(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029714
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】庇屋根
(51)【国際特許分類】
E04B 7/02 20060101AFI20240228BHJP
E04F 10/08 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
E04B7/02 501D
E04F10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132132
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】小澤 賢二
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA08
2E105BB03
2E105CC00
2E105FF03
2E105FF04
2E105FF09
2E105FF26
2E105FF36
2E105GG02
(57)【要約】
【課題】現場において簡単な作業で庇屋根の勾配を調整する。
【解決手段】躯体から持ち出し状に設けた支持機構と、前記支持機構に載置される屋根部材と、を備えた庇屋根において、前記支持機構は、躯体から持ち出し状に延びる複数の支持アーム2、2´と、支持アーム2、2´の前端に設けられる上側正面フレーム4と、を含み、前記屋根部材の上面の傾斜は、上側正面フレーム4の高さ位置によって規定され、支持アーム2、2´に対する上側正面フレーム4の高さがスペーサ12によって調整可能となっている。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体から持ち出し状に設けた支持機構と、
前記支持機構に載置される屋根部材と、
を備えた庇屋根において、
前記支持機構は、躯体から持ち出し状に延びる複数の支持アームと、前記支持アームの前端に設けられる正面フレームと、を含み、
前記屋根部材の上面の傾斜は、前記正面フレームの高さ位置によって規定され、
前記支持アームに対する前記正面フレームの高さが調整可能となっている、
庇屋根。
【請求項2】
前記支持アームは、前記正面フレームが固定される取付片と、下面部と、を備えており、
前記下面部は、前記取付片を越えて前方に延びる延出部を備えており、前記正面フレームは、前記延出部に載置した状態で、前記取付片に固定されるようになっており、
高さ調整手段によって、前記延出部に対する前記正面フレームの高さが調整可能となっている、
請求項1に記載の庇屋根。
【請求項3】
前記複数の支持アームは、左右の端部支持アームと、1本以上の中間支持アームと、からなり、
前記左右の端部支持アームには、左右の端部フレームが設けられ、
前記正面フレームの左右端部と前記左右の端部フレームの前端は係止しており、
前記正面フレームの高さ調整に連動して、前記左右の端部フレームの前端が上動するようになっている、
請求項1、2いずれか1項に記載の庇屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庇屋根に関するものである。
【背景技術】
【0002】
玄関や窓開口部等の建物開口部の上方に庇屋根を設ける場合がある。このような屋根の上面は、雨水を排出するために勾配を形成する必要がある。例えば特許文献1には、平面視で四角形状の屋根パネルの対向する2辺の位置で平行に配置された対の垂木受梁と、これら垂木受梁の間において両垂木受梁直交方向に架け渡された複数の垂木と、これら垂木に支持され、排水勾配に沿って傾斜した屋根面を形成するパネル材と、を備えた屋根パネルであって、前記垂木は、長手方向両端部が、前記垂木受梁に直接固定されているとともに、前記排水勾配の水上側に配置される箇所では水下側に配置される箇所よりも前記垂木受梁に対して高位置に固定され、これら垂木で形成される高低差により、前記ハネル材が、排水勾配に沿って傾斜されているものが開示されている。
【0003】
このような勾配を備えた屋根においては、現場において、勾配の調整が必要となる場合がある。特許文献1では、各垂木受梁に対して、それぞれ垂木の両端の高さ異ならせて垂木を傾斜させるのにあたり、垂木用ネジ穴を、挿通するネジの数よりも多い数設け、これらの垂木用ネジ穴に対して選択的にネジを挿通させてネジおよびこれに固定される垂木の高さを任意の高さに設定するようにしている。
【特許文献1】特開2012-140816
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、現場において簡単な作業で庇屋根の勾配を調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するべく本発明が採用した技術手段は、
躯体から持ち出し状に設けた支持機構と、
前記支持機構に載置される屋根部材と、
を備えた庇屋根において、
前記支持機構は、躯体から持ち出し状に延びる複数の支持アームと、前記支持アームの前端に設けられる正面フレームと、を含み、
前記屋根部材の上面の傾斜は、前記正面フレームの高さ位置によって規定され、
前記支持アームに対する前記正面フレームの高さが調整可能となっている、
庇屋根、である。
【0006】
1つの態様では、前記支持アームは、前記正面フレームが固定される取付片と、下面部と、を備えており、
