(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029541
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240228BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131859
(22)【出願日】2022-08-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 聖明
(72)【発明者】
【氏名】玉城 貴也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 芳基
(72)【発明者】
【氏名】武川 さゆみ
(72)【発明者】
【氏名】足羽 憲一朗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】商品価格の割引又は商品購入に対する特典付与に応じた棚割りを実現する。
【解決手段】広告主端末10は、広告対象となる商品に関する入力操作を受け付ける。ここで、広告主が広告キャンペーンの対象として希望する商品や、その商品の割引価格又は当該広告対象商品の購入に応じた特典に関する広告情報が入力される。サーバ装置30の取得部31は、広告主端末10から送信されてくる広告情報を取得する。確率情報算出部34は、広告情報と、店舗における広告対象商品の陳列位置に関する各陳列パターンとをセットにして、記憶部33に記憶されている学習済アルゴリズムに入力し、各々の陳列パターンで広告対象商品が陳列された場合にその広告対象商品が購入される確率に関する確率情報を算出する。陳列パターン決定部35は、各々の陳列パターンについて算出された確率情報に基づいて、広告対象商品を含む商品群の1以上の陳列パターンを決定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗において販売される商品、及び、当該商品の割引価格又は当該商品の購入に応じた特典に関する情報と、前記店舗における前記商品の陳列位置に関する情報とを説明変数とし、前記商品の販売結果に関する情報を目的変数とした機械学習により生成された学習済アルゴリズムを記憶する記憶部と、
広告の対象となる商品である広告対象商品、及び、当該広告対象商品の割引価格又は当該広告対象商品の購入に応じた特典に関する広告情報を取得する取得部と、
取得された前記広告情報と、店舗における前記広告対象商品の陳列位置に関する複数の陳列パターンとを前記学習済アルゴリズムに入力し、各々の前記陳列パターンで前記広告対象商品が陳列された場合に当該広告対象商品が購入される確率に関する確率情報を算出する確率情報算出部と、
各々の前記陳列パターンについて算出された前記確率情報に基づいて、前記広告対象商品を含む商品群の1以上の陳列パターンを決定する陳列パターン決定部と、
決定された前記陳列パターンに関する情報を出力する出力部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記陳列パターン決定部は、各々の前記陳列パターンについて算出された前記確率情報に基づいて、複数の前記陳列パターンを決定し、
前記出力部は、前記複数の陳列パターンのうち、互いに類似しない関係を満たす2以上の陳列パターンに関する情報を出力する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記陳列パターン決定部は、各々の前記陳列パターンについて算出された前記確率情報に基づいて、前記商品の販売による売上額又は利益額の増加が多い順から複数の前記陳列パターンを決定し、
前記出力部は、前記複数の陳列パターンに関する情報を、前記商品の販売による売上額又は利益額の増加が多い順に優先して出力する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記店舗における現時点の商品の陳列パターンから前記陳列パターン決定部により決定された複数の前記陳列パターンの各々に変更するのに要する時間的又は費用的なコストを特定する特定部を備え、
前記出力部は、前記複数の陳列パターンに関する情報を、各々の陳列パターンについて特定されたる前記コストに関する情報とともに出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記店舗における現時点の商品の陳列パターンと前記陳列パターン決定部により決定された複数の前記陳列パターンとを比較した場合の各商品の位置の差又は各商品の量の差に基づいて、前記コストを特定する
ことを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記説明変数は、前記店舗の商圏内のユーザの属性に関する情報を含む
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記説明変数は、前記店舗の属性に関する情報を含む
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記陳列パターンの制約条件の指定を受け付ける受付部を備え、
前記確率情報算出部は、前記広告対象商品の陳列位置に関する複数の陳列パターンとして、前記制約条件に合致する陳列パターンを前記学習済アルゴリズムに入力する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記陳列パターン決定部により決定された1以上の陳列パターンと、前記店舗における現時点での商品在庫との差に応じて、前記商品の発注に関する発注情報を生成する生成部を備え、
前記出力部は、生成された前記発注情報を出力する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗において商品の陳列位置を決定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
