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特開2024-29628印刷媒体搬送のための搬送状態検知センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029628
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】印刷媒体搬送のための搬送状態検知センサ
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/14 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
G03G15/14 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131990
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】岩田 直之
(72)【発明者】
【氏名】若井 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】森 忠男
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200FA06
2H200GA23
2H200GA44
2H200JB13
2H200KA02
2H200KA30
2H200PB12
2H200PB15
2H200PB21
2H200PB26
2H200PB39
(57)【要約】      (修正有)
【課題】画像形成装置において、搬送状態センサユニットによって、像担持体と定着装置の間における印刷媒体の搬送状態を把握することを可能にする。
【解決手段】一態様の画像形成装置は、トナー像を印刷媒体に転写する像担持体と、トナー像を印刷媒体に定着させる定着装置と、を備え、像担持体と定着装置とが印刷媒体の搬送経路に沿って配置され、像担持体と定着装置との間の搬送経路における印刷媒体の搬送状態を検知する搬送状態センサユニットを備え、搬送状態センサユニットは、搬送状態の異常を検知する搬送異常検知センサと、像担持体及び定着装置の間の印刷媒体の搬送状態に応じて作動するアクチュエータとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を印刷媒体に転写する像担持体と、
前記トナー像を前記印刷媒体に定着させる定着装置と、を備え、
前記像担持体と前記定着装置とが前記印刷媒体の搬送経路に沿って配置され、
前記像担持体と前記定着装置との間の前記搬送経路における前記印刷媒体の搬送状態を検知する搬送状態センサユニットを備え、
前記搬送状態センサユニットは、前記搬送状態の異常を検知する搬送異常検知センサと、前記像担持体及び前記定着装置の間の前記印刷媒体の搬送状態に応じて作動するアクチュエータとを含む、
画像形成装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記印刷媒体の当接に伴って移動する可動部を有し、
前記搬送異常検知センサは、前記可動部が移動したときに前記搬送状態の異常を示す異常信号を出力する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記印刷媒体を前記搬送経路に戻す印刷媒体戻し部を有する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記印刷媒体の当接に伴って移動する可動部を有し、
前記印刷媒体戻し部は、前記可動部から前記定着装置に向かって延在している、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送異常検知センサは、前記像担持体の表面への光の照射に伴って生じる反射光の強度を電圧値として取得し、
前記可動部は、前記印刷媒体の当接に伴って移動して前記搬送異常検知センサからの前記光の光路を遮り、
前記異常信号は、前記可動部が前記光路を遮ったことによる前記反射光の強度の低下に伴って減少した電圧値を示す信号である、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送異常検知センサは、前記可動部が移動したときに前記可動部が当接するスイッチを有し、前記可動部が前記スイッチに当接したときに前記異常信号を出力する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記可動部は、前記スイッチに当接する当接部と、前記当接部に設けられた錘とを有する、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送異常検知センサは、フォトインタラプタを有し、
