(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029635
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】分析装置および分析方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
G01N35/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132003
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000217594
【氏名又は名称】田辺工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】長 善之
(72)【発明者】
【氏名】坂下(村越) 早栄子
(72)【発明者】
【氏名】小舩内 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉田 満
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB15
2G058GC02
2G058GC06
(57)【要約】
【課題】分析装置において、検体容器の種類をより簡便に判定すること。
【解決手段】一例に係る分析装置は、少なくとも一つの検体容器を収容するトレイであって、光を反射または通過させるための被照射領域を有する該トレイを保持するホルダと、ホルダによって保持されたトレイの被照射領域に向けて光を照射し、被照射領域によって反射した光を検出する少なくとも一つのセンサと、少なくとも一つのセンサによる光の検出パターンに基づいてトレイの種類を判定するプロセッサとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの検体容器を収容するトレイであって、光を反射または通過させるための被照射領域を有する該トレイを保持するホルダと、
前記ホルダによって保持された前記トレイの前記被照射領域に向けて光を照射し、前記被照射領域によって反射した前記光を検出する少なくとも一つのセンサと、
前記少なくとも一つのセンサによる前記光の検出パターンに基づいて前記トレイの種類を判定するプロセッサと、
を備える分析装置。
【請求項2】
前記被照射領域が、前記照射された光を通過させる少なくとも一つの貫通孔を備え、
前記プロセッサが、前記少なくとも一つのセンサのうちのどれが前記反射した光を検出したかを、前記検出パターンとして特定する、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記検体容器の種類が前記トレイの種類に対応し、
前記プロセッサが、前記トレイの種類に対応する前記検体容器の種類を判定する、
請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記被照射領域が、前記トレイの中心を対称点として点対称になる形状を有する、
請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項5】
前記トレイが、前記被照射領域として第1被照射領域および第2被照射領域を備え、
前記第1被照射領域と前記第2被照射領域とが、前記トレイの中心を対称点として点対称の位置関係にあり、
前記少なくとも一つのセンサが、前記第1被照射領域に向けて前記光を照射する少なくとも一つの第1センサと、前記第2被照射領域に向けて前記光を照射する少なくとも一つの第2センサとを含む、
請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項6】
前記第1被照射領域が、前記照射された光を通過させる少なくとも一つの第1貫通孔を備え、
前記第2被照射領域が、前記照射された光を通過させる少なくとも一つの第2貫通孔を備え、
前記少なくとも一つの第1貫通孔と前記少なくとも一つの第2貫通孔とが、前記トレイの中心を対称点として点対称の位置関係にある、
請求項5に記載の分析装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記トレイの種類に基づいて前記検体容器の種類を判定する、
請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項8】
少なくとも一つの検体容器を収容するトレイであって、光を反射または通過させるための被照射領域を有する該トレイをホルダに保持させるステップと、
少なくとも一つのセンサが、前記ホルダによって保持された前記トレイの前記被照射領域に向けて光を照射し、前記被照射領域によって反射した前記光を検出するステップと、
プロセッサが、前記少なくとも一つのセンサによる前記光の検出パターンに基づいて前記トレイの種類を判定するステップと、