前記下面部は、前記取付片を越えて前方に延びる延出部を備えており、前記正面フレームは、前記延出部に載置した状態で、前記取付片に固定されるようになっており、
高さ調整手段によって、前記延出部に対する前記正面フレームの高さが調整可能となっている。
【0007】
1つの態様では、高さ調整手段は、スペーサである。本明細書において、スペーサは広義に解釈されるものとし、スペーサには、プレート、螺子、詰め物等が含まれる。
【0008】
1つの態様では、前記複数の支持アームは、左右の端部支持アームと、1本以上の中間支持アームと、からなり、
前記左右の端部支持アームには、左右の端部フレームが設けられ、
前記正面フレームの左右端部と前記左右の端部フレームの前端は係止しており、
前記正面フレームの高さ調整に連動して、前記左右の端部フレームの前端が上動するようになっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、支持アームに対する正面フレームの高さを調整することで、屋根部材の傾斜の調整が可能となっている。
支持アームが、前記正面フレームが固定される取付片と、下面部と、を備えており、
前記下面部は、前記取付片を越えて前方に延びる延出部を備えており、前記正面フレームは、前記延出部に載置した状態で、前記取付片に固定されるようになっており、
高さ調整手段によって、前記延出部に対する前記正面フレームの高さが調整可能としたものでは、
正面フレームを支持アームに固定する際に、延出部に正面フレームを載置して仮置きすることができ、作業性が良好であり、また、高さ調整が必要な場合、不要な場合の両方に対応することができる。
【0010】
左右の端部支持アームには、左右の端部フレームが設けられ、
前記正面フレームの左右端部と前記左右の端部フレームの前端は係止しており、
前記正面フレームの高さ調整に連動して、前記左右の端部フレームの前端が上動するようにしたものでは、
正面フレームを上動させるだけで同時に左右の端部フレームの前端を上動させることができ、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】本実施形態に係る庇屋根の先端側部位を断面して示す正面図である。
【
図10】
図1において、ケース及び屋根部材が取り除かれた状態を示す上面図である。
【
図11】
図2において、ケース及び屋根部材が取り除かれた状態を示す底面図である。
【
図15】
図3において、ケース及び屋根部材が取り除かれた状態を示す正面図である。
【
図18】
図15において、正面フレーム(上側正面フレーム、下側正面フレーム)、下側端部フレームが取り付けられた状態を示す正面図である。
【
図23】腕木の先端に対する上側正面フレームの組付けを説明する分解斜視図である。
【
図24】上側正面フレームの高さ位置調整を説明する図である。
【
図25】上側正面フレームと上側端部フレームとの係止を説明する図である。
【
図26】正面ケースの側面部と側面ケースとの位置合わせを説明する分解斜視図である。
【
図27】正面ケースの側面部と側面ケースとの位置合わせを説明する図である。
【
図28】正面ケースの側面部と側面ケースとの位置合わせを説明する図である。
【
図29】正面ケースの側面部と側面ケースが位置合わせされた状態を示す図である。
【
図32】上図は上側位置合わせ要素、下図は下側位置合わせ要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明するが、図中の各要素の寸法比は、実際の寸法比と異なる点に留意されたい。
[A]庇屋根の基本構造
本実施形態に係る庇屋根は、建物開口部(例えば、玄関や窓部)の上方に位置して、躯体から持ち出し状に設けた支持機構と、前記支持機構に載置される屋根部材と、前記屋根部材の前方と側方を塞ぐように前記支持機構に取り付けられるケースと、からなる。本実施形態に係る庇屋根の全体構成を、
図1~
図5に示す。
【0013】
本実施形態に係る支持機構は、躯体(壁内部の構造部材である梁H)に対して持ち出し状に屋外側に延びる複数本の受金物1と、各受金物1に固定された複数本の腕木(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)と、腕木(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)の基端側を壁体Wに沿って開口幅方向に接続する壁付けフレーム17と、腕木(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)の長さ方向中間部位を開口幅方向に接続する根太3と、腕木(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)の前端を開口幅方向に連結する正面フレーム(上側正面フレーム4と下側正面フレーム5)と、左右の端部の腕木(端部支持アーム2´)に設けられた端部フレーム(上側端部フレーム6と下側端部フレーム7)と、からなる。なお、庇屋根の幅寸法に応じて、複数本の腕木は、左右端部の支持アーム2´のみでもよい。
【0014】
本実施形態に係る屋根部材は、支持機構に傾斜状に載置された方形状の板材10と、板材10に支持された屋根ケース11と、からなる。屋根ケース11の開口幅方向の一側には、壁体W側に位置して雨樋用の開口D(