前記可動部は、前記印刷媒体の当接に伴って移動して前記フォトインタラプタの光路を遮り、
前記搬送異常検知センサは、前記可動部が前記光路を遮ったときに前記異常信号を出力する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記可動部は、前記印刷媒体が当接する第1辺と、前記第1辺から前記像担持体に向かって延びる第2辺とを有する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2辺の内側面には、黒化処理が施される、
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記可動部は、前記第1辺の前記第2辺とは反対側の端部に位置する軸部を有し、前記軸部を中心として回転する、
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記アクチュエータは、前記印刷媒体を前記搬送経路に戻す印刷媒体戻し部を有し、
前記印刷媒体戻し部は、前記軸部から前記定着装置に向かって延在している、
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
トナー像を印刷媒体に転写する像担持体と、
前記トナー像を前記印刷媒体に定着させる定着装置と、
前記印刷媒体の搬送経路における前記定着装置の上流側に配置され、前記印刷媒体の前記搬送経路における搬送状態を検知する第1センサユニットと、
前記定着装置の下流側において前記印刷媒体の通過する所定時間を検知する第2センサユニットと、を備え、
前記第1センサユニットは、前記搬送状態の異常を検知する搬送異常検知センサと、前記像担持体及び前記定着装置の間の前記印刷媒体の搬送状態に応じて作動するアクチュエータとを含み、
前記第1センサユニット及び前記第2センサユニットを用いて前記印刷媒体の詰まりを決定する制御部を備える、
画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記搬送異常検知センサが前記搬送状態の異常を示す異常信号を出力している信号出力時間に応じて前記所定時間を遅延させる、
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記アクチュエータは、前記印刷媒体の当接に伴って移動する可動部を有し、
前記搬送異常検知センサは、前記像担持体の表面に向かって光を照射し、
前記信号出力時間は、移動した前記可動部が前記光の光路を遮ったことに伴って前記搬送異常検知センサが前記異常信号を出力している時間である、
請求項14に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
印刷媒体を搬送する装置として印刷媒体に画像を形成する画像形成装置が知られている。画像形成装置は、トナー像を印刷媒体に担持する像担持体と、トナー像を印刷媒体に定着させる定着装置とを備える。像担持体及び定着装置は、印刷媒体の搬送経路に沿って配置される。画像形成装置では、像担持体に印刷媒体が付着することがある。画像形成装置は、像担持体に付着した印刷媒体を検知する光学センサを備える。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1図1は、画像形成装置の例を示す模式図である。
図2図2は、像担持体、定着装置、搬送状態センサユニット及び詰まり検知センサの構成の例を示す模式図である。
図3図3は、図2の搬送状態センサユニットの構成を示す模式図である。
図4図4は、図2の搬送状態センサユニット及び詰まり検知センサの検知信号の例を示す図である。
図5図5は、図3の搬送状態センサユニットの可動部に印刷媒体が当接した状態を示す模式図である。
図6図6は、図3の搬送状態センサユニットの印刷媒体戻し部に印刷媒体が接触した状態を示す模式図である。
図7図7は、図3の搬送状態センサユニットの搬送異常検知センサ及びアクチュエータの例を示す模式図である。
図8図8は、搬送異常検知センサ及びアクチュエータの変形例を示す模式図である。
図9図9は、搬送異常検知センサ及びアクチュエータの変形例を示す模式図である。
