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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029475
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】草刈り刃装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/73 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A01D34/73 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131760
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】神谷 晴久
(72)【発明者】
【氏名】岩原 利夫
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA02
2B083CA03
2B083CA07
2B083CA18
2B083CA22
2B083CA23
2B083CA28
2B083CB14
2B083DA02
2B083DA03
(57)【要約】
【課題】中心回りに回転するように設けられる上部盤及び下部盤の間の、その中心から偏心した位置に回転刃を備える草刈り刃装置において、石を跳ね上げてしまうこと及び刃部が損傷することを抑制しつつ、草を効率的に刈ることができる草刈り刃装置を提供する。
【解決手段】草刈り刃装置1の下部盤3は上部盤2よりも外側に出る板状の外周部33を有する。外周部33の外周は、下部盤3の中心回りの周方向に沿って円弧状に形成される円弧部34と、下部盤3の回転により円弧部34が描く軌跡である仮想円200に対して切り欠いた形状の切り欠き部35とを含む。切り欠き部35は、平面視で見て、下部盤3の回転方向における回転刃5より前側の位置から回転刃5の刃部56に重なるように形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心回りに回転するように設けられる上部盤及び下部盤と、
前記中心から偏心した位置において前記上部盤と前記下部盤とを連結するガイドピンと、
前記上部盤と前記下部盤の間に前記ガイドピンを軸として回転自在に設けられ、外周に刃部を有し、その刃部が前記下部盤より外側に出る、円盤状の回転刃とを備え、
前記下部盤の外周は、前記中心回りの周方向に沿って円弧状に形成される円弧部と、前記下部盤の回転により前記円弧部が描く軌跡である仮想円に対して切り欠いた形状の切り欠き部とを含み、
前記切り欠き部は、平面視で見て、前記下部盤の回転方向における前記回転刃より前側の位置から該回転刃の前記刃部に重なるように形成される、
草刈り刃装置。
【請求項2】
前記上部盤又は前記下部盤は、前記上部盤と前記下部盤との間を閉塞する側面部を有する請求項1に記載の草刈り刃装置。
【請求項3】
前記回転刃は、前記仮想円の外側に前記刃部が出る最外位置と、前記仮想円の内側に前記刃部が引っ込む最内位置との間で移動可能に前記ガイドピンに装着される請求項1に記載の草刈り刃装置。
【請求項4】
前記切り欠き部の、前記下部盤の回転方向側に位置する端部を前端とし、前記回転方向の逆側に位置する端部を後端として、
前記切り欠き部は、前記前端からの一部を構成する第1部分と、前記第1部分から前記仮想円に近づく側に方向転換して、平面視て見て前記回転刃に重なりつつ前記後端まで延びる第2部分とを含む請求項1に記載の草刈り刃装置。
【請求項5】
前記下部盤の底面の少なくとも外周側は、内側から外側に向かうにしたがって上方に変位する傾斜状に形成される請求項1に記載の草刈り刃装置。
【請求項6】
前記上部盤の上面は凹凸又は段差が無い面に形成される請求項1に記載の草刈り刃装置。
【請求項7】
前記回転刃は、外周に沿って前記回転刃の径方向外側に突出する前記刃部としての複数の突出部を有し、
前記突出部は、
前記回転刃の周方向における第1方向に向かうにしたがって徐々に上下幅が小さくなる先細り形状に形成された第1側面刃と、
前記回転刃の周方向における前記第1方向の反対の第2方向に向かうにしたがって徐々に上下幅が小さくなる先細り形状に形成された第2側面刃とを有し、
前記突出部の突出方向先端は非鋭利な形状に形成される請求項1に記載の草刈り刃装置。
【請求項8】
前記第1側面刃と前記第2側面刃とは、先細り方向の逆側に、前記第1側面刃と前記第2側面刃との間で共通の縁部を有する請求項7に記載の草刈り刃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は草刈り刃に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1、2には、中心回りに回転するように設けられる上部盤及び下部盤と、前記中心から偏心した位置において前記上部盤と前記下部盤とを連結するガイドピンと、前記上部盤と前記下部盤の間に前記ガイドピンを軸として回転自在に設けられ、外周に刃部を有し、その刃部が前記下部盤より外側に出る、円盤状の回転刃とを備えた草刈り刃装置の提案がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3079507号公報
【特許文献2】特開2000-50717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の草刈り刃装置では、草刈り時に石が刃部に深く当たって、石を跳ね上げてしまうおそれがある。石が跳ね上がると、その跳ね上がった石が人等に当たってしまうおそれがある。また、木、壁、フェンス等の硬い物(障害物)に刃部が当たると、刃部を大きく破損してしまうおそれもある。
【0005】
そこで、本開示は、上部盤、下部盤、ガイドピン、及び回転刃を備えた草刈り刃装置において、石を跳ね上げてしまうこと及び刃部が損傷することを抑制しつつ、草を効率的に刈ることができる草刈り刃装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の草刈り刃装置は、
中心回りに回転するように設けられる上部盤及び下部盤と、
前記中心から偏心した位置において前記上部盤と前記下部盤とを連結するガイドピンと、
前記上部盤と前記下部盤の間に前記ガイドピンを軸として回転自在に設けられ、外周に刃部を有し、その刃部が前記下部盤より外側に出る、円盤状の回転刃とを備え、
前記下部盤の外周は、前記中心回りの周方向に沿って円弧状に形成される円弧部と、前記下部盤の回転により前記円弧部が描く軌跡である仮想円に対して切り欠いた形状の切り欠き部とを含み、
前記切り欠き部は、平面視で見て、前記下部盤の回転方向における前記回転刃より前側の位置から該回転刃の前記刃部に重なるように形成される。
【0007】
これによれば、下部盤外周の、回転刃周辺に切り欠き部が設けられるので、下部盤の外側に回転刃の刃部を出しつつ、下部盤の径(換言すれば円弧部と下部盤の回転中心との距離)を大きくできる。下部盤(円弧部)の径を大きくできることで、円弧部で石を外側に押し出すことができ、石が刃部に当たってしまうのを抑制できる。これにより、石の跳ね上げと刃部の損傷を抑制できる。また、草は、円弧部に接触したときに下部盤の径方向外側に撓むが、切り欠き部の位置で円弧部との接触が解消されたときに上記撓みの反動で、下部盤の径方向内側に変位し得る。これにより、切り欠き部に沿って草を刃部まで誘導でき、草を効率的に刈ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】草刈り刃装置の平面図である。
図2】草刈り刃装置の側面図である。
図3】草刈り刃装置の、図1のIII-III線での断面図である。
図4】草刈り刃装置の分解斜視図である。
図5図1のA部の拡大図であって、回転刃が最外位置にある状態を示す図である。
図6図1のA部の拡大図であって、回転刃が最内位置にある状態を示す図である。
図7】上部盤の下面図(裏面図)である。
図8】草刈り機の斜視図である。
図9】第1実施形態の回転刃の斜視図である。
図10】第1実施形態の回転刃の平面図(上面図)である。
図11】第1実施形態の回転刃の正面図である。
図12】第1実施形態の回転刃の右側面図である。
図13】第1実施形態の回転刃の、図10のXIII-XIII線での断面図である。
図14】第1実施形態の回転刃の刃部(突出部)の、図10のXIV-XIV線での断面図である。
図15】第1実施形態の回転刃の、図10のXV-XV線での断面図である。
図16】第2実施形態の回転刃の斜視図である。
図17】第2実施形態の回転刃の平面図(上面図)である。
図18】第2実施形態の回転刃の正面図である。
図19】第2実施形態の回転刃の右側面図である。
図20】第2実施形態の回転刃の刃部(突出部)の、図17のXX-XX線での断面図である。
