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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029645
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】光源装置及び測距装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0683 20060101AFI20240228BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20240228BHJP
   G01S 7/484 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01S5/0683
H01S5/042 630
G01S7/484
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132014
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】檜山 甲太
(72)【発明者】
【氏名】大澤 拓
【テーマコード(参考)】
5F173
5J084
【Fターム(参考)】
5F173SA34
5F173SC10
5F173SE01
5F173SE02
5F173SF15
5F173SF43
5F173SF74
5F173SG05
5F173SG09
5F173SJ04
5F173SJ10
5F173SJ12
5F173SJ16
5J084AA05
5J084BA07
5J084CA03
5J084CA55
5J084CA64
5J084CA69
5J084EA40
(57)【要約】
【課題】発光素子の発光電流の変化による光量の変化を低減する。
【解決手段】光源装置は、複数の発光素子と、上記複数の発光素子毎に直列に接続されて発光期間に発光電流を流す複数のスイッチ素子と、上記複数のスイッチ素子を制御することにより上記複数の発光素子の発光を制御する発光制御部と、上記複数の発光素子毎に配置されて発光素子に流れる電流を上記発光電流に制限する複数の電流制限素子と、上記発光電流に応じた電流制御信号を上記複数の電流制限素子の制御端子に供給する発光電流制御部と、上記複数の発光素子のうちの発光させる発光素子数に応じて上記発光電流を調整する発光電流調整部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子毎に直列に接続されて発光期間に発光電流を流す複数のスイッチ素子と、
前記複数のスイッチ素子を制御することにより前記複数の発光素子の発光を制御する発光制御部と、
前記複数の発光素子毎に配置されて発光素子に流れる電流を前記発光電流に制限する複数の電流制限素子と、
前記発光電流に応じた電流制御信号を前記複数の電流制限素子の制御端子に供給する発光電流制御部と、
前記複数の発光素子のうちの発光させる発光素子数に応じて前記発光電流を調整する発光電流調整部と
を有する光源装置。
【請求項2】
前記発光電流調整部は、前記発光電流制御部における前記発光電流の値を調整することにより前記発光を調整する請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記電流制限素子は、ゲートを前記制御端子とするMOSトランジスタにより構成され、
前記発光電流制御部は、前記複数の電流制限素子とカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタを備えて当該MOSトランジスタのゲート電圧を前記電流制御信号として前記複数の電流制限素子に供給し、
前記発光電流調整部は、前記発光電流制御部における前記カレントミラー回路の参照電流を調整することにより前記発光電流の値を調整する
請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記発光電流調整部は、前記発光制御部における発光期間を調整することにより前記発光電流を調整する請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子は、複数の領域に分割されて配置される請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
前記発光電流調整部は、複数の前記領域毎に前記発光電流を調整する請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記発光電流の過電流を所定の閾値に基づいて検出する過電流検出部と、
前記発光素子数に応じて前記閾値を調整する閾値調整部と
を更に有する請求項1に記載の光源装置。
【請求項8】
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子毎に直列に接続されて発光期間に発光電流を流す複数のスイッチ素子と、
前記複数のスイッチ素子を制御することにより前記複数の発光素子の発光を制御する発光制御部と、
前記複数の発光素子毎に配置されて発光素子に流れる電流を前記発光電流に制限する複数の電流制限素子と、
前記発光電流に応じた電流制御信号を前記複数の電流制限素子の制御端子に供給する発光電流制御部と、
前記複数の発光素子のうちの発光させる発光素子数に応じて前記発光電流を調整する発光電流調整部と
を備える光源装置と、
前記光源装置から出射された光が対象物に反射された反射光を検出する光検出素子と、
前記光の出射から前記反射光の検出までの時間を測定することにより前記対象物までの距離を測定する測距部と
