(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029675
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】疼痛対策システムおよび疼痛判定プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A61B10/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132057
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】511241479
【氏名又は名称】WINフロンティア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522266025
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立病院機構
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 真人
(72)【発明者】
【氏名】室伏 景子
(57)【要約】
【課題】 疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる疼痛対策システムおよび疼痛判定プログラムを提供する。
【解決手段】 疼痛対策システムは、ユーザーの疼痛の度合いである疼痛度を判定する疼痛判定部を備え、疼痛判定部は、ユーザーの心拍変動に少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定し、疼痛判定部は、ユーザーが安静な状態であるか否かをユーザーの活動量に基づいて判定し(S124)、疼痛判定部は、ユーザーが安静な状態である場合(S124でNO)にS125において判定した疼痛の度合いを、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いとして出力する(S126およびS127)ことを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの疼痛の度合いを判定する疼痛判定部を備え、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定し、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態であるか否かを前記ユーザーの活動量に基づいて判定し、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態である場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態である場合の前記疼痛の度合いとして出力することを特徴とする疼痛対策システム。
【請求項2】
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態ではない場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態ではない場合の前記疼痛の度合いとして出力することを特徴とする請求項1に記載の疼痛対策システム。
【請求項3】
前記疼痛判定部は、機械学習モデルを使用して前記疼痛の度合いを判定し、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが感じている前記疼痛の度合いを取得した場合に、前記ユーザーが感じている前記疼痛の度合いと、前記ユーザーの、計測された心拍数および心拍変動の少なくとも1つとに少なくとも基づいて前記機械学習モデルを更新することを特徴とする請求項1に記載の疼痛対策システム。
【請求項4】
ユーザーの疼痛の度合いを判定する疼痛判定部を備え、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定し、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態であるか否かを前記ユーザーの活動量に基づいて判定し、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態ではない場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態ではない場合の前記疼痛の度合いとして出力することを特徴とする疼痛対策システム。
【請求項5】
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが感じている不安および抑うつの少なくとも1つの度合いを取得した場合に、取得した前記不安および前記抑うつの少なくとも1つの度合いと、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つとに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の疼痛対策システム。
【請求項6】
ユーザーの疼痛の度合いを判定する疼痛判定部をコンピューターに実現させ、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定し、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態であるか否かを前記ユーザーの活動量に基づいて判定し、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態である場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態である場合の前記疼痛の度合いとして出力することを特徴とする疼痛判定プログラム。
【請求項7】
ユーザーの疼痛の度合いを判定する疼痛判定部をコンピューターに実現させ、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定し、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態であるか否かを前記ユーザーの活動量に基づいて判定し、
前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態ではない場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態ではない場合の前記疼痛の度合いとして出力することを特徴とする疼痛判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疼痛の対策に使用される疼痛対策システムおよび疼痛判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の疼痛対策システムとして、心拍変動解析に基づくLF/HFが特定の値以上である場合に疼痛があると判定するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の疼痛対策システムにおいては、ユーザーの身体活動がユーザーの疼痛に与える影響が考慮されておらず、疼痛の度合いを適切に判定することができない場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる疼痛対策システムおよび疼痛判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の疼痛対策システムは、ユーザーの疼痛の度合いを判定する疼痛判定部を備え、前記疼痛判定部は、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定し、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態であるか否かを前記ユーザーの活動量に基づいて判定し、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態である場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態である場合の前記疼痛の度合いとして出力することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の疼痛対策システムは、ユーザーが安静な状態である場合に判定した疼痛の度合いを、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いとして出力するので、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0008】
