(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029462
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】木質燃料供給優先度決定装置、木質燃料供給優先度決定システム、木質燃料供給優先度決定方法、および木質燃料供給優先度決定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240228BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20240228BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131741
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】522333349
【氏名又は名称】株式会社ReViam Energy
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】弓場 康平
(72)【発明者】
【氏名】辻 純一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】環境に配慮しつつ木材資源の有効活用を実現しながら、エネルギー資源の安定供給を実現するための木質燃料供給優先度決定装置を提供する。
【解決手段】
木質燃料供給優先度決定装置300は、取得部311と、決定部312を有する。取得部311は、複数の異なる位置にそれぞれ配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置200それぞれから、各燃焼装置200における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得する。決定部312は、取得部311によって取得された情報に基づいて、複数の燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる位置に配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置それぞれから、各燃焼装置における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された情報に基づいて、前記複数の燃焼装置に木質燃料を供給する際の優先度を決定する決定部と、
を有する木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記複数の燃焼装置が配置された位置に関する位置情報と、各位置まで到達するための経路に関する経路情報をさらに取得し、
前記決定部によって決定された前記優先度と、前記取得部によって取得された前記位置情報および前記経路情報とに基づいて、前記複数の燃焼装置に木質燃料を供給するための適切な供給経路を出力する出力部をさらに有する請求項1に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項3】
前記決定部は、各燃焼装置における木質燃料の残量が所定の閾値よりも少ないか否かを判断し、各燃焼装置における木質燃料の残量が所定の閾値よりも少ない場合に、当該燃焼装置の優先度を他の燃焼装置の優先度よりも高く設定する請求項1または2に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項4】
前記決定部は、各燃焼装置における所定の期間内の木質燃料の使用量が所定の閾値よりも多いか否かを判断し、各燃焼装置における所定の期間内の木質燃料の使用量が所定の閾値よりも多い場合に、当該燃焼装置の優先度を他の燃焼装置の優先度よりも高く設定する請求項1または2に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項5】
前記取得部は、各燃焼装置から、各燃焼装置が使用されたことを示す稼働履歴情報をさらに取得し、
前記決定部は、前記取得部によって取得された前記稼働履歴情報をさらに考慮して、前記複数の燃焼装置に木質燃料を供給する際の優先度を決定する請求項1または2に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記稼働履歴情報と、前記決定部によって決定された前記優先度と、前記取得部によって取得された前記位置情報および前記経路情報とに基づいて、稼働している全ての前記燃焼装置に木質燃料を供給するための適切な供給経路を出力する請求項2を引用する請求項5に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項7】
前記取得部は、各燃焼装置から、各燃焼装置において木質燃料が燃焼した後に発生する灰の清掃が実行されたことを示す清掃履歴情報をさらに取得し、
前記決定部は、前記取得部によって取得された所定の期間内の木質燃料の使用量に関する情報と、前記清掃履歴情報とから清掃の必要度を判断し、判断された前記清掃の必要度をさらに考慮して前記複数の燃焼装置に木質燃料を供給する際の優先度を決定する請求項1または2に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記経路の交通に関する交通情報をさらに取得し、
前記決定部は、前記交通情報を考慮して、前記優先度を決定する請求項2に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項9】
前記取得部は、天候または天気に関する気象情報をさらに取得し、
前記決定部は、前記気象情報を考慮して、前記優先度を決定する請求項2に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項10】
前記燃焼装置は、燃料である木質燃料を燃焼させる際に、燃焼によって生じた高温の気体をファンで吸引して燃焼中の木質燃料の位置または当該位置よりも下方に戻してさらに木質燃料を加熱させることによって、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させる装置である請求項1または2に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項11】
前記決定部は、前記取得部によって取得された各燃焼装置における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報に基づいて、各燃焼装置に供給するために搬送する必要がある木質燃料の総量を決定する請求項1または2に記載の木質燃料供給優先度決定装置。
【請求項12】
請求項1または2に記載の木質燃料供給優先度決定装置と、
複数の異なる位置にそれぞれ配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置と、
前記複数の燃焼装置に木質燃料を供給するユーザーによって使用されるユーザー端末と、
を有する木質燃料供給優先度決定システム。
【請求項13】
