(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029454
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】空気処理モジュール及び空気処理装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20240228BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20240228BHJP
F24F 8/24 20210101ALI20240228BHJP
F24F 8/167 20210101ALI20240228BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240228BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/20
F24F8/24
F24F8/167
F24F8/80 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131724
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小西 達也
(72)【発明者】
【氏名】大武 寛和
(72)【発明者】
【氏名】藤原 章裕
(72)【発明者】
【氏名】冨山 彩弥香
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180CC03
4C180DD03
4C180EA22Y
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH19
(57)【要約】
【課題】壁面に容易に設置可能な空気処理モジュールを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、空気処理モジュールは、ベース部、カバー、紫外光源、光触媒フィルタ及び通風口を備える。カバーは、ベース部に取付けられ、内部に形成される処理空間をベース部と一緒に覆う。紫外光源及び光触媒フィルタは、処理空間に配置され、紫外光源は、処理空間において紫外線を照射する。壁面に設置される取付け器具にベース部が取付けられた状態において、通風口は、ベース部に対して裏側に位置する裏側空間に処理空間を連通させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と;
前記ベース部に取付けられ、内部に形成される処理空間を前記ベース部と一緒に覆うカバーと;
前記処理空間に配置され、前記処理空間において紫外線を照射する紫外光源と;
前記処理空間に配置される光触媒フィルタと;
壁面に設置される取付け器具に前記ベース部が取付けられた状態において、前記ベース部に対して裏側に位置する裏側空間に前記処理空間を連通させる通風口と;
を具備する、空気処理モジュール。
【請求項2】
請求項1の空気処理モジュールと;
前記壁面に設置され、前記空気処理モジュールの前記ベース部が取付け可能な前記取付け器具であって、前記ベース部が取付けられた状態において、前記ベース部と前記裏側空間との間に配置される前記取付け器具と;
前記裏側空間に配置され、駆動されることにより、前記裏側空間と前記処理空間との間に空気の流れを形成するファンと;
を具備する、空気処理装置。
【請求項3】
請求項1の空気処理モジュールと;
前記壁面に設置され、前記空気処理モジュールの前記ベース部が取付け可能な前記取付け器具であって、前記ベース部が取付けられた状態において、前記裏側空間が内部に形成される前記取付け器具と;
前記裏側空間に配置され、駆動されることにより、前記裏側空間と前記処理空間との間に空気の流れを形成するファンと;
を具備する、空気処理装置。
【請求項4】
前記空気処理モジュールは、前記カバーに対して前記ベース部が位置する側とは反対側から環境空間が隣接する状態で、前記ベース部が前記取付け器具に取付けられ、
前記取付け器具には、前記空気処理モジュールを間に介させることなく前記裏側空間を前記環境空間に連通させる連通口が形成される、
請求項2又は3の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気処理モジュール及び空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線及び光触媒フィルタを用いて空気の除菌及び脱臭を行う空気処理モジュールが知られている。このような空気処理モジュールでは、外装部の内部の処理空間へ、外部から空気を導入する。そして、処理空間において紫外線及び光触媒フィルタを用いて、導入された空気を除菌及び脱臭等する。そして、除菌及び脱臭等された空気は、処理空間の外部へ排出される。前述のような空気処理モジュールは、天井面等の壁面に容易に設置可能であることが、求められている。例えば、壁面に設置される取付け器具に、空気処理モジュールを取付け可能にする等して、空気処理モジュールを壁面に容易に設置可能にすることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、壁面に容易に設置可能な空気処理モジュール、及び、その空気処理モジュールを備える空気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、空気処理モジュールは、ベース部、カバー、紫外光源、光触媒フィルタ及び通風口を備える。カバーは、ベース部に取付けられ、内部に形成される処理空間をベース部と一緒に覆う。紫外光源及び光触媒フィルタは、処理空間に配置され、紫外光源は、処理空間において紫外線を照射する。壁面に設置される取付け器具にベース部が取付けられた状態において、通風口は、ベース部に対して裏側に位置する裏側空間に処理空間を連通させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、壁面に容易に設置可能な空気処理モジュール、及び、その空気処理モジュールを備える空気処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る空気処理装置を、高さ方向の表側からみた概略図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る空気処理装置を、奥行方向に対して直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る空気処理装置を、横方向に対して直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る空気処理モジュールにおいて、ベース部を、高さ方向についてカバーが取付けられる側から視た状態で示す概略図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態のある変形例に係る空気処理モジュールにおいて、ベース部を、高さ方向についてカバーが取付けられる側から視た状態で示す概略図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る空気処理装置を、概略的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る空気処理装置を、奥行方向に対して直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る空気処理モジュールにおいて、ベース部を、高さ方向についてカバーが取付けられる側から視た状態で示す概略図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態のある変形例に係る空気処理モジュールにおいて、ベース部を、高さ方向についてカバーが取付けられる側から視た状態で示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の空気処理モジュール(11;111)は、ベース部(35;135)、カバー(36;136)、紫外光源(47)、光触媒フィルタ(48)及び通風口(38;138)を備える。