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特開2024-29627薬品類収納装置、薬品類収納システム及び薬品類収納装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029627
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】薬品類収納装置、薬品類収納システム及び薬品類収納装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20240228BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240228BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
B65G1/00 521E
B65G1/137 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131988
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100204456
【弁理士】
【氏名又は名称】調 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
4C047
【Fターム(参考)】
3F022AA10
3F022FF01
3F022FF10
3F022MM22
3F022MM36
3F522AA06
3F522BB15
3F522BB24
3F522CC06
3F522FF04
3F522GG04
3F522GG44
3F522GG45
3F522HH03
3F522HH19
3F522HH33
3F522LL58
4C047JJ05
4C047JJ06
4C047JJ08
4C047JJ26
4C047JJ31
4C047KK03
4C047KK24
4C047KK25
4C047KK28
(57)【要約】
【課題】複数人での操作の際にも取り違えのリスクを抑制可能な薬品類収納装置の提供。
【解決手段】本発明の薬品類収納装置は、薬品類を収容する収納容器と、前記収納容器を保持する筐体部と、それぞれの前記収納容器の後方にあって当該収納容器を前方に向けて付勢することで開動作させる開駆動機構と、前記収納容器あるいは前記筐体部の前方側に配置され、操作者のユーザー情報に合わせて複数の色から1つを選択的に表示可能な表示手段と、を有し、前記開駆動機構は、制御端末からのユーザー情報と薬品情報とを含む信号に基づいて当該薬品情報が示す薬品が収容された前記収納容器を開動作させ、前記表示手段は、前記ユーザー情報に合わせて当該表示手段の前記色を変化させることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品類を収容する収納容器と、
前記収納容器を保持する筐体部と、
それぞれの前記収納容器の後方にあって当該収納容器を前方に向けて付勢することで開動作させる開駆動機構と、
前記収納容器あるいは前記筐体部の前方側に配置され、操作者のユーザー情報に合わせて複数の色から1つを選択的に表示可能な表示手段と、
を有し、
前記開駆動機構は、制御端末からのユーザー情報と薬品情報とを含む信号に基づいて当該薬品情報が示す薬品が収容された前記収納容器を開動作させ、
前記表示手段は、前記ユーザー情報に合わせて当該表示手段の前記色を変化させることを特徴とする薬品類収納装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬品類収納装置において、
前記表示手段は複数のLEDを有し、
前記ユーザー情報に合わせて対応する色のLEDを点灯させることを特徴とする薬品類収納装置。
【請求項3】
請求項1に記載の薬品類収納装置と、
前記薬品類収納装置を制御するための制御端末と、
前記ユーザー情報と紐づけられた少なくとも2つの携帯端末と、
を有し、
前記制御端末は、前記携帯端末に前記操作者がログインしたときに当該操作者のユーザー情報と色とを一対一に組み合わせることを特徴とする薬品類収納システム。
【請求項4】
請求項3に記載の薬品類収納システムであって、
前記携帯端末は薬品外装から薬品情報を読み取るための読み取り手段を有し、
前記薬品情報を読み取ることで前記収納容器に対応する薬品を補充可能であることを特徴とする薬品類収納システム。
【請求項5】
薬品類を収容する収納容器と、
前記収納容器を保持する筐体部と、
それぞれの前記収納容器の後方にあって当該収納容器を前方に向けて付勢することで開動作させる開駆動機構と、
前記収納容器あるいは前記筐体部の前方側に配置された表示手段と、
を備えた薬品類収納装置を操作するための制御方法であって、
操作者のユーザー情報と色とを一対一に組み合わせる配色決定ステップと、
処方に対応する薬品類を特定するための薬品情報と、前記ユーザー情報と、を紐づける処方選択ステップと、
前記処方選択ステップによって選択された処方に従って前記薬品情報に対応する収納容器を特定する容器特定ステップと、
前記容器特定ステップによって特定された前記収納容器に取り付けられた前記開駆動機構を開動作させる開動作ステップと、
前記ユーザー情報に対応する色に合わせて当該表示手段の表示を変化させる表示ステップと、
を実行する制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法であって、
前記開動作ステップが終了して前記収納容器が閉じられたことを条件として、前記薬品情報を前記処方内の次の薬品のものへと切り替えることを特徴とする制御方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の制御方法であって、
補充すべき薬品情報と前記収納容器とを紐づける補充薬品特定ステップを実行する制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の制御方法であって、
前記補充薬品特定ステップよりも前に通常補充と返却補充との2つの補充方法を選択する補充モード選択ステップを実行し、