図42に示す円形穴117に取り付けられる)が形成されている。屋根ケース11は壁体Wに向かって下向きに緩やかに傾斜する第1上面部110と、開口Dを備え、第1上面部110に対して壁体W側に位置して、開口Dに向かって開口幅方向に下向きに緩やかに傾斜する第2上面部111と、を備えている。第1上面部110の傾斜は、板材10の傾斜によって決定され、板材10の傾斜は、支持機構の支持部の高さ(支持機構の上側正面フレーム4の上面の高さ位置は根太3の上面の高さ位置よりも高い)によって決定される。庇屋根の上面の躯体側には、第2上面部111によって凹状の横樋が形成されている。
【0015】
本実施形態に係るケースは、屋根部材の前方と側方を塞ぐように支持機構に取り付けられる正面ケース8及び左右の側面ケース9と、からなる。本実施形態に係る正面ケース8は、正面部8Aと左右の側面部8Bとから、平面視コ字形状を有している。正面ケース8の正面部8Aは、正面フレーム(上側正面フレーム4と下側正面フレーム5)に固定され、正面ケース8の側面部8B及び側面ケース9は、端部フレーム(上側端部フレーム6と下側端部フレーム7)に固定されている。
【0016】
[B]庇屋根の構成部材
[B-1]受金物
受金物1は、躯体(壁内部の構造部材である梁H)に固定される垂直面部と、垂直面部から持ち出し状に縦姿勢で延びる長尺状のプレート部と、からなり、プレート部に腕木(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)が支持されて固定されるようになっている。
【0017】
[B-2]支持アーム(腕木)
支持アーム(腕木)は、受金物1に支持されて、躯体から持ち出し状に延びる長尺部材である。本実施形態に係る庇屋根の支持機構は、庇屋根の幅方向(開口幅方向)の両端の端部支持アーム2´と、1本以上の中間支持アーム2と、を備えている。支持アーム(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)は、ボルトS1によって、受金物1に固定される(
図5、
図12、
図13、
図22)。
【0018】
[B-2-1]中間支持アーム
図33に示すように、中間支持アーム2は、対向状の一対の垂直状の側面部20、20と、側面部20、20の上端の水平状の上面部21と、側面部20、20の前端の一対の正面部22、22と、側面部20、20の下端から互いに離間する方向に水平に延びる一対の下面部23、23と、からなる。中間支持アーム2は、一対の側面部20、20と上面部21とから形成された溝部に、受金物1のプレート部を受け入れることで、当該プレート部に支持された状態で、側面部20に形成された横長孔200から差し入れるボルトS1によって、受金物1に固定される。
【0019】
一対の下面部23、23の前端側には、前記一対の正面部22、22を越えて前方に延びる延出部230、230が一体形成されており、下面部23の長さ方向中間部位には、中間支持アーム2と根太3を連結するためのボルトS2の挿通孔231が形成されている。
【0020】
中間支持アーム2の下面部23の延出部230、230には上側正面フレーム4の下面部41(
図36参照)が載置される。一対の正面部22、22は、側面部20及び下面部23に対して垂直に延びる垂直面部であり、正面部22には、ボルトS3の挿通孔220が形成されている。正面部22は、上側正面フレーム4が取り付けられる取付片を形成しており、正面部22には、上側正面フレーム4の垂直面部42(
図36参照)が固定されるようになっている。
【0021】
[B-2-2]端部支持アーム2´
図34に示すように、端部支持アーム2´は、対向状の一対の垂直状の側面部20、20と、側面部20、20の上端の水平状の上面部21と、側面部20、20の前端の一対の正面部22、22と、側面部20、20の下端から互いに離間する方向に水平に延びる一対の下面部23、23´と、からなる。端部支持アーム2´は、一対の側面部20、20と上面部21とから形成された溝部に、受金物1のプレート部を受け入れることで、当該プレート部に支持された状態で、側面部20に形成された横長孔200から差し入れるボルトS1によって、受金物1に固定される。
【0022】
一方の下面部23の前端側には、前記一対の正面部22、22を越えて前方に延びる延出部230が一体形成されており、下面部23の長さ方向中間部位には、中間支持アーム2と根太3を連結するためのボルトS2の挿通孔231が形成されている。
【0023】
端部支持アーム2´の一方の下面部23の延出部230には上側正面フレーム4の下面部41(
図36参照)が載置される。一対の正面部22、22は、側面部20及び下面部23に対して垂直に延びる垂直面部であり、正面部22には、ボルトS3の挿通孔220が形成されている。正面部22は、上側正面フレーム4が取り付けられる取付片を形成しており、正面部22には、上側正面フレーム4の垂直面部42(
図36参照)が固定されるようになっている。
【0024】
端部支持アーム2´の開口幅方向端部側の一方の下面部23´は、他方の下面部23に比べて幅狭であり、下面部23´から垂下する下側垂下片24が一体形成されている。下側垂下片24には、螺子S5の挿通孔240が形成されている。上面部21には、開口幅方向端部側に水平に延びる幅広の上面部25が形成されており、上面部25には、上面部25から垂下する上側垂下片26が一体形成されている。上側垂下片26には、螺子S4の挿通孔260が形成されている。
