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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029674
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】光学系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20240228BHJP
   G02B 15/20 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B15/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132056
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭介
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA01
2H087MA07
2H087MA09
2H087MA15
2H087MA17
2H087MA19
2H087NA14
2H087PA12
2H087PA13
2H087PA14
2H087PA16
2H087PA20
2H087PB15
2H087PB16
2H087PB17
2H087PB18
2H087QA02
2H087QA05
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA33
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA32
2H087RA36
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087SA57
2H087SA61
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SA72
2H087SB02
2H087SB12
2H087SB24
2H087SB33
2H087SB43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】撮影倍率0.5倍以上となる近接物体の撮影においても高い光学性能を有し、合焦群の小型化をすることで、高い光学性能と小型化の両立を実現することを提供する。
【解決手段】小型かつ光学性能の良好な光学系を提供するために、物体側から順に、前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群とからなり、後続群はN群を有し、合焦の際、少なくともP群及びN群が光軸に沿って移動し、以下の式を満たす光学系。
1.00<(1-βp)×βpr<6.00・・・(1)
1.40<n2pmax<1.85・・・(5)
但し、βp:無限遠合焦時におけるP群の横倍率
βpr:無限遠合焦時における後続群の横倍率
n2pmax:P群が有する正レンズのd線における屈折率の最大値
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群とからなり、
前記後続群はN群を有し、
合焦の際、少なくとも前記P群及び前記N群が光軸に沿って移動し、
以下の式を満たす光学系。
1.00 < (1-βp)× βpr < 6.00 ・・・(1)
1.40 < n2pmax < 1.85 ・・・(5)
但し、
βp:無限遠合焦時における前記P群の横倍率
βpr:無限遠合焦時における前記後続群の横倍率
n2pmax:前記P群が有する正レンズのd線における屈折率の最大値
【請求項2】
開口絞りは、前記後続群内に配置される請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
以下の式を満たす請求項1に記載の光学系。
-7.00 <(1-βn)×βnr< -1.00 ・・・(3)
但し、
βn:無限遠合焦時における前記N群の横倍率
βnr:無限遠合焦時における前記N群より像側のすべてのレンズの合成横倍率
【請求項4】
合焦の際に光軸に沿って移動する合焦群を、物体側から順に合焦群k(k=1,2,…)としたとき、以下の式を満たす請求項1に記載の光学系。
0.10<Σ|{(1-βk)×βkr}/(6×Fno)|<1.00
・・・(4)
但し、
βk:無限遠合焦時における前記合焦群k(k=1,2,…)の横倍率
βkr:無限遠合焦時における前記合焦群kより像側のすべてのレンズの合成横倍率
Fno:無限遠合焦時における当該光学系の開放Fナンバー
【請求項5】
以下の式を満たす請求項1に記載の光学系。
20.00 < v2pmin < 100.00 ・・・(6)
但し、
v2pmin:前記P群が有する前記正レンズのd線におけるアッベ数の最小値
【請求項6】
前記後続群は物体側から順にM群、前記N群を有し、以下の式を満たす請求項1に記載の光学系。
0.10 < fM/f < 20.00 ・・・(7)
但し、
fM:無限遠合焦時における前記M群の焦点距離
f:無限遠合焦時における当該光学系の焦点距離
【請求項7】
前記後続群は、物体側から順にM群、前記N群を有し、
前記M群は、凹レンズを有する請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の光学系と、当該光学系の像側に設けられた、当該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型かつ光学性能が良好な大口径光学系であり、フィルムカメラ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどの撮像光学系として好適な撮像光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやビデオカメラ等の固体撮像素子を用いた撮像装置において、固体撮像素子は近年高画素化が進んでいることにより、光学系は以前に比べ更なる高性能化が求められている。また、カメラの小型化に伴い、光学系にも小型化の要求が高まっている。
【0003】
このような状況下、例えば、特許文献1、2には、光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-034899号公報
【特許文献2】特開2021-148808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、いわゆるミラーレス一眼用中望遠マクロレンズである。合焦には、正の屈折力を有する第1合焦群と、負の屈折力を有する第2合焦群によるインナーフォーカス方式で行っている。ただし、このマクロレンズは、第1合焦群の硝材が適切でなく、フォーカス機構の大型化を招き、小型化と高い光学性能の両立が不十分である。
【0006】
特許文献2は、いわゆるミラーレス一眼用中望遠マクロレンズである。合焦には、正の屈折力を有する第1合焦群、又は正の屈折力を有する第1合焦群と第2合焦群とのインナーフォーカス方式で行っている。ただし、このマクロレンズは、第1合焦群のガタ倍率が適正値より小さく、移動量が大きいため、フォーカス機構の大型化を招き、小型化と高い光学性能の両立が不十分である。
【0007】
そこで、本件発明の課題は、撮影倍率0.5倍以上となる近接物体の撮影においても高い光学性能を有し、合焦群の小型化をすることで、高い光学性能と小型化の両立を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