図10図10は、搬送異常検知センサ及びアクチュエータの変形例を示す模式図である。
図11図11は、像担持体と定着装置の間における印刷媒体の動きを説明するための模式図である。
図12図12は、搬送異常検知センサの一例であるCTDセンサによって検知された反射光の強度の例を示す図である。
図13図13は、比較例に係る画像形成装置の感光体ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
一例としての画像形成装置は、トナー像を印刷媒体に転写する像担持体と、トナー像を印刷媒体に定着させる定着装置とを備える。像担持体及び定着装置は、印刷媒体の搬送経路に沿って配置されている。画像形成装置は、像担持体と定着装置との間の搬送経路における印刷媒体の搬送状態を検知する搬送状態センサユニットを備える。搬送状態センサユニットは、アクチュエータが作動することによって、像担持体と定着装置との間の搬送経路における印刷媒体の搬送状態を検知することができる。
【0004】
例えば、画像形成装置は、搬送経路における定着装置の下流側に配置された詰まり検知センサを備える。詰まり検知センサには検知時間が設定されている。詰まり検知センサは、印刷媒体が検知時間に検知されないことに応じて像担持体と定着装置の間における印刷媒体の詰まりを検知する。画像形成装置は、搬送状態センサユニットによって印刷媒体が検知されたときに詰まり検知センサの検知時間を遅延させる制御部を備える。像担持体と定着装置の間の搬送経路において、印刷媒体の搬送状態に異常が生じた場合、詰まり検知センサへの印刷媒体の到達が遅れることがある。そこで、搬送状態センサユニットによって印刷媒体が検知されたときに詰まり検知センサの検知時間を遅延させる制御部が設けられる場合、制御部が検知時間を遅延させることによって詰まり検知センサへの印刷媒体の到達の遅れを補填する。従って、詰まり検知センサの検知時間を遅らせることによって詰まり検知センサによる詰まりの誤検知を抑制できる。
【0005】
以下では、図面を参照しながら画像形成装置の種々の例について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0006】
図1は、一例としての画像形成装置1を示す模式図である。画像形成装置1は、搬送装置10と、像担持体20と、現像装置30と、転写装置40と、定着装置50とを備える。搬送装置10は、画像が形成される印刷媒体2を搬送する。一例として、印刷媒体2は紙である。例えば、搬送装置10はレジストローラ11を備え、印刷媒体2はレジストローラ11によって所定のタイミングで後述の転写領域に搬送される。
【0007】
像担持体20は、静電潜像担持体又は感光体ドラムであってもよい。像担持体20は、トナー像を形成するための静電潜像を形成する。例えば、画像形成装置1は、帯電装置21と、クリーニング装置23とを更に備える。帯電装置21及びクリーニング装置23は、像担持体20の表面20bに対向する位置に配置されている。帯電装置21は、像担持体20の表面20bを所定の電位に帯電させる。
【0008】
現像装置30は、トナーカートリッジからのトナーを供給を受けて、像担持体20の表面20bに形成されたトナー像を形成する。現像装置30は、像担持体20の表面20bにトナーを供給する現像ローラ31を有する。現像ローラ31が像担持体20の表面20bにトナーを供給することにより、像担持体20の表面20bに形成された静電潜像が現像される。これにより、像担持体20の表面20bに、静電潜像に対応したトナー像、つまり、印刷媒体2に形成する画像に応じたトナー像が形成される。
【0009】
転写装置40は、現像装置30により像担持体20に現像されたトナー像を印刷媒体2に転写する。一例として、転写装置40は転写ローラ41を含む。転写ローラ41は、例えば、像担持体20の軸線と平行に延びる軸線を有する。転写ローラ41の表面41bと像担持体20の表面20bとは互いに接触し、転写ローラ41及び像担持体20の間に転写領域が形成される。転写ローラ41は、像担持体20の表面20bに形成されたトナー像が印刷媒体2に転写されるように、転写領域に搬送された印刷媒体2に電界を印加する。トナー像は、転写ローラ41によって、転写領域に搬送された印刷媒体2に転写される。
【0010】
クリーニング装置23は、印刷媒体2に転写されずに像担持体20の表面20bに残ったトナーを廃トナーとして回収する。クリーニング装置23は、例えば、ブレード24を有する。ブレード24が像担持体20の表面20bに残存しているトナーを掻き取ることによって、クリーニング装置23は像担持体20からトナーを除去してトナーを回収する。ブレード24は、像担持体20の表面20bに接触するように、画像形成装置1の筐体3に固定されている。
