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  • 特開-水田抑草除草機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029430
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】水田抑草除草機
(51)【国際特許分類】
   A01B 39/18 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A01B39/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131676
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】507087007
【氏名又は名称】株式会社 ごはん
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】大島 知美
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA07
2B034BA01
2B034BA06
2B034BB01
2B034HA12
2B034HB01
2B034HB23
2B034HB27
(57)【要約】
【課題】抑草除草状況や稲や苗の無事状況が視認しやすく、そのため抑草除草作業を容易にして適切におこなうことができ、旋回時に抑草除草部をたとえば持ち上げ係止して上昇保持固定でき、水田端部での往復走行のための旋回移動または水田外での走行や収納のための移動走行が容易におこなえる画期的な水田抑草除草機を提供すること。
【解決手段】前後の車輪2の間にサドル部3を設け、このサドル部3に乗座した作業者の左右の手で握持し回動操作することで操舵できる構成であって、この操作ハンドル部4の前側に、抑草除草用の垂下部6を多数櫛状に並設した抑草除草部7を設け、この抑草除草部7は、上昇保持固定自在に設けた構成とした水田抑草除草機。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の前後に水田走行用の車輪が設けられ、この前後の車輪の間に作業者が乗座するサドル部が設けられていて、
前記基体に前記車輪を操舵する操作ハンドル部が設けられていて、
この操作ハンドル部は、その左右を前記サドル部に乗座した作業者の左右の手で握持しこの握持した手で回動操作することで前記車輪の走行向きを変化させて操舵する構成とされていて、
前記基体に前記車輪を回転駆動する駆動部が設けられていて、作業者が乗座した状態で自走する構成とされていて、
前記基体の前記操作ハンドル部の前側に、水田の水面下に垂下配設され水面または水中の雑草を引き取りあるいは掻き損傷またはからめて抑草または除草する抑草除草用の垂下部が横方向に間隔を置いて多数櫛状に並設されている抑草除草部が設けられていて、
この抑草除草部は、昇降自在に設けられているとともに、上昇保持固定自在に設けられていることを特徴とする水田抑草除草機。
【請求項2】
前記抑草除草部は前後に複数設けられていて、走行前後方向に対して前後の前記抑草除草部の前記抑草除草用の垂下部が位置ずれた平面視千鳥状に配置されている構成であることを特徴とする請求項1記載の水田抑草除草機。
【請求項3】
前記抑草除草部は、後方に突設され前記基体に枢着されている腕部が後部端部の基体枢着部を支点に上下方向に回動することで昇降自在となる構成とされていて、回動上昇した状態を係止保持する上昇保持固定機構が設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載の水田抑草除草機。
【請求項4】
前記基体に水田底部を滑走し前記抑草除草部を所定高さに保持するそり部が左右に設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載の水田抑草除草機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田を走行させて水面や水中の雑草を引き取りあるいは掻き損傷させまたはからめて、抑草または除草する水田抑草除草機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで様々な抑草除草機が開発されてきたが、たとえば出願人が開発した特許文献1のように、水田を走行させる走行基体の後方に、抑草除草用の棒状の垂下部を横方向に多数櫛状に並設した抑草除草部を設け、これをけん引することで水面や水中の雑草を引き取りあるいは掻き損傷させまたはからめて、抑草または除草する抑草除草機が好評である。
【0003】
しかし、この抑草除草部は後方のため作業者が見づらいし、雑草の抑草除草状況や稲や苗の無事状況などを視認確認しづらい。
【0004】