前記補充モード選択ステップにおいて返却補充が選択されたときには、前記開動作ステップの後に返却理由を入力する返却理由入力モードを実行することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
請求項5に記載の制御方法であって、
前記収納容器に保管された薬品の在庫確認をするために、当該薬品を選択可能な在庫確認対象選択ステップを実行することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬品収納装置や,薬品棚,調剤台,医療具保管庫などの薬品類収納装置に関し、詳しくは、医薬品や医療材料などの薬品類を人手で出し入れしうる引出可能な収納容器を複数・多数具え、当該収納容器からの薬品類取出を薬品類払出情報に基づいて選択的に可能な薬品類収納装置及び当該薬品類収納装置から薬品類取出を容易にするための制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
収納対象を薬品類に限らなければ、分別保管機能の付いた収納庫の典型例として、収納部が多数の区画室に区切られて各々の区画室に扉が着いている汎用のロッカーや設備用物品台などが多数知られている。
これに対し、収納対象が薬品類の場合、アンプル剤等の薬品類を多数のカセット(収納容器)に収納して分別保管することに加えて、その中の薬品類の選択に加えて開動作まで自動で行う薬品類収納装置が開発されている(例えば特許文献1~4等参照)。
【0003】
このような薬品類収納装置においては、薬品の取り違えや、貴重あるいは危険な薬品の持ち出し等を防止するために、常時は収納容器をロックし、処方箋等の払出情報を確認して必要な薬品が保管された収納容器のみ開動作可能な構成が知られている(特許文献4等参照)。
このような薬品類収納装置では、一般的には1人の操作者による操作を想定したものであって、複数の操作者で同時に操作するようなことは、取り違えの防止という目的からしても難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-007093号公報
【特許文献2】特開2020-195494号公報
【特許文献3】特開2013-255724号公報
【特許文献4】特願2021-207986号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、保全性を高めながらも、複数人で同時操作が可能な薬品類収納装置が望まれていた。
【0006】
本発明は、かかる技術的課題を解決するためのものであり、複数人での操作の際にも取り違えのリスクを抑制可能な薬品類収納装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の薬品類収納装置は、薬品類を収容する収納容器と、前記収納容器を保持する筐体部と、それぞれの前記収納容器の後方にあって当該収納容器を前方に向けて付勢することで開動作させる開駆動機構と、前記収納容器あるいは前記筐体部の前方側に配置され、操作者のユーザー情報に合わせて複数の色から1つを選択的に表示可能な表示手段と、を有し、前記開駆動機構は、制御端末からのユーザー情報と薬品情報とを含む信号に基づいて当該薬品情報が示す薬品が収容された前記収納容器を開動作させ、前記表示手段は、前記ユーザー情報に合わせて当該表示手段の前記色を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このような薬品類収納装置によれば、各操作者に対応する色分けによって、取得するべき薬品類の棚が容易に判別できるので、複数人での操作の際にも取り違えることなく薬品類の取り出しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の一例として、薬品類収納システムの全体構成を示した図である。
図2図1に示した薬品類収納装置の外観を示す斜視図である。
図3図1に示した収納棚の内部構造を示した図である。
図4】開駆動機構の動作を示した図である。
図5】制御部の機能の一例を示す図である。
図6】薬品類収納装置を用いた払い出し動作の一例を示す図である。
図7】携帯端末に表示されるログイン画面の構成の一例を示す図である。
図8】ログイン時の画面構成の一例を示す図である。
図9】払い出し動作時の画面構成の一例を示す図である。
図10】他のユーザーによる払い出し動作の一例を示す図である。
図11】他のユーザーによる色分けされたログイン画面の構成の一例を示す図である。
図12】他のユーザーによる払い出し動作時の画面構成の一例を示す図である。
図13】メニュー画面の構成の一例を示す図である。
図14】補充を行う際の画面構成の一例を示す図である。
図15】補充時の補充数量の入力画面の一例を示す図である。
図16】補充を行う際の動作の一例を示す図である。
図17図16に示した動作の変形例を示す図である。
図18】在庫確認の動作の一例を示す図である。
図19】在庫確認の動作時の画面構成の一例を示す図である。
図20】在庫確認の動作時の画面構成の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の薬品類収納装置の一例である具体的な形態を、図に沿って説明する。
図においては、簡略化のため、ボルト等の締結具や、電動モータ等の駆動源、ギヤ等の伝動部材、モータドライバ等の電気回路、コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示する。
【0011】
まず、本発明の薬品類収納装置1について、システム構成図及び外観図を図1図2に示す。
薬品類収納システム2は、薬品類収納装置1と、薬品類収納装置1を制御するための制御端末2と、制御端末2及び薬品類収納装置1と互いに通信可能なネットワーク9を介して接続された携帯端末であるPDA(Portable Digital Assistant)3と、これらの各端末間で動作する制御手段であるアプリケーションソフトウェア4と、で構成されたシステムである。なお、本実施形態では、PDA3はアクセスポイント90と無線LANによって接続されており、アクセスポイント90は、ネットワーク9を介して上位の調剤サーバや処方箋管理システム等の上位装置8と接続されてることで、全体として一体のシステムとして動作する。
