(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002948
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】発熱体、アトマイザー及び電子霧化装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20231228BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20231228BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20231228BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20231228BHJP
H05B 3/12 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/10
A24F40/44
H05B3/20 328
H05B3/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100462
(22)【出願日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】202210725430.4
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】林浩
(72)【発明者】
【氏名】唐俊傑
(72)【発明者】
【氏名】王麗波
(72)【発明者】
【氏名】羅洪梁
(72)【発明者】
【氏名】肖從文
【テーマコード(参考)】
3K034
3K092
4B162
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA15
3K034AA16
3K034AA24
3K034AA28
3K034BB06
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3K092PP20
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3K092QB02
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3K092QB43
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3K092QB76
3K092RF11
3K092RF19
3K092RF22
3K092TT30
3K092VV25
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC22
4B162AC27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発熱体、アトマイザー及び電子霧化装置に関して、抵抗値が低く、霧化過程における霧化基質の供給を十分にして空焼きを回避することができる発熱体を提供する
【解決手段】発熱体100は、多孔質基体110と発熱膜とを備え、発熱膜は、積層して設けられた第1のサブ膜122と第2のサブ膜124とを含み、第1のサブ膜122は、多孔質基体110の表面に位置し、第1のサブ膜122は、多孔質構造であり、第2のサブ膜124は、多孔質基体110から離れた第1のサブ膜122の一方側に設けられ、第2のサブ膜124は多孔質構造であり、且つ、第2のサブ膜124の孔隙率は、第1のサブ膜122の孔隙率よりも小さく、或いは、第2のサブ膜124は、無孔構造である。上記発熱体100の抵抗値が低く、霧化過程における霧化基質の供給を十分にして空焼きを回避することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基体と発熱膜とを備える発熱体であって、
前記発熱膜は、積層して設けられた第1のサブ膜と第2のサブ膜とを含み、前記第1のサブ膜は前記多孔質基体の表面に位置し、前記第1のサブ膜は多孔質構造であり、
前記第2のサブ膜は、前記多孔質基体から離れた前記第1のサブ膜の一方側に設けられ、
前記第2のサブ膜は多孔質構造であり、且つ、前記第2のサブ膜の孔隙率は、前記第1のサブ膜の孔隙率よりも小さく、或いは、前記第2のサブ膜は、無孔構造である
ことを特徴とする発熱体。
【請求項2】
前記第1のサブ膜の孔隙率は3%~80%であり、及び/又は、
前記第1のサブ膜の平均孔径は0.1mm~5mmであり、及び/又は、
前記第1のサブ膜の厚さは40μm~1000μmである
ことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項3】
前記第2のサブ膜は、多孔質構造であり、前記第2のサブ膜の孔隙率は20%以下であり、及び/又は、
前記第2のサブ膜は、多孔質構造であり、前記第2のサブ膜の平均孔径は、0.1mm~1mmであり、及び/又は、
前記第2のサブ膜の厚さは、2μm~50μmであり、及び/又は、
前記第2のサブ膜の厚さは、前記第1のサブ膜の厚さよりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項4】
前記発熱膜は、前記第1のサブ膜と前記第2のサブ膜との間に設けられた第3のサブ膜を更に含み、前記第3のサブ膜は、多孔質構造であり、前記第1のサブ膜の孔隙率≧前記第3のサブ膜の孔隙率≧前記第2のサブ膜の孔隙率となる
ことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項5】
前記第3のサブ膜は複数あり、複数の前記第3のサブ膜は、前記第1のサブ膜と前記第2のサブ膜との間に順に積層され、前記多孔質基体から徐々に離れる方向に沿って、前の前記第3のサブ膜の孔隙率は後の前記第3のサブ膜の孔隙率以上である