本発明の疼痛対策システムにおいて、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態ではない場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態ではない場合の前記疼痛の度合いとして出力しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の疼痛対策システムは、ユーザーが安静な状態ではない場合に判定した疼痛の度合いを、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いとして出力するので、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。特に、本発明の疼痛対策システムは、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いと、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いとのそれぞれを出力するとき、ユーザーの疼痛の度合いに対して、ユーザーの活動状態がどのように影響するかの把握を容易化することができる。
【0010】
本発明の疼痛対策システムにおいて、前記疼痛判定部は、機械学習モデルを使用して前記疼痛の度合いを判定し、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが感じている前記疼痛の度合いを取得した場合に、前記ユーザーが感じている前記疼痛の度合いと、前記ユーザーの、計測された心拍数および心拍変動の少なくとも1つとに少なくとも基づいて前記機械学習モデルを更新しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の疼痛対策システムは、ユーザーの疼痛の度合いを判定するための機械学習モデルを、ユーザーが感じている疼痛の度合いと、ユーザーの、計測された心拍数および心拍変動の少なくとも1つとに少なくとも基づいて更新するので、疼痛の度合いの判定をユーザーに適したものにすることができる。
【0012】
本発明の疼痛対策システムは、ユーザーの疼痛の度合いを判定する疼痛判定部を備え、前記疼痛判定部は、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定し、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態であるか否かを前記ユーザーの活動量に基づいて判定し、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態ではない場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態ではない場合の前記疼痛の度合いとして出力することを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明の疼痛対策システムは、ユーザーが安静な状態ではない場合に判定した疼痛の度合いを、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いとして出力するので、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0014】
本発明の疼痛対策システムにおいて、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが感じている不安および抑うつの少なくとも1つの度合いを取得した場合に、取得した前記不安および前記抑うつの少なくとも1つの度合いと、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つとに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定しても良い。
【0015】
この構成により、本発明の疼痛対策システムは、ユーザーが感じている不安および抑うつの少なくとも1つの度合いと、ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つとに少なくとも基づいてユーザーの疼痛の度合いを判定するので、ユーザーが感じている不安および抑うつの少なくとも1つの度合いがユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つに影響を与える場合であっても、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0016】
本発明の疼痛判定プログラムは、ユーザーの疼痛の度合いを判定する疼痛判定部をコンピューターに実現させ、前記疼痛判定部は、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定し、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態であるか否かを前記ユーザーの活動量に基づいて判定し、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態である場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態である場合の前記疼痛の度合いとして出力することを特徴とする。
【0017】
この構成により、本発明の疼痛判定プログラムを実行するコンピューターは、ユーザーが安静な状態である場合に判定した疼痛の度合いを、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いとして出力するので、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0018】
本発明の疼痛判定プログラムは、ユーザーの疼痛の度合いを判定する疼痛判定部をコンピューターに実現させ、前記疼痛判定部は、前記ユーザーの心拍数および心拍変動の少なくとも1つに少なくとも基づいて前記疼痛の度合いを判定し、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態であるか否かを前記ユーザーの活動量に基づいて判定し、前記疼痛判定部は、前記ユーザーが安静な状態ではない場合に判定した前記疼痛の度合いを、前記ユーザーが安静な状態ではない場合の前記疼痛の度合いとして出力することを特徴とする。
【0019】
この構成により、本発明の疼痛判定プログラムを実行するコンピューターは、ユーザーが安静な状態ではない場合に判定した疼痛の度合いを、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いとして出力するので、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の疼痛対策システムおよび疼痛判定プログラムは、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る疼痛対策システムのブロック図である。
【
図2】
図1に示すユーザー用コンピューターのブロック図である。
【
図3】
図2に示す判定結果履歴の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示す管理者用コンピューターのブロック図である。
【
図5】
図1に示す疼痛判定システムの一例のブロック図である。
【
図6】不安度および抑うつ度を取得する場合の
図5に示す疼痛判定システムの動作のフローチャートである。
【
図7】疼痛度を判定する場合の
図5に示す疼痛判定システムの動作のフローチャートである。
【
図8】ユーザーID、判定日時および判定結果の組み合わせを受信した場合の
図2に示すユーザー用コンピューターの動作のフローチャートである。
【
図9】ユーザーID、判定日時および判定結果の組み合わせを受信した場合の
図4に示す管理者用コンピューターの動作のフローチャートである。
【
図10】主観疼痛度を取得する場合の
図5に示す疼痛判定システムの動作のフローチャートである。
【
図11】本発明の第2の実施の形態に係る疼痛対策システムのユーザー用コンピューターの判定結果履歴の一例を示す図である。
【
図12】疼痛度を判定する場合の、本発明の第2の実施の形態に係る疼痛対策システムの疼痛判定システムの動作のフローチャートである。
【
図13】ユーザーID、判定日時、活動状態および判定結果の組み合わせを受信した場合の、本発明の第2の実施の形態に係る疼痛対策システムのユーザー用コンピューターの動作のフローチャートである。
【
図14】ユーザーID、判定日時、活動状態および判定結果の組み合わせを受信した場合の、本発明の第2の実施の形態に係る疼痛対策システムの管理者用コンピューターの動作のフローチャートである。
【
