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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029620
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】支持具および背負いバッグ
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/08 20060101AFI20240228BHJP
   A45F 3/04 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A45F3/08
A45F3/04 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131976
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】522237324
【氏名又は名称】宮崎 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 正紀
【テーマコード(参考)】
2E181
【Fターム(参考)】
2E181BA03
2E181BD01
(57)【要約】
【課題】背負いバッグを利用者の背中に柔軟にフィットさせ続けることで、長時間背負っていたり、利用者の動きが激しかったりした場合であっても、利用者が快適に利用し続けることができるような利便性の高い支持具を提供する。
【解決手段】本発明の支持具1は、複数のフレームFと、複数のフレームFが接続されるジョイント部J11と、を備えた、背負いバッグに装着される支持具1であり、ジョイント部J11に接続される複数のフレームFのうち、2本のフレームF11,F12がジョイント部J11から斜め上方向に向かってそれぞれ離れるように設けられており、ジョイント部J11に接続される複数のフレームFのうち、2本のフレームF21,F22がジョイント部J11から斜め下方向に向かってそれぞれ離れるように設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームと、前記複数のフレームが接続されるジョイント部と、を備えた、背負いバッグに装着される支持具であり、
前記ジョイント部に接続される前記複数のフレームのうち、2本のフレームが前記ジョイント部から斜め上方向に向かってそれぞれ離れるように設けられており、
前記ジョイント部に接続される前記複数のフレームのうち、2本のフレームが前記ジョイント部から斜め下方向に向かってそれぞれ離れるように設けられている
支持具。
【請求項2】
前記複数のフレームは、断面積が400mm2以下の棒状のものである
請求項1に記載の支持具。
【請求項3】
前記複数のフレームはカーボンを、
前記ジョイント部は樹脂を材料とするものである
請求項2に記載の支持具。
【請求項4】
前記ジョイント部から斜め上方向に向かって設けられている前記2本のフレームのそれぞれの上端部は、前記背負いバッグを背負った利用者の左右の肩部分にそれぞれ位置するものであり、
前記ジョイント部から斜め下方向に向かって設けられている前記2本のフレームのそれぞれの下端部は、前記利用者の腰の左右部分にそれぞれ位置するものである
請求項3に記載の支持具。
【請求項5】
前記ジョイント部から斜め上方向に向かって設けられている前記2本のフレームのそれぞれの上端部を連結するフレームを備えた、
請求項4に記載の支持具。
【請求項6】
前記ジョイント部は、前記背負いバッグを背負った利用者の背中を覆う平面のボードからなり、
前記複数のフレームは、前記ボード上に貼り付けられるもの、または前記ボードにフレームに相当する凹凸を設けることで形成されるものである
請求項1に記載の支持具。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の支持具が装着された背負いバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に背負われて使用される背負いバッグに装着される支持具、および当該支持具が装着された背負いバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者に背負われて主に荷物の運搬に使用されるリュックサックやバックパックなどの背負いバッグには、様々な種類のものがある。これらは、通勤時や通学時、プライベート時だけでなく、旅行や登山、キャンプ、トレイルランニングなどといった場面でも使用されている。
【0003】