を含む分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は分析装置および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の入った容器の種類を判定する分析装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の検体容器の種類に応じたラック特定部を有するラックと、ラックセット部にセットされたラックからラック特定部を検知するためのラック検知部と、ラック検知部の検知結果に基づいて容器移送部の動作を制御するための制御部とを備える検体処理装置が記載されている。特許文献2には、保持部材に保持されている第1試料容器および第2試料容器に光を照射して、試料容器の種類を判定する生化学分析装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-127640号公報
【特許文献2】特開2021-015030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検体容器の種類をより簡便に判定することができる分析装置および分析方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る分析装置は、少なくとも一つの検体容器を収容するトレイであって、光を反射または通過させるための被照射領域を有する該トレイを保持するホルダと、ホルダによって保持されたトレイの被照射領域に向けて光を照射し、被照射領域によって反射した光を検出する少なくとも一つのセンサと、少なくとも一つのセンサによる光の検出パターンに基づいてトレイの種類を判定するプロセッサとを備える。
【0006】
このような側面においては、投光および受光の機能を有するセンサによってトレイからの反射光が検出され、その検出のパターンに基づいてトレイの種類が判定される。この判定によって、トレイに対応する検体容器の種類を判定できる。トレイにおける反射光をセンサによって得る仕組みを採用することで、その判定のための構成を簡単にすることができる。その結果、検体容器の種類をより簡便に判定することができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一側面によれば、検体容器の種類をより簡便に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】検体容器の判定に関する分析装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】センサとトレイの被照射領域との関係の様々な例を示す図である。
【
図5】分析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
実施形態に係る分析装置1は、検体容器に収容された試料を分析する装置である。分析装置1は検体容器の種類を判定し、必要に応じてその判定結果に基づいて後工程を実行する。試料は液体でもよく、例えば、潤滑油などの油でもよいし、水溶液でもよい。試料は粉体、粒体などの固体でもよい。
【0011】
図1は検体容器の判定に関する分析装置1の構成の一例を示す図である。分析装置1は、試料が入った少なくとも一つの検体容器80を収容するトレイ90の種類を判別する。検体容器80の種類はトレイ90の種類に対応するので、トレイ90の種類が判定されれば、検体容器80の種類も判定される。一例では、分析装置1はホルダ10、少なくとも一つのセンサ20、ロボット30、プロセッサ40、およびメモリ50を備える。
【0012】
ホルダ10は、検体容器80を収容するトレイ90を保持する装置である。ホルダ10は、トレイ90が置かれる台であってもよいし、トレイ90を側方から把持する機構を有してもよい。
【0013】
センサ20は、ホルダ10によって保持されたトレイ90に対して光を照射および検出する装置である。センサ20は、トレイ90に向けて光を照射する投光部と、トレイ90によって反射した光を検出する受光部とを有する。センサ20は、投光部と受光部とが一体化された構成を有してもよいし、互いに離れて配置された投光部および受光部のペアによって構成されてもよい。それぞれのセンサ20はプロセッサ40に接続される。
【0014】
ロボット30は、検体容器80を判定するための処理を少なくとも実行する機械である。例えば、ロボット30は垂直多関節ロボットであり、検体容器80またはトレイ90を把持するためのグリッパをエンドエフェクタとして備える。一例では、ロボット30はトレイ90をラックなどの保管場所からホルダ10に移動させたり、ホルダ10上のトレイ90を保管場所に戻したりする。
【0015】
プロセッサ40は、センサ20から得られるセンサデータに基づいてトレイ90の種類を判定する演算装置である。プロセッサ40の例としてCPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)が挙げられる。プロセッサ40は判定されたトレイ90の種類に基づいて更なる処理を実行してもよい。一例では、プロセッサ40はセンサ管理部41、判定部42、および制御部43を有する。センサ管理部41は、センサ20を動作させてセンサデータを取得する機能モジュールである。判定部42はそのセンサデータに基づいてトレイの種類を判定する機能モジュールである。制御部43はその判定結果に基づいて分析装置1での更なる処理を実行する機能モジュールである。
【0016】
