(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029497
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240228BHJP
H01F 27/02 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F27/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131800
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】西 淑嘉
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA12
5E070BB03
5E070CB02
5E070CB13
5E070DA15
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】被覆層が素体本体から剥がれてしまうことを抑制する。
【解決手段】第1主面11Aに垂直な方向を向いて視たとき、インダクタ配線30は、1周以上巻き回されている周回経路CRを有している。素体11は、絶縁性の素体本体20と、素体本体20とは光学的な性質が異なっている第1被覆層61と、を有している。第1被覆層61は、第1主面11Aと平行である。第1被覆層61は、周回経路CRの第1主面11A側の端に対して第1主面11A側に位置している。第1主面11Aに垂直な方向を向いて視たとき、第1被覆層61は、周回経路CRの全体に重複しているとともに、第1被覆層61の外縁に囲まれる範囲は、前記素体本体20の外縁に囲まれる範囲よりも小さくなっている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、
を備え、
前記素体の外面のうち、1つの平面を主面としたとき、
前記主面に垂直な方向を向いて視たとき、前記インダクタ配線は、1周以上巻き回されている周回経路を有しており、
前記素体は、絶縁性の素体本体と、前記素体本体とは光学的な性質が異なっており、前記素体の前記外面のうちの1つの平面である第1面と平行な被覆層と、を有しており、
前記被覆層は、前記周回経路の前記第1面側の端に対して前記第1面側に位置しており、
前記第1面に垂直な方向を向いて視たとき、前記被覆層は、前記周回経路の全体に重複しているとともに、前記被覆層の外縁に囲まれる範囲は、前記素体本体の外縁に囲まれる範囲よりも小さくなっている
インダクタ部品。
【請求項2】
前記被覆層は、前記第1面から外部に露出していない
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記被覆層は、すべて前記素体本体の内部に位置している
請求項2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記第1面の少なくとも一部が、前記被覆層の表面である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記第1面のすべてが、前記被覆層の表面である
請求項4に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記第1面に垂直な方向を向いて視たとき、前記被覆層の外縁の一部は、前記素体本体の外縁と一致している
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記被覆層を第1被覆層とし、
6つの前記外面のうち、前記第1面と平行な面を第2面としたとき、
前記素体は、前記第1被覆層と平行な第2被覆層を、さらに有しており、
前記第2被覆層は、前記周回経路の前記第2面側の端に対して前記第2面側に位置しており、
前記第1面に垂直な方向を向いて視たとき、前記第2被覆層は、前記周回経路の全体に重複しているとともに、前記第2被覆層の外縁に囲まれる範囲は、前記素体本体の外縁に囲まれる範囲よりも小さくなっている
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記第2被覆層は、すべて前記素体本体の内部に位置している
請求項7に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記第2面のすべてが、前記第2被覆層の表面である
請求項7に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記素体本体は、複数の絶縁部を有しており、
複数の前記絶縁部は、前記主面に垂直な方向に積層されており、
前記第1面は、前記主面である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
特定の波長での前記被覆層の光の透過率は、前記特定の波長での前記素体本体の光の透過率よりも小さくなっている
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
前記素体本体は、複数の絶縁部を有しており、
複数の前記絶縁部は、焼結体である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電子部品は、素体と、素体の内部に位置する内部電極層と、を備えている。素体は、6つの外面を有する直方体状である。素体は、素体本体と、被覆層と、を有している。被覆層は、素体本体とは異なる材料からなっている。被覆層は、素体本体の6つの外面のうちの1つの外面の全体を覆っている。つまり、6つの外面のうち1つの外面は、被覆層のみからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような電子部品において、被覆層の外縁は、外面と外面との境界、すなわち素体の角に位置している。そして、素体の角は、他の物体に衝突しやすい箇所である。そのため、素体が他の物体に衝突したときに被覆層の外縁が他の物体に衝突しやすい。そして、被覆層と素体本体とは、材料が異なるため、素体本体との密着力が素体本体の内部の強度よりも低くなる場合がある。よって、被覆層の外縁が他の物体に衝突すれば、その外縁を起点として被覆層が素体本体から剥がれてしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、素体と、前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、を備え、前記素体の外面のうち、1つの平面を主面としたとき、前記主面に垂直な方向を向いて視たとき、前記インダクタ配線は、1周以上巻き回されている周回経路を有しており、前記素体は、絶縁性の素体本体と、前記素体本体とは光学的な性質が異なっており、前記素体の前記外面のうちの1つの平面である第1面と平行な被覆層と、を有しており、前記被覆層は、前記周回経路の前記第1面側の端に対して前記第1面側に位置しており、前記第1面に垂直な方向を向いて視たとき、前記被覆層は、前記周回経路の全体に重複しているとともに、前記被覆層の外縁に囲まれる範囲は、前記素体本体の外縁に囲まれる範囲よりも小さくなっているインダクタ部品である。
【0006】
上記構成によれば、第1面に垂直な方向を向いてインダクタ部品を視たとき、被覆層の外縁の一部は、素体本体20の外縁と一致していない。そのため、被覆層と素体本体との接触面に平行に力が加わるように、インダクタ部品が他の物体に直接衝突してしまう確率を減らせる。そのため、被覆層の外縁を起点として、被覆層が素体本体から剥がれてしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0007】
被覆層が素体本体から剥がれてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のインダクタ部品の斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態のインダクタ部品の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態のインダクタ部品の透過平面図である。
【
図4】
図4は、変更例のインダクタ部品の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、変更例のインダクタ部品の平面図である。
【
図6】
図6は、変更例のインダクタ部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<一実施形態>
以下、インダクタ部品の一実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために、構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0010】
