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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029646
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】軸流ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/52 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
F04D29/52 B
F04D29/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132016
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000180025
【氏名又は名称】山洋電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】立山 智司
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC01
3H130BA66A
3H130BA66B
3H130CA08
3H130CA22
3H130CA24
3H130DA02Z
3H130DD02Z
3H130EA01A
3H130EA01B
3H130EA07A
3H130EA07B
3H130EA07C
3H130EA07G
3H130EB01A
(57)【要約】
【課題】送風効率を向上させることが可能な軸流ファンを提供する。
【解決手段】送風方向Wに風を送る軸流ファン1は、径方向に延びる翼5を有するインペラカップ3と、インペラカップ3を回転させるモータと、インペラカップ3及びモータを収容するハウジング2と、を備える。ハウジング2は、インペラカップ3の外周を覆うケーシング部21と、モータを支持するベース部9と、ベース部9とケーシング部21を接続するスポーク部10と、を有する。ケーシング部21は、風を吸い込む吸込面と、風を吐き出す吐出面23bと、を有する。ケーシング部21の内周面の吐出面23b側の少なくとも一部に段差部24が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風方向に風を送る軸流ファンであって、
径方向に延びる翼を有するインペラカップと、
前記インペラカップを回転させるモータと、
前記インペラカップおよび前記モータを収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記インペラカップの外周を覆うケーシング部と、
前記モータを支持するベース部と、
前記ベース部と前記ケーシング部を接続するスポーク部を有し、
前記ケーシング部は、
風を吸い込む吸込面と、
風を吐き出す吐出面を有し、
前記ケーシング部の内周面の前記吐出面側の少なくとも一部に段差部が設けられている、軸流ファン。
【請求項2】
前記ケーシング部の前記吐出面の少なくとも一部に、肉抜き部が設けられている、請求項1に記載の軸流ファン。
【請求項3】
前記スポーク部の長手方向の延長線上から外れた位置に、前記肉抜き部が設けられている、請求項2に記載の軸流ファン。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記送風方向に垂直な平面視において、複数の角部を含む多角形状を有し、
前記段差部および前記肉抜き部は、複数の前記角部の各々の近傍に設けられている、請求項2に記載の軸流ファン。
【請求項5】
送風方向に風を送る軸流ファンであって、
径方向に延びる翼を有するインペラカップと、
前記インペラカップを回転させるモータと、
前記インペラカップおよび前記モータを収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記インペラカップの外周を覆うケーシング部と、
前記モータを支持するベース部と、
前記ベース部と前記ケーシング部を接続するスポーク部を有し、
前記ケーシング部は、
風を吸い込む吸込面と、
風を吐き出す吐出面を有し、
前記ケーシング部の前記吐出面であって、前記スポーク部の長手方向の延長線上から外れた位置に、肉抜き部が開口している、軸流ファン。
【請求項6】
前記ケーシング部の内周面の前記吐出面側の少なくとも一部に段差部が設けられている、請求項5に記載の軸流ファン。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記送風方向に垂直な平面視において、複数の角部を含む多角形状を有し、
前記段差部および前記肉抜き部は、複数の前記角部の各々の近傍に設けられている、請求項6に記載の軸流ファン。
【請求項8】
