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特開2024-29506液晶ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029506
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】液晶ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20240228BHJP
   C08K 7/00 20060101ALI20240228BHJP
   C08G 63/60 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C08L67/00
C08K7/00
C08G63/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131817
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田邉 純樹
(72)【発明者】
【氏名】小西 彬人
(72)【発明者】
【氏名】梅津 秀之
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002CF161
4J002DJ036
4J002FA056
4J002FD016
4J002GQ00
4J029AA06
4J029AC02
4J029AE01
4J029BB10A
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029EB05A
(57)【要約】
【課題】低ガス性、難燃性および耐ドリップ性に優れた液晶ポリエステル樹脂組成物を得ること。
【解決手段】液晶ポリエステル樹脂(A)と、液晶ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、チューブ形状を有するハロイサイト(B)0.1~100重量部を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、チューブ形状を有するハロイサイト(B)0.1~100重量部を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項2】
前記ハロサイト(B)のメディアン径が10μm以下である請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【請求項3】
液晶ポリエステル樹脂(A)が、液晶ポリエステル樹脂(A)の全構造単位100モル%に対して、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位を20~96モル%、芳香族ジオールに由来する構造単位を2~40モル%、芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位を2~40モル%含む液晶ポリエステル樹脂であって、芳香族ジオールに由来する構造単位として下記構造単位(I)を少なくとも含む液晶ポリエステル樹脂(A)である請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【化1】
【請求項4】
液晶ポリエステル樹脂(A)が、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位として下記構造単位(II)をさらに含む請求項3に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【化2】
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品に関する。より詳しくは、液晶ポリエステル樹脂組成物、ならびにそれを用いて得られる成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ポリエステル樹脂は、耐熱性、流動性および寸法安定性に優れるため、それらの特性が要求される電気・電子部品に用いられている。このような電気・電子部品は、近年ますます小型化が進んでおり、高電圧下に晒されて発火・燃焼のリスクがあるため、薄肉での難燃性と耐ドリップ性が必須とされる。また、高温・高湿環境下で用いられる可能性もあり、端子やガラスといった周辺部品の汚染を防ぐために、樹脂から分解ガスやオリゴマー成分などがブリードアウトしにくい低ガス性が求められる。
【0003】
液晶ポリエステル樹脂の物性などの種々特性を向上させる目的で、ガラス繊維、タルク、マイカといった無機充填材が溶融混練などの方法によって配合される。例えば、特許文献1には、液晶性樹脂に対して、層状珪酸塩を配合することにより、剛性と靱性のバランスが良く、流動性と表面外観に優れた材料が得られることが示されている。
【0004】
ハロイサイトと呼ばれるアルミノシリカを主成分とした天然鉱物を無機充填材として活用する試みがなされている。例えば、特許文献2には、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートといった熱可塑性ポリエステル樹脂に対して、難燃剤とハロイサイト、およびエポキシ化合物を配合することによって、機械物性、難燃性および耐トラッキング性に優れる材料が得られることが開示されている。また、特許文献3には、ハロイサイトをポリマーのフィラーとして使用することが示されており、ナイロンやポリプロピレンにハロイサイトを配合することにより、物性や分解温度が向上することが実例として示されている。さらに、特許文献4には、ポリ乳酸といったポリエステル樹脂にハロイサイトを配合することによって、曲げ弾性率が向上することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-143947号公報
【特許文献2】特開2021-14478号公報