(全体構成について)
図1に示すように、インダクタ部品10は、直方体状の素体11を備えている。また、
図3に示すように、インダクタ部品10は、素体11の内部で延びているインダクタ配線30と、インダクタ配線30の第1端に接続している第1電極40と、インダクタ配線30の第2端に接続している第2電極50と、を備えている。
【0011】
図2に示すように、素体11は、全体として、複数の板状の層が積層されたような構造になっている。また、各層は、平面視で長方形状になっている。そして、素体11は直方体状であることから6つの外面を有している。6つの外面は、すべて平面である。
図1に示すように、これら6つの外面のうち、各層の主面と平行な特定の1つの平面を第1主面11Aとする。また、第1主面11Aと平行な平面を第2主面11Bとする。そして、第1主面11Aに垂直な特定の1つの平面を第1端面11Cとする。また、第1端面11Cに平行な面を第2端面11Dとする。さらに、第1主面11A及び第1端面11Cのいずれにも垂直な特定の1つの平面を底面11Eとする。また、底面11Eと平行な面を天面11Fとする。
【0012】
なお、以下の説明では、複数の層が積層する方向に沿う軸、すなわち第1主面11Aに垂直な軸を第1軸Xとする。また、第1端面11Cに垂直な軸を第2軸Yとする。さらに、底面11Eに垂直な軸を第3軸Zとする。そして、第1軸Xに沿う方向のうちの第1主面11Aが向く方向を第1正方向X1とし、第1正方向X1と反対方向を第1負方向X2とする。また、第2軸Yに沿う方向のうちの第1端面11Cが向く方向を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1と反対方向を第2負方向Y2とする。さらに、第3軸Zに沿う方向のうちの天面11Fが向く方向を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1と反対方向を第3負方向Z2とする。
【0013】
図2に示すように、素体11は、第1層L1~第9層L9を有している。第1層L1~第9層L9は、この順で第1負方向X2に並んでいる。第1層L1~第9層L9の厚み、すなわちX軸に沿う方向の寸法は、すべて略同一である。
図3に示すように、第1層L1は、第1電極部41と、第2電極部51と、第1配線部31と、第1絶縁部21と、によって構成されている。なお、
図3では、第1層L1を実線で示している。
【0014】
第1電極部41は、銀などの導電性材料からなっている。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1電極部41は、全体としてL字状になっている。第1電極部41は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の中心よりも第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置している。より具体的には、第1電極部41は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側の角を含む箇所に位置している。
【0015】
第2電極部51は、銀などの導電性材料からなっている。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第2電極部51は、全体としてL字状になっている。第2電極部51は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の中心よりも第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置している。つまり、第2電極部51は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の中心よりも第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側の角を含む箇所に位置している。
【0016】
第1配線部31は、銀などの導電性材料からなっている。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1配線部31は、全体として、第1層L1の中心を概ねの中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第1配線部31の第1端部31Aは、第1電極部41の第3軸Zに沿う方向における第3正方向Z1側の端部に接続している。すなわち、第1端部31Aは、インダクタ配線30の第1端である。第1配線部31の配線幅は、第2端部31Bを除いて略一定となっている。第1配線部31の第2端部31Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第3軸Zに沿う方向における第1層L1の中央より第3正方向Z1側である。また、第1配線部31の第2端部31Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第2軸Yに沿う方向における第1層L1の中央より第2正方向Y1側である。そして、第1負方向X2を向いて第1配線部31を視たときに、第1配線部31は、第1端部31Aから第2端部31Bに向かって時計回りに延びている。
【0017】
第1配線部31の第2端部31Bは、後述するビア32と接続するためのパッドとして機能している。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第2端部31Bは、略円形状になっている。また、第1配線部31の第2端部31Bは、第1配線部31の他の部分よりも配線幅が大きくなっている。
【0018】
第1層L1において、第1電極部41と、第2電極部51と、第1配線部31と、を除く部分は、第1絶縁部21である。第1絶縁部21は、ガラス、樹脂、アルミナなど非磁性の絶縁体からなっている。第1絶縁部21は、可視光下において無色透明である。
【0019】
図2に示すように、第2層L2は、第1層L1の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第2層L2は、第1層L1と同じ長方形状である。第2層L2は、第3電極部42と、第4電極部52と、ビア32と、第2絶縁部22と、によって構成されている。
【0020】
第3電極部42は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第3電極部42は、第1電極部41と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第3電極部42は、第1電極部41と同じ箇所に位置している。そのため、第3電極部42は、第1電極部41の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0021】
第4電極部52は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第4電極部52は、第2電極部51と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第4電極部52は、第2電極部51と同じ箇所に位置している。そのため、第4電極部52は、第2電極部51の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0022】
ビア32は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア32は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア32は、第1配線部31の第2端部31Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア32は、第1配線部31の第2端部31Bと電気的に接続している。そして、ビア32は、第1配線部31の第2端部31Bから第1負方向X2に延びている。
【0023】
第2層L2において、第3電極部42と、第4電極部52と、ビア32と、を除く部分は、第2絶縁部22である。第2絶縁部22は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0024】
第3層L3は、第2層L2の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たときに、第3層L3は、第1層L1と同じ長方形状である。第3層L3は、第5電極部43と、第6電極部53と、第2配線部33と、第3絶縁部23と、によって構成されている。
【0025】