図15】活動状態が「安静状態」である場合の判定結果と、活動状態が「非安静状態」である場合の判定結果とを通知するときの、本発明の第2の実施の形態に係る疼痛対策システムの管理者用コンピューターの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る疼痛対策システムの構成について説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る疼痛対策システム10のブロック図である。
【0025】
図1に示すように、疼痛対策システム10は、ユーザーの心拍変動を計測する心拍計測部11と、ユーザーの活動量を計測する活動量計測部12と、ユーザーによって携帯されるユーザー用コンピューター20と、ユーザーを管理する管理者によって使用される管理者用コンピューター30と、ユーザーの疼痛の度合い(以下「疼痛度」という。)を判定する疼痛判定システム40と備えている。疼痛対策システム10は、心拍計測部11と同様な構成の心拍計測部を、心拍計測部11以外に少なくとも1つ備えても良い。疼痛対策システム10は、活動量計測部12と同様な構成の活動量計測部を、活動量計測部12以外に少なくとも1つ備えても良い。疼痛対策システム10は、ユーザー用コンピューター20と同様な構成のユーザー用コンピューターを、ユーザー用コンピューター20以外に少なくとも1つ備えても良い。疼痛対策システム10において、心拍計測部、活動量計測部およびユーザー用コンピューターは、ユーザー毎に備えられている。以下において、心拍計測部11、活動量計測部12およびユーザー用コンピューター20は、同一のユーザーを対象にしているものとする。
【0026】
なお、ユーザーとは、例えば、疼痛対策システム10が医療機関において患者の疼痛の対策に使用されるものである場合には、患者である。また、管理者とは、疼痛対策システム10が医療機関において患者の疼痛の対策に使用されるものである場合には、例えば、医者、看護師などの医療従事者である。
【0027】
心拍計測部11は、様々なセンサーによって構成されることが可能である。例えば、心拍計測部11は、ユーザーの胸部から心拍変動を計測するセンサーによって構成されても良いし、ユーザーの手首から心拍変動を計測するリストバンド型のセンサーによって構成されても良いし、ユーザーの指から心拍変動を計測するセンサーによって構成されても良い。心拍計測部11としてどのようなセンサーが採用されるかは、ユーザー毎に決定されても良い。例えば、ユーザーが高齢者である場合には、ユーザーの手首を締め付けることを防止するために、ユーザーの胸部から心拍変動を計測するセンサーが心拍計測部11として採用されても良い。
【0028】
活動量計測部12は、例えば、加速度を計測して、計測した加速度から活動量を推定するリストバンド型のセンサーなど、様々なセンサーによって構成されることが可能である。活動量計測部12としてどのようなセンサーが採用されるかは、ユーザー毎に決定されても良い。
【0029】
図2は、ユーザー用コンピューター20のブロック図である。
【0030】
図2に示すように、ユーザー用コンピューター20は、種々の操作が入力される例えばボタンなどの操作デバイスである操作部21と、種々の情報を表示する例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部22と、種々の情報を音によって出力する音出力デバイスである音出力部23と、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部24と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部25と、ユーザー用コンピューター20全体を制御する制御部26とを備えている。ユーザー用コンピューター20は、例えばスマートフォンによって構成されても良い。
【0031】
記憶部25は、ユーザーに向けて疼痛の対策を実行するためのユーザー向けアプリケーションプログラム25aを記憶している。ユーザー向けアプリケーションプログラム25aは、例えば、ユーザー用コンピューター20の製造段階でユーザー用コンピューター20にインストールされていても良いし、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの外部の記憶媒体からユーザー用コンピューター20に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上からユーザー用コンピューター20に追加でインストールされても良い。
【0032】
記憶部25は、疼痛判定システム40による判定結果の履歴を示す判定結果履歴25bを記憶可能である。
【0033】
制御部26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、制御部26のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部26のCPUは、記憶部25または制御部26のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0034】
制御部26は、ユーザー向けアプリケーションプログラム25aを実行することによって、疼痛判定システム40による判定結果を出力する判定結果出力部26aを実現する。
【0035】
【0036】
図3に示す判定結果履歴25bは、疼痛判定システム40による判定の対象のユーザーの識別情報としてのユーザーIDと、疼痛判定システム40による判定日時と、疼痛判定システム40による判定結果とを疼痛判定システム40による判定毎に記憶している。
【0037】
疼痛判定システム40による判定結果は、例えば、疼痛度を数値で表したものでも良い。例えば、疼痛度は、痛みが全く無い「0」と、少し痛みが有る「1」と、「1」より痛みが強い「2」と、「2」より痛みが強い「3」と、「3」より痛みが強い「4」と、「4」より痛みが強い「5」との6段階の数値で表されても良い。
【0038】
図4は、管理者用コンピューター30のブロック図である。
【0039】
図4に示すように、管理者用コンピューター30は、種々の操作が入力される例えばボタンなどの操作デバイスである操作部31と、種々の情報を表示する例えばLCDなどの表示デバイスである表示部32と、種々の情報を音によって出力する音出力デバイスである音出力部33と、LAN、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部34と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部35と、管理者用コンピューター30全体を制御する制御部36とを備えている。管理者用コンピューター30は、例えば、疼痛対策システム10が医療機関において患者の疼痛の対策に使用されるものである場合には、電子カルテに使用されるPC(Personal Computer)、ベッドサイドモニターなどによって構成されても良い。
【0040】
記憶部35は、管理者に向けて疼痛の対策を実行するための管理者向けアプリケーションプログラム35aを記憶している。管理者向けアプリケーションプログラム35aは、例えば、管理者用コンピューター30の製造段階で管理者用コンピューター30にインストールされていても良いし、USBメモリーなどの外部の記憶媒体から管理者用コンピューター30に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上から管理者用コンピューター30に追加でインストールされても良い。
【0041】
記憶部35は、疼痛判定システム40による判定結果の履歴を示す判定結果履歴35bを記憶可能である。判定結果履歴35bは、
図3に示す判定結果履歴25bと同様に、疼痛判定システム40による判定の対象のユーザーのユーザーIDと、疼痛判定システム40による判定日時と、疼痛判定システム40による判定結果とを疼痛判定システム40による判定毎に記憶している。
【0042】
制御部36は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、制御部36のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAMとを備えている。制御部36のCPUは、記憶部35または制御部36のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0043】
制御部36は、管理者向けアプリケーションプログラム35aを実行することによって、疼痛判定システム40による判定結果を出力する判定結果出力部36aを実現する。
【0044】
図5は、疼痛判定システム40の一例のブロック図である。
【0045】