アプリケーションソフトウェア4は、薬品類収納装置1を実際に動作させることで薬品類収納システム2を成立させるための制御手段であり、本実施形態では薬品類収納装置1の制御方法を実行するプログラムである。なお、アプリケーションソフトウェア4を本実施形態では特にPDA3にインストールされた場合について説明するが、薬品類収納システム5を構成する各要素の何れに搭載されたものであっても良い。
【0012】
薬品類収納装置1は、図2に示すように、筐体部である筐体100に複数形成された薬品類を収納するための収納棚110と、収納棚110の各区画に1つずつ引き出し可能に取り付けられた収納容器10と、収納容器10の後方にあって収納容器10を前方に向けて付勢することで開動作させる開駆動機構20と、薬品類収納装置1の前面にそれぞれの収納容器10に対応して取り付けられた発光部30と、を有している。
薬品類収納装置1は、開駆動機構20の動作や発光部30の発光を制御するための制御部40と、操作者が前面に立って作業する際の作業台としても機能する引き出し可能な載置受部材50と、載置受部材50の両脇にあって引き出し時に載置受部材50を案内するためのガイド部材60と、を有している。
【0013】
収納容器10は、図3に示すように、内部にPTPシート等をはじめとする医薬品やそのた医療材料等の薬品類を人手によって出し入れ可能な前後に長い箱状の容器であって、上面が開放された直方体形状をしている。
収納容器10は、後部に配置されている開駆動機構20の動作によって、前方に付勢されることで図4のように収納棚110から前部が突出するように押し出されて、操作者はかかる前方に突出した部分を手掛かりに引き出すことで、上面側から薬品類の取り出しや補充を行うことができる。
【0014】
開駆動機構20は、制御部40からの電気信号等に従って制御下で動作する電動モータ21と、電動モータ21の駆動とリンクするリンク機構であって前方に伸長することで収納容器10を前方へと付勢する押出機構22と、を有している。
開駆動機構20はまた、押出機構22が前方に収納容器10を付勢したときには解除され、後方へ押し込まれているときには収納容器10の後端部10aと係合して収納容器10が勝手に前方へ移動してしまうことを抑止するためのロック機構23と、収納容器10が前方へ突出した状態である開状態と、収納容器10が収納棚110に収納された状態である閉状態とを判別するための開閉状態判別部としてのセンサ24と、を有している。
【0015】
開駆動機構20は、閉状態において後述するようにPDA3からの通信によって制御部40からの電気信号を受信すると、ロック機構23を解除するとともに押出機構22が形状を変えることで収納容器10を前方へと押し出すように付勢する。
このとき、収納容器10が前方へ突出した開状態となったことをセンサ24から制御部40あるいはPDA3まで通知しても良い。
開駆動機構20はまた、操作者によって収納容器10が閉状態とされたときには、センサ24から閉状態になったことを通知可能である。このようにセンサ24は、収納容器10の開閉を検知するための検知手段として機能している。
【0016】
発光部30は、本実施形態では収納棚110の前方側に、各収納容器10と対応するように個々に取り付けられたLEDランプであって、対応する収納容器10の後方にある開駆動機構20が動作して収納容器10が開状態となったときに点灯する。
発光部30は、複数種、例えば赤と緑の2種に色分けされたLEDランプによって、後述するようにPDA3を利用する操作者であるユーザーと一対一に対応した色に色分けすることができる。
このように発光部30は、PDA3を操作するユーザーに合わせてその表示を変更することのできる表示手段としても機能する。
また、本実施形態では発光部30としたが、例えば収納容器10の前方側の面が液晶モニタや電子棚札であるESL(Electronic Shelf Label)としても良い。しかしながら、収納容器10が開くという比較的短時間での視認性向上のためには、2種類に色分けされたLEDランプが最も好適である。また、このように2種類のLEDランプとすればコストの低減にも適している。
【0017】
制御部40は、図5に示すように、携帯端末であるPDA3と、制御端末2と、ネットワーク9を介して通信しており、PDA3からのユーザーの操作に基づいて、発光部30や開駆動機構20の電動モータ21、押出機構22、ロック機構23、センサ24等の実際の動作を制御している。
制御部40は、制御端末2から受け取ったユーザー情報を基に発光させるLEDランプの色を区別するための発光制御部41と、電動モータ21を回動させて押出機構22を図3図4のように変化させる駆動制御部42と、センサ24の信号に基づいて収納容器10が開状態か閉状態かを判断する開動作判定部43と、を有している。
PDA3は、本実施形態では2台の独立した携帯端末であり、それぞれ1台に1人の操作者として特定のユーザー61、62が用いるものとする。なお、かかるPDA3について、以降の説明で特に区別の必要なときには、ユーザー61が使用するものをPDA31、ユーザー62が使用するものをPDA32とそれぞれ説明するが、例えば後述するログイン処理を行う際にユーザー62がPDA31を用いてログイン処理を行うとしても良く、その場合にはユーザー62のユーザー情報が、PDA31に紐づいて登録されることとなる。このように、特定の携帯端末が特定の個人に使用されることに限定されるものではなく、本発明においては、誰がその端末を使用しているかがユーザー情報として用いられる。
【0018】
以下、これらの各構成を用いて、2人の操作者であるユーザー61とユーザー62とが薬品類収納装置1を共に同時に利用するときの払い出し操作の制御について図6の処理に従って説明する。
PDA3は、バーコード読み取り機能を備えた所謂携帯端末であって、図7に示すように、初期画面としてユーザーにログインを要求する画面が表示されている。
