、CSB及びSCKにおけるハイレベルは、通信用の電源電圧IOVDDの電位を有する。信号SDO、CSB及びSCKにおけるローレベルは、グランド電位を有する。電源電圧IOVDDは正の直流電圧である。信号SDO、CSB及びSCKにおけるハイレベルは電源電圧IOVDDの電位よりも若干低い場合があり、信号SDO、CSB及びSCKにおけるローレベルは、グランド電位よりも若干高い場合がある。但し、信号SDO、CSB及びSCKにおけるハイレベルは少なくとも所定のハイ側閾電圧VHより高く、信号SDO、CSB及びSCKにおけるローレベルは少なくとも所定のロー側閾電圧VLより低い。ここで、“IOVDD>VH>IOVDD/2>VL>0”が成立する。通信用の電源電圧IOVDDは電源電圧VDDと同じであっても良いし、電源電圧VDDと相違しても良い。以下では、“IOVDD=VDD”であると考える。
【0023】
選択信号CSBのレベルによって選択信号CSBはアクティブ又はノンアクティブとなる。選択信号CSBがアクティブレベルを有するとき、選択信号CSBはアクティブであり、選択信号CSBがノンアクティブレベルを有するとき、選択信号CSBはノンアクティブである。選択信号CSBがアクティブレベルを有する期間をアクティブ期間と称し、選択信号CSBがノンアクティブレベルを有する期間をノンアクティブ期間と称する。本実施形態では、選択信号CSBに関して負論理が採用されているものとする。即ち、選択信号CSBのアクティブレベルはローレベルであって、且つ、選択信号CSBのノンアクティブレベルはハイレベルであるとする。
【0024】
アクティブ期間においてADコンバータ1もアクティブとなる。ADコンバータ1は、アクティブ期間においてのみ、AD変換動作の実行及びデジタルデータDOUTを表すデータ信号SDOの出力を行う。クロック信号SCKはアクティブ期間においてのみ有意な信号となり、AD変換動作及びデータ信号SDOの出力はクロック信号SCKに同期して行われる。
【0025】
ADコンバータ1は、主だった構成要素として、主回路10、データ出力回路20及びレベル調整回路30を備える。主回路10は端子TAIN、TCSB及びTSCKに接続され、信号AIN、CSB及びSCKを受ける。アクティブ期間において、主回路10は、クロック信号SCKに同期してAD変換動作を行い、アナログ信号AINに対するAD変換結果を表すデジタルデータDOUTを生成する。
【0026】
デジタルデータDOUTはNビットのデジタルデータである。即ち、デジタルデータDOUTは、第1番目のビットから第N番目のビットまでの計Nビットを有する。Nは2以上の任意の整数であり、例えば、8、10、12、14又は16である。ここで、第i番目のビットから見て第(i+1)番目のビットが上位側のビットであるとする。故に、第1番目~第N番目のビットの内、第1番目のビットが最下位ビットであり、第N番目のビットが最上位ビットである。iは任意の整数を表す。
【0027】
本実施形態では、説明の具体化のため、以下、“N=12”である場合を例にとる。
図3にデジタルデータDOUTの構造を示す。デジタルデータDOUTにおける第1番目~第N番目のビットを、夫々、B[0]~B[N-1]にて表す。デジタルデータDOUTにおける各ビットは“1”又は“0”の値を持つ。ビットB[i]が有する値を記号“D[i]”にて表す。値D[i]はビット値と称されることもある。
【0028】
図1の構成例において、主回路10はトラック/ホールド回路11(以下、T/H回路11と称する)と、コンパレータ12と、DAC13と、制御回路14と、を備える。
【0029】
T/H回路11はアナログ入力端子TAINに接続されてアナログ信号AINを受ける。T/H回路11は、制御回路14からの制御信号CNTTHに基づき、トラックモード又はホールドモードにて動作し、アナログ信号AINに基づく信号V1を出力する。制御信号CNTTHは“0”又は“1”を持つ二値信号である。制御信号CNTTHが“0”の値を持つとき、T/H回路11はトラックモードで動作し、制御信号CNTTHが“1”の値を持つとき、T/H回路11はホールドモードで動作する。
【0030】
トラックモードにおいて、T/H回路11は、アナログ信号AINと同じ電位を有する信号V1をリアルタイムで出力する。T/H回路11は、制御信号CNTTHが“0”から“1”に切り替わるとき、その切り替わりタイミングでのアナログ信号AINを保持し、ホールドモードでは、保持したアナログ信号AINを信号V1として継続出力する。
【0031】
コンパレータ12は、T/H回路11からの信号V1とDAC13からの信号V2とを比較し、それらの比較結果(即ち信号V1及びV2の電位の高低関係)を示す信号SCMPを出力する。
【0032】
DAC13はNビットのデジタル/アナログ変換器である。制御回路14からDAC13に対し、NビットのデジタルデータDACINが入力される。DAC13はデジタルデータDACINをアナログ信号に変換し、DAC13での変換により得られたアナログ信号を信号V2としてコンパレータ12に出力する。
【0033】
制御回路14は、選択信号CSB及びクロック信号SCKに基づき主回路10内の動作を統括的に制御する。具体的には、制御回路14は選択信号CSB及びクロック信号SCKに基づき制御信号CNTTHの出力を通じてT/H回路11の動作を制御する。また制御回路14は、バイナリサーチにより、デジタルデータDACINを段階的に変化させながら信号SCMPを参照することで、最上位ビットから最下位ビットに向けて1ビットずつ、デジタルデータDOUTの各ビットの値を決定してゆく。
【0034】
即ち、T/H回路11をホールドモードで動作させている期間において、制御回路14は以下の第1~第N単位動作を、この順番で行う。第1単位動作では、DAC13から 電圧(VDD/2)を有する信号V2を出力させ、このとき、信号SCMPが“V1>V2”を表していればビット値D[N]は“1”であると決定し、そうでなければビット値D[N]は“0”であると決定する。“D[N]=1”と決定された場合の第2単位動作では、DAC13から 電圧(3・VDD/4)を有する信号V2を出力させ、このとき、信号SCMPが“V1>V2”を表していればビット値D[N-1]は“1”であると決定し、そうでなければビット値D[N-1]は“0”であると決定する。“D[N]=0”と決定された場合の第2単位動作では、DAC13から 電圧(VDD/4)を有する信号V2を出力させ、このとき、信号SCMPが“V1>V2”を表していればビット値D[N-1]は“1”であると決定し、そうでなければビット値D[N-1]は“0”であると決定する。仮に“N=2”であれば、この段階でデジタルデータDOUTの全ビットの値が確定する。本実施形態では“N=12”であることが想定されているため、第3~第12単位動作についても同様にして実行され、第3~第12単位動作にて夫々ビット値D[9]~D[0]が決定されてゆく。
【0035】
データ出力回路20は、アクティブ期間において、デジタルデータDOUTをクロック信号SCKに同期したシリアル信号にてデータ出力端子TSDOから出力する。データ出力回路20は、ドライバ21と、トランジスタ22H及び22Lから成る出力段回路22と、保護ダイオード23及び24を備える。出力段回路22において、トランジスタ22Hがハイサイドトランジスタとして機能し、トランジスタ22Lがローサイドトランジスタとして機能する。トランジスタ22HはPチャネル型のMOSFETであり、トランジスタ22LはNチャネル型のMOSFETである。