また一方、水田の溝切機などにおいて自転車のように跨り乗座でき、駆動自走することで溝切作業できるものはあるが、抑草除草機においてはこのように操作ハンドル部を作業者が左右の手で握持しサドル部に跨り座るように乗座でき、この乗座状態で自走できる抑草除草機はなく、しかも抑草除草部をけん引するのでなく、操作ハンドル部の前方に設けて、作業者が抑草除草状況や稲や苗の無事状況を目視確認しながら走行できる構成はこれまでにはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5449519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような技術課題を見出し、これを解決するもので、操作ハンドル部を左右の手で握持しサドル部に跨り座ることで乗座しこの乗座状態で自走走行でき、水田を走行することで前方に設けた抑草除草部により水面や水中の雑草を抑草または除草でき、またこの抑草除草状況や稲や苗の無事状況が視認しやすく、そのため抑草除草作業を容易にして適切におこなうことができ、また簡易な構成で量産性に優れ安価に実現可能で、さらには抑草除草部を昇降自在にして上昇保持固定自在に設けた構成とすることで、旋回時に抑草除草部をたとえば持ち上げ係止して上昇保持固定でき、水田端部での往復走行のための旋回移動または水田外での走行や収納のための移動走行が容易におこなえるなど極めて実用性に優れた画期的な水田抑草除草機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
基体1の前後に水田走行用の車輪2が設けられ、この前後の車輪2の間に作業者が乗座するサドル部3が設けられていて、前記基体1に前記車輪2を操舵する操作ハンドル部4が設けられていて、この操作ハンドル部4は、その左右を前記サドル部3に乗座した作業者の左右の手で握持しこの握持した手で回動操作することで前記車輪2の走行向きを変化させて操舵する構成とされていて、前記基体1に前記車輪2を回転駆動する駆動部5が設けられていて、作業者が乗座した状態で自走する構成とされていて、前記基体1の前記操作ハンドル部4の前側に、水田の水面下に垂下配設され水面または水中の雑草を引き取りあるいは掻き損傷またはからめて抑草または除草する抑草除草用の垂下部6が横方向に間隔を置いて多数櫛状に並設されている抑草除草部7が設けられていて、この抑草除草部7は、昇降自在に設けられているとともに、上昇保持固定自在に設けられていることを特徴とする水田抑草除草機に係るものである。
【0009】
また前記抑草除草部7は前後に複数設けられていて、走行前後方向に対して前後の前記抑草除草部7の前記抑草除草用の垂下部6が位置ずれた平面視千鳥状に配置されている構成であることを特徴とする請求項1記載の水田抑草除草機に係るものである。
【0010】
また前記抑草除草部7は、後方に突設され前記基体1に枢着されている腕部8が後部端部の基体枢着部を支点に上下方向に回動することで昇降自在となる構成とされていて、回動上昇した状態を係止保持する上昇保持固定機構9が設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載の水田抑草除草機に係るものである。
【0011】
また前記基体1に水田底部を滑走し前記抑草除草部7を所定高さに保持するそり部10が左右に設けられている構成であることを特徴とする請求項1記載の水田抑草除草機に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、操作ハンドル部を左右の手で握持しサドル部に跨り座ることで乗座しこの乗座状態で自走走行でき、水田を走行することで前方に設けた抑草除草部により水面や水中の雑草を抑草または除草でき、またこの抑草除草状況や稲や苗の無事状況が視認しやすく、そのため抑草除草作業を容易にして適切におこなうことができ、また簡易な構成で量産性に優れ安価に実現可能で、さらには抑草除草部を昇降自在にして上昇保持固定自在に設けた構成とすることで、旋回時に抑草除草部をたとえば持ち上げ係止して上昇保持固定でき、水田端部での往復走行のための旋回移動または水田外での走行や収納のための移動走行が容易におこなえるなど極めて実用性に優れた画期的な水田抑草除草機となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例の説明側面図である。
図2】本実施例の説明正面図である。
図3】本実施例の抑草除草部を上昇保持固定した状態の説明側面図である。
図4】本実施例の抑草除草部を上昇保持固定した状態の説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0015】
基体1に設けた操作ハンドル部4の左右の握持部を左右の手で握持しサドル部3に跨り座るようにして乗座でき、たとえば、駆動部5で車輪2が回転駆動されこの乗座状態で水田内を自走できるとともに、作業者の左右の手で操作ハンドル部4を回動操作することで、たとえば自転車やオートバイのように前部の車輪2の走行向きを変化させ操舵することができる。
【0016】
したがって、水田をこの乗座状態で走行させて抑草除草部7で抑制または除草できるとともに、たとえば水田端部に来たらその乗座状態のままあるいは作業者は一旦おりて、左右の手で操作ハンドル部4を回動操作することで操舵し走行旋回させて水田を往復走行でき、この抑草除草作業を効率よく容易におこなうことができる。
【0017】
また本発明は、基体1の操作ハンドル部4の前方に、水田の水面下に垂下配設され水面または水中の雑草を引き取りあるいは掻き損傷させまたはからめ除去するなどの抑草または除草をおこなうことができる抑草除草用の垂下部6を横方向に間隔を置いて多数櫛状に並設した構成の抑草除草部7を設け、この抑草除草部7は、昇降自在にして上昇保持固定自在に設けた構成としているから、水田を自走走行するだけで、この抑草除草部7の多数の抑草除草用の垂下部6によって水面や水中の雑草を引き取りあるいは掻き損傷させまたはからめて抑草または除草でき、またこの抑草除草部7は操作ハンドル部4の前方に設けた構成のため、この抑草除草状況や稲や苗の無事状況が視認しやすく、この抑草除草作業を容易にして適切におこなうことができ、また簡易な構成で量産性に優れ安価に実現可能できる。