かかる画面において、ユーザー61がまず例えばシステムキーボードへの入力によってユーザーIDとパスワードとを入力することや、ユーザー61自身の社員証のバーコードをPDA3に認識させることで、ログイン処理を行う(ステップS101)。
ステップS101の認証ステップにおいてユーザー61がログインすると、PDA31の画面上には、図8に示すようにユーザー61がログインした順序に対応する斜線で示す背景色(ここでは緑)のユーザーインターフェースにて、図8に示すように登録されている患者名と、対応する処方箋とが紐づいた状態で、選択可能な待ち画面が表示される(ステップS102)。
このように、ステップS101及びステップS102は、携帯端末であるPDA3にログインした操作者のユーザー情報と色とを一対一に組み合わせる配色決定ステップとしても機能する。
このように、ログイン処理を行った直後の待ち画面の表示において、PDA3がユーザー61に対応した背景色の表示となることで、ユーザー61は、自身に割り当てられている色を理解した上で操作できるので、後述の開動作ステップ等において視認性が向上する。
なお、かかる待ち画面は、例えば薬品類収納システムよりも上位の電子カルテ管理システムや、その他の上位端末によって受け付けられた処方箋情報を取り込んだものであって、予め制御端末2に保持されたデータベースから読み取り可能な患者情報と、処方情報とが紐づけられた状態で、図9に示すように患者情報がユーザー61から参照可能となっている。
【0019】
図8に示されたような処方情報選択画面においては、例えば未処理の処方情報を「待ち」として、既に処理された後の処方情報を「済み」として、2つのタブに分離して整理されている。
ユーザー61が例えば「待ち」のタブにおいて一番目に表示された患者情報C1を選択する(ステップS103)と、PDA31の画面は図8に示す患者情報C1と対応する処方情報である薬品一覧画面を図9のように表示する(ステップS104)。このように、ステップS103は処方に対応する薬品類を特定するための薬品情報と、ユーザー61のユーザー情報と、を紐づける処方選択ステップとして機能する。
ステップS104において、ユーザー61は、患者情報C1に対応する処方情報を確認し、一括払い出しか、個別払い出しかを選択する(ステップS105)ことができる。例えば、ステップS104で表示された薬品一覧画面において、記載されている薬品類M1,M2,M3の中から、薬品M1を選択すると個別払い出しになり、何も選択しない状態で上方向にスワイプ操作を行うと一括払い出しになる、というような選択方法が考えられる。
なお個別払い出しの場合には、一括払い出しの場合と処理自体は一緒で、払い出しの順序が異なるだけであるため、ここでは一括払い出しについてのみ説明を行う。
【0020】
PDA31を用いてユーザー61が一括払い出しを行ったときには、PDA31の画面上では処方情報の最上段の薬品M1が選択された状態となるとともに、選択された薬品M1の薬品情報が、薬品類収納装置1へと通知される(ステップS106)。
ここで薬品情報とは、例えば薬品M1の名称やGS1コード等の薬品M1を特定するために十分な情報であり、かかる特定が可能であれば薬品類収納装置1において付けられた任意の番号であっても良い。また、かかる薬品情報と、収納容器10とを紐づけるとは、薬品情報から特定された薬品と、当該薬品が保管された収納容器10のカセット番号とを1対1で対応させることを示している。
【0021】
既に述べたように、制御部40は、PDA31からかかる薬品M1の薬品情報が通知されると、対応する収納容器10を特定する(ステップS107)とともに、収納容器10の背面に取り付けられた開駆動機構20を開動作させる(ステップS108)。
このとき、ステップS107は、処方選択ステップによって選択された処方に従って薬品情報に対応する収納容器10を特定する容器特定ステップとして機能し、ステップS108はステップS107において特定された収納容器10に取り付けられた開駆動機構20を開動作させる開動作ステップとして機能する。
【0022】
ステップS107、ステップS108によって収納容器10が収納棚110から突出すると同時に、制御部40は、当該収納容器10の位置に当たる発光部30を、緑色に点灯させる(ステップS109)。
かかるステップS109において点灯する色は、ユーザー61がログインしたときにPDA31の画面上のUIに表示された背景色と同一である。
このように、ユーザー61の操作によって開いた収納容器10であるとわかるように、点灯する色を色分けすることによって、ユーザー61は、自身の操作するPDA31の対応薬品を取り出しやすくなる。かかるステップS109は、ユーザー情報に合わせて発光部30の表示を変化させる表示ステップとして機能する。
【0023】
ユーザー61は、かかる発光部30の点灯と、ステップS108において開かれた収納容器10とを確認すると、収納容器10から薬品M1を取り出して、PDA31を用いて薬品M1の外装等に付随しているバーコードを読み取る。
PDA31は、かかるバーコードの読み取りによって、薬品M1が確かに取り出されたことを確認する(ステップS110)。なお、バーコードによる読み取りは、薬品M1を確実に取り出したことを明確にするために実施例として記載したものではあるが、必ずしも必要なステップではない。例えばステップS110がなくとも、開いた収納容器10に正しい薬品M1が収納されているのであれば、ユーザー61は、PDA31を用いて違う収納容器10を同時に開けることはできないので、ユーザー61は、正しい薬品M1しか取り出せないはずだからである。
また、不要な確認を減らすことで、効率的な払い出しが可能となるメリットも生じる。このような払い出し時のバーコードの読み取りステップを行うかどうかは、例えば制御端末2等から設定として自由に変更することができる。
ユーザー61が、ステップS110の後に収納容器10を手動にて閉めると、かかる動作によってセンサ24が閉状態を検知する(ステップS111)。
なお、ステップS111において、センサ24が閉状態を検知しない場合には、PDA31は薬品M1が未だ取り出されていないものとして処理を継続する。