複数の異なる位置にそれぞれ配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置それぞれから、各燃焼装置における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された情報に基づいて、前記複数の燃焼装置に木質燃料を供給する際の優先度を決定する決定ステップと、
を有する木質燃料供給優先度決定方法。
【請求項14】
複数の異なる位置にそれぞれ配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置それぞれから、各燃焼装置における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された情報に基づいて、前記複数の燃焼装置に木質燃料を供給する際の優先度を決定する決定ステップと、
をコンピューターに実行させるための木質燃料供給優先度決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質燃料供給優先度決定装置、木質燃料供給優先度決定システム、木質燃料供給優先度決定方法、および木質燃料供給優先度決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギーの安定供給は、世界各国において大きな課題となっている。特に、我が国においては、石油、ガス、灯油等の燃料となるエネルギー資源を自給することができず、外国からの輸入に頼らざるを得ない状況である。そのため、国際紛争等の影響や、エネルギー資源の価格高騰、為替レートの変動等の影響が大きく、我が国においてもエネルギーの安定供給やエネルギーの自給は、切実な課題となっている。
【0003】
ここで、我が国は国土の約67%の2500万ヘクタールが森林であり、木材資源が豊富である。その豊富な木材を薪として加工し、薪ストーブ等によって燃料として燃焼させてエネルギー資源として活用することも、家庭等の小規模な単位では実施されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような従来の薪ストーブ等を用いて薪を燃焼させる場合、燃焼温度が200~300℃程度と比較的低温であり、煤や煙の排出量が多いことが問題視されている。近年のSDGsに関する意識の高まりもあいまって、このように煤や煙の排出が多い薪を、家庭等の小規模な単位での使用を超えて、広く一般的にエネルギー資源として使用することはこれまでに検討されてこなかった。このため、豊富な木材資源が、エネルギー資源として活用されることは少なく、もっぱら建築材料や家具等の木材加工品の材料として使用されるにとどまっている。材料としての木材は安価で取引されることが多く収益性が低いこともあり、我が国においては林業が盛んではなく、せっかくの木材資源が有効に活用されていないという問題もある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、環境に配慮しつつ木材資源の有効活用を実現しながら、エネルギー資源の安定供給を実現するための木質燃料供給優先度決定装置、木質燃料供給優先度決定システム、木質燃料供給優先度決定方法、および木質燃料供給優先度決定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
木質燃料供給優先度決定装置は、取得部と、決定部を有する。取得部は、複数の異なる位置にそれぞれ配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置それぞれから、各燃焼装置における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得する。決定部は、取得部によって取得された情報に基づいて、複数の燃焼装置に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。
【0009】
木質燃料供給優先度決定システムは、上記の木質燃料供給優先度決定装置と、複数の異なる位置にそれぞれ配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置と、複数の燃焼装置に木質燃料を供給するユーザーによって使用されるユーザー端末と、を有する。
【0010】
木質燃料供給優先度決定方法は、取得ステップと、決定ステップを有する。取得ステップは、複数の異なる位置にそれぞれ配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置それぞれから、各燃焼装置における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得する。決定ステップは、取得部において取得された情報に基づいて、複数の燃焼装置に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。
【0011】
木質燃料供給優先度決定方法は、取得ステップと、決定ステップをコンピューターに実行させるように構成される。取得ステップは、複数の異なる位置にそれぞれ配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置それぞれから、各燃焼装置における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得する。決定ステップは、取得部において取得された情報に基づいて、複数の燃焼装置に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の異なる位置にそれぞれ配置された、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置それぞれから、各燃焼装置における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得し、取得された情報に基づいて、複数の燃焼装置に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。これにより、煤や煙の排出を抑制して環境に配慮しつつ、木材資源を燃料として活用することができるとともに、木質燃料を優先度に応じて適切に供給できる。したがって、環境に配慮しつつ木材資源の有効活用を実現しながら、エネルギー資源の安定供給を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示したユーザー端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示した燃焼装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示した情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図1に示した情報処理装置において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の一例について説明するための図である。
【
図8】
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の一例を示す図である。
【
図9】