図21】第2実施形態の回転刃の、図17のXXI-XXI線での断面図である。
図22】第2実施形態の回転刃の、図17のXXII-XXII線での断面図である。
図23】第3実施形態の回転刃の斜視図である。
図24】第3実施形態の回転刃の平面図(上面図)である。
図25】第3実施形態の回転刃の正面図である。
図26】第3実施形態の回転刃の右側面図である。
図27】第3実施形態の回転刃の、図24のXXVII-XXVII線での断面図である。
図28】第3実施形態の回転刃の、図24のXXVIII-XXVIII線での断面図である。
図29】第3実施形態の回転刃の刃部(突出部)の、図24のXXIX-XXIX線での断面図である。
図30】第4実施形態の回転刃の斜視図である。
図31】第4実施形態の回転刃の平面図(上面図)である。
図32】第4実施形態の回転刃の正面図である。
図33】第4実施形態の回転刃の右側面図である。
図34】第4実施形態の回転刃の、図31のXXXIV-XXXIV線での断面図である。
図35】第4実施形態の回転刃の、図31のXXXV-XXXV線での断面図である。
図36】第4実施形態の回転刃の刃部(突出部)の、図31のXXXVI-XXXVI線での断面図である。
図37】第5実施形態の草刈り刃装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態を図面を参照しながら説明する。図1図4に本実施形態の草刈り刃装置1を示す。草刈り刃装置1は、図8に例示する手持ち式(ハンディタイプ)の草刈り機100の一部を構成する。草刈り機100は、シャフト101と、シャフト101の先端に設けられる駆動軸102と、シャフト101の中間に設けられるハンドル103と、シャフト101の後端に設けられる駆動源104とを備える。草刈り刃装置1は、シャフト101先端の駆動軸102に取り付けられる。駆動軸102は、草刈り刃装置1の中心穴31c(図1図3参照)に嵌るように取り付けられる。駆動軸102は、自身の回転により、草刈り刃装置1をその中心線L0(図3参照)回りに回転させる。
【0010】
駆動源104は、駆動軸102を回転駆動させるエンジン、モータ等である。シャフト101はパイプ状であり、その内側に駆動源104からの駆動力を駆動軸102に伝達する伝達軸(図示外)が設けられる。ハンドル103は、シャフト101及びその先端の草刈り刃装置1の向きや位置を制御するために、草刈り機100のユーザに把持される部分である。草刈り刃装置1は、ハンドル103の操作により、草が生えた地面に沿って移動するように用いられる。
【0011】
草刈り刃装置1は、図1図4に示すように、上部盤2と、下部盤3と、ガイドピン4と、回転刃5と、ナット6とを備えている。上部盤2は例えばその全部が樹脂により形成されるが、一部又は全部が金属により形成されてもよい。上部盤2は、下部盤3の上方にて下部盤3に対向するように設けられる。また、図1の平面視で見て、上部盤2の中心Oは、下部盤3の中心に一致する。中心Oは図3の中心線L0上の点である。なお、以下では、下部盤3の中心も符号「O」で示す場合がある。
【0012】
上部盤2は、上面部21と側面部22とを有する。上面部21は、平面視で円形の板状に形成される。上面部21は、下部盤3との間に、回転刃5を配置するための空間を形成するよう、下部盤3との間で上下方向に間隔をあけて設けられる。上面部21の中心には貫通穴24(以下、中心穴という場合がある)が形成されている。この中心穴24に下部盤3の中央部31の上端部31bが嵌っている(図3参照)。上端部31bは上面部21の上面21aと面一となるように、中心穴24に嵌っている。また、上面部21(上部盤2)の直径は、下部盤3の直径(後述する仮想円200の直径)よりも小さい。なお、上部盤2の直径は、下部盤3の直径と同じ又は下部盤3の直径より大きくてもよい。
【0013】
また、上面部21の外周には複数の貫通穴25(以下、外周穴という場合がある)されている。本実施形態では、外周穴25は3つ形成されている。複数の外周穴25は、上面部21の周方向に沿って等間隔(つまり120°間隔)に形成されている。各外周穴25は、図4に示すように、上面部21の上面21a側に位置する大径穴25aと、上面部21の下面(裏面)側に位置する小径穴25bとを含む。これら大径穴25a、小径穴25bは同軸に形成される。小径穴25bは、大径穴25aよりも小径に形成される。外周穴25は、ガイドピン4を嵌めるための穴である。具体的に言えば、大径穴25aには、ガイドピン4の頭部41(図4参照)が嵌められる。頭部41は、上面部21の上面21aと面一となるように、外周穴25(大形穴25a)に嵌っている(図3参照)。小径穴25bには、ガイドピン4の中間部42(図4参照)が嵌められる。
【0014】
上面部21の上面21aは、中心穴24及び外周穴25を除いて、凹凸又は段差が無い面に形成される。詳しくは、上面21aは、中心穴24及び外周穴25を除いて、回転中心線L0に平行な段差面を有していない。また、上面21aは、上部盤2の径方向内側から外側に向かって、又は上部盤2の周方向に沿って、上方に変位し、その後、下方に変位する部分(凸部)、又は下方に変位し、その後、上方に変位する部分(凹部)を有しない。また、上面21aは、中心穴24及び外周穴25を除いて、上下方向における位置が異なる複数の水平面(回転中心線L0に直角な面)を有していない。
【0015】
より詳しくは、上面21aの、中心穴24及び外周穴25以外の部分は、上部盤2及び下部盤3の回転中心線L0(図3参照)に直角な平坦面(水平面)に形成される。すなわち、上面21aは、中心穴24及び外周穴25を除いて、回転中心線L0の方向である上下方向に凹凸や段差や傾斜を有しない。なお、上述のように、外周穴25にはガイドピン4が上面21aと面一となるように嵌り、中心穴24には下部盤3の中央部31が上面21aと面一となるように嵌る。さらに、中央部31に形成される中心穴31cには駆動軸102が嵌り、中心穴31cは駆動軸102により隠される。したがって、草刈り刃装置1が草刈り機100に取り付けられた状態では、上面21a(ガイドピン4の上面を含む)には、駆動軸102以外に凹凸又は段差が存在せず、言い換えれば、水平面に対して直角な段差面(回転中心線L0に平行な面)は存在しない。
【0016】
図1図4では、上面21a(ガイドピン4の上面を含む)の全体が、回転中心線L0に直角な平坦面に形成された例を示す。換言すれば、図1図4の例での上面21a(ガイドピン4の上面を含む)は、回転中心線L0回りの周方向に沿って上下方向位置が変化せず、かつ、径方向に沿って上下方向位置が変化しない面に形成される。ただし、これに限定されず、上面21aは、周方向及び径方向に沿って凹凸又は段差が無い面であれば、図1図4の例に限定されない。具体的にいえば、例えば、上面21a(ただし、中心穴24、外周穴25などの貫通穴は除く)の全体が、回転中心線L0回りの周方向に沿って上下方向位置が変化せず、かつ、径方向の内側から外側に向かうにしたがって徐々に下方に変位する(回転中心線L0に直角な水平面及び回転中心線L0に平行な段差面を含まない)下方傾斜面に形成されてもよい。この場合、下方傾斜面は、径方向に沿って直線を描く面でもよいし、曲線を描く面でもよい。また、下方傾斜面の傾斜角は、回転中心線L0回りの周方向に沿ったいずれの位置でも同じ角度としてよい。
【0017】
また、例えば、上面21a(ただし、中心穴24、外周穴25などの貫通穴は除く)の全体が、回転中心線L0回りの周方向に沿って上下方向位置が変化せず、かつ、径方向の内側から外側に向かうにしたがって徐々に上方に変位する(回転中心線L0に直角な水平面及び回転中心線L0に平行な段差面を含まない)上方傾斜面に形成されてもよい。この場合、上方傾斜面は、径方向に沿って直線を描く面でもよいし、曲線を描く面でもよい。また、上方傾斜面の傾斜角は、回転中心線L0回りの周方向に沿ったいずれの位置でも同じ角度としてよい。
【0018】
また、例えば、上面21a(ただし、中心穴24、外周穴25などの貫通穴は除く)は回転中心線L0回りの周方向に沿って上下方向位置が変化せず、かつ、上面21aの、径方向における一部区間が水平面に形成され、残部区間が下方傾斜面に形成されてよい。この場合、径方向の内側が水平面に形成され、外側が下方傾斜面に形成されてもよいし、反対に、径方向の内側が下方傾斜面に形成され、外側が水平面に形成されてもよい。また、この場合、上面21aは上方傾斜面を含まないとしてよい。
【0019】
また、例えば、上面21a(ただし、中心穴24、外周穴25などの貫通穴は除く)は回転中心線L0回りの周方向に沿って上下方向位置が変化せず、かつ、上面21aの、径方向における一部区間が水平面に形成され、残部区間が上方傾斜面に形成されてよい。この場合、径方向の内側が水平面に形成され、外側が上方傾斜面に形成されてもよいし、反対に、径方向の内側が上方傾斜面に形成され、外側が水平面に形成されてもよい。また、この場合、上面21aは下方傾斜面を含まないとしてよい。