【0011】
定着装置50は、加熱及び加圧を行う定着ニップ領域に印刷媒体2を通過させることによってトナー像を印刷媒体2に定着させる。定着装置50は、印刷媒体2を加熱する加熱ローラ51と、加熱ローラ51を加圧して回転駆動する加圧ローラ52とを有する。定着装置50の定着ニップ領域は、加熱ローラ51及び加圧ローラ52の間に形成される。
【0012】
図2は、画像形成装置1における像担持体20及び定着装置50の周辺を拡大した模式図である。図2に示されるように、画像形成装置1は、例えば、像担持体20と定着装置50との間の搬送経路4における印刷媒体2の搬送状態を検知する搬送状態センサユニット70(第1センサユニット)を備える。搬送状態センサユニット70は、印刷媒体2の搬送経路4における定着装置50の上流側に配置され、印刷媒体2の搬送経路4における搬送状態を検知する。
【0013】
例えば、像担持体20及び定着装置50は、搬送経路4が延びる方向である第1方向D1に沿って並んでいる。像担持体20及び転写ローラ41は、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って並んでいる。搬送状態センサユニット70は、像担持体20及び定着装置50の間において、搬送経路4と第2方向D2に沿って並んでいる。搬送状態センサユニット70は、搬送経路4から見て像担持体20寄りの位置に設けられる。この場合、搬送状態センサユニット70により、像担持体20の表面20bに付着しないものの、搬送経路4から像担持体20に向かって逸れる印刷媒体2を検知することが可能である。
【0014】
搬送状態センサユニット70は、例えば、像担持体20への印刷媒体2の付着を検知する搬送異常検知センサ71と、像担持体20及び定着装置50の間の印刷媒体2の搬送状態に応じて作動するアクチュエータ72とを含む。搬送異常検知センサ71は、印刷媒体2の搬送状態の異常を検知するセンサである。搬送異常検知センサ71は、像担持体20の表面20bに向かって光71bを照射し、光71bの照射に伴う反射光を受光する光学センサである。例えば、搬送異常検知センサ71は、予め設けられており、像担持体20の表面20bにおけるトナー像の濃度を制御するための濃度制御用光学センサであってもよい。この場合、既存の濃度制御用光学センサを搬送異常検知センサ71として有効利用できる。一例として、搬送異常検知センサ71は、CTD(Color Toner Density)センサであってもよい。この場合、搬送異常検知センサ71は、光の強度を電圧値として取得する。すなわち、搬送異常検知センサ71は、像担持体20の表面20bへの光71bの照射に伴って生じる反射光の強度を電圧値として取得する。
【0015】
搬送異常検知センサ71は、像担持体20の表面20bに向かって光71bを照射して表面20bに付着した印刷媒体2からの反射光を受光して印刷媒体2の付着を検知する。例えば、搬送異常検知センサ71は、像担持体20の表面20bに光71bを照射し、表面20bからの反射光を受光したときに表面20bに印刷媒体2が付着していないことを検知する。搬送異常検知センサ71は、像担持体20の表面20bに向かって光71bを照射し、印刷媒体2からの反射光を受光したときに表面20bに印刷媒体2が付着していることを検知する。印刷媒体2からの反射光の強度は、像担持体20の表面20bからの反射光の強度よりも小さい。従って、搬送異常検知センサ71は、表面20bからの反射光よりも強度が小さい反射光を受光することによって表面20bへの印刷媒体2の付着を検知する。
【0016】
アクチュエータ72は、例えば、印刷媒体2の当接に伴って移動する可動部73と、印刷媒体2を搬送経路4に戻す印刷媒体戻し部74とを備える。搬送状態センサユニット70は、可動部73への印刷媒体2の当接に伴って可動部73が移動したときに印刷媒体2の搬送状態の異常を検知する。画像形成装置1は画像形成装置1の各部を制御する制御部80を備え、制御部80は搬送状態センサユニット70と通信可能とされている。
【0017】
制御部80は、搬送異常検知センサ71が受光する反射光の強度の低下に応じて印刷媒体2の搬送状態の異常を検知する。例えば、画像形成装置1は表示部85を有し、制御部80は、印刷媒体2の搬送状態の異常を検知したときに、表示部85に印刷媒体2の搬送状態の異常が生じた旨を表示させてもよい。