第5電極部43は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たときに、第5電極部43は、第3電極部42と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第3層L3を視たときに、第5電極部43は、第3電極部42と同じ箇所に位置している。そのため、第5電極部43は、第3電極部42の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0026】
第6電極部53は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たときに、第6電極部53は、第4電極部52と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第3層L3を視たときに、第6電極部53は、第4電極部52と同じ箇所に位置している。そのため、第6電極部53は、第4電極部52の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0027】
第2配線部33は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たときに、第2配線部33は、全体として、第3層L3の中心を概ねの中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第2配線部33の第1端部33Aの位置は、ビア32の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第2配線部33の第1端部33Aは、ビア32に接続している。第2配線部33の配線幅は、第1端部33A及び第2端部33Bを除いて略一定となっている。第2配線部33の第2端部33Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第3軸Zに沿う方向における第3層L3の中央より第3負方向Z2側である。また、第2配線部33の第2端部33Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第2軸Yに沿う方向における第3層L3の中央より第2正方向Y1側である。さらに、第2配線部33の第2端部33Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第1配線部31の第2端部31Bの第2軸Yに沿う方向における位置よりも第2軸Yに沿う方向における中央側である。そして、第1負方向X2を向いて第2配線部33を視たときに、第2配線部33は、第1端部33Aから第2端部33Bに向かって時計回りに延びている。
【0028】
第3層L3において、第5電極部43と、第6電極部53と、第2配線部33と、を除く部分は、第3絶縁部23である。第3絶縁部23は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0029】
第4層L4は、第3層L3の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第4層L4を視たときに、第4層L4は、第1層L1と同じ長方形状である。第4層L4は、第7電極部44と、第8電極部54と、ビア34と、第4絶縁部24と、によって構成されている。
【0030】
第7電極部44は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第4層L4を視たときに、第7電極部44は、第5電極部43と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第4層L4を視たときに、第7電極部44は、第5電極部43と同じ箇所に位置している。そのため、第7電極部44は、第5電極部43の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0031】
第8電極部54は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第4層L4を視たときに、第8電極部54は、第6電極部53と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第4層L4を視たときに、第8電極部54は、第6電極部53と同じ箇所に位置している。そのため、第8電極部54は、第6電極部53の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0032】
ビア34は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア34は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア34は、第2配線部33の第2端部33Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア34は、第2配線部33の第2端部33Bと電気的に接続している。そして、ビア34は、第2配線部33の第2端部33Bから第1負方向X2に延びている。
【0033】
第4層L4において、第7電極部44と、第8電極部54と、ビア34と、を除く部分は、第4絶縁部24である。第4絶縁部24は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0034】
第5層L5は、第4層L4の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たときに、第5層L5は、第1層L1と同じ長方形状である。第5層L5は、第9電極部45と、第10電極部55と、第3配線部35と、第5絶縁部25と、によって構成されている。
【0035】
第9電極部45は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たときに、第9電極部45は、第7電極部44と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第5層L5を視たときに、第9電極部45は、第7電極部44と同じ箇所に位置している。そのため、第9電極部45は、第7電極部44の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0036】
第10電極部55は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たときに、第10電極部55は、第8電極部54と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第5層L5を視たときに、第10電極部55は、第2電極部51と同じ箇所に位置している。そのため、第10電極部55は、第8電極部54の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0037】
第3配線部35は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たときに、第3配線部35は、全体として、第5層L5の中心を概ねの中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第3配線部35の第1端部35Aの位置は、ビア34の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第3配線部35の第1端部35Aは、ビア34に接続している。第3配線部35の配線幅は、第1端部35A及び第2端部35Bを除いて略一定となっている。第3配線部35の第2端部35Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第3軸Zに沿う方向における第5層L5の中央より第3負方向Z2側である。また、第3配線部35の第2端部35Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第2軸Yに沿う方向における第5層L5の中央より第2負方向Y2側である。そして、第1負方向X2を向いて第3配線部35を視たときに、第3配線部35は、第1端部35Aから第2端部35Bに向かって時計回りに延びている。
【0038】
第5層L5において、第9電極部45と、第10電極部55と、第3配線部35と、を除く部分は、第5絶縁部25である。第5絶縁部25は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0039】
第6層L6は、第5層L5の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第6層L6を視たときに、第6層L6は、第1層L1と同じ長方形状である。第6層L6は、第11電極部46と、第12電極部56と、ビア36と、第6絶縁部26と、によって構成されている。