【0024】
さて、ステップS111においてセンサ24が収納容器10が閉じたことを検知すると、制御部40は、PDA31に薬品M1が取り出されたとして、PDA31は次の薬品M2についてステップS106~ステップS111の動作を行う。
このようなループ処理を、処方情報に記載された全ての薬品M1、M2、M3・・・について行う(ステップS112)と、ユーザー61は、処方情報に記載された薬品類が払い出されていることを確認する。
このような処理が終わると、PDA31は画面を待ち画面に戻してユーザー61が次の操作を行うまで待機する。
【0025】
このような薬品類収納装置1において、ユーザー61と重複した時間帯に、2人目のユーザー62もまた払い出し操作を行う場合について説明する。
従来、このようにPDA3等の携帯端末を介して薬品類収納装置1を操作する場合には、自分の操作で開いた収納容器10であるのか、それとも他人の操作によって開いた収納容器10であるのかを素早く見分けることは難しいことが予想される。
しかしながら、薬品類収納装置1を1人のユーザーが使うだけでは、せっかく収納容器10を複数用意しても、1度に処理できる人数は限られてしまう上、複数台の薬品類収納装置1を調剤室の限られたスペースに配置することは難しい。
【0026】
そこで、本実施形態では、次に述べるようにログイン時のユーザー情報を用いて、複数人であっても薬品類収納装置1を同時操作可能なアプリケーションソフトウェア4の提供を目的としている。
【0027】
ステップS101~ステップS112の何れかの処理が継続中の状態で、ユーザー61とは異なるユーザー62が、PDA31とは異なるPDA32を用いてログインする場合について図10を用いて説明する。
ステップS201に示すように、PDA32を用いてログインするときには、ステップS101と同様にユーザー62がログイン情報を入力する。
【0028】
ステップS201においてユーザー62がログインすると、制御端末2は、かかるログインの順序、例えばこの場合には2人目であるとして、画面上には図11に示すような背景色(ここでは赤)のユーザーインターフェースにて、登録されている患者名と、対応する処方箋とが紐づいた状態で、選択可能な待ち画面が表示される(ステップS202)。
以降、例えば発光部30が更に多くの色分けを可能とした場合にはその色分け数を上限として、複数人での同時ログインが可能である。
なお、かかる発光部30の色分けは、単色のLEDを点灯させる以外にも、例えば赤と緑とを同時点灯させることで黄色に色分けするなど、さまざまな方法が考えられ、また表示手段としてユーザー名を文字表示するなどの方法を取ればさらに多くの区別を行うことも可能ではあるが、視認性を確保できる範囲内でかつ収納棚110の個数を考慮すると、2色~4色程度の範囲内とすることが好適である。
【0029】
ログインしたユーザー62のPDA32には、図11に例示するように、背景色を赤色とした以外は図8に示したのと同様の患者情報が表示されている。
このように、ステップS201及びステップS202も同様に、携帯端末であるPDA3にログインしたユーザー62のユーザー情報と色とを一対一に組み合わせる配色決定ステップとしても機能する。
ユーザー62が患者情報C2を選択すると(ステップS203)、PDA32の画面には図12に示すように患者情報C2と対応する処方情報である薬品一覧を表示する(ステップS204)。なお、かかる処方情報は、図9に示した患者情報C1に対応する処方情報と、薬品と背景色が違う以外は同様である。
また、このようなステップS203はまた、処方に対応する薬品類を特定するための薬品情報と、ユーザー62のユーザー情報と、を紐づける処方選択ステップとして機能する。
【0030】
ステップS204において、ユーザー62は、ステップS105と同様に、患者情報C2に対応する処方情報を確認し、一括払い出しか、個別払い出しかを選択する(ステップS205)ことができる。
【0031】
ステップS205においてユーザー62が一括払い出しを行ったときには、PDA32の画面上では処方情報の最上段の薬品が選択された状態となるとともに、選択された薬品M4の薬品情報が、薬品類収納装置1へと通知される(ステップS206)。
ステップS106と同様に、制御部40は、PDA32からかかる薬品M4の薬品情報が通知されると、対応する収納容器10を特定する(ステップS207)とともに、収納容器10の背面に取り付けられた開駆動機構20を開動作させる(ステップS208)。
このとき、ステップS207は、処方選択ステップによって選択された処方に従って薬品情報に対応する収納容器10を特定する容器特定ステップとして機能し、ステップS208はステップS207において特定された収納容器10に取り付けられた開駆動機構20を開動作させる開動作ステップとして機能する。
【0032】
ステップS207、ステップS208によって収納容器10が収納棚110から突出すると同時に、制御部40は、当該収納容器10の位置に当たる発光部30を、ユーザー62の背景色である赤色に点灯させる(ステップS209)。
このように、ユーザー61の操作によって開いた収納容器10と、ユーザー62の操作によって開いた収納容器10とが発光部30の色分けによって互いにわかりやすくなっていることによって、ユーザー62は、自身の操作するPDA32の対応薬品を取り出しやすくなる。
また、ユーザー61とユーザー62とが互いに異なる薬品を同時に扱うときにも、互いに取るべき薬品を混同してしまうことなく薬品類収納装置1を同時に取り扱うことを可能とする。
【0033】
ユーザー62は、かかる発光部30の点灯と、ステップS208において開かれた収納容器10とを確認すると、収納容器10から薬品M4を取り出して、PDA32を用いて薬品M4の外装等に付随しているバーコードを読み取る。
PDA32は、かかるバーコードの読み取りによって、薬品M4が確かに取り出されたことを確認する(ステップS210)。なお、ステップS210についても、ステップS110と同様の理由により制御端末2の設定によって実行されないこともある。