カバー(36;136)は、ベース部(35;135)に取付けられ、内部に形成される処理空間(37;137)をベース部(35;135)と一緒に覆う。紫外光源(47)及び光触媒フィルタ(48)は、処理空間(37;137)に配置され、紫外光源(47)は、処理空間(37;137)において紫外線を照射する。壁面(12)に設置される取付け器具(10;110)にベース部(35;135)が取付けられた状態において、通風口(38;138)は、ベース部(35;135)に対して裏側に位置する裏側空間(30;130)に処理空間(37;137)を連通させる。これにより、空気処理モジュール(11;111)を壁面(12)に容易に設置可能となる。また、空気処理モジュール(11;111)の処理空間(37;137)に外部から空気を導入し、導入した空気を処理空間(37;137)で除菌及び脱臭する構成が、容易に実現される。
【0009】
実施形態の空気処理装置(1)は、前述の空気処理モジュール(11)、取付け器具(10)及びファン(45,46)を備える。取付け器具(10)は、壁面(12)に設置され、空気処理モジュール(11)のベース部(35)は、取付け器具(10)に取付け可能である。ベース部(35)が取付け器具(10)に取付けられた状態において、取付け器具(10)は、ベース部(35)と裏側空間(30)との間に配置される。ファン(45,46)は、裏側空間(30)に配置される。ファン(45,46)が駆動されることにより、裏側空間(30)と処理空間(37)との間に空気の流れが、形成される。これにより、裏側空間(30)から導入された空気が処理空間(37)で適切に除菌及び脱臭され、除菌及び脱臭された空気が適切に裏側空間(30)に排出される。
【0010】
実施形態の空気処理装置(101)は、前述の空気処理モジュール(111)、取付け器具(110)及びファン(145,146)を備える。取付け器具(110)は、壁面(12)に設置され、空気処理モジュール(111)のベース部(135)は、取付け器具(110)に取付け可能である。ベース部(135)が取付け器具(110)に取付けられた状態において、裏側空間(130)が取付け器具(110)の内部に形成される。ファン(145,146)は、裏側空間(130)に配置される。ファン(145,146)が駆動されることにより、裏側空間(130)と処理空間(137)との間に空気の流れが、形成される。これにより、裏側空間(130)から導入された空気が処理空間(137)で適切に除菌及び脱臭され、除菌及び脱臭された空気が適切に裏側空間(130)に排出される。
【0011】
実施形態の空気処理装置(1;101)では、カバー(36;136)に対してベース部(35;135)が位置する側とは反対側から環境空間(15)が隣接する状態で、空気処理モジュール(11;111)のベース部(35;135)が取付け器具(10;110)に取付けられる。取付け器具(10;110)には、空気処理モジュール(11;111)を間に介させることなく裏側空間(30;130)を環境空間(15)に連通させる連通口(17;117)が、形成される。これにより、環境空間(15)から導入した空気を処理空間(37+137)で除菌及び脱臭し、かつ、除菌及び脱臭した空気を環境空間(15)に戻す構成が、容易に実現可能となる。
【0012】
以下、実施形態について図面を参照にして説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
まず、実施形態の一例として、第1の実施形態について説明する。
図1乃至
図3は、第1の実施形態に係る空気処理装置1を示す。
図1乃至
図3に示すように、空気処理装置1は、取付け器具10及び空気処理モジュール11を備える。
図1乃至
図3の一例では、空気処理装置1に、3つの空気処理モジュール11が設けられる。空気処理装置1及び取付け器具10では、奥行方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、奥行方向に対して交差する横方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)、及び、奥行方向及び横方向の両方に対して交差する高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。奥行方向はX方向とも称され、横方向はY方向とも称され、高さ方向はZ方向とも称される。また、高さ方向の一方側が、表側(矢印Z1側)に相当し、高さ方向について表側とは反対側が、裏側(矢印Z2側)に相当する。
図1は、高さ方向の表側から視た図であり、
図2は、奥行方向に対して直交又は略直交する断面を示す断面図である。
図3は、横方向に直交又は略直交し、かつ、空気処理モジュール11のある1つを通る断面を示す断面図である。
【0014】
取付け器具10は、天井面や側壁面等の壁面12(
図2及び
図3参照)に、設置される。取付け器具10が天井面に設置される場合、空気処理装置1及び取付け器具10の高さ方向は、鉛直方向と一致又は略一致する。そして、空気処理装置1における表側は、鉛直下側と一致又は略一致し、空気処理装置1における裏側は、鉛直上側と一致又は略一致する。
図1乃至
図3の一例では、取付け器具10は、天壁21及び周壁22を備え、取付け器具10では、天壁21及び周壁22によって、内部空洞23が規定される。取付け器具10では、天壁21は、高さ方向の裏側から内部空洞23に隣接し、周壁22は、内部空洞23を外周側から全周に渡って囲む。
【0015】
また、取付け器具10では、周壁22は、天壁21に接続され、天壁21から高さ方向の表側に向かって延設される。内部空洞23は、高さ方向について天壁21が位置する側とは反対側へ、すなわち、高さ方向の表側へ、開口する。内部空洞23の開口では、周壁22において天壁21とは反対側の端によって、開口縁が形成される。
図2等の一例では、部屋等の環境空間15が、壁面12によって規定される。内部空洞23は、環境空間15に向かって開口する。取付け器具10が天井面に設置される場合、内部空洞23は、開口において鉛直下側へ向かって開口する。また、空気処理装置1及び取付け器具10では、高さ方向について環境空間15が位置する側が、表側となり、高さ方向について環境空間15が位置する側とは反対側が、裏側となる。
【0016】
図2及び
図3等に示すように、取付け器具10では、天壁21の内表面に、フレーム25が設置される。フレーム25は、周壁22によって囲まれる内部空洞23に配置される。空気処理モジュール11のそれぞれは、フレーム25を間に介して、取付け器具10の天壁21に取付けられる。ある一例では、空気処理モジュール11にトーションバネ(図示しない)が設けられ、フレーム25にバネ受け(図示しない)が取付けられる。そして、トーションバネがバネ受けと係合することにより、空気処理モジュール11が、取付け器具10に取付けられる。前述のように本実施形態では、空気処理モジュール11は、取付け器具10を間に介して、壁面12に設置される。
図1乃至
図3の一例では、空気処理モジュール11は、取付け器具10に取付けられた状態において、内部空洞23に配置される。
【0017】
本実施形態では、取付け器具10は、ルーバー板16を備え、ルーバー板16のそれぞれは、フレーム25を間に介して、天壁21に取付けられる。
図1乃至