ことを特徴とする請求項4に記載の発熱体。
【請求項6】
前記第1のサブ膜及び前記第2のサブ膜は、それぞれ独立して、金属膜又は合金膜である
ことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項7】
前記第1のサブ膜及び前記第2のサブ膜は、それぞれ独立して、ニッケル膜、チタン膜、ニッケル鉄合金膜、ニッケル銅合金膜、ニッケルクロム合金膜及び鉄クロム合金膜のうちの1つから選択される
ことを特徴とする請求項6に記載の発熱体。
【請求項8】
前記第1のサブ膜の形状は、直線状、曲線状、折線状、矩形状、格子状又は環状であり、及び/又は、
前記第1のサブ膜への前記第2のサブ膜の正投影は、前記第1のサブ膜内にある
ことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項9】
少なくとも一部の前記多孔質基体の孔は、前記第1のサブ膜の孔に連通し、及び/又は、
前記多孔質基体は、多孔質セラミック基体であり、及び/又は、
前記多孔質基体の孔隙率は、25%~75%であり、及び/又は、
前記多孔質基体の平均孔径は、5μm~40μmである
ことを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項10】
前記多孔質基体は、多孔質アルミナセラミック、多孔質二酸化ケイ素セラミック、多孔質炭化ケイ素セラミック、多孔質コージェライトセラミック、多孔質ムライトセラミック、多孔質シーフォームセラミック、及び多孔質珪藻土セラミックのうちの少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項9に記載の発熱体。
【請求項11】
霧化基質を貯蔵するための液体貯蔵器と、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の発熱体と、を備え、前記発熱体は、前記液体貯蔵器内の霧化基質を加熱して霧化するために用いられる
ことを特徴とするアトマイザー。
【請求項12】
電源アセンブリと、請求項11に記載のアトマイザーと、を備え、前記電源アセンブリは、前記アトマイザーに給電するために用いられる
ことを特徴とする電子霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アトマイザーの分野に関し、特に、発熱体、アトマイザー及び電子霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱体は、多孔質セラミック基体と発熱膜とを含み、発熱膜は、通常、中実金属膜であり、液状の霧化基質は、発熱膜のよこの多孔質セラミックの表面のみから発熱膜を浸潤するため、霧化基質は発熱膜を完全に浸潤することができないので、霧化過程において霧化基質の供給が間に合わなく、空焼きしやすくて発熱膜が焼損し易いし、霧化量の低下を引き起こし易い。従来技術において上記問題を解決するための手段は、通常、多孔質発熱膜を採用し、多孔質構造を有する金属膜を用いて発熱させることで、発熱膜に一定の導液能力と液体貯蔵能力を持たせることであるが、それと同時に、多孔質膜によって発熱膜の抵抗値もより高くなり、実際に応用することが難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、抵抗値が低く、霧化過程における霧化基質の供給を十分にして空焼きを回避することができる発熱体を提供する必要がある。
【0004】
また、当該発熱体を含むアトマイザー及び電子霧化装置を更に提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
多孔質基体と発熱膜とを備える発熱体であって、前記発熱膜は、積層して設けられた第1のサブ膜と第2のサブ膜とを含み、前記第1のサブ膜は、前記多孔質基体の表面に位置し、前記第1のサブ膜は多孔質構造であり、前記第2のサブ膜は、前記多孔質基体から離れた前記第1のサブ膜の一方側に設けられ、前記第2のサブ膜は多孔質構造であり、且つ、前記第2のサブ膜の孔隙率は、前記第1のサブ膜の孔隙率よりも小さく、或いは、前記第2のサブ膜は、無孔構造である。
【0006】
一実施例において、前記第1のサブ膜の孔隙率は3%~80%であり、及び/又は、前記第1のサブ膜の平均孔径は0.1mm~5mmであり、及び/又は、前記第1のサブ膜の厚さは40μm~1000μmである。
【0007】
一実施例において、前記第2のサブ膜は、多孔質構造であり、前記第2のサブ膜の孔隙率は20%以下であり、及び/又は、前記第2のサブ膜は、多孔質構造であり、前記第2のサブ膜の平均孔径は、0.1mm~1mmであり、及び/又は、前記第2のサブ膜の厚さは、2μm~50μmであり、及び/又は、前記第2のサブ膜の厚さは、前記第1のサブ膜の厚さよりも小さい。
【0008】
一実施例において、前記発熱膜は、前記第1のサブ膜と前記第2のサブ膜との間に設けられた第3のサブ膜を更に含み、前記第3のサブ膜は、多孔質構造であり、前記第1のサブ膜の孔隙率≧前記第3のサブ膜の孔隙率≧前記第2のサブ膜の孔隙率となる。
【0009】
一実施例において、前記第3のサブ膜は複数あり、複数の前記第3のサブ膜は、前記第1のサブ膜と前記第2のサブ膜との間に順に積層され、前記多孔質基体から徐々に離れる方向に沿って、前の前記第3のサブ膜の孔隙率は後の前記第3のサブ膜の孔隙率以上である。
【0010】
一実施例において、前記第1のサブ膜及び前記第2のサブ膜は、それぞれ独立して、金属膜又は合金膜である。
【0011】
一実施例において、前記第1のサブ膜及び前記第2のサブ膜は、それぞれ独立して、ニッケル膜、チタン膜、ニッケル鉄合金膜、ニッケル銅合金膜、ニッケルクロム合金膜及び鉄クロム合金膜のうちの1つから選択される。