商品を販売する店舗において、「棚割り」と呼ばれる考え方が重要とされている。棚割りとは、多数の商品を顧客が見やすく、取りやすく、選びやすいように、例えば用途や機能、デザイン、価格帯などのテーマ設定によって分類、整理し、関連する商品を効果的に組み合わせて陳列位置を決めることをいう。例えば特許文献1には、市場動向、消費者動向、他店の売り場状況及び商圏状況という4つの観点で現状分析を行い、その分析結果に基づいて棚割りを行うための仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した背景に鑑みてなされたものであり、商品価格の割引又は商品購入に対する特典付与に応じた棚割りを実現するための仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、店舗において販売される商品、及び、当該商品の割引価格又は当該商品の購入に応じた特典に関する情報と、前記店舗における前記商品の陳列位置に関する情報とを説明変数とし、前記商品の販売結果に関する情報を目的変数とした機械学習により生成された学習済アルゴリズムを記憶する記憶部と、広告の対象となる商品である広告対象商品、及び、当該広告対象商品の割引価格又は当該広告対象商品の購入に応じた特典に関する広告情報を取得する取得部と、取得された前記広告情報と、店舗における前記広告対象商品の陳列位置に関する複数の陳列パターンとを前記学習済アルゴリズムに入力し、各々の前記陳列パターンで前記広告対象商品が陳列された場合に当該広告対象商品が購入される確率に関する確率情報を算出する確率情報算出部と、各々の前記陳列パターンについて算出された前記確率情報に基づいて、前記広告対象商品を含む商品群の1以上の陳列パターンを決定する陳列パターン決定部と、決定された前記陳列パターンに関する情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、商品価格の割引又は商品購入に対する特典付与に応じた棚割りを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係るサーバ装置30のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】サーバ装置30の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】サーバ装置30が記憶するデータの一例を示す図である。
【
図5】サーバ装置30が記憶するデータの一例を示す図である。
【
図6】サーバ装置30が記憶するデータの一例を示す図である。
【
図7】サーバ装置30が記憶するデータの一例を示す図である。
【
図8】商品の販売結果の収集動作を示すシーケンスチャートである。
【
図9】サーバ装置30による機械学習動作を示すフローチャートである。
【
図10】サーバ装置30による陳列パターン決定動作を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[構成]
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の一例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、広告主によって利用される広告主端末10と、店舗において利用される店舗端末20と、店舗における棚割りに関する処理を行うサーバ装置30と、これらを通信可能に接続する無線通信網又は有線通信網を含む通信網2とを備えている。広告主端末10、店舗端末20及びサーバ装置30はいずれも通信可能なコンピュータである。サーバ装置30は、サーバとして構成されたコンピュータであり、本発明に係る情報処理装置として機能する。なお、
図1には、広告主端末、店舗端末及びサーバ装置をそれぞれ1つずつ示しているが、これらはそれぞれ複数であってもよい。本実施形態において、棚割りとは、店舗における商品の陳列スペースにおいて各商品の陳列位置を決めることである。本実施形態の特徴の1つは、広告主が希望する商品の広告キャンペーン(商品価格の割引や商品購入に対する特典付与)に応じて、店舗における適切な棚割りを実現することにある。
【0009】
図2は、サーバ装置30のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置30は、物理的には、プロセッサ3001、メモリ3002、ストレージ3003、通信装置3004、入力装置3005、出力装置3006、及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータとして構成されている。これらの各装置は図示せぬ電池から供給される電力によって動作する。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。サーバ装置30のハードウェア構成は、
図2に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、それぞれ筐体が異なる複数の装置が通信接続されて、サーバ装置30を構成してもよい。
【0010】
サーバ装置30における各機能は、プロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信を制御したり、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0011】
プロセッサ3001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ3001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ3001によって実現されてもよい。
【0012】
プロセッサ3001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ3003及び通信装置3004の少なくとも一方からメモリ3002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。サーバ装置30の機能ブロックは、メモリ3002に格納され、プロセッサ3001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ3001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ3001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ3001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してサーバ装置30に送信されてもよい。