【0040】
第11電極部46は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第6層L6を視たときに、第11電極部46は、第9電極部45と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第6層L6を視たときに、第11電極部46は、第9電極部45と同じ箇所に位置している。そのため、第11電極部46は、第9電極部45の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0041】
第12電極部56は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第6層L6を視たときに、第12電極部56は、第10電極部55と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第6層L6を視たときに、第12電極部56は、第10電極部55と同じ箇所に位置している。そのため、第12電極部56は、第10電極部55の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0042】
ビア36は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア36は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア36は、第3配線部35の第2端部35Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア36は、第3配線部35の第2端部35Bと電気的に接続している。そして、ビア36は、第3配線部35の第2端部35Bから第1負方向X2に延びている。
【0043】
第6層L6において、第11電極部46と、第12電極部56と、ビア36と、を除く部分は、第6絶縁部26である。第6絶縁部26は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0044】
第7層L7は、第6層L6の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たときに、第7層L7は、第1層L1と同じ長方形状である。第7層L7は、第13電極部47と、第14電極部57と、第4配線部37と、第7絶縁部27と、によって構成されている。
【0045】
第13電極部47は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たときに、第13電極部47は、第11電極部46と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第7層L7を視たときに、第13電極部47は、第11電極部46と同じ箇所に位置している。そのため、第13電極部47は、第11電極部46の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0046】
第14電極部57は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たときに、第14電極部57は、第12電極部56と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第7層L7を視たときに、第14電極部57は、第12電極部56と同じ箇所に位置している。そのため、第14電極部57は、第12電極部56の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0047】
第4配線部37は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たときに、第4配線部37は、全体として、第7層L7の中心を概ねの中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第4配線部37の第1端部37Aの位置は、ビア36の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第4配線部37の第1端部37Aは、ビア36に接続している。第4配線部37の配線幅は、第1端部37A及び第2端部37Bを除いて略一定となっている。第4配線部37の第2端部37Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第3軸Zに沿う方向における第7層L7の中央より第3正方向Z1側である。また、第4配線部37の第2端部37Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第2軸Yに沿う方向における第7層L7の中央より第2負方向Y2側である。さらに、第4配線部37の第2端部37Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第1端部37Aの第2軸Yに沿う方向における位置よりも第2負方向Y2側である。そして、第1負方向X2を向いて第4配線部37を視たときに、第4配線部37は、第1端部37Aから第2端部37Bに向かって時計回りに延びている。また、第4配線部37は、インダクタ配線30の延び方向における中央を通る第3軸Zに沿う方向の軸を回転軸として、第2配線部33と回転対称となっている。
【0048】
第7層L7において、第13電極部47と、第14電極部57と、第4配線部37と、を除く部分は、第7絶縁部27である。第7絶縁部27は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0049】
第8層L8は、第7層L7の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第8層L8を視たときに、第8層L8は、第1層L1と同じ長方形状である。第8層L8は、第15電極部48と、第16電極部58と、ビア38と、第8絶縁部28と、によって構成されている。
【0050】
第15電極部48は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第8層L8を視たときに、第15電極部48は、第13電極部47と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第8層L8を視たときに、第15電極部48は、第13電極部47と同じ箇所に位置している。そのため、第15電極部48は、第13電極部47の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0051】
第16電極部58は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第8層L8を視たときに、第16電極部58は、第14電極部57と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第8層L8を視たときに、第16電極部58は、第14電極部57と同じ箇所に位置している。そのため、第16電極部58は、第14電極部57の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0052】
ビア38は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア38は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア38は、第4配線部37の第2端部37Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア38は、第4配線部37の第2端部37Bと電気的に接続している。そして、ビア38は、第4配線部37の第2端部37Bから第1負方向X2に延びている。
【0053】
第8層L8において、第15電極部48と、第16電極部58と、ビア38と、を除く部分は、第8絶縁部28である。第8絶縁部28は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0054】
第9層L9は、第8層L8の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たときに、第9層L9は、第1層L1と同じ長方形状である。第9層L9は、第17電極部49と、第18電極部59と、第5配線部39と、第9絶縁部29と、によって構成されている。
【0055】