【0036】
ドライバ21はトランジスタ22H及び22Lの各ゲートに接続される。制御回路14からドライバ21に対して駆動制御信号SDRV及び出力イネーブル信号SENが供給される。ドライバ21は信号SDRV及びSENに基づきトランジスタ22H及び22Lの各ゲート電位を制御することで、トランジスタ22H及び22Lのオン、オフを制御する。
【0037】
トランジスタ22Hのソースは通信用の電源電圧IOVDDが加わる電源配線WR_Hに接続される。トランジスタ22H及び22Lの各ドレインはデータ出力端子TSDOに共通接続される。トランジスタ22Lのソースはグランドに接続される。保護ダイオード23のカソードは電源配線WR_Hに接続される。保護ダイオード23のアノード及び保護ダイオード24のカソードはデータ出力端子TSDOに共通接続される。保護ダイオード24のアノードはグランドに接続される。保護ダイオード23及び24は静電気等に対する保護用の素子である。ダイオード23及び24間の接続ノードは、トランジスタ22H及び22L間の接続ノードとデータ出力端子TSDOとの間に位置する。
【0038】
出力段回路22は、出力ハイ状態、出力ロー状態及びHi-Z状態の何れかの状態をとる。出力ハイ状態はトランジスタ22Hがオンとされ且つトランジスタ22Lがオフとされる状態である。出力ロー状態はトランジスタ22Hがオフとされ且つトランジスタ22Lがオンとされる状態である。Hi-Z状態はトランジスタ22H及び22Lが共にオフとされる状態である。
【0039】
ドライバ21はトランジスタ22H及び22Lの各ゲートにローレベルの信号を供給することで出力段回路22を出力ハイ状態に設定できる。ドライバ21はトランジスタ22H及び22Lの各ゲートにハイレベルの信号を供給することで出力段回路22を出力ロー状態に設定できる。ドライバ21はトランジスタ22Hのゲートに対してハイレベルの信号を供給し且つトランジスタ22Lのゲートに対してローレベルの信号を供給することで出力段回路22をHi-Z状態に設定できる。トランジスタ22H及び22Lのゲートに対するローレベルの信号はグランド電位と実質的に同じ電位を有し、トランジスタ22H及び22Lのゲートに対するハイレベルの信号は電源電圧IOVDDの電位と実質的に同じ電位を有する。
【0040】
駆動制御信号S
DRV及び出力イネーブル信号S
ENは各々に“1”又は“0”の値を有する。
図4に、選択信号CSB、出力イネーブル信号S
EN、駆動制御信号S
DRV及び出力段回路22の基本的な関係を示す。制御回路14は、選択信号CSBがノンアクティブであるとき、即ちノンアクティブ期間において出力イネーブル信号S
ENの値を“0”に設定する。ドライバ21は “S
EN=0”であるとき出力段回路22をHi-Z状態に設定する。つまりノンアクティブ期間において出力段回路22はHi-Z状態となる。制御回路14は、選択信号CSBがアクティブであるとき、即ちアクティブ期間において出力イネーブル信号S
ENの値を“1”に設定する。“S
EN=1”であるとき(従ってアクティブ期間において)、ドライバ21は駆動制御信号S
DRVに従い出力段回路22を出力ハイ状態又は出力ロー状態に設定する。“S
EN=1”であるとき、ドライバ21は“S
DRV=1”であれば出力段回路22を出力ハイ状態に設定し、“S
DRV=0”であれば出力段回路22を出力ロー状態に設定する。
【0041】
選択信号CSBそのものが出力イネーブル信号SENであっても良く、選択信号CSBが直接ドライバ21に供給されても良い。この場合、アクティブの選択信号CSBが“1”の値を持つ出力イネーブル信号SENに相当し、ノンアクティブの選択信号CSBが“0”の値を持つ出力イネーブル信号SENに相当すると解せば良い。
【0042】
尚、制御回路14は、選択信号CSBがハイレベルからローレベルに切り替わった直後、短時間だけ出力イネーブル信号SENを“0”に維持してから出力イネーブル信号SENを“1”に切り替えるようにしても良い。この場合、選択信号CSBがハイレベルからローレベルに切り替わった直後、短時間だけ出力段回路22がHi-Z状態となり得る。また、制御回路14は、選択信号CSBがローレベルからハイレベルに切り替わった直後、短時間だけ出力イネーブル信号SENを“1”に維持してから出力イネーブル信号SENを“0”に切り替えるようにしても良い。この場合、選択信号CSBがローレベルからハイレベルに切り替わった直後、短時間だけ出力段回路22が出力ハイ状態又は出力ロー状態となり得る。
【0043】
出力段回路22が出力ハイ状態に設定されるとき、電源配線WR_Hがトランジスタ22Hのチャネルを通じてデータ出力端子TSDOに導通するため、データ信号SDOの電位(データ出力端子TSDOの電位)はハイレベルとなる。ハイレベルのデータ信号SDOは実質的に電源電圧IOVDDの電位を有する。出力段回路22が出力ロー状態に設定されるとき、グランドがトランジスタ22Lのチャネルを通じてデータ出力端子TSDOに導通するため、データ信号SDOの電位(データ出力端子TSDOの電位)はローレベルとなる。ローレベルのデータ信号SDOは実質的にグランド電位を有する。
【0044】
データ出力端子TSDOから見たデータ出力回路20のインピーダンス(換言すれば出力段回路22のインピーダンス)は、出力段回路22が出力ハイ状態又は出力ロー状態であるときと比べ、出力段回路22がHi-Z状態であるときの方が遥かに高い。故に、出力段回路22がHi-Z状態とされるノンアクティブ期間において、後述のレベル調整回路30が作動しないと仮定すれば、データ信号SDOの電位は不変に維持される(但し微小な変動を無視)。
【0045】
レベル調整回路30はデータ出力端子TSDOに接続される。レベル調整回路30の構成及び動作については後に詳説するものとし、仮想動作について説明する。
【0046】
[仮想動作]
仮想動作とは、ADコンバータ1にレベル調整回路30が無かったと仮定した場合におけるADコンバータ1の動作である。
図5に仮想動作におけるADコンバータ1のタイミングチャートを示す。時間の進行につれて、時刻t10~t28が、この順番で訪れるものとする。時刻t10より前において選択信号CSBがハイレベルに維持されており、時刻t10にて選択信号CSBにダウンエッジが生じる。その後、時刻t27の直前まで選択信号CSBがローレベルに維持され、時刻t27にて選択信号CSBにアップエッジが生じ、更にその後の時刻t28にて選択信号CSBに再びダウンエッジが生じるものとする。従って、時刻t10及びt27間はアクティブ期間であり、時刻t27及びt28間はノンアクティブ期間である。
【0047】
時刻t10及びt27間において、クロック信号SCKにアップエッジ及びダウンエッジが繰り返し交互に発生する。ここでは、時刻t10にてクロック信号SCKがローレベルを有し、時刻t10及びt11間の時刻にてクロック信号SCKにアップエッジが生じ、時刻t11にてクロック信号SCKに第1番目のダウンエッジが生じるものとする。その後、時刻t12~t26にてクロック信号SCKに夫々第2~第16番目のダウンエッジが生じるものとする。クロック信号SCKにおいて、隣接する2つのダウンエッジ間に1つのアップエッジが存在する。