【0018】
可動部73は、例えば、印刷媒体2が当接する第1辺75と、第1辺75から像担持体20に向かって延びる第2辺76と、第1辺75の第2辺76とは反対側の端部に位置する軸部77と、軸部77を回転可能に支持する支持部材78とを有する。軸部77は、像担持体20の軸線と平行(図2の紙面に直交する方向)に延びている。可動部73は、軸部77を中心として回転する。一例として、可動部73はL字状を呈する。この場合、第1辺75及び第2辺76は直線状を呈し、第2辺76は第1辺75の像担持体20側の端部から第1辺75とは交差する方向に延在する。第1辺75は、軸部77から像担持体20に向かって延在している。
【0019】
可動部73は、印刷媒体2の当接に伴って移動して搬送異常検知センサ71からの光71bの光路を遮る。例えば、第1辺75に印刷媒体2が当接すると、第1辺75及び第2辺76が軸部77を中心として回動し、第2辺76が光71bの光路を遮る。この場合、第2辺76は、印刷媒体2が第1辺75に当接したときに搬送異常検知センサ71の光71bの光路を遮る光遮蔽部である。
【0020】
搬送状態センサユニット70は、可動部73が搬送異常検知センサ71からの当該光路を遮ったときに印刷媒体2の搬送状態の異常を検知する。例えば、第2辺76の内壁は黒化処理されている。搬送異常検知センサ71の光71bの照射に伴う第2辺76からの反射光の強度は、印刷媒体2からの反射光の強度よりも更に小さい。例えば、搬送異常検知センサ71は、可動部73が移動して第2辺76が光71bの光路を遮るときに搬送状態の異常を示す異常信号を出力する。異常信号は、可動部73が光路を遮ったことによる反射光の強度の低下に伴って減少した電圧値を示す信号である。これに対し、正常信号は、反射光の強度が低下しておらず減少していない電圧値を示す信号である。可動部73は、印刷媒体2が当接しない状態では、光71bの光路を遮らない位置(元の位置)に戻る。このとき、搬送異常検知センサ71は正常信号を出力する。例えば、可動部73は、重力によって元の位置に戻ってもよいし、バネ等の付勢力によって元の位置に戻ってもよい。
【0021】
例えば、印刷媒体戻し部74は、可動部73から定着装置50に向かって延在している。印刷媒体戻し部74は、アクチュエータ72に当接した印刷媒体2を搬送経路4に戻すために設けられる。印刷媒体戻し部74は、軸部77から定着装置50に向かって延在している。一例として、印刷媒体戻し部74は、軸部77から離隔するに従って搬送経路4に向かって湾曲する曲線状を呈する。例えば、画像形成装置1は、印刷媒体戻し部74と定着装置50との間に、印刷媒体2を定着装置50に導くフレーム79を有していてもよい。
【0022】
画像形成装置1は、搬送経路4における定着装置50の下流側に位置する詰まり検知センサ90(第2センサユニット)を備える。例えば、制御部80は、第1センサユニットである搬送状態センサユニット70、及び第2センサユニットである詰まり検知センサ90を用いて印刷媒体2の詰まりを決定する。詰まり検知センサ90には、詰まり検知センサ90に印刷媒体2が到達する時間帯である所定時間が設定されている。所定時間は、詰まり検知センサ90に印刷媒体2が到達する到達想定時間である。所定時間は、例えばレジストローラ11(図1参照)に取り付けられているセンサが印刷媒体2を検知してから、当該印刷媒体2が搬送経路4を通って詰まり検知センサ90に到達するまでにかかる想定時間である。
【0023】
例えば、詰まり検知センサ90は、当該所定時間に印刷媒体2が詰まり検知センサ90に到達していないときに、像担持体20から定着装置50までの間において印刷媒体2が詰まったことを検知する。詰まり検知センサ90が詰まりを検知すると、例えば、詰まり検知センサ90は制御部80に検知信号を出力する。制御部80は、当該検知信号を受信すると、例えば、表示部85に印刷媒体2が詰まったことを表示させると共に、画像形成装置1の動作を停止する。
【0024】
しかしながら、像担持体20から定着装置50までの間において印刷媒体2が詰まっていなくても、例えば印刷媒体2が搬送経路4から逸れた場合には、詰まり検知センサ90への印刷媒体2の到達が遅れることがあり、このような場合に詰まり検知センサ90が詰まりを検知すると誤検知となる。これに対し、画像形成装置1では、制御部80が第1センサユニットである搬送状態センサユニット70と、第2センサユニットである詰まり検知センサ90を用いて印刷媒体2の詰まりを決定することにより、上記の誤検知を抑制することができる。