を有する測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置及び当該光源装置を使用する測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光素子がアレイ状に配置されて構成された光源装置が使用されている。例えば、レーザダイオードを発光素子として使用する光源装置が使用されている。高出力のレーザダイオードをアレイ状に配置することにより高光量の光源装置を形成することができる。このような光源装置において、駆動のための定電流を供給する駆動トランジスタが発光素子毎に配置される光源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この光源装置では、カレントミラー回路によりそれぞれの駆動トランジスタに一定の発光電流(駆動電流)を供給する。すなわち、それぞれの駆動トランジスタとカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタとが配置され、このMOSトランジスタの参照電流がそれぞれの駆動トランジスタにミラーされ、発光電流として供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-043229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、駆動トランジスタのソース側の配線の共通インピーダンスに複数の発光素子の発光電流が流れる場合に駆動トランジスタのソース電位が変化し、発光電流が変動するという問題がある。このため、光源装置の光量が変動するという問題を生じる。
【0006】
そこで、本開示では、発光素子の発光電流の変化による光量の変化を低減する光源装置及び測距装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光源装置は、複数の発光素子と、上記複数の発光素子毎に直列に接続されて発光期間に発光電流を流す複数のスイッチ素子と、上記複数のスイッチ素子を制御することにより上記複数の発光素子の発光を制御する発光制御部と、上記複数の発光素子毎に配置されて発光素子に流れる電流を上記発光電流に制限する複数の電流制限素子と、上記発光電流に応じた電流制御信号を上記複数の電流制限素子の制御端子に供給する発光電流制御部と、上記複数の発光素子のうちの発光させる発光素子数に応じて上記発光電流を調整する発光電流調整部とを有する。
【0008】
また、本開示の測距装置は、複数の発光素子と、上記複数の発光素子毎に直列に接続されて発光期間に発光電流を流す複数のスイッチ素子と、上記複数のスイッチ素子を制御することにより上記複数の発光素子の発光を制御する発光制御部と、上記複数の発光素子毎に配置されて発光素子に流れる電流を上記発光電流に制限する複数の電流制限素子と、上記発光電流に応じた電流制御信号を上記複数の電流制限素子の制御端子に供給する発光電流制御部と、上記複数の発光素子のうちの発光させる発光素子数に応じて上記発光電流を調整する発光電流調整部とを備える光源装置と、上記光源装置から出射された光が対象物に反射された反射光を検出する光検出素子と、上記光の出射から反射光の検出までの時間を測定することにより上記対象物までの距離を測定する測距部とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る発光電流の変動を説明する図である。
図3】本開示の第1の実施形態に係る発光電流調整部の構成例を示す図である。
図4】本開示の第1の実施形態に係る調整電流の一例を示す図である。
図5】本開示の第2の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。
図6】本開示の第2の実施形態に係る調整電流の一例を示す図である。
図7】本開示の第2の実施形態に係る調整電流の他の例を示す図である。
図8A】本開示の第2の実施形態に係る領域の一例を示す図である。
図8B】本開示の第2の実施形態に係る領域の一例を示す図である。
図8C】本開示の第2の実施形態に係る領域の一例を示す図である。
図9】本開示の第3の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。
図10】本開示の第3の実施形態に係る調整電流の一例を示す図である。
図11】本開示の第4の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。
図12】本開示の第4の実施形態に係る発光電流調整部の構成例を示す図である。
図13】本開示の第4の実施形態に係る発光制御部の構成例を示す図である。
図14A】本開示の第4の実施形態に係る発光信号生成回路の構成例を示す図である。
図14B】本開示の第4の実施形態に係る発光信号の生成の一例を示す図である。
図15】本開示の第5の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。
図16】本開示の実施形態の第1の変形例に係る光源装置の構成例を示す図である。
図17】本開示の実施形態の第2の変形例に係る光源装置の構成例を示す図である。
図18A】本開示の実施形態に係る発光素子の構成例を示す図である。
図18B】本開示の実施形態に係る発光素子の他の構成例を示す図である。
図19A】本開示の実施形態に係る発光素子の発光の一例を示す図である。
図19B】本開示の実施形態に係る発光素子の発光の一例を示す図である。
図20】本開示の実施形態に係る光源装置を適用可能な測距装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。説明は、以下の順に行う。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
4.第4の実施形態
5.第5の実施形態
6.変形例
7.発光素子の構成
8.測距装置への適用例
【0011】
(1.第1の実施形態)