物体側から順に、前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群とからなり、
前記後続群はN群を有し、
合焦の際、少なくとも前記P群及び前記N群が光軸に沿って移動し、
以下の式を満たす光学系。
1.00 < (1-βp)× βpr < 6.00 ・・・(1)
1.40 < n2pmax < 1.85 ・・・(5)
但し、
βp:無限遠合焦時における前記P群の横倍率
βpr:無限遠合焦時における前記後続群の横倍率
n2pmax:前記P群が有する正レンズのd線における屈折率の最大値
【0009】
また、上記課題を解決するために本件発明に係る撮像装置は、上記光学系と、当該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換にする撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本件発明によれば、撮影倍率0.5倍以上となる近接物体の撮影においても高い光学性能を有し、合焦群の小型化をすることで、高い光学性能と小型化の両立を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図2】実施例1の光学系の各撮影距離における合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図3】実施例2の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図4】実施例2の光学系の各撮影距離における合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図5】実施例3の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図6】実施例3の光学系の各撮影距離における合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図7】実施例4の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図8】実施例4の光学系の各撮影距離における合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図9】実施例5の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図10】実施例5の光学系の広角端、中間、望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図11】実施例5の光学系の広角端、中間、望遠端における近距離合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図12】実施例6の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図13】実施例6の光学系の各撮影距離における合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図14】本発明の一実施形態に係る撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件発明に係る光学系及び撮像装置の実施の形態を説明する。但し、以下に説明する光学系及び撮像装置は、本件発明に係る光学系及び撮像装置の一態様であって、本件発明に係る光学系及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0013】
1.光学系
1-1.光学構成
本件発明に係る光学系は物体側から像側へ順に、前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群とを有し構成される。
【0014】
(1)前群
前群は少なくとも1つのレンズ群を有する限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0015】
「レンズ群」とは、変倍及び合焦の少なくとも一方において間隔が変化しない1枚以上のレンズの集合を意味する。隣り合うレンズ群同士の間隔は、変倍及び合焦の少なくとも一方において変化する。レンズ群は、光軸に沿って移動可能に構成されていてもよいし、固定されていてもよい。なお、本願において、前群、後続群は1以上のレンズ群を含むまとまりの名称を意味している。
【0016】
(2)P群
P群は、全体で正の屈折力を有する合焦群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。収差補正の観点から、P群は、負レンズを少なくとも1枚有することが好ましい。「合焦群」とは、合焦時に光軸に沿って移動する1枚のレンズ又は2枚以上のレンズの集合である。
【0017】
(3)後続群
後続群は、N群を有する限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。後続群は、物体側から像側へ順にM群、N群及びGL群を有し構成されていることが好ましい。M群は、その具体的な構成は特に限定されるものではないが、全体で正の屈折力であることが好ましい。N群は、全体で負の屈折力を有する合焦群であることが好ましい。GL群は、その具体的な構成は特に限定されるものではないが、全体で正の屈折力であることが好ましい。後続群は、最も物体側に開口絞りを有することが好ましい。
【0018】
(4)開口絞り
開口絞りが後続群内にあることは、製品の小型化に効果がある。
【0019】
1-2.動作
(1)変倍
広角端から望遠端への変倍は、隣り合うレンズ群の間隔を変えることで行う。前群と後続群は、複数のレンズ群を有していてもよい。
【0020】
(2)合焦
無限遠合焦状態から近距離状態への合焦は、合焦群を光軸に沿って移動させることで行う。光学系は、少なくともP群及び後続群のN群とが光軸に沿って移動し合焦を行う。これによりフォーカスによる収差変動を抑制し、小型化ができる。無限遠から近距離への合焦の際、光軸に沿って、P群は物体側へ移動することが好ましい。また、N群は、像側へ移動することが好ましい。また、例えば3つの合焦群により合焦を行う場合には、後続群のN群よりも像側に3つ目の合焦群が配置されることが好ましい。
【0021】
1-3.式
光学系は、上述した構成を採用すると共に、次に説明する式を少なくとも1つ以上満足することが望ましい。
【0022】
1-3-1.式(1)
1.00 < (1-βp)× βpr < 6.00 ・・・(1)
但し、
βp:無限遠合焦時におけるP群の横倍率
βpr:無限遠合焦時における後続群の横倍率
【0023】
式(1)は、光学系の無限遠合焦時におけるP群のガタ倍率を規定する。式(1)の規定する範囲を満たすことにより、合焦時の移動量が少なく、収差性能変動が小さい合焦群を構成することができる。ズームレンズの場合は、広角端又は望遠端で満たすことがよく、広角端で満たすことがより好ましい。
【0024】
式(1)の下限値を下回ると、P群のガタ倍率が適正値より小さくなり、またフォーカス時の移動量が大きくなり、製品の小型化が困難になるため、好ましくない。一方、式(1)の上限値を超えると、P群のガタ倍率が適正値より大きくなり、合焦群及びその後続群の屈折力を適正値より強くしなければならず、フォーカス時の収差性能変動を抑制することが困難になるため、好ましくない。
【0025】