【特許文献3】特表2009-507945号広報
【特許文献4】特開2019-11472号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示された発明では難燃性と耐ドリップ性、および低ガス性が不十分であった。また、特許文献2~4に示された発明には、液晶ポリエステル樹脂に関して示唆がなく、液晶ポリエステル樹脂が有する耐熱性、流動性および寸法安定性を具備していないことに加えて、薄肉の難燃性や耐ドリップ性、および低ガス性が不十分であった。
【0007】
本発明の課題は、低ガス性、難燃性および耐ドリップ性を有する液晶ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、液晶ポリエステル樹脂に対して、チューブ形状を有するハロイサイトを配合することにより、低ガス性、難燃性および耐ドリップ性に優れることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち本発明は以下のとおりである:
(1)液晶ポリエステル樹脂(A)(以下、「成分(A)」ということがある)と、成分(A)100重量部に対して、チューブ形状を有するハロイサイト(B)(以下、「成分(B)」ということがある)0.1~100重量部とが配合された液晶ポリエステル樹脂組成物。
(2)成分(B)のメディアン径が10μm以下である(1)に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
(3)成分(A)が、成分(A)の全構造単位100モル%に対して、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位を20~96モル%、芳香族ジオールに由来する構造単位を2~40モル%、芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位を2~40モル%含む液晶ポリエステル樹脂であって、芳香族ジオールに由来する構造単位として下記構造単位(I)を少なくとも含む(1)または(2)に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【0010】
【化1】
【0011】
(4)成分(A)が、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位として下記構造単位(II)を含む(1)~(3)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物。
【0012】
【化2】
【0013】
(5)(1)~(4)のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂組成物からなる成形品。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、低ガス性、難燃性および耐ドリップ性に優れる。特に、小型の電気・電子部品用途などを成形する際に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
<液晶ポリエステル樹脂(A)>
成分(A)は、異方性溶融相を形成するポリエステルである。このようなポリエステル樹脂としては、例えば、後述するオキシカルボニル単位、ジオキシ単位、ジカルボニル単位などから異方性溶融相を形成するよう選ばれた構造単位から構成されるポリエステルが挙げられる。
【0017】
次に、成分(A)を構成する構造単位について説明する。
【0018】
本発明に用いられる成分(A)は、オキシカルボニル単位として、成分(A)の全構造単位100モル%に対して、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位を20~96モル%含むことが好ましい。重合性および加工性の観点から、22モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。一方で、75モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましい。オキシカルボニル単位の具体例としては、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸や6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸などに由来する構造単位を使用することができる。中でも、難燃性を向上させることができるため、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する、下記構造単位(II)を少なくとも含むことが好ましい。成分(A)の全構造単位100モル%に対して、構造単位(II)は2モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましい。また、構造単位(II)は15モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
【0019】
【化3】
【0020】
さらに、オキシカルボニル単位として、成分(A)を含む成形品の難燃性と低ガス性に優れる観点から、成分(A)の全構造単位100モル%に対して、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位を35~75モル%含むことが好ましい。45モル%以上がさらに好ましい。一方、65モル%以下がより好ましく、55モル%以下がさらに好ましい。
【0021】