メモリ50は、プロセッサ40による処理のために用いられる各種のデータを記憶する装置である。メモリ50は例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。一例では、メモリ50は、少なくとも一つのセンサ20による光の検出パターンと、トレイ90の種類との対応関係を示すデータを記憶する。メモリ50は、トレイ90の種類と検体容器80の種類との対応関係を示すデータを記憶してもよい。
【0017】
図2および
図3を参照しながら、トレイ90の構成の一例を説明する。
図2はトレイ90の上側を示す斜視図であり、
図3はトレイ90の下側を示す斜視図である。トレイ90の上側とは検体容器80が収容される側をいい、トレイ90の下側とは、上側とは反対の側をいう。
図2の例では、トレイ90の上側には、最大で5個の検体容器80を収容するためのフレームが設けられる。
図3に示すように、トレイ90の下面は、センサ20からの光を受ける被照射領域91を含む。
図3の例では、トレイ90は、複数のセンサ20に対応する二つの被照射領域91を備え、それぞれの被照射領域91内には二つの貫通孔92が形成される。貫通孔92は、トレイ90の上面から下面にかけて形成される孔である。貫通孔92の寸法は、センサ20から照射される光を通過させることができるように設計される。
【0018】
センサ20の投光部から照射された光は、トレイ90の被照射領域91で反射するか、または貫通孔92を通過する。被照射領域91で反射された光はセンサ20の受光部によって検出されるが、貫通孔92を通過した光は受光部によって検出されない。プロセッサ40は少なくとも一つのセンサ20について、どのセンサ20が反射光を検出しどのセンサ20が反射光を検出しなかったかを示す、光の検出パターン(以下では単に「検出パターン」ともいう)を特定する。プロセッサ40はその検出パターンに基づいてトレイの種類を判定する。
【0019】
図4を参照しながらその検出パターンについて説明する。
図4はセンサとトレイの被照射領域との関係の様々な例を示す図である。
図4は、トレイ90の例である矩形のトレイ910,920,930,940と、これらのトレイに対応する矩形のホルダ10とを示す。
【0020】
トレイ910は、長手方向における中央と第1端との間に第1被照射領域911を有し、長手方向における中央と、第1端の反対側である第2端との間に第2被照射領域912を有する。第1被照射領域911および第2被照射領域912はいずれもトレイの短手方向に沿って延びる。第1被照射領域911と第2被照射領域912とは、トレイ910の中心を対称点として点対称の位置関係にある。トレイ910と同様に、トレイ920は第1被照射領域921および第2被照射領域922を有し、トレイ930は第1被照射領域931および第2被照射領域932を有し、トレイ940は第1被照射領域941および第2被照射領域942を有する。
【0021】
ホルダ10の外縁の内側には、被照射領域と向かい合うように3個のセンサ20が配置される。以下ではこれらのセンサ20をセンサ21,22,23として互いに区別する。センサ21,22は、第1被照射領域911,921,931,941に対応する領域に、ホルダ10の短手方向に沿って並ぶように設けられる。センサ23は、第2被照射領域912,922,932,942に対応する領域の中央に設けられる。センサ21,22は第1センサの一例であり、センサ23は第2センサの一例である。
【0022】
トレイ910,920,930,940の間では、二つの被照射領域の位置は共通であるが、貫通孔の配置は互いに異なる。
【0023】
トレイ910については、第1被照射領域911および第2被照射領域912のいずれも貫通孔を有しない。
【0024】
トレイ920については、第1被照射領域921は、センサ21,22の中間に対応する位置に形成された第1貫通孔923を有する。第2被照射領域922は、センサ23に対応する位置に形成された第2貫通孔924を有する。第1貫通孔923と第2貫通孔924とは、トレイ920の中心を対称点とする点対称の位置関係にある。
【0025】
トレイ930については、第1被照射領域931は、センサ22に対応する位置に形成された第1貫通孔933を有する。第2被照射領域932は、トレイ930の中心を対称点として第1貫通孔933と点対称の位置関係にある第2貫通孔934を有する。
【0026】
トレイ940については、第1被照射領域941は、センサ21に対応する位置に形成された第1貫通孔943と、センサ22に対応する位置に形成された第1貫通孔944とを有する。第2被照射領域942は、トレイ940の中心を対称点として第1貫通孔944と点対称の位置関係にある第2貫通孔945と、その対称点を基準として第1貫通孔943と点対称の位置関係にある第2貫通孔946を有する。
【0027】
図4の例のように、トレイ90の二つの被照射領域91は、トレイ90の中心を対称点として点対称の位置関係にある。被照射領域91に貫通孔92が形成される場合には、一方の被照射領域91内の少なくとも一つの貫通孔92と、他方の被照射領域91内の少なくとも一つの貫通孔92とは、その対称点を基準として点対称の位置関係にある。
【0028】
検出パターンの数は、トレイ90の種類数に対応する。
図4の例では、4種類のトレイ90が存在するため、トレイ90の検出パターンの数は4である。
【0029】
トレイ910には貫通孔が存在しないため、センサ21,22は第1被照射領域911からの反射光を検出し、センサ23は第2被照射領域912からの反射光を検出する。