[光源装置の構成]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。同図は、光源装置10の構成例を表すブロック図である。光源装置10は、複数(n個)の発光素子101乃至103と、複数(n個)のスイッチ素子121乃至123と、複数(n個)の電流制限素子111乃至113と、MOSトランジスタ124と、発光制御部20とを備える。また、光源装置10は、発光電流調整部30と、発光電流制御部40と、制御部50とを更に備える。
【0012】
発光素子101乃至103は、発光電流を流すことにより発光する半導体の素子である。発光素子101等には、例えばレーザダイオードを使用することができる。
【0013】
スイッチ素子は、複数の発光素子101乃至103毎に直列に接続されて発光期間に発光電流を流す素子である。このスイッチ素子にはnチャネルMOSトランジスタを使用することができる。
【0014】
電流制限素子111乃至113は、複数の発光素子101乃至103毎に配置されて発光素子101乃至103に流れる電流を発光電流に制限する素子である。
【0015】
発光電流制御部40は、発光電流に応じた電流制御信号を複数の電流制限素子111乃至113の制御端子に供給するものである。なお、電流制限素子111乃至113のゲートが制御端子に該当する。この発光電流制御部40は、定電流回路130及びMOSトランジスタ114を備える。
【0016】
光源装置10の回路の結線について説明する。発光素子101のアノードは電源を供給する電源線Vddに接続され、発光素子101のカソードは電流制限素子111のドレインに接続される。電流制限素子111のソースはスイッチ素子121のドレインに接続され、スイッチ素子121のソースは接地される。このように、直列に接続される発光素子101、電流制限素子111及びスイッチ素子121は、電源線Vdd及び接地線の間に接続される。発光素子102、電流制限素子112及びスイッチ素子122並びに発光素子103、電流制限素子113及びスイッチ素子123においても同様の結線となる。このような直列に接続された発光素子101、電流制限素子111及びスイッチ素子121のノードを以下発光素子ノードと称する。この発光素子ノードが光源装置10にn個配置される。なお、スイッチ素子121乃至123のゲートは、それぞれ発光電流制御部40の出力に接続される。
【0017】
発光電流制御部40の定電流回路130のシンク側端子は電源線Vddに接続され、ソース側端子はMOSトランジスタ114のドレイン及びゲート並びに電流制限素子111乃至113のゲートに接続される。MOSトランジスタ114のソースはMOSトランジスタ124のドレインに接続され、MOSトランジスタ124のソースは接地される。MOSトランジスタ124のゲートは電源線Vddに接続される。
【0018】
同図に表したように、発光電流制御部40のMOSトランジスタ114と電流制限素子111乃至113とはカレントミラー回路を構成する。すなわち、MOSトランジスタ114に流れる電流である参照電流が電流制限素子111乃至113にミラーされる。なお、MOSトランジスタ124は、スイッチ素子121に相当する電圧降下を得るために接続される素子である。このため、カレントミラー回路のミラー比は1:1となる。例えば、スイッチ素子121乃至123を導通させることにより電流制限素子111乃至113のソース及び接地線の間が略短絡状態になる。このため、定電流回路130の参照電流に等しい電流が電流制限素子111乃至113にそれぞれ流れる。この電流が発光電流となる。
【0019】
スイッチ素子121乃至123を選択して導通させることにより、所望の発光素子を発光させることができる。なお、定電流回路130の参照電流は、後述する発光電流調整部30により制御される。
【0020】
なお、同図の光源装置10は、発光素子101乃至103及び発光電流制御部40が同一の電源(電源線Vdd)に接続される例を表したものであるが、発光素子101等の回路構成は、この例に限定されない。例えば、発光素子101乃至103と発光電流制御部40とに異なる電源(回路)を接続することもできる。この際、発光素子101乃至103と発光電流制御部40とにおいて異なる電圧の電源を供給することもできる。また、発光電流制御部40のMOSトランジスタ114と電流制限素子111乃至113とにより構成されるカレントミラー回路のミラー比を異なる値にすることもできる。例えば、MOSトランジスタ114に対する電流制限素子111乃至113のアスペクト比をN倍にすることにより、ミラー比を1:Nにすることができる。これにより、発光電流制御部40等の消費電力を低減することができる。なお、この場合には、MOSトランジスタ124に対するスイッチ素子121乃至123のアスペクト比もN倍にする必要がある。
【0021】
発光制御部20は、複数のスイッチ素子121乃至123を制御することにより複数の発光素子101乃至103の発光を制御するものである。この発光制御部20は、スイッチ素子121乃至123を個別に導通させて制御する。発光制御部20は、スイッチ素子121乃至123を構成するMOSトランジスタのオン信号を出力する。このオン信号は、MOSトランジスタを導通状態にするゲートソース間電圧Vgs以上の電圧の信号である。このオン信号がゲートに印加されたスイッチ素子121等が導通状態になる。
【0022】
発光制御部20には、駆動信号及び発光パタンが入力される。駆動信号は、発光素子101乃至103を発光させるタイミングを示す信号であり、スイッチ素子121乃至123を導通状態にするタイミングを示す信号である。また、発光パタンは、発光素子101乃至103のうち発光させる発光素子を示す信号である。発光制御部20は、発光パタンに基づいてスイッチ素子121乃至123を選択し、駆動信号に基づくタイミングにおいて選択したスイッチ素子121乃至123にオン信号を出力する。
【0023】
