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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029585
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20240228BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q5/12
A61K8/36
A61K8/41
A61K8/37
A61K8/891
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131924
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】田村 峻佑
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC082
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC331
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC692
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB06
4C083BB11
4C083CC33
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】
低温環境下においても安定性に優れるため使用性が良好であり、ツルツル感やしなやかさといった毛髪の仕上がりにも優れた液状のコンディショニング組成物を提供すること。
【解決手段】
次の成分(A)~(E)を含有し、実質的に水を含まない透明液状の毛髪コンディショニング組成物。
(A)25℃で固体であり、炭素数が14~20の範囲である、高級アルコール及び/又は高級脂肪酸 0.1~3質量%
(B)IOB値が2以下である多価アルコールを含有する多価アルコール 10質量%以上
(C)エタノール 20~80質量%
(D)カチオン性界面活性剤 0.1~10質量%
(E)25℃で液状のエステル油及び/又はフェニル変性シリコーン油 1質量%以上
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(E)を含有し、実質的に水を含有しない透明液状の毛髪コンディショニング組成物。
(A)25℃で固体であり、炭素数が14~20の範囲である、高級アルコール及び/又は高級脂肪酸 0.1~3質量%
(B)IOB値が2以下である多価アルコールを含有する多価アルコール 10質量%以上
(C)エタノール 20~80質量%
(D)カチオン性界面活性剤 0.1~10質量%
(E)25℃で液状のエステル油及び/又はフェニル変性シリコーン油 1質量%以上
【請求項2】
前記成分(B)において、多価アルコールの全量に対する、IOB値が2以下である多価アルコールの割合が50質量%以上である請求項1に記載の毛髪コンディショニング組成物。
【請求項3】
前記成分(B)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の割合が1以上である請求項1又は2に記載の毛髪コンディショニング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツルツル感やしなやかさといった使用感に優れ、かつ低温においても安定性が良好であり、透明で外観の審美性にも優れる毛髪コンディショニング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアカラーやパーマ処理、あるいは紫外線や無理なブラッシング等によって損傷を受けた毛髪が多くなっている。それらのダメージを受けた毛髪の多くは、コシや弾力のない状態になっていることが多く、表面の手触りも悪く、パサパサすることが多い。このようなダメージを受けた毛髪に対してのケア対策として、ヘアコンディショナーやヘアトリートメント、ヘアパック等が使われる。これらのヘアコンディショニング組成物にはカチオン性界面活性剤や、高級アルコール、液状油(例えば特許文献1参照)、シリコーンオイル等のコンディショニング成分が配合されており、毛髪に対してサラサラ感やツルツル感、ハリコシを付与している。
【0003】
一方、ヘアコンディショニング組成物は、高粘性の乳液状あるいはクリーム状のものがほとんどであり、毛髪全体に塗布するには時間を要するものであった。そこで近年、毛髪への伸び広がりがよい低粘度の溶液状コンディショニング組成物が開発されてきた(例えば特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-323496号公報
【特許文献2】国際公開WO2019/156484号パンフレット
