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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029453
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】封筒
(51)【国際特許分類】
   B65D 27/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B65D27/00 H
B65D27/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131723
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】寺田 健太
(72)【発明者】
【氏名】久野 博史
(57)【要約】
【課題】小さめの内容物を収容した状態でも袋の内部で内容物が動きにくい封筒を提供する。
【解決手段】紙又は紙を主体とする材料又はプラスチック又はプラスチックを主体とする材料又は不織布で構成され、寸法を規定する表面を構成する本体部1と本体部1に一連に設けられ且つ折り返されたボトム2及びサイド3とで内容物Cを収容する袋10が構成され、本体部1に延設されたフラップ4が折り返されて封がなされる封筒において、袋10の入口とフラップ4の谷折り線(折り返し線)4Lとの間の領域に、内容物Cを折り返されたフラップ4側に向けて押圧する紙製又は紙を主体とする材料製又はプラスチック製又はプラスチックを主体とする材料製又は不織布製の押圧部9が設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又は紙を主体とする材料又はプラスチック又はプラスチックを主体とする材料又は不織布で構成され、寸法を規定する表面を構成する本体部と前記本体部に一連に設けられ且つ折り返されたボトム及びサイドとで内容物を収容する袋が構成され、前記本体部に延設されたフラップが折り返されて封がなされる封筒において、
前記袋の入口と前記フラップの折り返し線との間の領域に、前記内容物を折り返された前記フラップ側に向けて押圧する紙製又は紙を主体とする材料製又はプラスチック製又はプラスチックを主体とする材料製又は不織布製の押圧部が設けられている、封筒。
【請求項2】
前記押圧部は、展開状態で前記本体部から側方に延設された延設部を裏側に折り返して構成される、請求項1に記載の封筒。
【請求項3】
前記フラップは、前記ボトムの折り返し部側から前記本体部の表側に折り返される長さを有する、請求項1に記載の封筒。
【請求項4】
前記フラップの表側折り返し先端部から突設された差し込み部が差し込まれる線状の差し込み口が前記本体部に設けられた、請求項3に記載の封筒。
【請求項5】
前記差し込み部の突設基端部に曲線状の折り曲げ線が設けられた、請求項4に記載の封筒。
【請求項6】
展開状態で前記本体部から側方に延設され且つ裏側に折り返されたサイドが前記ボトムとカマス貼りされて前記袋が構成される、請求項1に記載の封筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒、特に、表面を構成する本体部とボトムとサイドで袋が構成され、本体部に延設されたフラップが折り返されて封がなされる封筒に関する。
【背景技術】
【0002】
封筒は、投函目的以外にも、書面をはじめ、比較的薄い内容物を収容するのに用いられる。この封筒には、種々の形態のものがあるが、薄い内容物を収容するのに適したものとしては、例えば、下記特許文献1に記載されるものが挙げられる。このうち、メンバーズカードのような横長で薄い内容物をスタイリッシュに収容する封筒には、例えば、特許文献1の図3に記載されるカマス貼りの洋封筒が用いられる。この形態の洋封筒は、封筒の寸法を規定する横長の長方形表面を構成する本体部の両側方に延設されたサイドを裏側に折り返すと共に本体部の下方に延設されたボトムも裏側に折り返し、これらサイドとボトムを貼り合わせて(カマス貼りの)袋を構成する。この袋の中に内容物を収容した後、本体部の上方に延設されたフラップを裏側に折り返して封をし、例えば商品として使用される。もちろん、その他の形態の封筒も用いられるが、凡そ本体部とサイド及びボトムで構成される袋の中に横長で薄い内容物を収容するのが一般的である。