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特開2024-2965データ完全性をチェックするための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002965
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】データ完全性をチェックするための方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/00 20060101AFI20231228BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20231228BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20231228BHJP
【FI】
H04L1/00 A
H04L9/32 200A
H04L9/32 200E
G06F21/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023102376
(22)【出願日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10 2022 206 380.5
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・シュピツィヒ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・フェダー
【テーマコード(参考)】
5K014
【Fターム(参考)】
5K014GA03
(57)【要約】
【課題】データ完全性をチェックするための方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、車両(1)でのデータ(210)の伝送(130)時にデータ完全性をチェックするための方法(100)であって、車両(1)でデータ(210)を決定するステップ(101)と、決定されたデータ(210)の伝送(130)のための準備(110)を実行するステップであり、少なくとも1つの人工的に生成されて再現可能な置換成分(230)が、置換情報(231)によって、データ(210)のデータ成分(220)への近似として定義される、ステップと、データ(210)の伝送(130)を実行するステップと、置換情報(231)に基づいて、伝送されたデータ(210)でのデータ完全性のチェックを実行するステップと、が自動的に実行される、方法(100)に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)でのデータ(210)の伝送(130)時にデータ完全性をチェックするための方法(100)であって、
前記車両(1)で前記データ(210)を決定するステップ(101)と、
前記決定されたデータ(210)の前記伝送(130)のための準備(110)を実行するステップであり、少なくとも1つの人工的に生成されて再現可能な置換成分(230)が、置換情報(231)によって、前記データ(210)のデータ成分(220)への近似として定義される、ステップと、
前記データ(210)の前記伝送(130)を実行するステップと、
前記置換情報(231)に基づいて、前記伝送されたデータ(210)での前記データ完全性の前記チェックを実行するステップと、
が自動的に実行される、方法(100)。
【請求項2】
前記準備(110)が実行されて、データ圧縮(120)のために前記データ(210)を準備し、このために前記データ(210)の前記データ成分(220)が除去され、前記伝送(130)の前に、
前記準備されたデータ(210)の前記データ圧縮(120)を実行するステップ
が実行され、
前記伝送されるデータ(210)が、前記データ圧縮(120)によって圧縮された前記データ(210)であり、前記圧縮されたデータ(210)の前記伝送(130)時に、前記除去されたデータ成分(220)の代わりに前記置換情報(231)が伝送される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記データ成分(220)が、前記データ(210)のノイズ成分(220)であり、前記置換成分(230)が、人工的に生成されたノイズ(230)、特に疑似ノイズ(230)であり、前記置換情報(231)、特に乱数発生器(20)のためのシード鍵が特定されることによって前記置換成分(230)が定義され、前記置換成分(230)が、前記置換情報(231)に基づいて、前記伝送(130)の後にビット同一に再現される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記データ圧縮(120)によって圧縮された前記データ(210)が、前記伝送(130)の後にビット同一に再現され、前記データ圧縮(120)が、このために可逆データ圧縮(120)の形で実行される
ことを特徴とする請求項3に記載の方法(100)。
【請求項5】
画像データ(210)の形での前記データ(210)が、前記車両(1)の少なくとも1つのイメージセンサ(10)によって決定され、前記置換情報(231)および/または前記置換成分(230)が、前記準備(110)のために、前記少なくとも1つのイメージセンサ(10)のノイズ特性が決定されること、および/または前記決定された画像データ(210)のノイズ評価が行われることによって決定され、前記置換成分(230)を疑似ノイズの形で前記データ成分(220)への近似として定義する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記準備(110)の前記実行が、
