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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029435
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】木造遮音床
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/82 20060101AFI20240228BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20240228BHJP
   E04B 5/02 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
E04B1/82 N
E04B5/43 H
E04B5/02 F
E04B1/82 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131689
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】會田 祐
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 充隆
(72)【発明者】
【氏名】林 徹
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 有二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩三
(72)【発明者】
【氏名】奥本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】冨永 大祐
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】室 裕希
(72)【発明者】
【氏名】森 清輝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 年男
(72)【発明者】
【氏名】勝山 泰伸
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DF02
2E001DF07
2E001EA08
2E001FA11
2E001GA12
2E001GA63
2E001HC01
(57)【要約】
【課題】木質系であって、重量床衝撃音遮断性能を向上でき、かつ全高を増やすことなく床懐を設備配管経路として用いることができる木造遮音床を提供する。
【解決手段】木造遮音床100は、木質系構造床10と二重床20を備える。木質系構造床は上下階の間に位置し、二重床は木質系構造床の上面に支持される。木質系構造床は、小梁12、下部床材14、及び床上根太16を有する。小梁は、両端が躯体1,3に固定され、水平方向に延び、幅方向に第1間隔W1を隔てて平行に位置する。下部床材は、小梁12の上面に固定され水平に延びる。床上根太は、下部床材の上面に固定され、小梁と直交する水平方向に延び、幅方向に第2間隔W2を隔てて平行に位置する。床上根太の全長は、下部床材の曲げ波長λbより長く設定されている。床上根太の両端は躯体1,2又は隣接する床上根太の端部から第3間隔W3を隔て設備配管経路として用いられる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の上下階の間に位置する木質系構造床と、
前記木質系構造床の上面に支持され水平に延びる二重床と、を備え、
前記木質系構造床は、両端が前記建築物の躯体に固定され、水平方向に延び、その幅方向に互いに第1間隔を隔てて平行に位置する複数の小梁と、
複数の前記小梁の上面に固定され水平に延びる下部床材と、
前記下部床材の上面に固定され、前記小梁と直交する水平方向に延び、その幅方向に互いに第2間隔を隔てて平行に位置する複数の床上根太と、を有し、
前記第1間隔及び前記第2間隔は、前記下部床材の所定の曲げ波長の半分未満に設定され、
前記床上根太の全長は、前記曲げ波長より長く設定され、かつ前記床上根太の両端が前記建築物の前記躯体又は隣接する前記床上根太の端部から第3間隔を隔て位置する、木造遮音床。
【請求項2】
前記曲げ波長は、重量床衝撃音遮断性能の評価に用いる63Hzにおいて、前記下部床材に対して、梁の曲げ波長の計算式を適用する、請求項1に記載の木造遮音床。
【請求項3】
前記床上根太は、その全長の少なくとも2箇所において複数の前記小梁に固定されている、請求項1に記載の木造遮音床。
【請求項4】
前記二重床は、前記下部床材又は前記床上根太に下端が固定され上方に延びる複数の支持脚と、
複数の前記支持脚の上端に支持され水平に延びる上部床材と、を有し、
前記上部床材の外縁は、前記二重床の床懐の空気バネの影響を緩和する空気抜きを有する、請求項1に記載の木造遮音床。
【請求項5】
前記下部床材は、前記建築物の前記躯体の内側を隙間なく覆う平面板である、請求項1に記載の木造遮音床。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量床衝撃音を低減するための木造遮音床に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、木造住宅建築物等の建築物の床構造として、JIS A 1418による重量床衝撃音遮断性能及び軽量床衝撃音遮断性能を満たす木造遮音床が要望されている。