なお、サイドやボトム、或いはフラップの延設方向は、最も一般的な使用状態に即しているだけで、言うまでもなく、封筒の向きが変われば、それらの延設方向も変わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-210391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内容物を収容した状態の封筒の意匠性や商品性から、内容物の大きさよりも大きめの封筒が用いられることがある。このように封筒の大きさよりも小さめの内容物を収容すると、封筒の袋の内部で内容物が動き、この動きに伴って音がしたり、衝撃(振動)が生じたりするおそれがあり、これにより商品性が低下することもあり得る。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、小さめの内容物を収容した状態でも袋の内部で内容物が動きにくい封筒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る封筒は、紙又は紙を主体とする材料又はプラスチック又はプラスチックを主体とする材料又は不織布で構成され、寸法を規定する表面を構成する本体部と前記本体部に一連に設けられ且つ折り返されたボトム及びサイドとで内容物を収容する袋が構成され、前記本体部に延設されたフラップが折り返されて封がなされる封筒において、前記袋の入口と前記フラップの折り返し線との間の領域に、前記内容物を折り返された前記フラップ側に向けて押圧する紙製又は紙を主体とする材料製又はプラスチック製又はプラスチックを主体とする材料製又は不織布製の押圧部が設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の封筒によれば、本体部とボトム及びサイドで構成される袋の中に差し込まれた内容物は、袋の中では袋によって本体部側に押圧され、袋の外では押圧部によって折り返されたフラップ側、すなわち本体部と反対側に押圧され、これにより内容物には袋の中と外で厚さ方向に逆向きの押圧力が作用し、その結果、この逆向きの押圧力で厚さ方向に挟まれるようにして内容物の動きが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の封筒の一実施形態を示す紙素材の展開状態の正面図である。
図2図1の紙素材の斜視図である。
図3図1の紙素材を封筒にする説明図である。
図4図1の紙素材を封筒にする説明図である。
図5図1の紙素材からなる封筒に内容物を収容する説明図である。
図6図5の封筒に蓋をする説明図である。
図7図5の封筒に蓋をする説明図である。
図8図5の封筒に蓋をする説明図である。
図9】封をされた図5の封筒の断面図である。
図10図3の押圧部の変形例を示す斜視図である。
図11図3の押圧部の他の変形例を示す斜視図である。
図12図3の押圧部の更なる変形例を示す斜視図である。
図13図4のカマス貼りの変形例を示す斜視図である。
図14図4の袋構成の変形例を示す斜視図である。
図15】本発明の封筒の他の実施形態を示す紙素材の展開状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の封筒の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1は、封筒の一実施形態を示す紙素材の展開状態の正面図である。図1の実線は紙素材の輪郭、又は、後述する全切りによる切り込みを示す。また、図1の一点鎖線は、いわゆる谷折り線(折り返し線、折り曲げ線)を示す。この実施形態の谷折り線は、紙素材を裏側から厚さ方向に線状に押圧して窪ませた、いわゆる「罫線」で構成されている。この実施形態の封筒の素材は紙製であるが、紙を主体とする材料製であってもよい。この実施形態の封筒は、横長の表面を有する内カマス貼りの洋封筒である。はじめに、通常の洋封筒の場合、例えば、収容体としての袋10(図5参照)を構成するためのボトム2及びサイド3やその袋10の蓋を構成するためのフラップ4が延設されている本体部1の袋10と反対側の面が封筒の寸法を規定する表面を構成する。この実施形態では、ボトム2やサイド3が谷折り線で図の紙面手前側に折り返されて袋10が構成されるので、以下では、この本体部1の袋10と反対側の面を表面(したがって図1で見えているのは裏面)とし、この本体部1の表面側を表側、反対側を裏側として説明する。すなわち、図1は、この実施形態の紙素材を裏側から見た図である(便宜上、正面図と称する)。但し、この実施形態では、後段に詳述するように、内容物Cを収容し且つ蓋を完全に閉じた(封をした)商品の状態では、フラップ4の外側面が商品の表になり得る。また、前述と同様に、最も一般的な封筒の使用状態、ここでは図1の図示状態における方向(上下方向、左右方向)を説明に用いる。左右方向については、側方とも幅とも称する。上下方向については、高さとも称する。