上記効果を得るため、式(1)の下限値は、1.20、1.40、1.60、1.80、2.00のいずれかであることが好ましい。また、式(1)の上限値は、5.50、5.00、4.50、4.00、3.50のいずれかであることが好ましい。
【0026】
1-3-2.式(2)
0.30 < PpF/L < 0.80 ・・・(2)
但し、
PpF:無限遠合焦時におけるP群の物体側面から像面までの距離
L:無限遠合焦時における光学系の光学全長
【0027】
式(2)は、光学系の無限遠合焦時のP群の物体側面から像面までの距離と、無限遠合焦時の光学全長の比を規定する。式(2)の規定する範囲を満たすことにより、軸上光束が小さい位置にP群を配置することができ、合焦群を小型化し、合焦時の性能変動を抑制することができる。ズームレンズの場合は、広角端及び望遠端で満たすことがよく、広角端で満たすことがより好ましい。
【0028】
式(2)の下限値を下回ると、P群の位置が適正値より像側にあることを示し、像側の空間が限られ、後続群中に合焦群を配置することが困難になるため好ましくない。一方、式(2)の上限値を超えると、P群の位置が適正値より物体側にあることを示し、P群を通過する軸上光束径が大きくなり、合焦群の大型化を招き、さらに合焦時の性能変動を抑制することが困難になるため好ましくない。
【0029】
上記効果を得るため、式(2)の下限値は、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55のいずれかであることが好ましい。また、式(2)の上限値は、0.78、0.74のいずれかであることが好ましい。
【0030】
1-3-3.式(3)
-7.00 <(1-βn)×βnr< -1.00 ・・・(3)
但し、
βn:無限遠合焦時におけるN群の横倍率
βnr:無限遠合焦時におけるN群より像側のすべてのレンズの合成横倍率
【0031】
式(3)は、光学系が有する後続群中の合焦群のN群の無限遠合焦時のガタ倍率を規定する。式(3)の規定する範囲を満たすことにより、合焦時の移動量が少なく、収差性能の変動が小さい合焦群を構成することができる。
【0032】
式(3)の下限値を下回ると、N群のガタ倍率が適正値より小さくなり、合焦群及びその後続群の屈折力を適正値より強くしなければならず、合焦時の性能変動を抑制することが困難になるため、好ましくない。一方、式(3)の上限値を超えると、N群のガタ倍率が適正値より大きくなり、合焦時の移動量が大きくなり、製品の小型化が困難になるため、好ましくない。
【0033】
上記効果を得るため、式(3)の下限値は、-6.50、-6.25、-6.00、-5.80、-5.60、-5.50のいずれかであることが好ましい。また、式(3)の上限値は、-1.50、-1.70、-1.90、-2.10、-2.30、-2.50のいずれかであることが好ましい。
【0034】
1-3-4.式(4)
0.10<Σ|{(1-βk)×βkr}/(6×Fno)|<1.00
・・・(4)
但し、
合焦群を物体側から順に合焦群k(k=1,2,…)としたとき、
βk:無限遠合焦時における合焦群kの横倍率
βkr:無限遠合焦時における合焦群kより像側のすべてのレンズの合成横倍率
Fno:無限遠合焦時における光学系の開放Fナンバー
【0035】
式(4)は、光学系が有する複数の合焦群のガタ倍率とFナンバーの比の総和を規定する。式(4)の規定する範囲を満たすことにより、合焦群のガタ倍率を適正な値に制御し、合焦群の移動量の短縮し、近距離物体合焦時の性能変動を抑制することができる。
【0036】
式(4)の下限値を下回ると、ガタ倍率が適正値より小さくなり、合焦時の移動量が大きくなり、製品の小型化が困難になるため、好ましくない。一方、式(4)の上限値を超えると、ガタ倍率が適正値より大きくなり、合焦群及びその後続群の屈折力を適正値より強くしなければならず、合焦時の性能変動を抑制することが困難になるため、好ましくない。
【0037】
上記効果を得るため、式(4)の下限値は、0.12、0.14、0.16、0.18のいずれかであることが好ましい。また、式(4)の上限値は、0.90、0.80、0.70、0.60、0.50のいずれかであることが好ましい。なお後述の実施例では、k=1の合焦群(合焦群1)はP群であり、k=2の合焦群(合焦群2)はN群である。また、k=3の合焦群が存在する場合には、合焦群3はN群よりも像側に配置される。また、前群に合焦群がある場合には、k=1の合焦群(合焦群1)は前群内の合焦群となる。
【0038】
1-3-5.式(5)
1.40 < n2pmax < 1.85 ・・・(5)
但し、
n2pmax:P群が有する正レンズのd線における屈折率の最大値
【0039】
式(5)は、P群に含まれる凸レンズの材料の屈折率を規定する。式(5)の規定する範囲を満たすことにより、低比重の材料を使用することで合焦群の軽量化を図ることができる。
【0040】
式(5)の下限値を下回ると、屈折率が適正値より低いことを示し、合焦群として必要な屈折力を得ようとした場合、曲率が強くなり、レンズの加工性を維持するためには肉厚を増やす必要があり、結果として合焦群の軽量化が困難になり好ましくない。一方、式(5)の上限値を超えると、屈折率が適正値より高いことを示し、材料の比重が適正値より高くなり、合焦群の軽量化が困難になり好ましくない。
【0041】
上記効果を得るため、式(5)の下限値は、1.45、1.47、1.48、1.49のいずれかであることが好ましい。また、式(5)の上限値は、1.84、1.83、1.80、1.75、1.70、1.65、1.60、1.55のいずれかであることが好ましい。
【0042】
1-3-6.式(6)
20.00 < v2pmin < 100.00 ・・・(6)
但し、
v2pmin:P群が有する正レンズのd線におけるアッベ数の最小値
【0043】
式(6)は、P群に含まれる凸レンズの材料のアッベ数を規定する。式(6)の規定する範囲を満たすことにより、低分散の材料を使用すること合焦時の色収差の変動を抑制することができる。
【0044】
式(6)の下限値を下回ると、アッベ数が適正値より小さいことを示し、合焦時の色収差の変動の抑制が困難になり好ましくない。一方、式(6)の上限値を超えると、アッベ数が適正値より大きいことを示し、合焦時の色収差の補正が過剰となり好ましくない。
【0045】
上記効果を得るため、式(6)の下限値は、30.0、40.0、50.0、60.0、65.0、70.0、80.0のいずれかであることが好ましい。また、式(6)の上限値は、95.0、90.0、85.0、80.0のいずれかであることが好ましい。
【0046】
1-3-7.式(7)
0.10 < fM/f < 20.00 ・・・(7)
但し、
fM:無限遠合焦時におけるM群の焦点距離
f:無限遠合焦時における光学系の焦点距離
【0047】
式(7)は、光学系のM群の合成焦点距離と全系の合成焦点距離の比を規定する。式(7)の規定する範囲を満たすことにより、M群の像側のレンズ群の径小化を可能とし、光学系の小型化を達成することができる。
【0048】
式(7)の下限値を下回ると、M群の屈折力が適正値より強いことを示し、M群で発生するアンダーの球面収差が過剰になり、全系での収差補正が困難になり好ましくない。一方、式(7)の上限値を超えると、M群の屈折力が適正値より弱いことを示し、M群の像側のレンズ群の径小化が困難になり好ましくない。
【0049】
上記効果を得るため、式(7)の下限値は、0.30、0.50、0.70、0.90、1.10のいずれかであることが好ましい。また、式(7)の上限値は、18.00、16.00、14.00、12.00、10.00、8.00、6.00、5.50、4.00、3.00のいずれかであることが好ましい。