前記置換成分(230)によって前記データ成分(220)を置換する、および/または前記置換成分(230)を前記伝送されるデータ(210)に追加するステップ
を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記データ(210)の前記決定(101)および/または前記準備(110)の前記実行が、
定義されたチェック情報(232)を生成するステップと、
特に前記データ(210)の少なくとも1つまたは複数の定義されたピクセルを置換することによって、前記データ(210)に前記チェック情報(232)を追加するステップと、
を含み、
前記データ完全性の前記チェックの前記実行が、
前記置換情報(231)に基づいて前記置換成分(230)を再現するステップと、
前記再現された置換成分(230)を伴う前記データ(210)を処理するステップと、
前記処理されたデータ(210)内の前記チェック情報(232)の変更をチェックするステップと、
を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記準備(110)の前記実行が、
前記データ(210)に少なくとも1つの透かし(250)を導入するステップであって、前記伝送時に前記透かし(250)も伝送される、ステップと、
少なくとも1つのメタデータ情報(440)を前記データ(210)に導入するステップであって、前記伝送時に前記メタデータ情報(440)も伝送される、ステップと、
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記準備(110)の前記実行が、
少なくとも1つの追加情報(260)を前記データ(210)に導入するステップであって、前記伝送時に前記追加情報(260)も伝送される、ステップ
を含み、
前記追加情報(260)が、チェック情報(232)として参照マーカ(480)を含み、前記参照マーカ(480)が、前記データ完全性の前記チェックの前記実行時に前記置換情報(231)に基づいて処理され、前記伝送(130)時の改竄および/またはエラーを検出する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項10】
コンピュータによるコンピュータプログラム(40)の実施時に、前記コンピュータに、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)を実施させる命令を含む、コンピュータプログラム(40)。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)を実施するように設定されているデータ処理装置(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ完全性をチェックするための方法に関する。さらに、本発明は、この目的のためのコンピュータプログラムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、データ完全性を保証するための様々な方法が知られている。チェックサム計算(例えばCRC)がよく使用されている。受信側でこの値を再計算し、一緒に伝送されたチェックサムと比較することによって、データ伝送時のエラーを検出することができる。
【0003】
しかし、ビデオデータなど比較的大きいデータの伝送時、大きいデータ量により、そのようなチェックサム計算は、多大な処理能力を必要とし、さらなるエネルギー消費量をもたらす。
【0004】
本発明の主題は、請求項1に記載の特徴を備える方法、請求項10に記載の特徴を備えるコンピュータプログラム、および請求項11に記載の特徴を備える装置である。本発明のさらなる特徴および詳細は、それぞれの従属請求項、本明細書、および図面から明らかになる。ここで、本発明による方法に関連して述べる特徴および詳細は、当然、本発明によるコンピュータプログラムおよび本発明による装置に関連しても適用され、またそれぞれその逆も成り立ち、したがって、本発明の個々の態様への開示に関して常に交互に参照が成される、または成され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本方法は、データの伝送時に、好ましくは車両内でデータ完全性をチェックするのに役立つ。ここで、データ完全性とは、特にエラーのない完全なデータの状態を指し、特に改竄またはエラーがない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特に、以下のステップ:
-例えば車両のセンサ、好ましくは電子イメージセンサからのセンサデータとしてデータを受信することによって、車両でデータを決定するステップと、
-決定されたデータの伝送のための準備を実行するステップであり、少なくとも1つまたは正確に1つの人工的に生成されて再現可能な置換成分が、置換情報によって、好ましくはデータのデータ成分への近似として定義される、ならびに/または置換成分が生成され、および/もしくはデータに追加されるステップと、
-特に置換情報および/または置換成分を伴うデータの伝送を実行するステップであり、好ましくは分散ゾーン制御装置からおよび/またはセンサから車両の中央制御装置に伝送が行われる、ステップと、
-置換情報に基づいて、伝送されたデータでのデータ完全性のチェックを実行するステップであり、好ましくは中央制御装置によって実行される、ステップと