発光電流調整部30は、発光電流制御部40の発光電流を制御する。具体的には、発光電流調整部30は、発光電流制御部40の定電流回路130に発光電流に相当する参照電流を流す制御を行う。また、発光電流調整部30は、複数の発光素子101乃至103のうちの発光させる発光素子数に応じた発光電流の調整を更に行う。後述するように、カレントミラー回路を構成する電流制限素子111乃至113は、発光素子数に応じて発光電流が変化する。発光電流調整部30は、この発光電流の変化を補償するため、発光電流を調整する。発光電流調整部30の構成の詳細については後述する。
【0024】
制御部50は、光源装置10の全体を制御するものである。この制御部50は、外部の装置からの指示に基づいて電流制御信号、発光パタン及び駆動信号を生成し、発光電流調整部30及び発光制御部20に対して出力する。
【0025】
[発光電流の変動]
図2は、本開示の実施形態に係る発光電流の変動を説明する図である。同図は、図1の発光素子101乃至103の回路部分を記載した図である。同図において、IはMOSトランジスタ114の電流(参照電流)を表す。また、I乃至Iは、電流制限素子111乃至113の発光電流を表す。また、同図にはカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタ114並びに電流制限素子111乃至113のソース側配線の寄生抵抗を記載した。同図の破線の抵抗器が寄生抵抗に該当する。通常、配線には配線抵抗に基づく寄生抵抗が存在する。このため、配線に電流を流すと電圧降下を生じる。これらの寄生抵抗がMOSトランジスタ114と電流制限素子111乃至113とにおいて異なる場合、MOSトランジスタ114等のソース電圧が変化し、ミラー比が変化して発光電流I乃至Iにばらつきを生じる。
【0026】
電流制限素子111を例に挙げて説明すると、電流制限素子111のソース側配線には、寄生抵抗301及び302が存在する。この寄生抵抗301及び302がMOSトランジスタ114の寄生抵抗と異なる場合、電流制限素子111及びMOSトランジスタ114の実効的なゲートソース間電圧Vgsが異なるため、電流制限素子111の発光電流Iは電流制限素子111の電流Iとは異なる値になる。
【0027】
また、接地線にも寄生抵抗が存在する。この寄生抵抗のうち、複数の発光電流が共通に流れる寄生抵抗は共通インピーダンスと称される。同図の寄生抵抗303は、発光電流I乃至Iが流れる共通インピーダンスに該当する。この共通インピーダンスとなる寄生抵抗303の電圧降下は、流れる発光電流により変化する。すなわち、寄生抵抗303の電圧降下は、発光素子101乃至103の発光素子数により変化する。このため、寄生抵抗303に発光電流Iが流れる電流制限素子111は、他の発光素子ノードから発光電流により、実効的なゲートソース間電圧Vgsが変化し、発光電流が変動する。
【0028】
具体的には、発光素子101のみを発光させる際には、寄生抵抗303に発光電流Iのみが流れるため、寄生抵抗303の電圧降下がMOSトランジスタ114における接地線の寄生抵抗304の電圧降下と略等しくなる。このため、発光素子101の発光電流IはIと略等しい電流となる。これに対し、発光素子101乃至103の全てが発光する場合、寄生抵抗303の電圧降下が増加して実効的なゲートソース間電圧Vgsが低下するため発光電流IがIより低下する。このように、発光素子101乃至103のうちの発光素子数に応じて発光電流が変化する。発光電流調整部30は、この発光電流の変化を補償する動作を行う。
【0029】
[発光電流調整部の構成]
図3は、本開示の第1の実施形態に係る発光電流調整部の構成例を示す図である。同図は、発光電流調整部30の構成例を表すブロック図である。同図の発光電流調整部30は、発光素子数検出部31と、駆動調整部32と、調整電流保持部33とを備える。
【0030】
発光素子数検出部31は、発光パタンに基づいて発光素子数を検出するものである。この発光素子数検出部31は、発光素子数を駆動調整部32に出力する。
【0031】
駆動調整部32は、電流制御信号に基づいて、発光電流調整部30の定電流回路130に参照電流を流す制御を行う。また、駆動調整部32は、発光素子数検出部31からの発光素子数に基づいて定電流回路130の参照電流を調整する制御を更に行う。駆動調整部32は、調整電流保持部33の調整電流に基づいて参照電流の調整を行う。
【0032】
調整電流保持部33は、参照電流を調整するための調整電流の情報を保持するものである。調整電流保持部33は、発光素子数及び調整電流の対応を表すテーブルを備える。
【0033】
[調整電流]
図4は、本開示の第1の実施形態に係る調整電流の一例を示す図である。同図は、調整電流保持部33に保持される調整電流の一例を表す図である。同図の発光素子数は、発光素子101乃至103のうちの発光素子数を表す。同図は、発光素子(発光素子ノード)が10個の場合を表したものである。同図の調整電流は、発光電流の調整値を表す。同図の調整電流は、発光素子数が10の場合を基準とし、発光素子数の減少に伴い値が増加する例を表したものである。具体的には、発光素子数が「1」の場合には、調整電流が「-5%」となる。この場合、駆動調整部32は、発光素子数が「10」の場合の発光電流(参照電流)に対して5%減じる調整を行う。駆動調整部32は、この調整後の参照電流を流すように定電流回路130を制御する。これにより、発光素子数に応じて発光電流の値が調整される。
【0034】
このように、本開示の第1の実施形態の光源装置10は、発光素子数に応じて発光素子101乃至103の発光電流を調整する。これにより、発光素子101乃至103の発光電流の変動を低減することができ、光源装置10の光量の変動を低減することができる。
【0035】
(2.第2の実施形態)
上述の第1の実施形態の光源装置10は、複数の発光素子が配置されていた。これに対し、本開示の第2の実施形態の光源装置10は、複数の発光素子が複数の領域に分割される点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0036】