図3の一例では、2つのルーバー板16A,16Bが設けられ、2つのルーバー板16A,16Bは、内部空洞23に配置される。そして、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態では、3つの空気処理モジュール11及び2つのルーバー板16は、空気処理装置1の横方向に交互に並んだ状態で、配置される。また、ルーバー板16のそれぞれには、多数の連通口17が形成される。ルーバー板16のそれぞれでは、連通口17のそれぞれは、取付け器具10の高さ方向に沿ってルーバー板16を貫通する。また、天壁21には、貫通孔18が形成され、貫通孔18は、取付け器具10の高さ方向に沿って天壁21を貫通する。
図1乃至
図3の一例では、貫通孔18A,18Bが、貫通孔18として天壁21に形成される。
【0018】
また、本実施形態では、取付け器具10の天壁21に対して高さ方向の裏側に、裏側空間30が形成される。裏側空間30は、取付け器具10及び空気処理モジュール11に対して、高さ方向の裏側に、すなわち、環境空間15が位置する側とは反対側に、位置する。
図1乃至
図3の一例では、壁面12を形成する壁の裏側の空間が、裏側空間30となる。例えば、壁面12が天井面である場合は、天井裏の空間が、裏側空間30となる。裏側空間30は、貫通孔18及びルーバー板16の連通口17を通して、環境空間15と連通する。したがって、ルーバー板16の連通口17等は、空気処理モジュール11を間に介させることなく、裏側空間30を環境空間15に連通させる。
【0019】
空気処理装置1は、ファン31,32を備える。本実施形態では、ファン31,32は、取付け器具10に対して高さ方向の裏側に配置され、
図1乃至
図3の一例では、ファン31,32は、裏側空間30に配置される。このため、ファン31,32は、空気処理モジュール11及び取付け器具10に対して、環境空間15が位置する側とは反対側に、位置する。ファン31、32は、それぞれ相反する動作をすることが望ましい。例えば、ファン31が空気を吸い込む(導入する)動作をする場合は、ファン32は、空気を吐き出す(排出する)動作をすることが望ましい。例えば、ファン31が駆動されることにより、ルーバー板16Aの連通口17及び貫通孔18Aを通して、環境空間15から裏側空間30に空気が導入される(
図2の矢印A1)。また、ファン32が駆動されることにより、貫通孔18B及びルーバー板16Bの連通口17を通して、裏側空間30から環境空間15に空気が排出される(
図2の矢印A2)。また、ファン31,32が駆動されている状態では、裏側空間30において、ファン31からファン32へ向かう空気の流れが、形成される(
図2の矢印A3)。
【0020】
次に、空気処理モジュール11について、説明する。なお、以下の説明では、3つの空気処理モジュール11のある1つについてのみ説明するが、他の空気処理モジュール11についても、同様の構成及び機能を有するものとする。空気処理モジュール11では、長手方向、長手方向に対して交差する幅方向、及び、長手方向及び幅方向の両方に対して交差する高さ方向が、規定される。本実施形態では、空気処理モジュール11は、バー形状に形成され、空気処理モジュール11では、長手方向に沿った寸法が、幅方向に沿った寸法、及び、高さ方向に沿った寸法のそれぞれより大きい。また、空気処理装置1では、空気処理モジュール11の長手方向が、取付け器具10の奥行方向と一致又は略一致し、かつ、空気処理モジュール11の幅方向が、取付け器具10の横方向と一致又は略一致する状態で、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられる。このため、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態では、空気処理モジュール11の高さ方向は、取付け器具10の高さ方向と一致又は略一致する。
【0021】
空気処理モジュール11は、ベース部35及びカバー36を備え、ベース部35及びカバー36によって、空気処理モジュール11の外装部が形成される。カバー36は、ベース部35に取外し可能に取付けられる。空気処理モジュール11では、カバー36は、高さ方向の一方側から、ベース部35に取付けられる。また、空気処理モジュール11では、処理空間37が内部に形成され、カバー36は、ベース部35と一緒に、処理空間37を覆う。空気処理モジュール11では、ベース部35は、高さ方向の一方側から処理空間37を覆い、カバー36は、高さ方向についてベース部35とは反対側から処理空間37を覆う。
【0022】
また、空気処理装置1では、ベース部35が取付け器具10に接続されることにより、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられる。ある一例では、空気処理モジュール11においてベース部35にトーションバネ(図示しない)が取付けられ、取付け器具10のフレーム25にバネ受け(図示しない)が取付けられる。そして、トーションバネがバネ受けと係合することにより、ベース部35が取付け器具10に接続される。空気処理装置1では、カバー36に対してベース部35が位置する側とは反対側から環境空間15が隣接する状態で、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられる。このため、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態では、ベース部35は、カバー36に対して、高さ方向の裏側に、すなわち、天壁21及び裏側空間30に近い側に位置する。また、ベース部35及びカバー36のそれぞれでは、少なくとも内面が、紫外線を反射する材料から形成され、例えば、アルミニウム合金及びステンレス合金等のいずれかから形成される。なお、カバー36は、光の少なくとも一部の波長を透過する部材(例えば、光透過性樹脂や、ガラスなど)で構成されていてもよい。そして、処理空間37に、紫外光源47と可視光源を配置する場合は、カバー36は、少なくとも可視光源から照射される可視光を透過する部材で構成されることが望ましい。なお、この場合、カバー36は、可視光は透過するが、紫外光は透過しない部材で構成されることが好ましい。
【0023】
加えて、カバー36が光の少なくとも一部の波長を透過する形態において、カバー36の面に蛍光体を塗布してもよい。例えば、カバー36が可視の波長領域の光を透過する部材で構成されている場合は、カバー36の内面(内側の面であって、処理空間37に対向する面)に紫外光で励起されて可視光を照射する蛍光体を塗布することで、内部空洞23を通して環境空間15に可視光を照射することが可能となる。環境空間15に照射される可視光は、照明光として照射されたり、空気処理モジュール11が動作しているかを環境空間15に存在する人に知らせるインジケータとして照射されたりする。
【0024】
カバー36が光の少なくとも一部の波長を透過する形態において、変形例としては、カバー36は、紫外の波長領域の光を透過する部材で構成されており、カバー36の外面(外側であって、内部空洞23に対向する面)に紫外光で励起されて可視光を照射する蛍光体を塗布することで、内部空洞23を通して環境空間15に可視光を照射することが可能となる。この変形例においては、カバー36に外面に蛍光体を塗布するため、蛍光体が光触媒の影響を受けない。例えば、蛍光体に光触媒が作用して蛍光体の発光を阻害してしまうような事態を抑制することが可能となる。
【0025】
空気処理モジュール11では、ベース部35に1つもしくは多数の通風口38が形成される。通風口38は、空気処理モジュール11の高さ方向に沿って、ベース部35を貫通する。また、天壁21には、貫通孔41,42が形成され、貫通孔41,42のそれぞれは、取付け器具10の高さ方向に沿って天壁21を貫通する。
図1乃至
図3の一例では、貫通孔41は、空気処理モジュール11のそれぞれに対して1つずつ設けられ、貫通孔42は、空気処理モジュール11のそれぞれに対して1つずつ設けられる。貫通孔41は、例えば