【0050】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係る光学系と、光学系の像側に設けられた、光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子等も用いることかでき、本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよく、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。
【0051】
図14は、本実施形態に係る撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。図14に示されるように、撮像装置1は、カメラ2及びカメラ2に着脱可能なレンズ3を有している。撮像装置1は、撮像装置の一態様である。カメラ2は、撮像素子としてのCCDセンサ21及びカバーガラス22を有している。CCDセンサ21は、カメラ2における、カメラ2に装着されたレンズ3内の光学系の光軸が中心軸となる位置に配置されている。カメラ2は、カバーガラス22の代わりに、IRカットフィルター等を有していてもよい。
【0052】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例の光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に用いられる撮影光学系である。また、レンズ断面図(図1図3図5図7図9図12)において、図面に向かって左方が物体側、右方が像側である。
【0053】
また、図2図4図6図8、13にそれぞれ実施例1~4、6の収差図を表す。(a)は無限遠合焦時、(b)は中間距離合焦時、(c)は近距離合焦時の状態における収差図を表す。また、図10図11はそれぞれ実施例5の無限遠合焦時及び近距離合焦時の収差図を表す。(a)は広角端、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端を表す。各図に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、それぞれ球面収差(SA(mm))、非点収差(AST(mm))、歪曲収差(DIS(%))である。球面収差図は実線がd線(波長587.56nm)、破線がg線(波長435.84nm)における球面収差をそれぞれ示す。非点収差図は縦軸が半画角(W)、横軸がデフォーカスであり、実線がd線のサジタル像面(S)を示し、破線がd線のメリディオナル像面(T)をそれぞれ示す。歪曲収差図は、縦軸が半画角(W)、横軸が歪曲収差である。
【実施例0054】
(1)光学系の構成
図1は、本件発明に係る実施例1の光学系の構成を示すレンズ断面図である。光学系は、物体側から像側へ順に前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群を有し構成される。前群は、正の屈折力を有する第1レンズ群G1からなり、後続群は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有するM群と、負の屈折力を有するN群と、正の屈折力を有するGL群とからなる。
【0055】
図1において、光学系中に示す「S」は開口絞りであり、光学系の像側に示す「I」は像面であり、具体的には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等を示す。なお、これらの図面で示すものは他の実施例においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0056】
無限遠から近距離への合焦の際、P群は物体側へ、N群は像側へそれぞれ光軸に沿って移動する。
【0057】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、負メニスカスレンズと正メニスカスレンズが接合された接合レンズと、正メニスカスレンズと負メニスカスレンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0058】
P群は、物体側から像側へ順に、正メニスカスレンズと、負メニスカスレンズと両凸レンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0059】
M群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0060】
N群は、物体側から像側へ順に、両凹レンズと、両凹レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0061】
GL群は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、両凸レンズと両凹レンズが接合された接合レンズと、負メニスカスレンズと、両凸レンズから構成されている。
【0062】
(2)数値実施例
次に、光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に、光学系のレンズデータを示す。表1において、面No.は物体側から数えたレンズ面の順番、Rはレンズ面の曲率半径、Dはレンズ面の光軸上の間隔、Ndはd線(波長λ=587.56nm)に対する屈折率、ABVはd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、開口絞りSは、面No.にSを付して示している。表2に、光学系の状態(Z1~Z3)における焦点距離(F)、Fナンバー(Fno)、撮影倍率(β)、半画角(W)、可変間隔(D(n))を示す。可変間隔(D(0))はレンズの最も物体側面の光軸中心からの物体までの距離を示す。各レンズ群の焦点距離(f1~f7)及び式の計算値は表13にまとめて示す。
【0063】
なお、これらの数値実施例における事項は他の実施例においても同様であるため、以下では説明を省略する。なお、実施例1から実施例4、及び実施例6におけるZ1は無限遠合焦、Z2は中間距離合焦、Z3は近距離合焦を示す。
【0064】
(表1)
面No. R D Nd ABV
1 653.475 3.254 1.92286 20.88
2 -134.915 0.412
3 46.901 0.807 2.00100 29.13
4 22.265 6.658 1.68960 31.14
5 76.627 3.749
6 -101.389 5.853 1.59282 68.62
7 -33.509 1.174 1.92286 20.88
8 -74.885 D( 8)
9 38.000 2.800 1.48749 70.44
10 91.170 0.400
11 43.645 0.800 1.71736 29.50
12 25.382 5.237 1.48749 70.44
13 -124.081 D(13)
14S INF 1.000
15 111.026 0.800 2.00100 29.13
16 31.769 1.349
17 62.933 2.952 1.92286 20.88
18 -73.851 D(18)
19 -138.764 0.800 1.91082 35.25
20 31.256 2.301
21 -61.553 0.800 1.72916 54.67