[光源装置の構成]
図5は、本開示の第2の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。同図は、図1と同様に、光源装置10の構成例を表すブロック図である。同図の光源装置10は、発光素子ノードが複数の領域に分割される点で、図1の光源装置10と異なる。
【0037】
同図の光源装置10は、発光素子101乃至103の発光素子ノードからなる領域100と発光素子151乃至153の発光素子ノードからなる領域150を備える。領域150は、発光素子151乃至153、電流制限素子161乃至163及びスイッチ素子171乃至173を備える。これらの発光素子151乃至153がそれぞれ発光素子ノードを構成する。なお、同図の領域150は、領域100と同数の発光素子ノードを備える例を表したものである。また、領域150の電流制限素子161乃至163は、MOSトランジスタ114とカレントミラー回路を構成する。このような領域100及び150を備える構成は、複数の発光素子101等がハードウェア的に分割される場合に適用されるものである。
【0038】
[調整電流]
図6は、本開示の第2の実施形態に係る調整電流の一例を示す図である。同図は、図4と同様に、調整電流保持部33に保持される調整電流の一例を表す図である。同図の「領域♯1」及び「領域♯2」は、それぞれ領域100及び150の発光素子数を表す。領域100及び150において発光素子数が「5」のときに最も小さい(絶対値が最も大きい)調整値となる。
【0039】
図7は、本開示の第2の実施形態に係る調整電流の他の例を示す図である。同図は、図6と同様に、調整電流保持部33に保持される調整電流の一例を表す図である。同図は、発光電流に応じて調整値を変化させる例を表したものである。同図の左端の調整電流は、発光電流が低い場合(低光量の場合)の調整電流を表したものである。また、同図の中央の調整電流は、中位の発光電流の場合の調整電流を表したものである。また、同図の右端の調整電流は、発光電流が大きい場合(高光量の場合)の調整電流を表したものである。同図に表したように、発光電流が大きい場合には、調整値を大きくすることができる。共通インピーダンスである寄生抵抗303の電圧降下が増加するためである。
【0040】
[領域の構成]
図8A-8Cは、本開示の第2の実施形態に係る領域の一例を示す図である。同図の矩形は発光素子101等を表す。同図において発光素子101等は、2次元行列状に配置される。また、同図の白抜きの矩形は、領域100に含まれる発光素子を表し、斜線ハッチングを付した矩形は、領域150に含まれる発光素子を表す。
【0041】
図8Aは、複数の発光素子101等が長方形の形状の領域100及び150に2等分される例を表したものである。
【0042】
図8Bは、複数の発光素子101等のうちの外周の発光素子が領域150に配置され、内側の発光素子が領域100に配置される例を表したものである。
【0043】
図8Cは、複数の発光素子101等が列毎に領域100及び150に交互に振りわけられる例を表したものである。
【0044】
これ以外の光源装置10の構成は本開示の第1の実施形態における光源装置10の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
このように、本開示の第2の実施形態の光源装置10は、複数の発光素子101等が複数の領域100等に分割される場合において、発光素子数に応じて発光素子101乃至103の発光電流を調整する。
【0046】
(3.第3の実施形態)
上述の第2の実施形態の光源装置10は、複数の発光素子101等が領域100及び150に分割されていた。これに対し、本開示の第3の実施形態の光源装置10は、分割された領域毎に電流制限素子161等のカレントミラー回路を構成する点で、上述の第2の実施形態と異なる。
【0047】
[光源装置の構成]
図9は、本開示の第3の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。同図は、図5と同様に、光源装置10の構成例を表すブロック図である。同図の光源装置10は、領域100及び150において異なるカレントミラー回路が配置される点で、図5の光源装置10と異なる。
【0048】
同図の光源装置10は、定電流回路131、MOSトランジスタ164及び174を更に備える。なお、定電流回路131及びMOSトランジスタ164の回路は、発光電流制御部41を構成する。
【0049】
発光電流制御部41の定電流回路131のシンク側端子は電源線Vddに接続され、ソース側端子はMOSトランジスタ164のドレイン及びゲート並びに電流制限素子161乃至163のゲートに接続される。MOSトランジスタ164のソースはMOSトランジスタ174のドレインに接続され、MOSトランジスタ174のソースは接地される。MOSトランジスタ174のゲートは、電源線Vdd接続される。
【0050】
また、同図の光源装置10の発光電流調整部30(不図示)は、複数の発光電流制御部40及び41の発光電流の調整を行う。
【0051】
[調整電流]
図10は、本開示の第3の実施形態に係る調整電流の一例を示す図である。同図は、図6と同様に、調整電流保持部33に保持される調整電流の一例を表す図である。同図に表したように、本開示の第3の実施形態に係る調整電流保持部33は、領域100及び150毎に調整電流を保持する。これら領域100及び150毎の調整電流に基づいて、発光電流調整部30は、領域100及び150毎に発光電流の調整を行うことができる。例えば、図8Bの領域100及び150のように、領域毎に共通インピーダンスである寄生抵抗の配置が大きく異なる場合であっても、領域100及び150毎に発光電流を補償することができる。
【0052】
これ以外の光源装置10の構成は本開示の第2の実施形態における光源装置10の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