【0020】
図7に示すように、上面部21は、その裏面側に、各外周穴25の周囲を囲む穴周辺部26を有する。穴周辺部26は、回転中心線L0に直角な平面に形成される。穴周辺部26は、回転刃5の上面中央部に接触して、回転刃5の上方への移動を規制する。
【0021】
さらに、図7に示すように、上面部21は、その裏面から下方に突出する複数のリブ27を有する。リブ27は、上面部21の径方向に延びるように設けられる。具体的には、リブ27は、各穴周辺部26と中心穴24との間を繋ぐように設けられる。リブ27は、各穴周辺部26毎に複数設けられる。リブ27の、上面部21の裏面からの突出方向先端(上下方向における下側の端部)は、穴周辺部26と同一面となる位置に設けられる。リブ27の基端(上下方向における上側の端部)は、穴周辺部26よりも上方に位置する。各リブ27の先端が回転刃5の上面に接触し、又は回転刃5の上面との間に若干の隙間をあけてその上面に対峙する。リブ27は、上部盤2の剛性を高くすることに加えて、回転刃5の上方への移動を規制する規制部としても機能する。
【0022】
側面部22は、上面部21の外周から、回転中心線L0に平行な方向における下方向(下部盤3に向かう方向)に延びるよう形成される。また、側面部22は、上面部21の外周に沿って円弧状に形成される。側面部22には、各回転刃5を外に出すための切り欠き23が形成されている(図4参照)。切り欠き23は、側面部22の外面と内面との間を貫通するよう形成される。また、切り欠き23は、下方が開いた形状に形成される。切り欠き23は、回転刃5の個数分(すなわち3つ)、形成される。3つの切り欠き23は、回転中心線L0回りの周方向における等間隔(つまり120°間隔)となる位置に形成される。
【0023】
上部盤2と下部盤3とが連結された状態では、側面部22の下端22a(図3図4参照)は、下部盤3の上面に接触する。具体的には、下端22aは、後述する下部盤3の本体部32の外周壁部32b(図3図4参照)の上端に接触する。すなわち、側面部22は、上面部21と下部盤3との間に形成される空間の外周(ただし回転刃5が設けられる位置(切り欠き23)は除く)を閉塞する閉塞部として機能する。
【0024】
上部盤2は、駆動軸102(図8参照)の駆動により、図1の平面視で見て、下部盤3及び各回転刃5と一体となって、中心O回りの反時計回りの方向E1に回転する。
【0025】
下部盤3は、例えばその全部が樹脂により形成されるが、一部又は全部が金属により形成されてもよい。下部盤3は、上部盤2の下方にて上部盤2に対向するように設けられる。また、下部盤3の直径(後述する仮想円200の直径)は、上部盤2の直径よりも大きい。
【0026】
下部盤3は、中央部31と本体部32と外周部33とを備える。中央部31は、下部盤3(本体部32)の中央の位置にて上方に突出するように設けられる。中央部31は、図3に示すように、回転中心線L0回りの全周を円状に囲む筒部31aと、筒部31aの上端から径方向内側に張り出して、回転中心線L0回りに環状(円状)に形成される上端部31bとを有する。筒部31aの下端は、筒部31aの内側の空間と導通する開口を形成する。
【0027】
図3に示すように、上端部31bは、上部盤2の中心穴24に嵌る。上端部31bの中央には、駆動軸102(図8参照)を取り付けるための穴31cが形成されている。なお、上端部31b及び穴31cは上部盤2の部位として形成されてもよい。
【0028】
下部盤3の本体部32は本体底部32aと外周壁部32bとを有する。本体底部32aは、中央部31の周囲全周を環状(円状)に囲むとともに、中央部31の下端から径方向外側に広がるように設けられる。本体底部32aは板状に形成される。本体底部32aの外周は、回転中心線L0を中心とした円を描く。図3に示すように、本体底部32aの下面(上部盤2に対向する側の反対側の面)は、回転中心線L0から離れるにしたがって徐々に上方に変位する傾斜状に形成されている。その傾斜面は、図3の断面で見て下部盤3の径方向に沿って直線を描く面でもよいし、曲線を描く面でもよい。また、傾斜面は回転中心線L0回りの全周に亘って形成されている。また、接地面に対する本体部32の下面の傾斜角は例えば30°以下である。また、その傾斜角は、回転中心線L0回りの周方向に沿ったいずれの位置でも同じ角度である。
【0029】
本体部32の外周壁部32b(図3図4参照)は、本体底部32aの外周から上方に突出する形状に形成される。また、外周壁部32bは、本体底部32aの外周に沿って回転中心線L0を中心とした円(環状)を描くように形成され、換言すれば、回転中心L0回りの全周に亘って形成されている。上述のように、外周壁部32bの上端と、上部盤2の側面部22の下端22aとが接触している。外周壁部32bは、上部盤2の側面部22とともに、上部盤2と下部盤3との間に形成される空間の外周を閉塞する閉塞部として機能する。
【0030】
図4に示すように、本体底部32aには、本体底部32aの上面と下面との間を貫通する穴37(以下、外周穴という場合がある)が形成されている。外周穴37は、回転刃5の個数分(つまり3つ)形成されている。複数の外周穴37は、本体底部32aの外周側(外周壁部32bに近い位置)において、回転中心線L0回りの周方向に等間隔(本実施形態では120°間隔)に形成されている。また、各外周穴37は、上部盤2の外周穴25と同軸となる位置に形成される。外周穴37は、ガイドピン4を嵌めるための穴である。具体的には、外周穴37には、ガイドピン4の先端側部43(図4参照)とそれに嵌合するナット6とが嵌められる(図3参照)。
【0031】
図4に示すように、本体底部32aは、その上面側に、各外周穴37の周囲を囲む穴周辺部38を有する。穴周辺部38は、回転中心線L0に直角な平面に形成される。穴周辺部38は、回転刃5の下面中央部に接触して、回転刃5の下方への移動を規制する規制部である。また、穴周辺部38は、回転刃5を載せる載置面として機能する。
【0032】
さらに、図4に示すように、本体底部32aは、その上面から上方に突出する複数のリブ39を有する。リブ39は、本体底部32aの径方向に延びるように設けられる。具体的には、リブ39は、各穴周辺部38と中央部31との間を繋ぐように設けられる。リブ39は、各穴周辺部38毎に複数設けられる。リブ39の先端(上下方向における上側の端部)は、穴周辺部38と同一面となる位置に設けられる。リブ39の基端(上下方向における下側の端部)は、穴周辺部38よりも下方に位置する。各リブ39の先端(上端)が回転刃5の下面に接触し、又は回転刃5の下面との間に若干の隙間をあけてその下面に対峙する。リブ39は、下部盤3の剛性を高くすることに加えて、回転刃5の下方への移動を規制する規制部としても機能する。
【0033】
下部盤3の外周部33は、本体部32(本体底部32a)の外周からさらに径方向外側に張り出すように形成される。また、外周部33は、中心O回り又は回転中心線L0回りの全周に亘って、上部盤2よりも外側に出ている。外周部33は、本体部32の外周壁部32bの下端に接続されている。外周部33は、回転刃5の刃部56(図1参照)に小石等の障害物が当たるのを抑制するとともに、草を刃部56に誘導するための部分である。外周部33は、本体部32の外周(外周壁部32b)に沿って環状に形成される。また、外周部33は、回転中心線L0回りに周方向における全周に亘って形成される。また、外周部33は板状に形成される。さらに、外周部33の上面及び下面は、回転中心線L0から離れるにしたがって徐々に上方に変位する傾斜状に形成されている。その傾斜面は、図3の断面で見て下部盤3の径方向に沿って直線を描く面でもよいし、曲線を描く面でもよい。また、接地面に対する外周部33の下面の傾斜角は、本体底部32aのその傾斜角と異なっていてもよいし、同じでもよい。外周部33の傾斜角は本体底部32aの傾斜角より大きい角度でもよい。外周部33の傾斜角は例えば45°以下である。また、その傾斜角は、回転中心線L0回りの周方向に沿ったいずれの位置でも同じ角度である。本実施形態(図3の例)では、外周部33の下面の傾斜角は、本体底部32aのその傾斜角よりも大きい例を示している。
【0034】
図1に示すように、外周部33の外周縁部は、下部盤3の中心O(回転中心線L0)回りの周方向に沿って円弧状に形成される円弧部34と、下部盤3の回転により円弧部34が描く軌跡である仮想円200に対して切り欠いた形状の切り欠き部35とを含む。切り欠き部35は、中心O(回転中心線L0)回りの周方向における回転刃5の周辺位置に形成される。円弧部34は、周方向における、一の回転刃5とその隣りの回転刃5との間の位置に形成される。切り欠き部35は、回転刃5の個数分(本実施形態では3箇所)に形成されている。複数(3つ)の切り欠き部35は、下部盤3の中心O回りの周方向に等間隔(本実施形態では120°間隔)となる位置に形成される。円弧部34は、切り欠き部35と同じ個数(本実施形態では3箇所)に形成されている。複数(3つ)の円弧部34は、下部盤3の周方向に等間隔(本実施形態では120°間隔)となる位置に形成される。各切り欠き部35は、複数の円弧部34の間の位置に形成される。各円弧部34は、複数の切り欠き部35の間の位置に形成される。