【0025】
[B-3]根太
根太3は、開口幅方向に延びる長尺部材であり、
図35に示すように、水平状の上面部30と、水平状の下面部31と、垂直面部32と、上面部30の先端の上側垂下片33と、下面部31の先端の下側垂下片34と、からなる。
【0026】
本実施形態に係る根太3の長さ寸法は、隣接する支持アーム(2、2´)間の距離に対応している。下面部31の幅寸法は、下側垂下片34の幅寸法よりも大きく、根太3は、下面部31の幅方向の一側が中間支持アーム2の下面部23に載置されてボルトS2で固定され、幅方向の他側が端部支持アーム2´の下面部23に載置されてボルトS2で固定される(
図7~
図9、
図12~
図14、
図16、
図17)。下側垂下片34には、軒天の木下地(図示せず)が固定されるようになっている。
【0027】
根太3の上面部30の高さ位置は、上側正面フレーム4の上面部40の高さ位置よりも低い。
図5等では、庇屋根の前後方向(持ち出し方向)の長さが簡略化されており、便宜上、壁体Wからの持ち出し方向において1本の根太3が示してあるが、持ち出し方向に平行して複数本の根太(躯体側根太、先端側根太)を備えていてもよい。その場合、先端側根太の上面部の高さ位置は、躯体側根太の上面部の高さ位置よりも高くなっており、板材11は、上側正面フレーム4の上面部40の角部、先端側根太の上面部の角部、躯体側根太の上面部の角部に傾斜姿勢で当接するようになっている。
【0028】
[B-4]正面フレーム
本実施形態において、正面フレームは、庇屋根の全幅に亘って延びる長尺部材であり、上側に位置する上側正面フレーム4と、下側に位置する下側正面フレーム5と、からなる。
【0029】
[B-4-1]上側正面フレーム
図36に示すように、上側正面フレーム4は、水平状の上面部40と、水平状の下面部41と、垂直面部42と、上面部40の先端の上側垂直片43と、下面部41の先端の垂下片44と、からなる。上面部40の見込幅(前後方向の寸法)は、下面部41の見込幅(前後方向の寸法)よりも大きい。垂直面部42の幅方向の両端部の高さ方向中央部位には、垂直面部42に対して垂直に後方に延びる係止片45が形成されている。垂直面部42の幅方向の所定部位には、ボルトS3を挿通する縦長孔420が形成されている。下面部41には、下側正面フレーム5を連結する螺子S6の挿通孔410が形成されている。
【0030】
上側正面フレーム4は、下面部41を、中間支持アーム2、端部支持アーム2´の下面部23の延出部230に載置した状態で、垂直面部42を、中間支持アーム2、端部支持アーム2´の正面部22に当接させてボルトS3で固定することで、複数本の支持アーム(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)の先端に取り付けられる(
図12~
図14、
図19~
図22)。
【0031】
[B-4-2]
図37に示すように、下側正面フレーム5は、水平状の下面部50と、下面部50の先端から立ち上がる前側垂直片51と、後端から立ち上がる後側垂直片52と、後側垂直片52の上端から後方に延びる水平片53と、からなる。水平片53には螺子S6の挿通孔530が形成されており、下側正面フレーム5は、水平片53を上側正面フレーム4の下面部41に当接させて螺子S6で固定することで、上側正面フレーム4に取り付けられる(
図21)。下面部50には、見込方向に離間して2つの螺子孔500が形成されており、内側の螺子孔500に螺子8が固定され、外側の螺子孔500に螺子8´が固定される。
【0032】
[B-5]端部フレーム
本実施形態において、端部フレームは、庇屋根の見込方向(前後方向ないし持ち出し方向)に延びる長尺部材であり、上側に位置する上側端部フレーム6と、下側に位置する下側端部フレーム7と、からなる。
【0033】
[B-5-1]上側端部フレーム
図38に示すように、上側端部フレーム6は、上側水平面部60と、下側水平面部61と、上側水平面部60と下側水平面部61の内側端を高さ方向に連結する中間垂直面部62と、上側水平面部60の外側端から立ち上がる上側垂直片63と、下側水平面部61の外側端から垂下する下側垂直片64と、からなる。上側垂直片63は、他の部分に比べて見込方向に短尺であり、上側水平面部60の基端側部位60´には上側垂直片63は形成されていない。中間垂直面部62には、螺子S4を挿通する縦長孔620が形成されている。下側垂直片64には、螺子S7の螺子孔640が形成されている。
【0034】
[B-5-2]下側端部フレーム
図39に示すように、下側端部フレーム7は、水平状の下面部70と、下面部70の外側端から立ち上がる外側垂直片71と、下面部70の内側端から立ち上がる内側垂直片72と、からなる。外側垂直片71の高さ寸法は、内側垂直片72の高さ寸法よりも大きい。外側垂直片71の上方部位には、螺子S7の螺子孔710が形成されており、内側垂直片72には、螺子S5の縦長孔720が形成されており、下面部70には、螺子S8、S8´の螺子孔700が形成されている。内側の螺子孔700に螺子8が固定され、外側の螺子孔700に螺子8´が固定される。下側端部フレーム7は、外側垂直片71の上方部位が、上側端部フレーム6の下側垂直片64に螺子S7で固定され(
図8、
図29)、内側垂直片72が、端部支持アーム2´の下側垂下片24に螺子S5で固定される(
図8、
図19)。
【0035】