【0018】
またさらに本発明は、前述のように抑草除草部7は、昇降自在にして上昇保持固定自在に設けた構成であるため、基体1旋回時にこの抑草除草部7をたとえば作業者は一旦おりて持ち上げ係止して上昇保持固定でき、水田端部での往復走行のための旋回移動が容易におこなえ、また水田外での走行や収納のための移動走行が容易におこなえるなど極めて実用性に優れた画期的な水田抑草除草機となる。
【実施例0019】
本発明の具体的な実施例1について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、基体1の走行方向前部と後部に水田走行用の車輪2を設け、この前後の車輪の間に作業者が乗座するサドル部3を設け、前部の車輪2を操舵する操作ハンドル部4を設けた構成とし、この操作ハンドル部4は、その左右の握持部を前記サドル部3に乗座した作業者の左右の手で握持しこの握持した手で回動操作することで前部の車輪2の走行向きを変化させて操舵できる構成としている。
【0021】
またこの基体1に前部の車輪2には、泥かき板部を複数設ける(羽付き車輪2に構成する)とともに泥よけカバーを設け、この前部の車輪2を回転駆動する駆動部5(小型エンジン)を設けて、作業者が乗座した状態で自走できる構成とし、いわば駆動エンジン付き自転車あるいはオートバイ型の2輪乗用タイプに構成している。
【0022】
また本実施例では、前記基体1の操作ハンドル部4および前部の車輪2の前側に、水田の水面下に垂下配設され水面または水中あるいは泥部から生えている雑草を引き取りあるいは掻き損傷(たとえば泥部上層の根切り)またはからめて、抑草または除草する抑草除草部7を設けた構成としている。
【0023】
具体的には、この抑草除草部7は、横架取付部11に水田の苗を傷めない間隔を置いて多数の棒状の抑草除草用の垂下部6を櫛状に垂設した構成とし、基体1が走行することでこの櫛状の垂下部6が水中または水田底部の泥部内を掻くように移動することで、水面や水中の雑草を引き取ったり、からめ除去したり、また泥部中に根を生やす雑草の根を掻いてからめ引き取ったり根切して雑草に損傷を与えたりすることで、雑草を除去(除草)したり雑草の成長や発芽を抑制(抑草)したりする構成としている。
【0024】
またこの抑草除草用の垂下部6は、その形状、長さ、角度など適宜設計されるものであるが、本実施例では底部の泥部の上層に根を張る雑草の根を掻いて切るかからめて引きとる効果が増すように、多数櫛状に並設するとともに、丸棒の下部先端部を偏平板状に潰した平板状に形成した構成としている。
【0025】
また本実施例では、この抑草除草部7を前後に複数設け、各走行前後方向に対して櫛状に多数並設されている各抑草除草用の垂下部6が位置ずれた位置に配置され平面視千鳥状に配置されている構成としている。
【0026】
またこの抑草除草部7は、昇降自在に設けるとともに、上昇保持固定自在に設けた構成としている。具体的には、複数設けた前記抑草除草部7は、後方に突設した腕部8の後部端部(腕部基端部)を前記基体1に枢着し、この腕部8がその腕部基端部の基体枢着部を支点に上下方向に回動することで昇降自在となる構成とし、また回動上昇した状態を係止保持する上昇保持固定機構9を設けた構成としている。
【0027】
さらに説明すると、本実施例では、前記基体1から前方へ延びる左右の前記腕部8の先端部間に取付部12を架設し、この取付部12にバネを介して上下微動自在に前記抑草除草部7を垂設した構成としている。
【0028】
具体的には、基体1の前部車輪2の車輪取付垂下部に基部を枢着した左右の前記腕部8の先端部に前記取付部11を架設し、この取付部12に手前側の前記抑草除草部7の上部の横架取付部11を前記バネを介して上下微動自在に連結し、この手前側の横架取付部11と前側の抑草除草部7の横架取付部11とを連結板で連結した構成として、前後2体の抑草除草部7が腕部8を介して回動昇降自在にして且つバネを介して上下に微動自在に構成している。また左右の腕部8に加えて補強用腕部13(補強棒)も左右に枢着している。
【0029】
また本実施例の前記上昇保持固定機構9は、前記腕部8に設けた取付部12に吊り上げ部14を枢着し、この吊り上げ部14の上端部に基体1の操作ハンドル部4に引っ掛け係止する係止部15(フック部)を設け、この吊り上げ部14を引き上げることで前記腕部8を介して抑草除草部7が上昇し、係止部15を操作ハンドル部4に係止することでこの持ち上げ上昇した状態が固定保持されるように構成している。
【0030】
また本実施例では、前記基体1に水田底部を滑走するそり部10を左右に設けている。具体的には、前記基体1の前部に設けた抑草除草部7の左右にそり部10を設けて、この抑草除草部7の前記抑草除草用の垂下部6の下端の高さ位置が、前述した抑草除草効果があり泥部上層の雑草の根を掻き切るが泥部深くに生える苗の根までも掻くことのない適切な高さに保持されるように構成している。
【0031】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成やその用途や商品設定は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0032】
1 基体
2 車輪
3 サドル部
4 操作ハンドル部
5 駆動部
6 抑草除草用の垂下部
7 抑草除草部
8 腕部
9 上昇保持固定機構
10 そり部
11 横架取付部
12 取付部
13 補強腕部
14 吊り上げ部
15 係止部
図1
図2
図3
図4