が自動的に、好ましくは指定された順序で順次に、および/または繰り返し実行されることが企図される。
【0007】
このようにして、データ完全性をチェックするために置換情報を使用することによって、データの伝送時のエラーを検出することが可能である。置換情報は、元の決定されたデータに依存するので、置換情報に基づいて、伝送後のデータの破損があるかどうかについて結論を引き出すことができる。例えば、置換情報は、データを決定するためにセンサのノイズ特性を測定することによって決定されたシード鍵である。この具体的な場合には、シード鍵によって、決定されたデータに実際に存在するノイズに非常によく似た疑似ノイズを生成することができる。さらに、疑似ノイズは、実際のノイズとは異なり、置換情報に基づいてビット同一に再現可能である。次いで、場合により、伝送されるデータに疑似ノイズを追加する、すなわち印加することができる。これは、再現可能な疑似ノイズの注入とも呼ぶことができる。伝送時にデータの変更が生じた場合、これは、置換情報に基づいて疑似ノイズを生成し、生成された疑似ノイズを伝送されたデータから除去することによって、例えば少なくとも1つの追加ビットなどデータに事前に追加することができるチェック情報に基づいて、受信側で認識することができる。エラーのない伝送の場合、疑似ノイズは正しく除去され得るはずであり、そうでない場合、伝送時のエラーまたは改竄が検出される。したがって、それに対応して、伝送されるデータの変化が認識可能かどうかをチェックすることができる。
【0008】
準備が実行されて、データ圧縮のためにデータを準備することも本発明の範囲内で企図され得る。このために、データのデータ成分を除去することができ、したがって、結果としてデータの非可逆圧縮と言うことができる。伝送前に、準備されたデータのデータ圧縮の実行を行うことができ、このとき、伝送されるデータは、データ圧縮によって圧縮されたデータである。さらに、圧縮されたデータの伝送時に、除去されたデータ成分の代わりに置換情報を伝送することもできる。このようにして、本発明による方法は、データ完全性のチェック時にデータ圧縮との相乗効果が利用されるという利点を有することができる。データ完全性を保証するための従来型の方法、例えばCRC(巡回冗長検査)などのチェックサム計算は、ビデオ伝送時などにおける高いデータレートでかなりの処理能力を必要とする。データ圧縮との相乗効果により、大幅に少ない処理能力でこれを実現することができる。ここで、利点は、圧縮によってデータ量を削減することによってだけでなく、一方としての、データ圧縮時のデータ処理ステップと、他方としての、伝送のための準備および/またはデータ完全性チェックの実行時のデータ処理ステップとの組合せによっても達成することができる。さらに、伝送されるデータへの疑似ノイズの追加は、データ圧縮の過程で生じるので、本発明の範囲内で述べるようにデータ完全性のチェックのために疑似ノイズが使用されるとき、データ完全性のチェックとの相乗効果を提供することができる。
【0009】
さらに、本発明の範囲内で、特に第1のデータ成分とも呼ばれるデータ成分は、データのノイズ成分であり、置換成分は、人工的に生成されたノイズ、特に疑似ノイズであることが企図され得る。場合により、置換情報、特に乱数発生器のためのシード鍵が特定されることによって、置換成分が定義され得る。このようにして、伝送後に、置換情報に基づいて置換成分がビット同一に再現され得る。ビット同一再現に関して、例えば、発生器、特に乱数発生器からの置換情報を使用して、2次元行列の形で置換成分を生成する。シード鍵は、例えば、(実際の)イメージセンサのノイズ特性の測定によって決定されてもよい。したがって、この疑似ノイズの統計は、場合により、イメージセンサで実際に発生するノイズの統計に対応するが、ビット同一に再現可能である。
【0010】
伝送後に置換情報に基づいて置換成分をビット同一に再現することができるだけでなく、データ圧縮によって圧縮されたデータが伝送後にビット同一に再現されることも企図され得る。このために、データ圧縮は可逆データ圧縮の形で実施されていてもよい。しかし、準備と組み合わせて、ここで第1のデータ成分が除去され、データの残りの成分にのみ可逆データ圧縮が適用されるので、データの非可逆データ圧縮が生じ得る。「ビット同一」とは、特に、データの各ビットを同一に、したがって可逆に復元することができることを意味する。
【0011】
任意選択で、画像データの形でのデータが、車両の少なくとも1つのイメージセンサによって決定され、置換情報および/または置換成分が、準備のために、少なくとも1つのイメージセンサのノイズ特性が決定されること、および/または決定された画像データのノイズ評価が行われることによって決定され、置換成分を疑似ノイズの形でデータ成分への近似として定義することが企図され得る。これにより、疑似ノイズはイメージセンサの統計に対応し、したがって画像情報を劣化させないので、疑似ノイズの追加を可能にすることができる。
【0012】