22 180.252 1.773
23 61.902 2.138 1.92286 20.88
24 -276.655 D(24)
25 79.791 6.308 1.83481 42.72
26 -78.629 1.303
27 40.169 7.519 1.83481 42.72
28 -32.828 0.811 1.69895 30.05
29 29.873 8.764
30 -25.218 0.800 2.00100 29.13
31 -3535.539 0.200
32 61.875 4.767 1.59282 68.62
33 -286.571 13.499
34 INF 2.500 1.51680 64.20
35 INF 1.000
【0065】
(表2)
Z1 Z2 Z3
F 92.391 53.780 35.142
Fno 2.910 4.461 5.850
β 0.000 -0.500 -1.000
W 13.051 9.361 6.545
D( 0) INF 194.880 107.349
D( 8) 17.473 10.351 3.973
D(13) 2.000 9.123 15.500
D(18) 2.000 8.312 15.985
D(24) 16.000 9.689 2.015
【実施例0066】
(1)光学系の構成
図3は、本件発明に係る実施例2の光学系の構成を示すレンズ断面図である。光学系は、物体側から像側へ順に前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群を有し構成される。前群は、正の屈折力を有する第1レンズ群G1からなり、後続群は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有するM群と、負の屈折力を有するN群と、正の屈折力を有するGL群とからなる。
【0067】
無限遠から近距離への合焦の際、P群は物体側へ、N群は像側へそれぞれ光軸に沿って移動する。
【0068】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、負メニスカスレンズと、両凸レンズと両凹レンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0069】
P群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと両凸レンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0070】
M群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0071】
N群は、物体側から像側へ順に、両凹レンズと、両凹レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0072】
GL群は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、両凸レンズと両凹レンズが接合された接合レンズと、負メニスカスレンズと、両凸レンズから構成されている。
【0073】
(2)数値実施例
【0074】
(表3)
面No. R D Nd ABV
1 61.375 6.159 1.51680 64.20
2 -116.038 2.137
3 284.863 0.800 1.49700 81.61
4 26.377 3.262
5 39.584 8.081 1.59282 68.62
6 -30.442 0.800 1.80420 46.50
7 787.666 D( 7)
8 31.886 0.800 1.80518 25.46
9 26.571 5.698 1.49700 81.61
10 -87.623 D(10)
11S INF 1.000
12 136.445 0.800 2.00100 29.13
13 26.378 3.110
14 38.810 3.809 1.91082 35.25
15 -78.000 D(15)
16 -441.815 0.800 1.87070 40.73
17 27.541 3.853
18 -39.769 0.800 1.61800 63.39
19 137.230 1.582
20 66.300 2.989 1.92286 20.88
21 -100.475 D(21)
22 53.935 5.500 1.59551 39.24
23 -54.582 4.404
24 63.049 8.511 1.83481 42.72
25 -23.675 0.800 1.80518 25.46
26 43.892 7.425
27 -24.426 0.800 2.00069 25.46
28 -203.815 0.200
29 77.250 4.989 1.80518 25.46
30 -18627.721 13.499
31 INF 2.500 1.51680 64.20
32 INF 1.000
【0075】
(表4)
Z1 Z2 Z3
F 92.702 53.899 35.800
Fno 2.910 4.444 5.850
β 0.000 -0.500 -1.000
W 13.012 9.669 6.960
D( 0) INF 193.097 105.023
D( 7) 16.890 9.861 3.419
D(10) 2.000 9.029 15.472
D(15) 2.000 8.173 15.988
D(21) 16.000 9.827 2.012
【実施例0076】
(1)光学系の構成
図5は、本件発明に係る実施例3の光学系の構成を示すレンズ断面図である。光学系は、物体側から像側へ順に前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群を有し構成される。前群は、正の屈折力を有する第1レンズ群G1からなり、後続群は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有するM群と、負の屈折力を有するN群と、正の屈折力を有するGL群とからなる。
【0077】
無限遠から近距離への合焦の際、P群は物体側へ、N群は像側へそれぞれ光軸に沿って移動する。
【0078】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、正メニスカスレンズと、両凸レンズと両凹レンズが接合された接合レンズと、正メニスカスレンズとから構成されている。
【0079】
P群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと両凸レンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0080】
M群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0081】
N群は、物体側から像側へ順に、両凹レンズと、両凹レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0082】
GL群は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、両凸レンズと両凹レンズが接合された接合レンズと、負メニスカスレンズと、正メニスカスレンズから構成されている。
【0083】
(2)数値実施例
【0084】
(表5)
面No. R D Nd ABV
1 653.817 3.246 1.77250 49.62
2 -121.446 0.200