【0012】
一実施例において、前記第1のサブ膜の形状は、直線状、曲線状、折線状、矩形状、格子状又は環状であり、及び/又は、前記第1のサブ膜への前記第2のサブ膜の正投影は、前記第1のサブ膜内にある。
【0013】
一実施例において、少なくとも一部の前記多孔質基体の孔は、前記第1のサブ膜の孔に連通し、及び/又は、前記多孔質基体は、多孔質セラミック基体であり、及び/又は、前記多孔質基体の孔隙率は、25%~75%であり、及び/又は、前記多孔質基体の平均孔径は、5μm~40μmである。
【0014】
一実施例において、前記多孔質基体は、多孔質アルミナセラミック、多孔質二酸化ケイ素セラミック、多孔質炭化ケイ素セラミック、多孔質コージェライトセラミック、多孔質ムライトセラミック、多孔質シーフォームセラミック、及び多孔質珪藻土セラミックのうちの少なくとも1つである。
【0015】
アトマイザーであって、霧化基質を貯蔵するための液体貯蔵器と上記の発熱体とを備え、前記発熱体は、前記液体貯蔵器内の霧化基質を加熱して霧化するために用いられる。
【0016】
電子霧化装置であって、電源アセンブリと上記のアトマイザーとを備え、前記電源アセンブリは、前記アトマイザーに給電するために用いられる。
【0017】
上記発熱体は、多孔質基体と発熱膜とを備え、多孔質基体は、液状の霧化基質を案内するために用いられ、発熱膜は、霧化基質を加熱して霧化するために用いられる。発熱膜は、積層して設けられた第1のサブ膜と第2のサブ膜とを含み、第1のサブ膜は、多孔質基体の表面に位置し、第1のサブ膜は、多孔質構造を有し、毛細管現象により霧化基質を基体の表面から発熱膜に吸着することができ、オイルの供給を十分にし、低温霧化効果を実現し、霧化過程での空焼きを回避することができる。また、本発明者らは、発熱膜は第1のサブ膜のみを含む場合、抵抗値がより高くて実際の適用が困難となることを発見したところ、第1のサブ膜上に孔隙率が低い第2のサブ膜又は無孔の第2のサブ膜を積層することにより、オイルの供給を十分にし、霧化効果が良くなるように保証すると同時に、抵抗値を低減し、発熱体の実際の適用を可能とすることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】
図3に示す発熱体の霧化基質に浸漬された後の断面図である。
【
図5】
図3に示す発熱体の霧化基質に浸漬された後の上面図である。
【
図6】
図1に示す発熱体中の発熱膜の他の構造模式図である。
【
図7】
図1に示す発熱体中の発熱膜のまた他の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の理解を容易にするために、具体的な実施形態を参照して、本発明をさらに完全に説明する。具体的な実施形態では、本発明の好ましい実施例が示されている。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に説明する実施形態に限定されるものではない。逆に、これらの実施形態を提供する目的は、本発明の開示内容をより徹底的かつ包括的に理解するためである。
【0020】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、本発明を限定するものではない。
【0021】
本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数のリストされた関連項目の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを含む。
【0022】
本明細書において、「第1」、「第2」、「第3」などは、説明の目的のためだけのものであり、相対的な重要性を意味又は示唆し、又は説明された技術的特徴の数を示唆すると理解されるものではない。これにより、「第1」、「第2」、「第3」で限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。
【0023】
本明細書の説明において、特に明示的かつ具体的に制限されていない限り、「複数」の意味は、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどである。
【0024】
本明細書において、値の範囲が開示されている場合、上記の範囲は連続的であり、当該範囲の最小値と最大値、及びこの最小値と最大値との間の全ての値を含むと考えられる。更に、範囲が整数を指す場合、当該範囲の最小値と最大値との間の全ての整数が含まれる。また、複数の範囲で特徴又は特性を説明する場合、当該範囲を組み合わせることができる。言い換えれば、特に断りのない限り、本明細書で開示された全ての範囲は、そこに含まれる任意の部分範囲及び全ての部分範囲を含む。
【0025】
在本明細書で言及される「実施例」とは、実施例を参照して説明する特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書中の各位置での当該語句は、必ずしも同一の実施例を意味するものではなく、また、他の実施例と相互に排他的である別個のまたは代替の実施例を意味するものでもない。当業者が明示的又は暗黙的に理解できるものとしては、本明細書で説明する実施例は他の実施例と組み合わせることができる。
【0026】
図1及び
図2を参照すると、本発明の第1の態様は、一実施形態の発熱体100を提供する。当該発熱体100は、多孔質基体110と発熱膜120とを備える。多孔質基体110は、液状の霧化基質を案内するために用いられ、発熱膜120は、霧化基質を加熱して霧化するために用いられる。発熱膜120は、多孔質基体110の表面に設けられる。
【0027】
ここで、発熱膜120は、積層して設けられた第1のサブ膜122と第2のサブ膜124とを含む。第1のサブ膜122は、多孔質基体110の表面に位置し、第1のサブ膜122は、多孔質構造である。