データ完全性のチェックのために、決定または準備は、チェック情報の追加を含むことができ、伝送後に置換情報に基づいてチェック情報をチェックすることができる。この追加は、例えば、データ成分の決定および/もしくは除去、ならびに/または置換情報および/もしくは置換成分の追加、ならびに/またはデータ圧縮の前に、またはそれと同時に行うことができ、ここで必要な処理能力をまとめる。それに対応して、準備時に、チェック情報をデータに追加することができ、また、データのデータ成分を除去すること、および/または人工的に生成された再現可能な置換成分を、置換情報によって、除去されたデータ成分への近似として定義すること、ならびに/または置換情報および/もしくは置換成分をデータに追加することもできる。決定時にチェック情報を追加することも可能であり、すなわち、例えばイメージセンサで画像データを記録し、追加ビットと組み合わせることも可能である。チェック情報は、例えば、データ、好ましくは画像データの既知の位置で「0」などの事前定義された値を有する追加ビット、好ましくはピクセルを含むことができる。データへのチェック情報の追加後に置換成分、例えば疑似ノイズの追加を行い、それによりチェック情報を変更することも可能である。伝送後に疑似ノイズが再び生成され、データから差し引かれるとき、それによりチェック情報が同一に復元された場合、エラーのない伝送を検出することができる。代替または追加として、チェック情報もしくは追加ビットのチェックサム、および/または置換成分の追加後に置換成分によって変更されたチェック情報もしくは追加ビットのチェックサムが既知であり、エラーのない伝送を検出するために伝送後に評価されることも可能である。
【0013】
言い換えると、本発明による方法では、圧縮方法に品質指標が埋め込まれることによってデータの品質の保証を可能にすることができる。特に、使用されるセンサのノイズに統計的に対応し、しかしシード鍵によってビット同一に再現することができる疑似ノイズの使用により、時間のかかるチェックサム計算を大幅に簡略化する、またはなくすことができる。したがって、より少ない計算量、したがってエネルギー消費量で、データの伝送をエラーから保護することが可能である。さらに、再現可能な疑似ノイズの使用により、特定のビットに関するチェックサムがどのような値を有するかを受信側が事前に知っておくことができるという利点も得られる。したがって、値を静的に事前計算することができ、したがって計算量がさらに減少する。したがって、疑似ノイズの追加、特に加算と共に働く非可逆圧縮方法との可能な組合せにより、有利な相乗効果が生じる。
【0014】
置換成分は、データのデータ成分への近似であり得る。データ成分および置換成分はそれぞれ、場合によっては各ピクセルの成分を表す画像記録の成分として理解することができる。例えば、データ成分はノイズ成分である。任意選択で、次いで、データ成分をデータから除去することができる。例えば、一方ではデータ成分の後続の除去時のデータ圧縮のために、他方ではデータ完全性のチェックのために、同じデータに対して複数の置換成分が定義されることも企図され得て、このために置換成分がデータに追加される。ここで、本発明の範囲内で、置換成分への言及は、定義された置換成分の1つを個別に示すか、または同じデータに対して定義されたすべての置換成分を示す。
【0015】
さらに、上記のデータ圧縮により、伝送に使用されるデータ接続がより低帯域幅の接続にすぎないとしても、より多くの関連データを伝送することができるという利点がある。ここで、データは、多くの従来の方法において可能なよりもはるかに強く圧縮することができる。同時に、第1のデータ成分が除去されるだけでなく、除去されたデータ成分への近似として置換成分がさらに準備されるので、データの破損を回避することができる。
【0016】
少なくとも1つの置換成分は、人工的に生成されることがある、および/または再現可能であり得る。これは、置換成分が、除去されたデータ成分の修正または変更から得られるのではなく、除去されたデータ成分の知識がなくても、置換情報に基づいて完全に人工的に生成することができることを意味する。このために、例えば乱数発生器などの発生器が使用され、これは、置換情報、例えばシードに基づいて、置換成分を例えば乱数の行列またはベクトルとして生成することができる。これは、データ圧縮に関して、置換成分自体を伝送する必要はなく、置換情報のみを伝送すればよいという利点を有する。例えばデータ完全性のチェックのために置換成分が伝送される場合、これには、伝送される置換成分に基づいて伝送エラーを確定することができるという利点がある。このために、伝送される置換成分を、例えば受信側で再び生成された置換成分と比較することができる。置換情報は、シード鍵などの鍵のみでよく、したがって、置換成分および除去されたデータ成分に比べて大幅に小さい、数ビットのデータサイズを有する。例えば、置換情報は、置換成分および/または除去されたデータ成分のデータサイズの最大で1%を有する。
【0017】
データは、好ましくは画像記録、例えばビデオデータとして実現することができ、したがって一連の画像データを含むことができる。データ圧縮は、データの伝送すべきデータ量を削減することができるという利点を有する。第1のデータ成分は、あらかじめ定められた、特に統計的な基準に従って特徴付けられて選択することができるデータの特定の成分であり得る。第1のデータ成分が除去されると、準備されたデータは、除去後に残ったデータ成分のみを含むことができる(本発明の文脈では、除去されたデータ成分は第1のデータ成分とも呼ばれ、残りの成分は第2のデータ成分とも呼ばれる)。残りの成分は、車両の環境の記録などの関連情報コンテンツを含むことができる。一方、除去されたデータ成分は、より小さく、主としてランダムな情報コンテンツを含むことができ、例えばノイズとして、統計的に分散されたエネルギーのみを表すことができる。
【0018】