【0009】
この実施形態の封筒の紙素材は、横長の長方形の本体部1の図示下方にボトム2が延設され、両側方の下部にサイド3が延設されており、これらを裏側に折り返して互いに貼り合わせることにより袋10が構成される。この実施形態の封筒は内カマス貼りの洋封筒であるから、サイド3の延設(突出)寸法(折り返し寸法でもある)は、本体部1の幅寸法の半分以下である。また、この実施形態では、ボトム2の延設(突出)寸法(折り返し寸法でもある)は、ボトム2を裏側に折り返した状態でボトム2の上端が裏側に折り返されたサイド3の上端に一致する寸法に設定されている。また、本体部1の図示上方にはフラップ4が延設されており、このフラップ4を裏側に折り返すことにより袋10の蓋がなされる。なお、通常は、このフラップ4の裏側折り返し部を、袋10を構成するボトム2又はサイド3に貼り付けるか係合して封がなされるが、図からも推察されるように、この実施形態ではフラップ4の先端部である表側折り返し部5を本体部1の表側に折り返し、その表側折り返し部5を本体部1に係合して封がなされる。具体的には、フラップ4の表側折り返し部5の先端部に舌状に突設されている差し込み部6を、本体部1に設けられた線状の全切りからなる差し込み口7に差し込んでフラップ4を本体部1に係合する。すなわち、この実施形態では、フラップ4は、一旦、裏側に折り返し、更に、ボトム2の折り返し部側から本体部1の表側に折り返し可能な長さを有する。なお、全切りとは、紙の表から裏まで刃物を貫通させて形成された切り込みを意味する。この実施形態の差し込み口7は、下に凸の円弧曲線部7aの両側に斜め下向きの直線部7bが連設されている。円弧曲線部7aの中央部からは、差し込み口7を開きやすくするための補助切り込み7cが下向きに連接されている。
【0010】
この実施形態では、本体部1の両側方の上部に方形の延設部8が延設されており、後述するように、これらの延設部8を裏側に折り返し、その折り返し部分を本体部1の裏面に貼り付けて押圧部9が構成される。図に明示するように、紙素材の展開状態で、延設部8とサイド3は互いに上下に当接している。したがって、この実施形態の押圧部9は、本体部1、ボトム2、サイド3で構成される袋10のすぐ上側に設けられる。換言すれば、この押圧部9は、袋10の入口とフラップ4の折り返し線の間に設けられている。また、この実施形態では、延設部8の延設(突出)寸法(折り返し寸法でもある)は、本体部1の幅寸法の半分に設定されている。したがって、延設部8を裏側に折り返して本体部1の裏面に貼り付けると、押圧部9(延設部8)の先端同士が当接される。すなわち、ボトム2及びサイド3を裏側に折り返して袋10を構成し、更に延設部8を裏側に折り返して押圧部9を構成すると、裏側からは本体部1の裏面は見えない。
【0011】
以下、図1の紙素材を封筒にする手順について説明する。なお、説明中の貼り付け箇所や貼り合わせ箇所は一例である。図2は、封筒になる前の図1の紙素材を裏側(すなわち図1と同じ向き)から見た斜視図である。この状態から、図3に示すように、本体部1の両側方に延設されている延設部8を谷折り線8Lで裏側に折り返し、その折り返し部分の先端部を本体部1の裏面に貼り付ける。図に破線の○で囲んだ×が延設部8の裏側貼り付け箇所を示す。これにより、図4に示すように、延設部8が本体部1の裏面に貼り付けられて押圧部9が構成される。左右の押圧部9の折り返し先端は互いにぴったりと当接されるので、この押圧部9で本体部1の裏面は覆われる。次いで、同じく図4に示すように、先に2つのサイド3を谷折り線3Lで裏側に折り返し、その後にボトム2を谷折り線2Lで裏側に折り返し、それらが重なり合う部分でサイド3とボトム2を貼り合わせる。図に示す×が貼り合わせ箇所を示す。これにより、図5に示すように内容物Cを収容する袋10が内カマス貼りで形成される。袋10の上端位置は押圧部9の下端位置に一致しているので、本体部1の裏面は押圧部9と袋10、すなわちボトム2に覆われ、裏側から本体部1の裏面は見えない。なお、この例では、図3図4の工程は逆でもよい。