【0025】
以下では、搬送状態センサユニット70、制御部80及び詰まり検知センサ90による印刷媒体2の検知について説明する。図2図3及び図4に示されるように、搬送経路4から印刷媒体2が逸れた状態において、所定時間T1に詰まり検知センサ90に印刷媒体2が到達しないことが想定される。
【0026】
図4及び図5に示されるように、搬送経路4から逸れた印刷媒体2がアクチュエータ72に当接すると、可動部73が軸部77を中心として回動して搬送異常検知センサ71の光71bの光路を遮蔽する。搬送異常検知センサ71の当該光路が遮蔽されたときに、搬送異常検知センサ71が受光する反射光の強度の低下に応じて制御部80が印刷媒体2の搬送状態の異常を検知する。
【0027】
制御部80は、可動部73が搬送異常検知センサ71の光路を遮っている時間Δを算出する。時間Δは、アクチュエータ72への印刷媒体2の当接に伴って可動部73が移動し、移動した可動部73(第2辺76)が光71bの光路を遮ることによって搬送異常検知センサ71が異常信号を出力している信号出力時間である。信号出力時間は、可動部73が光71bの光路を遮ったことに伴って搬送異常検知センサ71が異常信号を出力し始めてから可動部73が元の位置に戻って搬送異常検知センサ71が正常信号を出力し始めるまでの時間である。制御部80は、搬送異常検知センサ71から異常信号が出力されている信号出力時間Δ、又は信号出力時間である時間Δに係数kをかけた時間kΔを、詰まり検知センサ90への到達想定時間である所定時間T1に加算することによって所定時間T1を所定時間T2に遅延させる。
【0028】
印刷媒体2が可動部73に当接した後には、図6に示されるように、印刷媒体2は可動部73から印刷媒体戻し部74に移動する。このとき、可動部73は元の位置に戻る。印刷媒体戻し部74に移動した印刷媒体2は、搬送経路4に向かうように印刷媒体戻し部74にガイドされる。搬送経路4に戻った印刷媒体2は、定着装置50の定着ニップ部においてトナー像が定着され、所定時間T2に詰まり検知センサ90に到達する。これにより、詰まり検知センサ90による詰まりの誤検知が回避される。
【0029】
次に、搬送状態センサユニット(第1センサユニット)の種々の例について説明する。図7は、前述した搬送状態センサユニット70を示す図である。搬送状態センサユニット70は搬送異常検知センサ71とアクチュエータ72とを備え、例えば、搬送異常検知センサ71はセンサ支持部材71cに支持されている。アクチュエータ72は可動部73及び印刷媒体戻し部74を有する。可動部73は、第1辺75、第2辺76及び軸部77を有し、軸部77を中心として回転することによって搬送異常検知センサ71の光71bの光路を遮蔽する。
【0030】
図8は、変形例に係る搬送状態センサユニット70Aを模式的に示す図である。搬送状態センサユニット70Aは、スイッチである搬送異常検知センサ71Aと、アクチュエータ72Aとを備える。搬送異常検知センサ71Aは、制御部80と通信可能とされており、アクチュエータ72Aに押されたときに制御部80に異常信号を出力する。搬送異常検知センサ71Aは、例えば、印刷媒体2の搬送状態の異常に伴ってアクチュエータ72Aに押されるスイッチ本体71dと、スイッチ本体71dをセンサ支持部材71cに支持する支持部71fとを有する。
【0031】
アクチュエータ72Aは、例えば、搬送異常検知センサ71Aに当接する可動部73Aと、可動部73Aを回転可能に支持する軸部77Aと、軸部77Aから可動部73Aとは反対側に延びる印刷媒体戻し部74Aとを有する。可動部73Aは、軸部77Aから像担持体20に向かって直線状に延びている。可動部73Aは、搬送異常検知センサ71Aを押す第1面73bと、第1面73bとは反対側を向く第2面73cとを有する。
【0032】
第2面73cには印刷媒体2が当接する。第2面73cに印刷媒体2が当接すると、可動部73Aが軸部77Aを中心として回転し、第1面73bが搬送異常検知センサ71A(スイッチ本体71d)を押す。そして、搬送異常検知センサ71Aから異常信号が制御部80に出力され、制御部80によって印刷媒体2の搬送状態の異常が検知される。以上のように、図8に示される搬送状態センサユニット70Aでは、搬送異常検知センサ71Aは、可動部73Aが移動したときに可動部73Aが当接するスイッチを有し、可動部73Aが当該スイッチに当接したときに印刷媒体2の搬送状態の異常を検知する。
【0033】