【0035】
以下では、3つの回転刃5を、図1のように、符号「5A」、「5B」、「5C」で区別する場合がある。また、3つの切り欠き部35を、図1のように、符号「35A」、「35B」、「35C」で区別する場合がある。また、切り欠き部35の、回転方向E1側に位置する端部35cを前端とし、回転方向E1の逆側に位置する端部35dを後端とする。第1の切り欠き部35Aは、第1の回転刃5Aの周辺位置に形成される。第2の切り欠き部35Bは、第2の回転刃5Bの周辺位置に形成される。第3の切り欠き部35Cは、第3の回転刃5Cの周辺位置に形成される。
【0036】
第1の切り欠き部35Aの前端35cは、例えば回転方向E1の前側に位置する第2の切り欠き部35Bの後端35d及び第2の回転刃5Bよりも、第1の回転刃5Aに近い位置に形成されてよい。また、第1の切り欠き部35Aの前端35cは、第1の切り欠き部35Aの後端35dよりも、第1の回転刃5Aから遠い位置に形成されてよい。言い換えれば、第1の切り欠き部35Aの前端35cと、第1の回転刃5Aが装着されるガイドピン4の中心との距離は、第1の切り欠き部35Aの後端35dとそのガイドピン4の中心との距離よりも大きいとしてよい。さらには、図1の平面視で見て、例えば、第1の切り欠き部35Aの前端35cと下部盤3の中心Oとを結ぶ仮想直線(図示外)は、第1の回転刃5Aに交差しないとしてよい。また例えば、第1の切り欠き部35Aの後端35dと下部盤3の中心Oとを結ぶ仮想直線(図示外)は、第1の回転刃5Aに交差するとしてよい。
【0037】
さらに詳しくは、第1の切り欠き部35Aは、第1の回転刃5Aの外周に位置する刃部56を下部盤3の外側に出すように形成される。第1の切り欠き部35Aは、図1の平面視で見て、下部盤3の回転方向E1における第1の回転刃5Aより前側の位置から、その回転刃5Aの、ガイドピン4よりも径方向外側に位置する刃部56に向けて、回転方向E1の逆方向E2に延びるように形成される。より具体的には、切り欠き部35Aは、前端35cからの一部を構成する第1部分35aと、第1部分35aから仮想円200に近づく側に方向転換して、図5の平面視で見て回転刃5Aの刃部56に重なりつつ(交差しつつ)後端35dまで延びる第2部分35bとを含む。なお、後端35dは、回転刃5Aよりも、回転方向E1の後側(逆側)に位置する。
【0038】
第1部分35aは、回転刃5Aよりも回転方向E1の前側に位置する。第1部分35aは、回転方向E1の逆方向E2に向かうにしたがって徐々に仮想円200から離れるように形成される。また、中心O回りの周方向に沿った第1部分35aの範囲は、第2部分35bのその範囲よりも小さい。ここで、前端35cと下部盤3の中心Oとを結ぶ仮想直線(図示外)を第1仮想直線とする。また、前端35cと、回転刃5Aが装着されるガイドピン4の中心44(図5参照)(言い換えれば、そのガイドピン4が嵌められる外周穴37の中心)とを結ぶ仮想直線(図示外)を第2仮想直線とする。第1部分35aと仮想円200との成す角度θ(図5参照)は、上記第1仮想直線と仮想円200との成す角度よりも小さいとしてよい。また、角度θは、上記第2仮想直線と仮想円200との成す角度よりも小さいとしてよい。
【0039】
第2部分35bは、図5に示すように、回転刃5Aよりも前側の位置35e(第1部分35aと第2部分35bとの境界部)から、回転方向E1の逆方向E2に向かうにしたがって徐々に仮想円200に近づくように形成される。具体的には、第2部分35bは徐々に外側に膨らむ円弧状に形成される。第2部分35bの円弧に対応する円の中心(図示外)は、仮想円200の中心側(仮想円200の内側)に設定される。
【0040】
また、切り欠き部35A(第1部分35a及び第2部部分35b)は、図5の平面視で見て、後述する回転刃5Aの内側部51に重ならない(交差しない)ように形成されてよい。言い換えれば、第2部分35bは、回転刃5Aの内側部51には重ならず、回転刃5Aの、刃部56が形成される外周部52のみに重なるように形成されてよい。なお、後述するように、回転刃5の、ガイドピン4が挿入される中心穴53(図5図6参照)は、ガイドピン4の直径よりも大径に形成される。図5は、回転刃5Aが最も外側に出た状態を示している。切り欠き部35Aは、回転刃5Aが最外位置にあるときにおいても、回転刃5Aの外周部52のみに重なるように形成されてよい。また、図6は、回転刃5Aが最も内側に引っ込んだ状態を示している。切り欠き部35Aは、回転刃5Aが最内位置にあるときにおいても、回転刃5Aの外周部52のみに重なるように形成されてよい。
【0041】
第2の切り欠き部35B及び第3の切り欠き部35Cは、第1の切り欠き部35Aと同じ形状に形成される。また、3つの円弧部34は、互いに同一形状(同一曲率かつ同一円弧長)に形成される。さらに、一の切り欠き部35の、中心O回りの周方向における範囲(言い換えれば、切り欠き部35の前端35cと後端35dとで切られる仮想円200の円弧長)は、一の円弧部34の円弧長(中心O回りの周方向における範囲)と同じである。なお、切り欠き部35の周方向における範囲は、下部盤3の回転速度、直径等の条件に応じて、円弧部34の周方向における範囲より小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0042】
以上のように、下部盤3の、回転刃5の周辺部分(すなわち切り欠き部35)における径は、下部盤3の、一の回転刃5と隣りの回転刃5との間の部分(すなわち円弧部34)における径よりも小さい。逆にいえば、下部盤3の、一の回転刃5と隣りの回転刃5との間の部分における径は、回転刃5の周辺部分における径よりも大きい。切り欠き部35は、中心Oとの距離が円弧部34のそれよりも小さい小径部である。円弧部34は、中心Oとの距離が切り欠き部35のそれよりも大きい大径部である。このように、下部盤3は、中心O回りの周方向に沿って、小径部35と大径部34とを含む。そして、小径部35は、平面視で見て、逆方向E2における回転刃5の手前から回転刃5の刃部56に重なる(交差する)ように形成される。大径部34は、平面視で見て、刃部56に重ならないように形成される。
【0043】
ガイドピン4は、上部盤2及び下部盤3の中心Oから偏心した位置において、上部盤2と下部盤3とを連結させるとともに、回転刃5の軸となるピンである。ガイドピン4の軸線は上部盤2及び下部盤3の回転中心線L0に平行である。ガイドピン4は、回転刃5の個数分(本実施形態では3つ)設けられる。ガイドピン4は、上部盤2の外周穴25及び下部盤3の外周穴37に挿入されている(図3参照)。ガイドピン4は、上部盤2側から外周穴25、37に挿入される。
【0044】
ガイドピン4は、図4に示すように、頭部41と中間部42と先端側部43とを有する。これら部分41~43は同軸に形成される。頭部41は、中間部42及び先端側部43より大径に形成される。頭部41は、上部盤2の外周穴25の大径穴25a(図4参照)に嵌る。中間部42は、頭部41より小径、かつ、先端側部43より大径に形成される。中間部42は、上部盤2の外周穴25の小径穴25b(図4参照)に嵌るとともに、回転刃5の中心穴53に挿入される(図3参照)。中間部42の径は中心穴53の径よりも小さい。先端側部43は、頭部41及び中間部42よりも小径に形成される。先端側部43は、下部盤3の外周穴37に嵌る。また、先端側部43は外周にネジ溝が形成された雄ネジ部として構成される。先端側部43は、下部盤3の外周穴37内でナット6と嵌合している(図3参照)。上部盤2及び下部盤3は、ガイドピン4及びナット6との締結により、一体の回転盤を構成している。なお、上部盤2及び下部盤3は、ガイドピン4とナット6との締結を解除することで、互いに分離可能である。
【0045】
回転刃5は草刈り機用の刃(草刈り刃)を構成する。回転刃5は、上部盤2及び下部盤3の周方向に等間隔に複数設けられる。本実施形態では回転刃5は3つ設けられる。複数の回転刃5は互いに同一形状である。回転刃5は例えばその全部が樹脂により形成される。なお、回転刃5の刃部56は樹脂により形成され、それ以外の部分は金属により形成されてもよい。または、回転刃5はその全部が金属により形成されてもよい。
【0046】
回転刃5は、上部盤2と下部盤3の間に挟まれるとともに、ガイドピン4を軸として回転自在に設けられる。すなわち、回転刃5は、上部盤2及び下部盤3の回転とは独立にガイドピン4回りに回転可能に設けられる。
【0047】