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の他の例(変形例1)について説明するための図である。
【
図10】
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の他の例(変形例1)を示す図である。
【
図11】
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の他の例(変形例2)について説明するための図である。
【
図12】
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の他の例(変形例2)を示す図である。
【
図13】
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の他の例(変形例3)について説明するための図である。
【
図14】
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の他の例(変形例3)を示す図である。
【
図15】
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の他の例(変形例4)について説明するための図である。
【
図16】
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の他の例(変形例4)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態が説明される。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0015】
<木質燃料供給優先度決定システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る木質燃料供給優先度決定システムの概略構成を示す図である。
【0016】
図1に示すように、木質燃料供給優先度決定システムは、ユーザー端末100、複数の燃焼装置200a~200e(互いに区別しないときには「燃焼装置200」と総称される。)、情報処理装置300を有し、各構成はネットワークを通じて相互に通信可能に構成されている。
【0017】
ユーザー端末100は、木材や薪等の木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって使用される、スマートフォン、タブレットPC、ノートPC、デスクトップPC、各種ウェアラブル端末等の情報端末である。ユーザーは、ユーザー端末100において出力される指示に従い、トラック等の運搬装置に木質燃料を積み込んで各燃焼装置200を巡回し、各燃焼装置200に木質燃料を供給する。
【0018】
燃焼装置200は、木質燃料を燃焼させて熱を出力させる暖房器具または暖房設備である。燃焼装置200は、木質燃料の燃焼によって生じた高温の気体をファンで吸引して燃焼中の木質燃料の位置または当該位置よりも下方に戻してさらに木質燃料を加熱させることによって、木質燃料を1000℃前後(900℃~1100℃)程度の高温で燃焼させることができる。木質燃料の燃焼によって発生した高温の気体は上昇するため、たとえば下方からファンで吸引することによって燃焼中の木質燃料の位置または当該位置よりも下方に戻すことができる。燃焼装置200は、たとえば、病院・学校・介護施設・温水プール・サウナ・ビニールハウス・集合住宅・個人住居等の様々な施設に設けられ、電気、ガス、灯油等を用いた暖房器具に代わる暖房設備として使用される。燃焼装置200として、たとえば、Central Boiler社製のClassic Edge Outdoor Wood Furnaces等の装置が使用され得る。
【0019】
情報処理装置300は、木質燃料供給優先度決定システムおよびサービスを管理・運営する事業者(以下、「サービス提供者」とも称する)によって設けられ、各種情報を登録・管理・送受信するサーバーである。本実施形態において、情報処理装置300は、木質燃料供給優先度決定装置として機能する。
【0020】
以下は、各構成に関する詳細な説明である。
【0021】
<ユーザー端末100>
図2は、ユーザー端末の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、ユーザー端末100は、制御部110、記憶部120、通信部130、操作表示部140、撮影部150、および音声入出力部160を有する。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0023】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)を有し、プログラムに従い、上述した各構成要素の制御や各種の演算処理を実行する。
【0024】
記憶部120は、予め各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを記憶する。
【0025】
通信部130は、ネットワークを介して他の端末や装置等と通信するための構成である。通信部130は、たとえば情報処理装置300との間で各種情報を送受信する。
【0026】
操作表示部140は、各種の情報を表示したり、ユーザーからの入力を受け付けたりするための構成であり、たとえば、タッチパネル式のディスプレイによって構成される。操作表示部140は、液晶ディスプレイ、マスス等のポインティングデバイス、キーボード等の組み合わせによって構成されてもよい。
【0027】
撮影部150は、可視光を感度領域とするカメラである。撮影部150は、所望の範囲を撮影して画像を取得するために用いられる。
【0028】
音声入出力部160は、音声を入力するためのマイクまたは音声入力端子等と、音声を出力するためのスピーカーまたは音声出力端子等によって構成される。
【0029】
<燃焼装置200>
図3は、燃焼装置の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
図3に示すように、燃焼装置200は、制御部210、記憶部220、通信部230、操作表示部240、燃焼部250、および検知部260を有する。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。なお、制御部210、記憶部220、通信部230、および操作表示部240の各構成は、ユーザー端末100の制御部110、記憶部120、通信部130、および操作表示部140と同様の機能を有するので、重複する説明を省略する。
【0031】
燃焼部250は、燃料である木質燃料を加熱して燃焼させる。燃焼部250は、木質燃料の燃焼によって生じた高温の気体を吸引して燃焼中の木質燃料の位置または当該位置よりも下方に戻すためのファン(不図示)を有する。また、燃焼部250は、供給された木質燃料を蓄積しておく蓄積部(不図示)を有する。
【0032】