図5に示すように、疼痛判定システム40は、インターネットなどのネットワーク経由で外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部41と、各種の情報を記憶する例えば半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部42と、疼痛判定システム40全体を制御する制御部43とを備えている。疼痛判定システム40は、クラウド上に構築されている。疼痛判定システム40は、
図5に示す例では1台のコンピューターによって構成されているが、複数台のコンピューターによって構成されても良い。
【0046】
記憶部42は、ユーザーの疼痛度を判定するための疼痛判定プログラム42aを記憶している。疼痛判定プログラム42aは、例えば、疼痛判定システム40の製造段階で疼痛判定システム40にインストールされていても良いし、USBメモリーなどの外部の記憶媒体から疼痛判定システム40に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上から疼痛判定システム40に追加でインストールされても良い。
【0047】
記憶部42は、ユーザーが感じている不安の度合い(以下「不安度」という。)をユーザー毎に示す不安度情報42bと、ユーザーが感じている抑うつの度合い(以下「抑うつ度」という。)をユーザー毎に示す抑うつ度情報42cとを記憶している。
【0048】
記憶部42は、心拍変動解析に基づくLF/HFと、不安度および抑うつ度とが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルである疼痛判定モデル42dを記憶している。例えば、疼痛判定モデル42dは、痛みが全く無い「0」と、少し痛みが有る「1」と、「1」より痛みが強い「2」と、「2」より痛みが強い「3」と、「3」より痛みが強い「4」と、「4」より痛みが強い「5」との6段階で疼痛度を判定しても良い。記憶部42は、疼痛判定モデル42dと同様の構成の疼痛判定モデルを、疼痛判定モデル42d以外に少なくとも1つ記憶しても良い。記憶部42において、疼痛判定モデルは、ユーザー毎に記憶されている。以下において、疼痛判定モデル42dは、心拍計測部11、活動量計測部12およびユーザー用コンピューター20の対象のユーザーを対象にしているものとする。
【0049】
なお、LF/HFにおけるLF(Low Frequency)は、心拍変動の時系列データから抽出した低周波成分である。LF/HFにおけるHF(Hi Frequency)は、心拍変動の時系列データから抽出した高周波成分である。LF/HFは、副交感神経が活性化している場合に小さくなり、交感神経が活性化している場合に大きくなる。
【0050】
記憶部42は、疼痛判定システム40による判定結果の履歴を示す判定結果履歴42eを記憶可能である。判定結果履歴42eは、
図3に示す判定結果履歴25bと同様に、疼痛判定システム40による判定の対象のユーザーのユーザーIDと、疼痛判定システム40による判定日時と、疼痛判定システム40による判定結果とを疼痛判定システム40による判定毎に記憶している。
【0051】
制御部43は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROMと、制御部43のCPUの作業領域として用いられるメモリーとしてのRAMとを備えている。制御部43のCPUは、記憶部42または制御部43のROMに記憶されているプログラムを実行する。
【0052】
制御部43は、疼痛判定プログラム42aを実行することによって、ユーザーの疼痛度を判定する疼痛判定部43aを実現する。
【0053】
次に、疼痛対策システム10の動作について説明する。
【0054】
なお、以下においては、心拍計測部11、活動量計測部12、ユーザー用コンピューター20および疼痛判定モデル42dの対象のユーザーに対する動作について説明する。
【0055】
まず、不安度および抑うつ度を取得する場合の疼痛判定システム40の動作について説明する。
【0056】
図6は、不安度および抑うつ度を取得する場合の疼痛判定システム40の動作のフローチャートである。
【0057】
疼痛判定システム40の疼痛判定部43aは、特定のタイミングで、
図6に示す動作を実行する。ここで、特定のタイミングとは、例えば、定期的なタイミングでも良いし、ユーザー用コンピューター20を介してユーザーから指示されたタイミングでも良い。
【0058】
図6に示すように、疼痛判定部43aは、不安度および抑うつ度を取得するためのアンケート(以下「不安度抑うつ度取得用アンケート」という。)をユーザー用コンピューター20を介してユーザーに対して実行する(S101)。不安度抑うつ度取得用アンケートとしては、例えばHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)が採用されても良い。
【0059】
疼痛判定部43aは、S101において実行した不安度抑うつ度取得用アンケートが終了すると、S101において実行した不安度抑うつ度取得用アンケートの結果に基づいて、特定のアルゴリズムで不安度および抑うつ度を判定する(S102)。
【0060】
疼痛判定部43aは、S102の処理が終了すると、S102において判定した不安度および抑うつ度をそれぞれ不安度情報42bおよび抑うつ度情報42cに書き込んで(S103)、
図6に示す動作を終了する。
【0061】
次に、疼痛度を判定する場合の疼痛判定システム40の動作について説明する。
【0062】
図7は、疼痛度を判定する場合の疼痛判定システム40の動作のフローチャートである。
【0063】
図7に示すように、疼痛判定システム40の疼痛判定部43aは、心拍計測部11によって計測された心拍変動を心拍計測部11から取得する(S121)。
【0064】
疼痛判定部43aは、S121の処理の後、心拍変動解析に基づくLF/HFを、これまでのS121において取得した心拍変動に基づいて算出する(S122)。
【0065】
疼痛判定部43aは、S122の処理の後、活動量計測部12によって計測された活動量を活動量計測部12から取得する(S123)。
【0066】
疼痛判定部43aは、S123の処理の後、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがあったか否かを判断する(S124)。ここで、特定の期間とは、例えば5分間である。直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがなかった場合には、ユーザーが安静な状態である可能性が高い。一方、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがあった場合には、ユーザーが安静な状態ではない可能性が高い。したがって、S124の処理は、ユーザーが安静な状態であるか否かをユーザーの活動量に基づいて判定する処理である。
【0067】
疼痛判定部43aは、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがなかったとS124において判断すると、直前のS122において算出したLF/HFと、不安度情報42bに記憶されているユーザーの不安度と、抑うつ度情報42cに記憶されているユーザーの抑うつ度とに基づいて、疼痛判定モデル42dを使用して疼痛度を判定する(S125)。
【0068】
疼痛判定部43aは、S125の処理が終了すると、S125における判定の対象のユーザーのユーザーIDと、判定日時としての現在の日時と、直前のS125における判定結果との組み合わせを判定結果履歴42eに書き込む(S126)。ここで、S126の処理は、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがあった場合(S124でYES)、すなわち、ユーザーが安静な状態ではない場合には実行されず、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがなかった場合(S124でNO)、すなわち、ユーザーが安静な状態である場合にのみ実行される。したがって、S126において判定結果履歴42eに書き込まれる判定結果は、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛度のみである。すなわち、疼痛判定部43aは、ユーザーが安静な状態である場合(S124でNO)にS125において判定した疼痛度を、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛度として判定結果履歴42eにS126において出力する。
【0069】