このように、本開示の第3の実施形態の光源装置10は、領域100及び150毎に発光電流制御部40及び41を備える。これにより、発光電流の変動を更に低減することができる。
【0054】
(4.第4の実施形態)
上述の第1の実施形態の光源装置10は、発光電流値を調整することにより、発光電流の調整を行っていた。これに対し、本開示の第4の実施形態の光源装置10は、発光電流が流れる期間を調整することにより、発光電流を調整する点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0055】
[光源装置の構成]
図11は、本開示の第4の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。同図は、図1と同様に、光源装置10の構成例を表すブロック図である。同図の光源装置10は、発光制御部20が発光電流調整部30から出力される発光期間調整信号に基づいて発光素子101等の発光期間を調整する点で、図1の光源装置10と異なる。
【0056】
同図の発光電流調整部30は、発光電流制御部40の発光電流(参照電流)の調整を行う必要がない。その代わり、同図の発光電流調整部30は、発光期間調整信号を発光制御部20に対して出力する。この発光期間調整信号は、発光素子数に応じて発光期間を調整する信号である。
【0057】
同図の発光制御部20は、発光期間調整信号に基づいて発光期間が調整されたバルス状のオン信号をスイッチ素子121乃至123に出力する。
【0058】
[発光電流調整部の構成]
図12は、本開示の第4の実施形態に係る発光電流調整部の構成例を示す図である。同図は、図3と同様に、発光電流調整部30の構成例を表すブロック図である。同図の発光電流調整部30は、参照電流制御部34を更に備え、駆動調整部32が発光期間調整信号を生成して出力する点で、図3の発光電流調整部30と異なる。
【0059】
参照電流制御部34は、電流制御信号に基づいて発光電流制御部40の定電流回路130に参照電流を流す制御を行うものである。
【0060】
同図の駆動調整部32は、発光素子数検出部31からの発光素子数に基づいて発光期間調整信号を生成する。この発光期間調整信号は、後述する発光制御部20の発光信号生成回路22の遅延回路221に入力される。発光期間調整信号は、遅延回路221の遅延時間を指示する信号である。
【0061】
[発光制御部の構成]
図13は、本開示の第4の実施形態に係る発光制御部の構成例を示す図である。同図は、発光制御部20の構成例を表すブロック図である。同図の発光制御部20は、非反転バッファ21と、発光信号生成回路22と、発光素子選択部23と、複数のゲート駆動回路24とを備える。
【0062】
非反転バッファ21は、緩衝増幅器に相当し、駆動信号を増幅して発光信号生成回路22に出力するものである。
【0063】
発光信号生成回路22は、非反転バッファ21を介して入力される駆動信号に基づいてパルス状の発光信号を生成する回路である。また、発光信号生成回路22は、発光電流調整部30からの発光期間調整信号に基づいて発光信号のハルス幅の調整を更に行う。発光信号生成回路22の構成の詳細については後述する。
【0064】
発光素子選択部23は、発光パタンに基づいて発光させる発光素子101等を選択し、選択した発光素子101等の発光素子ノードに発光信号を出力するものである。
【0065】
ゲート駆動回路は、発光素子ノード毎に配置され、発光素子選択部23からの発光信号に基づいてパルス状のオン信号を生成し、出力するものである。
【0066】
[発光信号生成回路の構成]
図14Aは、本開示の第4の実施形態に係る発光信号生成回路の構成例を示す図である。同図は、発光信号生成回路22の構成例を表すブロック図である。同図の発光信号生成回路22は、遅延回路221と、ANDゲート222とを備える。
【0067】
遅延回路221は、発光期間調整信号に基づいて駆動信号を遅延させる回路である。ANDゲート222は、駆動信号及び遅延回路221により遅延された駆動信号の論理積演算を行うゲートである。ANDゲート222の出力が発光信号に該当する。
【0068】
[発光信号の生成]
図14Bは、本開示の第4の実施形態に係る発光信号の生成の一例を示す図である。同図の「駆動信号」は、駆動信号の波形を表す。また、同図の「遅延回路出力」は、遅延回路221の出力信号の波形を表す。また、同図の「発光信号」は、ANDゲート222の出力信号である発光信号の波形を表す。
【0069】
同図において、駆動信号としてパルス幅2nsの信号を想定する。また、同図の遅延回路出力の波形は、遅延回路221が駆動信号を1ns遅延させる例を表したものである。これら2つ信号波形を論理積演算することにより、発光信号を生成することができる。同図に表したように、この発光信号は、遅延回路221の遅延時間に応じてバルス幅が変化する信号である。
【0070】
本開示の第4の実施形態の発光電流調整部30は、発光素子数に応じた発光期間調整信号を出力する。この発光期間調整信号は、例えば、図4に表した調整値に応じたパルス幅のとなる遅延時間を指示する信号となる。この発光期間調整信号が遅延回路221に入力され、発光信号のパルス幅が調整される。例えば、発光素子数が「1」の場合には、発光信号のパルス幅を5%減じる調整が行われる。これにより、発光期間における光源装置10の光量の総和(積算値)を平準化することができる。
【0071】
これ以外の光源装置10の構成は本開示の第1の実施形態における光源装置10の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
このように、本開示の第4の実施形態の光源装置10は、発光素子101等の発光素子数に応じて発光期間を調整する。これにより、発光期間における光量の総和の変化を低減することができる。