図3におけるX1方向に配設される貫通孔であり、貫通孔42は、例えば
図3におけるX2方向に配設される貫通孔である。空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態では、空気処理モジュール11の内部の処理空間37は、通風口38及び対応する貫通孔41,42を通して、裏側空間30と連通する。したがって、取付け器具10に取付けられた空気処理モジュール11では、通風口38等は、裏側空間30に処理空間37を連通させる。なお、空気処理モジュール11では、通風口38以外に、処理空間37を外部と連通させる孔等は、形成されない。このため、取付け器具10に取付けられた空気処理モジュール11では、処理空間37は、環境空間15に対して開口しない。したがって、環境空間15から処理空間37へ直接的に空気は導入されず、処理空間37から環境空間15へ直接的に空気は排出されない。
【0026】
空気処理装置1は、ファン45,46を備える。本実施形態では、ファン45,46は、取付け器具10に対して高さ方向の裏側に配置され、
図1乃至
図3の一例では、ファン45,46は、裏側空間30に配置される。このため、ファン45,46は、空気処理モジュール11及び取付け器具10に対して、環境空間15が位置する側とは反対側に、位置する。また、
図1乃至
図3の一例では、ファン45は、空気処理モジュール11のそれぞれに対して1つずつ設けられ、ファン46は、空気処理モジュール11のそれぞれに対して1つずつ設けられる。ファン45、46は、それぞれ相反する動作をすることが望ましい。例えば、ファン45が空気を吸い込む(導入する)動作をする場合は、ファン46は、空気を吐き出す(排出する)動作をすることが望ましい。
【0027】
空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態では、対応するファン45が駆動されることにより、対応する貫通孔41及び通風口38の一部を通して、裏側空間30から処理空間37に空気が導入される(
図2及び
図3の矢印B1)。この際、通風口38の一部が、処理空間37に空気を導入する導入口として機能する。また、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態では、対応するファン46が駆動されることにより、対応する貫通孔42及び通風口38の一部を通して、処理空間37から裏側空間30に空気が排出される(
図3の矢印B2)。この際、通風口38において前述の導入口として機能する部分以外の一部が、処理空間37から空気を排出する排出口として機能する。また、取付け器具10に取付けられた空気処理モジュール11の処理空間37では、対応するファン45,46が駆動されることにより、通風口38において導入口となる部分から通風口38において排出口となる部分へ向かう流れが、形成される(
図3の矢印B3)。
【0028】
図4は、空気処理モジュール11において、ベース部35を、高さ方向についてカバー36が取付けられる側から視た状態で示す。
図4では、矢印X3及び矢印X4で示す方向が、空気処理モジュール11の長手方向となり、矢印Y3及び矢印Y4で示す方向が、空気処理モジュール11の幅方向となる。そして、
図4の紙面に対して直交又は略直交する方向が、空気処理モジュール11の高さ方向となる。空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態では、矢印X3及び矢印X4で示す方向は、取付け器具10の奥行方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)と一致又は略一致し、矢印Y3及び矢印Y4で示す方向は、取付け器具10の横方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)と一致又は略一致する。そして、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態では、
図4の紙面に対して直交又は略直交する方向は、取付け器具10の高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)と一致又は略一致する。
【0029】
図2乃至
図4等に示すように、本実施形態では、空気処理モジュール11の処理空間37に、紫外光源47及び光触媒フィルタ48が配置される。
図2乃至
図4の一例では、紫外光源47及び光触媒フィルタ48は、ベース部35の内面に設置される。ただし、紫外光源47及び光触媒フィルタ48の少なくとも一方は、カバー36の内面に設置されてもよい。また、
図1乃至
図4の一例では、2つの紫外光源47が、空気処理モジュール11の処理空間37に配置され、通風口38は、空気処理モジュール11の幅方向(空気処理装置1の横方向)について、2つの紫外光源47の間に位置する。そして、空気処理モジュール11の処理空間37には、2つの光触媒フィルタ48が配置され、通風口38及び紫外光源47は、空気処理モジュール11の長手方向(空気処理装置1の奥行方向)について、2つの光触媒フィルタ48の間に位置する。ただし、処理空間37に配置される紫外光源47及び光触媒フィルタ48の数、及び、処理空間37における紫外光源47及び光触媒フィルタ48の位置は、特に限定されない。例えば、紫外光源47と光触媒フィルタ48の一方がベース部35に配設され、他方がカバー36に配設される場合は、紫外光源47と光触媒フィルタ48が対向するように配設されてもよい。この場合、紫外光源47がLEDであっても、紫外光源47の直射光が光触媒フィルタ48へ入射する。
【0030】
光触媒フィルタ48では、母材の表面に光触媒が担持される。光触媒フィルタ48では、複数(無数)の貫通孔が母材に形成され、母材は、例えば、酸化アルミニウム及び窒化アルミニウム等のセラミックスから形成される。また、母材に担持される光触媒は、例えば、酸化チタン及び酸化タングステン等の金属酸化物から形成される。紫外光源47は、発光素子として、紫外光LED等を備える。紫外光源47は、LEDではないランプ等であってもよい。紫外光源47は、ピーク波長が320nm以上かつ400nm以下の範囲になる紫外線を処理空間37において照射し、主にUV-Aを照射する。処理空間37では、紫外光源47から出射した紫外線、及び、紫外光源47からの出射後にベース部35及びカバー36等で反射した紫外線が、光触媒フィルタ48に照射される。処理空間37において、紫外光源47から主にUV-Aが光触媒フィルタ48に照射されることにより、光触媒フィルタ48において活性酸素及びOHラジカルが生成される。そして、生成された活性酸素及びOHラジカルによって、処理空間37の空気に含まれるウイルス、菌(細菌)及び臭い物質等が、分解される。これにより、処理空間37において、空気の脱臭及び除菌が行われる。
【0031】
なお、ある一例では、紫外光源47は、前述したUV-Aに加えて、ピーク波長が200nm以上かつ320nm以下の範囲になる紫外線(UV-C)を処理空間37において照射してもよい。この場合、UV-Aに加えてUV-Cが、処理空間37において紫外光源47から照射される。処理空間37において、紫外光源47からUV-Cが空気に照射されることにより、空気に含まれるウイルス及び菌(細菌)等の活動が抑制される。これにより、処理空間37において空気の除菌が行われる。ここで、“除菌”とは、空気中に存在するウイルス及び菌(細菌)等を不活性化すること等を意味し、“除菌”の代わりに“殺菌”、“滅菌”及び“減菌”等といった用語を用いることも可能である。このため、実施形態では、“除菌”という用語と用いるが、“除菌”という用語を、“殺菌”、“滅菌”及び“減菌”等に置き換え可能である。
【0032】