「重量床衝撃音」は、子どもが飛び跳ねたり、椅子を動かしたときなどに、「ドスン」「ガタン」と大きく下の階に伝わる鈍くて低い音を意味する。また、「軽量床衝撃音」は、スプーンなどを床に落として「コツン」といったり、スリッパで歩いて「パタパタ」するように、比較的軽めで高音域の音を意味する。
【0003】
このうち、軽量床衝撃音は床材表面の素材(例えばカーペット)により比較的容易に低減することができる。一方、重量床衝撃音は床材表面の素材のみでは低減が困難である。
そこで、重量床衝撃音を低減するために、例えば特許文献1が開示されている。
【0004】
特許文献1の「既存床スラブの重量床衝撃音の低減方法」は、大梁又は小梁などの梁に囲まれた既存床スラブの上面に、既存床スラブを補剛するH形鋼等の補強部材を固定して設け、同補強部材の上面に、乾式二重床の支持脚を設けることを提案している。
【0005】
また、非特許文献1は、乾式組立鋼製床の重量床衝撃音遮断性に関する参考文献である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-265875号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】中安 誠明,半谷 公司,菅野 良一,高橋 大弐,「平板と波板からなる乾式組立鋼製床の重量床衝撃音遮断性の評価」,日本建築学会環境系論文集,2014年12月,第79巻,第706号,p.999-1007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1は、平板と波板からなる乾式組立鋼製床が、芯材の形状によっては、曲げ剛性に関して方向性を有するとしている。また、弱軸方向の曲げ剛性を向上することにより、乾式組立鋼製床の重量床衝撃音遮断性が改善されるとしている。
【0009】
しかし、特許文献1及び非特許文献1は、RC(鉄筋コンクリート)造の建物のコンクリート床に関するものであり、木造遮音床への適用は困難である。
また、軸組工法などの木質系構造床は、コンクリート床と比較して、面重量及び曲げ剛性が小さいことから加振に対して揺れやすく、重量床衝撃音の遮断性能が大きく劣るという問題点があった。
【0010】
このような木質系構造床の重量床衝撃音遮断性能を向上させる手段として、特許文献1のようにH形鋼等の補強部材を用いたり、重量が大きい面材を敷き込むことが挙げられる。しかし、このような補強部材や面材は、木製の小梁と比較して、重量が大きいため、人力によるハンドリングが難しく、現場の寸法に合わせての加工が困難であり、作業効率が悪い。
【0011】
一方、従来の軸組工法では、小梁架構は一方向のみであり、小梁直交方向の剛性が弱い。そのため、重量床衝撃音遮断性能を向上させるためには、小梁直交方向の剛性を大幅に高める必要がある。
しかし、木質系構造床の上部に二重床を設ける場合、構造床と二重床に挟まれた空間(以下、「床懐」)は、従来、設備配管経路として用いられている。そのため、小梁直交方向の剛性を高めた場合でも、床懐の高さを大きくすることなく、設備配管経路として利用できることが望まれていた。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、木造建築に適した加工性の良い木質系であって、重量床衝撃音遮断性能を向上させることができ、かつ全高を増やすことなく床懐を設備配管経路として用いることができる木造遮音床を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、建築物の上下階の間に位置する木質系構造床と、
前記木質系構造床の上面に支持され水平に延びる二重床と、を備え、
前記木質系構造床は、両端が前記建築物の躯体に固定され、水平方向に延び、その幅方向に互いに第1間隔を隔てて平行に位置する複数の小梁と、
複数の前記小梁の上面に固定され水平に延びる下部床材と、
前記下部床材の上面に固定され、前記小梁と直交する水平方向に延び、その幅方向に互いに第2間隔を隔てて平行に位置する複数の床上根太と、を有し、
前記第1間隔及び前記第2間隔は、前記下部床材の所定の曲げ波長の半分未満に設定され、
前記床上根太の全長は、前記曲げ波長より長く設定され、かつ前記床上根太の両端が前記建築物の前記躯体又は隣接する前記床上根太の端部から第3間隔を隔て位置する、木造遮音床が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の構成によれば、床上根太が下部床材の上面に固定され、小梁と直交する水平方向(以下、「小梁直交方向」)に延びる。また、床上根太の全長が、下部床材の所定の曲げ波長(例えば約1.6m)より長く設定され、かつ複数の小梁の第1間隔が曲げ波長の半分未満に設定される。
この構成により、床上根太の全長の少なくとも2箇所が複数の小梁に固定されるので、床上根太と小梁に挟まれた構造床の部分の小梁直交方向の下部床材の曲げ波長に相当する振動(例えば63Hz)を抑制することができる。
【0015】
また、複数の床上根太の第2間隔も曲げ波長の半分未満に設定されるので、床上根太と小梁に挟まれた構造床の部分の小梁方向の上記曲げ波長に相当する振動(例えば63Hz)も抑制することができる。