【0048】
時刻t10より前において出力段回路22はHi-Z状態である。今、第1出力仕様がADコンバータ1に採用されていることを想定する。第1出力仕様が採用される際、選択信号CSBのダウンエッジを契機に出力段回路22がHi-Z状態から出力ロー状態に切り替えられる。これを実現すべく、制御回路14は、選択信号CSBのダウンエッジを契機に“S
EN=0”から“S
EN=1”に切り替えると共に“0”の駆動制御信号S
DRVをドライバ21に供給する。
図5では時刻t10にて選択信号CSBにダウンエッジが生じた後、遅滞なく出力段回路22がHi-Z状態から出力ロー状態に切り替えられているが、例えば、選択信号CSBにダウンエッジが生じた後、次にクロック信号SCKのダウンエッジが生じたときに(即ち時刻t11に)出力段回路22がHi-Z状態から出力ロー状態に切り替えられるようにしても良い。
【0049】
時刻t10にて選択信号CSBにダウンエッジが生じた後、時刻t14にてクロック信号SCKに第4番目のダウンエッジが生じるまで、制御回路14はT/H回路11をトラックモードで動作させる(即ち“CNTTH=0”とする)。そして、時刻t14におけるクロック信号SCKの第4番目のダウンエッジを契機に、T/H回路11の動作モードをトラックモードからホールドモードに切り替える(即ち“CNTTH=0”から“CNTTH=1”に切り替える)。
【0050】
時刻t14から時刻t26までにおいてバイナリサーチによるAD変換動作が実行され、デジタルデータDOUTの各ビットの値が最上位ビットから最下位ビットに向けて1ビットずつ決定されてゆく。
図5の例では、時刻t14を起点に第1単位動作が実行されてビット値D[11]が決定し、時刻t15及びt16間においてビット値D[11]がデータ信号SDOとしてデータ出力端子T
SDOから出力される。同様に、時刻t15を起点に第2単位動作が実行されてビット値D[10]が決定し、時刻t16及びt17間においてビット値D[10]がデータ信号SDOとしてデータ出力端子T
SDOから出力される。第3~第12単位動作についても同様である。
【0051】
このように、時刻t10の後、クロック信号SCKの第4~第15番目のダウンエッジを契機に、夫々、第1~第12単位動作が実行される。第1~第12単位動作により夫々ビット値D[11]~D[0]が決定される。そして、クロック信号SCKの第5~第16番目のダウンエッジを契機に、夫々、決定されたビット値D[11]~D[0]がデータ信号SDOとしてデータ出力端子TSDOから出力される。データ信号SDOは1クロック期間ごとに更新される。1クロック期間とは、クロック信号SCKにおける隣接する2つのダウンエッジ間の期間である。
【0052】
ビット値D[11]~D[0]がデータ出力端子TSDOから出力される期間において、ハイレベルのデータ信号SDOは“1”を表し、ローレベルのデータ信号SDOは“0”を表す。従って、第1単位動作によりビット値D[11]が“1”であると決定されたとき、制御回路14は時刻t15及びt16間において“1”の駆動制御信号SDRVをドライバ21に供給することによりデータ信号SDOのレベルをハイレベルに設定する。逆に第1単位動作によりビット値D[11]が“0”であると決定されたとき、制御回路14は時刻t15及びt16間において“0”の駆動制御信号SDRVをドライバ21に供給することによりデータ信号SDOのレベルをローレベルに設定する。同様に、第2単位動作によりビット値D[10]が“1”であると決定されたとき、制御回路14は時刻t16及びt17間において“1”の駆動制御信号SDRVをドライバ21に供給することによりデータ信号SDOのレベルをハイレベルに設定する。逆に第2単位動作によりビット値D[10]が“0”であると決定されたとき、制御回路14は時刻t16及びt17間において“0”の駆動制御信号SDRVをドライバ21に供給することによりデータ信号SDOのレベルをローレベルに設定する。ビット値D[9]~D[0]についても同様である。
【0053】
時刻t10における選択信号CSBのダウンエッジを契機に“S
EN=0”から“S
EN=1”に切り替えられた後、選択信号CSBにアップエッジが生じるまでは“S
EN=1”が維持される。
図5の例では、選択信号CSBにアップエッジが生じる時刻t27にて、制御回路14は“S
EN=1”から“S
EN=0”に切り替え、これによって出力段回路22を出力ハイ状態又は出力ロー状態からHi-Z状態に切り替える。
【0054】
[仮想動作に関わる懸念点]
図5の仮想動作において時刻t27以降の信号に注目する。
図5の仮想動作において、時刻t26を起点に出力されるビット値D[0]のデータ信号SDOは、ハイレベル及びローレベルの何れかとなる。時刻t27及びt28間で出力段回路22がHi-Z状態であるため、ビット値D[0]のデータ信号SDOがハイレベルである場合に時刻t28にて選択信号CSBにダウンエッジが生じると、出力段回路22のHi-Z状態から出力ロー状態への切り替わりに伴い、仮想動作では
図6に示す如くデータ信号SDOがハイレベルからローレベルへ急激に変化する。この急激な変化は、データ信号SDO(即ちデータ出力端子T
SDOの電位)にリンギングをもたらすことも多く、AD変換動作にとってのノイズとなる。このノイズが、ADコンバータ1が実装されるプリント基板又はADコンバータ1内部を介して、電源電圧VDDの印加配線、グランド配線又は配線WR_AINに伝搬すると、AD変換の特性が劣化する。
【0055】
これを考慮して、ADコンバータ1にはレベル調整回路30が設けられる(
図1参照)。上述の第1出力仕様がADコンバータ1にて採用される場合には、レベル調整回路30として
図7のレベル調整回路30_AがADコンバータ1に設けられる。レベル調整回路30_Aは、データ出力端子T
SDOとグランドとの間に設けられ、アクティブ期間からノンアクティブ期間へ切り替わったときにデータ出力端子T
SDOがハイレベルである場合、ノンアクティブ期間において配線WR_SDOから電荷を抵抗成分を介して引き抜くことでデータ出力端子T
SDOの信号レベルをグランド電位まで緩やかに低下させる。レベル調整回路30_AはノードND1とグランドとの間に接続される。ノードND1はADコンバータ1内の配線を介してデータ出力端子T
SDOに接続される。ダイオード23及び24間の接続ノードはノードND1とデータ出力端子T
SDOとの間に位置する。
【0056】
ADコンバータ1にて第2出力仕様が採用されることがある。第2出力仕様が採用される際、選択信号CSBのダウンエッジを契機に出力段回路22がHi-Z状態から出力ハイ状態に切り替えられる(
図8参照)。第2出力仕様がADコンバータ1にて採用される場合には、レベル調整回路30として
図8のレベル調整回路30_BがADコンバータ1に設けられる。レベル調整回路30_Bは、データ出力端子T
SDOと電源配線WR_Hとの間に設けられ、アクティブ期間からノンアクティブ期間へ切り替わったときにデータ出力端子T
SDOがローレベルである場合、ノンアクティブ期間において電源配線WR_Hから配線WR_SDOに対し抵抗成分を介して電荷を供給することでデータ出力端子T
SDOの信号レベルを電源電圧IOVDDの電位まで緩やかに上昇させる。レベル調整回路30_BはノードND1と電源配線WR_Hとの間に接続される。