そして、このように背負いバッグは様々な場面において様々な用途に合わせて使用されているため、従来技術として、より利便性を向上させるための技術が公開されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、フレームと荷重伝達ベルトとを有する荷物保持具が記載されている。この荷重伝達ベルトは、荷物保持具から利用者の臀部に荷重を伝達し、ロータリコネクタおよびヒンジコネクタが荷重伝達ベルトとフレームとの間を接続している。また、ロータリコネクタは、ベルトがロータリ回転軸の周りに回転することを許容し、ヒンジコネクタは、ベルトがヒンジ回転軸の周りに回転することを許容し、ヒンジ回転軸は、ロータリ回転軸と直角である構成となっている。
【0005】
また、特許文献2には、通気のためのメッシュエレメントの、肩ベルトを介して生じる変形が回避されることを目的としたリュックサックが記載されている。このリュックサックは、メッシュエレメントおよびフレームアセンブリを有しており、フレームアセンブリは、メッシュエレメントを緊張させるように設計されており、メッシュエレメントの緊張時に背面部分とメッシュエレメントとの間に中間室が形成されるようになっている。
【0006】
また、特許文献3には、背中の荷物のための搬送具用フレームが記載されている。この搬送具用フレームは、延出状弾性要素を有し、この弾性要素は、閉ループ状に延出するとともに、交差部どうしの間に肩要素、係留要素および腰要素を形成するような態様でそれ自体交差しており、これらの要素の諸区分は相互に関連して動くことができる。なお、肩要素は、肩ストラップのための肩固定具を有し、係留要素は背中の荷物を支持するために構成され、また、腰要素は腰ベルトのための腰固定具を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-006017号公報
【特許文献2】特開2019-034116号公報
【特許文献3】特表2014-511245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述したように、背負いバッグは様々な場面において様々な用途に合わせて使用されるものであるため、長時間背負っていたり、重い荷物を背負っていたり、利用者の動きが激しかったりした場合であっても、快適に利用できることが求められている。
そうすると、特許文献1に記載の荷物保持具は、品物の荷重を荷物保持具から利用者の臀部に伝達するものであるため、利用者の臀部の動きが制限されないものではあるが、左右に揺れる利用者の臀部の動き程度にしか対応できない(特許文献1の段落0009)。
【0009】
また、特許文献2に記載のリュックサックは、メッシュエレメントの変形を防ぐことを主な目的としたものであるため、利用者に特別な快適性を提供し得るものではない。
なお、特許文献3に記載の搬送具用フレームは、閉ループ状に形成された弾性要素が、肩要素、係留要素、および腰要素を形成するような態様でそれ自体が交差しているものであるため、これらの要素の諸区分は相互に関連して動くことができるが(特許文献3の要約書)、それぞれの要素が柔軟に独立して動くことはできない。つまり、これらの要素は、単に細長い連続状の弾性要素が一連のループとして構成されたものであるため、例えば利用者の肩と腰が同時に異なる動きをした場合、当該肩要素と当該腰要素の動作はそれぞれ制限されることとなる。
【0010】
よって、本発明は、背負いバッグを利用者の背中に柔軟にフィットさせ続けることで、長時間背負っていたり、重い荷物を背負っていたり、利用者の動きが激しかったりした場合であっても、利用者が快適に利用し続けることができるような利便性の高い支持具などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の支持具は、複数のフレームと、複数のフレームが接続されるジョイント部と、を備えた、背負いバッグに装着される支持具であり、ジョイント部に接続される複数のフレームのうち、2本のフレームがジョイント部から斜め上方向に向かってそれぞれ離れるように設けられており、ジョイント部に接続される複数のフレームのうち、2本のフレームがジョイント部から斜め下方向に向かってそれぞれ離れるように設けられている。
これにより、複数のフレームはそれぞれ、ジョイント部と接続している部分を支点として、それぞれのフレームが伸びている軸を中心に前後左右方向、または斜め方向などに動くことができる。
【0012】
また、複数のフレームは、断面積が400mm2以下の棒状のものであることが好ましい。
これにより、それぞれのフレームは、それ(フレーム)自体が曲がったり、しなったりと柔軟に変形できる。
【0013】
また、ジョイント部から斜め上方向に向かって設けられている2本のフレームのそれぞれの上端部は、背負いバッグを背負った利用者の左右の肩部分にそれぞれ位置するものであり、ジョイント部から斜め下方向に向かって設けられている2本のフレームのそれぞれの下端部は、利用者の腰の左右部分にそれぞれ位置するものであることが好ましい。