第17電極部49は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たときに、第17電極部49は、第15電極部48と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第9層L9を視たときに、第17電極部49は、第15電極部48と同じ箇所に位置している。そのため、第17電極部49は、第15電極部48の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0056】
第18電極部59は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たときに、第18電極部59は、第16電極部58と同じ寸法のL字状である。また、第1負方向X2を向いて第9層L9を視たときに、第18電極部59は、第16電極部58と同じ箇所に位置している。そのため、第18電極部59は、第16電極部58の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0057】
第5配線部39は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たときに、第5配線部39は、全体として、第9層L9の中心を概ねの中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第5配線部39の第1端部39Aの位置は、ビア38の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第5配線部39の第1端部39Aは、ビア38に接続している。第5配線部39の配線幅は、第1端部39Aを除いて略一定となっている。第5配線部39の第2端部39Bは、第18電極部59の第3軸Zに沿う方向における第3正方向Z1側の端部に接続している。そして、第1負方向X2を向いて第5配線部39を視たときに、第5配線部39は、第1端部39Aから第2端部39Bに向かって時計回りに延びている。なお、第5配線部39の第2端部39Bは、インダクタ配線30の第2端である。また、第5配線部39は、インダクタ配線30の延び方向における中央を通る第3軸Zに沿う方向の軸を回転軸として、第1配線部31と回転対称となっている。
【0058】
第9層L9において、第17電極部49と、第18電極部59と、第5配線部39と、を除く部分は、第9絶縁部29である。第9絶縁部29は、第1絶縁部21と同じ材料の絶縁体からなっている。
【0059】
素体11は、第10層L10~第13層L13を、さらに有している。
第10層L10は、第1層L1の第1正方向X1を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第10層L10を視たときに、第10層L10は、第1層L1と同じ長方形状である。第10層L10は、第1被覆層61と、第10絶縁部66と、によって構成されている。
【0060】
第1被覆層61は、第1絶縁部21とは光学的な性質が異なる絶縁体からなっている。具体的には、第1被覆層61は、第1絶縁部21の材質に加えてコバルトを含む着色剤を含んでいる。そのため、第1被覆層61は、可視光下において青色である。
【0061】
第1被覆層61は、第1主面11Aに平行に広がっている。なお、本実施形態において、第1主面11Aが第1面である。第1負方向X2を向いて第10層L10を視たときに、第1被覆層61は、四角形状である。また、第1負方向X2を向いて第10層L10を視たときに、第1被覆層61の外縁は、第1層L1の外縁よりもすべて内側に位置している。
【0062】
第10層L10において、第1被覆層61を除く部分は、第10絶縁部66である。第10絶縁部66は、第1絶縁部21と同じ材質の絶縁体からなっている。第1負方向X2を向いて第10層L10を視たときに、第10絶縁部66は、第1被覆層61の外縁を囲んでいる。つまり、第10絶縁部66は、四角枠形状である。
【0063】
第11層L11は、第10層L10の第1正方向X1を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第11層L11を視たときに、第11層L11は、第1層L1と同じ長方形状である。第11層L11は、すべて第11絶縁部67によって構成されている。第11絶縁部67は、第1絶縁部21と同じ材質の絶縁体からなっている。
【0064】
第12層L12は、第9層L9の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1正方向X1を向いて第12層L12を視たときに、第12層L12は、第1層L1と同じ長方形状である。第12層L12は、第2被覆層62と、第12絶縁部68と、によって構成されている。
【0065】
第2被覆層62は、第1絶縁部21とは光学的な性質が異なる絶縁体からなっている。具体的には、第2被覆層62は、第1被覆層61と同様に、第1絶縁部21の材質に加えてコバルトを含む着色剤を含んでいる。そのため、第2被覆層62は、可視光下において青色である。
【0066】
第2被覆層62は、第2主面11Bに平行に広がっている。なお、本実施形態において、第2主面11Bが第2面である。第1正方向X1を向いて第12層L12を視たときに、第2被覆層62は、四角形状である。また、第1正方向X1を向いて第12層L12を視たときに、第2被覆層62の外縁は、第2層L2の外縁よりもすべて内側に位置している。
【0067】
第12層L12において、第2被覆層62を除く部分は、第12絶縁部68である。第12絶縁部68は、第1絶縁部21と同じ材質の絶縁体からなっている。第1正方向X1を向いて第12層L12を視たときに、第12絶縁部68は、第1被覆層61の外縁を囲んでいる。つまり、第10絶縁部66は、四角枠形状である。
【0068】
第13層L13は、第12層L12の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1正方向X1を向いて第13層L13を視たときに、第13層L13は、第1層L1と同じ長方形状である。第13層L13は、すべて第13絶縁部69によって構成されている。第13絶縁部69は、第1絶縁部21と同じ材質の絶縁体からなっている。
【0069】
上述のとおり、素体11は、第1絶縁部21~第13絶縁部69を有している。つまり、素体11は、第1軸Xに沿う方向に積層された複数の絶縁部を有している。なお、上述した第1絶縁部21~第9絶縁部29と、第10絶縁部66~第13絶縁部69と、は、焼結体である。そのため、複数の絶縁部は、一体化されている。そのため、これらの間に物理的な境界はない。以下では、これらを区別する必要がない場合には、素体本体20と総称する。なお、これら第1絶縁部21~第9絶縁部29、及び第10絶縁部66~第13絶縁部69は、一体化していなくてもよい。つまり、これらの間に物理的な境界があってもよい。
【0070】
また、第1配線部31と、第2配線部33と、第3配線部35と、第4配線部37と、第5配線部39と、ビア32と、ビア34と、ビア36と、ビア38と、は一体化されている。そのため、これらの間に物理的な境界はない。以下では、これらを区別する必要がない場合には、インダクタ配線30と総称する。そして、インダクタ配線30は、全体として、螺旋状に巻き回されている。そして、インダクタ配線30が巻き回される際の中心軸は、第1軸Xに沿う方向に延びる軸になっている。なお、第1配線部31と、第2配線部33と、第3配線部35と、第4配線部37と、第5配線部39と、ビア32と、ビア34と、ビア36と、ビア38と、は一体化されていなくてもよい。つまり、これらの間に物理的な境界があってもよい。
【0071】
さらに、上述した第1電極部41と、第3電極部42と、第5電極部43と、第7電極部44と、第9電極部45と、第11電極部46と、第13電極部47と、第15電極部48と、第17電極部49と、は一体化している。そして、これらが合わさって、第1電極40になっている。
【0072】
同様に、上述した第2電極部51と、第4電極部52と、第6電極部53と、第8電極部54と、第10電極部55と、第12電極部56と、第14電極部57と、第16電極部58と、第18電極部59と、は一体化している。そして、これらが合わさって、第2電極50になっている。
【0073】
そして、本実施形態においては、素体本体20と、第1電極40と、第2電極50と、第1被覆層61と、第2被覆層62と、によって、インダクタ部品10の素体11が構成されている。そして、インダクタ配線30は、素体11の内部で延びている。なお、インダクタ配線30と、第1電極40と、第2電極50とは、一体化していてもよい。つまり、インダクタ配線30と第1電極40との間や、インダクタ配線30と第2電極50との間に、物理的な境界はなくてもよい。
【0074】
第1層L1~第13層L13が積層された結果、