【0057】
以下、複数の実施例の中で、レベル調整回路30の構成例及び応用技術などを説明する。矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。尚、
図1のADコンバータ1の動作は、レベル調整回路30が有効に作動する点を除けば、上述の仮想動作と同様である。
【0058】
<<実施例EX_A1>>
実施例EX_A1を説明する。実施例EX_A1並びに後述の実施例EX_A2及びEX_A3では、ADコンバータ1にて第1出力仕様(
図7参照)が採用される。
図9のレベル調整回路30_A1はレベル調整回路30_Aの例である。レベル調整回路30_A1はトランジスタ111と制限抵抗112の直列回路により構成される。トランジスタ111はNチャネル型のMOSFETである。制限抵抗112の第1端がノードND1に接続され(従ってデータ出力端子T
SDOに接続され)、制限抵抗112の第2端がトランジスタ111のドレインに接続される。トランジスタ111のソースはグランドに接続される。
【0059】
トランジスタ111のゲートに対し選択信号CSBが供給される。このため、選択信号CSBがアクティブであるとき(即ち選択信号CSBがローレベルであるとき)トランジスタ111はオフであり、選択信号CSBがノンアクティブであるとき(即ち選択信号CSBがハイレベルであるとき)トランジスタ111はオンである。尚、トランジスタ111のオン抵抗値は制限抵抗112の値と比べて十分に小さくて良い。
【0060】
レベル調整回路30_A1を用いれば、選択信号CSBのアップエッジ直前においてデータ出力端子T
SDOの信号レベルがハイレベルである場合、
図10に示す如く、時刻t27にて選択信号CSBがハイレベルに切り替わった後に、配線WR_SDOからデータ出力端子T
SDO、制限抵抗112及びトランジスタ111を介してグランドに電荷が引き込まれ、制限抵抗112の値に応じた傾きでデータ出力端子T
SDOの信号レベル(即ちデータ信号SDOの信号レベル)がハイレベルからローレベルに向けて緩やかに低下してゆく。その後、時刻t28にて選択信号CSBにダウンエッジが生じると、出力段回路22の状態がHi-Z状態から出力ロー状態に切り替わるが、その時点でのデータ出力端子T
SDOの信号レベルはグランド電位に近い又はグランド電位を有する。
【0061】
このため、出力段回路22のHi-Z状態から出力ロー状態への切り替わりに伴う上述のノイズ(リンギングを含む)が抑制され、AD変換の特性向上が図られる。AD変換の特性を表す指標として高調波歪み(THD)及び信号対ノイズ比(SNR)がある。上述のノイズ(
図6参照)は高調波歪みではなくノイズフロアの上昇をもたらすため、レベル調整回路の導入により特にSNRの向上が図られる(後述の他の実施例でも同様)。
【0062】
レベル調整回路30_A1では、データ出力端子TSDO及びグランド間に制限抵抗とスイッチとの直列回路を設けており、トランジスタ111はスイッチの例である。選択信号CSBがアクティブであるときにオフとなり、選択信号CSBがノンアクティブであるときにオンとなる任意のスイッチング素子を、レベル調整回路30_A1内のスイッチとして用いることができる。
【0063】
<<実施例EX_A2>>
実施例EX_A2を説明する。
図11のレベル調整回路30_A2はレベル調整回路30_Aの例である。レベル調整回路30_A2はNチャネル型のMOSFETであるトランジスタ121により構成される。そして、トランジスタ121のドレインがノードND1に接続され(従ってデータ出力端子T
SDOに接続され)、トランジスタ121のソースはグランドに接続される。つまり、
図11のレベル調整回路30_A2は
図9のレベル調整回路30_A1から制限抵抗112を削除した構成を持つ。但し、レベル調整回路30_A1のトランジスタ111のオン抵抗と比べて、より大きなオン抵抗を持つトランジスタ121を用い、レベル調整回路30_A2ではトランジスタ121のオン抵抗を制限抵抗として機能させる。
【0064】
トランジスタ121のゲートに対し選択信号CSBが供給される。このため、選択信号CSBがアクティブであるとき(即ち選択信号CSBがローレベルであるとき)トランジスタ121はオフであり、選択信号CSBがノンアクティブであるとき(即ち選択信号CSBがハイレベルであるとき)トランジスタ121はオンである。
【0065】
レベル調整回路30_A2を用いれば、選択信号CSBのアップエッジ直前においてデータ出力端子T
SDOの信号レベルがハイレベルである場合、
図10に示す如く、時刻t27にて選択信号CSBがハイレベルに切り替わった後に、配線WR_SDOからデータ出力端子T
SDO及びトランジスタ121を介してグランドに電荷が引き込まれ、トランジスタ121のオン抵抗の値に応じた傾きでデータ出力端子T
SDOの信号レベル(即ちデータ信号SDOの信号レベル)がハイレベルからローレベルに向けて緩やかに低下してゆく。その後、時刻t28にて選択信号CSBにダウンエッジが生じると、出力段回路22の状態がHi-Z状態から出力ロー状態に切り替わるが、その時点でのデータ出力端子T
SDOの信号レベルはグランド電位に近い又はグランド電位を有する。
【0066】
このため、レベル調整回路30_A2によってもレベル調整回路30_A1と同様の効果が得られる。レベル調整回路30_A2においてトランジスタ121はスイッチの例である。選択信号CSBがアクティブであるときにオフとなり、選択信号CSBがノンアクティブであるときにオンとなる任意のスイッチング素子を、レベル調整回路30_A2内のスイッチとして用いることができる。
【0067】
<<実施例EX_A3>>
実施例EX_A3を説明する。
図12のレベル調整回路30_A3はレベル調整回路30_Aの例である。レベル調整回路30_A3はトランジスタ群131とゲート信号生成回路132を備える。トランジスタ群131は、互いに並列接続されたM個のトランジスタ131[1]~131[M]から成る。Mは2以上の任意の整数である。トランジスタ131[1]~131[M]はNチャネル型のMOSFETである。トランジスタ131[1]~131[M]の各ドレインが共通にノードND1に接続される(従ってデータ出力端子T
SDOに接続される)。トランジスタ131[1]~131[M]の各ソースはグランドに接続される。
【0068】
ここで、トランジスタ131[j]のオン抵抗はトランジスタ131[j+1]のオン抵抗よりも小さい。jは任意の整数を表す。
【0069】
ゲート信号生成回路132は選択信号CSBに応じたゲート信号GA[1]~GA[M]を生成し、ゲート信号GA[1]~GA[M]を夫々トランジスタ131[1]~131[M]のゲートに供給することで、トランジスタ131[1]~131[M]を個別にオン又はオフに制御する。ゲート信号GA[j]がハイレベルであるとき、トランジスタ131[j]はオンとなる。ゲート信号GA[j]がローレベルであるとき、トランジスタ131[j]はオフとなる。
【0070】
図13に選択信号CSB及びゲート信号G
A[1]~G
A[M]間の関係を示す。ゲート信号生成回路132は、選択信号CSBがアクティブであるとき、即ち選択信号CSBがローレベルであるとき、ゲート信号G
A[1]~G
A[M]を全てローレベルとすることでトランジスタ131[1]~131[M]を全てオフ状態に保つ。