また、本実施形態では、ベース部35及びカバー36の内面が紫外線を反射する材料から形成されるため、処理空間37において紫外光源47から照射された紫外線は、空気処理モジュール11の内表面において反射する。このため、紫外光源47からの紫外線が空気処理モジュール11の外部へ出射されることが、有効に防止される。また、空気処理モジュール11では、カバー36をベース部35から取外した状態において、光触媒フィルタ48をベース部35の内表面から取外し可能である。
図4では、2つの光触媒フィルタ48の一方について、ベース部35の内面に取付けられた状態を破線で、ベース部35から取外された状態を実線で、示す。
【0033】
空気処理装置1は、空気処理モジュール11のそれぞれが取付け器具10に取付けられた状態で、使用される。そして、空気処理装置1の使用時には、ファン31,32,45,46を駆動させるとともに、空気処理モジュール11のそれぞれの処理空間37において紫外光源47から紫外線が照射される。このため、環境空間15の空気が、ルーバー板16Aの連通口17等を通して、裏側空間30に導入され、裏側空間30へ導入された空気は、裏側空間30から空気処理モジュール11のそれぞれの処理空間37へ、通風口38等を通して導入される。そして、空気処理モジュール11のそれぞれの処理空間37では、導入された空気が、紫外光源47及び光触媒フィルタ48を用いて、前述のようにして除菌及び脱臭される。そして、空気処理モジュール11のそれぞれでは、処理空間37において除菌及び脱臭された空気が、通風口38等を通して、裏側空間30に排出される。そして、空気処理モジュール11のそれぞれの処理空間37から排出された空気は、ルーバー板16Bの連通口17等を通して、環境空間15へ排出される。前述のようにして空気処理装置1が動作を行うことにより、環境空間15の空気が空気処理モジュール11のそれぞれの処理空間37に導入され、空気処理モジュール11のそれぞれの処理空間37において、導入された空気が除菌及び脱臭される。そして、除菌及び脱臭された空気が、環境空間15に戻される。
【0034】
前述のように本実施形態では、壁面12に取付け器具10が設置され、取付け器具10に空気処理モジュール11のベース部35が取付けられる。このため、ベース部35を取付け器具10に接続することにより、空気処理モジュール11を壁面12に容易に設置可能となる。そして、ベース部35の取付け器具10への接続を解除することにより、空気処理モジュール11を壁面12から容易に取外し可能となる。
【0035】
また、空気処理モジュール11では、ベース部35及びカバー36によって、処理空間37が内部に規定され、処理空間37に、紫外光源47及び光触媒フィルタ48が配置される。そして、ベース部35が取付け器具10に取付けられた状態では、処理空間37は、通風口38等を介して、裏側空間30と連通する。このため、ベース部35を取付け器具10に取付けることにより、裏側空間30から導入させた空気を空気処理モジュール11の処理空間37において除菌及び脱臭可能となる。したがって、空気処理モジュール11の処理空間37に外部から空気を導入し、導入した空気を処理空間37で除菌及び脱臭する構成が、容易に実現される。
【0036】
また、本実施形態では、ファン45,46が、取付け器具10に対して、高さ方向の裏側に配置される。そして、ファン45,46が駆動されることにより、裏側空間30から処理空間37に空気を導入し、かつ、導入した空気を処理空間37から裏側空間30へ排出する空気の流れが、形成される。このため、裏側空間30から導入された空気が処理空間37で適切に除菌及び脱臭され、除菌及び脱臭された空気が適切に裏側空間30に排出される。
【0037】
また、本実施形態では、裏側空間30は、取付け器具10の連通口17等を介して、環境空間15と連通する。裏側空間30は、空気処理モジュール11を間に介することなく、環境空間15と連通する。このため、空気処理モジュール11を取付け器具10に取付けることにより、環境空間15から裏側空間30を通して空気処理モジュール11の処理空間37に空気を導入し、導入した空気を処理空間37で除菌及び脱臭することが可能になる。そして、除菌及び脱臭した空気を、裏側空間30を通して処理空間37から環境空間15へ排出可能となる。したがって、環境空間15から導入した空気を処理空間37で除菌及び脱臭し、かつ、除菌及び脱臭した空気を環境空間15に戻す構成が、容易に実現可能となる。
【0038】
また、本実施形態では、空気処理モジュール11において、カバー36は、ベース部35から取外し可能である。このため、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態でも、カバー36をベース部35から取外すことにより、作業者等は、容易に紫外光源47を交換及び点検することが可能になる。したがって、紫外光源47のメンテナンス性が向上する。また、本実施形態では、光触媒フィルタ48は、ベース部35から取外し可能である。このため、空気処理モジュール11が取付け器具10に取付けられた状態でも、カバー36をベース部35から取外すことにより、作業者等は、容易に光触媒フィルタ48を交換可能となる。したがって、光触媒フィルタ48のメンテナンス性が向上する。
【0039】
(第1の実施形態の変形例)
図5に示す第1の実施形態のある変形例では、空気処理モジュール11において、ベース部35が、3つの構成部材51~53から形成される。構成部材51には、通風口38が形成されるとともに、紫外光源47が取付けられる。また、本変形例でも、空気処理モジュール11の処理空間37に、2つの光触媒フィルタ48が配置される。本変形例では、光触媒フィルタ48の一方が、構成部材52に取付けられ、光触媒フィルタ48の他方が、構成部材53に取付けられる。カバー36をベース部35から取外した状態では、構成部材52,53のそれぞれは、構成部材51から分離可能である。なお、
図5は、空気処理モジュール11において、ベース部35を、高さ方向についてカバー36が取付けられる側から視た状態で示す。
【0040】
本変形例でも、前述した第1の実施形態等と同様の作用及び効果を、奏する。また、本変形例では、光触媒フィルタ48の交換において、カバー36をベース部35から取外した後、ベース部35において、構成部材52,53のそれぞれを、構成部材51から分離する。これにより、光触媒フィルタ48を交換する。しがって、本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、光触媒フィルタ48のメンテナンス性が向上する。
【0041】
ある変形例では、空気処理モジュール11の1つ以上において、裏側空間30から通風口38を通して空気が導入されるとともに、環境空間15からルーバー板16Aの連通口17を通して空気が導入される。この場合、環境空間15からの空気は、裏側空間30を間に介することなく、空気処理モジュール11の処理空間37に導入される。また、別のある変形例では、空気処理モジュール11の1つ以上において、裏側空間30から通風口38を通して空気が導入される代わりに、環境空間15からルーバー板16Aの連通口17を通して空気が導入される。この場合も、環境空間15からの空気は、裏側空間30を間に介することなく、空気処理モジュール11の処理空間37に導入される。これらの変形例でも、空気処理モジュール11の処理空間37において、導入された空気は、紫外光源47及び光触媒フィルタ48を用いて、前述のように除菌及び脱臭される。そして、除菌及び脱臭された空気は、空気処理モジュール11の処理空間37から裏側空間30に、排出される。このため、裏側空間30を間に介することなく環境空間15から空気処理モジュール11の処理空間37に空気を導入可能な構成においても、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0042】