[B-6]ケース
本実施形態に係るケースは、屋根部材の前方と側方を塞ぐように支持機構に取り付けられる正面ケース8及び左右の側面ケース9と、からなる。本実施形態において、正面ケース8及び側面ケース9は同一の断面形状及び寸法を備えており、組み立てられた状態において、上面、下面、面部が面一となっている。1つの態様では、異なる見込寸法(前後方向の寸法)を備えた側面ケース9を複数種類用意することで、躯体から異なる出寸法の庇屋根に対応することが可能となっている。ケースは、高さ方向中間部位において螺子S7で支持機構に固定され、下端部位において螺子S8、S8´で支持機構に固定される。
【0036】
より具体的には、正面ケース8の正面部8Aは、高さ方向中間部位(凹部802)が、螺子S7によって、下側正面フレーム5の前側垂直片51の上方部位に固定され(
図4、
図5)、下端部位(下側水平片85)が、螺子S8、S8´によって、下側正面フレーム5の下面部50に固定されている(
図7参照)。螺子S8´は、正面軒天見切り15(
図43参照)及び下側水平片85を下側正面フレーム5の下面部50に固定している。
図5においては、螺子S8´が省略されている。
図43下図に示すように、正面軒天見切り15は、断面視において、第1立ち上がり片150と、第2立ち上がり片151と、底片152と、からなる皿状部と、第2立ち上がり片151の上端から水平に延びる水平片153と、からなる。水平片153には、螺子S8´の挿通孔1530が形成されている。正面軒天見切り15は、挿通孔1530、挿通孔850B、下面部50の螺子孔500(
図37参照)を一致させて、螺子S8´で固定するようになっている。正面軒天見切り15の水平片153と第2立ち上がり片151と、正面ケース8の正面部8Aの垂直片84と下側水平片85と、から凹部が形成されており、凹部内に螺子S8´の頭部が位置するようになっている。
【0037】
正面ケース8の側面部8B及び側面ケース9は、高さ方向中間部位(凹部802、902)が、螺子S7によって、上側端部フレーム6の下側垂直片64及び下側端部フレーム7の外側垂直片71の重なり部に固定され(
図8、
図19)、下端部位(下側水平片85、95)が、螺子S8、S8´によって、下側端部フレーム7の下面部70に固定されている(
図7参照)。螺子S8´は、側方軒天見切り16(
図43参照)及び下側水平片85、95を下側正面フレーム5の下面部50に固定している。
図43上図に示すように、側方軒天見切り16は、断面視において、第1立ち上がり片160と、第2立ち上がり片161と、底片162と、からなる皿状部と、第2立ち上がり片161の上端から水平に延びる水平片163と、からなる。水平片163には、螺子S8´の挿通孔1630が形成されている。側方軒天見切り16は、挿通孔1630、挿通孔850B、950B、下面部70の螺子孔700を一致させて、螺子S8´で固定するようになっている。側方軒天見切り16の水平片163と第2立ち上がり片161と、正面ケース8の側面部8Bの垂直片84と下側水平片85、及び、側面ケース9の垂直片94と下側水平片95と、から凹部が形成されており、凹部内に螺子S8´の頭部が位置するようになっている。第1立ち上がり片150の上端は、第2立ち上がり片151の上端よりも少し高い位置にある。第1立ち上がり片160の上端は、第2立ち上がり片161の上端よりも少し高い位置にある。下側正面フレーム5の後側垂直片52には、水平片520が形成されており、水平片520と正面軒天見切り15の第1立ち上がり片150の上端との間、及び、側方軒天見切り16の第1立ち上がり片160の上端に天井材(図示せず)が位置するようになっている。
【0038】
[B-6-1]正面ケース
図40に示すように、正面ケース8は、正面部8Aと、正面部8Aの幅方向左右両端に一体形成された左右の側面部8Bと、から平面視コ字形状を有している。正面ケース8(正面部8A及び側面部8B)は、略垂直状の面部80(凹部802によって上側部位800と下側部位801に分かれている)と、面部80の上端から水平状に延びる上面部81と、上面部81の先端から垂下する垂下片82と、面部80の下端から水平状に延びる下面部83と、下面部83の先端から立ち上がる垂直片84と、垂直片84の上端から水平状に延びる下側水平片85と、面部80(上側部位800)の幅方向端部に折り曲げ形成された上側端片86と、面部80(下側部位801)の幅方向端部に折り曲げ形成された下側端片87と、からなる。下面部83には複数の水抜き孔830が形成されている。
【0039】
凹部802の底面には、螺子S7の挿通孔8020が形成されている。上面部81と下面部83の幅寸法は略同じであり(同じでなくてもよい)、下側水平片85は、上面部81及び下面部83の先端よりも内側に位置しており、下側水平片85には、螺子S8、S8´を挿通する挿通孔850が形成されている。挿通孔850は、内側の螺子S8用の挿通孔850Aと、外側の螺子S8´用の挿通孔850B分けられる。正面ケース8の正面部8A、側面部8Bの下側水平片85は、最初に、螺子S8によって下面部50、70に固定され、次いで、螺子S8´によって、正面軒天見切り15、側方軒天見切り16と共に下面部50、70に固定される。
【0040】
[B-6-2]側面ケース