【0071】
ゲート信号生成回路132は、選択信号CSBにアップエッジが生じると、トランジスタ群131の状態を、状態ST_A[1]~ST_A[M+1]間で切り替えてゆく。“1≦j≦M”を満たす条件下において、状態ST_A[j]では、ゲート信号GA[1]~GA[M]の内、ゲート信号GA[j]のみがハイレベルとされ、結果、トランジスタ131[1]~131[M]の内、トランジスタ131[j]のみがオンとされる。状態ST_A[M+1]では、ゲート信号GA[1]~GA[M]を全てローレベルとされることでトランジスタ131[1]~131[M]が全てオフとされる。
【0072】
ゲート信号生成回路132は、選択信号CSBにアップエッジが生じると、以下の状態遷移シーケンスSEQAを実行する。状態遷移シーケンスSEQAにおいて、ゲート信号生成回路132は、まずトランジスタ群131の状態を状態ST_A[1]に設定し、その後、所定時間が経過するごとに、トランジスタ群131の状態を状態ST_A[1]から、順次、状態ST_A[2]、ST_A[3]、・・・、ST_A[M]へと切り替えてゆく。トランジスタ群131の状態を状態ST_A[M]へと切り替えてから所定時間が経過すると、ゲート信号生成回路132は、トランジスタ群131の状態を状態ST_A[M+1]に切り替え、以後、選択信号CSBにダウンエッジが生じるまでトランジスタ群131の状態を状態ST_A[M+1]に保つ。選択信号CSBにアップエッジが生じた後、トランジスタ群131の状態が状態ST_A[M+1]に設定される前に、選択信号CSBにダウンエッジが生じた場合、ゲート信号生成回路132は、状態遷移シーケンスSEQAを即時停止して、トランジスタ131[1]~131[M]を全てオフとする。
【0073】
レベル調整回路30_A3を用いれば、選択信号CSBのアップエッジ直前においてデータ出力端子T
SDOの信号レベルがハイレベルである場合、時刻t27にて選択信号CSBがハイレベルに切り替わった後に、状態遷移シーケンスSEQ
Aが実行されることで、
図10と類似した信号波形が得られる。状態遷移シーケンスSEQ
Aの過程で、配線WR_SDOからデータ出力端子T
SDO及びトランジスタ群131中の何れかのトランジスタを介してグランドに電荷が引き込まれ、トランジスタ群131の抵抗値に応じた傾きでデータ出力端子T
SDOの信号レベル(即ちデータ信号SDOの信号レベル)がハイレベルからローレベルに向けて緩やかに低下してゆく。その後、時刻t28にて選択信号CSBにダウンエッジが生じると、出力段回路22の状態がHi-Z状態から出力ロー状態に切り替わるが、その時点でのデータ出力端子T
SDOの信号レベルはグランド電位に近い又はグランド電位を有する。
【0074】
このため、レベル調整回路30_A3によってもレベル調整回路30_A1と同様の効果が得られる。更に上述したように、トランジスタ131[j]のオン抵抗はトランジスタ131[j+1]のオン抵抗よりも小さい。このため、状態遷移シーケンスSEQAにおいて状態ST_A[M+1]に至るまでは、トランジスタ群131の抵抗値は段階的に増大してゆく。ここで、トランジスタ群131の抵抗値とは、ノードND1及びグランド間の抵抗値であり、トランジスタ131[1]~131[M]の内、オンとなっているトランジスタのオン抵抗の値を指す。
【0075】
状態遷移シーケンスSEQ
Aにてトランジスタ群131の抵抗値を段階的に増大してゆくことで、
図14に示す如く、選択信号CSBのアップエッジ直後は比較的大きな傾きでデータ出力端子T
SDOの電位を低下させ、その低下の傾きを、時間経過と共に徐々に緩やかにすることができる。
【0076】
図11のレベル調整回路30_A2にてトランジスタ121のオン抵抗を十分に大きくしておけば、選択信号CSBのハイレベル期間におけるデータ出力端子T
SDOの電位変化の傾きを十分に小さく抑えることができる。但し、選択信号CSBのハイレベル期間の長さが限られる中で、トランジスタ121のオン抵抗を大きくしすぎると、データ出力端子T
SDOの電位が殆ど下がっていない状態で選択信号CSBのダウンエッジに伴い出力段回路22が出力ロー状態に切り替えられるおそれがある。これに対し、本実施例に係るレベル調整回路30_A3によれば、選択信号CSBのアップエッジ直前においてデータ出力端子T
SDOの信号レベルがハイレベルである場合、選択信号CSBのアップエッジ直後にて、まず上述のリンギングが生じない程度の傾きでデータ出力端子T
SDOの電位を大きく低下させることができる。その後に、その低下の傾きを段階的に緩やかにする。これにより、出力段回路22のHi-Z状態から出力ロー状態への切り替わりに伴う上述のノイズ(リンギングを含む)が極力抑制され、AD変換の特性向上が図られる。
【0077】
図12のレベル調整回路30_A3において、トランジスタ131[1]~131[M]に十分に小さな同一のオン抵抗を持たせる変形を行っても良い。但し、この変形においては、トランジスタ131[1]~131[M]のドレインとノードND1との間に1つずつ制限抵抗(不図示)を設けるようする。即ち、当該変形においては、トランジスタ131[1]のドレインとノードND1との間に第1制限抵抗を設け、トランジスタ131[2]のドレインとノードND1との間に第2制限抵抗を設け、・・・、トランジスタ131[M]のドレインとノードND1との間に第M制限抵抗を設ける。この際、第j制限抵抗の値が第(j+1)制限抵抗の値よりも小さくなるよう、各制限抵抗の値を設定しておくと良い。これにより、上記変形前のレベル調整回路30_A3と同等の作用が得られる。
【0078】
ここで、レベル調整回路30_A(30_A1、30_A2、30_A3)について説明を加える。レベル調整回路30_Aは、アクティブ期間からノンアクティブ期間へ切り替わるときにおいてデータ出力端子TSDOの信号レベル(SDO)がハイレベルを有するとき、ノンアクティブ期間への切り替わり後において、データ出力端子TSDOの信号レベル(SDO)をハイレベルからローレベルに向かわせる。
【0079】
これを実現するため、レベル調整回路30_A(30_A1、30_A2、30_A3)は、ノンアクティブ期間においてデータ出力端子TSDOを抵抗成分を介しグランドに接続する。
【0080】
レベル調整回路30_A1又は30_A2では、データ出力端子TSDOとグランドとの間にスイッチを設け、アクティブ期間、ノンアクティブ期間にてスイッチを夫々オフ、オンとする。スイッチがオンとされることで抵抗成分を含む電路を通じデータ出力端子TSDO及びグランド間が接続される。ここにおける電路は、レベル調整回路30_A1又は30_A2に設けられる電路(ノードND1及びグランド間の電路)であり、当該電路中に、スイッチ(111)及び制限抵抗(112)の直列回路、又は、有意なオン抵抗を有するスイッチ(121)が含まれる。
【0081】
これに対し、レベル調整回路30_A3では、アクティブ期間からノンアクティブ期間に切り替わってからの時間経過に伴って、上述の抵抗成分の値を段階的に増大させる。
図12の構成に関し、抵抗成分は上記状態ST_A[j]ではトランジスタ131[j]のオン抵抗に相当する。
【0082】
<<実施例EX_B1>>
実施例EX_B1を説明する。実施例EX_B1並びに後述の実施例EX_B2及びEX_B3では、ADコンバータ1にて第2出力仕様(