ある変形例では、空気処理モジュール11の1つ以上において、通風口38を通して裏側空間30へ空気が排出されるとともに、処理空間37から環境空間15へルーバー板16Bの連通口17を通して空気が排出される。この場合、環境空間15への空気は、裏側空間30を間に介することなく、空気処理モジュール11の処理空間37から排出される。また、別のある変形例では、空気処理モジュール11の1つ以上において、裏側空間30へ通風口38を通して空気が排出される代わりに、処理空間37から環境空間15へルーバー板16Bの連通口17を通して空気が排出される。この場合も、環境空間15への空気は、裏側空間30を間に介することなく、空気処理モジュール11の処理空間37から排出される。これらの変形例でも、空気処理モジュール11の処理空間37に、裏側空間30から空気が導入される。そして、導入された空気は、紫外光源47及び光触媒フィルタ48を用いて、前述のように処理空間37において除菌及び脱臭される。このため、裏側空間30を間に介することなく空気処理モジュール11の処理空間37から環境空間15に空気を排出可能な構成においても、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0043】
また、別の変形例では、空気処理モジュール11に対する貫通孔41,42が、空気処理モジュール11によって異なる作用をするように構成されてもよい。つまり、空気処理装置1は、貫通孔41が空気吸い込み口となる空気処理モジュール11と、貫通孔41が空気吐き出し口となる空気処理モジュール11と、を備えていてもよい。言い換えると、空気処理装置1は、貫通孔42が空気吸い込み口となる空気処理モジュール11と、貫通孔42が空気吐き出し口となる空気処理モジュール11と、を備えていてもよい。本実施形態では、裏側空間30において、
図2の矢印A3で示す空気の本流が形成される。例えば、空気の本流より上流側に位置する空気処理モジュール11と、空気の本流の途中に位置する空気処理モジュール11とは、X方向において同じ位置に空気吸い込み口を備えていないことが好ましい。例えば、空気の本流より上流側に位置する空気処理モジュール11は、貫通孔41が空気吸い込み口であり、空気の本流の途中に位置する空気処理モジュール11は、貫通孔42が空気吸い込み口であることが好ましい。このように構成することで、効率良く空気を処理することが可能となる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態の変形例として、第2の実施形態について説明する。
図6及び
図7は、第2の実施形態に係る空気処理装置101を示す。
図6及び
図7に示すように、空気処理装置101は、取付け器具110及び空気処理モジュール111を備える。
図6及び
図7の一例では、空気処理装置101に空気処理モジュール111が1つのみ設けられる。空気処理装置101及び取付け器具110では、前述の実施形態等と同様に、奥行方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、奥行方向に対して交差する横方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)、及び、奥行方向及び横方向の両方に対して交差する高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。また、高さ方向の一方側が、表側(矢印Z1側)に相当し、高さ方向について表側とは反対側が、裏側(矢印Z2側)に相当する。
図6は、斜視図であり、
図7は、奥行方向に対して直交又は略直交する断面を示す断面図である。また、
図7では、奥行方向の一方側から視た状態で、一部が示される。
【0045】
本実施形態では、取付け器具110は、天壁121及び周壁122を備え、取付け器具110の内部に、天壁121及び周壁122によって内部空洞123が規定される。そして、天壁121は、高さ方向の裏側から内部空洞123に隣接し、周壁122は、内部空洞123を外周側から全周に渡って囲む。本実施形態でも、取付け器具110は、天井面等の壁面12に、設置される。ただし、本実施形態では、壁面12から高さ方向の表側へ周壁122が突出する状態で、すなわち、壁面12から環境空間15に向かって周壁122が突出する状態で、取付け器具110が壁面12に設置される。また、内部空洞123は、高さ方向について天壁121が位置する側とは反対側へ開口し、環境空間15に向かって開口する。高さ方向の表側へ向かっての内部空洞123の開口の開口縁は、壁面12からの周壁122の突出端によって、形成される。
【0046】
空気処理モジュール111では、奥行方向、奥行方向に対して交差する横方向、及び、奥行方向及び横方向の両方に対して交差する高さ方向が、規定される。本実施形態では、空気処理モジュール111は、パネル形状に形成され、空気処理モジュール111では、高さ方向に沿った寸法が、奥行方向に沿った寸法、及び、横方向に沿った寸法のそれぞれより小さい。また、空気処理装置101では、空気処理モジュール111の奥行方向が、取付け器具110の奥行方向と一致又は略一致し、かつ、空気処理モジュール111の横方向が、取付け器具110の横方向と一致又は略一致する状態で、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられる。このため、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、空気処理モジュール111の高さ方向は、取付け器具110の高さ方向と一致又は略一致する。
【0047】
また、本実施形態では、高さ方向の表側から取付け器具110の内部空洞123に空気処理モジュール111が挿入された状態で、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられる。そして、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、高さ方向の表側へ向かっての内部空洞123の開口は、空気処理モジュール111によって閉塞される。空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられることにより、取付け器具110の内部空洞123では、空気処理モジュール111に対して高さ方向の裏側に、裏側空間130が形成される。空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、取付け器具110の内部において、天壁121と空気処理モジュール111との間の空間が裏側空間130となり、内部空洞123の一部によって、裏側空間130が形成される。
【0048】
また、本実施形態では、取付け器具110の周壁122に連通口117が形成される。
図6及び
図7の一例では、連通口117として、連通口117A,117Bのそれぞれが、周壁122に形成される。連通口117のそれぞれは、周壁122を貫通する。そして、内部空洞123は、連通口117のそれぞれを通して、環境空間15に対して開口する。また、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、裏側空間130は、連通口117のそれぞれを通して、環境空間15に対して開口する。このため、連通口117のそれぞれは、空気処理モジュール111を間に介させることなく、裏側空間130を環境空間15に連通させる。
【0049】
また、本実施形態では、取付け器具110の内部空洞123に、ファン131,132が配置され、ファン131,132は、周壁122の内面に設置される。空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、ファン131,132は、裏側空間130に配置される。ファン131、132は、それぞれ相反する動作をすることが望ましい。例えば、ファン131が空気を吸い込む(導入する)動作をする場合は、ファン132は、空気を吐き出す(排出する)動作をすることが望ましい。空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、ファン131が駆動されることにより、連通口117Aを通して、環境空間15から裏側空間130に空気が導入される(