本発明の成分(A)は、ジオキシ単位として、成分(A)の全構造単位100モル%に対して、芳香族ジオールに由来する構造単位を2~40モル%含むことが好ましい。耐熱性の観点から、7モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。一方、37モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましい。芳香族ジオールに由来する構造単位としては、例えば、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシノール、t-ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンなどに由来する構造単位が挙げられる。入手性に優れ、成形可能な温度範囲に優れる観点から、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンに由来する構造単位を使用することが好ましい。中でも、低ガス性とすることができるため、ハイドロキノンに由来する、下記構造単位(I)を少なくとも含むことが好ましい。成分(A)の全構造単位100モル%に対して、構造単位(I)は2モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。また、構造単位(II)は20モル%以下が好ましく、15モル%以下がより好ましい。
【0022】
【化4】
【0023】
さらに、芳香族ジオールとして、成分(A)を含む成形品の難燃性と低ガス性に優れる観点から、成分(A)の全構造単位100モル%に対して、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位を1~25モル%含むことが好ましい。3モル%以上がより好ましく、5モル%以上がささらに好ましい。一方、20モル%以下がより好ましく、15モル%以下がさらに好ましい。
【0024】
本発明の成分(A)は、ジカルボニル単位として、成分(A)の全構造単位100モル%に対して、芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位を2~40モル%含むことが好ましい。加工性の観点から、7モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。一方、37モル%以下が好ましく、35モル%以下がより好ましい。芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,3’-ジフェニルジカルボン酸、2,2’-ジフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボン酸、1,2-ビス(2-クロロフェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸などに由来する構造単位が挙げられる。入手性に優れる観点から、テレフタル酸、イソフタル酸に由来する構造単位を使用することが好ましい。
【0025】
ジカルボニル単位として、成分(A)を含む成形品の難燃性と低ガス性に優れる観点から、成分(A)の全構造単位100モル%に対して、テレフタル酸に由来する構造単位を2~35モル%含むことが好ましい。5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が最も好ましい。一方、30モル%以下がより好ましく、25モル%以下がより好ましい。また、幅広い温度で成形可能である観点から、成分(A)の全構造単位100モル%に対して、イソフタル酸に由来する構造単位を0.01~10モル%含むことが好ましい。0.05モル%以上がさらに好ましく、0.1モル%以上がより好ましい。一方、7モル%以下がより好ましく、4モル%以上がさらに好ましい。
【0026】
また、上記構造単位に加えて、エチレングリコール、p-アミノ安息香酸、p-アミノフェノールなどから生成した構造単位を、液晶性や特性を損なわない程度の範囲でさらに有することができる。
【0027】
上記の各構造単位を構成する原料となるモノマーは、各構造単位を形成しうる構造であれば特に限定されない。また、そのようなモノマーの水酸基のアシル化物、カルボキシル基のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物などのカルボン酸誘導体などが使用されてもよい。
【0028】
成分(A)について、各構造単位の含有量の算出法を以下に示す。各構造単位の含有量は1H-核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)測定により求める。粉砕した成分(A)を5mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H-NMR測定を実施し、7~9.5ppm付近に観測される各構造単位に由来するピーク面積比から組成を分析する。
【0029】
成分(A)の融点(Tm)は、成分(A)を含む成形品の低ガス性と耐ドリップ性の観点から、280℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましく、320℃以上がさらに好ましい。一方、加工性の観点から、成分(A)の融点(Tm)は、370℃以下が好ましく、360℃以下がより好ましく、350℃以下がさらに好ましい。融点(Tm)の測定は、示差走査熱量測定により行う。具体的には、まず、成分(A)を室温から20℃/分の昇温条件で加熱することにより吸熱ピーク温度(Tm)を観測する。吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、吸熱ピーク温度(Tm)+20℃の温度でポリマーを5分間保持する。その後、20℃/分の降温条件で室温までポリマーを冷却する。そして、20℃/分の昇温条件でポリマーを加熱することにより吸熱ピーク温度(Tm)を観測する。融点(Tm)とは、該吸熱ピーク温度(Tm)を指す。
【0030】
<成分(A)の製造方法>