【0073】
(5.第5の実施形態)
上述の第1の実施形態の光源装置10に過電流検出部を付加する例について説明する。
【0074】
[光源装置の構成]
図15は、本開示の第5の実施形態に係る光源装置の構成例を示す図である。同図は、図1と同様に、光源装置10の構成例を表すブロック図である。同図の光源装置10は、過電流検出部60及び閾値調整部70を更に備える点で、図1の光源装置10と異なる。
【0075】
過電流検出部60は、抵抗63及び64と、nチャネルMOSトランジスタ61及び62と、定電流回路65と、比較器66とを備える。抵抗63の一端は電源線Vddに接続され、他の一端はMOSトランジスタ61のドレイン及び比較器66の比較入力に接続される。MOSトランジスタ61のソースはMOSトランジスタ62のドレインに接続され、MOSトランジスタ62のソースは接地される。MOSトランジスタ61のゲートはMOSトランジスタ14のドレインに接続され、MOSトランジスタ62のゲートは電源線Vddに接続される。抵抗64の一端は電源線Vddに接続され、他の一端は定電流回路65のシンク側端子及び比較器66の参照入力に接続される。定電流回路65のソース側端子は、接地される。
【0076】
定電流回路65は、閾値調整部70からの制御信号に基づく定電流を供給する回路である。定電流回路65のシンク側端子の電位は、過電流検出の閾値電圧となる。また、MOSトランジスタ61のドレインの電位は、発光電流に応じた電位となる。比較器66は、参照入力に入力される閾値電圧と比較入力に入力される発光電流に応じた電圧とを比較し、発光電流に応じた電圧が閾値電圧を超える場合に過電流を検出し、検出信号を出力する。このように、同図の過電流検出部60は、発光素子101等の過電流を間接的に検出するものである。
【0077】
閾値調整部70は、発光パタンに基づいて発光素子101等の発光素子数を検出し、閾値を調整するものである。上述の発光電流調整部30は、発光素子101等の発光素子数に応じて発光電流を調整する。そこで、閾値調整部70を配置し、発光素子101等の発光素子数に応じて閾値を調整することにより、過電流検出の精度を向上させることができる。
【0078】
これ以外の光源装置10の構成は本開示の第1の実施形態における光源装置10の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0079】
このように、本開示の第5の実施形態の光源装置10は、過電流検出部60を備えて発光素子101等の発光電流の過電流を検出する。また、過電流検出の際の閾値を発光素子101等の発光素子数に応じて調整する。これにより、発光素子数に応じて発光電流が調整される場合であっても過電流検出の精度を向上させることができる。
【0080】
(6.変形例)
光源装置10の変形例について説明する。
【0081】
[光源装置の構成]
図16は、本開示の実施形態の第1の変形例に係る光源装置の構成例を示す図である。同図は、図1と同様に、光源装置10の構成例を表すブロック図である。同図の光源装置10は、図1のスイッチ素子121乃至123及び電流制限素子111乃至113の接続順を入れ替えて配線される例を表したものである。これに合わせて、MOSトランジスタ114及び124も入れ替えて配線される。
【0082】
図17は、本開示の実施形態の第2の変形例に係る光源装置の構成例を示す図である。同図は、図1と同様に、光源装置10の構成例を表すブロック図である。同図の光源装置10は、pチャネルMOSトランジスタのスイッチ素子125乃至127及び電流制限素子115乃至117を使用する場合に例を表したものである。また、発光電流制御部40のMOSトランジスタ118及びMOSトランジスタ118のソースに接続されるMOSトランジスタ128にもpチャネルMOSトランジスタを使用する。
【0083】
これ以外の光源装置10の構成は本開示の第1の実施形態における光源装置10の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
(7.発光素子の構成)
発光素子101等の構成について説明する。
【0085】
[発光素子の構成]
図18Aは、本開示の実施形態に係る発光素子の構成例を示す図である。同図は、複数の発光素子がアレイ状配置されて構成される発光素子アレイ410を有する発光素子チップ400の構成例を表す図である。
【0086】
発光素子アレイ410は、発光素子であるレーザダイオード411が2次元行列状に配置されて構成される。このレーザダイオード411には、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を適用することができる。このレーザダイオード411の両側の黒丸は、接続端子412を表す。
【0087】
発光素子アレイ410は、発光素子チップ400に実装される。この発光素子チップ400には、図1の発光素子101乃至103以外の回路を配置することができる。発光素子チップ400の端部にはパッド401が配置される。このパッド401及び接続端子412の間は、ボンディングワイヤにより接続することができる。
【0088】
図18Bは、本開示の実施形態に係る発光素子の他の構成例を示す図である。同図は、発光素子アレイ410の裏面に配置されるバンプ413を介して発光素子チップ400と接続される例を表したものである。
【0089】
[発光素子の発光例]
図19A及び19Bは、本開示の実施形態に係る発光素子の発光の一例を示す図である。同図は、発光素子アレイ410の発光の一例を表した図である。同図において、斜線ハッチングを付したレーザダイオード411は、発光状態のレーザダイオード411を表す。
【0090】
図19Aは、隣接するレーザダイオード411を発光させる例を表したものである。また、図19Bは、発光させるレーザダイオード411を分散させる例を表したものである。
【0091】
(8.測距装置への適用例)