図7の矢印A4)。また、ファン132が駆動されることにより、連通口117Bを通して、裏側空間130から環境空間15に空気が排出される(
図7の矢印A5)。また、ファン131,132が駆動されている状態では、裏側空間130において、ファン131からファン132へ向かう流れが、形成される(
図7の矢印A6)。
【0050】
本実施形態でも、空気処理モジュール111は、ベース部135及びカバー136を備え、ベース部135及びカバー136によって、空気処理モジュール111の外装部が形成される。カバー136は、ベース部135に取外し可能に取付けられる。空気処理モジュール111では、カバー136は、高さ方向の一方側から、ベース部135に取付けられる。また、空気処理モジュール111では、処理空間137が内部に形成され、カバー136は、ベース部135と一緒に、処理空間137を覆う。空気処理モジュール111では、ベース部135は、高さ方向の一方側から処理空間137を覆い、カバー136は、高さ方向についてベース部135とは反対側から処理空間137を覆う。
【0051】
また、空気処理装置101でも、ベース部135が取付け器具110に接続されることにより、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられる。また、空気処理装置101では、カバー136に対してベース部135が位置する側とは反対側から環境空間15が隣接する状態で、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられる。このため、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、ベース部135は、カバー136に対して、高さ方向の裏側に、すなわち、天壁121及び裏側空間130に近い側に位置する。また、ベース部135及びカバー136のそれぞれでは、ベース部35及びカバー36と同様に、少なくとも内面が、紫外線を反射する材料から形成される。本実施形態では、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられることにより、取付け器具110の天壁121と空気処理モジュール111のベース部135との間に裏側空間130が形成され、ベース部135に対して高さ方向の裏側に隣接する状態で、裏側空間130が形成される。
【0052】
図8は、空気処理モジュール111において、ベース部135を、高さ方向についてカバー136が取付けられる側から視た状態で示す。
図8では、矢印X5及び矢印X6で示す方向が、空気処理モジュール111の奥行方向となり、矢印Y5及び矢印Y6で示す方向が、空気処理モジュール111の横方向となる。そして、
図8の紙面に対して直交又は略直交する方向が、空気処理モジュール111の高さ方向となる。空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、矢印X5及び矢印X6で示す方向は、取付け器具110の奥行方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)と一致又は略一致し、矢印Y5及び矢印Y6で示す方向は、取付け器具110の横方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)と一致又は略一致する。そして、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、
図8の紙面に対して直交又は略直交する方向は、取付け器具110の高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)と一致又は略一致する。
【0053】
図7及び
図8等に示すように、空気処理モジュール111では、ベース部135に多数の通風口138が形成される。通風口138のそれぞれは、空気処理モジュール111の高さ方向に沿って、ベース部135を貫通する。空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、空気処理モジュール111の内部の処理空間137は、通風口138を通して、裏側空間130と連通する。したがって、取付け器具110に取付けられた空気処理モジュール111では、通風口138は、裏側空間130に処理空間137を連通させる。なお、空気処理モジュール111では、通風口138以外に、処理空間137を外部と連通させる孔等は、形成されない。このため、取付け器具110に取付けられた空気処理モジュール111では、処理空間137は、環境空間15に対して開口しない。したがって、環境空間15から処理空間137へ直接的に空気は導入されず、処理空間137から環境空間15へ直接的に空気は排出されない。
図7及び
図8の一例では、通風口138として、多数の通風口138A、及び、多数の通風口138Bが形成される。通風口138Bは、空気処理モジュール111の横方向に、通風口138Aから離れて位置する。
【0054】
空気処理装置101では、取付け器具110の内部にファン145,146が設けられ、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、ファン145,146は、裏側空間130に配置される。ファン145、146は、それぞれ相反する動作をすることが望ましい。例えば、ファン145が空気を吸い込む(導入する)動作をする場合は、ファン146は、空気を吐き出す(排出する)動作をすることが望ましい。空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、ファン145が駆動されることにより、通風口138Aを通して、裏側空間130から処理空間137に空気が導入される(
図7の矢印B4)。この際、通風口138Aが、処理空間137に空気を導入する導入口として機能する。また、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態では、ファン146が駆動されることにより、通風口138Bを通して、処理空間137から裏側空間130に空気が排出される(
図7の矢印B5)。この際、通風口138Bが、処理空間137から空気を排出する排出口として機能する。また、取付け器具110に取付けられた空気処理モジュール111の処理空間137では、ファン145,146が駆動されることにより、導入口となる通風口138Aから排出口となる通風口138Bへ向かう流れが、形成される(
図7の矢印B6)。
【0055】
図7及び
図8等に示すように、本実施形態でも前述の実施形態等と同様に、空気処理モジュール111の処理空間137に、紫外光源47及び光触媒フィルタ48が配置される。このため、本実施形態でも、処理空間137において、紫外光源47及び光触媒フィルタ48を用いて、導入された空気が、除菌及び脱臭される。なお、
図7及び
図8の一例では、紫外光源47及び光触媒フィルタ48は、ベース部135の内面に設置されるが、紫外光源47及び光触媒フィルタ48の少なくとも一方は、カバー136の内面に設置されてもよい。また、
図7及び
図8の一例では、紫外光源として、4つの紫外光源47A~47Dが、空気処理モジュール11の処理空間37に配置される。そして、通風口138Aは、空気処理モジュール111の横方向(空気処理装置101の横方向)について、紫外光源47A,47Bの間に位置し、通風口138Bは、空気処理モジュール111の横方向について、2つの紫外光源47C,47Dの間に位置する。また、光触媒フィルタ48は、空気処理モジュール111の横方向について、通風口138A,138Bの間に位置し、紫外光源47B,47Cの間に位置する。ただし、処理空間137に配置される紫外光源47及び光触媒フィルタ48の数、及び、処理空間137における紫外光源47及び光触媒フィルタ48の位置は、特に限定されない。
