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  • 特開-サージ検知装置 図1
  • 特開-サージ検知装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029471
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】サージ検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20240228BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
G01R15/18 B
G01R19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131753
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000123354
【氏名又は名称】音羽電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲崎 弘次
(72)【発明者】
【氏名】阿部 毅人
(72)【発明者】
【氏名】巽 茉菜
【テーマコード(参考)】
2G025
2G035
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AA11
2G025AB14
2G025AC01
2G035AA00
2G035AA08
2G035AB01
2G035AB13
2G035AC15
2G035AD04
2G035AD10
2G035AD14
2G035AD19
2G035AD28
2G035AD41
2G035AD56
2G035AD65
(57)【要約】
【課題】外部ノイズに強く、かつ、感度が高いサージ検知装置を実現する。
【解決手段】サージ検知装置は、検出対象51に近接させて用いるCT(Current Transformer)10と、コイル体20と、コイル体20の巻線22を流れる電流を検知する検知回路5とを備える。CT10の二次側出力線11は、コイル体20のコア21に巻かれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象に近接させて用いるCT(Current Transformer)と、
コアと、前記コアに巻き付けられた巻線とを有しており、かつ、前記CTの二次側出力線が前記コアに巻かれたコイル体と、
前記コイル体の前記巻線を流れる電流を検知する検知回路とを備える
ことを特徴とするサージ検知装置。
【請求項2】
請求項1記載のサージ検知装置において、
前記コイル体は、トロイダルコイルである
ことを特徴とするサージ検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷等に起因したサージ電流を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、落雷等に起因した過大なサージ電流の検出には、CT(Current Transformer)やコイルが使用されている。非特許文献1には、CTを用いたサージ検出器が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】サージ検出器、音羽電機工業株式会社、[online]、[令和4年8月2日検索]、インターネット<URL:https://www.otowadenki.co.jp/products_list08/#c03>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、機器のIC(Integrated Circuit)化や小型化より、制御電源用SPD(Surge Protective Device)や信号回線用SPD等の需要が増加している。これらのSPDでは、電源用SPDに比べて動作電圧が低く、接地線には小さなサージ電流が流れることがある。小さなサージ電流をサージカウンタ等のサージ検知装置によって検知する場合、サージ検知感度を鋭敏にするために、CTで検知したサージ電流を高い入力抵抗で受ける必要がある。ところが、入力抵抗が高いと、静電気や開閉サージ等の外部ノイズの影響を受けやすくなり、このため、サージ検知装置が外部ノイズによって誤動作する可能性が高くなってしまう。
【0005】
本発明は、前記のような問題に鑑み、外部ノイズに強く、かつ、感度が高いサージ検知装置を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、サージ検知装置は、検出対象に近接させて用いるCT(Current Transformer)と、コアと、前記コアに巻き付けられた巻線とを有しており、かつ、前記CTの二次側出力線が前記コアに巻かれたコイル体と、前記コイル体の前記巻線を流れる電流を検知する検知回路とを備える。
【0007】
この態様によると、サージ検知装置は、検出対象に近接させて用いるCTと、コイル体と、コイル体の巻線を流れる電流を検知する検知回路とを備える。そして、CTの二次側出力線は、コイル体のコアに巻かれている。これにより、CTの二次側に発生した電圧はコイル体によって受けることになり、入力が低インピーダンスとなる。また、外部ノイズは、チョークコイルとして機能するコイル体によってカットされる。したがって、外部ノイズに強く、かつ、感度が高いサージ検知装置を実現することができる。
【0008】
そして、前記コイル体は、例えば、トロイダルコイルである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、外部ノイズに強く、かつ、感度が高いサージ検知装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るサージ検知装置の構成
図2】CTおよびコイル体の詳細構成例