図41に示すように、側面ケース9は、略垂直状の面部90(凹部902によって上側部位900と下側部位901に分かれている)と、面部90の上端から水平状に延びる上面部91と、上面部91の先端から垂下する垂下片92と、面部90の下端から水平状に延びる下面部93と、下面部93の先端から立ち上がる垂直片94と、垂直片94の上端から水平状に延びる下側水平片95と、面部90(上側部位900)の幅方向端部に折り曲げ形成された上側端片96と、面部90(下側部位901)の幅方向端部に折り曲げ形成された下側端片97と、からなる。下面部93には複数の水抜き孔930が形成されている。
【0041】
凹部902の底面には、螺子S7の挿通孔9020が形成されている。上面部91と下面部93の幅寸法は略同じであり(同じでなくてもよい)、下側水平片95は、上面部91及び下面部93の先端よりも内側に位置しており、下側水平片95には、螺子S8、S8´を挿通する挿通孔950が形成されている。挿通孔950は、内側の螺子S8用の挿通孔950Aと、外側の螺子S8´用の挿通孔950B分けられる。側面ケース9の下側水平片95は、最初に、螺子S8によって下面部70に固定され、次いで、螺子S8´によって、側方軒天見切り16と共に下面部70に固定される。
【0042】
[B-7]板材
本実施形態に係る板材10は合板であり、板材10は、下面が上側正面フレーム4の上面部40と垂直面部42との角部、根太3の上面部30と垂直面部32との角部に当接することで傾斜姿勢で支持される。
【0043】
[B-8]屋根ケース
図42に示すように、屋根ケース11の上面部は、前端から後方に向かって下向き傾斜状の第1上面部110と、第1上面部110の躯体側に位置し、開口幅方向の一端から他端に向かって下向き傾斜状の第2上面部111と、からなる。屋根ケース11は、さらに、第1上面部110の前端の前方立ち上がり壁112と、上面部の幅方向両端の左右の立ち上がり壁113A、113B、114A、114Bと、第2上面部111の基端側の後方立ち上がり壁115と、後方立ち上がり壁115の上端よりも少し下方の位置(本実施形態では前方立ち上がり壁112の下端と略同じ高さ位置であるが、異なる高さ位置であってもよい)から後方に延びる水平片116と、を備えている。屋根ケース11は、第1上面部110を、傾斜状の板材10上に載置させ、水平片116を、壁付けフレーム17の上面に載置させるようにして、設置される。
【0044】
[C]水勾配調整
本実施形態に係る庇屋根において、屋根部材(板材10及び屋根ケース11)の上面の傾斜は、上側正面フレーム4の上面部40の高さ位置によって決定される。本実施形態では、上側正面フレーム4は、支持アーム(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)の前端に固定されており、支持アーム(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)に対する上側正面フレーム4の高さが調整可能となっている。
【0045】
支持アーム(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)は、上側正面フレーム4の垂直面部42が固定される取付片としての正面部22と、上側正面フレーム4の下面部41が載置する下面部23の延出部230と、を備えており、上側正面フレーム4は、下面部41が延出部230に載置した状態で、垂直面部42が正面部22(取付片)にボルトS3で固定されるようになっている。
【0046】
図23、
図24に示すように、本実施形態では、高さ調整手段としての板状のスペーサ12を、延出部230と下面部41との間に挟み込むことによって、スペーサ12の板厚によって、上側正面フレーム4の上面部42の高さ位置を高くすることが可能となっている。
図24から明らかなように、延出部230と下面部41との間にスペーサ12を1枚挟み込むことによって、1枚のスペーサ12の厚さ分だけ、上側正面フレーム4の上面部40の高さを高くすることができる。
【0047】
上側正面フレーム4の垂直面部42に形成したボルトS3の挿通孔は縦長孔420であり、支持アーム(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)の正面部22に対する上側正面フレーム4の垂直面部42の高さ位置を調整してボルトS3で固定することを可能としている。
【0048】
上側正面フレーム4の上面部40の高さ位置調整は、現場によって必要な場合と必要でない場合があり、高さ位置を調整することなく所定の水勾配が確保できる場合には、スペーサ12を用いずに、上側正面フレーム4は、下面部41を延出部230に直接載置した状態で、垂直面部42が正面部22(取付片)に固定される。現場によっては、複数本の支持アーム(中間支持アーム2、端部支持アーム2´)において、一部の支持アームの延出部230のみにスペーサ12を設ける場合もあり、また、複数枚のスペーサ12を重ねて、上側正面フレーム4の上面部42の高さ位置を高くするようにしてもよい。
【0049】
本実施形態では、高さ調整手段は、板状のスペーサ12であるが、本明細書において、スペーサは広義に解釈されるものとし、スペーサには、プレート、螺子(例えば、延出部230に下方から取り付けた螺子の高さ位置によって、延出部230に対する下面部41の高さを調整する)、詰め物等が含まれる。
【0050】
左右の端部支持アーム2´には、左右の上側端部フレーム6が設けられる。