前記肉抜き部と前記ケーシング部の内部開口との間に前記段差部が設けられていて、前記肉抜き部と前記内部開口が連結している、請求項2から4、6、7のいずれか一項に記載の軸流ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸流ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸流ファンにおいて、材料削減の観点や成形時の製品品質の観点からフレームに肉抜きを施すことが行われている。例えば、特許文献1には、フレームの吸込み面側に肉抜き部を設けた軸流ファンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-137871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、フレームに肉抜き部を設けることで、軸流ファンにおける風の流れに影響を及ぼす場合がある。このため、フレームの肉抜き部を設ける位置が重要になる。しかしながら、特許文献1の軸流ファンには、肉抜き部を設ける位置と風の流れとの関係については開示されていない。したがって、フレームの肉抜き部を設ける位置とファンの送風効率との関係については、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、送風効率を向上させることが可能な軸流ファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る軸流ファンは、
送風方向に風を送る軸流ファンであって、
径方向に延びる翼を有するインペラカップと、
前記インペラカップを回転させるモータと、
前記インペラカップおよび前記モータを収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記インペラカップの外周を覆うケーシング部と、
前記モータを支持するベース部と、
前記ベース部と前記ケーシング部を接続するスポーク部を有し、
前記ケーシング部は、
風を吸い込む吸込面と、
風を吐き出す吐出面を有し、
前記ケーシング部の内周面の前記吐出面側の少なくとも一部に段差部が設けられている。
【0007】
本発明の一側面に係る軸流ファンは、
送風方向に風を送る軸流ファンであって、
径方向に延びる翼を有するインペラカップと、
前記インペラカップを回転させるモータと、
前記インペラカップおよび前記モータを収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記インペラカップの外周を覆うケーシング部と、
前記モータを支持するベース部と、
前記ベース部と前記ケーシング部を接続するスポーク部を有し、
前記ケーシング部は、
風を吸い込む吸込面と、
風を吐き出す吐出面を有し、
前記ケーシング部の前記吐出面であって、前記スポーク部の長手方向の延長線上から外れた位置に、肉抜き部が開口している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、送風効率を向上させることが可能な軸流ファンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る軸流ファンの風吐出側の斜視図である。
図2図1に示す軸流ファンを風吸込側から見た斜視図である。
図3図1に示す軸流ファンのA-A線における断面図である。
図4】ケーシング部の段差部と肉抜き部とを示す部分拡大図である。
図5】軸流ファンにおける吐出口側の風の流れを模式的に示す斜視図である。
図6】軸流ファンにおける吐出口側の風の流れを模式的に示す断面図である。
図7】本発明の軸流ファンと比較例の軸流ファンにおける風量と静圧特性の関係、及び風量と消費電力の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る軸流ファンを風の吐出側から見た斜視図である。図2は、図1に示す軸流ファンを風の吸込側から見た斜視図である。図1及び図2に示すように、実施形態に係る軸流ファン1は、ハウジング2と、ハウジング2内に配置されるインペラカップ3と、インペラカップ3を回転駆動するモータ7と、を備える。インペラカップ3は、複数(本例では、7枚)の翼5を有する。モータ7は、インペラカップ3のカップ内に収容されている。
【0012】
ハウジング2は、全体の形状が多角形状(本例では、矩形状)に形成されている。ハウジング2は、インペラカップ3の外周を覆う円筒状のケーシング部21と、インペラカップ3に収容されたモータ7を支持するベース部9と、ベース部9とケーシング部21を接続するスポーク部10と、矩形を形成する角部11と、を有する。ハウジング2は、樹脂で構成されている。
【0013】
ケーシング部21は、風を吸い込む吸込口21a(図2の表側のケーシング部開口)と、吸い込んだ風を吐き出す吐出口21b(図1の表側のケーシング部開口)と、を有する。ケーシング部21は、吸込口21aと吐出口21bとに連通する通風路22を形成する。翼5の回転に伴って吸込口21aから吸い込まれた風は、通風路22に沿う方向(以下、送風方向Wという)に送られ、吐出口21bから外部に吐出される。また、ケーシング部21は、吸込口21aの外周部に設けられた吸込面23aと、吐出口21bの外周部に設けられた吐出面23bと、を有する。図1は、軸流ファン1をケーシング部21の吐出口21b側から見た斜視図である。図2は、軸流ファン1をケーシング部21の吸込口21a側から見た斜視図である。なお、図中に示す矢印Vの方向は、翼5の回転方向を示す。
【0014】
図3は、図1に示す軸流ファン1のA-A線における断面図である。図3に示すように、インペラカップ3のカップ30は、その中心部がモータ7の回転軸70に固定されている。以下の説明において、回転軸70に沿う方向を「軸方向」、回転軸70を中心とする半径方向を「径方向」という。
【0015】
回転軸70は、通風路22の中央部に通風路22(送風方向W)に沿うように設けられている。インペラカップ3は、カップ30の開口側を通風路22の吐出口21bの方向に向けて、通風路22に沿うように回転軸70に固定されている。カップ30の径方向における外側の外周側面31は、通風路22の吸入口21a側における内周面を形成する。カップ30の外周側面31は、送風方向Wと平行に延びるように形成されている。翼5を有するインペラカップ3は、通風路22内において、回転軸70と共に回転することにより、風を送風方向Wへと送る。