これにより、ジョイント部から利用者の左右の肩付近および利用者の左右の腰付近に至るまで、フレームが利用者の背中の形状に合わせてフィットするように設けられる。
【0014】
また、支持具は、ジョイント部から斜め上方向に向かって設けられている2本のフレームのそれぞれの上端部を連結するフレームを備えていることが好ましい。
当該連結するフレームにより、利用者の左右の肩付近は、一方が動くともう一方も動くといったようにその動きが連動される。
【0015】
また、支持具の構成として、ジョイント部は、背負いバッグを背負った利用者の背中を覆う平面のボードからなり、複数のフレームは、ボード上に貼り付けられるもの、またはボードにフレームに相当する凹凸を設けることで形成されるもの、とすることができる。
【0016】
なお、本発明の背負いバッグは、これらの支持具が装着されたものである。
【発明の効果】
【0017】
(1)本発明の支持具は、複数のフレームと、複数のフレームが接続されるジョイント部と、を備えた、背負いバッグに装着される支持具であり、ジョイント部に接続される複数のフレームのうち、2本のフレームがジョイント部から斜め上方向に向かってそれぞれ離れるように設けられており、ジョイント部に接続される複数のフレームのうち、2本のフレームがジョイント部から斜め下方向に向かってそれぞれ離れるように設けられている構成により、複数のフレームはそれぞれ、ジョイント部と接続している部分を支点として、それぞれのフレームが伸びている軸を中心に前後左右方向、または斜め方向などに動くことができるため、ジョイント部は同じ位置にありつつも、それぞれのフレームは利用者の背中の上部(肩付近)や下部(腰付近)の動きに追従して背負いバッグを利用者の背中にフィットさせ続けることができ、背負いバッグと利用者の背中との間に大きな隙間を生じることを防ぎ、加重バランスを常に一定に保つことができるため、利用者にかかる負荷を減らすことができる。
【0018】
(2)また、複数のフレームは、断面積が400mm2以下の棒状のものである構成により、それぞれのフレームは、それ(フレーム)自体が曲がったり、しなったりと柔軟に変形できるため、それぞれのフレームがより利用者の上部(肩付近)や下部(腰付近)の動きに追従し、より利用者にかかる負荷を減らすことができる。
【0019】
(3)また、ジョイント部から斜め上方向に向かって設けられている2本のフレームのそれぞれの上端部は、背負いバッグを背負った利用者の左右の肩部分にそれぞれ位置するものであり、ジョイント部から斜め下方向に向かって設けられている2本のフレームのそれぞれの下端部は、利用者の腰の左右部分にそれぞれ位置するものである構成により、ジョイント部から利用者の左右の肩付近および利用者の左右の腰付近に至るまで、フレームが利用者の背中の形状に合わせてフィットするように設けられるため、それぞれのフレームがしっかりと利用者の左右の肩付近や左右の腰付近の動きに追従し、より利用者にかかる負荷を減らすことができる。
【0020】
(4)また、支持具は、ジョイント部から斜め上方向に向かって設けられている2本のフレームのそれぞれの上端部を連結するフレームを備えている構成により、当該連結するフレームにより、利用者の左右の肩付近は、一方が動くともう一方も動くといったようにその動きが連動されるため、より利用者の肩付近の動きの追従性を高めることができる。
【0021】
なお、本発明の背負いバッグによれば、利用者は、支持具が装着された背負いバッグを背負って様々な場面で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係る支持具の概略図である。
図2】本発明の実施の形態に係る背負いバッグの概略図である。
図3】本発明の実施の形態に係る背負いバッグの装着イメージ図である。
図4】本発明の別の実施の形態に係る支持具の概略図である。
図5】本発明の別の実施の形態に係る支持具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の内容に限定されない。
【0024】
[支持具]
図1は、本発明の実施の形態に係る支持具の概略図である。図1に示すように、支持具1は、複数のフレームFと、複数のフレームFが接続されるジョイント部Jと、を備えている。
【0025】
また、図2は、本発明の実施の形態に係る背負いバッグの概略図である。図2に示すように、支持具1は、背負いバッグ100の内部に装着(固定)される。
【0026】