図38に示すように、上側端部フレーム6は、上側水平面部60と、下側水平面部61と、上側水平面部60と下側水平面部61の内側端を高さ方向に連結する中間垂直面部62と、からなる凹部が形成されている。上側端部フレーム6は、中間垂直面部62を端部支持アーム2´の上側垂下片26に当接させて螺子S4で固定するようになっている(
図16、
図21)。
【0051】
上側正面フレーム4の左右端部の係止片45は、左右の上側端部フレーム6の凹部に挿入されて、係止片45の上縁が、上側端部フレーム6の上側水平面部60の下面に当接して係止するようになっている(
図21、
図25参照)。上側正面フレーム4が上動すると、係止片45が上側水平面部60を押し上げることで、上側端部フレーム6の前端側も上動するようになっており、上側正面フレーム4の高さ調整に連動して、左右の上側端部フレーム6の前端が上動するようになっている。
図19に示すように、上側正面フレーム4の上側垂直片43の上端と上側端部フレーム6の上側垂直片63の上端が、係止片45を介して同じ高さ位置にある。
【0052】
上側端部フレーム6の中間垂直面部62に形成した螺子S4の挿通孔は縦長孔620であり、上側正面フレーム4及び上側端部フレーム6の前端側の高さ位置を調整して、端部支持アーム2´の上側垂下片26に螺子S4で固定することを可能としている。下側端部フレーム7の内側垂直片72に形成した螺子S5の挿通孔は縦長孔720であり、上側正面フレーム4及び上側端部フレーム6の前端側の高さ位置を調整して、端部支持アーム2´の下側垂下片24に螺子S5で固定することを可能としている。
図19に示すように、下側端部フレーム7は外側垂直片71の上端を、上側端部フレーム6の下側水平面部61と下側垂直片64の角部に当接させて螺子S5で固定される。下側正面フレーム5は、後側垂直片52と水平片53の角部を、上側正面フレーム4の下面部41と垂下片44の角部に当接させて、螺子S6で固定される。上側正面フレーム4と上側端部フレーム6が上動しても、下側正面フレーム5の下面部50と下側端部フレーム7の下面部70が同じ位置になる。
【0053】
[D]正面ケースと側面ケースの位置合わせ
本実施形態において、正面ケース8は、正面部8Aと左右の側面部8Bとからなり、正面ケース8の側面部8Bの後端部と側面ケース9の前端部とからなる繋目部分の一部と支持機構の部分(上側端部フレーム6、下側端部フレーム7)との間に設けた位置合わせ要素によって、側面部8Bと側面ケース9が面一となっている。本明細書において、「繋目部分」は、正面ケース8の側面部8Bの後端部と側面ケース9の前端部に跨る部分を意味する。本実施形態において、繋目部分において、正面ケース8の側面部8Bの後端部と側面ケース9の前端部との間には、隙間がある。
【0054】
図26~
図29に示すように、本実施形態では、上側の上側位置合わせ要素13と、下側の下側位置合わせ要素14と、を用いて、正面ケース8の側面部8Bと側面ケース9の繋目部分の位置合わせを行う。繋目部分において、上側位置合わせ要素13及び下側位置合わせ要素14が設けられた部位を除く部位は隙間が存在した状態にあり、仕上げに防水処理が施されるようになっている。なお、繋目部分の高さ方向中間部位に位置合わせ要素は設けられていないが、繋目部分の高さ方向中間部位に位置して、正面ケース8の側面部8Bの後端と側面ケース9の前端はそれぞれ螺子S7によって、端部フレーム(上側端部フレーム6の下側垂直片64と下側端部フレーム7の外側垂直片71)に固定されることで位置決めされるようになっている。
【0055】
図32に示すように、上側位置合わせ要素13は、水平片130と、水平片130の端部から垂下する垂下片131とから、側面視ないし断面視L形状の短尺部材である。上側位置合わせ要素13の断面形状は、繋目部分の上端部位の断面形状に沿った形状となっている。
【0056】
上側位置合わせ要素13は、繋目部分の上端部位に設けられる。本実施形態において、繋目部分の上端部位は、ケース上面、具体的には、正面ケース8の側面部8Bの上面部81、側面ケース9の上面部91と、正面ケース8の側面部8Bの垂下片82、側面ケース9の垂下片92と、からなる。
【0057】
図30に示すように、上側位置合わせ要素13の水平片130は、正面ケース8の側面部8Bの上面部81、側面ケース9の上面部91と、上側端部フレーム6の上側垂直片63の上端との間に挟まれた状態で位置しており、上側位置合わせ要素13の垂下片131は、正面ケース8の側面部8Bの垂下片82、側面ケース9の垂下片92の内面に当接している。
【0058】
こうすることで、正面ケース8の側面部8Bの上面部81の後端と側面ケース9の上面部91の前端、及び、正面ケース8の側面部8Bの垂下片82の後端と側面ケース9の垂下片92の前端が一致し、正面ケース8の側面部8Bの面部80の後端と側面ケース9の面部90の前端が一致するようになっている(
図6参照)。本実施形態では、上側位置合わせ要素13は、水平片130の一方の端部(垂下片131の上端)のみが垂下片82及び垂下片92に当接することで位置決めが行われているが、これに加えて、あるいは代えて、水平片130の他方の端部が面部80の上側部位800及び面部90の上側部位900に当接することで位置決めを行ってもよい。本実施形態に係る上側位置合わせ要素13は断面視L形状であるが、水平片130のみから形成されたものでもよい。上側位置合わせ要素13は、螺子等でどの部材にも固定されていない。