【0030】
トレイ920では、センサ21,22は第1被照射領域921からの反射光を検出する。第2貫通孔924はセンサ23からの光を通過させるため、センサ23は第2被照射領域922からの反射光を検出しない。
【0031】
トレイ930では、センサ21は第1被照射領域931からの反射光を検出し、センサ23は第2被照射領域932からの反射光を検出する。第1貫通孔933はセンサ22からの光を通過させるため、センサ22は第1被照射領域931からの反射光を検出しない。
【0032】
トレイ940では、第1貫通孔943および第1貫通孔944がそれぞれ、センサ21およびセンサ22からの光を通過させるため、センサ21もセンサ22も第1被照射領域941からの反射光を検出しない。センサ23は第2被照射領域942からの反射光を検出する。
【0033】
一例では、メモリ50は4種類のトレイ910,920,930,940とそれら4つの検出パターンとの対応関係を示すデータを記憶する。プロセッサ40はセンサ21,22,23から得られたセンサデータに基づいて検出パターンを特定し、メモリ50を参照してそのパターンに対応するトレイの種類を判定する。メモリ50が、トレイ90の種類と検体容器80の種類との対応関係を示すデータを記憶する場合には、プロセッサ40はメモリ50を更に参照して、判定されたトレイ90の種類に対応する検体容器80の種類を判定する。
【0034】
図5を参照しながら、分析装置1の動作について説明する。
図5は、トレイ90の種類の判定を含むその動作の一例を処理フローS1として示すフローチャートである。
【0035】
ステップS11では、ロボット30によってトレイ90がホルダ10に保持されたことに応答して、センサ管理部41がセンサ20を動作させる。センサ管理部41は少なくとも一つのセンサ20のそれぞれに制御信号を出力する。投光部はその制御信号に従って、ホルダ10上に保持されたトレイ90の被照射領域91に向けて光を照射する。照射された光は、被照射領域91で反射するかもしれないし、貫通孔92を通過するかもしれない。センサ20の受光部は、被照射領域91からの反射光を検出した場合には、その検出を示すセンサデータをプロセッサ40に出力する。プロセッサ40ではセンサ管理部41がそのセンサデータを取得する。
【0036】
ステップS12では、判定部42がセンサデータに基づいて検出パターンを特定する。判定部42は、少なくとも一つのセンサ20のそれぞれについてセンサデータを取得したか否かを判定し、その判定結果に基づいて検出パターンを特定する。
【0037】
ステップS13では、判定部42がその検出パターンに基づいてトレイ90の種類を判定する。判定部42はメモリ50を参照して、判定された検出パターンに対応するトレイ90の種類を判定する。判定部42はメモリ50を参照して、トレイ90の種類に対応する検体容器80の種類を更に判定してもよい。
【0038】
ステップS14では、制御部43がその判定結果に基づいて分析装置1に対する制御を実行する。制御部43は、判定されたトレイ90または検体容器80の種類に応じて、ロボット30に検体容器80が把持される位置を決定してもよいし、トレイ90または検体容器80の移動先を決定してもよいし、検体容器80から取り出される試料の量を決定してもよいし、その試料を分析する分析器を決定してもよい。制御部43はこれらの決定に基づいてロボット30を動作させてもよい。
【0039】
[変形例]
以上、本開示をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0040】
上記の例では、各被照射領域に一つまたは二つの貫通孔が設けられているが、貫通孔の組み合わせは上記の例に限られない。例えば、貫通孔は各被照射領域に三つ設けられてもよい。この場合、最大8通りの検出パターンを用意できる。
【0041】
上記の例では、トレイは第1被照射領域および第2被照射領域という二つの被照射領域を有するが、被照射領域は一つであってもよい。例えば、被照射領域はトレイの中心を含む1箇所に設けられてよい。その被照射領域は、トレイの中心を対称点として点対称になる形状を有してもよい。この場合、ホルダはトレイの中心を含む被照射領域に対応する三つのセンサを備えてもよい。この三つのセンサによって、全てのセンサが反射光を検出するパターンと、左右どちらかのセンサが反射光を検出するパターンと、中央のセンサが反射光を検出するパターンと、いずれのセンサも反射光を検出しないパターンとを含む様々な検出パターンを検出することが可能になる。
【0042】
あるいは、トレイは3以上の被照射領域を有してもよい。一例として、被照射領域は、第1被照射領域および第2被照射領域と、トレイの中心を含む第3被照射領域とを含んでもよい。トレイは、該トレイの長手方向における中央と第1端との間に第1被照射領域および第2被照射領域を有し、該長手方向における中央と第1端の反対側である第2端との間に第3被照射領域および第4被照射領域を有していてもよい。いずれの場合も、複数の被照射領域はトレイの中心を対称点として点対称の位置関係にあってよい。被照射領域の数に応じて、センサの数も増設されてよく、この場合には検出パターンをより増やすことができる。
【0043】
プロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0044】