検知部260は、重量センサーや光学センサー等を有し、蓄積部に蓄積されている木質燃料の残量または使用量を検知する。また、検知部260は、カメラによって撮影された燃焼装置200内の木質燃料の画像を解析することによって、木質燃料の残量または使用量を検知してもよい。また、検知部260は、各種センサーの検知結果やカメラによって撮影された画像等に基づいて、燃焼装置200において木質燃料が燃焼した後に発生する灰が堆積していることや、当該灰の清掃が実行されたことを検知する。灰の清掃が実行されたことは、清掃の実行を検知するために設けられた専用のボタン等が操作されたことによって検知されてもよい。検知部260によって検知された結果を示す情報は、通信部230を介して情報処理装置300に送信される。
【0033】
<情報処理装置300>
図4は、
図1に示した情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0034】
図4に示すように、情報処理装置300は、制御部310、記憶部320、および通信部330を有する。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。なお、制御部310、記憶部320、および通信部330の各構成は、ユーザー端末100の制御部110、記憶部120、および通信部130と同様の機能を有するので、重複する説明を省略する。
【0035】
記憶部320には、情報処理装置300を機能させるための各種プログラムや情報が記憶される。
【0036】
また、記憶部320には、
図1に示すような複数の燃焼装置200が配置される環境の位置関係や経路を示すマップ情報が記憶される。記憶部320には、複数の燃焼装置200が配置された位置に関する位置情報や、任意の位置から各燃焼装置200の位置まで到達するための経路に関する経路情報も記憶される。また、記憶部320には、各種判断を行うための閾値に関する情報も記憶される。さらに、記憶部320には、各燃焼装置200が使用されたことを示す稼働履歴情報や、各燃焼装置200において木質燃料が燃焼した後に発生する灰の清掃が実行されたことを示す清掃履歴情報も記憶される。
【0037】
<情報処理装置300の機能>
図5は、情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【0038】
図5に示すように、情報処理装置300の制御部310は、プログラムを読み込んで処理を実行することによって、取得部311、決定部312、および出力部313として機能する。
【0039】
取得部311は、複数の異なる位置にそれぞれ配置された、複数の燃焼装置200それぞれから、各燃焼装置200における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得する。
【0040】
決定部312は、取得部311によって取得された情報に基づいて、複数の燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。
【0041】
また、取得部311は、複数の燃焼装置200が配置された位置に関する位置情報と、各位置まで到達するための経路に関する経路情報をさらに取得してもよい。このとき、出力部313は、決定部312によって決定された優先度と、取得部311によって取得された位置情報および経路情報とに基づいて、複数の燃焼装置200に木質燃料を供給するための適切な供給経路を出力してもよい。
【0042】
また、決定部312は、各燃焼装置200における木質燃料の残量が所定の閾値よりも少ないか否かを判断し、各燃焼装置200における木質燃料の残量が所定の閾値よりも少ない場合に、他の燃焼装置の優先度よりも当該燃焼装置の優先度を高く設定してもよい。
【0043】
また、決定部312は、各燃焼装置200における所定の期間内の木質燃料の使用量が所定の閾値よりも多いか否かを判断し、各燃焼装置200における所定の期間内の木質燃料の使用量が所定の閾値よりも多い場合に、他の燃焼装置の優先度よりも当該燃焼装置200の優先度を高く設定してもよい。
【0044】
また、取得部311は、各燃焼装置200から、各燃焼装置200が使用されたことを示す稼働履歴情報をさらに取得してもよい。この場合、決定部312は、取得部311によって取得された稼働履歴情報をさらに考慮して、複数の燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度を決定してもよい。また、出力部313は、稼働履歴情報と、決定部312によって決定された優先度と、取得部311によって取得された位置情報および経路情報とに基づいて、稼働している全ての燃焼装置200に木質燃料を供給するための適切な供給経路を出力してもよい。
【0045】
また、取得部311は、各燃焼装置200から、各燃焼装置200において木質燃料が燃焼した後に発生する灰の清掃が実行されたこを示す清掃履歴情報をさらに取得してもよい。このとき、決定部312は、取得部311によって取得された所定の期間内の木質燃料の使用量に関する情報と、清掃履歴情報とから清掃の必要度を判断し、判断された清掃の必要度をさらに考慮して複数の燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度を決定してもよい。
【0046】
また、取得部311は、各燃焼装置200に向かう経路の交通に関する交通情報をさらに取得してもよい。このとき、決定部312は、取得部311によって取得された交通情報を考慮して、複数の燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度や各燃焼装置200に木質燃焼を供給する供給経路を決定してもよい。
【0047】
また、取得部311は、各燃焼装置200が設置された場所や各燃焼装置200に向かう経路の天候または天気に関する気象情報をさらに取得してもよい。このとき、決定部312は、取得部311によって取得された気象情報を考慮して、複数の燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度や各燃焼装置200に木質燃焼を供給する供給経路を決定してもよい。
【0048】
また、決定部312は、取得部311によって取得された各燃焼装置200における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報に基づいて、各燃焼装置200に供給するために搬送する必要がある木質燃料の総量を決定してもよい。
【0049】
なお、木質燃料供給優先度決定システムの各構成は、それぞれ上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0050】
<木質燃料供給優先度決定システムにおける処理の概要>
図6は、
図1に示した情報処理装置において実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図6のフローチャートに示される処理は、情報処理装置の記憶部320にプログラムとして記憶されており、制御部310が各部を制御することにより実行される。
【0051】
図6に示すように、情報処理装置300は、各種情報を取得する(ステップS101)。たとえば、情報処理装置300は、各燃焼装置200から、各燃焼装置200における木質燃料の残量や、所定の期間内の木質燃料の使用量に関する情報を取得する。また、情報処理装置300は、各燃焼装置200が配置された位置に関する位置情報と、各位置まで到達するための経路に関する経路情報を記憶部320や外部の記憶装置等から取得する。