【0028】
第2のサブ膜124は、多孔質基体110から離れた第1のサブ膜122の一方側に積層される。いくつかの実施例において、第2のサブ膜124は、多孔質構造であり、第2のサブ膜124の孔隙率(ポロシティ)は、第1のサブ膜122の孔隙率よりも小さい。別のいくつかの実施例において、第1のサブ膜122は、多孔質構造であり、第2のサブ膜124は、無孔構造である。
【0029】
具体的に、第1のサブ膜122の孔隙率は、3%~80%である。具体的な一例において、第1のサブ膜122の孔隙率は、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%であり、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。更に、第1のサブ膜122の孔隙率は、5%~30%である。
【0030】
第1のサブ膜122の平均孔径は、0.1mm~5mmである。具体的な一例において、第1のサブ膜122の平均孔径は、0.1mm、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmであり、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。更に、第1のサブ膜122の平均孔径は、0.5mm~2mmである。
【0031】
第1のサブ膜122の厚さは、40μm~1000μmである。具体的な一例において、第1のサブ膜122の厚さは、40μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1000μmであり、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。更に、第1のサブ膜122の厚さは、60μm~400μmである。
【0032】
具体的に、第1のサブ膜122上の孔は、貫通孔であってもよいし、厚膜孔であってもよい。いくつかの実施例において、第1のサブ膜122上の孔は、貫通孔であり、少なくとも一部の第1のサブ膜122上の孔は、第1のサブ膜122の厚さ方向に沿って第1のサブ膜122を貫通する。この場合、第1のサブ膜122は、スチールメッシュ膜であってもよい。別のいくつかの実施例において、第1のサブ膜122上の孔は、厚膜孔であり、この場合、第1のサブ膜122は、シルク印刷厚膜であってもよい。理解できるものとして、本発明における貫通孔とは、金属薄板に対してレーザーパンチ、エッチング、プレスなどの工程を行って形成される、金属薄板を貫通する貫通孔を意味する。貫通孔の孔径及び形態の一致性は良好である。本発明における厚膜孔とは、厚膜において形成された形態が比較的不規則な多孔質構造である。このような構造は、厚膜を製作する過程において、原料スラリーに一定の割合の造孔剤を添加して焼結して成形して、製作された厚膜において形成された比較的不規則な多孔質構造である。
【0033】
いくつかの実施例において、第1のサブ膜122の孔は厚膜孔であり、第1のサブ膜122を製作する過程で使用される造孔剤は、デンプン、炭素粉末、炭酸水素アンモニウム、PMMAマイクロスフェア(ポリメチルメタクリレートマイクロスフェア)、PSマイクロスフェア(ポリスチレンマイクロスフェア)、石灰石、ドロマイト、沸石、パーライト及び浮石のうちの少なくとも1つから選択される。
【0034】
一実施例において、第1のサブ膜122は、金属膜又は合金膜である。具体的に、第1のサブ膜122は、ニッケル膜、チタン膜、ニッケル鉄合金膜、ニッケル銅合金膜、ニッケルクロム合金膜及び鉄クロム合金膜のうちの1つから選択される。具体的な一例において、第1のサブ膜122は、多孔質ニッケル膜、多孔質チタン膜、多孔質ニッケル鉄合金膜、多孔質ニッケル銅合金膜、多孔質ニッケルクロム合金膜及び多孔質鉄クロムアルミニウム合金膜のうちの1つから選択される。
【0035】
上記の第1のサブ膜122の孔隙率及び平均孔径が適切であるため、毛細管現象により霧化基質をセラミック表面から発熱膜120上により良く吸着することができ、オイルの供給を十分にすることができる。それと同時に、第1のサブ膜122自体は、導電性能及び熱伝導性能が良好な金属又は合金材料を採用することで、自己発熱又は熱伝導が可能となり、良好な霧化効果を実現し、霧化過程での空焼きを回避することができる。
【0036】
いくつかの実施例において、第2のサブ膜124は、多孔質構造であり、第2のサブ膜124の孔隙率は、第1のサブ膜122の孔隙率よりも小さい。具体的に、第2のサブ膜124の孔隙率は20%以下である。具体的な一例において、第2のサブ膜124の孔隙率は、1%、5%、10%、15%、20%であり、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
【0037】
第2のサブ膜124の平均孔径は、0.1mm~1mmである。具体的な一例において、第2のサブ膜124の平均孔径は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mmであり、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
【0038】
第2のサブ膜124の厚さは、2μm~50μmである。更に、第2のサブ膜124の厚さは、第1のサブ膜122の厚さよりも小さい。具体的な一例において、第2のサブ膜124の厚さは、2μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μmであり、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
【0039】