従って、床上根太と小梁及び下部床材の一体性が高まり、かつ重量床衝撃音遮断性能の評価上重要な周波数(例えば63Hz)の共振を防止できるので、木造建築に適した加工性の良い木質系であって、重量床衝撃音遮断性能を向上させることができる。
【0016】
また、上記本発明の構成によれば、床上根太の両端が建築物の躯体又は隣接する床上根太の端部から第3間隔を隔て位置するので、床懐の全高を増やすことなく、床上根太の第2間隔と第3間隔を設備配管経路として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による木造遮音床の平面図である。
図2図1のA-A矢視図である。
図3図1のB-B矢視図である。
図4】本発明の木質系構造床の原理説明図である。
図5図3の別の実施形態図である。
図6】上部床材の外縁部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明による木造遮音床100の平面図であり、図2は、図1のA-A矢視図、図3図1のB-B矢視図である。
【0020】
図1において、1,2,3は建築物の躯体、5,6は建物内の間仕切壁を示している。なお、この図では、後述する下部床材14と上部床材24の図示を省略している。
建築物の躯体1,2,3は、木質の梁であるが、RC(鉄筋コンクリート)造の梁であってもよい。建物内の間仕切壁5,6は、躯体1,2,3で囲まれる居室内に位置する。また、この例では、躯体1,2と間仕切壁5,6で囲まれた空間が居室内のリビングに設定されている。
【0021】
図1図3において、木造遮音床100は、木質系構造床10と二重床20を備える。
木質系構造床10は、建築物の上下階の間に位置する。二重床20は、木質系構造床10の上面に支持され水平に延びる。
【0022】
図2において、木質系構造床10は、複数の小梁12、下部床材14、及び複数の床上根太16を有する。
【0023】
複数の小梁12は、両端が建築物の躯体1,3に固定され、水平方向に延びる。以下、小梁12の長さ方向を「小梁方向」又は「X方向」と呼ぶ。
また、複数の小梁12は、その幅方向に互いに第1間隔W1を隔てて平行に位置する。以下、小梁12の幅方向を「小梁直交方向」または「Y方向」と呼ぶ。
第1間隔W1は、この例では、隣接する小梁12の芯間距離である。第1間隔W1は、一定であることが好ましいが変化してもよい。
小梁12は、躯体1,3に両端支持された状態で、居室全体を指示するように設定されている。小梁12は、例えば幅15cm、高さ33cmの木材である。
【0024】
下部床材14は、複数の小梁12の上面に固定され水平に延びる。下部床材14は、建築物の躯体1,2,3の内側を隙間なく覆う平面板である。
下部床材14は、例えば複数の合板であり、各合板のY方向端部は、小梁12の上面で近接して位置し、小梁12に釘等18で強固に固定されている。下部床材14(合板)の厚さは、例えば28mmである。
【0025】
図3において、複数の床上根太16は、下部床材14の上面に固定され、小梁12と直交する水平方向(Y方向)に延び、その幅方向(X方向)に互いに第2間隔W2を隔てて平行に位置する。
第2間隔W2は、この例では、隣接する床上根太16の芯間距離である。第2間隔W2は、一定であることが好ましいが変化してもよい。
【0026】
床上根太16は、例えば矩形の木材であり、その高さは、木質系構造床10と二重床20に挟まれた床懐の空間高さHよりも低く設定されている。例えば床懐の空間高さHが100~130mmである場合、床上根太16の高さは、それより30mm以上低い70~100mmであるのがよい。
【0027】
図4は、本発明の木質系構造床10の原理説明図である。この図において、(A)は床上根太16のない場合、(B)は床上根太16が下部床材14の所定の曲げ波長λbより短い場合、(C)は床上根太16が下部床材14の曲げ波長λbより長い場合を示している。
【0028】
図4(A)において、小梁12の両端は固定されているが、中央部は捻じれに対する抵抗力は小さい。そのため、下部床材14が小梁12に固定されていても、下部床材14の曲げ波長λbの振動を抑制する効果は小さい。
図4(B)において、床上根太16の長さが曲げ波長λbより短いため、床上根太16の一部が小梁12の1つに固定されていても、下部床材14の曲げ波長λbの振動を抑制する効果は依然として小さい。
図4(C)では、床上根太16の長さが曲げ波長λbより長く、かつ床上根太16が複数の小梁12に固定されている。この場合、床上根太16の全長Lの少なくとも2箇所(好ましくは3箇所)が複数の小梁12に固定されるので、床上根太16と小梁12に挟まれた下部床材14の曲げ波長λbに相当する振動(例えば63Hz)を抑制することができる。
【0029】
下部床材14の曲げ波長λbは、想定する周波数や木質系構造床10の強軸・弱軸方向で異なるが、ここでは重量床衝撃音遮断性能の評価上重要な周波数の63Hzにおける下部床材14の曲げ波を考える。
曲げ波の伝搬速度Cbは、板の厚さに比べ波長が十分長い場合は正弦曲げ波と呼ばれ、梁の曲げ波の計算式を適用した場合、式(1)で示される。また、下部床材14の曲げ波長λbは、式(2)で示される。
ここで、fは周波数、ωは角周波数(=2πf)、Bは曲げ剛性、Mは単位長さの面重量である。
【0030】
【数1】
【0031】