本発明で使用する成分(A)を製造する方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。公知のポリエステルの重縮合法としては、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構造単位、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位、ハイドロキノンに由来する構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸に由来する構造単位からなる成分(A)を例に、以下が挙げられる。
【0031】
(1)p-アセトキシ安息香酸、6-アセトキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼン、テレフタル酸、およびイソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって成分(A)を製造する方法。
【0032】
(2)p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、およびイソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重合することによって成分(A)を製造する方法。
【0033】
(3)p-ヒドロキシ安息香酸フェニル、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸フェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸ジフェニル、およびイソフタル酸ジフェニルから脱フェノール重縮合反応により成分(A)を製造する方法。
【0034】
(4)p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、テレフタル酸およびイソフタル酸の芳香族カルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれフェニルエステルとした後、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により成分(A)を製造する方法。
【0035】
なかでも(2)p-ヒドロキシ安息香酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、およびイソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重縮合反応によって成分(A)を製造する方法が、成分(A)の末端構造の制御および重合度の制御に工業的に優れる点から、好ましく用いられる。
【0036】
本発明で使用する成分(A)の製造方法として、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。固相重合法による処理としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、成分(A)のポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕する。粉砕したポリマーまたはオリゴマーを、窒素気流下、または、減圧下において加熱し、所望の重合度まで重縮合することで、反応を完了させる。上記加熱は、成分(A)の融点-50℃~融点-5℃(例えば、200~300℃)の範囲で1~50時間行うことができる。
【0037】
<チューブ形状を有するハロイサイト(B)>
成分(B)は、例えば学術文献(Applied Clay Science,112-113,2015,75-93,「Properties and applications of halloysite nanotubes: recent research advances and future prospects」)に記載の通り、アルミニウム原子およびケイ素原子を含有し、内部に空洞を有するチューブ状の形状をしており、チューブ外側にケイ素原子、チューブ内部にアルミノール基が偏在している。このようなチューブ形状は、前記の学術文献に例がある通り、成分(B)を透過型電子顕微鏡や走査電子顕微鏡などの顕微鏡で観察することによって確かめることができる。
【0038】
本発明で用いる成分(B)がチューブ形状を有していることによって、成分(B)を含む組成物からなる成形品の低ガス性、難燃性および耐ドリップ性の効果が発現する。成分(B)はチューブ内部にアルミノール基を有しているため、成分(A)が溶融滞留時や高温環境下に置かれた際に生成する、酢酸やフェノールなどのガスを、化学結合などを介してトラップ可能であることを本発明において新たに見出した。さらに、チューブ形状を有しているためトラップしたガスを内包することができ、再放出を抑制することができる。この効果は燃焼時も同様であり、成分(A)が燃焼時に生成するガスを内部にトラップすることができるため、難燃性と耐ドリップ性が向上する。
【0039】
成分(A)は元来、難燃性に優れる樹脂であるが、特に薄肉の成形品では、接炎時の発火燃焼は比較的抑えられるものの、溶融してドリップしてしまう。成分(B)の有するアルミノールによって、燃焼時に樹脂のチャー形成が促進されて難燃性が向上することに加えて、成分(B)の配合により、耐ドリップ性も向上することを新たに見出した。接炎時の高温において、成分(A)のフェノールもしくはカルボン酸部位と成分(B)のアルミノール部位が結合してネットワーク構造を形成することで耐ドリップ性が向上する。
【0040】
本発明おける、成分(A)100重量部に対する成分(B)の含有量は、0.1~100重量部である。0.1重量部未満であれば、組成物からなる成形品の難燃性と低ガス性が不十分となり、100重量部以上であれば、組成物からなる成形品の耐熱性や物性が低下する。好ましくは、0.5重量部以上であり、より好ましくは1重量部以上であり、さらに好ましくは1.5重量部以上であり、最も好ましくは3重量部以上である。一方、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは30重量部以下であり、さらに好ましくは20重量部以下であり、最も好ましくは15重量部以下である。