【0016】
複数の翼5は、カップ30の外周側面31から径方向へ延びるように設けられている。翼5はカップ30と一体的に設けられている。複数の翼5は、それぞれが回転軸70の方向に対して傾斜して設けられている。
【0017】
モータ7は、翼5を回転駆動させる装置としてインペラカップ3のカップ30内に収容されている。モータ7は、略カップ状のロータヨーク71と、ロータヨーク71の中心部に圧入された回転軸70と、コイル82が巻回されたステータコア81と、を有する。
【0018】
ロータヨーク71は、インペラカップ3のカップ30内に嵌入されており、回転軸70と共に回転する。ロータヨーク71の内側面には、マグネット72が取り付けられている。回転軸70は、軸受73に回転可能に支持されている。軸受73は、筒状の支持部74の内側面に固定されている。支持部74の外側面にはステータコア81が固定されている。ステータコア81の外側面は、ロータヨーク71のマグネット72の内側面と隙間を隔てて対向している。
【0019】
また、モータ7のステータコア81は、ベース部9に取り付けられている。ベース部9は、略カップ状に形成されている。ベース部9は、通風路22の吐出口21b側において、ベース部9の開口側をインペラカップ3のカップ30の開口側と対向させるように設けられている。ベース部9は、中心部がモータ7のステータコア81に取り付けられるとともに、支持部74の外側面に固定されている。ベース部9は、径方向における外側の外周側面91が通風路22の吐出口21b側における内周面を形成する。ベース部9は、通風路22の中央部において通風路22と同軸に設けられている。
【0020】
ベース部9とケーシング部21とを連結するスポーク部10は、ハウジング2の吐出口21b側に設けられている。スポーク部10は、ベース部9の周方向に略等間隔に複数本設けられている。ベース部9及びベース部9に取り付けられているモータ7は、複数のスポーク部10によってケーシング部21に支持されている。
【0021】
ケーシング部21は、内周面21cの吐出面23b側に段差部24を有する。段差部24は、内周面21cの周方向における一部に設けられている。また、ケーシング部21は、吐出面23bに肉抜き部25を有する。肉抜き部25は、送風方向Wと平行するように吐出面23bから吸込面23aの方向へ向けて形成されている。段差部24及び肉抜き部25については、さらに図4で後述する。
【0022】
ハウジング2の角部11における周縁には、電子機器などにハウジング2を固定するためのフランジ部26が設けられている。フランジ部26は、ケーシング部21の吸込面23a及び吐出面23bからハウジング2の径方向における外方へ向けて延設されている。フランジ部26には、ハウジング2を貫通するように固定孔27が形成されている。この固定孔27に例えばネジを挿入することより、軸流ファン1を電子機器などに取り付けることができる。
【0023】
図4は、ケーシング部21の段差部24と肉抜き部25とを示す部分拡大図である。図4に示すように、段差部24は、内周面21cを通風路22に沿うように吐出面23bから吸込面23aに向かって凹む形状で形成されている。本例の段差部24は、矩形状の凹みとなるように形成されている。段差部24は、例えば、図に示すようにケーシング部21の内周面21cにおける吐出面23b側の端部に吐出面23b方向に向かって拡径するテーパ部21dが設けられている場合には、通風路22に沿ったテーパ部21dの長さと同じ長さ(深さ)の段差であることが好ましい。
【0024】
肉抜き部25は、吐出面23bの一部に形成されている。吐出面23bは、吐出口21bの外周部に設けられているが、ハウジング2の角部11に設けられている領域の面積が、例えばハウジング2の側部に設けられている領域の面積よりも広い。肉抜き部25は、ハウジング2の角部11に設けられている吐出面23bに、通風路22の中心部(回転軸70)に向かって延びるように形成されている。肉抜き部25は、吐出面23bに垂直な平面視において、例えば矩形状に開口されている。
【0025】
段差部24及び肉抜き部25は、角部11の近傍に設けられている。また、段差部24及び肉抜き部25は、スポーク部10の長手方向の延長線上から外れた位置に設けられている。すなわち、スポーク部10の径方向における外側の端部がケーシング部21に接続される位置は、ケーシング部21の段差部24及び肉抜き部25が形成されている位置と相違するように形成されている。各スポーク部10は、段差部24及び肉抜き部25が形成されている位置から周方向に離間した位置に接続されている。
【0026】
段差部24は、肉抜き部25と、ケーシング部21の内部開口である通風路22と、の間に設けられている。肉抜き部25は、段差部24を介してケーシング部21の通風路22と連結されている。すなわち、通風路22の中心部に向かうように形成されている肉抜き部25の径方向における内側端は、ケーシング部21の内周面21cに形成された段差部24に接続されており、ケーシング部21の通風路22と連結されている。なお、段差部24及び肉抜き部25は、各角部11の吐出面23bにそれぞれ設けられている。
【0027】