詳しくは、回転刃5は、上部盤2及び下部盤3より小径の円盤状に形成される。回転刃5は、図9図12に示すように、円盤状の内側部51と、内側部51の外周に沿って設けられる外周部52とを含む。内側部51の中央には、内側部51の中心線L1の方向に貫通する取付穴としての貫通穴53(以下、中心穴という場合がある)が形成されている。中心穴53は、図10の平面視で円形に形成される。中心穴53の径は、ガイドピン4の中間部42の径よりも大きい。したがって、回転刃5は、中心穴53の径と中間部42の径との差分だけ、回転刃5の中心線L1(換言すればガイドピン4の軸線)に直角な方向に移動可能に設けられる。
【0048】
内側部51は、図13に示すように、中心穴53の周囲を囲む穴周辺部51aと、穴周辺部51aと外周部52の間に位置する中間部51bとを有する。穴周辺部51aは、中心線L1に直角な平面に形成される。穴周辺部51aに、上部盤2の穴周辺部26(図7参照)又は下部盤3の穴周辺部38(図4参照)が接触する。中間部51bは、図13に示すように、穴周辺部26から径方向外側に向かうにしたがって徐々に内側部51の中心線L1方向の幅が小さくなるように、中心線L1に直角な仮想水平面に対して傾斜した傾斜面を含む。その傾斜面51bは、中心線L1回りの全周に亘って形成されている。また、傾斜面51bの、仮想水平面に対する傾斜角は、中心線L1回りの周方向におけるいずれの位置においても同じ角度である。なお、図10には、内側部51と外周部52との境界位置を破線150で示している。破線150は、回転刃5の刃部56を構成する面のうちの、最も中心P側の点56aを通る円である。中間部51bは、外周部52との境界位置150まで傾斜面に形成されてもよいし、境界位置150の手前の位置まで傾斜面に形成され、それより外側は、中心線L1に直角な平面に形成されてもよい。
【0049】
外周部52は周方向に沿って刃部56を有する。刃部56は、回転刃5の中心P(図10参照)回りの周方向に等間隔に複数の突出部54を有する。なお、中心Pは回転刃5の中心線L1上に位置する。本実施形態では、突出部54は20個形成されている。また、刃部56は、言い換えれば、中心P回りの周方向に等間隔に複数の切れ込み部55を有する。各切れ込み部55は、一の突出部54とその隣りの突出部54との間に形成される。複数の突出部54は互いに同一形状に形成されている。また、複数の切れ込み部55は互いに同一の形状に形成されている。
【0050】
詳しくは、突出部54は、回転刃5(内側部51)の径方向外側に突出し、言い換えれば、回転刃5の中心線L1に直角な方向に突出する。突出部54の突出方向に延びた中心線L2(図10参照)は、回転刃5の中心P(中心線L1)に交差する。図10に示すように、突出部54は、中心P回りの周方向における第1方向F1を向いた第1側面刃57と、周方向における第1方向F1の反対方向F2を向いた第2側面刃58とを有する。これら側面刃57、58は中心線L2を境にして互いに反対方向を向いている。また、側面刃57、58は、中心線L2に関して対称な形状に形成されている。
【0051】
図14に示すように、第1側面刃57は、第1方向F1に向かうにしたがって徐々に上下方向幅が小さくなる先細り形状に形成されている。具体的には、第1側面刃57は、第1傾斜面57aと第2傾斜面57bとを含む。これら傾斜面57a、57bは、回転刃5の中心線L1に直角な仮想水平面に対して傾斜状に形成されている。第1傾斜面57aは、上方に面しているとともに、第1方向F1に向かうにしたがって徐々に下方に変位する。第2傾斜面57bは、下方に面しているとともに、第1方向F1に向かうにしたがって徐々に上方に変位する。第1傾斜面57aと第2傾斜面57bは、第1方向F1側の先端57cで互いに繋がる。この先端57cは、突出部54の上下方向幅の中間に位置する。また、先端57cは鋭利形状に形成されている。すなわち、先端57cでの、第1傾斜面57aと第2傾斜面57bとの角度は鋭角(90°より小さい角度)に設定されている。
【0052】
第2側面刃58は、突出部54の中心線L2に関して、第1側面刃57と対称な形状の、第1傾斜面58aと第2傾斜面58bと先端58cとを有する。
【0053】
また、第1側面刃57の第1傾斜面57aと、第2側面刃58の第1傾斜面58aとは直接に(つまり、回転刃5の中心線L1に直角な平面を介さずに)繋がっている。第1傾斜面57aと第1傾斜面58aとの接続部59は、図10の平面視で見て、径方向に延びた直線を描く。
【0054】
第1側面刃57の第2傾斜面57bと、第2側面刃58の第2傾斜面58bとは直接に(つまり、回転刃5の中心線L1に直角な平面を介さずに)繋がっている。第2傾斜面57bと第2傾斜面58bとの接続部60は、平面視で見て、径方向に延びた直線を描く。
【0055】
このように、本実施形態では、背中合わせに形成される第1側面刃57と第2側面刃58とは各先細り方向の逆側の縁部に共通の縁部59、60を有しており、この縁部59、60が回転刃5の径方向に沿って直線を描く。
【0056】
図14に示すように、突出部54の、中心線L2に直角な断面はひし形状(略ひし形)である。また、突出部54は、突出方向(中心線L2方向)の先端に面61を有する(図9図11参照)。先端面61は、非鋭利な形状に形成されており、具体的には、図14の断面と同様にひし形状に形成されている。先端面61は、中心線L2に直角な平面に形成されてもよいし、回転刃5の周方向等に沿った曲面に形成されてもよい。
【0057】
また、突出部54は柱状に形成されている。なお、柱状とは、断面の縦横比が0.3~3.0の形状をいう。したがって、突出部54の、図14の断面における縦幅G1と横幅G2との比は0.3~3.0である。
【0058】
切れ込み部55は、図10の平面視で見て、中心P側に向かってU字状に凹むように形成されている。切れ込み部55はその中心線L3に関して対称な形状に形成されている。なお、中心線L3は、回転刃5(内側部51)の径方向に延びるとともに、回転刃5の中心Pに交差する線である。
【0059】
詳しくは、切れ込み部55は、一の突出部54の第1側面刃57と、その隣りの突出部54の第2側面刃58と、底刃62とを有する。底刃62は、一の突出部54の第1側面刃57と隣りの突出部54の第2側面刃58との間で円弧状に形成されている。底刃62は、図11図13に示すように、第1傾斜面62aと第2傾斜面62bとを含む。これら傾斜面62a、62bは、回転刃5の中心線L1に直角な仮想水平面に対して傾斜状に形成されている。第1傾斜面62aは、上方に面しているとともに、回転刃5の径方向外側に向かうにしたがって、又は、切れ込み部55の中心線L3の方に近づくにしたがって徐々に下方に変位する。第2傾斜面62bは、下方に面しているとともに、回転刃5の径方向外側に向かうにしたがって、又は、切れ込み部55の中心線L3の方に近づくにしたがって徐々に上方に変位する。第1傾斜面62aと第2傾斜面62bは、回転刃5の径方向外側の位置又は中心線L3の方に接近した位置で互いに繋がる。その繋がる部分である先端62c(図11図13参照)は、回転刃5(内側部51)の上下方向幅の中間に位置する。また、先端62cは鋭利な形状に形成されている。すなわち、先端62cでの、第1傾斜面62aと第2傾斜面62bとの角度は鋭角(90°より小さい角度)に設定されている。
【0060】
また、底刃62の第1傾斜面62aは、切れ込み部55を間に挟んで対向する突出部54の第1傾斜面57a、58aに連続している。すなわち、突出部54の第1傾斜面57a、58aと底刃62の第1傾斜面62aとで、平面視で見てU字状にカーブする連続面を形成している。
【0061】
同様に、底刃62の第2傾斜面62bは、切れ込み部55を間に挟んで対向する突出部54の第2傾斜面57b、58bに連続している。すなわち、突出部54の第2傾斜面57b、58bと底刃62の第2傾斜面62bとで、平面視で見てU字状にカーブする連続面を形成している。
【0062】
また、底刃62の先端62cは、切れ込み部55を間に挟んで対向する側面刃57、58の先端57c、58cに連続している。すなわち、側面刃57、58の先端57c、58cと底刃62の先端62cとで、平面視で見てU字状にカーブする連続した鋭利部を形成している。
【0063】
回転刃5は上下対称形に形成されている。すなわち、回転刃5の底面図は、図10の平面図(上面図)と対称形に示される。また、回転刃5は、中心P回りに18°回転対称(20回回転対称)となる形状に形成されている。回転刃5の背面図は、図11の正面図と対称形に示される。回転刃5の左側面図は、図12の右側面図と対称形に示される。
【0064】
回転刃5は、上下盤2及び下部盤3に対して着脱可能である。すなわち、回転刃5は、ガイドピン4とナット6との締結を解除して上部盤2と下部盤3とを分離させることで、上部盤2及び下部盤3から取り外すことができる。また、上部盤2と下部盤3とを分離させて、回転刃5を上下反転させた後、再度、上部盤2及び下部盤3に装着させることもできる。さらに、新しい回転刃5に付け替えることも可能である。
【0065】