図9は、図8の搬送状態センサユニット70Aの変形例を示す模式図である。図9に示されるように、変形例としての搬送状態センサユニット70Bは、可動部73Aに取り付けられた錘73fを有する。すなわち、可動部73Aは、スイッチである搬送異常検知センサ71Aに当接する当接部73gと、当接部73gに固定された錘73fとを有する。この搬送状態センサユニット70Bの場合、錘73fによって印刷媒体2が当接していないときに可動部73Aの位置をより確実に元の位置に戻すことができる。従って、可動部73Aの挙動をより安定させることができる。
【0034】
図10は、更なる変形例に係る搬送状態センサユニット70Cを示す模式図である。図10に示されるように、搬送状態センサユニット70Cは、搬送異常検知センサ71Cと、アクチュエータ72Cとを備える。搬送異常検知センサ71Cは、例えば、フォトインタラプタ71gと、フォトインタラプタ71gを筐体3に支持するセンサ支持部材71cとを有する。フォトインタラプタ71gは、例えば、発光部71hと、発光部71hからの光71jを受光する受光部71kとを有する。
【0035】
アクチュエータ72Cは、例えば、可動部73Cと、軸部77Aと、印刷媒体戻し部74Aとを有する。可動部73Cは、印刷媒体2の当接に伴って移動してフォトインタラプタ71gにおける光71jの光路を遮る。搬送状態センサユニット70Cは、可動部73Cがフォトインタラプタ71gの上記光路を遮ったときに印刷媒体2の搬送状態の異常を検知する。例えば、可動部73Cは、軸部77Aから像担持体20に向かって延在する延在部73hと、延在部73hから搬送経路4とは反対側に突出する突出部73jとを有する。
【0036】
突出部73jは、例えば、延在部73hの途中部分から搬送異常検知センサ71C側に突出している。突出部73jは、印刷媒体2が可動部73Cに当接して可動部73Cが移動したときにフォトインタラプタ71gの光路を遮蔽する部位である。この場合、印刷媒体2が可動部73Cに当接すると、軸部77Aを中心として可動部73Cが移動し、突出部73jが発光部71hと受光部71kとの間に入り込んで光71jの光路を遮る。光71jの光路が遮られると、受光部71kが受光する光71jの強度の低下に伴って搬送異常検知センサ71Cが異常信号を出力する。この異常信号が制御部80に出力されることにより、制御部80によって印刷媒体2の搬送状態の異常が検知される。以上、図8図10に示される変形例では、濃度制御用光学センサである搬送異常検知センサ71を省略することが可能である。
【0037】
以上のように、画像形成装置1は、搬送状態センサユニット70、詰まり検知センサ90及び制御部80を備えることにより、図11に示されるように、搬送経路4から逸れた印刷媒体2を検知できる。図12は、搬送異常検知センサ71の一例であるCTDセンサによって測定された電圧値チャートの実測値である。図11に示される搬送異常検知センサ71は正反射タイプの反射型センサ(Kodenshi社製のKMEM008C)であり、アクチュエータ72は黒色のABS樹脂によって構成されている。可動部73の第2辺76の内側面には、黒化処理が施され、例えば吸光シートが貼り付けられている。吸光シートとしては、光陽オリエントジャパン株式会社製のファインシャット極を用いた。
【0038】
図11及び図12に示されるように、搬送経路4から逸れて像担持体20の表面20bと搬送状態センサユニット70との間(図11及び図12では0とaの間)を通る印刷媒体2は、搬送異常検知センサ71への反射光が表面20bからの反射光より弱まることによって検知される。搬送異常検知センサ71がCTDセンサである場合、例えば、表面20bと搬送状態センサユニット70との間を通る印刷媒体2によって搬送異常検知センサ71が取得する電圧値(反射光の強度に応じた電圧値)が第1閾値V1を下回る。このとき、搬送異常検知センサ71が取得する電圧値は、印刷媒体2の種類に応じて変動するが、例えば、1.3V~1.8Vである。制御部80は、搬送異常検知センサ71が取得する電圧値が第1閾値V1を下回ったことに応じて、印刷媒体2が表面20bと搬送状態センサユニット70の間に移動したことを検知する。
【0039】