一実施例において、第2のサブ膜124は、厚膜孔である。第2のサブ膜124を製作する過程で使用される造孔剤は、デンプン、炭素粉末、炭酸水素アンモニウム、PMMAマイクロスフェア、PSマイクロスフェア、石灰石、ドロマイト、沸石、パーライト及び浮石のうちの少なくとも1つから選択される。
【0040】
別のいくつかの実施例において、第2のサブ膜124は、無孔構造である。つまり、第2のサブ膜124の孔隙率は0である。第2のサブ膜124が無孔構造である場合、第2のサブ膜124の厚さが非常に小さく、かつ第1のサブ膜122の孔隙率がより高いため、毛細管現象により霧化基質をセラミック表面から発熱膜120上に吸着することを依然として実現することができ、オイルの供給が十分であり、霧化効果が良好であり、霧化過程での空焼きを回避することができる。
【0041】
具体的に、第2のサブ膜124は、金属膜又は合金膜である。具体的に、第2のサブ膜124は、ニッケル膜、チタン膜、ニッケル鉄合金膜、ニッケル銅合金膜、ニッケルクロム合金膜及び鉄クロム合金膜のうちの1つから選択される。
【0042】
理解できるものとして、第1のサブ膜122と第2のサブ膜124の材質は、同一であってもよいし、異なってもよい。また、第1のサブ膜122と第2のサブ膜124の材質は、金属又は合金に限定されず、霧化基質を加熱して霧化することができる、導電セラミックなどの他の材料であってもよく、第1のサブ膜122及び第2のサブ膜124の孔隙率、平均孔径などのパラメータが上記の要求を満たすものであればよい。
【0043】
低孔隙率又は無孔の第2のサブ膜124を設けることにより、オイルの供給が十分で、霧化効果が良好であることを確保することができると同時に、抵抗値を低減する役割を果たすことができる。実験により、発熱膜120は第1のサブ膜122のみを含む場合、抵抗値が2Ω~3Ωであり、電池とのマッチングをして使用されにくい一方、発熱膜120は第1のサブ膜122と第2のサブ膜124を含む場合、抵抗値が0.8Ω~1.4Ωになることができ、満足な使用をすることができることが証明された。また、第2のサブ膜124を設けることで、液体爆発を減少することもできる。発熱膜120が第1のサブ膜122のみを含む場合、液体爆発のデシベルが70dbであり、発熱膜120が第1のサブ膜122と第2のサブ膜124を含む場合、液体爆発のデシベルは著しく低下する。
【0044】
いくつかの実施例において、第1のサブ膜122の孔隙率は、3%~80%であり、平均孔径は、0.1mm~5mmである。第2のサブ膜124の孔隙率は20%以下であり、第2のサブ膜124の平均孔径は、0.1mm~1mmである。第1のサブ膜122の孔隙率は、第2のサブ膜124の孔隙率よりも大きい。
【0045】
本発明者らが分析したところ、以下のことを見出した。第1のサブ膜122と第2のサブ膜124は異なる孔隙率を有するため、異なる抵抗特性を有し、発熱膜120と電池とのマッチングが良好な抵抗値特性を実現する。それと同時に、第1のサブ膜122の孔隙率が第2のサブ膜124の孔隙率よりも大きいので、第1のサブ膜122中に貯留される液体の量が第2のサブ膜124中に貯留される液体の量よりも大きいため、霧化過程において、より外側にある第2のサブ膜124に貯留される液体の量がより少なく、同じ加熱パワーの下で貯留される液体を迅速に加熱して霧化することができ、その表面により厚い液膜が形成されることを回避することができ、更に、霧化過程でより厚い液膜が破裂することによる液体爆発を回避することができる。また、第1のサブ膜122は、より高い孔隙率を保持するとともに、良好な発熱及び/又は熱伝導能力も有するので、連続的で信頼性のある液体供給を保証することができ、霧化過程において液体不足による空焼きを回避することができる。
【0046】
具体的に、多孔質基体110は、多孔質セラミック基体である。多孔質セラミックは、化学的に安定であり、霧化基質と化学的に反応せず、且つ、高温に耐えて加熱温度が高すぎることによって変形しない。したがって、本実施形態において、多孔質基体110は、好ましくは、多孔質セラミック基体である。理解できるものとして、多孔質基体110は、多孔質セラミックに限定されず、例えば多孔質ガラス基体、多孔質プラスチック基体、多孔質金属基体などの他の多孔質材料であってもよい。
【0047】
一実施例において、多孔質基体110は、多孔質アルミナセラミック、多孔質二酸化ケイ素セラミック、多孔質炭化ケイ素セラミック、多孔質コージェライトセラミック、多孔質ムライトセラミック、多孔質シーフォームセラミック、及び多孔質珪藻土セラミックのうちの少なくとも1つである。
【0048】
更に、少なくとも一部の多孔質基体110の孔は、第1のサブ膜122の孔に連通する。このような設計を採用することにより、霧化基質を第1のサブ膜122により良く案内することができる。
【0049】
具体的に、多孔質基体110の孔隙率は、25%~75%である。具体的な一例において、多孔質基体110の孔隙率は、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%であり、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。多孔質基体110の孔隙率の大きさは、霧化基質の組成に応じて調整されてもよく、例えば、霧化基質の粘度がより大きい場合、導液効果を保証するために、より高い孔隙率が選択される。
【0050】
多孔質基体110の平均孔径は、5μm~40μmである。具体的な一例において、多孔質基体110の平均孔径は、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μmであり、又はこれらの値のいずれか2つからなる範囲にある。
【0051】
上記の孔径及び孔隙率を有する多孔質基体110の導液性が均一であり、霧化効果が良好である。
【0052】
図3を参照すると、
図3は
図1に示す発熱体100の実物図である。