【特許文献3】特表2022-516525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2、3の溶液状コンディショニング組成物は、塗布時の使用性や、ドライ後の毛髪の仕上がりには優れるものの、低温環境下では析出物が生じたり、粘度上昇等により使用性が著しく低下したりする場合があった。そこで本発明では、冬場での使用を想定し、低温安定性に優れた溶液状コンディショニング組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、特定の多価アルコールとエタノールとの比率を制御し、各種コンディショニング成分を含有させた、実質的に水を含有しない液状のコンディショニング組成物が、外観が透明で審美性に優れ、ドライ後の毛髪のツルツル感やしなやかさなどの仕上がりも良好であり、かつ、低温での安定性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
[1]次の成分(A)~(E)を含有し、実質的に水を含有しない透明液状の毛髪コンディショニング組成物。
(A)25℃で固体であり、炭素数が14~20の範囲である、高級アルコール及び/又は高級脂肪酸 0.1~3質量%
(B)IOB値が2以下である多価アルコールを含有する多価アルコール 10質量%以上
(C)エタノール 20~80質量%
(D)カチオン性界面活性剤 0.1~10質量%
(E)25℃で液状のエステル油及び/又はフェニル変性シリコーン油 1質量%以上
[2]前記成分(B)において、多価アルコールの全量に対する、IOB値が2以下である多価アルコールの割合が50質量%以上である[1]に記載の毛髪コンディショニング組成物。
[3]前記成分(B)に対する前記成分(C)の割合が1以上である[1]又は[2]に記載の毛髪コンディショニング組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪コンディショニング組成物は、低温においても安定性に優れるため、外観の透明性と組成物の均一性が保たれ、塗布時の使用性を維持するだけでなく、ドライ後の毛髪のツルツル感やしなやかさといった仕上がりについても優れたるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。また、本発明において「透明」とは、700nmの波長の光の透過率が80%以上のものをいう。なお、透過率は、光路長10mm×光路幅10mmのプラスティックセルに試料を充填し、分光光度計にて測定される。本発明において、「液状」とは、1気圧下、25℃の環境下において、流動性を有している状態をいい、すなわち、融点以上の温度条件の下にある状態(融点を有さない非晶性物質においては溶融点以上の温度条件の下にある状態)をいう。また、「固体」とは、1気圧下、25℃の環境下において、流動性を有してない状態をいい、すなわち、融点未満の温度条件の下にある状態(融点を有さない非晶性物質においては溶融点未満の温度条件の下にある状態)をいう。
【0010】
本発明に用いられる成分(A)の高級アルコール及び/又は高級脂肪酸は、通常の化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、天然、半合成、合成であっても使用することができるが、25℃で固体であり、炭素数が14~20の範囲のものである。25℃で液状あるいは炭素数が14未満の高級アルコールまたは高級脂肪酸では、仕上がりのツルツル感が劣り、炭素数が20を超えると、コンディショニング組成物として低温での安定性が保たれない。
【0011】
本発明における成分(A)は、特に限定はされないが、高級アルコールとして、具体的は、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール等が例示でき、これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることも、セトステアリルアルコールのような混合物を用いることも可能である。市販例としては、例えば、ミリスチルアルコールとして、NAA-43(日油社製)、カルコール 4098(花王社製)、コノール 1495(新日本理化社製)、ハイノール 14SS(高級アルコール工業社製)等が挙げられる。セトステアリルアルコールとしては、NAA-48(日油社製)、TEGO Alkanol 1618 MB(Evonik社製)、コノール 1668(新日本理化社製)、コノール 30CK(新日本理化社製)、コノール 30OC(新日本理化社製)、セトステアリルアルコール(高級アルコール工業社製)、カルコール 6850(花王社製)等が挙げられる。
また高級脂肪酸としては、具体的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、等を例示することができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
本発明における成分(A)の含有量は、毛髪コンディショニング組成物全量に対して0.1~3質量%(以下、%と略す)である。成分(A)の含有量が0.1%未満であると、毛髪の仕上がり(ツルツル感・しなやかさ)に劣り、3%を超える場合は、低温時の安定性に劣る場合がある。また、成分(A)の含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、また2.5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。具体的には、仕上がりと低温時の安定性の観点から、0.1~3%であり、0.5~2.5%が好ましく、1~2%がより好ましい。
【0013】