疼痛判定部43aは、S126の処理が終了すると、直前のS126において判定結果履歴42eに書き込んだユーザーID、判定日時および判定結果の組み合わせをユーザー用コンピューター20および管理者用コンピューター30に送信する(S127)。ここで、S127の処理は、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがあった場合(S124でYES)、すなわち、ユーザーが安静な状態ではない場合には実行されず、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがなかった場合(S124でNO)、すなわち、ユーザーが安静な状態である場合にのみ実行される。したがって、S127においてユーザー用コンピューター20および管理者用コンピューター30に送信される判定結果は、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛度のみである。すなわち、疼痛判定部43aは、ユーザーが安静な状態である場合(S124でNO)にS125において判定した疼痛度を、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛度としてユーザー用コンピューター20および管理者用コンピューター30にS127において出力する。
【0070】
疼痛判定部43aは、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがあったとS124において判断するか、S127の処理が終了すると、S121の処理を実行する。
【0071】
図8は、ユーザーID、判定日時および判定結果の組み合わせを受信した場合のユーザー用コンピューター20の動作のフローチャートである。
【0072】
ユーザー用コンピューター20の判定結果出力部26aは、S127において疼痛判定システム40から送信されたユーザーID、判定日時および判定結果の組み合わせを受信する度に、
図8に示す動作を実行する。
【0073】
図8に示すように、判定結果出力部26aは、受信したユーザーID、判定日時および判定結果の組み合わせを判定結果履歴25bに書き込む(S141)。
【0074】
次いで、判定結果出力部26aは、判定結果履歴25bにおける最新の判定結果が「0」であるか否かを判断する(S142)。
【0075】
判定結果出力部26aは、判定結果履歴25bにおける最新の判定結果が「0」ではない、すなわち、ユーザーの疼痛度が「0」ではないとS142において判断すると、例えば、判定結果履歴25bにおける最新の判定結果を表示部22による表示と、音出力部23による音の出力との少なくとも1つによって出力することによって、アラートを実行する(S143)。したがって、ユーザーは、ユーザー自身の疼痛度をリアルタイムで把握することができる。S143におけるアラートは、例えば、ユーザーが退院後の患者である場合には、病院に行くことをユーザーに勧めたり、特定の薬を服用することをユーザーに勧めたりするものでも良い。
【0076】
判定結果出力部26aは、判定結果履歴25bにおける最新の判定結果が「0」であるとS142において判断するか、S143の処理が終了すると、
図8に示す動作を終了する。
【0077】
なお、判定結果出力部26aは、任意のタイミングで、例えば操作部21からの指示に応じて、判定結果履歴25bまたは判定結果履歴42eに示される情報に基づいた情報を例えば表示部22による表示などの任意の通知方法によって通知することができる。したがって、ユーザーは、例えば、ユーザー自身の疼痛度の履歴を把握することができる。
【0078】
図9は、ユーザーID、判定日時および判定結果の組み合わせを受信した場合の管理者用コンピューター30の動作のフローチャートである。
【0079】
管理者用コンピューター30の判定結果出力部36aは、S127において疼痛判定システム40から送信されたユーザーID、判定日時および判定結果の組み合わせを受信する度に、
図9に示す動作を実行する。
【0080】
図9に示すように、判定結果出力部36aは、受信したユーザーID、判定日時および判定結果の組み合わせを判定結果履歴35bに書き込む(S161)。
【0081】
次いで、判定結果出力部36aは、判定結果履歴35bにおける最新の判定結果が「0」であるか否かを判断する(S162)。
【0082】
判定結果出力部36aは、判定結果履歴35bにおける最新の判定結果が「0」ではない、すなわち、ユーザーの疼痛度が「0」ではないとS162において判断すると、例えば、判定結果履歴35bにおける最新の判定結果を表示部32による表示と、音出力部33による音の出力との少なくとも1つによって出力することによって、アラートを実行する(S163)。したがって、管理者は、ユーザーの疼痛度をリアルタイムで把握することができる。その結果、例えば、管理者、ユーザーがそれぞれ医者、患者である場合に、医者が患者に放射線治療を行うとき、患者の疼痛度が特定の程度以下であれば、放射線の放射量を減少させることができる。また、例えば、管理者、ユーザーがそれぞれ医者、患者である場合に、患者の疼痛度が特定の程度以上であるとき、医者が患者に対して痛み止めなどの薬を投与したり、マッサージなどの治療を施したりすることができる。
【0083】
判定結果出力部36aは、判定結果履歴35bにおける最新の判定結果が「0」であるとS162において判断するか、S163の処理が終了すると、
図9に示す動作を終了する。
【0084】
なお、判定結果出力部36aは、任意のタイミングで、例えば操作部31からの指示に応じて、判定結果履歴35bまたは判定結果履歴42eに示される情報に基づいた情報を例えば表示部32による表示などの任意の通知方法によって通知することができる。したがって、管理者は、例えば、ユーザーの疼痛度の履歴を把握することができる。例えば、管理者用コンピューター30がユーザーへの薬の投与履歴を管理している場合、管理者は、ユーザーへの薬の投与履歴と、ユーザーの疼痛度の履歴とを比較することによって、ユーザーへの薬の投与の効果を確認することができる。
【0085】
次に、ユーザーが感じている疼痛度(以下「主観疼痛度」という。)を取得する場合の疼痛判定システム40の動作について説明する。
【0086】
図10は、主観疼痛度を取得する場合の疼痛判定システム40の動作のフローチャートである。
【0087】
疼痛判定システム40の疼痛判定部43aは、特定のタイミングで、
図10に示す動作を実行する。ここで、特定のタイミングとは、例えば、定期的なタイミングでも良いし、ユーザー用コンピューター20を介してユーザーから指示されたタイミングでも良い。
【0088】
図10に示すように、疼痛判定部43aは、主観疼痛度を取得するためのアンケート(以下「疼痛度取得用アンケート」という。)をユーザー用コンピューター20を介してユーザーに対して実行する(S181)。疼痛度取得用アンケートは、主観疼痛度を取得するための質問だけでなく、不安度および抑うつ度を取得するための質問も含まれている。主観疼痛度を取得するための質問としては、例えばNRS(Numerical Rating Scale)が使用されても良い。
【0089】
疼痛判定部43aは、S181において実行した疼痛度取得用アンケートが終了すると、S181において実行した疼痛度取得用アンケートの結果に基づいて、特定のアルゴリズムで主観疼痛度、不安度および抑うつ度を判定する(S182)。
【0090】
疼痛判定部43aは、S182の処理が終了すると、S182において判定した不安度および抑うつ度をそれぞれ不安度情報42bおよび抑うつ度情報42cに書き込む(S183)。
【0091】
疼痛判定部43aは、S183の処理が終了すると、直前の特定の期間においてS123(
図7参照。)において取得した活動量が特定の量以上であることがあったか否かを判断する(S184)。ここで、特定の期間とは、例えば5分間である。
【0092】
疼痛判定部43aは、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがなかったとS184において判断すると、直前のS122(
図7参照。)において算出したLF/HFと、S182において判定した主観疼痛度、不安度および抑うつ度とに基づいて疼痛判定モデル42dを更新する(S185)。すなわち、疼痛判定部43aは、直前のS122において算出したLF/HFと、S182において判定した不安度および抑うつ度とを入力データにするとともに、S182において判定した主観疼痛度を正解データにすることによって、疼痛判定モデル42dの再学習を実行する。
【0093】
疼痛判定部43aは、直前の特定の期間においてS123において取得した活動量が特定の量以上であることがあったとS184において判断するか、S185の処理が終了すると、
図10に示す動作を終了する。
【0094】
以上に説明したように、疼痛対策システム10は、ユーザーの活動量が直前の特定の期間において特定の量以上であることがあった場合(S124でYES)、すなわち、ユーザーの活動量がユーザーの心拍変動に特定の程度以上の影響を与えている可能性がある場合に、ユーザーの疼痛度の判定(S125)を中止する。したがって、疼痛対策システム10は、ユーザーの活動量が直前の特定の期間において特定の量以上であることがなかった場合(S124でNO)、すなわち、ユーザーが安静な状態である場合にS125において判定した疼痛の度合いを、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いとして出力する(S126およびS127)。したがって、疼痛対策システム10は、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0095】