後でデータ完全性をチェックするためにデータの置換成分の定義および/または追加を行うことに加えて、データ圧縮の改良を実現するために第1のデータ成分を除去することも可能である。したがって、第1のデータ成分、特にノイズ成分の除去によって、従来の方法の場合よりもはるかに強くデータを圧縮させることができると考えられる。除去された第1のデータ成分は、よりランダムで統計的に分散された情報コンテンツを含むことがあるので、圧縮は非効率的にしか可能でない。その代わり、除去されたデータ成分の主としてランダムなコンテンツにより、これを統計的に近似することができ、したがって人工的に生成された置換成分による置換が可能になる。一方、除去後に残ったデータ成分は、主として非ランダムな情報コンテンツであるので統計的に模倣することができないが、それにもかかわらず、広範な冗長情報により、より良く圧縮することができる。換言すると、決定されたデータは、ランダムな第1のデータ成分、特にノイズと、高い割合の冗長情報を有する第2のデータ成分とからなり得る。データが画像データとして実現されるとき、第1のデータ成分は、画像の(重畳された)ノイズ成分でよく、第2のデータ成分は、ノイズが差し引かれた後の画像の残りの成分でよい。これは、画像の各ピクセルに関しても当てはまり、ピクセルは、第1のデータ成分(ランダム、ノイズ)および第2のデータ成分(冗長)からなり得る。特に可逆のデータ圧縮は、第2の(冗長)データ成分に適用することができる。一方、第1のデータ成分は、特にノイズモデルに基づいて、上記置換成分または置換成分の1つによって置換することができる。
【0019】
好ましくは、本発明の範囲内で、準備の実行は、
-上記置換成分もしくは置換成分の少なくとも1つによってデータ成分を置換する、および/または上記置換成分もしくは少なくとも1つのさらなる置換成分を伝送されるデータに追加するステップ
を含む。
【0020】
また、任意選択で、データの決定および/または準備の実行は、
-定義されたチェック情報、特に参照ビットおよび/または参照マーカを生成するステップと、
-特にデータの少なくとも1つまたは複数の定義されたピクセルを置換することによって、データにチェック情報を追加するステップであって、好ましくは、次いで、上記置換成分または置換成分の少なくとも1つがデータに追加され、好ましくは加算される、ステップと、
を含むことも考えられる。
【0021】
これにより、例えば、そのコンテンツが事前にわかっている少なくとも1つの共に伝送される追加ビットの形式でチェック情報の利用が可能であり、特に、疑似ノイズの除去後に伝送エラーを認識する。さらに、伝送エラーに加えて、本発明による方法によって、伝送時の望ましくない意図的な変更を検出することもできる。さらに、このために、データ完全性のチェックの実行は、
-置換情報に基づいて置換成分を再現するステップと、
-特に、好ましくはチェック情報においてのみデータから置換成分を差し引くことを含め、再現された置換成分を伴うデータを処理するステップと、
-処理されたデータ内のチェック情報の変更をチェックするステップと
を含むことができる。
【0022】
さらに、準備の実行が、
-データに少なくとも1つの透かしを導入するステップであって、伝送時に透かしも伝送される、ステップと、
-少なくとも1つのメタデータ情報をデータに導入するステップであって、伝送時にメタデータ情報も伝送される、ステップと
のうちの少なくとも1つを含むと有利である。
【0023】
データへの透かしの導入は、データの出所を追跡することができるという利点を有することができる。さらに、データに疑似ノイズが印加されている限り、疑似ノイズにより、透かしが直接見えないことがある。データへのメタデータの導入は、さらなる処理ステップ(例えば、画像内で見ることができる注釈)またはデータを、特定の用途に関して無効である(例えば、アルゴリズムの訓練には使用可能であるが、アルゴリズムの妥当性検査には使用可能でない)ものとしてマークすることができるという利点を有することができる。
【0024】
さらに、準備の実行は、
-少なくとも1つの追加情報をデータに導入するステップであって、伝送時に追加情報も伝送される、ステップ
を含むことも考えられる。
【0025】
1つの可能性によれば、追加情報は、チェック情報として参照マーカまたは参照ビットを含むことができる。これは、データ完全性のチェックの実行時に置換情報に基づいて処理されてもよく、伝送時の改竄および/またはエラーを検出する。追加情報は、さらに、例えば、同じ車両で同時に捕捉されたデータへの割り当てを容易にする追加データ(例えば、車両登録番号および/またはタイムスタンプに関する情報)を含むことができる。また、追加情報により、伝送されるデータにフィールドデータを導入することも可能である。これは、例えばイメージセンサの温度またはイメージセンサの使用年数でよい。さらに、追加情報として連続カウンタを導入することもでき、例えば、イメージセンサなどのデータソースでの伝送ギャップまたは障害を検出する。
【0026】
同様に、本発明の主題は、コンピュータによるコンピュータプログラムの実行時に、コンピュータに本発明による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム、特にコンピュータプログラム製品である。したがって、本発明によるコンピュータプログラムは、本発明による方法を参照して詳細に述べたのと同じ利点をもたらす。
【0027】