[測距装置の構成]
図20は、本開示の実施形態に係る光源装置を適用可能な測距装置の構成例を示す図である。同図は、測距装置700の構成例を表す図である。測距装置700は、対象物との距離を測定する装置である。同図の測距装置700は、物体701との間の距離を測定する例を表したものである。測距装置700は、光源装置710と、光検出素子720と、測距部730と、制御部740とを備える。なお、同図の白抜きの矢印は、光の伝達を表す。同図において、測距装置700の光源装置710から出射された出射光702が物体701により反射されて反射光703を生じる。この反射光703が測距装置700に到達して光検出素子720により検出される。この出射光702の出射から反射光703の検出までの時間(飛行時間)を計時することにより、測距装置700から物体701までの距離を測定することができる。
【0092】
光源装置710は、測距の対象物に光を照射するものである。なお、光源装置710には、上述の光源装置10を適用することができる。
【0093】
光検出素子720は、入射光に応じた画像信号を生成する複数の画素を備えるものである。この光検出素子720は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の撮像素子により構成することができる。光検出素子720は、出射光702の発光期間及び非発光期間に同期する期間に受光した反射光703の撮像を行い、画像信号を生成する。光検出素子720は、生成した画像信号を測距部730に対して出力する。
【0094】
測距部730は、物体701までの距離を測定するものである。この測距部730は、光検出素子720から出力される画像信号に基づいて上述の飛行時間の計時を行って距離を測定する。測距部730により計測された距離は、距離データとして測距装置700の外部に出力される。
【0095】
制御部740は、測距装置700の全体を制御するものである。例えば、制御部740は、光源装置710に対して光の出射を指示するとともに、光の出射開始を測距部730に対して通知する。この通知により、測距部730が飛行時間の計時を開始する。また、制御部740は、光検出素子720に対して画像信号の生成等の制御を行う。制御部740は、制御信号を出力することにより、光源装置710等の制御を行う。
【0096】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0097】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子毎に直列に接続されて発光期間に発光電流を流す複数のスイッチ素子と、
前記複数のスイッチ素子を制御することにより前記複数の発光素子の発光を制御する発光制御部と、
前記複数の発光素子毎に配置されて発光素子に流れる電流を前記発光電流に制限する複数の電流制限素子と、
前記発光電流に応じた電流制御信号を前記複数の電流制限素子の制御端子に供給する発光電流制御部と、
前記複数の発光素子のうちの発光させる発光素子数に応じて前記発光電流を調整する発光電流調整部と
を有する光源装置。
(2)
前記発光電流調整部は、前記発光電流制御部における前記発光電流の値を調整することにより前記発光を調整する前記(1)に記載の光源装置。
(3)
前記電流制限素子は、ゲートを前記制御端子とするMOSトランジスタにより構成され、
前記発光電流制御部は、前記複数の電流制限素子とカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタを備えて当該MOSトランジスタのゲート電圧を前記電流制御信号として前記複数の電流制限素子に供給し、
前記発光電流調整部は、前記発光電流制御部における前記カレントミラー回路の参照電流を調整することにより前記発光電流の値を調整する
前記(2)に記載の光源装置。
(4)
前記発光電流調整部は、前記発光制御部における発光期間を調整することにより前記発光電流を調整する前記(1)に記載の光源装置。
(5)
前記複数の発光素子は、複数の領域に分割されて配置される前記(1)から(4)の何れかに記載の光源装置。
(6)
前記発光電流調整部は、複数の前記領域毎に前記発光電流を調整する前記(5)に記載の光源装置。
(7)
前記発光電流の過電流を所定の閾値に基づいて検出する過電流検出部と、
前記発光素子数に応じて前記閾値を調整する閾値調整部と
を更に有する前記(1)から(6)の何れかに記載の光源装置。
(8)
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子毎に直列に接続されて発光期間に発光電流を流す複数のスイッチ素子と、
前記複数のスイッチ素子を制御することにより前記複数の発光素子の発光を制御する発光制御部と、
前記複数の発光素子毎に配置されて発光素子に流れる電流を前記発光電流に制限する複数の電流制限素子と、
前記発光電流に応じた電流制御信号を前記複数の電流制限素子の制御端子に供給する発光電流制御部と、
前記複数の発光素子のうちの発光させる発光素子数に応じて前記発光電流を調整する発光電流調整部と
を備える光源装置と、
前記光源装置から出射された光が対象物に反射された反射光を検出する光検出素子と、
前記光の出射から前記反射光の検出までの時間を測定することにより前記対象物までの距離を測定する測距部と
を有する測距装置。
【符号の説明】
【0098】
10 光源装置
20 発光制御部
30 発光電流調整部
40 発光電流制御部
60 過電流検出部
100、150 領域
101~103、151~153 発光素子
111~113、115~117、161~163 電流制限素子
121~123、125~127、171~173 スイッチ素子
700 測距装置
710 光源装置
720 光検出素子
730 測距部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図20