回転刃5は、図5の最外位置にあるときに、刃部56が、下部盤3の切り欠き部35(第2部分35b)より外側に出るように設けられる。また、図5の最外位置にあるときに、刃部56は、仮想円200から僅かに(例えば刃部56の、回転刃5の径方向における幅Dと同じ量又は幅Dよりも小さい量)外側に出てよい。この場合、仮想円200は、平面視で見て回転刃5の刃部56のみに重なる(交差する)。なお、図5の最外位置は、上部盤2及び下部盤3の回転中、かつ刃部56に草等の物体が接触していないときの回転刃5の位置に相当する。また、図5の最外位置にあるときに、刃部56が形成される外周部52のみが切り欠き部35より外側に出て、内側部51は切り欠き部35より内側に位置してよい。また、図6の最内位置にあるときには、刃部56は仮想円200よりも内側に位置し、切り欠き部35(第2部分35b)よりも外側に位置してよい。
【0066】
以下、本実施形態の作用効果を説明する。回転刃5は、上部盤2及び下部盤3の回転に伴い、上部盤2及び下部盤3の回転中心線L0回りに回動する。このとき、回転刃5は、遠心力により、図5に示す最外位置にロックされた状態で回動する。また、回転刃5は、回動中に、木、壁、フェンス等の硬い物(障害物)に当たった場合には、図5の最外位置よりも内側の位置(例えば図6の最内位置)に変位し得る。また、回転刃5は、回動中に、木、壁、フェンス等の硬い物(障害物)に当たった場合には、ガイドピン4回りの、上部盤2及び下部盤3の回転方向E1の逆方向E2に変位し得る。これにより、障害物による刃部56への衝撃を小さくでき、刃部56の破損又は障害物の破損を抑制できる。
【0067】
また、下部盤3は、その本体部32(上部盤2の直径に相当する部分)からさらに径方向外側に出る外周部33を有するので、その外周部33で石を外側に押し出すことができる。詳しくは、下部盤3(外周部33)の外周の、複数の回転刃5間の位置には、大径の円弧部34が設けられるので、この円弧部34で小石等を、回転刃5の回動軌跡よりも外側に排除できる。これにより、小石等が刃部56に当たってしまうのを抑制でき、刃部56が破損したり、小石等が周囲に飛び散ったりするのを抑制できる。また、円弧部34は、刃部56が仮想円200から僅かに出るように(回転刃5が最外位置のとき)、又は刃部56が仮想円の内側に引っ込むように(回転刃5が最内位置のとき)大きい径に定められるので、小石等をより効果的に排除できる。
【0068】
また、回転刃5が図5の最外位置にあるときには、刃部56は仮想円200から僅かに(具体的には例えば刃部56の突出幅D以下の量)出るだけなので、小石等が仮に回転刃5の方に来たとしても、刃部56への小石等の接触を抑制できる。また、回転刃5が図6の最内位置にあるときには、刃部56は仮想円200の内側に引っ込むので、仮に刃部56に障害物が接触したとしても、その接触をすぐに解消できる。
【0069】
また、下部盤3(外周部33)の外周の、回転刃5周辺に切り欠き部35が設けられるので、下部盤3の外側に回転刃5の刃部56を出しつつ、下部盤3の径(換言すれば円弧部34と下部盤3の回転中心との距離)を大きくできる。下部盤3(円弧部34)の径を大きくできることで、石等の障害物を円弧部34で外側に押し出すことができ、石等が刃部56に当たってしまうのを抑制できる。また、切り欠き部35により、草を効率的に刃部56に誘導できる。すなわち、草(特に木質化した堅い草)は、円弧部34に接触したときに下部盤3の径方向外側に撓むが、切り欠き部35の位置でその円弧部34との接触が解消されると、その撓みの反動で、切り欠き部35の方に変位する。これにより、切り欠き部35に沿って草を刃部56まで誘導でき、草を効率的に刈ることができる。
【0070】
また、切り欠き部35の第2部分35bは、第1部分35aから仮想円200に近づく側に方向転換するように形成され、なおかつ仮想円200に徐々に近づく円弧状に形成されるので、切り欠き部35で石を引っ掛けて石跳ねをしてしまうのを抑制できる。
【0071】
また、上部盤2と下部盤3の間の空間は、上部盤2の側面22で閉塞されているので、その空間に草等が入ってしまうのを抑制できる。
【0072】
下部盤3の本体底部32a及び外周部33の下面は、内側から外側に向かうにしたがって上方に変位する傾斜状に形成されるので(図3参照)、下部盤3と地面との接触面積を小さくできる。これにより、草刈り刃装置1を地面に沿って移動させやすくできる。なお、下部盤3の下面は、径方向の内側から外側に向かって直線状に上方に変位してもよいし、曲線状に上方に変位してもよい。また、下部盤3の下面は、図3の例のように、径方向の内側から外側に向かって直線状に上方に変位し、途中から、それまでの傾斜角とは異なる傾斜角で直線状に上方に変位してもよい。すなわち下部盤3の下面の傾斜角が段階的に変化してもよい。
【0073】
上部盤2の上面21aは凹凸又は段差が無い面(例えば回転中心線L0に直角な平坦面)に形成されるので、草が上面21aに絡んでしまうのを抑制できる。
【0074】
また、回転刃56の刃部56(突出部54)の個数が20個と多数であるので、刃部56の摩耗の分散性が上がり、刃部56の耐久性を向上できる。
【0075】
また、回転刃5は上下対称形なので、上部盤2及び下部盤3の回転方向E1側の第1側面刃57が仮に摩耗した場合には、回転刃5を上下反転させて付け替えることで、摩耗していない第2側面刃58を回転方向E1側に向けることができ、主に第2側面刃58を用いて草を刈ることができる。
【0076】
また、刃部56の突出方向の先端61(図9図11参照)は面(非鋭利な形状)に形成されるので、堅い草や木の幹等に先端61が当たった際の刃部56に作用する圧力を小さくでき、ひいては側面刃57、58が削れてしまうのを抑制できる。これにより、刃部56の耐久性を向上できる。
【0077】
また、図14に示すように、刃部56の第1側面刃57の傾斜面57a、57bと、第1側面刃57に背中合わせの第2側面刃58の傾斜面58a、58とは直接に接続されており、換言すれば、第1側面刃57と第2側面刃58とは共通の縁部59、60を有するので、突出部54の、回転刃5の周方向に沿った幅を小さくできる。これにより、切れ込み部55の幅が小さくなるのを抑制しつつ、突出部54の数を増やすことができる。突出部54の数が多いと、突出部54の各刃57、58の耐久性を向上できる。
【0078】
また、刃部56は、側面刃57、58に加えて、底刃62を含むので、草の切断力をより一層高くできる。
【0079】
また、回転刃5の内側部51は若干の傾斜状に形成されるので(図13参照)、刃部56が上部盤2及び下部盤3に接触してしまうのを抑制できる。また例えば、障害物が回転刃5に当たったときに、回転刃5への衝撃を小さくするように回転刃5をガイドピン4回りに回転させやすくできる。
【0080】
また、回転刃5の刃部(突出部54)は柱状に形成されているので、板状に形成される場合に比べて剛性及び耐久性を高くできる。
【0081】
(第2実施形態)
次に本開示の第2実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態の草刈り刃装置は、第1実施形態の回転刃5に代えて、図16図22に示す回転刃7を備える点で第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態の草刈り刃装置1と同じである。回転刃7は、刃部を構成する突出部71の個数及び形状が、第1実施形態の突出部54の個数及び形状と異なっており、それ以外は、第1実施形態の回転刃5と同じである。また、回転刃7は上下対称形かつ回転対称形(12回回転対称形、30°回転対称形)に形成されている。
【0082】
突出部71は、回転刃7の径方向外側(中心線L4(図16参照)に直角な方向)に突出するとともに、回転刃7の外周において、回転刃7の中心線L4回りの周方向に等間隔に複数形成されている。本実施形態では突出部71は12個形成されている。複数の突出部71は互いに同一の形状に形成されている。突出部71は、回転刃7の中心線L4回りの周方向における第1方向F3(図17図20参照)を向いた第1側面刃72と、第1方向F3の反対方向F4を向いた第2側面刃73とを有する。
【0083】
第1側面刃72は、第1実施形態の第1側面刃57と同様に形成されている。具体的に言えば、第1側面刃72は、図20に示すように、第1傾斜面72aと第2傾斜面72bとを含み、第1方向F3に向かうにしたがって傾斜面72a、72b間の幅が徐々に小さくなる先細り形状に形成されている。
【0084】
第2側面刃73は、第1実施形態の第2側面刃58と同様に形成されている。具体的に言えば、第2側面刃73は、図20に示すように、第1傾斜面73aと第2傾斜面73bとを含み、第2方向F4に向かうにしたがって傾斜面73a、73b間の幅が徐々に小さくなる先細り形状に形成されている。
【0085】