ここで、フレームFは、アルミなど金属、樹脂や竹などの有機材料などを材料とする。このような材料を用いることで、フレームFは硬質性および弾力性を有する。特に、フレームFは、例えば硬質性および弾力性に加えて軽さも兼ねているアルミ製やカーボン製、または炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)製のものであることが好ましい。
【0027】
また、フレームFは断面積が400mm2(例えば、20mm×20mm)以下の棒状のものが好ましく、断面積が100mm2(例えば、10mm×10mm)以下のものがさらに好ましく、断面積が49mm2(例えば、7mm×7mm)以下のものが最も好ましい。フレームFは棒状であれば、円柱状や角柱状などその形状(断面積の形状)は限定されない。
【0028】
なお、ジョイント部Jも、アルミなど金属、樹脂や竹などの有機材料などを材料とする。このような材料を用いることで、ジョイント部Jも硬質性および弾力性を有する。特に、ジョイント部Jは変形して、かつ元の形状に戻るようなもの、例えばプラスチック製や樹脂製のものであることが好ましい。
本実施の形態において、ジョイント部J(J11,J12,J13)はプラスチック製のものであり、図1に示すように一部が肉抜きされた略台形の形状となっている。そして、当該略台形の四つの角から、それぞれのフレームFが伸びるように接続されている。
【0029】
そして、本実施の形態においては、図1に示すように、ジョイント部J11に接続される複数のフレームFのうち、2本のフレームF(F11,F12)がジョイント部J11から斜め上方向に向かってそれぞれ離れるように設けられている。
【0030】
また、ジョイント部J11に接続される複数のフレームFのうち、2本のフレームF(F21,F22)がジョイント部J11から斜め下方向に向かってそれぞれ離れるように設けられている。
【0031】
これらのフレームF11,F12,F21,F22はそれぞれ、ジョイント部J11に対して、前後左右にある程度の範囲(0度~30度)で可動できるように接続されている。例えば、利用者の背中に位置するフレームFは、フレームFが地面に対して垂直に立っている時(図3(B)の点線参照)を0度とすると、前後方向に0度~30度で動くことができる(図3(B)の点線矢印参照)。一方、利用者の腰に位置するフレームFは、前後方向に0度~20度で動くことができる。
つまり、フレームF11などは、ジョイント部J11と接続している部分を支点として、フレームF11などが伸びている軸(図3(B)の点線参照)を中心に前後方向(図3(B)の点線矢印参照)、または左右方向(図1の点線矢印参照)、若しくは斜め方向に動くことができる。
【0032】
なお、支持具1は、フレームF11,F12のそれぞれの上端部を、ジョイント部J12,J13を介して連結するフレームF(F13)を備えている。図1に示すように、フレームF11とフレームF13は、ジョイント部J(J12)により接続されている。また、フレームF12とフレームF13は、ジョイント部J(J13)により接続されている。
【0033】
そして、フレームF11,F12のそれぞれの上端部は、背負いバッグ100を背負った利用者の左右の肩付近にそれぞれ位置するものである。つまり、支持具1が装着された背負いバッグ100を利用者が背負った時、フレームF11,F12のそれぞれの上端部が利用者の左右の肩付近に位置することとなる。
【0034】
一方、フレームF21,F22のそれぞれの下端部は、背負いバッグ100を背負った利用者の腰の左右部分にそれぞれ位置するものである。つまり、支持具1が装着された背負いバッグ100を利用者が背負った時、フレームF21,F22のそれぞれの下端部が利用者の腰の左右部分に位置することとなる。
【0035】
また、図1に示す例において、フレームF21,F22のそれぞれの下端部には、カバーC11,C12がそれぞれ設けられている。カバーC(C11,C12)は、フレームFの先端部分が背負いバッグ100の生地を突き破ったり、傷つけたりしないようにするためのものである。カバーCは、図1に例示したような形状(輪っか状)の他、フレームFの先端部分に被せるゴムキャップのような形状としてもよい。
もしくは、背負いバッグ100の、フレームFの先端部分が当たる位置にある生地辺りを樹脂などで保護(コーティング)し、フレームFの先端部分が背負いバッグ100の生地を突き破ったり、傷つけたりしないようにしてもよい。
【0036】
なお、ジョイント部J11は、支持具1が装着された背負いバッグ100を利用者が背負った時、利用者の肩と腰の間に位置することとなる。
人間の背中はS字にカーブしており、首は前カーブ、背中は後ろカーブ、腰は前カーブとなっている。ジョイント部J11は、この腰の前カーブの凹んでいる部分辺り(腰椎の辺り)に位置することが好ましく、特に腰椎の上部に位置することが好ましい。
【0037】