図8参照)が採用される。
図15のレベル調整回路30_B1はレベル調整回路30_Bの例である。レベル調整回路30_B1はトランジスタ161と制限抵抗162の直列回路により構成される。トランジスタ161はPチャネル型のMOSFETである。トランジスタ161のソースは電源配線WR_Hに接続される。トランジスタ161のドレインは制限抵抗162を介してノードND1に接続される(従ってデータ出力端子T
SDOに接続される)。
【0083】
トランジスタ161のゲートに対し反転選択信号CSB_INVが供給される。反転選択信号CSB_INVは、選択信号CSBがローレベルであるときハイレベル(即ち電源電圧IOVDDの電位)を有し、選択信号CSBがハイレベルであるときローレベル(即ちグランド電位)を有する。このため、選択信号CSBがアクティブであるとき(即ち選択信号CSBがローレベルであるとき)トランジスタ161はオフであり、選択信号CSBがノンアクティブであるとき(即ち選択信号CSBがハイレベルであるとき)トランジスタ161はオンである。尚、トランジスタ161のオン抵抗値は制限抵抗162の値と比べて十分に小さくて良い。
【0084】
レベル調整回路30_B1を用いれば、選択信号CSBのアップエッジ直前においてデータ出力端子T
SDOの信号レベルがローレベルである場合、
図16に示す如く、時刻t27にて選択信号CSBがハイレベルに切り替わった後に、電源配線WR_Hからトランジスタ161、制限抵抗162及びデータ出力端子T
SDOを介して配線WR_SDOに電荷が供給され、制限抵抗162の値に応じた傾きでデータ出力端子T
SDOの信号レベル(即ちデータ信号SDOの信号レベル)がローレベルからハイレベルに向けて緩やかに上昇してゆく。その後、時刻t28にて選択信号CSBにダウンエッジが生じると、出力段回路22の状態がHi-Z状態から出力ハイ状態に切り替わるが、その時点でのデータ出力端子T
SDOの信号レベルは電源電圧IOVDDの電位に近い又は電源電圧IOVDDの電位を有する。
【0085】
このため、出力段回路22のHi-Z状態から出力ハイ状態への切り替わりに伴う上述のノイズ(リンギングを含む)が抑制され、AD変換の特性向上が図られる。
【0086】
レベル調整回路30_B1では、データ出力端子TSDO及び電源配線WR_H間に制限抵抗とスイッチとの直列回路を設けており、トランジスタ161はスイッチの例である。選択信号CSBがアクティブであるときにオフとなり、選択信号CSBがノンアクティブであるときにオンとなる任意のスイッチング素子を、レベル調整回路30_B1内のスイッチとして用いることができる。
【0087】
<<実施例EX_B2>>
実施例EX_B2を説明する。
図17のレベル調整回路30_B2はレベル調整回路30_Bの例である。レベル調整回路30_B2はPチャネル型のMOSFETであるトランジスタ171により構成される。そして、トランジスタ171のソースが電源配線WR_Hに接続され、トランジスタ171のドレインがノードND1に接続される(従ってデータ出力端子T
SDOに接続される)。つまり、
図17のレベル調整回路30_B2は
図15のレベル調整回路30_B1から制限抵抗162を削除した構成を持つ。但し、レベル調整回路30_B1のトランジスタ161のオン抵抗と比べて、より大きなオン抵抗を持つトランジスタ171を用い、レベル調整回路30_B2ではトランジスタ171のオン抵抗を制限抵抗として機能させる。
【0088】
トランジスタ171のゲートに対し反転選択信号CSB_INVが供給される。このため、選択信号CSBがアクティブであるとき(即ち選択信号CSBがローレベルであるとき)トランジスタ171はオフであり、選択信号CSBがノンアクティブであるとき(即ち選択信号CSBがハイレベルであるとき)トランジスタ171はオンである。
【0089】
レベル調整回路30_B2を用いれば、選択信号CSBのアップエッジ直前においてデータ出力端子T
SDOの信号レベルがローレベルである場合、
図16に示す如く、時刻t27にて選択信号CSBがハイレベルに切り替わった後に、電源配線WR_Hからトランジスタ171及びデータ出力端子T
SDOを介して配線WR_SDOに電荷が供給され、トランジスタ171のオン抵抗の値に応じた傾きでデータ出力端子T
SDOの信号レベル(即ちデータ信号SDOの信号レベル)がローレベルからハイレベルに向けて緩やかに上昇してゆく。その後、時刻t28にて選択信号CSBにダウンエッジが生じると、出力段回路22の状態がHi-Z状態から出力ハイ状態に切り替わるが、その時点でのデータ出力端子T
SDOの信号レベルは電源電圧IOVDDの電位に近い又は電源電圧IOVDDの電位を有する。
【0090】
このため、レベル調整回路30_B2によってもレベル調整回路30_B1と同様の効果が得られる。レベル調整回路30_B2においてトランジスタ171はスイッチの例である。選択信号CSBがアクティブであるときにオフとなり、選択信号CSBがノンアクティブであるときにオンとなる任意のスイッチング素子を、レベル調整回路30_B2内のスイッチとして用いることができる。
【0091】
<<実施例EX_B3>>
実施例EX_B3を説明する。
図18のレベル調整回路30_B3はレベル調整回路30_Bの例である。レベル調整回路30_B3はトランジスタ群181とゲート信号生成回路182を備える。トランジスタ群181は、互いに並列接続されたM個のトランジスタ181[1]~181[M]から成る。Mは2以上の任意の整数である。トランジスタ181[1]~181[M]はPチャネル型のMOSFETである。トランジスタ181[1]~181[M]の各ソースが共通に電源配線WR_Hに接続され、トランジスタ181[1]~181[M]の各ドレインが共通にノードND1に接続される(従ってデータ出力端子T
SDOに接続される)。
【0092】
ここで、トランジスタ181[j]のオン抵抗はトランジスタ181[j+1]のオン抵抗よりも小さい。jは任意の自然数を表す。
【0093】
ゲート信号生成回路182は選択信号CSBに応じたゲート信号GB[1]~GB[M]を生成し、ゲート信号GB[1]~GB[M]を夫々トランジスタ181[1]~181[M]のゲートに供給することで、トランジスタ181[1]~181[M]を個別にオン又はオフに制御する。ゲート信号GB[j]がローレベルであるとき、トランジスタ181[j]はオンとなる。ゲート信号GB[j]がハイレベルであるとき、トランジスタ181[j]はオフとなる。
【0094】
図19に選択信号CSB及びゲート信号G
B[1]~G
B[M]間の関係を示す。ゲート信号生成回路182は、選択信号CSBがアクティブであるとき、即ち選択信号CSBがローレベルであるとき、ゲート信号G
B[1]~G
B[M]を全てハイレベルとすることでトランジスタ181[1]~181[M]を全てオフ状態に保つ。
【0095】
ゲート信号生成回路182は、選択信号CSBにアップエッジが生じると、トランジスタ群181の状態を、状態ST_B[1]~ST_B[M+1]間で切り替えてゆく。“1≦j≦M”を満たす条件下において、状態ST_B[j]では、ゲート信号GB[1]~GB[M]の内、ゲート信号GB[j]のみがローレベルとされ、結果、トランジスタ181[1]~181[M]の内、トランジスタ181[j]のみがオンとされる。状態ST_B[M+1]では、ゲート信号GB[1]~GB[M]を全てハイレベルとされることでトランジスタ181[1]~181[M]が全てオフとされる。