図20に示すように、第1側面刃72と第2側面刃73の間には、回転刃7の周方向に延在する面74、75が介在している。すなわち、第1側面刃72の第1傾斜面72aと、第2側面刃73の第1傾斜面73aとの間には面74が介在している。第1側面刃72の第2傾斜面72bと、第2側面刃73の第2傾斜面73bとの間には面75が介在している。これら面74、75は、回転刃7の中心線L4に直角な平面としてよい。一方の面74は回転刃7の上方を向いている。他方の面75は回転刃7の下方を向いている。また、第1側面刃72の上側の縁部72c(図17図20参照)と、第2側面刃73の上側の縁部73c(図17図20参照)とが、回転刃7の径方向に沿って互いに平行に延びている。同様に、第1側面刃72の下側の縁部72d(図20参照)と、第2側面刃73の下側の縁部73d(図20参照)とが、回転刃7の径方向に沿って互いに平行に延びている。また、突出部71の、回転刃7の径方向に直角な断面は六角形状(略六角形)である(図20参照)。このように、本実施形態では、背中合わせに位置する第1側面刃72と第2側面刃73との間で共通の縁部は存在しない。
【0086】
また、図16図18に示すように、突出部71の突出方向における先端に面76を有する。先端面76は、非鋭利な形状に形成されており、具体的には、図20の断面と同様に六角形状(略六角形)に形成されている。先端面76は、突出部71の中心線に直角な平面に形成されてもよいし、回転刃7の周方向等に沿った曲面に形成されてもよい。
【0087】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果と同様の効果を奏する。加えて、第1側面刃72と第2側面刃73の間に面74、75が介在しているので、突出部71(刃部)の剛性を高くでき、突出部71の耐久性を高くできる。
【0088】
なお、回転刃7の底面図は、図17の平面図(上面図)と対称形に示される。回転刃7の背面図は、図18の正面図と対称形に示される。回転刃7の左側面図は、図19の右側面図と対称形に示される。
【0089】
(第3実施形態)
次に本開示の第3実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態の草刈り刃装置は、第1実施形態の回転刃5に代えて、図23図29に示す回転刃8を備える点で第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態の草刈り刃装置1と同じである。回転刃8は、刃部を構成する突出部81の形状が、第1実施形態の突出部54の形状と異なっており、それ以外は、第1実施形態の回転刃5と同じである。また、回転刃8は上下対称形かつ回転対称形(20回回転対称形、18°回転対称形)に形成されている。
【0090】
突出部81は、回転刃8の径方向外側(中心線L5(図23参照)に直角な方向)に突出するとともに、回転刃8の外周において、回転刃8の中心線L5回りの周方向に等間隔に複数形成されている。本実施形態では突出部81は20個形成されている。複数の突出部81は互いに同一の形状に形成されている。突出部81は、回転刃8の中心線L5回りの周方向における第1方向F5(図24図29参照)を向いた第1側面刃82と、第1方向F5の反対方向F6(図24図29参照)を向いた第2側面刃83とを有する。
【0091】
第1側面刃82は、第1実施形態の第1側面刃57と同様に形成されている。具体的に言えば、第1側面刃82は、図29に示すように、第1傾斜面82aと第2傾斜面82bとを含み、第1方向F5に向かうにしたがって傾斜面82a、82b間の幅が徐々に小さくなる先細り形状に形成されている。
【0092】
第2側面刃83は、第1実施形態の第2側面刃58と同様に形成されている。具体的に言えば、第2側面刃83は、図29に示すように、第1傾斜面83aと第2傾斜面83bとを含み、第2方向F6に向かうにしたがって傾斜面83a、83b間の幅が徐々に小さくなる先細り形状に形成されている。
【0093】
突出部81はその突出方向における先端に先端刃84を有する(図23図24図27参照)。つまり、突出部81の先端は鋭利な形状に形成されている。図27に示すように、先端刃84は、突出部8の突出方向(回転刃8の径方向外側)に向かうにしたがって徐々に上下方向幅が小さくなる先細り形状に形成されている。具体的には、先端刃84は、第1傾斜面84aと第2傾斜面84bとを含む。これら傾斜面84a、84bは、回転刃8の中心線L5に直角な仮想水平面に対して傾斜状に形成されている。第1傾斜面84aは、上方に面しているとともに、突出部84の突出方向に向かうにしたがって徐々に下方に変位する。第2傾斜面84bは、下方に面しているとともに、突出部84の突出方向に向かうにしたがって徐々に上方に変位する。第1傾斜面84aと第2傾斜面84bは、突出部84の突出方向の先端84cで互いに繋がる。この先端84cは、突出部81の上下方向幅の中間に位置する。また、先端84cは鋭利形状に形成されている。すなわち、先端84cでの、第1傾斜面84aと第2傾斜面84bとの角度は鋭角(90°より小さい角度)に設定されている。また、先端84cは、回転刃8の周方向に沿って直線又は曲線を描く(図25も参照)。
【0094】
第1傾斜面84a及び第2傾斜面84bは、図24の平面視、及び図25の正面視で見て、略三角形状(3つの辺を有する形状)に形成されている。第1傾斜面84aの第1の辺は上述の先端84cを構成する。第1傾斜面84aの第2の辺は、第1側面刃82の第1傾斜面82a(図29参照)の縁部を構成する。第1傾斜面84aの第3の辺は、第2側面刃83の第1傾斜面83a(図29参照)の縁部を構成する。
【0095】
第2傾斜面84bの第1の辺は上述の先端84cを構成する。第2傾斜面84bの第2の辺は、第1側面刃82の第2傾斜面82b(図29参照)の縁部を構成する。第2傾斜面84bの第3の辺は、第2側面刃83の第2傾斜面83b(図29参照)の縁部を構成する。
【0096】
このように、第1側面刃82の第1傾斜面82aと、第2側面刃83の第1傾斜面83aと、先端刃84の第1傾斜面84aとの間で共通の縁部85を有し(図24図29参照)、この縁部85が図24の平面視で見て点状である。また、第1側面刃82の第2傾斜面82bと、第2側面刃83の第2傾斜面83bと、先端刃84の第2傾斜面84bとの間で共通の縁部86(図29参照)を有しており、この縁部86が点状である。
【0097】
また、第1側面刃82の第1傾斜面82aと、第2側面刃83の第1傾斜面83aとの間には面87(図24参照)が介在している。この面87は、回転刃8の中心線L5に直角な平面としてよい。面87の縁部を構成する、第1側面刃82(第1傾斜面82a)の上側の縁部82c(図24参照)と、第2側面刃83(第1傾斜面83a)の上側の縁部83c(図24参照)との間隔は、突出部81の先端に向かうにしたがって徐々に小さくなる。そして、最終的に一点85に収束する。
【0098】
同様に、第1側面刃82の第2傾斜面82bと、第2側面刃83の第2傾斜面83bとの間には面(図示外)が介在している。この面の縁部を構成する、第1側面刃82(第2傾斜面82b)の下側の縁部(図示外)と、第2側面刃83(第2傾斜面83b)の下側の縁部(図示外)との間隔は、突出部81の先端に向かうにしたがって徐々に小さくなる。そして、最終的に一点86(図29参照)に収束する。
【0099】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果と同様の効果を奏する。加えて、回転刃8は先端刃84を有するので、この先端刃84でも草を切ることができる。また、背中合わせに位置する第1側面刃82と第2側面刃83とは各先細り方向の逆側の縁部に共通の縁部59、60を有するので、突出部81の、回転刃8の周方向に沿った幅を小さくできる。これにより、突出部81間の切れ込み部の幅が小さくなるのを抑制しつつ、突出部81の数を多くできる。突出部81の数が多くなることで、突出部81の各刃82~84の耐久性を高くできる。
【0100】
なお、回転刃8の底面図は、図24の平面図(上面図)と対称形に示される。回転刃8の背面図は、図25の正面図と対称形に示される。回転刃8の左側面図は、図26の右側面図と対称形に示される。
【0101】
(第4実施形態)
次に本開示の第4実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態の草刈り刃装置は、第1実施形態の回転刃5に代えて、図30図36に示す回転刃9を備える点で第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態の草刈り刃装置1と同じである。回転刃9は、刃部を構成する突出部91の個数及び形状が、第1実施形態の突出部54の個数及び形状と異なっており、それ以外は、第1実施形態の回転刃5と同じである。また、回転刃9は上下対称形かつ回転対称形(12回回転対称形、30°回転対称形)に形成されている。
【0102】