【0013】
メモリ3002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ3002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ3002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0014】
ストレージ3003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ3003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
【0015】
通信装置3004は、通信網2を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0016】
入力装置3005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キー、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、カメラ、センサ、2次元コードリーダなど)である。出力装置3006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置3005及び出力装置3006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0017】
プロセッサ3001、メモリ3002などの各装置は、情報を通信するためのバスによって接続される。バスは、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0018】
サーバ装置30は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ3001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0019】
広告主端末10及び店舗端末20は、
図2に示すサーバ装置30と同様にコンピュータを実現するためのハードウェアとして、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信装置、入力装置、出力装置及びこれらを接続するバスなどを備えている。
【0020】
図3は、サーバ装置30の機能構成を示すブロック図である。
図3において、取得部31は、広告主端末10及び店舗端末20から各種の情報を通信網2経由で取得する。例えば取得部31は、各店舗の店舗端末20から、その店舗における各商品の陳列位置や、その店舗における商品の販売に関する販売結果(その商品販売時における商品の割引価格又は商品の購入に応じた特典を含む)に関する情報を取得する。つまり、取得部31は、店舗において販売される商品、及び、当該商品の割引価格又は当該商品の購入に応じた特典に関する商品販売情報と、前記店舗における前記商品の陳列位置に関する情報とを取得する。また、取得部31は、広告主端末10から、広告主が広告キャンペーンの対象として希望する商品や、その商品の割引価格又は当該広告対象商品の購入に応じた特典に関する情報に取得する。つまり、取得部31は、広告の対象となる商品である広告対象商品、及び、当該広告対象商品の割引価格又は当該広告対象商品の購入に応じた特典に関する広告情報を取得する。
【0021】
取得部31により取得された情報は記憶部33に記憶される。ここで、
図4は、取得部31によって店舗端末20から取得されて記憶部33に記憶される、店舗における商品の販売に関する販売結果(その商品販売時における商品の割引価格又は商品の購入に応じた特典を含む)に関する情報を例示する図である。
図4に例示するように、各店舗を識別するための識別情報である店舗IDと、各店舗において販売される各商品を識別するための識別情報である商品IDと、商品販売時における商品の割引価格又は商品の購入に応じた特典を示す情報のほか、例えば販売日時等を含む情報群が記憶部33に記憶される。
【0022】
図5は、取得部31によって店舗端末20から取得されて記憶部33に記憶される、店舗における商品の陳列位置に関する情報を例示する図である。
図5に例示するように、各店舗を識別するための識別情報である店舗IDと、各店舗において販売される各商品を識別するための識別情報である商品IDと、各商品が陳列される陳列位置を含む情報群が記憶部33に記憶される。
【0023】
図6は、取得部31によって店舗端末20から取得されて記憶部33に記憶される、広告の対象となる商品である広告対象商品、及び、当該広告対象商品の割引価格又は当該広告対象商品の購入に応じた特典に関する広告情報を例示する図である。
図6に例示するように、広告キャンペーンの対象となる商品を識別するための識別情報である広告対象商品IDと、その商品の割引価格又はその商品の購入に応じた特典とが記憶部33に記憶される。
【0024】
機械学習部32は、取得部31によって各店舗端末20から取得された情報を教師データとして、例えばディープラーニング等の機械学習を行う。より具体的には、機械学習部32は、店舗において販売される商品、及び、その商品の割引価格又はその商品の購入に応じた特典に関する情報と、店舗における商品の陳列位置に関する情報とを説明変数とし、商品の販売結果に関する情報を目的変数とした機械学習を行って、学習済アルゴリズムを生成する。機械学習部32により生成された学習済アルゴリズムは記憶部33に記憶される。
【0025】
この機械学習時において、上記の情報以外のものを説明変数として用いてもよい。例えば説明変数は、店舗の商圏内のユーザの属性に関する情報、又は、店舗の属性に関する情報を含んでいてもよい。店舗の商圏内のユーザの属性に関する情報とは、例えば各店舗の商圏内に位置する又は住所を有するユーザの性別、年齢、趣味嗜好、資産等に関する情報である。また、店舗の属性に関する情報とは、例えば店舗の規模、商品の価格帯、駐車場の有無、営業時間、店舗種別等に関する情報である。これらの情報は、予めサーバ装置30の記憶部33に記憶されている。
【0026】
確率情報算出部34は、