本発明に用いられる成分(B)の多価アルコール、とは分子中に2個以上のヒドロキシル基をもつアルコールであり、通常の化粧料に用いられるものであれば、由来や性状は特に限定するものではないが、IOB値が2以下であるものを必須に含有するものである。本発明におけるIOB値とは、有機概念図(藤田穆、有機化合物の予測と有機概念図、化学の領域VOL).11,No.10(1957)719-715)に基づき求められる値である。より詳しくは、この有機概念図では、化合物の物理化学的物性について、主にファンデルワールス(Van Der Waals)力による物性の程度を「有機性」、主に電気的親和力による物性の程度を「無機性」と定義して表現する値である。IOB値は、無機性(inorganic)と有機性(organic)のバランスを示す指標であり、IOB値=無機性値/有機性値として表される。この値が大きい化合物ほど親水性の性質、極性が高い性質を示す化合物と言える。
【0014】
IOB値が2以下である多価アルコールとしては、例えば、PPG-9ジグリセリル(IOB=1.1)、エチルジグリコール(IOB=1.2)、DPG(ジプロピレングリコール)(IOB=1.8)、ヘキシレングリコール(IOB=1.8)、トリプロピレングリコール(IOB=1.9)、ペンチレングリコール(IOB=2.0)等が挙げられる。それ以外の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、PG(プロピレングリコール)(IOB=3.5)、1,3-プロパンジオール(IOB=3.33)、BG(1,3-ブチレングリコール)(IOB=2.5)、ソルビトール(IOB=3.0)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
また成分(B)はIOB値が2以下である多価アルコールを必須に含有するが、低温時の透明性や均一性を保持する点から、成分(B)に含まれるIOB値が2以下である多価アルコールの割合が、多価アルコールの全量に対して50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。また、好ましくは100%以下、より好ましくは99%以下であり、具体的には、50~100%が好ましく、60~99%がより好ましく、70~99%がさらに好ましい。
【0016】
本発明における成分(B)の含有量は、毛髪の仕上がり(しなやかさ)に優れる観点から、毛髪コンディショニング組成物全量に対して10%以上である。また成分(B)の含有量は20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、また60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。
【0017】
本発明に用いられる成分(C)はエタノールであり、通常の化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、天然、半合成、合成であっても使用することができる。本発明における成分(C)の含有量は、毛髪の仕上り(ツルツル感・しなやかさ)及び低温時の安定性の観点から20~80%である。成分(C)の含有量が20%未満の場合は、低温時の安定性に劣り、80%を超える場合は、仕上り(しなやかさ)に劣る傾向がある。また、成分(C)の含有量は、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましく、また70%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。具体的には、20~80%であり、30%~70%が好ましく、40~60%がより好ましい。
【0018】
本発明において、さらに前記成分(B)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の割合が1以上であると、塗布時の毛髪への伸び広がりが良好となり、使用性に優れるため好ましい。
【0019】
本発明に用いられる成分(D)はカチオン界面活性剤であり、通常の化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、いずれのものであっても使用することができる。具体的には、例えば、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ジステアリルジモニウムクロリド、クオタニウム-18、ベンザルコニウムクロリド、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、PPG-1/PEG-1ステアラミン等が挙げられ、これらの中でもステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリドが、仕上がりと安定性の良さに優れるため好ましい。市販例としては、例えば、セトリモニウムクロリドとしては、NIKKOL CA-2330(日光ケミカルズ社製)、NIKKOL CA-2350E(日光ケミカルズ社製)、VARISOFT 300(Evonik社製)、カチオンPB-300(日油社製)、カチオンPB-40R(日油社製)等が挙げられる。ステアルトリモニウムクロリドとしては、NIKKOL CA-2450(日光ケミカルズ社製)、NIKKOL CA-2465(日光ケミカルズ社製)、カチオンAB-250AQ(日油社製)、カチオンAB-600(日油社製)、ゲナミン STAC(クラリアント・ジャパン社製)、CATINAL STC-80(東邦化学工業社製)、コータミン 86Pコンク(花王社製)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