搬送経路4から逸れて搬送状態センサユニット70に移動した印刷媒体2(図11及び図12ではaとbの間に移動した印刷媒体2)は、アクチュエータ72の可動部73に当接する。このとき、可動部73への印刷媒体2の当接に伴って可動部73が移動し、可動部73が搬送異常検知センサ71の光71bの光路を遮蔽する。搬送異常検知センサ71がCTDセンサである場合、アクチュエータ72に当接する印刷媒体2によって搬送異常検知センサ71が取得する電圧値(反射光の強度に応じた電圧値)が第1閾値V1よりも小さい第2閾値V2を下回る。このとき、搬送異常検知センサ71が取得する電圧値は、例えば、0.1Vであるが、第2辺76の内側面に黒化処理が施されている場合、当該電圧値は略0Vとなる。制御部80は、搬送異常検知センサ71が取得する電圧値が第2閾値V2を下回ったことに応じて、印刷媒体2がアクチュエータ72に当接したことを検知する。
【0040】
搬送経路4から逸れて搬送状態センサユニット70と定着装置50の間に移動した印刷媒体2は、例えば、フレーム79に当接する。そして、印刷媒体2は、フレーム79によって定着装置50の定着ニップ部に案内される。このとき、搬送異常検知センサ71の光71bは像担持体20の表面20bから反射されるので、搬送異常検知センサ71が取得する電圧値は第1閾値V1以上となっている。このとき、搬送異常検知センサ71が取得する電圧値は、例えば、3.0Vである。制御部80は、搬送異常検知センサ71が取得する電圧値が第1閾値V1以上であることに応じて、印刷媒体2が正常に搬送されていることを検知する。
【0041】
以上のように、画像形成装置1では、搬送状態センサユニット70及び制御部80によって、像担持体20と定着装置50の間における印刷媒体2の搬送状態を把握することが可能である。更に、制御部80は、搬送経路4から印刷媒体2が逸れるときに搬送異常検知センサ71が異常信号を出力する信号出力時間Δに応じて詰まり検知センサ90への印刷媒体2の到達想定時間を遅延させる(所定時間T1を所定時間T2に遅延させる)。よって、詰まり検知センサ90による詰まりの誤検知を抑制することができる。
【0042】
次に、画像形成装置1の実施例について、比較例に係る画像形成装置100と比較しながら説明する。図13は、比較例に係る画像形成装置100の感光体ユニット110を示す斜視図である。感光体ユニット110は、像担持体120と、像担持体120の表面に付着した印刷媒体を分離する複数の分離爪130とを有する。一方、実施例に係る画像形成装置1は、前述した搬送状態センサユニット70、制御部80及び詰まり検知センサ90を備え、分離爪130を有しない。このように実施例に係る画像形成装置1は、搬送状態センサユニット70を備えることによって分離爪130を不要とすることができる。
【0043】
以上の実施例に係る画像形成装置1、及び比較例に係る画像形成装置100について印刷媒体2の詰まりの発生有無について検証した。まず、気温22℃、湿度55%の環境下において、画像形成装置1及び画像形成装置100のそれぞれによって連続して用紙を印刷する試験を行った。用紙としては、60g/mのものを用いた。この試験の結果、比較例に係る画像形成装置100では、1/5kpv(5000枚の用紙のうちの1枚)詰まりが検出された。一方、実施例に係る画像形成装置1では、詰まりが検出されなかった。
【0044】
また、気温10℃、湿度10%の低温低湿下において、画像形成装置1及び画像形成装置100のそれぞれによって連続して用紙を印刷する試験を行った。用紙としては、60g/m及び70g/mのそれぞれを用いた。この試験の結果、比較例に係る画像形成装置100では、用紙が60g/mである場合には5/2kpV(2000枚の用紙のうち5枚)の詰まりが検出され、用紙が70g/mである場合には3/2kpV(2000枚のうち3枚)の詰まりが検出された。検出された詰まりの中には誤検知も含まれていた。
【0045】
実施例に係る画像形成装置1では、用紙が70g/mである場合には詰まりが検出されなかったが、用紙が60g/mである場合に1/2kpV(2000枚のうちの1枚)の詰まりが検出された。しかしながら、この詰まりは誤検知ではなかった。このように、画像形成装置1では、詰まりを低減できると共に、詰まりの誤検知を抑制できることが分かった。更に、画像形成装置1では、分離爪130が不要であるため、画像形成装置1の部品にかかるコストの増大を抑制できる。
【0046】
以上、本明細書に記載の全ての側面、利点及び特徴が、必ずしも、いずれかひとつの特定の例及び実施形態により達成される又は含まれるわけではないことは理解されたい。実際、本明細書において様々な例を記載し示したが、他の例もその配置及び詳細について修正することができることは明らかであるべきだ。
図1
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