図6に例示した広告情報と、店舗における広告対象商品の陳列位置に関する複数の陳列パターンとを、記憶部33に記憶されている学習済アルゴリズムに入力し、各々の陳列パターンで広告対象商品が陳列された場合にその広告対象商品が購入される確率に関する確率情報を算出する。説明変数と目的変数との相関関係を学習する学習モデルの1つとして、ロジスティック回帰学習モデルが知られている。このロジスティック回帰学習モデルは、説明変数から2値の目的変数(広告対象商品が購入されたか否か)が起こる確率を予測することが可能な多変量解析の手法の1つである。学習モデルとしてこのようなロジスティック回帰学習モデルを用いれば、
図6に例示した広告情報と、店舗における広告対象商品の陳列位置に関する複数の陳列パターンとを説明変数としたとき、各々の陳列パターンで広告対象商品が陳列された場合にその広告対象商品が購入される確率に関する確率情報を算出することが可能となる。ここで、各陳列パターンは、
図7に例示するように、各商品の陳列位置を組み合わせたものである。
図7は、これら商品の陳列位置の組み合わせの1つである「陳列パターン1」を例示しているが、実際には、この陳列パターンが複数用意されている。この陳列パターンは、サーバ装置30の管理者が作成したものであってもよいし、サーバ装置が全ての商品の組み合わせを計算により求めたものであってもよい。
【0027】
陳列パターン決定部35は、各々の陳列パターンについて算出された確率情報に基づいて、広告対象商品を含む商品群の1以上の陳列パターンを決定する。具体的には、陳列パターン決定部35は、各々の陳列パターンについて算出された確率情報に基づいて、商品の販売による売上額又は利益額の増加が多いと見込まれる順に複数(例えば5つ)の陳列パターンを決定する。
【0028】
出力部36は、陳列パターン決定部35によりと決定された陳列パターンに関する情報を例えば店舗端末20や広告主端末10に出力する。具体的には、出力部36は、決定された複数の陳列パターンに関する情報を、商品の販売による売上額又は利益額の増加が多い順に優先して出力する。このとき、出力部36は、複数の陳列パターンのうち、互いに類似しない関係を満たす2以上の陳列パターンに関する情報を出力するようにすることが望ましい。ここでいう互いに類似しない関係とは、2つの陳列パターンを比較したときの差分が閾値以上となるような関係のことをいう。
【0029】
[動作]
次に、
図8~10を参照して、情報処理システム1の動作について説明する。なお、以下の説明において、例えばサーバ装置30を処理の主体として記載する場合には、具体的にはプロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信や、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することにより、処理が実行されることを意味する。広告主端末10及び店舗端末20についても同様である。
【0030】
[商品の販売結果の収集動作]
図8において、店舗において商品の販売に関する処理が行われると(ステップS1)、
図4に例示するような販売結果が店舗端末20からサーバ装置30に送信される(ステップS2)。サーバ装置30において、取得部31は、店舗端末20から、販売結果(その商品販売時における商品の割引価格又は商品の購入に応じた特典を含む)を取得し、記憶部33がこれを記憶する(ステップS3)。
【0031】
[機械学習動作]
図9において、機械学習部32は、取得部31によって各店舗端末20から取得されて記憶部33に記憶されている販売結果を読み出し(ステップS11)、店舗において販売される商品、及び、その商品の割引価格又はその商品の購入に応じた特典に関する情報と、店舗における商品の陳列位置に関する情報とを説明変数とし、商品の販売結果に関する情報を目的変数とした機械学習を行う(ステップS12)。機械学習部32により生成された学習済アルゴリズムは記憶部33に記憶される(ステップS13)。
【0032】
[陳列パターン決定動作]
広告主端末10は、広告対象となる商品に関する入力操作を受け付ける(ステップS21)。ここで、広告主が広告キャンペーンの対象として希望する商品や、その商品の割引価格又は当該広告対象商品の購入に応じた特典に関する広告情報が入力される。広告主端末10はこれらの情報をサーバ装置30に送信する(ステップS22)。
【0033】
サーバ装置30の取得部31は、広告主端末10から送信されてくる広告情報を取得する。そして、確率情報算出部34は、広告情報と、店舗における広告対象商品の陳列位置に関する各陳列パターンとをセットにして、記憶部33に記憶されている学習済アルゴリズムに入力し(ステップS23)、各々の陳列パターンで広告対象商品が陳列された場合にその広告対象商品が購入される確率に関する確率情報を算出する(ステップS24)。
【0034】
次に、陳列パターン決定部35は、各々の陳列パターンについて算出された確率情報に基づいて、広告対象商品を含む商品群の1以上の陳列パターンを決定する(ステップS25)。
【0035】
出力部36は、陳列パターン決定部35によりと決定された陳列パターンに関する情報を出力する(ステップS26)。
【0036】
以上説明した実施形態によれば、商品価格の割引や商品購入に対する特典付与に応じた棚割りを実現することが可能となる。
【0037】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
[変形例1]
棚割りを変更する、つまり、商品の陳列位置を変更するには、時間的又は人的コストが発生する。そこで、サーバ装置30は、店舗における現時点の商品の陳列パターンから、陳列パターン決定部35により決定された複数の陳列パターンの各々に変更するのに要する時間的又は費用的なコストを特定する特定部を備えるようにしてもよい。ここでいうコストとは、商品の陳列位置を変更したり、バックヤードから新たな商品を取り出して陳列位置に陳列したり、また、陳列位置から商品をバックヤードに戻すための所要時間や人件費に相当するものである。このようなコストの特定は、商品の陳列位置を変更のレベル(例えば変更前後の陳列位置の差や、変更前後における同一商品の量の差)と、時間的又は費用的なコストとを対応付けたテーブルを予め用意し、これをサーバ装置30の記憶部33に記憶しておくことで実現可能である。このように、特定部は、店舗における現時点の商品の陳列パターンと陳列パターン決定部35により決定された複数の陳列パターンとを比較した場合の各商品の位置の差又は各商品の量の差に基づいて、コストを特定する。そして、出力部36は、複数の陳列パターンに関する情報を、各々の陳列パターンについて特定されたるコストに関する情報とともに出力する。このようにすれば、陳列パターンを変更するのに要する時間的又は費用的なコストを加味して、各陳列パターンの是非を判断することができる。