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は実施形態に係るサージ検知装置の構成を示す。図1に示すサージ検知装置は、例えば制御電源用SPD(Surge Protective Device)や信号回線用SPDの接地線51に流れる、例えば落雷等に起因するサージ電流を検知する装置である。接地線51は、サージ検知装置がサージ電流の発生を検知する検知対象の一例である。
【0013】
図1に示すサージ検知装置は、CT(Current Transformer)10と、回路ユニット2とを備えている。CT10は、接地線51に近接させて用いられる。ここでは、CT10は分割型であり、その内部空間に接地線51を通過させるように設置するものとしている。CT10の二次巻線の巻き数は、例えば1000~5000ターンである。
【0014】
回路ユニット2は、トロイダルコイル20と、電流/電圧変換回路23と、制御回路24とを備える。トロイダルコイル20は、コア21と、コア21に巻き付けられた巻線22とを有する。トロイダルコイル20はコイル体の一例である。CT10の二次側出力線11は、トロイダルコイル20のコア21に巻かれている。
【0015】
図2はCT10およびトロイダルコイル20の構成例を示す図である。図2に示すように、トロイダルコイル20は、回路ユニット2が有する基板上に設けられている。上述したように、CT10の二次側出力線11は、トロイダルコイル20のコア21に巻かれている。二次側出力線11の巻き数は数ターンであり、例えば、2-5ターンである。
【0016】
電流/電圧変換回路23は、入力抵抗R1と、ダイオード整流回路D1と、容量C1とを備えており、トロイダルコイル20の巻線22を流れる電流を電圧に変換する。制御回路24は、レベル分け回路25と、CPU(Central Processing Unit)26と、LCD(Liquid Crystal Display)27と、信号出力回路28とを備えている。レベル分け回路25は、電流/電圧変換回路23から出力された電圧のレベルを判定し、サージ電流の発生を知らせるトリガをCPU26に出力する。CPU26は、通常はスリープ状態であり、レベル分け回路25からトリガを受けたとき、動作する。CPU26は、例えば、発生したサージ電流のレベルをLCD27に表示させたり、サージ電流の電流値を示す信号を信号出力回路28から出力させたりする。電流/電圧変換回路23および制御回路24によって、トロイダルコイル20の巻線21を流れる電流を検知する検知回路5が構成されている。
【0017】
ここで、接地線51にサージ電流が流れたとする。このとき、接地線1の周りにサージ電流に応じた磁界が生じ、この磁界の発生によって、CT10の二次側出力線11に、サージ電流に応じた電流が流れる。二次側出力線11は、トロイダルコイル20のコア21に巻かれているため、二次側出力線11に電流が流れることによって、トロイダルコイル20の巻線22に電流が流れる。トロイダルコイル20の巻線21を流れる電流は、電流/電圧変換回路23によって電圧に変換される。制御回路24は、変換後の電圧値を基にして、接地線51に流れたサージ電流について、そのレベルを表示させたり、電流値を出力したりすることができる。
【0018】
以上のように本実施形態によると、サージ検知装置は、検出対象に近接させて用いるCT10と、トロイダルコイル20と、トロイダルコイル20の巻線21を流れる電流を検知する検知回路5とを備える。そして、CT10の二次側出力線11は、トロイダルコイル20のコア21に巻かれている。これにより、CT10の二次側に発生した電圧は、トロイダルコイル20によって受けることになり、入力が低インピーダンスとなる。また、外部ノイズは、チョークコイルとして機能するトロイダルコイル20によってカットされる。したがって、静電気や開閉サージ等の外部ノイズに強いサージ検知装置を実現することができる。また、サージ検知装置の感度を高めることでき、例えば10A程度のサージ電流を検知することができる。また、過大な雷サーズ発生時のノイズにも強いため、サージ検知装置の最大測定電流を非常に大きくすることができる。
【0019】
また、本実施形態によると、CT10の二次側出力線11をトロイダルコイル20のコア21に巻く巻き数を変えることによって、サージ電流の検知感度を容易に変更することができる。従来の構成では、感度を変更するために、例えば、CTの二次巻線のターン数を変えたり、入力抵抗の抵抗値を変えたりする必要があった。しかしながら、これらの変更は、構成上容易ではない。これに対して、本実施形態では、CT10の二次側出力線11をトロイダルコイル20のコア21に巻く巻き数を変えるだけで、感度を容易に変更することができる。
【0020】
また、本実施形態では、CT10の二次側出力線11が巻かれるコイル体として、トロイダルコイル20を用いるものとしたが、他のコイル体を用いてもかまわない。例えば、U字型のコイルでもよいし、棒状のコイルでもよい。
【0021】
また、本実施形態では、CT10の二次側出力線11が巻かれるコイル体は、回路ユニット2の内部に設けられるものとした。ただし、このコイル体は、回路ユニット2とは別に設けてもかまわない。例えば、CT10の近傍にコイル体を設けて、CT10とコイル体を同一筐体内に配置してもかまわない。
【0022】
また、上述した各実施形態では、サージ電流の発生を検出する検出対象の一例として、接地線51を例にとって説明を行った。ただし、本発明が適用可能な検出対象は、接地線に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明では、外部ノイズに強く、かつ、感度が高いサージ検知装置を実現することができるので、例えば、制御電源用SPD等の雷サージ検知に有用である。
【符号の説明】
【0024】
2 回路ユニット
5 検知回路
10 CT
11 二次側出力線
20 トロイダルコイル(コイル体)
21 コア
22 巻線
51 接地線(検出対象)
図1
図2