例えば、図3は、本発明の実施の形態に係る背負いバッグの装着イメージ図であり、(A)は側面から見た利用者が装着する前の背負いバッグ、(B)は側面から見た利用者が装着した後の背負いバッグである。ジョイント部Jは、図3(B)に示されるような部分辺りに位置し、利用者の背中にフィットしている。
【0038】
また、上述したようにフレームF11などはそれぞれ、ジョイント部J11に対して前後左右にある程度の範囲で可動できるように接続されているため、利用者の背中の形状に合わせて柔軟に曲がったり、支点(ジョイント部J)を中心に可動できたりする。そのため、腰椎辺りよりも盛り上がっている肩や肩甲骨、腰などの部分に対しても、隙間が生じることなくフレームF11などの上端部や下端部が密着される(フィットする)。
【0039】
例えば図3(B)の例において、利用者の側面から見た場合、フレームFの上端部は肩辺りに対して後方にx度傾いており、フレームFの下端部は腰辺りに対して後方にy度傾いている。
【0040】
[背負いバッグ]
上述したように、支持具1は、背負いバッグ100の内部に装着(固定)される。具体的には、背負いバッグ100の内部に隔壁(図示せず)を設けて、当該隔壁で区切られた空間内にジョイント部JやフレームFがそれぞれ配置されることで装着される。また、ベルクロ(登録商標)やマジックテープ(登録商標)などの面ファスナーにより、ジョイント部JやフレームFを背負いバッグ100の内部に固定させてもよい。
【0041】
また、背負いバッグ100は、利用者の通勤時や通学時、プライベート時に利用されるものだけでなく、旅行や登山、キャンプ、トレイルランニングで利用されるアウトドア向けのものであってもよい。
なお、背負いバッグ100の大きさも、容量が25L~60Lのものまで利用することができる。
【0042】
[実施例]
以下、各図面を参照して、利用者が本実施の形態に係る支持具1および背負いバッグ100を利用した場合におけるこれらの動作を説明する。
【0043】
例えば、利用者は本実施の形態に係る支持具1が内部に装着された背負いバッグ100を背負って、登山に出かけたとする。登山は、山の斜面を登る、山の斜面を下る、平坦な道を歩くだけでなく、ハシゴを登る/下る、岩や鎖を掴んで登る/下るなど、利用者(以下、「登山者」という)に様々な動きが要求される。
【0044】
登山者は山の斜面を登る際、左右の足を一歩ずつ踏み出すため、背負いバッグ100は前後および上下に揺れる。この時、支持具1は、ジョイント部J11が腰の前カーブの凹んでいる部分辺りに固定されつつも、これに接続されるフレームF11などはジョイント部Jとの接続部分を支点に可動可能である。また、ジョイント部JやフレームFは硬質性や弾力性を持つものである。
そのため、ジョイント部JやフレームFが変形することにより前後および上下の振動が吸収されつつ、フレームF11などは、その先端(フレームF11,F12の上端部やフレームF21,F22の下端部)が可動して利用者の肩や腰の動きに追従する。
【0045】
利用者の肩や腰の動きに追従するとは、例えば利用者が右足を前(または前方斜め上)に一歩踏み出した場合、右肩や腰の右側も前(または前方斜め上)へ動くこととなるが、フレームF11の上端部およびフレームF21の下端部も同じように前(または前方斜め上)へ動いて、当該右肩や腰の右側の動きに付いていくことである。
また、例えば利用者が左手を左(または左斜め上)に出して岩や鎖を掴んだ場合、左肩や腰の左側も左(または左斜め上)へ動くこととなるが、フレームF12の上端部およびフレームF22の下端部も同じように左(または左斜め上)へ動いて、当該左肩や腰の左側の動きに付いていく。
【0046】
一方、フレームFは硬質性や弾力性を持つものであるため、ジョイント部Jとの接続部分を支点に可動可能でありつつも、それ自身が折れたりすることはない。そのため、背負いバッグ100の背面(利用者に背負われる面)はフレームFにより型崩れすることなく、その形状が保たれる。
【0047】
このように、フレームFとジョイント部Jとを、背負いバッグ100が背負われた際に利用者の背中の適切な位置に配置されるような構成とすることで、利用者がどのような動きをしても、背負いバッグ100を利用者の背中に柔軟にフィットさせ続けることができる。
従って、背負いバッグ100を長時間背負っていたり、重い荷物を背負っていたりする場合であっても、利用者は快適に利用し続けることができる。
【0048】
もしこのように背負いバッグ100が利用者の背中にフィットしないと、背負っている荷物の加重バランスが崩れて利用者は荷物を重く感じてしまう。また、利用者の体の一部(荷物の加重が偏った部分)に負荷がかかり過ぎることとなる。そのため、使用中に利用者の体に不調や異常が生じたりして、利用者は荷物を長時間背負ったり、重い荷物を背負ったりすることができなくなる。