突出部91は、回転刃9の径方向外側(中心線L6(図30参照)に直角な方向)に突出するとともに、回転刃9の外周において、回転刃9の中心線L6回りの周方向に等間隔に複数形成されている。本実施形態では突出部91は12個形成されている。複数の突出部91は互いに同一の形状に形成されている。突出部91は、回転刃9の中心線L6回りの周方向における第1方向F7(図31図36参照)を向いた第1側面刃92と、第1方向F7の反対方向F8(図31図36参照)を向いた第2側面刃93とを有する。
【0103】
第1側面刃92は、第1実施形態の第1側面刃57と同様に形成されている。具体的に言えば、第1側面刃92は、図36に示すように、第1傾斜面92aと第2傾斜面92bとを含み、第1方向F7に向かうにしたがって傾斜面92a、92b間の幅が徐々に小さくなる先細り形状に形成されている。
【0104】
第2側面刃93は、第1実施形態の第2側面刃58と同様に形成されている。具体的に言えば、第2側面刃93は、図36に示すように、第1傾斜面93aと第2傾斜面93bとを含み、第2方向F8に向かうにしたがって傾斜面93a、93b間の幅が徐々に小さくなる先細り形状に形成されている。
【0105】
図36に示すように、第1側面刃92と第2側面刃93の間には、回転刃9の周方向F7、F8に延在する面94、95が介在している。これら面94、95は、第2実施形態の面74、75(図20参照)と同様に形成されている。本実施形態では、第2実施形態と同様に、背中合わせに位置する第1側面刃92と第2側面刃93との間で共通の縁部は存在しない。
【0106】
突出部91はその突出方向における先端に先端刃96を有する(図31図34参照)。つまり、突出部91の先端は鋭利な形状に形成されている。先端刃96の、図34の断面における形状は、第3実施形態の先端刃84の、図27の断面における形状と同様に形成されている。
【0107】
また、先端刃96の上側の第1傾斜面96a及び下側の第2傾斜面96bはそれぞれ図32の正面視で見て台形状に形成されている。この台形の底辺が、先端刃96の先端鋭利部96c(図34参照)を構成する。台形の上辺が面94、95の縁部を構成する。台形の傾斜部が、第1側面刃92及び第2側面刃93の縁部を構成する。
【0108】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果と同様の効果を奏する。加えて、回転刃9は先端刃96を有するので、この先端刃96でも草を切ることができる。また、第1側面刃92と第2側面刃93の間に面94、95が介在しているので、突出部91(刃部)の剛性を高くでき、突出部91の耐久性を高くできる。
【0109】
なお、回転刃9の底面図は、図31の平面図(上面図)と対称形に示される。回転刃9の背面図は、図32の正面図と対称形に示される。回転刃9の左側面図は、図33の右側面図と対称形に示される。
【0110】
(第5実施形態)
次に本開示の第5実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。上記実施形態では、上部盤が下部盤より小径の例を示したが、本実施形態では上部盤が下部盤と同径で、かつ、上部盤の外周の回転刃付近に切り欠きが形成される例を説明する。図37は、本実施形態の草刈り刃装置300を示している。草刈り刃装置300は、上部盤301と下部盤302とガイドピン303と回転刃304とを備えている。上部盤301及び下部盤302の形状が第1実施形態のそれと異なり、それ以外は第1実施形態の草刈り刃装置1と同じである。すなわち、ガイドピン303及び回転刃304は第1実施形態のガイドピン4及び回転刃5と同様である。なお、回転刃304は第2~第4実施形態の回転刃でもよい。
【0111】
上部盤301及び下部盤302は、同径の円盤状に形成されるとともに、互いに同一の外周形状を有する。上部盤301及び下部盤302の外周形状は、第1実施形態の下部盤3の外周形状と同様である。すなわち、上部盤301の外周は、上部盤301の回転中心を中心とした円弧状に形成された円弧部301aと、その円弧部301aが描く回転軌跡(仮想円)に対して切り欠いた形状の切り欠き部301bとを有する。円弧部301aは、例えば第1実施形態の円弧部34と同様の形状に形成される。切り欠き部301bは例えば第1実施形態の切り欠き部35と同様の形状に形成され、各回転刃304の周辺位置に形成される。なお、上部盤301の上面は第1実施形態と同様に平面に形成されている。
【0112】
下部盤302の外周は、下部盤301の回転中心を中心とした円弧状に形成された円弧部302aと、その円弧部302aが描く回転軌跡(仮想円)に対して切り欠いた形状の切り欠き部302bとを有する。円弧部302aは、例えば第1実施形態の円弧部34と同じ形状に形成される。また、円弧部302aは、上部盤301の円弧部301aと同様の形状に形成される。切り欠き部302bは例えば第1実施形態の切り欠き部35と同様の形状に形成され、各回転刃304の周辺位置に形成される。また、切り欠き部302bは、上部盤301の切り欠き部301bと同じ形状に形成される。なお、下部盤302は、上部盤301よりも外側に出る板状外周部を有しない。
【0113】
平面視で見て、上部盤301の円弧部301aと下部盤302の円弧部302aとが一致し、かつ、上部盤301の切り欠き部301bと下部盤302の切り欠き部402bとが一致するように、上部盤301及び下部盤302がガイドピン303で連結されている。上部盤301及び下部盤302の側面には、各回転刃304の刃部を外側に出すための開口305が形成されている。その開口305を除いて、上部盤301と下部盤302の間の空間は閉塞されている。
【0114】
このように、本実施形態によっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0115】
なお、本開示は上記実施形態に限定されず種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、回転刃の個数が3つの例を示したが、回転刃の個数な何個でもよく、1つでもよいし、2つでもよいし、4つ以上でもよい。また、回転刃の外周に形成される刃部(突出部)の個数も何個でもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、上部盤と下部盤の間の空間の外周を閉塞する閉塞部(側面)が上部盤に設けられた例を示したが、下部盤に設けられてもよいし、上部盤と下部盤の双方に設けられてもよい。
【0117】
また、本開示の回転刃は以下のように構成されてよい。
草刈り機の回転盤の回転中心から偏心した位置に回転自在に前記回転盤に装着するための円盤状の草刈り機用回転刃であって、
前記円盤状の外周に沿って前記円盤状の径方向外側に突出する複数の突出部を有し、
前記突出部は、
前記円盤状の周方向における第1方向に向かうにしたがって徐々に上下幅が小さくなる先細り形状に形成された第1側面刃と、
前記円盤状の周方向における前記第1方向の反対の第2方向に向かうにしたがって徐々に上下幅が小さくなる先細り形状に形成された第2側面刃とを有し、
前記突出部の突出方向先端は非鋭利な形状に形成される、
草刈り機用回転刃。
【0118】
この場合、前記第1側面刃と前記第2側面刃とは、先細り方向の逆側に、前記第1側面刃と前記第2側面刃との間で共通の縁部を有してよい。
【0119】
回転刃がこのように構成される場合には、回転盤は上述の実施形態以外の形状でよく、例えば、外周に切り欠き部が形成されていない下部盤(回転盤)を採用してもよい。
【0120】
また、本開示の草刈り刃装置は以下のように構成されてよい。
中心回りに回転するように設けられる上部盤及び下部盤と、
前記中心から偏心した位置において前記上部盤と前記下部盤とを連結するガイドピンと、
前記上部盤と前記下部盤の間に前記ガイドピンを軸として回転自在に設けられ、外周に刃部を有し、その刃部が前記下部盤より外側に出る、円盤状の回転刃とを備え、
前記下部盤は、前記中心回りの全周に亘って前記上部盤よりも外側に出る外周部を有する、
草刈り刃装置。
【0121】
これによれば、下部盤の外周部で石を外側に押し出すことができ、石が回転刃の刃部に当たってしまうのを抑制できる。これにより、石跳ねを抑制できる。
【符号の説明】
【0122】
1、300 草刈り刃装置
2、301 上部盤
3、302 下部盤
34、301a、302a 円弧部
35、301b、302b 切り欠き部
4、303 ガイドピン
5、7、8、9、304 回転刃
53 回転刃の中心穴(取付穴)
54、71、81、91 回転刃の突出部(刃部)
200 仮想円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図25
図26
図27
図28
図29
図30
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図32
図33
図34
図35
図36
図37