【0041】
成分(A)中で成分(B)が良く分散し、成分(A)と成分(B)を含む組成物からなる成形品の低ガス性と難燃性がより向上する観点から、成分(B)のメディアン径は10μm以下が好ましい。本発明における成分(B)のメディアン径は次の手法によって測定する。成分(B)を100mg秤量し、水6gと界面活性剤10mgとともに10分間超音波洗浄機で分散させた後に、レーザー回折/散乱式粒子度分布計(Microtrac社製“MT3300EXII”)を用いて粒子径分布を3度測定し、そこで得られた頻度(単位(%)、縦軸)と粒子径(単位(μm)、横軸、常用対数表示)の関係から粒子径分布が得られる。この粒子径分布の中央値、すなわち頻度が50%である粒子径をメディアン径として算出する。成分(B)のメディアン径は、8μm以下が好ましく、5μm以下がさらに好ましい。
【0042】
成分(B)のpHは、成分(A)と成分(B)を配合したときの成分(A)の物性低下を抑制する観点から、6~10であることが好ましい。本発明における成分(B)のpHは次の手法によって測定できる。成分(B)の20wt%スラリー水溶液を作成し、係る水溶液のpHを、電極pHメーター(METTLER TOLEDO社製“SevenCompact”S220)を用いて測定することによって得られる。より好ましくは6~9で、さらに好ましくは6~8である。
【0043】
成分(B)の表面は、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の例としては、公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、アンモニウム基などの塩基性部位を有する化合物、ナトリウムやカルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる塩部位を有する化合物が挙げられる。
【0044】
<液晶ポリエステル樹脂組成物>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、前述した成分(A)と成分(B)を配合して得られるものであるが、その他の特性を付与するために充填材を含有してもよい。本発明で使用される充填材は、特に限定されるものではないが、例えば、繊維状、ウィスカー状、板状、粉末状、粒状などの充填材を挙げることができる。具体的には、繊維状、ウィスカー状充填材としては、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、および針状酸化チタンなどが挙げられる。板状充填材としては、マイカ、タルク、カオリン、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、およびワラステナイトなどが挙げられる。粉状、粒状の充填材としては、シリカ、ガラスビーズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などが挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。また、本発明に使用される上記の充填材は、2種以上を併用してもよい。
【0045】
上記充填材中のガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものであれば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどを挙げることができる。
【0046】
上記充填材は、その表面が公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤により処理されていてもよい。また、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0047】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でさらに酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ハイドロキノン、ホスファイト、チオエーテル類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料または顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤から選択される通常の添加剤を配合することができる。
【0048】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物において、充填材の含有量は、成分(A)100重量部に対し、10~200重量部が好ましい。15重量部以上がより好ましく、20重量部以上がさらに好ましい。一方、150重量部以下がより好ましく、100重量部以下がさらに好ましい。
【0049】
<液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法>
成分(A)に対して、成分(B)および充填材やその他の添加剤を配合し、液晶ポリエステル樹脂組成物とする方法としては、例えば、成分(A)に充填材およびその他の固体状の添加剤等を配合するドライブレンド法や、成分(A)に充填材およびその他の液体状の添加剤等を配合する溶液配合法、充填材およびその他の添加剤を成分(A)の重合時に添加する方法、成分(A)に充填材およびその他の添加剤を溶融混練する方法を用いることができ、なかでも溶融混練する方法が好ましい。
【0050】
溶融混練には、公知の方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを挙げることができる。なかでも二軸押出機が好ましい。
【0051】