本発明のさらなる主題は、本発明による方法を実行するためのデータ処理装置である。したがって、例えば、コンピュータプログラムを実行するデータ処理装置をコンピュータとして提供することができる。コンピュータは、コンピュータプログラムを実行するための少なくとも1つのプロセッサを備えることができる。不揮発性データメモリを設けることもでき、そこにコンピュータプログラムを格納し、そこからコンピュータプログラムを、実行のためにプロセッサによって読み取ることができる。本発明による装置は、いくつかのプロセッサを備えることもでき、および/またはコンピュータシステムとして設計することもできる。例えば、本発明による装置は、車両の中央制御装置および/または車両の1つもしくは複数の分散ゾーン制御装置を含むことができる。本発明による装置は、任意選択で、車両電子機器全体を表すこともできる。
【0028】
本発明によるコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読記憶媒体も本発明の主題であり得る。記憶媒体は、例えば、ハードディスクおよび/または不揮発性メモリおよび/またはメモリカードなどのデータメモリとして構成される。記憶媒体は、例えばコンピュータに組み込むことができる。
【0029】
さらに、本発明による方法は、コンピュータ実装方法として実現することもできる。
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は以下の説明から明らかになり、図面を参照して本発明の例示的実施形態を詳細に述べる。ここで、特許請求の範囲および本明細書で言及される特徴はそれぞれ、個別にまたは任意の組合せで本発明の要点となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による方法を示すための概略図である。
図2】本発明による方法を示すためのさらなる詳細を含む概略図である。
図3】本発明による方法を示すためのさらなる例示的な詳細を含むさらなる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の図において、異なる例示的実施形態にあっても、同じ技術的特徴には同じ参照番号が使用される。
図1に、車両1でのデータ210の伝送130時にデータ完全性をチェックするための本発明による方法100が示されている。ここで、第1の方法ステップによれば、車両1でのデータ210の決定101が行われる。このために、データ210は、例えばイメージセンサ10によって捕捉され、その後、分散制御装置50、特に本発明による装置50に伝送される。次いで、さらなる方法ステップによれば、決定されたデータ210の伝送130のための準備110の実行が行われ、人工的に生成されて再現可能な置換成分230が、置換情報231によって、データ210のデータ成分220への近似として定義される。その後、データ210の伝送130の実行を行うことができる。伝送後、置換情報231に基づいて、伝送されたデータ210でのデータ完全性のチェックの実行が行われる。ここで、任意選択で準備110を実行することができ、データ圧縮120のためにデータ210を準備し、このためにデータ210のデータ成分220が除去される。
【0032】
図2には、定義されたチェック情報232を使用して、追加情報260に基づいてデータ完全性をチェックすることができることが示されている。ここで、データ210の決定101および/または準備110の実行は、特にデータ210の少なくとも1つまたは複数の定義されたピクセルを置換することによる、チェック情報232の生成およびデータ210への追加501を含むことができる。したがって、チェック情報232は、対応するピクセルを置換する少なくともそれぞれ1つの参照マーカ480および/または追加ビットを含むことができる。追加ビットは、例えば値0を有することができ、データ230の特定の位置に導入することができる。置換成分230の定義およびデータ210への追加502は、伝送前に行うことができる。伝送130の後、置換情報231に基づく置換成分230の再現503を提供することができる。続いて、再現された置換成分230を伴うデータ210の処理504を実行することができ、これは、特に、好ましくは追加ビットにおいてのみデータ210から置換成分230が差し引かれることによって行われる。次いで、データ完全性のチェックを実行するために、処理されたデータ210内のチェック情報232の変更があるかどうかについて確定505を行うことができる。これは、例えば、チェック情報232のチェックサムの評価によって可能である。
【0033】
任意選択で、伝送130の前に、少なくとも1つの透かし250および/またはメタデータ情報440をデータ210に導入することが可能である。さらに、データ210のデータ圧縮120および解凍150も、伝送130の前または後に行うことができる。
【0034】
図3に、データ210を提供するための本発明による方法100のステップがさらに詳細に示されている。例としてイメージセンサ10が示されており、イメージセンサ10は、定義された解像度、フレームレート、およびノイズ特性を有するチップを含むことができる。ここで、図3では、イメージセンサ10はまた、車両の複数のイメージセンサ10を代表している。そのようなイメージセンサ10によって決定されるデジタル画像は、通常、主としてセンサノイズに起因し得るエントロピーを高レベルで含む。このノイズの存在は、画像に自然な統計的特性を与える重要な態様である。このノイズの除去により、例えばさらなる処理170の枠組みで画像に適用される処理アルゴリズムが、このノイズをまだ含む画像の場合とは異なる結果を提供することがあり得る。したがって、データ210が破損されることになる。しかし、ノイズの存在は、可逆圧縮によって達成可能なデータ削減を大幅に制限する。
【0035】
以下では、置換成分230の使用によって、より高い圧縮率を達成することができ、同時に現実的なノイズプロファイルを維持し、コンテンツの破損を回避することができることをより詳細に説明する。