なお、疼痛対策システム10は、本実施の形態において、ユーザーの活動量が直前の特定の期間において特定の量以上であることがあった場合(S124でYES)に、ユーザーの疼痛度の判定(S125)を中止する。しかしながら、疼痛対策システム10は、ユーザーの活動量が直前の特定の期間において特定の量以上であることがあった場合(S124でYES)に、ユーザーの疼痛度の判定(S125)を中止せずに実行した上で、その判定結果を無効にしても良い。
【0096】
疼痛対策システム10は、ユーザーの疼痛度を判定するための機械学習モデルである疼痛判定モデルを、ユーザーが感じている疼痛度である主観疼痛度と、ユーザーの不安度および抑うつ度と、心拍計測部11によって計測された心拍変動に基づいたLF/HFとに基づいて更新する(S185)ので、疼痛度の判定をユーザーに適したものにすることができる。
【0097】
疼痛対策システム10は、ユーザーの不安度および抑うつ度と、ユーザーの心拍変動に基づいたLF/HFとに基づいてユーザーの疼痛度を判定する(S125)ので、ユーザーの不安度および抑うつ度がユーザーの心拍変動に影響を与える場合であっても、疼痛度を適切に判定する可能性を向上することができる。
【0098】
疼痛対策システム10は、本実施の形態において、疼痛度の判定結果に応じてアラートを実行する(S143およびS163)。しかしながら、疼痛対策システム10は、疼痛度の判定結果に応じて、アラート以外の動作を、アラートに代えて、または、アラートに加えて、実行しても良い。例えば、疼痛対策システム10は、疼痛度の判定結果に応じて、患者に対して痛み止めなどの薬を投与したり、マッサージなどの治療を施したりしても良い。
【0099】
疼痛判定モデルは、本実施の形態において、LF/HFと、不安度および抑うつ度とが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルである。しかしながら、疼痛判定モデルは、LF/HFと、不安度および抑うつ度の少なくとも1つと、他の少なくとも1つの情報とが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルであっても良いし、LF/HFのみが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルであっても良い。
【0100】
疼痛判定モデルがLF/HFのみが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルである場合、疼痛判定システム40は、不安度および抑うつ度の組み合わせ毎に疼痛判定モデルを備えても良いし、不安度および抑うつ度に関係なく1つの疼痛判定モデルのみを備えても良い。
【0101】
疼痛判定モデルがLF/HFのみが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルである場合、疼痛判定システム40は、S185においてLF/HFおよび主観疼痛度のみに基づいて疼痛判定モデル42dを更新する。疼痛判定モデルがLF/HFのみが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルであって、疼痛判定システム40が不安度および抑うつ度に関係なく1つの疼痛判定モデルのみを備える場合、疼痛判定システム40が
図6に示す動作を実行しなくても良いし、不安度および抑うつ度を取得するための質問が疼痛度取得用アンケートに含まれていなくても良いし、疼痛判定システム40がS182において不安度および抑うつ度を判定しなくても良いし、疼痛判定システム40がS183の処理を実行しなくても良い。
【0102】
疼痛判定システム40は、本実施の形態において、ユーザーの疼痛度を判定するための機械学習モデルである疼痛判定モデルを使用してユーザーの疼痛度を判定する。しかしながら、疼痛判定システム40は、機械学習モデルではない特定のアルゴリズムを使用してユーザーの疼痛度を判定しても良い。
【0103】
疼痛判定システム40は、本実施の形態において、ユーザーの心拍変動に基づいたLF/HFに少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定する。しかしながら、疼痛判定システム40は、LF/HFに代えて、または、LF/HFに加えて、ユーザーの心拍変動に基づいた、LF/HF以外の少なくとも1つの指標に少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定しても良い。例えば、疼痛判定システム40は、LF/HFに代えて、または、LF/HFに加えて、ユーザーの心拍変動に基づいたRMSSD(root Mean Square of Successive Differences)と、ユーザーの心拍変動に基づいたTP(トータルパワー:LF+HF)との少なくとも1つに少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定しても良い。RMSSDは、連続して隣接する心拍間隔の差の2乗の平均値の平方根であり、値が大きいほど、ユーザーがリラックスしている度合いが高いことを示す指標である。
【0104】
疼痛判定システム40は、本実施の形態において、ユーザーの心拍変動に基づいたLF/HFに少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定する。しかしながら、疼痛判定システム40は、ユーザーの心拍変動に基づいた少なくとも1つの指標に代えて、または、ユーザーの心拍変動に基づいた少なくとも1つの指標に加えて、ユーザーの心拍数に少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定しても良い。ユーザーの心拍数は、心拍計測部によって計測されても良い。疼痛対策システム10は、疼痛判定システム40がユーザーの心拍数に少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定する場合、ユーザーの活動量が直前の特定の期間において特定の量以上であることがあったとき(S124でYES)、すなわち、ユーザーの活動量がユーザーの心拍数に特定の程度以上の影響を与えている可能性がある場合に、ユーザーの疼痛度の判定(S125)を中止するので、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0105】
疼痛判定システム40は、本実施の形態において、ユーザーの心拍変動と、不安度および抑うつ度とに基づいてユーザーの疼痛度を判定する。しかしながら、疼痛判定システム40は、ユーザーの心拍変動と、不安度および抑うつ度と、他の少なくとも1つの情報とに基づいてユーザーの疼痛度を判定しても良いし、ユーザーの心拍変動のみに基づいてユーザーの疼痛度を判定しても良い。
【0106】
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態に係る疼痛対策システムの構成について説明する。
【0107】
本実施の形態に係る疼痛対策システムの構成は、第1の実施の形態に係る疼痛対策システム10(
図1参照。)の構成とほぼ同様である。したがって、以下においては、本実施の形態に係る疼痛対策システムの構成については、第1の実施の形態に係る疼痛対策システム10の構成と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0108】
図11は、本実施の形態に係る疼痛対策システムの判定結果履歴25bの一例を示す図である。
【0109】
図11に示す判定結果履歴25bは、疼痛判定システム40による判定の対象のユーザーのユーザーIDと、疼痛判定システム40による判定日時と、ユーザーの活動状態と、疼痛判定システム40による判定結果とを疼痛判定システム40による判定毎に記憶している。
【0110】
ユーザーの活動状態には、ユーザーが安静な状態である「安静状態」と、ユーザーが安静な状態ではない「非安静状態」とが存在する。
【0111】
疼痛判定システム40による判定結果は、第1の実施の形態と同様に、例えば、疼痛度を数値で表したものでも良い。
【0112】
本実施の形態に係る疼痛対策システムの判定結果履歴35bおよび判定結果履歴42eは、
図11に示す判定結果履歴25bと同様に、疼痛判定システム40による判定の対象のユーザーのユーザーIDと、疼痛判定システム40による判定日時と、ユーザーの活動状態と、疼痛判定システム40による判定結果とを疼痛判定システム40による判定毎に記憶している。