混練方法としては、1)成分(A)、成分(B)、および充填材やその他の添加剤を元込めフィーダーから一括で投入して混練する方法(一括混練法)、2)成分(A)とその他の添加剤を元込めフィーダーから投入して混練した後、成分(B)、充填材およびその他の添加剤をサイドフィーダーから添加して混練する方法(サイドフィード法)、3)成分(A)と、成分(B)およびその他の添加剤を高濃度に含む液晶ポリエステル組成物(マスターペレット)を作製し、次いで規定の濃度になるようにマスターペレットを成分(A)、充填材と混練する方法(マスターペレット法)などが挙げられる。また、充填材およびその他の添加剤を添加する方法としては、一括混練法、逐次添加法、高濃度組成物(マスター)を添加する方法等が挙げられ、いずれの方法でもかまわない。
【0052】
<成形品>
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形、溶液キャスト製膜、紡糸などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)、機械的性質、耐熱性を有する成形品に加工することが可能である。ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムなどの各種フィルム、未延伸糸、超延伸糸などの各種繊維などが挙げられる。特に加工性の観点から射出成形であることが好ましい。溶融成形する場合、液晶ポリエステル樹脂組成物の劣化を抑制し、機械強度を向上させる観点から、370℃以下で溶融成形するのが好ましく、360℃以下がより好ましい。
【0053】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる成形品は、電気・電子部品として好ましく用いることができる。電気・電子部品としては、例えば、パソコン、GPS内蔵機器、携帯電話、衝突防止用レーダーなどのミリ波および準ミリ波レーダー、タブレットやスマートフォンなどの移動通信・電子機器のアンテナに用いられるフレキシブルプリント基板、積層用回路基板、プリント配線基板および三次元回路基板;LEDなどのランプリフレクターやランプソケット、移動通信端末の通信基地局スモールセルやマイクロセル部材、アンテナカバー、筐体、センサー、カメラモジュールのアクチュエータ部品、コネクタ、リレーケースおよびベース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサーなどが挙げられる。なかでも、低ガス性、難燃性および耐ドリップ性に優れるため、薄肉複雑形状部を有するコネクタ、リレー、スイッチ、コイルボビン、カメラモジュールのアクチュエータ部品などに有用である。
【実施例0054】
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。表1の製造例中に示した、成分(A)の組成および特性評価は以下の方法により測定した。
(1)成分(A)の組成分析
成分(A)の組成分析は、1H-核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)測定により求めた。粉砕した成分(A)を5mg秤量し、溶媒(ペンタフルオロフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2=65/35(重量比)混合溶媒)800μLに溶解して、UNITY INOVA500型NMR装置(バリアン社製)を用いて観測周波数500MHz、温度80℃で1H-NMR測定を実施し、7~9.5ppm付近に観測される各構造単位に由来するピーク面積比から組成を分析した。
【0055】
(2)成分(A)の融点(Tm)測定
示差走査熱量計DSC-7(パーキンエルマー製)により、成分(A)を室温から20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、Tm+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0056】
[製造例1]
撹拌翼および留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸(HBA)870重量部、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(DHB)352重量部、ハイドロキノン(HQ)89重量部、テレフタル酸(TPA)292重量部、イソフタル酸(IPA)157重量部および無水酢酸1278重量部(フェノール性水酸基合計の1.07当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で120分反応させた後、145℃から360℃まで4時間かけて昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、所定の撹拌トルクに到達したところで重合を完了させた。次に、直径6mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A-1)を得た。
【0057】
[製造例2]
モノマー仕込みを、HBA808重量部、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)88重量部、DHB229重量部、HQ161重量部、TPA428重量部、IPA19重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、液晶ポリエステル樹脂(A-2)を得た。
【0058】
[製造例3]