図4は、
図3に示す発熱体100の霧化基質に浸漬された後の断面図であり、
図5は、
図3に示す発熱体100の霧化基質に浸漬された後の上面図である。
【0053】
上記の図面では、発熱体100の1種の模式図のみが示され、図面において、発熱膜120中の第1のサブ膜122と第2のサブ膜124の形状は、いずれも曲線状である。理解できるものとして、他の実施例において、第1のサブ膜122と第2のサブ膜124の形状は、曲線状に限定されず、直線状、折線状、矩形状、格子状又は環状であってもよく、具体的な形状は、実際の必要に応じて調整することができる。
【0054】
いくつかの実施例において、第1のサブ膜122への第2のサブ膜124の正投影は、第1のサブ膜122内にある。例えば、具体的な一例において、第2のサブ膜124と第1のサブ膜122の形状は、完全に同一であり、第2のサブ膜124は、第1のサブ膜122を完全に覆っている。
【0055】
他の具体的な例において、第2のサブ膜124の面積は、第1のサブ膜122の面積よりも小さく、第2のサブ膜124は、第1のサブ膜122の一部を覆っている。具体的に、第2のサブ膜124は、第1のサブ膜122の中間位置又は非中間位置に位置してもよい。第2のサブ膜124が第1のサブ膜122の中間位置に位置する場合、液体供給が均一で信頼的になり、空焼きを回避することができるとともに、抵抗が良好に改善され、抵抗が均一で一致性が高くなるため、局所の抵抗が一致していなくて使用過程で局所の抵抗が過大になり、熱衝撃によって断線されて故障することを回避する。また、第2のサブ膜124の抵抗率が比較的低く、電流密度がより大きく、発生した熱がより多く、中間に位置すると、第1のサブ膜122を通じて均一に放熱することができるため、発熱/熱場の分布がより均一となり、局所の高温による空焼きを回避する。さらに、第1のサブ膜122は、霧化基質を予熱する役割も果たすことができる。
【0056】
第2のサブ膜124が第1のサブ膜122の非中間位置に位置する場合、発熱回路に応じて柔軟に配置することができ、異なる領域の発熱量又は熱場分布について具体的な必要に応じて調整することを実現し、第1のサブ膜122の位置の調整を必要とせず、第2のサブ膜124を調整するだけで上記の効果を実現することができる。
【0057】
図3及び
図5に示すように、本実施例において、第2のサブ膜124の面積は、第1のサブ膜122の面積よりも小さく、第2のサブ膜124は、第1のサブ膜122の一部を覆っている。霧化基質に浸漬された後、発熱膜120の表面の液膜の厚さは、他の位置の液膜の厚さよりも小さい。即ち、霧化基質は、発熱体100の霧化面上で勾配のある厚さの液膜を形成する。勾配のある厚さの液膜は、良好な霧化効果を実現し、液体爆発を減少することができる。
【0058】
一実施例において、発熱体100の製作ステップは、スクリーン印刷によって第1のサブ膜122及び第2のサブ膜124を多孔質基体110上に印刷した後、真空焼結を行うことを含む。
【0059】
具体的に、まず、スクリーン印刷によって1層の第1のサブ膜122を多孔質基体110上に印刷し、第2のサブ膜124を第1のサブ膜122上に重ねて印刷し、第2のサブ膜124の線幅は、第1のサブ膜122の線幅以下である。具体的な一例において、第1のサブ膜122の線幅は、0.2mm~1mmであり、第2のサブ膜124の線幅は、0.2mm~1mmである。理解できるものとして、上記では、第1のサブ膜122及び第2のサブ膜124の線幅の一例のみが挙げられているが、第1のサブ膜122及び第2のサブ膜124の線幅は、これに限定されず、実際に状況に応じて調整されてもよい。
【0060】
図6を参照すると、いくつかの実施例において、発熱膜120は、第3のサブ膜126を更に含み、第3のサブ膜126は、第1のサブ膜122と第2のサブ膜124との間に設けられ、第3のサブ膜126は、多孔質構造であり、第1のサブ膜122の孔隙率≧第3のサブ膜126の孔隙率≧第2のサブ膜124の孔隙率である。
【0061】
例えば、具体的な一例において、第3のサブ膜126の孔隙率は、第1のサブ膜122の孔隙率と同一であり、他の具体的な例において、第3のサブ膜126の孔隙率は、第2のサブ膜124の孔隙率と同一である。別の具体的な一例において、第3のサブ膜126の孔隙率は、第1のサブ膜122の孔隙率と第2のサブ膜124の孔隙率との間に介在する。
【0062】
更に、
図7を参照すると、第3のサブ膜126は、複数あり、複数の第3のサブ膜126は、第1のサブ膜122と第2のサブ膜124との間に順に積層され、多孔質基体110から徐々に離れる方向に沿って、前の第3のサブ膜126の孔隙率は後の第3のサブ膜126の孔隙率以上である。具体的には、
図7において、多孔質基体110から徐々に離れる方向は、下方から上方への方向を指す。
【0063】
例えば、第3のサブ膜126は、2つ、3つ、4つなどある。複数の第3のサブ膜126の孔隙率は、同一であってもよいし、異なってもよいが、多孔質基体110から徐々に離れる方向に沿って、複数の第3のサブ膜126の孔隙率は低下するか、又は一定である。具体的な一例において、第3のサブ膜126は、2つあり、多孔質基体110から徐々に離れる方向に沿って、2つの第3のサブ膜126の孔隙率は、次第に低下する。他の具体的な例において、第3のサブ膜126は、2つあり、2つの第3のサブ膜126の孔隙率は、同一であり、第1のサブ膜122の孔隙率と同一であるか、又は第2のサブ膜124の孔隙率と同一であるか、又は、第1のサブ膜122と第2のサブ膜124の孔隙率との間に介在している。理解できるものとして、第3のサブ膜126が3つ、4つ又は他の数ある場合、複数の第3のサブ膜126の孔隙率は、上記のように設定することができる。
【0064】