【0052】
続いて、情報処理装置300は、ステップS101の処理において取得した情報に基づいて、各燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度を決定する(ステップS102)。たとえば、情報処理装置300は、各燃焼装置200から取得した木質燃料の残量や、所定の期間内の木質燃料の使用量に関する情報を互いに比較したり、予め設定された閾値と比較したりすることによって、各燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。ステップS102の優先度決定処理について、詳細は後述する。
【0053】
続いて、情報処理装置300は、ステップS102の処理において決定された優先度と、ステップS101の処理において取得した位置情報および経路情報とに基づいて、各燃焼装置200に木質燃料を供給するための適切な供給経路を出力する(ステップS103)。情報処理装置300は、出力した供給経路を示す画面をユーザー端末100に送信する。木質燃料の配送および供給を担当するユーザーは、ユーザー端末100に表示された供給経路に沿って各燃焼装置200に木質燃料を供給する。これにより、ユーザーは、各燃焼装置200において木質燃料が不足して暖房が利用できないといった事態を回避できるような最適な順序で木質燃料を供給することができる。ステップS103の供給経路出力処理について、詳細は後述する。
【0054】
<ステップS102の優先度決定処理>
図7は、
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の一例について説明するための図である。
図7に示される一覧表は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0055】
図7の例においては、5つの燃焼装置200a~200eそれぞれにおける木質燃料の残量と、各燃焼装置200の木質燃料の残量に基づいて決定された、当該燃焼装置200に木質燃料を供給する優先度が示されている。木質燃料の残量は、たとえば、各燃焼装置200に蓄積可能な最大量の木質燃料が蓄積されている場合を100%、木質燃料が全く蓄積されていない場合を0%として、100分率によって表現される。なお、木質燃料の残量の表現方法はこれに限定されず、「多」「少」といった数値以外の指標や、蓄積されている木質燃料の重さや体積、画像として撮影された場合の面積などの絶対的な量によって表現されてもよい。あるいは、木質燃料の残量は、棒グラフや円グラフ等によってグラフィカルに表現されてもよい。優先度は、たとえば、数字が小さい方が、優先度が高いことを示し、最も優先度が高い場合が1、最も優先度が低い場合が5といった方法によって表現される。なお、優先度の表現方法はこれに限定されず、数字が大きい方が、優先度が高いことを示すように設定されてもよい。また、優先度は、「高」、「中」、「低」といった数値以外の指標や、優先度に対応付けられた画像、「★」等の記号の数の多寡等、任意の方法によって表現され得る。
【0056】
図7の例においては、燃焼装置200dの木質燃料の残量が「20%」と最小となっているため、燃焼装置200dの木質燃料を供給する優先度が「1」と最も高く決定されている。その他、木質燃料の残量が少ない順に、燃焼装置200c、200b、200a、200eの木質燃料を供給する優先度がそれぞれ、「2」、「3」、「4」、「5」と決定されている。
【0057】
また、
図7の例においては、木質燃料の残量の閾値が30%として設定されている。ここで、燃焼装置200dの木質燃料の残量が「20%」と閾値を下回っているため、燃焼装置200dの優先度はより高く設定される。そのため、燃焼装置200dの優先度の欄には、優先度がより高いことを表現するために「緊急」と表示されている。
【0058】
<ステップS103の供給経路出力処理>
図8は、
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の一例を示す図である。
図8に示される画面は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0059】
図8の例においては、
図7の例において決定された優先度の順に、各燃焼装置200に効率的に木質燃料を供給できる供給経路が示されている。ユーザーは、
図8に示される供給経路に沿って、燃焼装置200d→燃焼装置200c→燃焼装置200b→燃焼装置200a→燃焼装置200eの順に巡回して木質燃料を供給することによって、優先度が高い順に効率的に木質燃料を供給することができる。
【0060】
(変形例1)
上記の実施形態においては、木質燃料の残量に基づいて木質燃料を供給する優先度が決定される例について説明したが、優先度の決定方法はこれに限定されない。たとえば、木質燃料の使用量に基づいて優先度が決定されてもよい。
【0061】
図9は、
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の他の例について説明するための図である。
図9に示される一覧表は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0062】
図9の例においては、5つの燃焼装置200a~200eそれぞれにおける木質燃料の使用量(消費量)と、各燃焼装置200の木質燃料の使用量に基づいて決定された、当該燃焼装置200に木質燃料を供給する優先度が示されている。木質燃料の使用量は、たとえば、所定の期間内に各燃焼装置200において使用された木質燃料の使用量であり、使用された木質燃料の重量や体積等を表す数量(重量の場合の単位はkg、体積の場合の単位はL等)によって表される。なお、木質燃料の使用量の表現方法はこれに限定されず、「多」「少」といった数値以外の指標や、画像として撮影された場合の面積の減少量などによって表現されてもよい。あるいは、木質燃料の使用量は、棒グラフや円グラフ等によってグラフィカルに表現されてもよい。優先度は、
図7と同様である。
【0063】
図9の例においては、燃焼装置200dの木質燃料の使用量が「80」と最大となっているため、燃焼装置200dの木質燃料を供給する優先度が「1」と最も高く決定されている。その他、木質燃料の使用量が多い順に、燃焼装置200e、200c、200b、200aの木質燃料を供給する優先度がそれぞれ、「2」、「3」、「4」、「5」と決定されている。
【0064】
また、
図9の例においては、所定の期間内の木質燃料の使用量の閾値が65として設定されている。ここで、燃焼装置200dおよび燃焼装置200eの木質燃料の使用量が閾値をよりも多いため、燃焼装置200dおよび燃焼装置200eの優先度はより高く設定される。そのため、燃焼装置200dおよび燃焼装置200eの優先度の欄には、優先度がより高いことを表現するために「緊急」と表示されている。
【0065】
図10は、
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の他の例を示す図である。
図10に示される画面は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0066】