【0096】
ゲート信号生成回路182は、選択信号CSBにアップエッジが生じると、以下の状態遷移シーケンスSEQBを実行する。状態遷移シーケンスSEQBにおいて、ゲート信号生成回路182は、まずトランジスタ群181の状態を状態ST_B[1]に設定し、その後、所定時間が経過するごとに、トランジスタ群181の状態を状態ST_B[1]から、順次、状態ST_B[2]、ST_B[3]、・・・、ST_B[M]へと切り替えてゆく。トランジスタ群181の状態を状態ST_B[M]へと切り替えてから所定時間が経過すると、ゲート信号生成回路182は、トランジスタ群181の状態を状態ST_B[M+1]に切り替え、以後、選択信号CSBにダウンエッジが生じるまでトランジスタ群181の状態を状態ST_B[M+1]に保つ。選択信号CSBにアップエッジが生じた後、トランジスタ群181の状態が状態ST_B[M+1]に設定される前に、選択信号CSBにダウンエッジが生じた場合、ゲート信号生成回路182は、状態遷移シーケンスSEQBを即時停止して、トランジスタ181[1]~181[M]を全てオフとする。
【0097】
レベル調整回路30_B3を用いれば、選択信号CSBのアップエッジ直前においてデータ出力端子T
SDOの信号レベルがローレベルである場合、時刻t27にて選択信号CSBがハイレベルに切り替わった後に、状態遷移シーケンスSEQ
Bが実行されることで、
図16と類似した信号波形が得られる。状態遷移シーケンスSEQ
Bの過程で、電源配線WR_Hからトランジスタ群181中の何れかのトランジスタを介して配線WR_SDOに電荷が供給され、トランジスタ群181の抵抗値に応じた傾きでデータ出力端子T
SDOの信号レベル(即ちデータ信号SDOの信号レベル)がローレベルからハイレベルに向けて緩やかに上昇してゆく。その後、時刻t28にて選択信号CSBにダウンエッジが生じると、出力段回路22の状態がHi-Z状態から出力ハイ状態に切り替わるが、その時点でのデータ出力端子T
SDOの信号レベルは電源電圧IOVDDの電位に近い又は電源電圧IOVDDの電位を有する。
【0098】
このため、レベル調整回路30_B3によってもレベル調整回路30_B1と同様の効果が得られる。更に上述したように、トランジスタ181[j]のオン抵抗はトランジスタ181[j+1]のオン抵抗よりも小さい。このため、状態遷移シーケンスSEQBにおいて状態ST_B[M+1]に至るまでは、トランジスタ群181の抵抗値は段階的に増大してゆく。ここで、トランジスタ群181の抵抗値とは、ノードND1及び電源配線WR_H間の抵抗値であり、トランジスタ181[1]~181[M]の内、オンとなっているトランジスタのオン抵抗の値を指す。
【0099】
状態遷移シーケンスSEQ
Bにてトランジスタ群181の抵抗値を段階的に増大してゆくことで、
図20に示す如く、選択信号CSBのアップエッジ直後は比較的大きな傾きでデータ出力端子T
SDOの電位を上昇させ、その上昇の傾きを、時間経過と共に徐々に緩やかにすることができる。これによる作用及び効果は実施例EX_A3に示したものと同様である。
【0100】
図18のレベル調整回路30_B3において、トランジスタ181[1]~181[M]に十分に小さな同一のオン抵抗を持たせる変形を行っても良い。但し、この変形においては、トランジスタ181[1]~181[M]のドレインとノードND1との間に1つずつ制限抵抗(不図示)を設けるようする。即ち、当該変形においては、トランジスタ181[1]のドレインとノードND1との間に第1制限抵抗を設け、トランジスタ181[2]のドレインとノードND1との間に第2制限抵抗を設け、・・・、トランジスタ181[M]のドレインとノードND1との間に第M制限抵抗を設ける。この際、第j制限抵抗の値が第(j+1)制限抵抗の値よりも小さくなるよう、各制限抵抗の値を設定しておくと良い。これにより、上記変形前のレベル調整回路30_B3と同等の作用が得られる。
【0101】
ここで、レベル調整回路30_B(30_B1、30_B2、30_B3)について説明を加える。レベル調整回路30_Bは、アクティブ期間からノンアクティブ期間へ切り替わるときにおいてデータ出力端子TSDOの信号レベル(SDO)がローレベルを有するとき、ノンアクティブ期間への切り替わり後において、データ出力端子TSDOの信号レベル(SDO)をローレベルからハイレベルに向かわせる。
【0102】
これを実現するため、レベル調整回路30_B(30_B1、30_B2、30_B3)は、ノンアクティブ期間においてデータ出力端子TSDOを抵抗成分を介し電源配線WR_Hに接続する。
【0103】
レベル調整回路30_B1又は30_B2では、データ出力端子TSDOと電源配線WR_Hとの間にスイッチを設け、アクティブ期間、ノンアクティブ期間にてスイッチを夫々オフ、オンとする。スイッチがオンとされることで抵抗成分を含む電路を通じデータ出力端子TSDO及び電源配線WR_H間が接続される。ここにおける電路は、レベル調整回路30_B1又は30_B2に設けられる電路(ノードND1及び電源配線WR_H間の電路)であり、当該電路中に、スイッチ(161)及び制限抵抗(162)の直列回路、又は、有意なオン抵抗を有するスイッチ(171)が含まれる。
【0104】
これに対し、レベル調整回路30_B3では、アクティブ期間からノンアクティブ期間に切り替わってからの時間経過に伴って、上述の抵抗成分の値を段階的に増大させる。
図18の構成に関し、抵抗成分は上記状態ST_B[j]ではトランジスタ181[j]のオン抵抗に相当する。
【0105】
<<実施例EX_C>>
実施例EX_Cを説明する。実施例EX_Cでは、上述の各事項に対する変形技術又は補足事項等を示す。
【0106】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係は上述したものの逆とされ得る。従って例えば、選択信号CSBのアクティブレベルはハイレベルであって且つ選択信号CSBのノンアクティブレベルはローレベルであっても良い。
【0107】
本開示に係るADコンバータ1が逐次比較型A/D変換回路である限り、ADコンバータ1の内部構成は様々に変更可能である。従って例えば、ADコンバータ1は、キャパシタアレイ及びスイッチアレイを有するキャパシタ型DACを用いてAD変換動作を行う構成であっても良い。
【0108】
不都合が生じない限り、上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタを、不都合が生じない限り、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0109】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0110】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0111】