【0012】
次に、同じく図5に示すように、図4で構成された袋10の中に内容物Cを収容する。この実施形態では、メンバーズカードのように横長で薄い内容物Cを想定している。但し、前述のように、この内容物Cに対して袋10、すなわち封筒の寸法は、大きな隙間ができるほど大きい。内容物Cを袋10の中に収容したら、図6に示すように、フラップ4を口筋である谷折り線4L(図2参照)で裏側に折り返し、更に、袋10を構成するボトム2にフラップ4が近づいたら、図7に示すように、フラップ4の先端部分、すなわち表側折り返し部5を谷折り線5Lで表側に折り返す。このフラップ4の表側折り返し部5が本体部1に近づいたら、図8に示すように、この表側折り返し部5の先端部の差し込み部6を谷折り線6L(図2参照)で折り曲げる。図8は、この状態の封筒を表側から見た斜視図である。この谷折り線6Lは、曲線状であるので、この谷折り線6Lで折り曲げた差し込み部6は、図8に示すように、中央部が本体部1の表面に接近するように湾曲する。この差し込み部6の湾曲形態は、図8に示すように、差し込み口7の円弧曲線部7aの湾曲向きと一致しており、したがって湾曲状態の差し込み部6を差し込み口7の円弧曲線部7aに差し込みやすい。また、差し込み部6が湾曲されることにより強度が増して折れ曲がりにくくなり、これによっても湾曲された差し込み部6を差し込み口7に差し込みやすい。差し込み部6が差し込み口7に差し込まれたら、その差し込み部6を本体部1の裏面側に十分に押し込む。
【0013】
図9は、内容物Cが収容され且つ差し込み部6が差し込み口7から本体部1の裏側に差し込まれてフラップ4が本体部1に係合された商品状態の封筒の断面図である。なお、煩雑さを回避し、また見やすくするためにハッチングは省略している。図の右側が表側、左側が裏側に相当する。紙は、可撓性や弾性も併せ持つ変形可能な素材であるから、前述のように折り重ねた紙素材は素材同士の厚さや内容物Cの形状(主に厚さ)に応じて柔軟に変形するが、そうした変形は無視している。袋10の中では、内容物Cは袋10を構成するサイド3やボトム2によって本体部1側、すなわち表側に押圧されている。すなわち、内容物Cの下部には表側向きの押圧力が作用しており、この押圧力はフラップ4によって増大され得る。一方、袋10の外では、内容物Cは押圧部9によって本体部1と反対側(折り返されたフラップ4側)、すなわち裏側に押圧されている。すなわち、内容物Cの上部には裏側向きの押圧力が作用している。したがって、内容物Cには、袋10の上縁を境にして逆向きの押圧力が作用しており、この2つの逆向きの押圧力によって内容物Cが封筒の中で挟持される。これにより、封筒の大きさに比べて小さな内容物Cの封筒内での動きが抑制される。なお、袋10の中では、本体部1の裏側に差し込まれた差し込み部6によって内容物Cが表側から支持されており、この支持位置を適切に設定することによっても内容物Cの動きを抑制することができる。また、差し込み口7がボトム2折り返し部に近すぎると差し込み部6の差し込みが難しくなり、差し込み口7が押圧部9に近すぎても差し込み部6を差し込みにくい。これらを考慮して、差し込み口7の位置を設定する。
【0014】
図10は、図3に示す押圧部9の変形例を示す斜視図である。図3では、2つの押圧部9の折り返し先端が本体部1の裏面の幅の中央で当接するように設定したが、この当接位置は任意であり、例えば、図10に示すように、当接位置を右寄りに設定することも可能である。また、例えば、本体部1の何れか一方の側方のみに延設された延設部8を折り返して本体部1の裏面の幅全域を覆う押圧部9とすることも可能である。また、この実施形態では、フラップ4を開いた状態で本体部1の裏面が見えないようにするために押圧部9が本体部1の裏面の幅全域に形成されるようにしたが、そうした必要がなければ押圧部9が本体部1の裏面の幅の一部のみに形成されるようにしてもよい。同様に、押圧部9は、袋10の外で本体部1の裏面の高さの一部のみに形成されるようにしてもよい。図11は、図3の押圧部9の他の変形例を示す斜視図である。上記実施形態では、裏側に折り返した延設部8を本体部1の裏面に貼り付けて押圧部9を構成したが、押圧力の作用の説明からも推察されるように、この押圧部9は内容物Cの収容後に容易に動かなければよい。図11では、2つの延設部8の延設長さ(折り返し長さ)を互いに折り返し先端部が重なり合う長さとし、その重合部の同じ幅位置でそれぞれの上又は下から半分ずつ全切りからなる切り込み12を入れ、この切り込み12で2つの延設部8を木工の相欠け継ぎ状に係合させて押圧部9を構成している。延設部8同士の係合形態には、他の係合形態も適用可能である。