図10の例においては、
図9の例において決定された優先度の順に、各燃焼装置200に効率的に木質燃料を供給できる供給経路が示されている。ユーザーは、
図10に示される供給経路に沿って、燃焼装置200d→燃焼装置200e→燃焼装置200c→燃焼装置200b→燃焼装置200aの順に巡回して木質燃料を供給することによって、優先度が高い順に効率的に木質燃料を供給することができる。
【0067】
(変形例2)
上記の変形例1においては、木質燃料の使用量に基づいて木質燃料を供給する優先度が決定される例について説明したが、たとえば、木質燃料の残量と木質燃料の使用量から木質燃料がなくなるまでの残り時間を推定して、推定した残り時間に基づいて優先度が決定されてもよい。
【0068】
図11は、
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の他の例について説明するための図である。
図11に示される一覧表は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0069】
図11の例においては、5つの燃焼装置200a~200eそれぞれにおける木質燃料の残量、木質燃料の使用量(単位時間当たり)、木質燃料がなくなるまでの残り時間、残り時間に基づいて決定された当該燃焼装置200に木質燃料を供給する優先度が示されている。残り時間は、木質燃料の残量と木質燃料の使用量に基づいて算出される。具体的には、残り時間は、木質燃料の残量を木質燃料の使用量によって除算することによって算出される。木質燃料の残量および木質燃料の使用量は、木質燃料の重量や体積等を表す数量(重量の場合の単位はkg、体積の場合の単位はL等)によって表される。残り時間は、たとえば、時間数や日数によって表される。なお、残り時間の表現方法はこれに限定されず、「多」「少」といった数値以外の指標や、棒グラフや円グラフ等によってグラフィカルに表現されてもよい。優先度は、
図7、8と同様である。
【0070】
図11の例においては、燃焼装置200bの残り時間が「1.5」と最小となっているため、燃焼装置200bの木質燃料を供給する優先度が「1」と最も高く決定されている。その他、残り時間が少ない順に、燃焼装置200a、200c、200d、200eの木質燃料を供給する優先度がそれぞれ、「2」、「3」、「4」、「5」と決定されている。
【0071】
図12は、
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の他の例を示す図である。
図12に示される画面は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0072】
図12の例においては、
図11の例において決定された優先度の順に、各燃焼装置200に効率的に木質燃料を供給できる供給経路が示されている。ユーザーは、
図12に示される供給経路に沿って、燃焼装置200b→燃焼装置200a→燃焼装置200c→燃焼装置200d→燃焼装置200eの順に巡回して木質燃料を供給することによって、優先度が高い順に効率的に木質燃料を供給することができる。
【0073】
(変形例3)
上記の実施形態および変形例においては、木質燃料の残量や木質燃料の使用量に基づいて優先度が決定される例について説明したが、さらに各燃焼装置200の稼働状況を考慮して優先度が決定されてもよい。
【0074】
図13は、
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の他の例について説明するための図である。
図13に示される一覧表は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0075】
図13の例においては、5つの燃焼装置200a~200eそれぞれにおける木質燃料の残量、各燃焼装置200の稼働状況、木質燃料の残量および稼働状況に基づいて決定された当該燃焼装置200に木質燃料を供給する優先度が示されている。木質燃料の残量は、
図7の例と同様である。稼働状況は、たとえば、各燃焼装置200の検知部260の検知結果に基づいて、各燃焼装置200が稼働しているか否かを判断することによって取得される。あるいは、稼働状況は、ユーザーによって入力された各燃焼装置200の稼働期間や休止期間に関する情報と、処理対象となる日時の情報とを比較することによって取得されてもよい。稼働期間や休止期間は、たとえば月、日、曜日や平日・休日、季節等の任意の方法によって指定され得る。
【0076】
図13の例においては、燃焼装置200cおよび200dの稼働状況が休止中となっているため、燃焼装置200cおよび200dの優先度は、それぞれ「4」、「5」と低く決定されている。稼働状況が稼働中となっている燃焼装置200a、200b、200eの中で、燃焼装置200eの木質燃料の残量が「60%」と最小となっているため、燃焼装置200eの木質燃料を供給する優先度が「1」と最も高く決定されている。その他、木質燃料の残量が少ない順に、燃焼装置200b、200aの木質燃料を供給する優先度がそれぞれ、「2」、「3」と決定されている。
【0077】
図14は、
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の他の例を示す図である。
図14に示される画面は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0078】
図14の例においては、
図13の例において決定された優先度の順に、各燃焼装置200に効率的に木質燃料を供給できる供給経路が示されている。ユーザーは、
図14に示される供給経路に沿って、燃焼装置200e→燃焼装置200b→燃焼装置200a→燃焼装置200d→燃焼装置200cの順に巡回して木質燃料を供給することによって、優先度が高い順に効率的に木質燃料を供給することができる。なお、燃焼装置200dおよび燃焼装置200cは休止中であるため、燃焼装置200dおよび燃焼装置200cには木質燃料を供給しないような供給経路が出力されてもよい。
【0079】
(変形例4)
上記の変形例3においては、各燃焼装置200の稼働状況を考慮して優先度が決定される例について説明したが、各燃焼装置200における清掃の必要度を考慮して優先度が決定されてもよい。
【0080】
図15は、
図6のステップS102の処理において木質燃料を供給する優先度が決定される処理の他の例について説明するための図である。
図15に示される一覧表は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0081】
図15の例においては、5つの燃焼装置200a~200eそれぞれにおける木質燃料の使用量(消費量)、各燃焼装置200の清掃必要度、木質燃料の使用量および清掃必要度に基づいて決定された当該燃焼装置200に木質燃料を供給する優先度が示されている。各燃焼装置200に木質燃料を供給する際には、各燃焼装置200において木質燃料が燃焼した後に発生して堆積している灰の清掃をあわせて行うことができる。したがって、清掃必要度が高い場合には、木質燃料を供給する優先度を高く設定しておくことにより、木質燃料を供給するユーザーに、各燃焼装置200の清掃を速やかに行わせることができる。木質燃料の使用量は、