【0036】
イメージセンサ10は、車両1の一部でよく、車両1の環境3内または車両1自体で捕捉140を実行することができる。データ210は、捕捉140に基づいて決定することができ、例えばイメージセンサ10によって出力されるセンサデータ、例えばビデオデータでよい。捕捉140は、車両機能に関連するコンテンツ、特に車両1の環境3内の物体の記録を含むことができる。さらに、データ210の処理170によって、車両機能を実現することができる。
【0037】
第1の方法ステップによれば、車両1でのデータ210の決定101が行われる。ここで、データは、例えば捕捉140の後に一時記憶することができ、後の時点でデータ接続2の存在時にデータを伝送する。このために、場合により、データ接続2が利用可能であるかどうかを繰り返し検出し、次いで方法ステップを開始する。伝送130に関して、決定されたデータ210の準備110を実行することができ、データ210のデータ成分220が除去され、人工的に生成されて再現可能な置換成分230が、置換情報231によって、除去されたデータ成分220への近似として定義され、1つの特に可逆のデータ圧縮120のためのデータ210を提供する。ここで、データ成分220の除去後、データ210は、可逆データ圧縮120に特に適した残りの成分240を依然として含み得る。除去されたデータ成分220は、第1のデータ成分220と呼ばれることもあり、残りの成分240は、第2のデータ成分240と呼ばれることもある。
【0038】
準備110のステップは、発生器20によって少なくとも部分的に実行することができる。さらに、このステップにおいて、任意選択で、データ210へのさらなる情報、例えば追加情報260および/または透かし250の追加を行うことができる。次いで、準備されたデータ210のデータ圧縮120を実行することができ、データ圧縮120によって圧縮されたデータ211の伝送130を、データ接続2を介して開始および/または実行することができる。ここで、除去されたデータ成分220は伝送されず、データ成分220の代わりに、置換情報231が残りの成分240と共に伝送される。ここで、除去されたデータ成分220は、データ210のノイズ成分220でよく、置換成分230は、人工的に生成されたノイズ230、特に疑似ノイズ230でよい。
【0039】
置換成分230は、準備110時に、置換情報231、特に発生器20または乱数発生器20のためのシード鍵が特定されることによって定義することができる。次いで、置換情報231によって、特にデータ210の伝送130および解凍150後に置換成分230を生成し、それにより再現することができる。置換成分230の定義および/または発生160に関して、置換成分230が、発生器20の使用により疑似ノイズ230の形で生成されることも企図され得る。置換成分230のビット同一復元を可能にするために、発生器20は、特にターゲットノイズモデル(略してノイズモデルと呼ばれる)に依存して、定義された初期条件を有して構成され得る。初期条件は、置換情報231によって特定して伝送することができる。
【0040】
さらに、図3には、方法ステップを実行するための本発明によるコンピュータプログラム40および本発明によるデータ処理装置50が示されている。
データ成分220の除去は、例えばノイズリダクションによる、データ210、特に画像データ210からのノイズの大部分の除去を含むことができる。ここで、場合により、センサ固有のノイズ、固定パターンによるノイズ、または不均一な感光性などの補正を行うこともできる。このステップの後、準備されたデータ210が取得され、これは、ノイズ低減データ210と呼ぶこともできる。
【0041】
任意選択で、生成された疑似ノイズ230を、後の時点でノイズ低減データ210、特に画像データ210に追加することができ、結果として生じる疑似ノイズ画像が所望のノイズモデルを良く模倣するようになる。所望のノイズモデルは、それぞれのイメージセンサ10を模倣するのに適したものにすることができる。
【0042】
準備されたデータ210は、可逆圧縮して伝送することができる。ここで、データ210は、データコンテンツに加えて、少なくとも1つの対応するパラメータ(すなわち、特に置換情報231またはシード鍵)を有するノイズモデル、ならびに好ましくはメタデータおよび/またはさらなる追加情報260を任意選択で含むことができる。少なくとも1つのパラメータは、例えばステガノグラフィ鍵を使用して、データ210自体、またはさらなるデータ、もしくは別個のファイルに格納することができる。好ましくはJPEG2000標準で定義されたまたはユーザ定義の可逆コーデックを用いて、例えば5~10倍の可逆圧縮を行うことができる。例として、可逆JPEG圧縮もしくはPNG圧縮、またはZIP圧縮がある。疑似ノイズの少なくとも1つのパラメータは、任意選択で圧縮データ210と共に記憶することができる。解凍150は、まず同じ可逆コーデックでデータ210を解凍し、次いで少なくとも1つのパラメータに基づいて疑似ノイズを生成してデータ210に追加することによって行うことができる。
【0043】