【0015】
図12は、図3の押圧部9の更なる変形例を示す斜視図である。この例では、袋10の中に収容された状態の内容物Cの上縁に相当する高さ位置で、押圧部9を構成する各延設部8の中央部に、幅方向に伸長する全切りからなる切り込み11が設けられている。図3の例では、押圧部9を構成する各延設部8の折り返し先端部のみが本体部1の裏面に貼り付けられており、その余の部分は本体部1の裏面から浮いている。前述のように、紙は可撓性や弾性を併せ持つ変形性を有するので、袋10を構成するサイド3やボトム2によって内容物Cが表側に押圧されると、内容物Cによって延設部8(押圧部9)の切り込み11より下側の部分も表側に押され、相対的に延設部8の切り込み11より上側の部分は本体部1の裏面から僅かに浮き上がる。この延設部8が浮き上がってできる切り込み11の上側の縁が内容物Cの上縁を覆い、これにより内容物Cの上方への動きが規制される。また、この規制力は、内容物Cを下方に押し留めるので、これによっても封筒の内部での内容物Cの動きを抑制することができる。
【0016】
図13は、図4のカマス貼りの変形例を示す斜視図である。この例では、先にボトム2を谷折り線2Lで裏側に折り返し、その後に2つのサイド3を谷折り線3Lで裏側に折り返し、それらが重なり合う部分でサイド3とボトム2を貼り合わせる。これにより、内容物Cを収容する袋10が外カマス貼りで形成される。この例は、カマス貼りの形態が異なるのみで、その作用は、図4のカマス貼りの場合とほぼ同様である。
図14は、図4の袋10構成の変形例を示す。この例では、ボトム2の両側方にサイド3が延設されており、ボトム2を裏側に折り返した後、両側のサイド3を本体部1の表側に折り返し、このサイド3の折り返し部分を本体部1の表面に貼り付けて袋10が構成される。サイド3は、一般的には、本体部1の側方から延設されて裏側に折り返される部分を指すが、ここではボトム2の側方に延設されて表側に折り返される部分もサイド3と規定する。この例の押圧部9も、前述の例と同様に、本体部1の側方に延設された延設部8を裏側に折り返し、更に本体部1の裏面に貼り付けて(或いは延設部8同士を係合させて)構成されている。この例では、押圧部9を構成する延設部8の上下方向寸法がサイド3の大きさ(上端位置)に規制されないので、押圧部9を袋10の中まで延長することが可能である。この場合、延設部8を先に裏側に折り返して押圧部9を構成し、その後にボトム2を裏側に折り返し、更にサイド3を本体部1の表側に折り返す。例えば、押圧部9が袋10の中まで延長されていると共に左右の押圧部9同士が隙間なく当接されている場合には、言い換えれば本体部1の厚さが大きい場合と同じで、袋10の外で内容物Cを本体部1と反対側(裏側)に押圧する力は作用しない。これに対し、内容物Cが袋10の中で押圧部9と当接せず、ボトム2と本体部1に挟まれている部分では、内容物Cを本体部1側(表側)に押圧する力が作用する。この内容物Cを表側に押圧する力によって、内容物Cの動きを抑制することはできるものの、内容物Cを裏側に押圧する力は積極的に得られるわけではないので、内容物Cの動きを規制する効果はやや小さい。一方で、前述の例と同様に、袋10の外のみに押圧部9が設けられている場合には、袋10の中で内容物Cを表側に押圧する力と袋10の外で内容物Cを裏側に押圧する力によって内容物Cの動きを効果的に規制することができる。
【0017】