本発明における成分(D)の含有量は0.1~10%である。成分(D)の含有量が0.1%未満であると、毛髪の仕上がり(ツルツル感・しなやかさ)に優れず、10%を超える場合は、低温時の安定性が悪化する。また、成分(D)の含有量は、0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、また5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。具体的には、成分(D)の含有量は、0.1~10%であり、0.5~5%が好ましく、さらには1.0~3%がより好ましい。
【0021】
本発明に用いられる成分(E)は、25℃で液状のエステル油及び/又はフェニル変性シリコーン油であり、通常の化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、いずれのものであっても使用することができる。具体的には、25℃で液状のエステル油としては、エチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソステアリン酸エチル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル等が挙げられ、これらの中でも、仕上がりの良さから、エチルヘキサン酸セチル、トリエチルヘキサノインが好ましい。また25℃で液状のフェニル変性シリコーン油としては、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、フェニルイソプロピルジメチコン等が挙げられる。市販例としては、例えば、エチルヘキサン酸セチルはCetiol SN-1(BASF社)、FineNeo-CIO(日本精化社)、NIKKOL CIO(日光ケミカルズ社)、サラコス 816T(日清オイリオ社)等があげられる。トリエチルヘキサノインは、Myritol GTEH(BASF社)、NIKKOL Trifat S-308(日光ケミカルズ社)、T.I.O(日清オイリオ社)、TOG(高級アルコール工業社)等があげられる。フェニルトリメチコンとしては例えば、DOWSIL SH 556 Fluid(ダウ・ケミカル日本社)、SeraSense SF PTM(KCC Corporation社)等があげられる。ジフェニルシロキシトリメチコンとしては例えば、KF-56A(信越化学工業社)等があげられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
本発明における成分(E)の含有量は1%以上である。成分(E)の含有量が1%未満であると、毛髪の仕上がり(ツルツル感・しなやかさ)と低温時の安定性が劣ってしまう。また、成分(E)の含有量は、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、また15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
【0023】
本発明の毛髪コンディショニング組成物は、実質的に水を含有しない。実質的に水を含有しないとは、水を全く含有しないか、含有したとしても、本発明に影響を与えない程度に微量であることを意味するものであり、含有量としては、組成物全体の好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下、さらに好ましくは0.01%以下であることをいう。また本発明の毛髪コンディショニング組成物は透明であるが、前記成分(A)~(E)を混合して静置したときに、各成分が相溶し多相に分離しない状態であり、混合した際に乳化して白濁が生じない状態である。本発明においては、透明で均質な状態により、外観の審美性と保存安定性を保持するものである。
【0024】
本発明の毛髪コンディショニング組成物は、前記成分(A)~(E)以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の化粧料に配合可能な成分、すなわち、成分(E)以外の油剤、成分(B)成分(C)以外のアルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、成分(D)以外の界面活性剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、樹脂、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、香料、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤等を配合することができる。
【0025】
本発明の毛髪コンディショニング組成物の製造方法は、特に制限はなく、常法により調製される。例えば、成分(A)~(E)及びその他必要に応じて他の成分を均一に混合することで、調製することができる。