本発明による方法ステップの例示的な変形形態を以下でより詳細に述べる。ここで、決定されたデータ210は、それぞれの値xを有する複数のピクセルiを備える画像データ210として実現することができる。ここで、各ピクセルiは、第1のデータ成分220、すなわちノイズ成分220と、一部冗長な情報を有する残りの第2のデータ成分240とを有することができる。これは、2つのデータ成分220、240を重ね合わせることができることを意味する。データ210の準備110の枠組みでの第1のデータ成分220の除去は、例えばノイズ低減によって行うことができる。ノイズ低減には、従来のノイズリダクション技法を使用することができる。このために、通常、ノイズモデルが利用される。その後、準備されたデータ210は、残りの成分240、したがってノイズ低減データ210のみを含むことができる。例えば、ポアソンガウスモデルをノイズモデルとして使用することができ、値xを有するピクセルiの推定標準偏差σiは、
【0044】
【数1】
【0045】
によって与えられる。ここで、このモデルに関するノイズパラメータはaである。これらは、特にイメージセンサ10での信号増幅と相関する。イメージセンサ10のブラックレベルは、xによって与えることができる。さらに、bは、イメージセンサ10の読み出しノイズに関連するパラメータを表すことができる。このノイズモデルは、好ましくは、生のCCDおよびCMOS画像データに適しているが、ピクセル値に依存しない標準偏差σをノイズが有すると想定される単純化されたモデルを使用することもできる。この場合、整数値を有する画像データ210に関するピクセルi当たりのノイズビット数は、
【0046】
【数2】
【0047】
として計算することができる。この数値は、例えば6~8ビットになり得る。次いで、ノイズリダクション技法によって、ピクセルiのそれぞれの値xに関して、ノイズ低減値yを決定することができる。例えば、ピクセルiごとに疑似乱数Rを生成するために、シードSを有する疑似乱数発生器20がこのために使用され、ここでSは整数であり得る。ノイズ低減データ210のノイズ低減ピクセル値yは、例えば以下の式によって計算することができる。
【0048】
【数3】
【0049】
ノイズリダクション技法によるノイズ低減データ210の生成時、第1のデータ成分220が除去される。それに対応して、第1のデータ成分220は、元の決定されたデータ210と、準備されたノイズ低減データ210との差を表すことができる。ここで、第1のデータ成分220は、決定されたデータ210内の自然なノイズの最大成分を含むことができる。
【0050】
データ成分220の除去後、置換成分230を定義することができる。置換成分230は疑似ノイズ230でよく、これは、除去されたノイズにできるだけ近くすべきである。置換成分230は、置換情報231、この例ではシード鍵に基づいて生成することができる。このために、ターゲットノイズモデルを利用することができる。最も単純な場合には、シード鍵は、このターゲットノイズモデルに関して任意に事前定義され、本発明による方法に関して永続的に格納され得る。したがって、置換成分230の定義は、追加の計算ステップを必要としない。代替として、シード鍵は、例えば除去されたデータ成分220でのノイズ評価のための最適化方法を使用して、除去されたデータ成分220に基づいて計算することもできる。次いで、置換成分230が除去されたデータ成分220にできるだけ近くなるようなシード鍵を特定することができる。さらに、シード鍵は、イメージセンサ10のノイズ特性にも基づいて、そこから生成される置換成分230が除去されたデータ成分220にできるだけ近くなるように定義することができる。このために、場合により、シード鍵を経験的に、またはモデルに基づいて決定することもできる。
【0051】
その後、残りの成分240を圧縮することができ、特に可逆圧縮することができ、置換情報23を、圧縮された残りの成分240と共に受信側30に伝送することができる。
伝送130後、解凍されたデータ212を取得するために、まず、残りの成分240の解凍150を行うことができる。その後、伝送された置換情報231に基づいて、例えばピクセル値zの以下の計算によって、疑似ノイズ230を残りの成分240に再度印加することができる。
【0052】
【数4】
【0053】
ここで、ノイズモデルおよびそのパラメータが使用され、ノイズモデルは、変換の関数形式であり、パラメータは、σおよびqに関する正確な値である。疑似乱数Rは発生器20によって計算することができ、発生器20はここで、乱数発生のために、伝送された置換情報231を受信する。このようにして得られたピクセル値zを有するデータ210は、元の決定されたデータ210に非常に近くなり、その後、さらなる処理170のためにさらなるデバイス60に伝送することができる。
【0054】
実施形態の上記の説明は、本発明を例示の文脈でのみ述べている。当然、技術的に意味のある限り、本発明の範囲を逸脱することなく、実施形態の個々の特徴を自由に互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 車両
3 車両1の環境
10 イメージセンサ
20 乱数発生器、発生器
23 置換情報
40 コンピュータプログラム
50 データ処理装置、装置
60 デバイス
100 方法
101 決定
110 準備
120 データ圧縮
130 伝送
140 捕捉
150 解凍
160 置換成分230の発生
170 さらなる処理
210 データ
212 解凍されたデータ
220 データ成分、ノイズ成分
230 置換成分、人工的に生成されたノイズ、疑似ノイズ、データ
231 置換情報
232 チェック情報
240 残りの成分、第2のデータ成分
250 透かし
260 追加情報
440 メタデータ情報
480 参照マーカ
501 チェック情報232のデータ210への追加
502 置換成分230のデータ210への追加
503 置換情報231に基づく置換成分230の再現
504 データ210の処理
505 確定
図1
図2
図3
【外国語明細書】