図5は、軸流ファン1における吐出口21b側の風の流れを模式的に示す斜視図である。図6は、軸流ファン1における吐出口21b側の風の流れを模式的に示す断面図である。図5に示すように、ケーシング部21に段差部24及び肉抜き部25を設けることにより、段差部24及び肉抜き部25における風の流れを例えば矢印Bで示すように渦状の流れにすることが可能である。これにより、段差部24及び肉抜き部25の外側を流れる風に対する抵抗、例えば、矢印Cで示すような風の流れに対する抵抗を減少させることができ、吐出口21b側の風の流れをスムーズな流れにすることが可能である。
【0028】
また、図6に示すように、ケーシング部21に段差部24及び肉抜き部25を設けることにより、段差部24及び肉抜き部25における風の流れを例えば矢印Dで示すように不均一な流れにすることが可能である。これにより、ケーシング部21の内周面21c付近を流れる風を例えば矢印Eで示すように段差部24へ向かうように導くことができ、吐出口21b側におけるハウジング外部へ流れる風をスムーズな流れにすることが可能である。
【0029】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る軸流ファン1は、ケーシング部21の内周面21cの吐出面23b側の少なくとも一部に段差部24が設けられている。この構成によれば、段差部24により風の渦流が形成されてケーシング部21の内周面21cの付近を流れる風の抵抗を減少させることができる。これにより、軸流ファン1の送風効率を向上させることができる。
【0030】
また、軸流ファン1は、ケーシング部21の吐出面23bにおける、スポーク部10の長手方向の延長線上から外れた位置に、肉抜き部25が設けられている。この構成によれば、ケーシング部21の内周面21cの付近を流れる風が流れ込む空間が肉抜き部25によって形成される。これにより、内周面21cの付近を流れる風の抵抗を減少させることができ、軸流ファン1の送風効率を向上させることができる。また、肉抜き部25をスポーク部10の長手方向の延長線上から外れた位置に設けることで、製造時におけるハウジング2の肉抜きを容易に行うことができる。
【0031】
また、軸流ファン1は、肉抜き部25とケーシング部21の通風路22との間に段差部24が設けられていて、肉抜き部25と通風路22が段差部24により連結されている。このように、肉抜き部25と通風路22との間に段差部24を設けることで、ケーシング部21の内周面21cの付近を流れる風が肉抜き部25に流れ込みやすくなる。これにより、内周面21cの付近を流れる風の抵抗を減少させることができ、軸流ファン1の送風効率を向上させることができる。また、肉抜き部25とケーシング部21の通風路22との間の厚みを薄くすることが可能となり、さらに風が肉抜き部25に流れ込みやすくなる。
【0032】
また、軸流ファン1は、送風方向Wに沿った平面視において、ハウジング2が複数の角部11を有する多角形状に形成されており、段差部24及び肉抜き部25が複数の角部11の各々の近傍に設けられている。このように、段差部24及び肉抜き部25を角部11の近傍に設けることで、角部11に存在するデッドスペース(吐出面23b)を活用し、軸流ファン1の大型化を防止することができる。
【0033】
次に、本発明の軸流ファン1における送風効率の向上を確認するために行った試験の結果について説明する。図7は、本発明の軸流ファン1と比較例の軸流ファンにおける風量と静圧特性の関係、及び風量と消費電力の関係を示すグラフである。なお、比較例の軸流ファンは、本発明の軸流ファン1における段差部24と肉抜き部25を設けていない構成の軸流ファンを使用した。
【0034】
図7に示すように、風量-静圧特性を比較すると、軸流ファンの動作領域における本発明の軸流ファン1の性能、例えば、風量2.0~3.8[m/min]における本発明の軸流ファン1の性能を、比較例の軸流ファンの性能よりも上昇させることができる。また、風量-消費電力を比較すると、本発明の軸流ファン1の消費電力を、比較例の軸流ファンの消費電力よりも約5%低減することができる。なお、各軸流ファンの回転速度は3050rpmとして試験を行った。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0036】
上述した実施形態においては、ハウジング2の角部11に段差部24及び肉抜き部25が単数設けられている場合を説明したが、これに限らない。例えば、段差部24及び肉抜き部25はハウジング2の角部11に複数設けられていてもよい。
【0037】
また、上述した実施形態においては、段差部24が内周面21cを通風路22に沿う矩形状の凹みとなる例を説明したが、これに限らない。例えば、段差部24の形状は、半円状、長円状等であってもよい。さらに、肉抜き部25が吐出面23bに垂直な平面視において矩形状に形成されている例を説明したが、これに限らない。例えば、肉抜き部25の形状は、円状、長円状等であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 軸流ファン
2 ハウジング
3 インペラカップ
5 翼
7 モータ
9 ベース部
10 スポーク部
11 角部
21 ケーシング部
21a 吸込口
21b 吐出口
21c 内周面
21d テーパ部
22 通風路
23a 吸込面
23b 吐出面
24 段差部
25 肉抜き部
26 フランジ部
27 固定孔
30 カップ
W 送風方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7