【0038】
[変形例2]
店舗においては、例えば或る商品Aを陳列位置Xに陳列したいというように、陳列に関する制約条件が発生する場合がある。そこで、サーバ装置30は、陳列パターンの制約条件の指定を受け付ける受付部を備え、確率情報算出部34は、広告対象商品の陳列位置に関する複数の陳列パターンとして、制約条件に合致する陳列パターンを学習済アルゴリズムに入力するようにしてもよい。このようにすれば、陳列に関する制約条件を加味して陳列パターンを決定することができる。
【0039】
[変形例3]
陳列パターンの変更に応じて商品を発注できるようにしてもよい。この場合、サーバ装置30は、陳列パターン決定部35により決定された1以上の陳列パターンと、店舗における現時点での商品在庫との差に応じて、商品の発注に関する発注情報を生成する生成部を備える。この発注情報は、例えば、陳列パターン決定部35により決定された1以上の陳列パターンを実現するのに必要な商品の量と、店舗における現時点での商品在庫の量との差分に一定のマージンを加えた量の商品を発注するための情報である。そして、出力部36は、生成された発注情報を出力する。このようにすれば、陳列パターンの変更に応じてどの程度の量の商品の発注が必要かを知ることができる。
【0040】
[その他の変形例]
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0041】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0042】
本明細書で説明した情報又はパラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
【0043】
本明細書で使用する「判定(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判定」、「決定」は、例えば、判断(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判定」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判定」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判定」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判定」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、決定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判定」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判定」「決定」は、何らかの動作を「判定」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0044】
本発明は、情報処理方法として提供されてもよいし、プログラムとして提供されてもよい。かかるプログラムは、光ディスク等の記録媒体に記録した形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されたりすることが可能である。
【0045】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信制御部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0046】
例えば、本開示の一実施の形態におけるサーバ装置などは、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
【0047】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0048】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0049】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0050】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0051】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0052】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0053】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0054】
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0055】
上記の各装置の構成における「部」を、「手段」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0056】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0057】
本開示において、例えば、英語でのa,an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0058】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1:情報処理システム、2:通信網、10:広告主端末、20:店舗端末、30:サーバ装置、31:取得部、32:機械学習部、33:記憶部、34:確率情報算出部、35:陳列パターン決定部、36:出力部、3001:プロセッサ、3002:メモリ、3003:ストレージ、3004:通信装置、3005:入力装置、3006:出力装置。