3 64.176 2.559 1.90366 31.31
4 112.922 1.076
5 62.444 4.399 1.43700 95.10
6 -94.507 0.800 1.87070 40.73
7 33.534 1.872
8 44.988 2.998 1.72916 54.67
9 150.974 D( 9)
10 35.037 0.800 1.80518 25.46
11 26.537 5.000 1.49700 81.61
12 -183.701 D(12)
13S INF 1.000
14 186.941 0.800 1.71736 29.50
15 31.029 0.500
16 39.991 3.846 1.90043 37.37
17 -74.639 D(17)
18 -124.910 0.800 1.87070 40.73
19 25.537 3.271
20 -44.256 0.800 1.72916 54.67
21 216.646 1.500
22 62.878 2.700 1.92286 20.88
23 -111.302 D(23)
24 51.189 5.500 1.61340 44.27
25 -61.729 7.925
26 108.710 8.993 1.72916 54.67
27 -22.692 2.086 1.69895 30.05
28 103.683 5.710
29 -27.202 0.800 2.00100 29.13
30 -451.426 0.200
31 69.021 5.000 1.59282 68.62
32 INF 13.500
33 INF 2.500 1.51680 64.20
34 INF 1.000
【0085】
(表6)
Z1 Z2 Z3
F 92.708 54.909 36.248
Fno 2.910 4.523 5.850
β 0.000 -0.500 -1.000
W 13.028 9.565 7.032
D( 0) INF 194.298 105.058
D( 9) 21.621 13.393 6.621
D(12) 2.000 10.228 17.000
D(17) 1.999 8.187 15.982
D(23) 16.001 9.813 2.018
【実施例0086】
(1)光学系の構成
図7は、本件発明に係る実施例4の光学系の構成を示すレンズ断面図である。光学系は、物体側から像側へ順に前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群を有し構成される。前群は、負の屈折力を有する第1レンズ群G1からなり、後続群は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有するM群と、負の屈折力を有するN群と、正の屈折力を有するGL群とからなる。
【0087】
無限遠から近距離への合焦の際、P群は物体側へ、N群は像側へそれぞれ光軸に沿って移動する。
【0088】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、負メニスカスレンズと正メニスカスレンズが接合された接合レンズと、正メニスカスレンズと負メニスカスレンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0089】
P群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと両凸レンズが接合された接合レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0090】
M群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0091】
N群は、物体側から像側へ順に、両凹レンズと、負メニスカスレンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0092】
GL群は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、両凸レンズと両凹レンズが接合された接合レンズと、負メニスカスレンズと、正メニスカスレンズから構成されている。
【0093】
(2)数値実施例
【0094】
(表7)
面No. R D Nd ABV
1 76.616 4.665 1.69895 30.05
2 -117.557 0.200
3 61.578 0.800 1.91082 35.25
4 20.704 5.116 1.69895 30.05
5 64.633 1.541
6 -406.706 3.920 1.51680 64.20
7 -31.280 0.800 1.92119 23.96
8 -745.197 D( 8)
9 30.368 1.174 1.92119 23.96
10 22.743 5.057 1.49700 81.61
11 -146.907 0.590
12 80.939 2.338 1.49700 81.61
13 -466.364 D(13)
14S INF 1.000
15 300.529 0.800 1.91082 35.25
16 23.896 0.624
17 25.983 3.890 1.84666 23.78
18 -88.039 D(18)
19 -79.030 0.800 1.91082 35.25
20 26.942 2.826
21 -44.431 0.800 1.72916 54.67
22 -157.614 0.200
23 51.209 2.500 1.84666 23.78
24 -160.068 D(24)
25 90.529 5.500 1.72916 54.67
26 -50.842 4.891
27 31.595 10.000 1.61800 63.39
28 -22.345 2.000 1.60342 38.01
29 23.867 11.196
30 -19.227 0.800 2.00100 29.13
31 -68.033 0.200
32 46.762 5.000 1.64769 33.84
33 121.582 17.349
34 INF 2.500 1.51680 64.20
35 INF 1.000
【0095】
(表8)
Z1 Z2 Z3
F 92.726 55.896 28.370
Fno 3.600 5.216 7.200
β 0.000 -0.500 -1.400
W 13.073 9.197 5.086
D( 0) INF 213.969 105.048
D( 8) 16.970 9.801 1.000
D(13) 1.000 8.169 16.970
D(18) 1.021 6.874 20.927
D(24) 20.932 15.078 1.026
【実施例0096】
(1)光学系の構成
図9は、本件発明に係る実施例5の光学系の構成を示すレンズ断面図である。(a)は広角端(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端を表す。光学系は、物体側から像側へ順に前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群を有し構成される。前群は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3からなり、後続群は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有するM群と、負の屈折力を有するN群と、負の屈折力を有するGL群とからなる。