具体的に、第3のサブ膜126は、金属膜又は合金膜である。具体的に、第3のサブ膜126は、ニッケル膜、チタン膜、ニッケル鉄合金膜、ニッケル銅合金膜、ニッケルクロム合金膜、及び鉄クロム合金膜のうちの1つから選択される。具体的な一例において、第3のサブ膜126は、多孔質ニッケル膜、多孔質チタン膜、多孔質ニッケル鉄合金膜、多孔質ニッケル銅合金膜、多孔質ニッケルクロム合金膜及び多孔質鉄クロムアルミニウム合金膜のうちの1つから選択される。
【0065】
いくつかの実施例において、第3のサブ膜126は、厚膜孔であり、第3のサブ膜126を製作する過程で使用される造孔剤は、デンプン、炭素粉末、炭酸水素アンモニウム、PMMAマイクロスフェア(ポリメチルメタクリレートマイクロスフェア)、PSマイクロスフェア(ポリスチレンマイクロスフェア)、石灰石、ドロマイト、沸石、パーライト及び浮石のうちの少なくとも1つから選択される。
【0066】
同様に理解できるものとして、第3のサブ膜126の材質は第1のサブ膜122及び第2のサブ膜124の材質とは、同一であってもよいし、異なってもよい。また、第3のサブ膜126の材質は、金属又は合金に限定されず、霧化基質を加熱して霧化することができる、導電セラミックなどの他の材料であってもよく、第3のサブ膜126の孔隙率が上記の要求を満たすものであればよい。
【0067】
第1のサブ膜122と第2のサブ膜124との間に第3のサブ膜126が設けられることにより、発熱膜120の厚さを増加するとともに、毛細管現象により霧化基質を発熱膜120上に案内して空焼きを回避し、さらに高出力電池にも耐える。
【0068】
発熱膜120が第3のサブ膜126を更に含む場合、第1のサブ膜122への第3のサブ膜126の正投影は、第1のサブ膜122内にあり、第3のサブ膜126への第2のサブ膜124の正投影は、第3のサブ膜126内にある。
【0069】
この場合、発熱体100の製作ステップは、スクリーン印刷の方法によって第1のサブ膜122、第3のサブ膜126、及び第2のサブ膜124を多孔質基体110上に順に印刷した後、真空焼結を行うことを含む。
【0070】
具体的には、まず、スクリーン印刷によって1層の第1のサブ膜122を多孔質基体110上に印刷し、第3のサブ膜126を第1のサブ膜122上に重ねて印刷し、第3のサブ膜126の線幅は第1のサブ膜122の線幅以下である。次に、第2のサブ膜124を第3のサブ膜126上に重ねて印刷し、第2のサブ膜124の線幅は第3のサブ膜126の線幅以下である。具体的な一例において、第1のサブ膜122の線幅は、0.2mm~1mmであり、第3のサブ膜126の線幅は、0.2mm~1mmであり、第2のサブ膜124の線幅は、0.2mm~1mmである。理解できるものとして、上記では、第1のサブ膜122、第3のサブ膜126、及び第2のサブ膜124の線幅の一例のみが挙げられているが、第1のサブ膜122、第3のサブ膜126及び第2のサブ膜124の線幅は、これに限定されず、実際に状況に応じて調整されてもよい。
【0071】
第3のサブ膜126が複数ある場合、多孔質基体110から離れる方向に沿って、前の第3のサブ膜126への後の第3のサブ膜126の正投影は、前の第3のサブ膜126内にある。最後の第3のサブ膜126への第2のサブ膜124の正投影は、最後の第3のサブ膜126内にある。
【0072】
本実施形態の発熱体100は、少なくとも以下のような利点がある。
(1)上記発熱体100は、多孔質基体110と発熱膜120とを備え、多孔質基体110は、霧化基質を案内するために用いられ、発熱膜120は、霧化基質を加熱して霧化するために用いられる。発熱膜120は、積層して設けられた第1のサブ膜122と第2のサブ膜124とを含み、第1のサブ膜122は、多孔質基体110の表面に位置し、第1のサブ膜122は毛細管現象により霧化基質をセラミック表面から発熱膜120上により良く吸着することができ、オイルの供給を十分にし、低温霧化効果を実現し、霧化過程での空焼きを回避することができる。また、本発明者らは、発熱膜120は第1のサブ膜122のみを含む場合、抵抗値がより高くて実際の適用が困難となることを発見したところ、第1のサブ膜122上に孔隙率が低い第2のサブ膜124又は無孔の第2のサブ膜124を積層することにより、オイルの供給を十分にし、霧化効果が良くなるように保証すると同時に、抵抗値を低減し、発熱体100の実際の適用を可能とすることを見出した。
(2)上記発熱体100の第2のサブ膜124は、更に液体爆発を低減する役割も果たすことができる。実験により、発熱膜120が第1のサブ膜122のみを含む場合、液体爆発のデシベルが70dbであり、発熱膜120が第1のサブ膜122と第2のサブ膜124を含む場合、液体爆発のデシベルは著しく低下することが証明された。
(3)上記発熱体100の発熱膜120は、少なくとも1つの第3のサブ膜126を更に含んでもよく、発熱膜120の厚さを増加するとともに、毛細管現象により霧化基質を発熱膜120上に案内して空焼きを回避し、さらに高出力電池にも耐える。
【0073】
本発明の第2の態様は、一実施形態のアトマイザーを提供する。当該アトマイザーは、液体貯蔵器と発熱体とを備え、液体貯蔵器は、霧化基質を貯蔵するために用いられ、発熱体は、液体貯蔵器内の霧化基質を加熱して霧化するために用いられる。発熱体は、上記の実施形態の発熱体であるため、ここでは繰り返して説明されない。
【0074】
当該アトマイザーは、具体的に、霧化基質を霧化してエアロゾルを発生させるために用いられるものであり、例えば医療、電子エアロゾル化装置などの異なる分野に用いられる。一実施例において、当該アトマイザーは、霧化基質を霧化して吸入者が吸入するエアロゾルを発生させる電子エアロゾル化装置に用いられてもよい。例えば、当該アトマイザーは、電子タバコに用いられてもよい。理解できるものとして、他の実施例において、当該アトマイザーは、これに限定されず、医療用薬剤などを霧化して上部及び下部呼吸器疾患を治療するための医療装置に更に適用されてもよい。