図9の例と同様である。清掃必要度は、たとえば、各燃焼装置200の検知部260の検知結果に基づいて、各燃焼装置200の稼働状況と清掃履歴情報を取得することによって判断され得る。具体的には、情報処理装置300は、清掃履歴情報に基づいて前回の清掃からの経過期間を判断し、当該経過期間における木質燃料の使用量に基づいて、各燃焼装置200において木質燃料が燃焼した後に発生した灰の堆積量を推定する。情報処理装置300は、推定された灰の堆積量に基づいて、各燃焼装置200における清掃必要度を判断する。たとえば、情報処理装置300は、推定された灰の堆積量が、予め設定された閾値より多い場合には、清掃必要度が高いと判断し、予め設定された閾値より少ない場合には、清掃必要度が低いと判断する。また、推定された灰の堆積量が、緊急で清掃が必要となる閾値よりも多い場合には、清掃必要度をより高く決定し、優先度をより高く決定してもよい。
【0082】
図15の例においては、燃焼装置200eの清掃必要度が「高」となっているため、燃焼装置200eの木質燃料の使用量は最大ではないものの、優先度は「1」と最も高く決定されている。また、他の燃焼装置200a~200dの清掃必要度は「低」となっているため、木質燃料の使用量の多い順に、燃焼装置200a~200dそれぞれの優先度が決定されている。
【0083】
図16は、
図6のステップS103の処理において出力される適切な供給経路の他の例を示す図である。
図16に示される画面は、たとえばユーザー端末100の操作表示部140に表示され、木質燃料の配送および供給を担当するユーザーによって閲覧される。
【0084】
図16の例においては、
図15の例において決定された優先度の順に、各燃焼装置200に効率的に木質燃料を供給できる供給経路が示されている。ユーザーは、
図16に示される供給経路に沿って、燃焼装置200e→燃焼装置200d→燃焼装置200c→燃焼装置200b→燃焼装置200aの順に巡回して木質燃料を供給することによって、優先度が高い順に効率的に木質燃料を供給することができる。
【0085】
上記の実施形態および変形例1~4に記載された優先度の決定方法は、適宜組み合わせて実行され得る。たとえば、情報処理装置300は、各方法によって決定される優先度に、任意の重み付けを行って加重平均を取得することによって、各燃焼装置200に木質燃料を供給する優先度を取得してもよい。
【0086】
また、優先度や供給経路の決定方法は上述した例に限定されず、たとえば、供給経路の距離や交通状況等の交通情報、天気または天候に関する気象情報等を考慮して、搬送する距離や所要時間が最適化されるように、優先度や供給経路が決定されてもよい。たとえば、交通情報に基づいて、ユーザーが搬送する距離、時間、燃費等を考慮して、各燃焼装置200の優先度や供給経路が決定されてもよい。また、気象情報に基づいて、たとえば、気温が所定の温度以下である場合や、雨や雪等の所定の天候の場合には、予め指定された燃焼装置200の優先度が高く決定されてもよい。また、他の例として、優先度が緊急となっている燃焼装置200については、最初に供給し、その他の燃焼装置200については、交通情報を考慮して、ユーザーが搬送する距離または時間が最短となるように供給経路が決定されてもよい。たとえば、
図8の例において、優先度が緊急となっている燃焼装置200dを、最初に設定し、その他の燃焼装置200については、供給経路が最短となるように、供給する優先度と供給経路が決定されてもよい。この場合、燃焼装置200d→燃焼装置200c→燃焼装置200b→燃焼装置200a→燃焼装置200eの順番で巡回するような供給経路が出力される。このとき、燃焼装置200a~燃焼装置200eの優先度は、供給経路における供給の順番に合わせて「4」、「3」、「2」、「1」、「5」と再度決定されてもよい。
【0087】
また、上記の説明においては、優先度を決定したり供給経路を決定したりする際に、各燃焼装置200から取得した各種パラメータ同士の比較や、閾値との比較等のルールベースの処理を実行する例について主に説明したが、処理の方法はこれに限定されない。たとえば、情報処理装置300は、各燃焼装置200の各種パラメータや交通情報・気象情報等と、優先度や供給経路の多数のセットを教師データとして用いて機械学習された学習モデルを用いて、各燃焼装置200から取得したパラメータや交通情報・気象情報等から優先度や供給経路を出力してもよい。
【0088】
また、情報処理装置300は、各燃焼装置200から取得した木質燃料の残量や木質燃料の使用量等の情報に基づいて、各燃焼装置200に供給するためにユーザーが搬送する必要がある木質燃料の総量を算出することができる。情報処理装置300が、算出した木質燃料の総量をユーザー端末100に送信して表示させることにより、ユーザーは、どのぐらいの木質燃料をトラックに積み込めば足りるかを正確に把握することができる。
【0089】
以上のように、本実施形態の情報処理装置300は、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができる複数の燃焼装置200それぞれから、各燃焼装置200における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報を取得する。そして、情報処理装置300は、取得された情報に基づいて、複数の燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。これにより、煤や煙の排出を抑制して環境に配慮しつつ、木材資源を木質燃料として活用することができるとともに、木質燃料を優先度に応じて適切に供給できる。したがって、環境に配慮しつつ木材資源の有効活用を実現しながら、エネルギー資源の安定供給を実現することができる。
【0090】
本実施形態の情報処理装置300等によって、木材資源をエネルギー資源として安定的に有効活用できる仕組みが構築されれば、これまで活用されずに放置されていた山林等の価値を高めることができる。これにより、林業等の産業の振興や地方や山村等の過疎化が進んでいる地域の活性化につなげることができる。
【0091】
また、情報処理装置300は、複数の燃焼装置200が配置された位置に関する位置情報と、各位置まで到達するための経路に関する経路情報をさらに取得する。そして、情報処理装置300は、決定された優先度と、取得された位置情報および経路情報とに基づいて、複数の燃焼装置200に木質燃料を供給するための適切な供給経路を出力する。これにより、ユーザーは、たとえばユーザー端末100において出力された供給経路にしたがって木質燃料を供給するだけで、木質燃料を供給する優先度が高い燃焼装置200から順に、適切かつ効率的に木質燃料を供給することができる。
【0092】
また、情報処理装置300は、各燃焼装置200における木質燃料の残量が所定の閾値よりも少ないか否かを判断し、各燃焼装置200における木質燃料の残量が所定の閾値よりも少ない場合に、当該燃焼装置200の優先度を高く設定する。したがって、たとえば、木質燃料の残量が極めて少なくなっている場合には、優先度をより高く設定して、緊急対応として木質燃料を迅速に供給することができる。これにより、たとえば、冬季の寒冷地等において、燃焼装置200内の木質燃料が枯渇してしまい、暖房設備が使えなくなってしまうという致命的な事態の発生を防ぐことができる。その結果、医療施設や介護施設等の人命に関わる業務を行うような重要な施設においても、本実施形態の燃焼装置200を暖房設備として活用することができる。