また本発明の毛髪コンディショニング組成物の使用(塗布)方法は、特に制限はなく、例えば、組成物を手に取り毛髪へ塗布する他、容器から直接、毛髪へ塗布する方法、噴霧容器を使用して毛髪へ塗布する方法等が挙げられる。
【0026】
本発明の毛髪コンディショニング組成物は液状であるが、25℃における粘度が500mPasで以下あることが好ましい。なお粘度は、1気圧下、25℃において単一円筒回転式粘度計(芝浦システム社製)を用いて、ローターを1分間に60回転の速さで1分間回転させた際の測定値を読み取り、それぞれの乗数を乗じた値を意味する。このような液状であることにより、毛髪への伸び広がりが良く、毛髪の仕上がりが向上する。
【0027】
本発明の毛髪コンディショニング組成物は、特に限定されないが、インバス用、アウトバス用として用いることができる。具体的には、インバス用としては、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアパックなどの洗い流して用いるヘアコンディショナー、アウトバス用としては、ヘアトリートメント、ヘアエッセンス、ヘアクリーム、ヘアフォーム、ヘアスプレーなどが挙げられる。本発明においては、塗布時の使用性や毛髪の仕上がり感の点で、インバス用のコンディショニング組成物として有用である。
【実施例0028】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0029】
実施例1~24及び比較例1~16:ヘアトリートメント(インバス用)
下記表1及び2に示す処方のヘアトリートメントを下記の製法により調製し、仕上がりのツルツル感、しなやかさ、また低温時の安定性ついて下記の方法により評価した。その結果も併せて表1及び表2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
(製造方法)
A:成分1~14、16~23を80℃に加温して均一に混合する。
B:Aを40℃まで冷却後、成分15を加え均一に混合しヘアトリートメントを得た。
【0033】
(評価方法)
下記の評価項目について、各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
(イ)低温時の安定性
(ロ)仕上がり(ツルツル感)
(ハ)仕上がり(しなやかさ)
【0034】
<評価方法1:(イ)低温時の安定性>
各ヘアトリートメントサンプルをガラス容器に入れて密封し、5℃の恒温槽に1日保管した後、外観を目視にて評価し、下記の階判定基準にて判定した。
[判定基準]
(判定) :(評価)
◎ (優) : 透明であり、白濁及び固化が観察されなかった。
〇 (良) : わずかな白濁もしくは固化が観察されたが、恒温槽取り出し後すぐに白濁もしくは固化が消失した。
× (不可) : 白濁もしくは固化が観察された。
【0035】
<評価方法2:(ロ)仕上がり(ツルツル感)、(ハ)仕上がり(しなやかさ)>
20名の化粧品評価専門パネルに実施例1~24および比較例1~17の各サンプルを無作為で分配して使用試験を行った。各サンプルを髪に塗布し洗い流したあと、ドライヤーを用いて毛髪を乾燥し、その仕上がり感(ツルツル感・しなやかさ)を、下記の評価基準を用いて5段階評価してもらった。その後、各試料の評点の平均値を、下記の判定基準を用いて判定した。
[評価基準]
(評価結果) :(評点)
非常に良好 : 4
良好 : 3
普通 : 2
やや不良 : 1
不良 : 0
[判定基準]
(判定) :(評点の平均点)
◎ (優) : 3.5以上
〇 (良) : 2.5以上3.5未満
△ (やや不可) : 1.5以上2.5未満
× (不可) : 1.5未満
【0036】
表1及び2の結果から明らかなように、実施例1~24のヘアトリートメントは、いずれも仕上がりのツルツル感及びしなやかさに優れ、また低温環境下においても優れた安定性を示すものであることが実証された。
これに対して、成分(A)を含有せずに、代わりに炭素数が22の高級アルコールであるベヘニルアルコールを含有した比較例1では、低温での安定性に劣るものであった。また成分(A)の代わりに常温で液状の高級アルコールであるラウリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコールを配合した比較例2~4では、仕上がりのツルツル感に劣るものであった。また成分(A)を含有しない比較例5では、仕上がりのツルツル感に加え、しなやかさも優れなかった。成分(A)の含有量が3%を超える比較例6は、低温時の安定性に劣るものであった。成分(B)中にIOB値が2以下である多価アルコールを含有しない比較例7~9は、低温時の安定性に劣るものであった。成分(B)の含有量が10%未満であり、成分(C)の含有量が80%を超える比較例10は、仕上がりのしなやかさ及びツルツル感・しなやかさに劣るものであった。成分(C)の含有量が20%未満の比較例11は低温時の安定性に劣るものであった。成分(D)を含有しない比較例15では、仕上がりのツルツル感、しなやかさが優れず、成分(D)の含有量が10%を超える比較例16は低温時の安定性に劣るものであった。成分(E)を含有せず、他の油剤も含有しない比較例12は、全ての評価項目において劣るものであった。また成分(E)の代わりに炭化水素油であるミネラルオイルや、直鎖シロキサン重合体のジメチコンを配合した比較例13、14は、常温においても分離してしまい不均一となり、低温での均一性も優れなかった。