撹拌翼および留出管を備えた5Lの反応容器に、エステル化反応におけるジオール成分とジカルボン酸成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)を1.7とし、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸2000重量部、ジオール成分として1,4-ブタンジオール1840重量部、エステル化反応触媒としてテトラブチルチタネート(生成する100gに対して7.5×10-5モル(熱可塑性樹脂100重量部に対して0.025重量部))を仕込み、温度160℃、圧力90kPaの減圧下にてエステル化反応を開始した。その後、徐々に昇温し、最終的に温度225℃の条件下でエステル化反応を行った。留出液の状態などによりエステル化反応の終了を確認し、エステル化反応の反応時間を180分間とした。得られた反応物に、重縮合反応触媒としてテトラブチルチタネート(生成するポリエステル樹脂100gに対して7.5×10-5モル(熱可塑性樹脂100重量部に対して0.025重量部))を添加し、温度245℃、圧力100Paの条件で重縮合反応を行った。反応物の粘度などにより重縮合反応の終了を確認し、熱可塑性樹脂を得るための重縮合反応の反応時間を150分間とし、合計330分間反応を実施し、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A-3)を得た。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例および比較例に用いられる原料を次に示す。なお以下に示した成分(B)のメディアン径およびpHは以下の方法で測定した。
【0061】
(3)成分(B)のメディアン径
成分(B)を100mg秤量し、水6gと界面活性剤10mgとともに10分間超音波洗浄機で分散させた後に、レーザー回折/散乱式粒子度分布計(Microtrac社製“MT3300EXII”)を用いて粒子径分布を3度測定し、そこで得られた頻度(単位(%)、縦軸)と粒子径(単位(μm)、横軸、常用対数表示)の関係から得られる曲線を粒子径分布曲線とした。また、粒子径分布曲線における最頻度粒子径をモード径、頻度の累積が50%になる粒子径をメディアン径とした。
【0062】
(4)成分(B)のpH
成分(B)を2g秤量し、水8gを加えてスターラーを用いて攪拌して成分(B)の20wt%スラリー水溶液を調整した。得られた水溶液のpHを、電極pHメーター(METTLER TOLEDO社製“SevenCompact”S220)を用いて測定した。
(B-1)チューブ形状を有するハロイサイト:(株)ファイマテック製“DRAGONITE”、pH値5.0、メディアン径13μm
(B-2)チューブ形状を有するハロイサイト:(株)ファイマテック製“DRAGONITE”、pH値7.0、メディアン径4.5μm
(B-3)板形状を有するカオリナイト:BASF(株)製“Translink”555、pH値9.0、メディアン径1μm
【0063】
次に、実施例により本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物についての効果を、具体的に説明する。液晶ポリエステル樹脂組成物を以下に示す方法で作製した。
【0064】
[実施例1~3、比較例1、2]
スクリュー径30mm、L/D35の同方向回転ベント付き二軸押出機(日本製鋼所製、TEX-30α)で、各製造例で得られた成分(A)および成分(B)を表2に示す配合量でホッパーから投入し、シリンダー温度を成分(A)の融点+10℃に設定し、溶融混練してペレットとした。得られた樹脂組成物のペレットを用いて、以下の(5)および(6)の評価を行った結果を表3に示す。
【0065】
(5)低ガス性
実施例および比較例の樹脂組成物を、熱風乾燥機を用いて予備乾燥した後、試験管(外径18mm×高さ75mm)に10g秤量して測定サンプルとした。穴径18.5mm、深さ71mmのアルミブロックを有するドライブロックバス(サイニクス社製)にサンプル試験管を挿入し、試験管開口上にスライドガラスを乗せ、280℃で10時間加熱処理し、その際に発生したガスをスライドガラス上に付着させた。ガスが付着したスライドガラスをヘイズメーター(東洋精機社製)にてヘイズ値(全透過光に対する拡散光の割合(%))を測定した。ヘイズ値が大きいほどガラスが曇っており、高温環境下における生成ガスが多く、製品としたときに周囲の金属端子などの部材を汚染しやすいことを示している。ヘイズ値が小さいほど、低ガス性に優れる。
【0066】
(6)難燃性および耐ドリップ性
実施例および比較例の樹脂組成物を、熱風乾燥機を用いて予備乾燥した後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製)を用いて、125(長さ)×13(幅)×0.5mm(厚み)の短冊状の燃焼試験片を5本得た。得られた5本の燃焼試験片を用い、UL94垂直試験に定められている評価基準に従って難燃性を評価し、各試験片について、第一接炎後と第二接炎後に消火するまでの時間を測定し、5秒を超える試験片の本数を評価した。この本数を表2中には「燃焼時間が5秒を超える本数」として記載する。また、試験片5本分の燃焼時間を合計して燃焼時間とした。表2中には「5本の合計燃焼時間」と記載する。燃焼時間が5秒を超える試験片の本数は少ないほど、5本の合計燃焼時間が短いほど、難燃性優れる。なお、5本の合計燃焼時間が250秒以上のものは規格外として表2に記載した。また、ドリップ性については、上記した試験片5本の難燃性評価中において、ドリップした回数を評価した。表2には試験片5本のドリップ回数の合計を示す。ドリップした回数は少ないほど優れる。
【0067】
【表2】
【0068】
表2の結果から、チューブ形状を有するハロイサイト(B)を、液晶ポリエステル樹脂(A)に配合することにより、低ガス性、難燃性および耐ドリップ性に優れた液晶ポリエステル樹脂組成物を得られることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、低ガス性と難燃性および耐ドリップ性に優れているため、コネクタ、リレー、スイッチ、コイルボビン、およびカメラモジュールのアクチュエータ部品などの電気・電子部品や機械部品用途に好適である。