【0097】
広角端から望遠端への変倍の際、光軸に沿って、第2レンズ群G2が像側へ、第3レンズ群G3と、P群と、M群と、N群及びGL群が物体側へ移動する。
【0098】
無限遠から近距離への合焦の際、P群は物体側へ、N群は像側へそれぞれ光軸に沿って移動する。
【0099】
第1レンズ群G1は、両凸レンズから構成されている。
【0100】
第2レンズ群G2は、両凹レンズから構成されている。
【0101】
第3レンズ群G3は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと両凹レンズが接合された接合レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0102】
P群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと両凸レンズが接合された接合レンズから構成されている。
【0103】
M群は、物体側から像側へ順に、両凹レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0104】
N群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと、両凹レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0105】
GL群は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、両凸レンズと負メニスカスレンズが接合された接合レンズと、負メニスカスレンズから構成されている。
【0106】
(2)数値実施例
表10に光学系の状態(Z1~Z6)における各数値を示す。Z1~Z3は無限遠合焦時の広角端、中間焦点距離、望遠端を示し、Z4~Z6は近距離合焦時の広角端、中間焦点距離、望遠端を示す。
【0107】
(表9)
面No. R D Nd ABV
1 60.000 5.301 1.69680 55.46
2 -283.410 D( 2)
3 -282.826 0.800 1.49700 81.61
4 28.585 D( 4)
5 66.725 6.500 1.49700 81.61
6 -31.236 0.800 1.80000 29.84
7 53.407 1.399
8 88.800 2.524 2.00100 29.13
9 -128.372 D( 9)
10 27.372 0.800 1.91082 35.25
11 21.015 5.400 1.49700 81.61
12 -72.241 D(12)
13S INF 1.980
14 -123.615 1.500 1.56883 56.04
15 29.417 1.042
16 77.268 2.738 2.00100 29.13
17 -66.110 D(17)
18 104.001 0.800 1.80420 46.50
19 26.393 6.817
20 -27.468 0.800 1.49700 81.61
21 430.041 0.873
22 47.781 4.000 1.58144 40.89
23 -43.105 D(23)
24 46.202 6.797 1.49700 81.61
25 -44.877 0.800 1.92286 20.88
26 -155.532 14.883
27 -34.449 0.800 1.49700 81.61
28 -313.902 D(28)
29 INF 2.500 1.51680 64.20
30 INF 1.000
【0108】
(表10)
Z1 Z2 Z3 Z4 Z5 Z6
F 72.120 85.693 101.824 49.670 50.264 57.765
Fno 4.101 4.100 4.099 5.101 5.791 5.857
W 16.582 14.058 11.870 13.168 9.876 7.673
D( 0) INF INF INF 124.629 110.551 142.560
D( 2) 1.000 3.176 7.765 1.000 3.176 7.765
D( 4) 36.392 22.129 7.943 36.392 22.129 7.943
D( 9) 7.287 13.399 21.523 1.000 3.959 9.323
D(12) 1.581 1.182 1.000 7.869 10.622 13.201
D(17) 5.902 3.530 1.006 15.255 16.655 12.179
D(23) 13.482 15.200 12.187 4.130 2.075 1.014
D(28) 13.500 20.530 27.721 13.500 20.530 27.721
【実施例0109】
(1)光学系の構成
図12は、本件発明に係る実施例6の光学系の構成を示すレンズ断面図である。光学系は、物体側から像側へ順に前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群を有し構成される。前群は、正の屈折力を有する第1レンズ群G1からなり、後続群は、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有するM群と、負の屈折力を有するN群と、正の屈折力を有するGL群とからなる。
【0110】
無限遠から近距離への合焦の際、P群は物体側へ、N群は像側へそれぞれ光軸に沿って移動する。
【0111】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、負メニスカスレンズと、両凸レンズと負メニスカスレンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0112】
P群は、両凸レンズから構成されている。
【0113】
M群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと、負メニスカスレンズと両凸レンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0114】
N群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと、両凹レンズと両凸レンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0115】
GL群は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、負メニスカスレンズと両凸レンズが接合された接合レンズと、負メニスカスレンズと、正メニスカスレンズから構成されている。
【0116】
(2)数値実施例
【0117】
(表11)
面No. R D Nd ABV
1 72.402 4.824 1.69895 30.05
2 -163.520 2.043
3 425.779 0.800 1.59282 68.62
4 26.746 3.213
5 41.117 8.224 1.59282 68.62
6 -30.219 0.800 1.78880 28.43
7 -342.826 D( 7)
8 33.358 5.500 1.49700 81.61
9 -91.611 D( 9)
10S INF 1.000
11 200.551 0.800 2.00100 29.13
12 25.596 4.389
13 66.525 0.800 1.92119 23.96
14 20.057 6.555 2.00100 29.13