図1に示すように、素体11は、全体として長方形状になっている。
図3に示すように、第1電極40は、第1端面11Cから底面11Eにかけての領域で素体11の外部に露出している。また、第2電極50は、第2端面11Dから底面11Eにかけての領域で素体11の外部に露出している。
【0075】
図1に示すように、インダクタ部品10は、第1被覆電極71と、第2被覆電極72と、を備えている。第1被覆電極71は、第1電極40のうちの素体11から外部に露出している面を覆っている。第1被覆電極71は、図示は省略するが、ニッケルめっき、錫めっきの2層構造になっている。
【0076】
第2被覆電極72は、第2電極50のうちの素体11から外部に露出している面を覆っている。第2被覆電極72は、図示は省略するが、ニッケルめっき、錫めっきの2層構造になっている。なお、
図2及び
図3においては、第1被覆電極71と第2被覆電極72との図示を省略している。
【0077】
(インダクタ配線の周回経路について)
図3に示すように、インダクタ配線30は、全体として、第1軸Xに沿う方向に延びる中心軸を巻き中心として、螺旋状に延びている。そして、
図2に示すように、第1配線部31、第2配線部33、第3配線部35、第4配線部37、及び第5配線部39は、それぞれ、第1主面11Aに平行に延びている。
【0078】
ここで、
図3に示すように、第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たとき、第1配線部31、第2配線部33、第3配線部35、第4配線部37、及び第5配線部39は、周回経路CRを有している。周回経路CRは、第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、環状に1周巻き回されている。換言すると、周回経路CRは、第1負方向X2を向いてインダクタ部品10を透過して視たときに、インダクタ配線30のうち、少なくとも2つの層で重複している部分である。したがって、第1層L1の第1配線部31のうち、第1端部31Aを含む一部は、周回経路CRに含まれない。また、第9層L9の第5配線部39のうち、第2端部39Bを含む一部は周回経路CRに含まれない。
【0079】
周回経路CRは、上辺部分P1と、下辺部分P2と、第1側辺部分P3と、第2側辺部分P4と、第1斜辺部分P5と、第2斜辺部分P6と、を有している。
上辺部分P1は、第2軸Yに平行に延びている。上辺部分P1は、インダクタ配線30における天面11Fに最も近い箇所を含んでいる。つまり、上辺部分P1は、第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、第1配線部31と、第2配線部33とが重複している箇所のうち、天面11Fに最も近い箇所を含み、且つ第2軸Yに平行に延びている部分である。
【0080】
下辺部分P2は、第2軸Yに平行に延びている。下辺部分P2は、インダクタ配線30における底面11Eに最も近い箇所を含んでいる。つまり、下辺部分P2は、第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、第1配線部31と、第2配線部33とが重複している箇所のうち、底面11Eに最も近い箇所を含み、且つ第2軸Yに平行に延びている部分である。下辺部分P2の第2軸Yに沿う方向の寸法は、上辺部分P1の第2軸Yに沿う方向の寸法よりも小さくなっている。そして、下辺部分P2の第2正方向Y1側の端は、上辺部分P1の第2正方向Y1側の端よりも、第2負方向Y2側に位置している。また、下辺部分P2の第2負方向Y2側の端は、上辺部分P1の第2負方向Y2側の端よりも、第2正方向Y1側に位置している。
【0081】
第1側辺部分P3は、第3軸Zに平行に延びている。第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、第1側辺部分P3の第3正方向Z1側の端は、上辺部分P1の第2正方向Y1側の端の位置と一致している。第1側辺部分P3の第3負方向Z2側の端は、下辺部分P2の第2正方向Y1側の端よりも、第2正方向Y1側且つ第3正方向Z1側に位置している。
【0082】
第2側辺部分P4は、第3軸Zに平行に延びている。第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、第2側辺部分P4の第3正方向Z1側の端は、上辺部分P1の第2負方向Y2側の端の位置と一致している。第2側辺部分P4の第3負方向Z2側の端は、下辺部分P2の第2負方向Y2側の端よりも、第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側に位置している。
【0083】
第1斜辺部分P5は、第2軸Y及び第3軸Zのいずれに対しても斜めとなるように直線状に延びている。具体的には、第1斜辺部分P5は、第2負方向Y2側ほど第3負方向Z2側に位置するように斜めに延びている。第1斜辺部分P5の第3正方向Z1側の端は、第1側辺部分P3の第3負方向Z2側の端の位置と一致している。第1斜辺部分P5の第3負方向Z2側の端は、下辺部分P2の第2正方向Y1側の端の位置と一致している。
【0084】
第2斜辺部分P6は、第2軸Y及び第3軸Zのいずれに対しても斜めとなるように直線状に延びている。具体的には、第2斜辺部分P6は、第2正方向Y1側ほど第3負方向Z2側に位置するように斜めに延びている。第2斜辺部分P6の第3正方向Z1側の端は、第2側辺部分P4の第3負方向Z2側の端の位置と一致している。第2斜辺部分P6の第3負方向Z2側の端は、下辺部分P2の第2負方向Y2側の端の位置と一致している。
【0085】
このように、第3負方向Z2を向いてインダクタ配線30を視たときに、周回経路CRは、上辺部分P1、第2側辺部分P4、第2斜辺部分P6、下辺部分P2、第1斜辺部分P5、第1側辺部分P3の順番に、時計回りに周回している。
【0086】
(第1被覆層及び第2被覆層について)
図2に示すように、第1被覆層61は、周回経路CRの第1主面11A側の端に対して第1主面11A側に位置している。具体的には、周回経路CRの第1正方向X1側の端は、第1配線部31の第1正方向X1を向く面である。第1被覆層61は、第1配線部31が存在する第1層L1の第1正方向X1を向く面に積層されている。そのため、第1被覆層61は、第1配線部31に対して第1正方向X1側に位置している。
【0087】
そして、
図3に示すように、第1負方向X2を向いてインダクタ部品10を視たときに、第1被覆層61は、周回経路CRの全体に重複している。また、第1負方向X2を向いてインダクタ部品10を視たときに、第1被覆層61の外縁に囲まれる範囲は、前記素体本体20の外縁に囲まれる範囲よりも小さくなっている。そのため、第1被覆層61における第1正方向X1を向く面の全体は、第11絶縁部67に覆われていて、当該第1被覆層61は、第1主面11Aから外部に露出していない。さらに、第1負方向X2を向いてインダクタ部品10を視たときに、第1被覆層61の外縁のすべては、素体11の外縁の内側に位置している。つまり、第1被覆層61は、第1端面11C、第2端面11D、底面11E、及び天面11Fから露出していないため、すべて素体本体20の内部に位置している。
【0088】
ここで、特定の波長での第1被覆層61の光の透過率は、特定の波長での素体本体20の光の透過率よりも小さくなっている。本実施形態において特定の波長は、青色で視認される波長、すなわち430~490nmの範囲内のいずれかの波長である。具体的には、可視光下において、素体本体20は無色の透明である。一方で、可視光下において、第1被覆層61は、非透明の青色である。
【0089】
図2に示すように、第2被覆層62は、周回経路CRの第2主面11B側の端に対して第2主面11B側に位置している。具体的には、周回経路CRの第1負方向X2側の端は、第5配線部39の第1負方向X2を向く面である。第2被覆層62は、第5配線部39が存在する第9層L9の第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、第2被覆層62は、第5配線部39に対して第1負方向X2側に位置している。
【0090】
そして、第1被覆層61と同様に、第1正方向X1を向いてインダクタ部品10を視たときに、第2被覆層62は、周回経路CRの全体に重複している。また、第1正方向X1を向いてインダクタ部品10を視たときに、第2被覆層62の外縁に囲まれる範囲は、前記素体本体20の外縁に囲まれる範囲よりも小さくなっている。そのため、第2被覆層62における第1負方向X2を向く面の全体は、第13絶縁部69に覆われていて、当該第2被覆層62は、第2主面11Bから外部に露出してない。さらに、第1正方向X1を向いてインダクタ部品10を視たときに、第2被覆層62の外縁のすべては、素体11の外縁の内側に位置している。つまり、第2被覆層62は、第1端面11C、第2端面11D、底面11E、及び天面11Fから露出していないため、すべて素体本体20の内部に位置している。