コンピュータシステムまたはコンピュータ内で二つの数値の大小関係を比較する際には、「以上」および「よりも大きい」という二つの基準のどちらを用いてもよく、「以下」および「未満」という二つの基準のうちのどちらを用いてもよい。
【0045】
本開示に係る分析装置は以下のように規定されてもよい。
(項目1)
少なくとも一つの検体容器を収容するトレイであって、光を反射または通過させるための被照射領域を有する該トレイを保持するホルダと、
前記ホルダによって保持された前記トレイの前記被照射領域に向けて光を照射し、前記被照射領域によって反射した前記光を検出する少なくとも一つのセンサと、
前記少なくとも一つのセンサによる前記光の検出パターンに基づいて前記トレイの種類を判定するプロセッサと、
を備える分析装置。
(項目2)
前記被照射領域が、前記照射された光を通過させる少なくとも一つの貫通孔を備え、
前記プロセッサが、前記少なくとも一つのセンサのうちのどれが前記反射した光を検出したかを、前記検出パターンとして特定する、
項目1に記載の分析装置。
(項目3)
前記検体容器の種類が前記トレイの種類に対応し、
前記プロセッサが、前記トレイの種類に対応する前記検体容器の種類を判定する、
項目1または2に記載の分析装置。
(項目4)
前記被照射領域が、前記トレイの中心を対称点として点対称になる形状を有する、
項目1~3のいずれか一つに記載の分析装置。
(項目5)
前記トレイが、前記被照射領域として第1被照射領域および第2被照射領域を備え、
前記第1被照射領域と前記第2被照射領域とが、前記トレイの中心を対称点として点対称の位置関係にあり、
前記少なくとも一つのセンサが、前記第1被照射領域に向けて前記光を照射する少なくとも一つの第1センサと、前記第2被照射領域に向けて前記光を照射する少なくとも一つの第2センサとを含む、
項目1~3のいずれか一つに記載の分析装置。
(項目6)
前記第1被照射領域が、前記照射された光を通過させる少なくとも一つの第1貫通孔を備え、
前記第2被照射領域が、前記照射された光を通過させる少なくとも一つの第2貫通孔を備え、
前記少なくとも一つの第1貫通孔と前記少なくとも一つの第2貫通孔とが、前記トレイの中心を対称点として点対称の位置関係にある、
項目5に記載の分析装置。
(項目7)
前記プロセッサが、前記トレイの種類に基づいて前記検体容器の種類を判定する、
項目1~6のいずれか一つに記載の分析装置。
(項目8)
少なくとも一つの検体容器を収容するトレイであって、光を反射または通過させるための被照射領域を有する該トレイをホルダに保持させるステップと、
少なくとも一つのセンサが、前記ホルダによって保持された前記トレイの前記被照射領域に向けて光を照射し、前記被照射領域によって反射した前記光を検出するステップと、
プロセッサが、前記少なくとも一つのセンサによる前記光の検出パターンに基づいて前記トレイの種類を判定するステップと、
を含む分析方法。
【0046】
項目1または項目8によれば、投光および受光の機能を有するセンサによってトレイからの反射光が検出され、その検出のパターンに基づいてトレイの種類が判定される。この判定によって、トレイに対応する検体容器の種類を判定できる。トレイにおける反射光をセンサによって得る仕組みを採用することで、その判定のための構成を簡単にすることができる。その結果、検体容器の種類をより簡便に判定することができる。
【0047】
項目2によれば、貫通孔がセンサと対応する位置にある場合には、センサから照射される光が貫通孔を通過するため、センサは光を検出しない。トレイに貫通孔を設け、どのセンサが反射光を検出したかを検出パターンとして特定することで、簡単な構成で検出パターンを得ることができる。その結果、検体容器の種類をより簡便に判定することができる。
【0048】
項目3によれば、検体容器の種類はトレイの種類に対応する。したがって、トレイの種類が判定されれば、検体容器の種類も判定される。その結果、検体容器の種類をより簡便に判定することができる。
【0049】
項目4によれば、トレイの被照射領域が点対称の形状を有する。したがって、トレイの向きがどちらであっても、センサと被照射領域との位置関係は変わらない。その分だけ、トレイを柔軟にホルダ上に配置することができる。
【0050】
項目5によれば、トレイの二つの被照射領域が点対称の位置関係にある。したがって、その二つの被照射領域が並ぶ方向におけるトレイの向きがどちらであっても、センサと被照射領域との位置関係は変わらない。その分だけ、トレイを柔軟にホルダ上に配置することができる。
【0051】
項目6によれば、第1貫通孔と第2貫通孔とが点対称の位置関係にある。したがって、二つの被照射領域が並ぶ方向におけるトレイの向きがどちらであっても、センサと貫通孔との位置関係は変わらない。その分だけ、トレイを柔軟にホルダ上に配置することができる。
【0052】
項目7によれば、トレイの種類に基づいて検体容器の種類を自動的に判定することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…分析装置、10…ホルダ、20…センサ、30…ロボット、40…プロセッサ、41…センサ管理部、42…判定部、43…制御部、50…メモリ、80…検体容器、90…トレイ、91…被照射領域、92…貫通孔。