【0049】
さらに、上述したようにフレームF11などは様々な方向に可動できるため、利用者がどのような動きをしても、フレームF11などはその先端が利用者の肩や腰の動きに追従して、利用者の背中と背負いバッグ100との間には大きな空間(隙間)が生じない。
重い荷物を運ぶ際はできるだけ荷物と体とを密着させることで、負荷が軽減できたり、バランスが取りやすくなったりすることが知られている。そのため、利用者の背中と背負いバッグ100との間に大きな空間を生じさせないことで、利用者にかかる負荷を軽減することができる。
【0050】
なお、支持具1はフレームF13を設けることで、よりフレームF11,F12の上端部を利用者の肩の動きに追従させることができる。
【0051】
以上のように説明した本発明の実施の形態はあくまでも一例で、本発明の趣旨を逸脱しない限り、支持具1の構成は図1に例示する以外に適宜変形可能である。
例えば、フレームF13やジョイント部J12,J13を外した構成としてもよく、フレームF13やジョイント部J12,J13を外した後に、フレームF11,F12の上端部にカバーCを取り付ける構成としてもよい。
また、背負いバッグのサイズや形状、利用者の体の大きさや背中の形状などに合わせて、ジョイント部の大きさや背負いバッグ装着時における位置、フレームの長さなどを適宜調整することができる。
【0052】
[変形例]
図4,5は、本発明の別の実施の形態に係る支持具の概略図である。
図4(A)に示すように、支持具1aは、1本の連続したフレームF(例えば、アルミ棒)が折り曲げられてフレームを形成している。そして、図1に示す支持具1のジョイント部J11に相当する部分として、ベルト部Bが設けられている。
【0053】
支持具1aにおいても、支持具1と同様に、ベルト部Bと接続されるフレームFのうち、上部2本のフレームFがベルト部Bから斜め上方向に向かってそれぞれ離れるように設けられており、下部2本のフレームFがベルト部Bから斜め下方向に向かってそれぞれ離れるように設けられている。なお、後述する支持具1b,1c,1dについても同様である。
【0054】
また、図4(B)に示すように、支持具1bは、フレームF(例えば、プラスチック)が逆台形状に形成されて上部のフレームを形成している。一方、下部のフレーム(フレームF21,F22)については、支持具1と同様の構成にすることができる。つまり、支持具1bは、フレームFと、フレームF21と、フレームF22との3つのパーツで構成されている。そして、逆台形状に形成された上部のフレームFの底辺部分が、ジョイント部J11に相当する部分である。
【0055】
また、図5(A)に示すように、支持具1cは、背負いバッグ100を背負った利用者の背中(図3(B)参照)を覆う程度の広さを持つ平面のボードPに、フレームF(F11,F12,F21,F22)がそれぞれ接着剤や留め具(図示せず)などで貼り付けられている。そして、ボードPの中心部分に相当するところ(点線枠参照)が、ジョイント部J11に相当する。
【0056】
なお、図5(B)に示す支持具1dのように、ボードPに凹凸を設けることで、フレームF(F11,F12,F21,F22)に相当する形状を形成させることもできる。例えば、ボードPを背面から押し出すことで、このような棒状の凹凸を形成することができる。
【0057】
ここで、ボードPは、例えばPEボード(独立気泡発泡体)を採用することができる。PEボードは、支持具1におけるジョイント部J11と同様に硬質性(強靭性)および弾力性を有しているため、支持具1c,1dも、支持具1と同様の作用効果を有することができる。なお、ボードPは、硬質性(強靭性)および弾力性を有しており、上述したようにフレームFを貼り付けたり、加工により凹凸を設けたりすることができるものであればこれに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、背負いバッグを利用者の背中に柔軟にフィットさせ続けることで、長時間背負っていたり、重い荷物を背負っていたり、利用者の動きが激しかったりした場合であっても、利用者が快適に利用し続けることができるような利便性の高い支持具および背負いバッグであり、利用者の通勤時や通学時、プライベート時、または旅行や登山、キャンプ、トレイルランニングなどの際に利用されるバッグ、リュックサック、バックパックなどとして利用することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0059】
1,1a,1b,1c,1d 支持具
100 背負いバッグ
F,F11,F12,F13,F21,F22 フレーム
J,J11,J12,J13 ジョイント部
C,C11,C12 カバー
B ベルト部
P ボード
図1
図2
図3
図4
図5