15 -56.793 D(15)
16 1008.130 0.800 1.87070 40.73
17 30.176 3.300
18 -31.384 0.800 1.48749 70.44
19 39.146 2.500 1.92286 20.88
20 -327.026 D(20)
21 28.341 7.500 1.49700 81.61
22 -72.245 0.280
23 80.665 3.000 2.00100 29.13
24 24.694 10.000 1.67270 32.17
25 -144.022 6.943
26 -21.339 1.200 1.92286 20.88
27 -320.192 0.200
28 56.514 4.000 1.85478 24.80
29 119.242 3.873
30 INF 10.900
31 INF 2.500 1.51680 64.20
32 INF 1.000
【0118】
(表12)
Z1 Z2 Z3
F 90.162 52.250 34.602
Fno 2.900 4.407 5.850
β 0.000 -0.500 -1.000
W 13.303 9.997 7.101
D( 0) 0.000 188.023 102.875
D( 7) 16.716 9.565 2.716
D( 9) 2.273 9.424 16.273
D(15) 1.998 7.558 14.262
D(20) 14.269 8.710 2.005
【0119】
(表13)
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5Wide 実施例5Tele
f1 224.640 258.911 268.237 -669.754 71.516 71.516
f2 54.165 52.372 71.124 45.679 -52.192 -52.192
f3 177.182 125.171 64.408 123.900 397.678 397.678
f4 -32.192 -36.952 -29.120 -30.491 49.268 49.268
f5 90.217 138.634 91.064 61.078 195.254 195.254
f6 - - - - -78.990 -78.990
f7 - - - - -292.079 -292.079
式1 3.01 3.11 1.81 2.78 2.44 3.32
式2 0.70 0.71 0.71 0.76 0.59 0.64
式3 -4.00 -4.14 -5.37 -4.71 -2.57 -4.09
式4 0.40 0.42 0.41 0.35 0.20 0.28
式5 1.49 1.50 1.50 1.50 1.50 1.50
式6 70.44 81.61 81.61 81.61 81.61 81.61
式7 1.92 1.35 0.69 1.34 2.71 1.92
実施例6
f1 232.171
f2 49.932
f3 131.847
f4 -34.177
f5 97.687
f6 -
f7 -
式1 3.45
式2 0.72
式3 -3.77
式4 0.42
式5 1.50
式6 81.61
式7 1.46
【0120】
[まとめ]
本発明の第一の態様に係る光学系は、
物体側から順に、前群と、正の屈折力を有するP群と、後続群とからなり、
前記後続群はN群を有し、
合焦の際、少なくとも前記P群及び前記N群が光軸に沿って移動する。
【0121】
本発明の第二の態様に係る光学系は、第一の態様において、
以下の式を満たしてもよい。
1.00 < (1-βp)× βpr < 6.00 ・・・(1)
但し、
βp:無限遠合焦時における前記P群の横倍率
βpr:無限遠合焦時における前記後続群の横倍率
【0122】
本発明の第三の態様に係る光学系は、第一の態様又は第二の態様において、
以下の式を満たしてもよい。
1.40 < n2pmax < 1.85 ・・・(5)
但し、
n2pmax:前記P群が有する正レンズのd線における屈折率の最大値
【0123】
本発明の第四の態様に係る光学系は、第一の態様から第三の態様において、開口絞りは、前記後続群内に配置されてもよい。
【0124】
本発明の第五の態様に係る光学系は、第一の態様から第四の態様において、以下の式を満たしてもよい。
-7.00 <(1-βn)×βnr< -1.00 ・・・(3)
但し、
βn:無限遠合焦時における前記N群の横倍率
βnr:無限遠合焦時における前記N群より像側のすべてのレンズの合成横倍率
【0125】
本発明の第六の態様に係る光学系は、第一の態様から第五の態様において、合焦の際に光軸に沿って移動する合焦群を、物体側から順に合焦群k(k=1,2,…)としたとき、以下の式を満たしてもよい。
0.10<Σ|{(1-βk)×βkr}/(6×Fno)|<1.00
・・・(4)
但し、
βk:無限遠合焦時における合焦群kの横倍率
βkr:無限遠合焦時における合焦群kより像側のすべてのレンズの合成横倍率
Fno:無限遠合焦時における当該光学系の開放Fナンバー
【0126】
本発明の第七の態様に係る光学系は、第一の態様から第六の態様において、以下の式を満たしてもよい。
20.00 < v2pmin < 100.00 ・・・(6)
但し、
v2pmin:前記P群が有する正レンズのd線におけるアッベ数の最小値
【0127】
本発明の第八の態様に係る光学系は、第一の態様から第七の態様において、前記後続群は物体側から順にM群、前記N群を有し、以下の式を満たしてもよい。
0.10 < fM/f < 20.00 ・・・(7)
但し、
fM:無限遠合焦時における前記M群の焦点距離
f:無限遠合焦時における当該光学系の焦点距離
【0128】
本発明の第九の態様に係る光学系は、第一の態様から第八の態様において、前記後続群は物体側から順にM群、前記N群を有し、
前記M群は、凹レンズを有してもよい。
【0129】
本発明の第十の態様に係る撮像装置は、第一の態様から第九の態様に係る光学系と、当該光学系の像側に設けられた、当該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えてもよい。
【0130】
上記実施の形態及び実施例で説明した光学系及び撮像装置は、本発明に係る光学系及び撮像装置の一態様であり、上記第一の態様~第九の態様に係る光学系及び第十の態様に係る撮像装置に対応する。上記各態様の光学系及び撮像装置によれば、上記実施の形態及び実施例で説明した作用効果と同様の作用効果を奏する。本発明に係る光学系及び撮像装置は、実施の形態及び実施例で説明した光学系及び撮像装置に限定されるものではなく、上記各態様の光学系及び撮像装置の範囲内で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本件発明に係る光学系は、例えば、フィルムカメラ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像装置の光学系として好適に適用できる。
【符号の説明】
【0132】
G1 ・・・第1レンズ群
G2 ・・・第2レンズ群
G3 ・・・第3レンズ群
P ・・・P群
M ・・・M群
N ・・・N群
GL ・・・GL群
S ・・・絞り
CG ・・・カバーガラス
I ・・・像面
1 ・・・撮像装置
2 ・・・カメラ
3 ・・・レンズ
21 ・・・CCDセンサ
22 ・・・カバーガラス


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14