【0113】
次に、本実施の形態に係る疼痛対策システムの動作について説明する。
【0114】
なお、以下においては、心拍計測部11、活動量計測部12、ユーザー用コンピューター20および疼痛判定モデル42dの対象のユーザーに対する動作について説明する。
【0115】
まず、不安度および抑うつ度を取得する場合の疼痛判定システム40の動作について説明する。
【0116】
疼痛判定システム40の疼痛判定部43aは、第1の実施の形態と同様に、特定のタイミングで、
図6に示す動作を実行することによって、不安度および抑うつ度を取得することができる。
【0117】
次に、疼痛度を判定する場合の疼痛判定システム40の動作について説明する。
【0118】
図12は、疼痛度を判定する場合の疼痛判定システム40の動作のフローチャートである。
【0119】
図12に示すように、疼痛判定システム40の疼痛判定部43aは、S121~S123(
図7参照。)の処理と同様のS221~S223の処理を実行する。
【0120】
疼痛判定部43aは、S123の処理の後、S125(
図7参照。)の処理と同様のS224の処理を実行する。
【0121】
疼痛判定部43aは、S224の処理が終了すると、S124(
図7参照。)の処理と同様のS225の処理を実行する。
【0122】
疼痛判定部43aは、直前の特定の期間においてS223において取得した活動量が特定の量以上であることがなかったとS225において判断すると、S224における判定の対象のユーザーのユーザーIDと、判定日時としての現在の日時と、「安静状態」という活動状態と、直前のS224における判定結果との組み合わせを判定結果履歴42eに書き込む(S226)。すなわち、疼痛判定部43aは、ユーザーが安静な状態である場合(S225でNO)にS224において判定した疼痛度を、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛度として判定結果履歴42eにS226において出力する。
【0123】
疼痛判定部43aは、直前の特定の期間においてS223において取得した活動量が特定の量以上であることがあったとS225において判断すると、S224における判定の対象のユーザーのユーザーIDと、判定日時としての現在の日時と、「非安静状態」という活動状態と、直前のS224における判定結果との組み合わせを判定結果履歴42eに書き込む(S227)。すなわち、疼痛判定部43aは、ユーザーが安静な状態ではない場合(S225でYES)にS224において判定した疼痛度を、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛度として判定結果履歴42eにS227において出力する。
【0124】
疼痛判定部43aは、S226またはS227の処理が終了すると、S226およびS227のうち直前に実行した方において判定結果履歴42eに書き込んだユーザーID、判定日時、活動状態および判定結果の組み合わせをユーザー用コンピューター20および管理者用コンピューター30に送信する(S228)。すなわち、疼痛判定部43aは、ユーザーが安静な状態である場合(S225でNO)にS224において判定した疼痛度を、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛度としてユーザー用コンピューター20および管理者用コンピューター30にS228において出力するとともに、ユーザーが安静な状態ではない場合(S225でYES)にS224において判定した疼痛度を、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛度としてユーザー用コンピューター20および管理者用コンピューター30にS228において出力する。
【0125】
疼痛判定部43aは、S228の処理が終了すると、S221の処理を実行する。
【0126】
図13は、ユーザーID、判定日時、活動状態および判定結果の組み合わせを受信した場合のユーザー用コンピューター20の動作のフローチャートである。
【0127】
ユーザー用コンピューター20の判定結果出力部26aは、S228において疼痛判定システム40から送信されたユーザーID、判定日時、活動状態および判定結果の組み合わせを受信する度に、
図13に示す動作を実行する。
【0128】
図13に示すように、判定結果出力部26aは、受信したユーザーID、判定日時、活動状態および判定結果の組み合わせを判定結果履歴25bに書き込む(S241)。
【0129】
次いで、判定結果出力部26aは、S142~S143(
図8参照。)の処理と同様のS242~S243の処理を実行して、
図13に示す動作を終了する。
【0130】
なお、判定結果出力部26aは、第1の実施の形態と同様に、任意のタイミングで、例えば操作部21からの指示に応じて、判定結果履歴25bまたは判定結果履歴42eに示される情報に基づいた情報を例えば表示部22による表示などの任意の通知方法によって通知することができる。
【0131】
図14は、ユーザーID、判定日時、活動状態および判定結果の組み合わせを受信した場合の管理者用コンピューター30の動作のフローチャートである。
【0132】
管理者用コンピューター30の判定結果出力部36aは、S228において疼痛判定システム40から送信されたユーザーID、判定日時、活動状態および判定結果の組み合わせを受信する度に、
図14に示す動作を実行する。
【0133】
図14に示すように、判定結果出力部36aは、受信したユーザーID、判定日時、活動状態および判定結果の組み合わせを判定結果履歴35bに書き込む(S261)。
【0134】
次いで、判定結果出力部26aは、S162~S163(
図8参照。)の処理と同様のS262~S263の処理を実行して、
図14に示す動作を終了する。
【0135】
なお、判定結果出力部36aは、第1の実施の形態と同様に、任意のタイミングで、例えば操作部31からの指示に応じて、判定結果履歴35bまたは判定結果履歴42eに示される情報に基づいた情報を例えば表示部32による表示などの任意の通知方法によって通知することができる。
【0136】
図15は、活動状態が「安静状態」である場合の判定結果と、活動状態が「非安静状態」である場合の判定結果とを通知するときの管理者用コンピューター30の動作のフローチャートである。
【0137】
管理者用コンピューター30を使用する医療従事者は、判定結果履歴35bに示される情報に基づいた情報として、活動状態が「安静状態」である場合の判定結果と、活動状態が「非安静状態」である場合の判定結果とを通知することの指示(以下「活動状態別判定結果通知指示」という。)を操作部31から入力することができる。ここで、活動状態別判定結果通知指示には、対象のユーザーと、対象の期間とが含まれる。
【0138】
管理者用コンピューター30の判定結果出力部36aは、活動状態別判定結果通知指示が操作部31から入力されると、
図15に示す動作を実行する。
【0139】
図15に示すように、判定結果出力部36aは、判定結果履歴35bに示される判定結果のうち、活動状態別判定結果通知指示に含まれる対象のユーザーが対象であって、活動状態別判定結果通知指示に含まれる対象の期間内に判定日時が含まれ、活動状態が「安静状態」である判定結果の平均値を算出する(S281)。
【0140】
次いで、判定結果出力部36aは、S281において算出した平均値の小数点第一位を四捨五入して整数にする(S282)。
【0141】
次いで、判定結果出力部36aは、判定結果履歴35bに示される判定結果のうち、活動状態別判定結果通知指示に含まれる対象のユーザーが対象であって、活動状態別判定結果通知指示に含まれる対象の期間内に判定日時が含まれ、活動状態が「非安静状態」である判定結果の平均値を算出する(S283)。
【0142】
次いで、判定結果出力部36aは、S283において算出した平均値の小数点第一位を四捨五入して整数にする(S284)。
【0143】
次いで、判定結果出力部36aは、S282において算出した値、S284において算出した値を、それぞれ、活動状態が「安静状態」である場合の判定結果、活動状態が「非安静状態」である場合の判定結果として、表示部32に表示する(S285)。したがって、管理者用コンピューター30を使用する医療従事者は、対象のユーザーである患者に対して、表示部32に表示された判定結果に応じた適切な治療を施すことができる。
【0144】
例えば、活動状態が「安静状態」である場合の疼痛の度合いと、活動状態が「非安静状態」である場合の疼痛の度合いとのいずれも「0」ではない患者は、活動状態に関係なく痛みが有る患者である。
【0145】