【0091】
第1被覆層61と同様に、特定の波長での第2被覆層62の光の透過率は、特定の波長での素体本体20の光の透過率よりも小さくなっている。本実施形態において特定の波長は、青色で視認される波長、すなわち430~490nmの範囲内のいずれかの波長である。具体的には、可視光下において、第2被覆層62は、非透明の青色である。
【0092】
(実施形態の効果について)
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。なお、第1被覆層61及び第2被覆層62に共通する効果は、第1被覆層61を代表として説明し、第2被覆層62の説明は省略する。
【0093】
(1)上記実施形態によれば、第1負方向X2を向いてインダクタ部品10を視たときに、第1被覆層61の外縁の一部は、素体本体20の外縁と一致していない。そのため、第1被覆層61と素体本体20との接触面に平行に力が加わるように、インダクタ部品10が他の物体に直接接触してしまう確率を減らすことができる。そのため、第1負方向X2を向いてインダクタ部品10を視たときの第1被覆層61の外縁を起点として、第1被覆層61が素体本体20から剥がれてしまうことを抑制できる。
【0094】
(2)上記実施形態によれば、第1被覆層61は、第1主面11Aから外部に露出していない。つまり、第1被覆層61は、第1軸Xに沿う方向の両側から、素体本体20に挟まれている。よって、第1被覆層61は、素体本体20の一部が脱落しない限り、素体本体20から剥がれることはない。
【0095】
(3)上記実施形態によれば、第1被覆層61は、すべて素体本体20の内部に位置している。つまり、第1被覆層61と素体本体20との界面は、外部に露出していない。そのため、インダクタ部品10の外部からの衝撃が、第1被覆層61と素体本体20との界面に直接的に加わりにくくなる。
【0096】
(4)上記実施形態によれば、素体本体20は、複数の絶縁部を有している。複数の絶縁部は、第1軸Xに沿う方向に積層されている。また、第1被覆層61は、第1軸Xに直交する方向に広がっている。つまり、複数の絶縁部及び第1被覆層61を、第1軸Xに沿う方向に積層することで製造できる。よって、比較的に容易に、インダクタ部品10を製造できる構造を実現できる。
【0097】
(5)上記実施形態によれば、特定の波長での第1被覆層61の光の透過率は、同じ波長での素体本体20の光の透過率よりも小さくなっている。そして、第1負方向X2を向いてインダクタ部品10を視たときに、第1被覆層61が、周回経路CRの全体に重複している。そのため、素体11の第1主面11Aを観察したときに、インダクタ配線30の周回経路CRの全体が第1被覆層61に覆われているような状態になる。つまり、第1主面11Aを光学的に観察する際に、第1被覆層61を、周回経路CRに対する光学的なカバーとして利用できる。したがって、第1主面11Aを光学的に観察する際に、周回経路CRが邪魔になることを防げる。
【0098】
(6)上記実施形態によれば、複数の絶縁部は、焼結体であるため、絶縁部間の界面を視認しにくい。そのため、素体本体20を光学的に観察する際に、素体本体20におけるき裂等を発見しやすい。
【0099】
(7)上記実施形態のように、素体本体20、第1被覆層61、及び第2被覆層62のいずれも焼結体であることが好ましい。この場合、各層をグリーンシートや印刷塗布などで形成した後に焼結することで、一括して素体11を形成することができる。また、素体本体20、第1被覆層61、及び第2被覆層62のいずれも焼結体である場合、これら各層の間の密着力が向上する。
【0100】
<その他の実施形態>
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせて実施することができる。なお、第1被覆層61及び第2被覆層62に共通する点は、第1被覆層61を代表して説明するため、第2被覆層62の説明を省略する。
【0101】
・第1層L1~第13層L13の厚み、すなわち第1軸Xに沿う方向の寸法は、すべて同一でなくてもよい。すべての厚みが互いに異なっていてもよいし、一部の層の厚みが他の層の厚みと異なっていてもよい。
【0102】
・素体11は、第1軸Xに沿う方向に長い直方体であってもよいし、第3軸Zに沿う方向に長い直方体であってもよい。また、素体11は、第1軸Xに沿う方向の寸法、第2軸Yに沿う方向の寸法、及び第3軸Zに沿う方向の寸法が等しい直方体であってもよい。例えば、素体11の各軸に沿う方向の寸法について、第1軸Xに沿う方向の寸法が第3軸Zに沿う方向の寸法が等しく、且つ第2軸Yに沿う方向の寸法が第1軸Xに沿う方向の寸法よりも大きくてもよい。また例えば、素体11の各軸に沿う方向の寸法について、第2軸Yに沿う方向の寸法が第3軸Zに沿う方向の寸法より大きく、且つ第3軸Zに沿う方向の寸法が第1軸Xに沿う方向の寸法より大きくてもよい。また例えば、第2軸Yに沿う方向の寸法が第1軸Xに沿う方向の寸法より大きく、且つ第1軸Xに沿う方向の寸法が第3軸Zに沿う方向より大きくてもよい。
【0103】
・素体本体20の材質は、上記実施形態の例に限られず、絶縁性の材質であればよい。例えば、素体本体20の材質は、磁性の絶縁体であってもよい。また、素体本体20の一部が、他の部分と異なる絶縁体であってもよい。また例えば、素体本体20の材質は、焼結体ではなく、エポキシ樹脂等の有機材料からなっていてもよい。また例えば、素体本体20の色は、透明でなくてもよいし、透過性のある白色であってもよい。
【0104】
・素体本体20の構成は、上記実施形態の例に限られない。複数の絶縁部が第3軸Zに沿う方向に積層されていてもよい。また、素体本体20が1つの絶縁部により構成されていてもよい。
【0105】
・第1電極40の形状は、上記実施形態の例に限られない。例えば、第1電極40は、インダクタ配線30の第1端に接続されており、少なくとも一部が、素体11の外部に露出していればよい。また例えば、第1電極40を省略して、インダクタ配線30の第1端が第1被覆電極71に直接接続していてもよい。これらの点は、第2電極50についても同様である。
【0106】
・第1被覆電極71の構造は、上記実施形態の例に限られない。例えば、第1被覆電極71は、錫めっきのみから構成されていてもよい。また、第1被覆電極71は省略できる。この場合、例えば、第1電極40にはんだをつけることで、基板等に固定してもよい。これらの点は、第2被覆電極72についても同様である。
【0107】
(第1被覆層及び第2被覆層について)
・第1軸Xに沿う方向における第1被覆層61の位置、及び第1軸Xに沿う方向における第2被覆層62の位置は、上記実施形態の例に限られない。例えば、
図4に示す変更例のインダクタ部品110では、上記実施形態のインダクタ部品10と比べて、第1被覆層61の位置及び第2被覆層62の位置が異なっている。具体的には、インダクタ部品110では、第1被覆層61が第11層L11に存在している。そのため、第1主面11Aの一部が、第1被覆層61の表面である。これにより、第1被覆層61のすべてが素体本体20の内部に存在する場合よりも、インダクタ部品10の外部から第1被覆層61を視認しやすい。
【0108】
また、第2被覆層62が第13層L13に存在している。同様に、第2主面11Bの一部が、第2被覆層62の表面である。これにより、第2被覆層62のすべてが素体本体20の内部に存在する場合よりも、インダクタ部品10の外部から第2被覆層62を視認しやすい。
【0109】
・
図4に示す変更例のインダクタ部品110を製造する際には、例えば以下のようにすればよい。まず、第11層L11や第13層L13を形成する際に、素体本体20となる第11絶縁部67及び第13絶縁部69の中央部分にフォトリソやレーザ、機械加工などの公知の方法で貫通孔又は凹部を形成する。次に、当該貫通孔又は凹部に第1被覆層61や第2被覆層62の材料を塗布、充填などすればよい。
【0110】
・第1被覆層61の大きさは、上記実施形態の例に限られない。
図5に示す変更例のインダクタ部品210では、上記実施形態のインダクタ部品10と比べて、第1被覆層61の大きさが異なっている。具体的には、インダクタ部品210では、第1被覆層61の第2軸Yに沿う方向の寸法が、素体11の第2軸Yに沿う方向の寸法と一致している。そのため、第1負方向X2を向いてインダクタ部品210を視たときに、第1被覆層61の外縁の一部は、第1主面11Aの外縁と一致している。このようなインダクタ部品210は、例えば以下のように製造できる。先ず、複数のインダクタ部品210を第2軸Yに沿う方向に並べたマザーシートを形成する。その後、当該マザーシートを第3軸Zに沿う方向に切断することで、各インダクタ部品210を個片化する。この場合、シートを形成する際に、複数の第1被覆層61が第2軸Yに沿う方向にひとつながりとなるように形成できる。そのため、別個の第1被覆層61を形成する場合と比べて、製造工程を効率化できる。