【0075】
上記アトマイザーは、霧化過程においてオイルの供給を十分にし、低温霧化効果を実現し、霧化過程での空焼きを回避することができる。
【0076】
本発明の第3の態様は、一実施形態の電子霧化装置を提供する。当該電子霧化装置は、電源アセンブリとアトマイザーとを備え、電源アセンブリは、アトマイザーに給電するために用いられる。アトマイザーは、上記の実施形態のアトマイザーであるため、ここでは繰り返して説明されない。具体的な一例において、電源アセンブリは、アトマイザーに給電するための電池と、アトマイザーの動作を制御するためのコントローラとを含む。
【0077】
一実施例において、電子霧化装置は、電子タバコであってもよい。
【0078】
上記電子霧化装置は、霧化過程においてオイルの供給を十分にし、低温霧化効果を実現し、霧化過程での空焼きを回避することができる。
【0079】
以下、本発明の目的及び利点をより明確にするために、具体的な実施例を参照して本発明の発熱体及びその効果を更に詳細に説明する。理解すべきものとして、ここで説明する具体的な実施例は、本発明を解釈するためだけのものであり、本発明を限定するものではない。
【0080】
(実施例1)
本実施例は、多孔質基体と発熱膜とを備える発熱体を提供する。多孔質基体は、多孔質コージェライトセラミックであり、多孔質基体の平均孔径は8~15μmであり、孔隙率は50%であり、厚さは4mmである。発熱膜は、積層して設けられた第1のサブ膜と第2のサブ膜とを含む。第1のサブ膜は、多孔質基体の表面に位置し、材質がニッケル鉄合金膜であり、第1のサブ膜の平均孔径は1mmであり、孔隙率は35%であり、厚さは500μmである。第2のサブ膜は、多孔質基体から離れた第1のサブ膜の一方側に設けられ、材質がニッケル鉄合金膜であり、第2のサブ膜の平均孔径は0.2mmであり、孔隙率は22%であり、厚さは30μmである。本実施例において、第1のサブ膜及び第2のサブ膜は、いずれもシルク印刷厚膜である。それと同時に、第1のサブ膜及び第2のサブ膜の多孔質構造は、いずれも厚膜孔である。
【0081】
(実施例2)
本実施例は、多孔質基体と発熱膜とを備える発熱体を提供する。多孔質基体は、多孔質二酸化ケイ素セラミックであり、多孔質基体の平均孔径は20~25μmであり、孔隙率は60%であり、厚さは3mmである。発熱膜は、積層して設けられた第1のサブ膜と第2のサブ膜とを含む。第1のサブ膜は、多孔質基体の表面に位置し、材質がニッケルクロム合金膜であり、第1のサブ膜の平均孔径は0.5mmであり、孔隙率は20%であり、厚さは150μmである。第2のサブ膜は、多孔質基体から離れた第1のサブ膜の一方側に設けられ、材質がニッケルクロム合金膜であり、第2のサブ膜の平均孔径は0.2mmであり、孔隙率は10%であり、厚さは10μmである。本実施例において、第1のサブ膜中の孔は、いずれもその厚さ方向に沿って第1のサブ膜を貫通し、第1のサブ膜は、緻密な金属薄板を採用し、その上の孔は、レーザー、エッチング、プレスなどによって製作され、第2のサブ膜の多孔質構造は、厚膜孔であり、第2のサブ膜は、スクリーン印刷によって第1のサブ膜の表面に製作される。
【0082】
(実施例3)
本実施例は、実施例1の発熱体の構造に類似した発熱体を提供し、相違点として、本実施例の発熱膜は、第1のサブ膜と第2のサブ膜との間に設けられた第3のサブ膜を更に含み、第3のサブ膜の材質は、鉄クロムアルミニウムであり、平均孔径は0.1mmであり、孔隙率は2%であり、厚さは5μmである。
【0083】
(実施例4)
本実施例は、実施例1の発熱体の構造に類似した発熱体を提供し、相違点として、第2のサブ膜は無孔構造である。
【0084】
(実施例5)
本実施例は、実施例1の発熱体の構造に類似した発熱体を提供し、相違点として、第2のサブ膜の孔隙率は5%である。
【0085】
(比較例1)
比較例1は、多孔質基体と発熱膜とを備える発熱体を提供する。多孔質基体は、多孔質二酸化ケイ素セラミックであり、平均孔径が15μmであり、孔隙率が60%であり、厚さが4mmである。発熱膜は、無孔のニッケルクロム金属膜であり、厚さが500μmである。
【0086】
(比較例2)
比較例2は、実施例1の発熱体の構造に類似した発熱体を提供し、相違点として、発熱膜は、第2のサブ膜を含むことなく、第1のサブ膜のみを含む。
【0087】
上記の実施例及び比較例の発熱体について耐空焼き試験を行い、以下の表1に示す試験データを得た。ここで、耐空焼き試験では、セラミック霧化コアを煙弾に装着し、機械吸引過程で空焼きが発生するまでの吸引回数を測定した。
【0088】
【0089】
以上説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲内であると考えられるべきである。
【0090】
以上説明した実施例は、本発明の技術的解決手段を具体的且つ詳細に理解することを容易にするために、本発明のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、本発明の特許の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本願の思想から逸脱することなく、本願の範囲に含まれるいくつかの変形および改善を行うことができることに留意されたい。なお、本発明によって提供される技術的解決手段に基づいて、当業者が論理的分析、推論、又は限定的実験によって得られる技術的解決手段は、全て本発明に添付された特許請求の範囲の保護範囲内にある。したがって、本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲の内容に従うべきであり、明細書及び添付の図面は、特許請求の範囲の内容を解釈するためのものである。