【0093】
また、情報処理装置300は、各燃焼装置200における所定の期間内の木質燃料の使用量が所定の閾値よりも多いか否かを判断し、各燃焼装置200における所定の期間内の木質燃料の使用量が所定の閾値よりも多い場合に、当該燃焼装置200の優先度を高く設定する。したがって、たとえば、木質燃料の使用量が極めて多くなっている場合には、優先度をより高く設定して、緊急対応として木質燃料を迅速に供給することができる。これにより、燃焼装置200内の木質燃料が枯渇してしまい、暖房設備が使えなくなってしまうという致命的な事態の発生を防ぐことができる。
【0094】
また、情報処理装置300は、各燃焼装置200から、各燃焼装置200が使用されたことを示す稼働履歴情報をさらに取得し、取得された稼働履歴情報をさらに考慮して、複数の燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。これにより、燃焼装置200の稼働状況を加味して木質燃料を供給する優先度を決定することができるため、より適切かつ効率的に各燃焼装置200に木質燃料を供給することができる。
【0095】
また、情報処理装置300は、稼働履歴情報と、決定された優先度と、取得された位置情報および経路情報とに基づいて、稼働している全ての燃焼装置200に木質燃料を供給するための適切な供給経路を出力する。これにより、稼働している燃焼装置200を対象として、木質燃料を供給する供給経路を出力することができるため、稼働中であり木質燃料の供給が必要な燃焼装置200に対して、より適切かつ効率的に木質燃料を供給することができる。
【0096】
また、情報処理装置300は、各燃焼装置200から、各燃焼装置200において木質燃料が燃焼した後に発生する灰の清掃が実行されたことを示す清掃履歴情報をさらに取得する。そして、情報処理装置300は、取得された所定の期間内の木質燃料の使用量に関する情報と、清掃履歴情報とから清掃の必要度を判断し、判断された清掃の必要度をさらに考慮して複数の燃焼装置200に木質燃料を供給する際の優先度を決定する。これにより、各燃焼装置200における清掃の必要度を加味して燃焼装置200の清掃を実行しつつ木質燃料を供給する優先度を決定することができる。したがって、適切なタイミングで燃焼装置200における灰の清掃を実行させて、燃焼装置200を正常に使用可能としつつ、効率的に各燃焼装置200に木質燃料を供給することができる。
【0097】
また、燃焼装置200は、燃料である木質燃料を燃焼させる際に、燃焼によって生じた高温の気体をファンで吸引して燃焼中の木質燃料の位置または当該位置よりも下方に戻してさらに木質燃料を加熱させることによって、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させる装置である。これにより、燃焼装置200は、木質燃料を900℃~1100℃の高温で燃焼させることができるため、従来の薪ストーブのように薪を長期間乾燥させてから使用する必要がなく、木材を木質燃料として即座に使用することができる。これにより、従来のように薪を乾燥させるための手間と時間や、乾燥させるためのスペース等を省略することができ、より効率的に木質燃料をエネルギー資源として有効活用することができる。
【0098】
また、情報処理装置300は、取得された各燃焼装置200における木質燃料の残量および所定の期間内の木質燃料の使用量の少なくともいずれかに関する情報に基づいて、各燃焼装置200に供給するために搬送する必要がある木質燃料の総量を決定する。これにより、木質燃料を配送および供給するユーザーは、トラック等の搬送装置にどのぐらいの量の木質燃料を積み込んで出発すれば、全ての燃焼装置200に過不足なく木質燃料を供給できるかを把握することができ、効率的に木質燃料の積み込みや搬送を行うことができる。
【0099】
なお、本発明は、上述した実施形態および変形例のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0100】
たとえば、上記の実施形態においては、木質燃料を配送および供給するユーザーは、トラック等の車両を用いて木質燃料を配送する形態について説明したが、配送に使用する装置は車両に限定されない。たとえば、ドローンや歩行型のロボット等の任意の搬送用の装置が用いられてもよい。また、上記の実施形態においてユーザーによって行われるものとして説明した各処理は、コンピューターやロボットによって自動的に実行されてもよい。たとえば、木質燃料の集積場から木質燃料の搬送装置に必要な量の木質燃料を積み込む処理や、出力された供給経路に従って各燃焼装置200を巡回する処理や、各燃焼装置200に木質燃料を供給する処理等は、コンピューターやロボットによって自動的に実行され得る。
【0101】
また、上記の実施形態においては、優先度や供給経路がユーザー端末100の操作表示部140に表示されて出力される例について説明したが、出力方法はこれに限定されない。たとえば、優先度や供給経路は、ユーザー端末100の音声入出力部160を介して、音声による案内として出力されてもよい。
【0102】
また、ユーザー端末100、燃焼装置200、情報処理装置300は、それぞれ複数の装置によって構成されてもよく、あるいは単一の装置によって構成されてもよい。
【0103】
また、各構成が有する機能は、他の構成によって実現されてもよい。たとえば、情報処理装置300が有する各機能が、ユーザー端末100や燃焼装置200によって実現されていてもよく、あるいは、他のサーバー等によって実現されてもよい。あるいは、ユーザー端末100や燃焼装置200等が有する各機能の一部が、情報処理装置300によって実現されてもよい。
【0104】
また、上記の実施形態におけるフローチャートの処理単位は、各処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方によって、本願発明が制限されることはない。各処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0105】
上述した実施形態に係るシステムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、システムの一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0106】
100 ユーザー端末、
110 制御部、
120 記憶部、
130 通信部、
140 操作表示部、
150 撮影部、
160 音声入出力部、
200、200a~200e 燃焼装置、
210 制御部、
220 記憶部、
230 通信部、
240 操作表示部、
250 燃焼部、
260 検知部、
300 情報処理装置、
310 制御部、
311 取得部、
312 決定部、
313 出力部、
320 記憶部、
330 通信部。