【0111】
・また例えば、
図4に示す変更例のインダクタ部品110において、第11絶縁部67が省かれてもよい。その結果、第11層L11が第1被覆層61のみで構成されていてもよい。この場合、第1主面11Aのすべては、第1被覆層61である。なお、この場合であっても、第1被覆層61は、周回経路CRの第1主面11A側の端に対して第1主面11A側に位置している。この点、第2被覆層62についても同様に、第2主面11Bのすべてが、第2被覆層62となっていてもよい。なお、これらの場合、素体11は、直方体状でなくても、素体11の外面として、少なくとも1つの平面を有していればよい。
【0112】
上記のように、
図4に示す変更例のインダクタ部品110において、第11絶縁部67が省かれた構成を製造する際には、例えば以下のようにすればよい。まず、第10層L10の第10絶縁部66を形成した後、これらの主面上に第1被覆層61となる材料を塗布する。次に、パターニングやマスキングで素体本体20の外縁よりも内側に第1被覆層61を形成すればよい。
【0113】
・第1被覆層61及び第2被覆層62について、平面視したときの形状が、上記実施形態に限られない。例えば、第1負方向X2を向いて第1被覆層61を視たとき、第1被覆層61は、円状であってもよい。
【0114】
・第2被覆層62の位置及び大きさは、第1被覆層61と異なっていてもよい。例えば、上記実施形態のインダクタ部品10において、第1被覆層61が第11層L11に位置していてもよい。この変更例の場合、第1被覆層61と第2被覆層62とのうち、第1被覆層61のみが素体本体20の外部に露出している。そのため、素体本体20の第1主面11Aと第2主面11Bとで、光学的な性質、例えば青色の濃さが異なって視認される。これにより、第1主面11Aと第2主面11Bとを、インダクタ部品10の外部から視て、区別することができる。
【0115】
・第1被覆層61を平面視したときの形状は、第2被覆層62を平面視したときの形状と異なっていてもよい。例えば、第1正方向X1を向いて第2被覆層62を視たときの第2被覆層62の形状は、第1負方向X2を向いて第1被覆層61を視たときの第1被覆層61の形状と異なっていてもよい。この場合、素体本体20の第1主面11Aと第2主面11Bとで、青色の範囲の形状が異なって視認される。これにより、第1主面11Aと第2主面11Bとを、インダクタ部品10の外部から視て、区別することができる。
【0116】
・特定の波長での第1被覆層61の光の透過率は、同じ波長での素体本体20の光の透過率以上となっていてもよい。仮に、第1被覆層61を有しない場合と比べて、第1正方向X1を向いて素体11を視たときに、素体11が異なって見えればよい。つまり、第1被覆層61は、素体本体20と光学的な性質が異なっていればよい。また、特定の波長は、可視光域の波長に限られず、非可視光域の波長であってもよい。さらに、光学的性質は、明度、彩度、色度の少なくとも1つの性質を含んでいればよい。例えば、第1被覆層61は、可視光下で青色であるものに限られず、緑色であってもよいし、灰色であってもよいし、黒色であってもよい。
【0117】
・第1被覆層61の色は、第2被覆層62の色と異なっていてもよい。例えば、第1被覆層61は、可視光下で緑色であり、第2被覆層62は、可視光下で青色であってもよい。この場合、素体本体20の第1主面11Aと第2主面11Bとで、異なる色で視認される。これにより、第1主面11Aと第2主面11Bとを、インダクタ部品10の外部から視て、区別することができる。
【0118】
・インダクタ配線30の周回経路CRにおける中心軸は、第3軸Zに沿って延びていてもよい。この場合であっても、第1被覆層61は、第1負方向X2を向いてインダクタ部品10を視たときに、インダクタ配線30における周回経路CRの全体と重複していればよい。
【0119】
・インダクタ配線30の周回経路CRは、1周より大きく巻き回されていてもよい。例えば、各配線部が、渦巻状に1周より大きく巻き回されており、周回経路CRが1周より大きく巻き回されることがあり得る。なお、周回経路CRは、各層で1周以上巻き回されている必要はない。周回経路CRは、すべての層の総計で1周巻き回されていればよく、各層における周回経路CRは、1周未満であっても構わない。
【0120】
・第1面は、第1主面11Aに限られない。
図6に示す変更例のインダクタ部品310では、第1被覆層61は、天面11Fの一部となっている。そして、第1被覆層61は、図示は省略するが、第3負方向Z2を向いてインダクタ部品10を視たときに、インダクタ配線30の周回経路CRの全体と重複している。つまり、第1面は、天面11Fとなっている。
【0121】
上記各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
<1>
素体と、
前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、
を備え、
前記素体の外面のうち、1つの平面を主面としたとき、
前記主面に垂直な方向を向いて視たとき、前記インダクタ配線は、1周以上巻き回されている周回経路を有しており、
前記素体は、絶縁性の素体本体と、前記素体本体とは光学的な性質が異なっており、前記素体の前記外面のうちの1つの平面である第1面と平行な被覆層と、を有しており、
前記被覆層は、前記周回経路の前記第1面側の端に対して前記第1面側に位置しており、
前記第1面に垂直な方向を向いて視たとき、前記被覆層は、前記周回経路の全体に重複しているとともに、前記被覆層の外縁に囲まれる範囲は、前記素体本体の外縁に囲まれる範囲よりも小さくなっている
インダクタ部品。
【0122】
<2>
前記被覆層は、前記第1面から外部に露出していない
<1>に記載のインダクタ部品。
【0123】
<3>
前記被覆層は、すべて前記素体本体の内部に位置している
<2>に記載のインダクタ部品。
【0124】
<4>
前記第1面の少なくとも一部が、前記被覆層の表面である
<1>に記載のインダクタ部品。
【0125】
<5>
前記第1面のすべてが、前記被覆層の表面である
<4>に記載のインダクタ部品。
【0126】
<6>
前記第1面に垂直な方向を向いて視たとき、前記被覆層の外縁の一部は、前記素体本体の外縁と一致している
<1>~<5>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0127】
<7>
前記被覆層を第1被覆層とし、
6つの前記外面のうち、前記第1面と平行な面を第2面としたとき、
前記素体は、前記第1被覆層と平行な第2被覆層を、さらに有しており、
前記第2被覆層は、前記周回経路の前記第2面側の端に対して前記第2面側に位置しており、
前記第1面に垂直な方向を向いて視たとき、前記第2被覆層は、前記周回経路の全体に重複しているとともに、前記第2被覆層の外縁に囲まれる範囲は、前記素体本体の外縁に囲まれる範囲よりも小さくなっている
<1>~<6>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0128】
<8>
前記第2被覆層は、すべて前記素体本体の内部に位置している
<7>に記載のインダクタ部品。
【0129】
<9>
前記第2面のすべてが、前記第2被覆層の表面である
<7>に記載のインダクタ部品。
【0130】
<10>
前記素体本体は、複数の絶縁部を有しており、
複数の前記絶縁部は、前記主面に垂直な方向に積層されており、
前記第1面は、前記主面である
<1>~<9>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0131】
<11>
特定の波長での前記被覆層の光の透過率は、前記特定の波長での前記素体本体の光の透過率よりも小さくなっている
<1>~<10>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0132】
<12>
前記素体本体は、複数の絶縁部を有しており、
複数の前記絶縁部は、焼結体である
<1>~<11>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【符号の説明】
【0133】
10,110,210,310…インダクタ部品
11…素体
20…素体本体
30…インダクタ配線
31…第1配線部
32,34,36,38…ビア
33…第2配線部
35…第3配線部
37…第4配線部
39…第5配線部
40…第1電極
50…第2電極
61…第1被覆層
62…第2被覆層
71…第1被覆電極
72…第2被覆電極