本開示の一側面に係る逐次比較型AD変換回路は、アナログ信号(AIN)をデジタルデータ(DOUT)に変換する逐次比較型AD変換回路(1)において、アクティブ又はノンアクティブの選択信号(CSB)を受けるよう構成された選択信号入力端子(TCSB)と、クロック信号(SCK)を受けるよう構成されたクロック入力端子(TSCK)と、前記選択信号がアクティブであるアクティブ期間において、前記クロック信号に同期して前記デジタルデータを生成するよう構成された主回路(10)と、データ出力端子(TSDO)と、前記アクティブ期間において、前記デジタルデータを前記クロック信号に同期したシリアル信号にて前記データ出力端子から出力するよう構成されたデータ出力回路(20)と、レベル調整回路(30)と、を備え、前記データ出力回路は、前記選択信号のノンアクティブからアクティブへの切り替わりに応答して前記データ出力端子の信号レベルを第1レベル(ローレベル又はハイレベル)に設定し、その後、前記アクティブ期間において前記データ出力端子の信号レベルを前記第1レベル又は第2レベル(ハイレベル又はローレベル)に設定することにより前記シリアル信号を出力し、前記レベル調整回路は、前記アクティブ期間から前記選択信号がノンアクティブとなるノンアクティブ期間へ切り替わるときにおいて前記データ出力端子の信号レベルが前記第2レベルを有するとき、前記ノンアクティブ期間への切り替わり後において、前記データ出力端子の信号レベルを前記第2レベルから前記第1レベルに向かわせる構成(第1の構成)である。
【0112】
選択信号のアクティブからノンアクティブへの切り替わり直前においてデータ出力端子の信号レベルが第2レベル(例えばハイレベル)を有する場合がある。その後、選択信号が再びアクティブに切り替わる直前において、仮にデータ出力端子の信号レベルが第2レベルを有していると、選択信号のアクティブへの切り替わりに伴ってデータ出力端子の信号レベルが第1レベル(例えばローレベル)に急激に変化することにより、ノイズが発生することがある。上記構成に係る逐次比較型AD変換回路では、レベル調整回路により、ノンアクティブ期間にてデータ出力端子の信号レベルを第1レベルに向かわせることができるため、上記ノイズが抑制され、結果、AD変換の特性向上が図られる。
【0113】
上記第1の構成に係る逐次比較型AD変換回路において、前記第1レベルはグランドの電位に相当し、前記第2レベルは前記第1レベルよりも高い電源電圧の電位に相当し、前記レベル調整回路は、前記ノンアクティブ期間において前記データ出力端子を抵抗成分(例えば
図9の制限抵抗112)を介しグランドに接続する構成(第2の構成)であっても良い。
【0114】
これにより、ノンアクティブ期間にてデータ出力端子の信号レベルを緩やかに第1レベルに向かわせることができる。信号レベルの急激な変化の抑制はノイズ低減に寄与する。
【0115】
上記第2の構成に係る逐次比較型AD変換回路において(
図9、
図11参照)、前記レベル調整回路は、前記データ出力端子とグランドとの間に設けられたスイッチ(111、121)を有し、前記アクティブ期間において前記スイッチをオフに設定し且つ前記ノンアクティブ期間において前記スイッチをオンに設定し、前記スイッチがオンとされることで前記抵抗成分を含む電路を通じ前記データ出力端子及びグランド間が接続される構成(第3の構成)であっても良い。
【0116】
上記第2の構成に係る逐次比較型AD変換回路において(
図12参照)、前記レベル調整回路は、前記アクティブ期間から前記ノンアクティブ期間に切り替わってからの時間経過に伴って、前記抵抗成分の値を段階的に増大させる構成(第4の構成)であっても良い。
【0117】
これにより、ノイズの抑制効果が更に高まる。
【0118】
上記第1の構成に係る逐次比較型AD変換回路において、前記第2レベルはグランドの電位に相当し、前記第1レベルは前記第2レベルよりも高い電源電圧の電位に相当し、
前記レベル調整回路は、前記ノンアクティブ期間において前記データ出力端子を抵抗成分(例えば
図15の制限抵抗162)を介し前記電源電圧が加わる電源配線に接続する構成(第5の構成)であっても良い。
【0119】
これにより、ノンアクティブ期間にてデータ出力端子の信号レベルを緩やかに第1レベルに向かわせることができる。信号レベルの急激な変化の抑制はノイズ低減に寄与する。
【0120】
上記第5の構成に係る逐次比較型AD変換回路において(
図15、
図17参照)、前記レベル調整回路は、前記データ出力端子と前記電源配線との間に設けられたスイッチ(161、171)を有し、前記アクティブ期間において前記スイッチをオフに設定し且つ前記ノンアクティブ期間において前記スイッチをオンに設定し、前記スイッチがオンとされることで前記抵抗成分を含む電路を通じ前記データ出力端子及び前記電源配線間が接続される構成(第6の構成)であっても良い。
【0121】
上記第5の構成に係る逐次比較型AD変換回路において(
図18参照)、前記レベル調整回路は、前記アクティブ期間から前記ノンアクティブ期間に切り替わってからの時間経過に伴って、前記抵抗成分の値を段階的に増大させる構成(第7の構成)であっても良い。
【0122】
これにより、ノイズの抑制効果が更に高まる。
【0123】
上記第1~第7の構成の何れかに係る逐次比較型AD変換回路において、前記データ出力端子から見た前記データ出力回路のインピーダンスは、前記ノンアクティブ期間において、前記アクティブ期間よりも高い構成(第8の構成)であっても良い。
【0124】
上記第2~第8の構成の何れかに係る逐次比較型AD変換回路において、前記データ出力回路は、互いに直列接続されたハイサイドトランンジスタ(22H)及びローサイドトランジスタ(22L)を有する出力段回路(22)を備え、前記ハイサイドトランンジスタの第1電極に前記電源電圧が加わり、前記ハイサイドトランンジスタの第2電極及び前記ローサイドトランンジスタの第1電極は前記データ出力端子に接続され、前記ローサイドトランンジスタの第2電極はグランドに接続され、前記データ出力回路は、前記アクティブ期間において、前記ハイサイドトランンジスタ及び前記ローサイドトランジスタの内、一方をオンとすることで前記データ出力端子の信号レベルを前記第1レベルに設定し、他方をオンとすることで前記データ出力端子の信号レベルを前記第2レベルに設定し、前記ノンアクティブ期間において、前記ハイサイドトランンジスタ及び前記ローサイドトランジスタを共にオフとする構成(第9の構成)であっても良い。
【符号の説明】
【0125】
1 ADコンバータ
2 MPU
10 主回路
11 トラック/ホールド回路
12 コンパレータ
13 DAC
14 制御回路
20 データ出力回路
21 ドライバ
22 出力段回路
22H、22L トランジスタ(ハイサイド/ローサイドトランジスタ)
23、24 保護ダイオード
30、30_A、30_B レベル調整回路
TVDD 電源端子
TGND グランド端子
TAIN アナログ入力端子
TSDO データ出力端子
TCSB 選択信号入力端子
TSCK クロック入力端子
AIN アナログ信号
SDO データ信号
CSB 選択信号
SCK クロック信号
VDD、IOVDD 電源電圧
WR_H 電源配線
30_A1~30_A3 レベル調整回路
111、121、131[1]~131[M] トランジスタ
112 制限抵抗
131 トランジスタ群
132 ゲート信号生成回路
30_B1~30_B3 レベル調整回路
161、171、181[1]~181[M] トランジスタ
162 制限抵抗
181 トランジスタ群
182 ゲート信号生成回路