活動状態が「安静状態」である場合の疼痛の度合いが「0」ではなく、活動状態が「非安静状態」である場合の疼痛の度合いが「0」である患者は、活動状態が「安静状態」である場合にのみ痛みが有る患者である。例えば、筋骨格系以外の場所に病気が存在する患者は、身体活動によって気が紛れることによって、病気に起因する痛みが和らぐ場合がある。そのため、筋骨格系以外の場所に病気が存在する患者は、活動状態が「安静状態」である場合にのみ痛みが有る場合がある。
【0146】
活動状態が「安静状態」である場合の疼痛の度合いが「0」であり、活動状態が「非安静状態」である場合の疼痛の度合いが「0」ではない患者は、活動状態が「非安静状態」である場合にのみ痛みが有る患者である。例えば、筋骨格系に病気が存在する患者は、病気に起因する痛みが身体活動によって強まる場合がある。すなわち、筋骨格系に病気が存在する患者は、活動状態が「非安静状態」である場合にのみ痛みが有る場合がある。
【0147】
活動状態が「安静状態」である場合の疼痛の度合いと、活動状態が「非安静状態」である場合の疼痛の度合いとのいずれも「0」である患者は、活動状態に関係なく痛みが全く無い患者である。
【0148】
判定結果出力部36aは、S285の処理が終了すると、
図15に示す動作を終了する。
【0149】
なお、判定結果出力部36aは、以上において、判定結果履歴35bに示される情報を利用して
図15に示す動作を実行する。しかしながら、判定結果出力部36aは、判定結果履歴35bに示される情報に代えて、判定結果履歴42eに示される情報を利用して
図15に示す動作を実行しても良い。
【0150】
図15に示す動作は、判定結果履歴35bまたは判定結果履歴42eに示される情報に基づいた情報を管理者用コンピューター30が通知する動作である。同様に、ユーザー用コンピューター20は、判定結果履歴25bまたは判定結果履歴42eに示される情報に基づいた情報を通知する動作を実行しても良い。
【0151】
以上に説明したように、本実施の形態に係る疼痛対策システムは、ユーザーが安静な状態である場合、すなわち、ユーザーの活動量が直前の特定の期間において特定の量以上であることがなかった場合(S225でNO)にS224において判定した疼痛の度合いを、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いとして出力する(S226およびS228)。したがって、本実施の形態に係る疼痛対策システムは、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0152】
本実施の形態に係る疼痛対策システムは、ユーザーが安静な状態ではない場合、すなわち、ユーザーの活動量が直前の特定の期間において特定の量以上であることがあった場合(S225でYES)にS224において判定した疼痛の度合いを、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いとして出力する(S227およびS228)。したがって、本実施の形態に係る疼痛対策システムは、疼痛の度合いを適切に判定する可能性を向上することができる。
【0153】
特に、本実施の形態に係る疼痛対策システムは、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いと、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いとのそれぞれを出力する(S226~S228)ので、ユーザーの疼痛の度合いに対して、ユーザーの活動状態がどのように影響するかの、例えば管理者による把握を容易化することができる。
【0154】
本実施の形態に係る疼痛対策システムは、ユーザーの不安度および抑うつ度と、ユーザーの心拍変動に基づいたLF/HFとに基づいてユーザーの疼痛度を判定する(S224)ので、ユーザーの不安度および抑うつ度がユーザーの心拍変動に影響を与える場合であっても、疼痛度を適切に判定する可能性を向上することができる。
【0155】
本実施の形態に係る疼痛対策システムは、本実施の形態において、疼痛度の判定結果に応じてアラートを実行する(S243およびS263)。しかしながら、本実施の形態に係る疼痛対策システムは、疼痛度の判定結果に応じて、アラート以外の動作を、アラートに代えて、または、アラートに加えて、実行しても良い。例えば、本実施の形態に係る疼痛対策システムは、疼痛度の判定結果に応じて、患者に対して痛み止めなどの薬を投与したり、マッサージなどの治療を施したりしても良い。
【0156】
疼痛判定モデルは、本実施の形態において、LF/HFと、不安度および抑うつ度とが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルである。しかしながら、疼痛判定モデルは、LF/HFと、不安度および抑うつ度の少なくとも1つと、他の少なくとも1つの情報とが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルであっても良いし、LF/HFのみが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルであっても良い。疼痛判定モデルがLF/HFのみが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルである場合、疼痛判定システム40は、不安度および抑うつ度の組み合わせ毎に疼痛判定モデルを備えても良いし、不安度および抑うつ度に関係なく1つの疼痛判定モデルのみを備えても良い。疼痛判定モデルがLF/HFのみが入力されることによって疼痛度を出力する機械学習モデルであって、疼痛判定システム40が不安度および抑うつ度に関係なく1つの疼痛判定モデルのみを備える場合、疼痛判定システム40が
図6に示す動作を実行しなくても良い。
【0157】
疼痛判定システム40は、本実施の形態において、ユーザーの疼痛度を判定するための機械学習モデルである疼痛判定モデルを使用してユーザーの疼痛度を判定する。しかしながら、疼痛判定システム40は、機械学習モデルではない特定のアルゴリズムを使用してユーザーの疼痛度を判定しても良い。
【0158】
疼痛判定システム40は、本実施の形態において、ユーザーの心拍変動に基づいたLF/HFに少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定する。しかしながら、疼痛判定システム40は、LF/HFに代えて、または、LF/HFに加えて、ユーザーの心拍変動に基づいた、LF/HF以外の少なくとも1つの指標に少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定しても良い。
【0159】
疼痛判定システム40は、本実施の形態において、ユーザーの心拍変動に基づいたLF/HFに少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定する。しかしながら、疼痛判定システム40は、ユーザーの心拍変動に基づいた少なくとも1つの指標に代えて、または、ユーザーの心拍変動に基づいた少なくとも1つの指標に加えて、ユーザーの心拍数に少なくとも基づいてユーザーの疼痛度を判定しても良い。
【0160】
疼痛判定システム40は、本実施の形態において、ユーザーの心拍変動と、不安度および抑うつ度とに基づいてユーザーの疼痛度を判定する。しかしながら、疼痛判定システム40は、ユーザーの心拍変動と、不安度および抑うつ度と、他の少なくとも1つの情報とに基づいてユーザーの疼痛度を判定しても良いし、ユーザーの心拍変動のみに基づいてユーザーの疼痛度を判定しても良い。
【0161】
本実施の形態に係る疼痛対策システムは、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いと、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いとのそれぞれを出力する(S226~S228)。しかしながら、本実施の形態に係る疼痛対策システムは、第1の実施の形態と同様に、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いと、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いとのうち、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いのみを出力しても良い。また、本実施の形態に係る疼痛対策システムは、ユーザーが安静な状態である場合の疼痛の度合いと、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いとのうち、ユーザーが安静な状態ではない場合の疼痛の度合いのみを出力しても良い。
【符号の説明】
【0162】
10 疼痛対策システム
40 疼痛判定システム(コンピューター)
42a 疼痛判定プログラム
42d 疼痛判定モデル(機械学習モデル)
43a 疼痛判定部