ユーザー62が、ステップS210の後に収納容器10を手動にて閉めると、かかる動作によってセンサ24が閉状態を検知する(ステップS211)。
ステップS209~S212の各動作は、ユーザーが異なる以外はステップS109~S112の動作と同一であるので、適宜説明を省略する。
【0034】
さて、患者情報C1と患者情報C2とによるが、ユーザー61とユーザー62とが、互いに異なる患者に対して処方された同じ薬品M3を取り出したい場合もあり得るので、その場合の処理について説明する。
制御部40は、ステップS106あるいはステップS206の何れか先に制御部40に指示がきた場合には、早い方を優先して処理を行う。例えばここではユーザー62の方が先に薬品M3について対象となる収納容器10を開放した場合について説明する。
このとき、ステップS206の方が優先されるので、制御部40は、ステップS207~ステップS211の動作を優先して行って、発光部30をユーザー62に対応する赤色で点灯させる。
【0035】
このステップS206~S211の動作中には、ユーザー61の持つPDA31側では、待機中である旨を表示もしくは音声による報知を行う。
このとき、PDA31側では、一括払い出しの処理動作中であっても、ユーザー61の任意のタイミングで、キャンセルボタンを押すあるいは待機画面をスワイプするなどのキャンセル操作を行うことで、待機中の払い出し処理を中断して、後述するような補充モードに変更することもできる。
かかる構成によれば、2人で同時に同じ収納容器10にアクセスせざるを得なくなったタイミングにも、他の作業を行えるので、より効率的に2人での同時作業を行うことができる。なお、こうした中断処理の後にも、ユーザー61がメニュー画面において再度一括払い出しモードを選択すると、PDA31は中断した処理の続きから払い出し操作を行うこともできる。
【0036】
ステップS211において収納容器10が閉状態となったことをセンサ24が検知すると、制御部40は、次に保留されていたステップS106の処理を行って、同じようにステップS107~S111の処理を行って、発光部30をユーザー61に対応する緑色で点灯させる。
ステップS111でユーザー61も薬品M3を取り出したことを確認し、収納容器10が閉められると、処理は完了する。
なお、ステップS211の処理終了後からステップS106の処理が開始するまでの間に、待機中であったPDA31側には、処理が再開する旨の表示もしくは音声による報知を行い、薬品M3の薬品情報を表示した上でステップS206からの処理を行うことが望ましい。
これは、中断期間が長い時にはユーザー61が他の作業を行っているかもしれないためである。
【0037】
このようにして、発光部30をユーザー情報に合わせた色に色分けして点灯することで、ユーザー61とユーザー62とが同時に薬品類収納装置1を使用できるので、複数人での操作の際にも取り違えることなく薬品類の取り出しが可能となる。
【0038】
次に、PDA31を用いたその他の処理として、補充モードについて図16を用いて説明する。
なお、ここでステップS101、S102のようなログイン動作及び配色決定ステップは、2度以上行う必要がないため同一の符号を付して省略する。
PDA3は、図8あるいは図11に示した画面等から図中左上に表示された動作、例えば右方にスワイプする等の操作で、メニュー画面へと移行できる。
メニュー画面には、図13に示すように、「通常補充」、「返却」、「例外払い出し」、「在庫確認」等の操作を選択して実行可能な各ボタン35が表示されている。
通常補充ボタンを押下すると、PDA31は、図14に示すような補充画面に移行する。補充画面においては、PDA31には、緑色の背景色の上に「薬品のGS1コードまたはケースのバーコードを読ませてください。」という表示がなされている(ステップS303)。
ステップS303の表示が出ているPDA31において、薬品M1のバーコードを読み込ませる(ステップS304)と、図15に示すように補充量の入力画面へと移行し、ユーザー61はかかる画面にて補充数を入力する(ステップS305)。このように薬品の補充時のバーコード読み取りを行うことで、制御部40は、現在開いている収納容器10の中にある薬品と、PDA3で読み込まれた薬品M1と、が一致しているかどうかを確認することができるので、間違った薬品を補充してしまうようなミスを低減することができる。
なお、かかる数量の入力は手入力の他、薬品M1のGS1コードに紐づけられた数量を自動入力しても構わない。
さて、ステップS304においてPDA31が薬品M1のバーコードを認識すると同時に、PDA31は制御部40にかかる薬品M1の薬品情報を送信して、制御部40は薬品情報から該当する収納容器10を探し出して、開駆動機構20を動作させて開状態とする(ステップS320)。
さらに、制御部40は、かかる操作を行ったユーザー61に対応する色(例えばここでは緑色)に発光部30を点灯する(ステップS321)。
【0039】
ユーザー61は、PDA31を用いて薬品M1の補充数量の入力を済ませると、薬品M1をステップS320で開いた収納容器10の内部に載置して、再度収納容器10を閉状態とする(ステップS322)。
センサ24が、ステップS320で開いた収納容器10の閉状態となったことを確認すると、制御部40は、薬品M1の補充が終わった旨をPDA31に通知する。
PDA31は、薬品M1の補充が終わると、例えば制御端末2内に記憶された薬品M1の数量を補充数量だけ増やして再度記録する(ステップS306)。
以降、他に補充するべき薬品がある場合には、ステップS303に戻り、薬品を変更して再度ループ処理を行えば良い。
【0040】
なお、補充対象となる薬品がなくなった場合には、PDA31の補充モード画面において、終了のボタンを押すあるいは右向きにスワイプ操作を行うことで補充モードを終了してメニュー画面に戻ることができる。
【0041】
かかる補充モードにおいて、2人で同一の薬品M1を補充する場合についても説明する。
この場合には、PDA31とPDA32との何れか先にステップS304の処理を行って、薬品M1の収納容器10を開動作させた方のPDA、例えばPDA31の処理を優先する。