【0056】
また、本実施形態でも、ベース部135及びカバー136の内面が紫外線を反射する材料から形成されるため、処理空間137において紫外光源47から照射された紫外線は、空気処理モジュール111の内表面において反射する。このため、紫外光源47からの紫外線が空気処理モジュール111の外部へ出射されることが、有効に防止される。また、空気処理モジュール111では、カバー136をベース部135から取外した状態において、光触媒フィルタ48をベース部135の内表面から取外し可能である。
【0057】
空気処理装置101は、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態で、使用される。そして、空気処理装置101の使用時には、ファン131,132,145,146を駆動させるとともに、空気処理モジュール111の処理空間137において紫外光源47から紫外線が照射される。このため、環境空間15の空気が、連通口117A等を通して、裏側空間130に導入され、裏側空間130へ導入された空気は、裏側空間130から空気処理モジュール111の処理空間137へ、通風口138A等を通して導入される。そして、空気処理モジュール111の処理空間137では、導入された空気が、紫外光源47及び光触媒フィルタ48を用いて、前述のようにして除菌及び脱臭される。そして、空気処理モジュール111では、処理空間137において除菌及び脱臭された空気が、通風口138B等を通して、裏側空間130に排出される。そして、空気処理モジュール111の処理空間137から排出された空気は、連通口117B等を通して、環境空間15へ排出される。前述のようにして空気処理装置101が動作を行うことにより、環境空間15の空気が空気処理モジュール111の処理空間137に導入され、空気処理モジュール111の処理空間137において、導入された空気が除菌及び脱臭される。そして、除菌及び脱臭された空気が、環境空間15に戻される。
【0058】
前述のように本実施形態では、壁面12に取付け器具110が設置され、取付け器具110に空気処理モジュール111のベース部135が取付けられる。このため、ベース部135を取付け器具110に接続することにより、空気処理モジュール111を壁面12に容易に設置可能となる。そして、ベース部135の取付け器具110への接続を解除することにより、空気処理モジュール111を壁面12から容易に取外し可能となる。
【0059】
また、空気処理モジュール111では、処理空間137が内部に規定され、処理空間137に、紫外光源47及び光触媒フィルタ48が配置される。そして、ベース部135が取付け器具110に取付けられた状態では、処理空間137は、通風口138等を介して、裏側空間130と連通する。このため、ベース部135を取付け器具110に取付けることにより、裏側空間130から導入させた空気を空気処理モジュール111の処理空間137において除菌及び脱臭可能となる。したがって、空気処理モジュール111の処理空間137に外部から空気を導入し、導入した空気を処理空間137で除菌及び脱臭する構成が、容易に実現される。
【0060】
また、本実施形態では、ファン145,146が、取付け器具110の内部空洞123に配置される。そして、ファン145,146が駆動されることにより、裏側空間130から処理空間137に空気を導入し、かつ、導入した空気を処理空間137から裏側空間130へ排出する空気の流れが、形成される。このため、裏側空間130から導入された空気が処理空間137で適切に除菌及び脱臭され、除菌及び脱臭された空気が適切に裏側空間130に排出される。
【0061】
また、本実施形態では、裏側空間130は、取付け器具110の連通口117等を介して、環境空間15と連通する。裏側空間130は、空気処理モジュール111を間に介することなく、環境空間15と連通する。このため、空気処理モジュール111を取付け器具110に取付けることにより、環境空間15から裏側空間130を通して空気処理モジュール111の処理空間137に空気を導入し、導入した空気を処理空間137で除菌及び脱臭することが可能になる。そして、除菌及び脱臭した空気を、裏側空間130を通して処理空間137から環境空間15へ排出可能となる。したがって、環境空間15から導入した空気を処理空間137で除菌及び脱臭し、かつ、除菌及び脱臭した空気を環境空間15に戻す構成が、容易に実現可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、空気処理モジュール111において、カバー136は、ベース部135から取外し可能である。このため、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態でも、カバー136をベース部135から取外すことにより、作業者等は、容易に紫外光源47を交換及び点検することが可能になる。したがって、紫外光源47のメンテナンス性が向上する。また、本実施形態では、光触媒フィルタ48は、ベース部135から取外し可能である。このため、空気処理モジュール111が取付け器具110に取付けられた状態でも、カバー136をベース部135から取外すことにより、作業者等は、容易に光触媒フィルタ48を交換可能となる。したがって、光触媒フィルタ48のメンテナンス性が向上する。
【0063】
(第2の実施形態の変形例)
図9に示す第2の実施形態のある変形例では、空気処理モジュール111において、ベース部135が、3つの構成部材151~153から形成される。構成部材151には、通風口138Aが形成されるとともに、紫外光源47A,47Bが取付けられる。構成部材152には、通風口138Bが形成されるとともに、紫外光源47C,47Dが取付けられる。そして、本変形例では、光触媒フィルタ48が、構成部材153に取付けられる。カバー136をベース部135から取外した状態では、構成部材153は、構成部材151,152から分離可能である。なお、
図9は、空気処理モジュール111において、ベース部135を、高さ方向についてカバー136が取付けられる側から視た状態で示す。
【0064】
本変形例でも、前述した第2の実施形態等と同様の作用及び効果を、奏する。また、本変形例では、光触媒フィルタ148の交換において、カバー136をベース部135から取外した後、ベース部135において、構成部材153を、構成部材151,152から分離する。これにより、光触媒フィルタ48を交換する。しがって、本変形例でも、前述の実施形態等と同様に、光触媒フィルタ48のメンテナンス性が向上する。
【0065】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、紫外光源及び光触媒フィルタは、処理空間に配置され、紫外光源は、処理空間において紫外線を照射する。壁面に設置される取付け器具にベース部が取付けられた状態において、通風口は、ベース部に対して裏側に位置する裏側空間に処理空間を連通させる。これにより、壁面に容易に設置可能な空気処理モジュールを提供することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1,101…空気処理装置、10,110…取付け器具、11,111…空気処理モジュール、12…壁面、15…環境空間、17,117…連通口、30,130…裏側空間、35,135…ベース部、36,136…カバー、37,137…処理空間、38,128…通風口、45,46,145,146…ファン、47…紫外光源、48…光触媒フィルタ。