図15は、封筒の他の実施形態を示す紙素材の展開状態の正面図である。この実施形態の封筒は、図1の実施形態の封筒と類似しており、同等の構成については同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施形態における延設部8(押圧部9)やフラップ4、差し込み部6や差し込み口7の構成及び作用は図1のものと同等である。この実施形態では、サイド3の延設(突出)寸法が図1のものより大きく、ボトム2の延設(突出)寸法は図1のものより小さい。2つのサイド3の折り返し(突出)寸法は、本体部1の幅寸法の半分よりやや大きい。したがって、この実施形態では、図4のように2つのサイド3を裏側に折り返した際、それらサイド3の先端部同士が重なり合うので、この重なり合う部分を貼り合わせ、その貼り合わされたサイド3の上から、裏側に折り返したボトム2を貼り付ける。これにより、この実施形態では、和封筒のように、主としてサイド3と本体部1で袋10が構成される。延設部8を折り返して構成される押圧部9は、この袋10の外にあるので、内容物Cの動きを抑制する効果は図1のものと同等である。
【0018】
このように、この実施形態の封筒では、本体部1とボトム2及びサイド3で構成される袋10の中に差し込まれた内容物Cは、袋10の中では袋10によって表側に押圧され、袋10の外では押圧部9によって裏側に押圧され、これにより内容物Cには袋10の中と外で厚さ方向に逆向きの押圧力が作用し、その結果、この逆向きの押圧力で厚さ方向に挟まれるようにして内容物Cの動きが抑制される。
また、展開状態で本体部1から側方に延設された延設部8を裏側に折り返して押圧部9を構成することにより、折り返しや接合(係合)だけで封筒を形成することが可能となり、封筒の製造の容易になり、自動化も可能となる。
【0019】
また、フラップ4の長さを、ボトム2の折り返し部側から本体部1の表側に折り返し可能な長さとすることで、このフラップ4の外側面(表面)を商品の表とすることができる。このフラップ4の表面は一連の平面であるから、それだけでも商品性が向上し、更に、このフラップ4の表面に印刷や加飾を施すことによって商品性が更に向上し得る。
また、フラップ4の表側折り返し先端部から突設された差し込み部6を本体部1に設けられた線状の差し込み口7に差し込んでフラップ4を本体部1に係合する構成とすることにより、個別の係合・係止部材を用いることなく、見た目がすっきりと落ち着き、商品性が向上する。
【0020】
また、差し込み部6の突設基端部に曲線状の折り曲げ線を設けることにより、この折り曲げ線で折り曲げられた差し込み部6が湾曲し、差し込み部6の強度が増して本体部1の線状の差し込み口7に差し込みやすい。
また、内容物Cを収容する袋10を本体部1から折り返されたサイド3とボトム2によるカマス貼りとすることにより、横長の長方形の内容物Cをスタイリッシュに収容することができる。
以上、実施形態に係る封筒について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態では、本体部1から延設された延設部8を裏側に折り返して押圧部9を構成したが、この押圧部9は、封筒を構成する紙素材とは個別の紙製又は紙を主体とする材料製の部材を本体部1に取り付けて構成してもよい。
【0021】
また、上記実施形態では、横長の長方形表面を有する洋封筒についてのみ説明したが、本発明の封筒は和封筒についても同様に適用可能である。同様に、窓や加飾を設けたり、印刷や機能構造を付加したりしてもよい。
また、上記実施形態では、メンバーズカードのような薄くて平らな内容物Cについてのみ詳述したが、袋10の中に収容可能な内容物Cであれば、いかなる内容物Cも本発明の封筒の内容物Cとして適用可能である。一例として、食材や化粧品などを密封した薄い包材を横並びにして袋10の中に収容するような適用方法も可能である。
また、上記実施形態では、紙又は紙を主体とする材料からなる封筒についてのみ詳述したが、本発明の封筒は、プラスチック又はプラスチックを主体とする材料で構成されてもよい。その場合、押圧部9もプラスチック製又はプラスチックを主体とする材料製とすることが好ましい。また、封筒や押圧部9を不織布製とすることも可能である。不織布を構成する繊維には、綿、麻等の天然繊維からPET等の合成繊維素材などが挙げられる。
【符号の説明】
【0022】
1 本体部
2 ボトム
3 サイド
4 フラップ
5 表側折り返し部
6 差し込み部
7 差し込み口
8 延設部
9 押圧部
10 袋
C 内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15