このとき、後となったPDA32は、払い出しで取り出すべき収納容器10が被った場合と同様に、待機中であることがわかる旨の表示もしくは音声による報知を行って待機する。
PDA31は、PDA32の待機中に、ステップS304~ステップS306まで動作を行い、同時に制御部40は、ステップS320、ステップS321の動作を行う。
このように、PDA31側で薬品M1の補充が終了し、センサ24がステップS322において収納容器10が閉状態となったことを確認したことを条件として、制御端末2はPDA32の補充モード画面に、処理が再開する旨の表示もしくは音声による報知を行い、薬品M1の薬品情報を表示した上で、PDA32によってステップS304からの処理を行う。
【0042】
このように、同一の薬品M1を補充するのが同時になってしまった場合にも、片方を待機状態とすることで、容易に2人で1台の薬品類収納装置1を用いて同時に作業を行うことができる。
【0043】
また、メニュー画面においては、ボタン35のうち、通常補充の他、返却ボタンを選択することもできる。
かかる返却モードは、例えばユーザー61がPDA31を用いて薬品M2の払い出しを行った後に、実際には使用されなかった薬品M2を返却する場合を想定した機能である。
このような返却モードについて、図17を用いて説明する。なお、返却モードは、操作としてはステップS330の他は、補充モードと同様の操作となるため、同一の符号を付して説明については省略する。
【0044】
このような返却モードにおいては、PDA31を用いてステップS305のように収納容器10に戻す薬品M2の数量を入力した後、ステップS330に示すような返却理由入力モードが挿入される。かかるステップS330は返却理由入力ステップとして機能する。
返却理由入力ステップにおいて、ユーザー61はPDA31を用いて返却理由を適宜入力して、制御端末2のログに保存することが可能である。なお、PDA31にテキスト入力する他、予め登録された返却理由を選択する形式であっても良い。
【0045】
その他、メニュー画面においては、在庫確認ボタンを選択することで、在庫確認を行うこともできる。
かかる在庫確認モードは、例えばユーザー61がPDA31を用いて薬品類収納装置1の内部に保管された薬品の数量をチェックするような場合を想定した機能である。
かかる在庫確認モードについて図18を用いて説明する。
【0046】
在庫確認モードにおいては、ユーザー61が在庫確認モードを選択する(ステップS401)と、PDA31上には図19に示すような在庫確認画面が表示される(ステップS402)。
在庫確認画面においては、ユーザー61の使用するPDA31の背景色は、緑色で表示されており、例えば薬品類収納装置1の内部に保管されている全薬品の中から、在庫確認を行いたい薬品M6を選択可能になっている。
なお、かかる薬品M6の検索のために、例えば左端部に薬品名の頭文字を表示して、特定の頭文字を持つ薬品のみを右側の表示面に示すようにしても良いし、制御端末2に保存されているログから、指定期間内に使用された薬品のみを抽出して検索可能とするような期間指定用の検索窓36を設けても良い。あるいは、薬品名から検索可能な入力手段を設けても構わない。
【0047】
ステップS402の在庫確認画面において、特定の薬品M6を指定して選択する(ステップS403)と、PDA31には、図20に示すように薬品M6の名称と、カセット番号、現在の収納容器10に保管されている在庫量と、を含む在庫確認情報が表示される。
ここで、画面上の表示の通り上向きスワイプ等の操作によって収納容器10を開くことを指示すると、PDA31はかかる薬品M6の薬品情報を制御部40へと通信して、制御部40は該当する収納容器10を開動作させる(ステップS404)。
また同時に収納容器10と対応する発光部30が緑色に点灯して(ステップS405)、ユーザー61はかかる指定した薬品M6の位置を容易に視認することが可能である。
以上の一連の操作を、在庫確認モードにおける在庫確認ステップとする。
【0048】
ユーザー61は、ステップS404で開動作された収納容器10に入っている薬品M6の数量が、PDA31に表示された薬品M6の在庫量と一致しているかどうかを確認する(ステップS406)。
かかるステップS406において、在庫量と収納容器10内の薬品M6の数量とが一致していることを確認すると、ユーザー61は、在庫確認したとして収納容器10を閉める。
センサ24は、収納容器10が閉められたことを検知する(ステップS407)と、薬品M6の在庫確認モードを終了する。なお、他に在庫確認する薬品がある場合には、ユーザー61の指示に従って次の薬品がある場合にはステップS402に戻って在庫確認画面が表示されるとしても良い。また、全ての在庫が確認された場合あるいは在庫確認画面において終了が選択された場合には、ログイン時の画面に戻る。
【0049】
なお、以上の在庫確認モードにおいても、PDA32を用いて行う場合には発光部30が赤色に点灯し、PDA31を用いて行う場合には発光部30が緑色に点灯するので、ユーザー61とユーザー62とは同時に同じ操作を行うこともできる。
ここで2人が同時に同じ薬品M6の在庫確認をしようとしたときには、制御部40は先にステップS404の処理を行った方を優先して表示するとともに、後の処理となった方には、在庫確認画面に、待機中の旨の表示もしくは音声による報知を行う。
先に処理を行った方が、ステップS407で収納容器10を閉めると、制御端末2は、後の処理となった方に待機が解除される旨を報知して、ステップS404から処理を再開する。
【0050】
<1>
本実施形態では、薬品類を収容する収納容器10と、収納容器10を保持する筐体部である筐体100と、それぞれの収納容器10の後方にあって収納容器10を前方に向けて付勢することで開動作させる開駆動機構20と、収納容器10あるいは筐体100の前方側に配置され、操作者のユーザー情報に合わせて複数の色から1つを選択的に表示可能な発光部30と、を有し、開駆動機構20は、制御端末2からのユーザー情報と薬品情報とを含む信号に基づいて薬品情報が示す薬品が収容された収納容器10を開動作させ、発光部30は、ユーザー情報に合わせて発光部30の点灯する色を変化させる。