表1は、下部床材14が厚さ28mmの合板であり、単位幅の曲げ剛性Bが1.1×10N・m、単位幅かつ単位長さの面重量Mが16.8kg/mと想定した場合の計算例である。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から、f=50~60Hzにおける下部床材14の曲げ波長λbは約1.5~1.8mであり、f=63Hzにおける下部床材14の曲げ波長λbは約1.6mである。
【0034】
本発明において床上根太16の全長Lは、図4と表1の結果から、下部床材14の曲げ波長λbより長く設定されている。例えば、床上根太16の全長Lは、少なくとも約1.5m以上、好ましくは約1.6m以上、更に好ましくは約1.8m以上であるのがよい。
なお、上記の計算では小梁12について考慮していないが、面重量Mに小梁12の質量を加味した場合でも、式(2)に基づくと曲げ波長λbはより短くなる方向であるため、上記の床上根太16の長さは適正範囲となるといえる。
また、下部床材14が厚さが28mm以外の場合には、数1から求まる曲げ波長λbも当然変化する。
【0035】
複数の小梁12の第1間隔W1は、曲げ波長λbの半分未満に設定されている。図4(C)から明らかなように、この構成により、床上根太16の全長Lの少なくとも2箇所(好ましくは3箇所)が複数の小梁12に固定される。これにより、床上根太16と小梁12に挟まれた構造床の部分の小梁直交方向の曲げ波長λbに相当する振動(例えば63Hz)を抑制することができる。
【0036】
また、複数の床上根太16の第2間隔W2も曲げ波長λbの半分未満に設定されている。この構成により、床上根太16と小梁12に挟まれた構造床の部分の小梁方向の曲げ波長λbに相当する振動(例えば63Hz)も抑制することができる。
従って、床上根太16と小梁12とを釘等18で直接固定することで、一体性が高まり、かつ重量床衝撃音遮断性能の評価上重要な周波数(例えば63Hz)の共振を防止できる。これにより、木造建築に適した加工性の良い木質系であって、重量床衝撃音遮断性能を向上させることができる。
【0037】
図1において、1a,3aは戸境壁、2aは外壁である。また、7は設備配管である。
この例で複数の床上根太16の平面図における配列は、この例では千鳥配置であるが、X方向及びY方向に整列させてもよい。
また、床上根太16の両端は建築物の戸境壁1a,3a、外壁2a、間仕切壁5,6、又は直線状に隣接する床上根太16の端部から第3間隔W3を隔て位置する。
第3間隔W3は、設備配管7の経路を確保するように設定されている。同様に、床上根太16の第2間隔W2も設備配管7の経路を確保するように設定されている。従って、第2間隔W2と第3間隔W3の最小値は、設備配管経路を確保するうえでの必要長さ(例えば200mm)以上であるのがよい。
上述した構成により、床懐の全高を増やすことなく、床上根太16の第2間隔W2と第3間隔W3を設備配管経路として用いることができる。
【0038】
図3において、二重床20は、複数の支持脚22と上部床材24を有する。
複数の支持脚22は、この例で下部床材14に下端が固定され上方に延びる。支持脚22は、例えば、防振ゴム、金属ボルト、パネル受けの組合せからなる。
支持脚22は、図1に示すように、床上根太16を避けて下部床材14の上面に固定され上部床材24の下面を支持している。この構成により、床上根太16の影響を受けずに木質系構造床10と二重床20に挟まれた床懐の空間高さHを低く設定できる。
【0039】
図5は、図3の別の実施形態図である。
図5(A)に示すように、支持脚22は、床上根太16と上部床材24の間に設置してもよい。この構成により、床上根太16のない下部床材14の上面全体を設備配管経路として用いることができる。
また、図5(B)に示すように、支持脚22を防振ゴムに置き換えて床上根太16と上部床材24の間に設置してもよい。この構成により、床上根太16の隙間全体を設備配管経路として用いることができ、かつ床懐の空間高さHを低く設定できる。
【0040】
図6は、上部床材24の外縁部の説明図である。
上部床材24は、複数の支持脚22の上端に支持され水平に延びる。また、この図に示すように、上部床材24の外縁は、空気抜き25を有する。
【0041】
二重床20による性能向上を効果的に発揮させるためには、床懐の空気バネの影響を緩和する必要がある。具体的には、図6に例示するように、上部床材24の外縁部に空気抜き25を設け、かつ床懐内の空気の流通を確保して、二重床20が加振された際の床懐内の音圧上昇を緩和することが必要となる。
【0042】
二重床の工法としては、床先行方式と壁先行方式とがある。床先行方式は、住戸全体に二重床を先行して施工し、その上に間仕切壁を設置する方式であり、壁先行方式は、間仕切壁を先行して施工し、居室ごとに二重床を施工する方式である。
図1に示した本発明の実施形態は、床先行方式であるが、本発明はこれに限定されず、壁先行方式にも同様に適用することができる。
【0043】
なお、本発明の範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0044】
H 空間高さ、L 全長、W1 第1間隔、W2 第2間隔、W3 第3間隔、
λb 曲げ波長、1,2,3 躯体、1a,3a 戸境壁、2aは外壁、
5,6 間仕切壁、7 設備配管、10 木質系構造床、12 小梁、
14 下部床材、16 床上根太、18 釘等、20 二重床、22 支持脚、
24 上部床材、25 空気抜き、100 木造遮音床
図1
図2
図3
図4
図5
図6