かかる構成によれば、各ユーザーに対応して、取得するべき薬品類の棚の表示が変化するので、ユーザーそれぞれが容易に判別できるので、複数人での操作の際にも取り違えることなく薬品類の取り出しが可能となる。
【0051】
<2>
また本実施形態では、<1>で述べた構成に加え、発光部30は複数のLEDを有し、ユーザー情報に合わせて対応する色のLEDを点灯させる。
かかる構成によれば、各ユーザーに対応する色分けによって、取得するべき薬品類の棚が容易に判別できるので、複数人での操作の際にも取り違えることなく薬品類の取り出しが可能となる。
【0052】
<3>
また、本実施形態では<1>または<2>で述べた薬品類収納装置1に加え、薬品類収納装置1を制御するための制御端末2と、ユーザー情報と紐づけられたPDA31、32と、によって薬品類収納システム5を構成する。制御端末2は、PDA31、32のそれぞれにユーザーがログインしたときに、ユーザー情報と色とを一対一に組み合わせる。
かかる構成によれば、各ユーザーが各人の操作するPDA31、32によって行う操作と、当該操作によって行われた収納容器10の開閉が、対応する色分けによって容易に判別できるので、複数人での操作の際にも取り違えることなく薬品類の取り出しが可能となる。
【0053】
<4>
また本実施形態では<3>に記載の薬品類収納システムであって、PDA31、32は薬品外装から薬品情報を読み取るための読み取り手段を有し、薬品情報を読み取ることで収納容器10に対応する薬品を補充可能である。
かかる構成によれば、各ユーザーが各人の操作するPDA31、32によって薬品のバーコード等の薬品情報を読み取るので、読み取られた薬品情報と、操作したPDA31、32に紐づいたユーザー情報とが容易に組み合わせられるので、複数人での補充を行う際にも効率よく薬品類の補充をすることができる。
【0054】
<5>
また本実施形態では薬品類を収容する収納容器10と、収納容器10を保持する筐体100と、それぞれの収納容器10の後方にあって収納容器10を前方に向けて付勢することで開動作させる開駆動機構20と、収納容器10あるいは筐体100の前方側に配置された発光部30と、を備えた薬品類収納装置1を操作するためのアプリケーションソフトウェア4がPDA3にインストールされる。
アプリケーションソフトウェア4は、操作者のユーザー情報と色とを一対一に組み合わせる配色決定ステップと、処方に対応する薬品類を特定するための薬品情報と、ユーザー情報と、を紐づける処方選択ステップと、処方選択ステップによって選択された処方に従って前記薬品情報に対応する収納容器を特定する容器特定ステップと、容器特定ステップによって特定された前記収納容器に取り付けられた前記開駆動機構を開動作させる開動作ステップと、ユーザー情報に合わせて当該表示手段の表示を変化させる表示ステップと、を実行する。
かかる構成によれば、ユーザーの操作するPDA3と紐づいたユーザー情報が、薬品類収納装置1において開動作させた収納容器10と容易に組み合わせられるので、複数人での操作を行う際にも取り違え等のミスを抑制して効率よく操作をすることができる。
【0055】
<6>
また本実施形態では<5>に記載の制御方法に加え、開動作ステップが終了して収納容器10が閉じられたことを条件として、薬品情報を処方内の次の薬品のものへと切り替えるように制御を行う。
かかる構成によれば、収納容器10がセンサ24によって確かに閉じられたことを確認してから次の作業に移ることができるので、収納容器10を開けた操作と閉めた操作とが一連の動作になるから、収納容器10から薬品類を取り出すときの保全性向上に寄与する。
【0056】
<7>
また本実施形態では<5>または<6>に記載の制御方法に加え、補充すべき薬品情報と収納容器10とを紐づける補充薬品特定ステップを実行する。
かかる構成によれば、補充する薬品が何れの収納容器10に入っているかが制御部40によって管理されるので、複数人での操作を行う際にも取り違え等のミスを抑制して効率よく操作をすることができる。
【0057】
<8>
また本実施形態では<7>に記載の制御方法に加え、補充薬品特定ステップよりも前に通常補充と返却補充との2つの補充方法を選択する補充モード選択ステップを実行し、補充モード選択ステップにおいて返却補充が選択されたときには、開動作ステップの後に返却理由を入力する返却理由入力モードを実行するように制御を行う。
かかる構成によれば、薬品類の返却時においても、ユーザーが任意に返却記録を残せるようになるので、薬品類の在庫数をより正確に記録に残すことができる。
【0058】
<9>
また本実施形態では<5>に記載の制御方法に加え、収納容器10に保管された薬品の数量を確認可能な在庫確認ステップを実行するように制御を行う。
かかる構成によれば、払い出し等の1日の業務終了後に、薬品類収納装置1の内部に保管されている薬品の在庫量をチェックすることができるので、薬品類収納装置1の保全性が高まる。
【0059】
[その他]
上記実施例では、2台の携帯端末をそれぞれ固有のユーザーが使用する場合についてのみ述べたが、複数のユーザーが異なるユーザー名で2台の携帯端末を共有しても良い。
【符号の説明】
【0060】
M1、M2、M3、M4、M5、M6…薬品類
1…薬品類収納装置
2…制御端末
3…携帯端末
5…薬品類収納システム
10…収納容器
20…開駆動機構
30…表示手段(発光部)
31…携帯端末
32…携帯端末
S101、S102、S201、S202…配色決定ステップ
S103、S203…処方選択ステップ
S107、S207…容器特定ステップ
S108、S208…開動作ステップ
S109、S209…表示ステップ
S304…補充薬品特定ステップ
S303…補充モード選択ステップ
S330…返却理由入力モード
S403…在庫確認対象選択ステップ
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
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