【0059】
図32に示すように、下側位置合わせ要素14は、内側の水平片140と、水平片140の外側端から垂下する垂下片141と、垂下片141の下端から外側に延びる外側の水平片142と、からなる短尺部材であり、内側の水平片140が上側、外側の水平片142が下側に位置している。下側位置合わせ要素14の断面形状は、繋目部分の下端部位の断面形状に沿った形状となっている。内側の水平片140には、螺子S8、S8´の挿通孔143が形成されている。
【0060】
下側位置合わせ要素14は、繋目部分の下端部位に設けられる。繋目部分の下端部位は、ケース下面、具体的には、正面ケース8の側面部8Bの下面部83及び側面ケース9の下面部93、正面ケース8の側面部8Bの垂直片84及び側面ケース9の垂直片94、正面ケース8の側面部8Bの下側水平片85及び側面ケース9の下側水平片95と、からなる。
【0061】
図31に示すように、下側位置合わせ要素14の内側の水平片140は、正面ケース8の側面部8Bの下側水平片85、側面ケース9の下側水平片95、下側端部フレーム7の下面部70との間に位置しており、下側位置合わせ要素14の垂下片141は、正面ケース8の側面部8Bの垂直片84、側面ケース9の垂直片94の内面に当接し、下側位置合わせ要素14の外側の水平片142は、正面ケース8の側面部8Bの下面部83、側面ケース9の下面部93の内面(上面)に当接している。
【0062】
こうすることで、正面ケース8の側面部8Bの下側水平片85の後端と側面ケース9の下側水平片95の前端、正面ケース8の側面部8Bの垂直片84の後端と側面ケース9の垂直片94の前端、及び、正面ケース8の側面部8Bの下面部83の後端と側面ケース9の下面部93の前端が一致し、正面ケース8の側面部8Bの面部80の後端と側面ケース9の面部90の前端が一致するようになっている(
図7参照)。本実施形態では、下側位置合わせ要素14は、水平片142の一方の端部(垂下片141の下端)のみが垂直片84及び垂直片94に当接することで位置決めが行われているが、これに加えて、あるいは代えて、水平片142の他方の端部が面部80の下側部位801及び面部90の下側部位901に当接することで位置決めを行ってもよい。
【0063】
下側位置合わせ要素14を差し入れて位置合わせした状態において、正面ケース8の側面部8Bの下側水平片85の後端の2つの挿通孔850と内側の水平片140の2つの挿通孔143が一致しており、側面ケース9の下側水平片95の前端の2つの挿通孔950と水平片140の残りの2つの挿通孔143が一致しており、螺子S8、S8´によって、正面ケース8の側面部8Bの下側水平片85の後端と、側面ケース9の下側水平片95の前端と、下側位置合わせ要素14が下側端部フレーム7の下面部70に固定されている。
【0064】
[E]庇屋根の取付方法
本実施形態に係る庇屋根の取付方向について説明する。
(1)躯体から持ち出し状に突出している受金物1に、複数本の支持アーム2(中間支持アーム2、左右の端部支持アーム2´)を載せてボルトS1で固定する。
(2)壁付けフレーム17を、複数本の支持アーム2の基端部位に載置し、螺子S9で壁体Wに固定する(
図5参照)。
(3)根太3を、複数本の支持アーム2の中間部位に載置し、ボルトS2で固定する。
(4)上側正面フレーム4の下面部41を、複数本の支持アーム2の下面部23の延出部230に載置して、ボルトS3で仮固定する。
(5)上側端部フレーム6の凹部に上側正面フレームの係止片45を係止させて、螺子S4で仮固定する。
(6)板材10を、上側正面フレーム4の上面部40、根太3の上面部30に載置し、図示しないビスで上面部30に固定する。矩形状の板材10に上側正面フレーム4と左右の上側端部フレーム6を沿わすことで、受金物1の取付誤差等に起因する上側正面フレーム4と左右の上側端部フレーム6の変形が矯正される。
(7)板材10に測定器を載せて、傾斜をチェックする。
(8-1)板材10の傾斜の調整が不要な場合には、上側正面フレーム4の垂直面部42と、複数本の支持アーム2(中間支持アーム2、左右の端部支持アーム2´)の正面部22とをボルトS3で固定し、左右の端部支持アーム2´の上側垂下片26と上側端部フレーム6の中間垂直面部62を螺子S4で固定する。
(8-2)板材10の傾斜の調整が必要な場合には、複数本の支持アーム2の下面部23の延出部230と上側正面フレーム4の下面部41との間にスペーサ12を挟み込んで、上側正面フレーム4を上動させ、同時に、上側正面フレーム4の係止片45によって、左右の上側端部フレーム6が連動して上動し、板材10の傾斜を調整する。その後、上側正面フレーム4の垂直面部42と、複数本の支持アーム2(中間支持アーム2、左右の端部支持アーム2´)の正面部22とをボルトS3で固定し、左右の端部支持アーム2´の上側垂下片26と上側端部フレーム6の中間垂直面部62を螺子S4で固定する。
【0065】
(1)屋根ケース11は板材を折り曲げ形成してなることから、屋根ケース11を取り付ける前に、隅部や隙間(前方立ち上がり壁112と立ち上がり壁113Aの近接部、前方立ち上がり壁112と立ち上がり壁114Aの近接部、立ち上がり壁113Aと立ち上がり壁113Bの近接部、立ち上がり壁114Aと立ち上がり壁114Bの近接部、後方立ち上がり壁115と立ち上がり壁113Bの近接部、後方立ち上がり壁115と立ち上がり壁114Bの近接部:
図42参照)に防水処理を施しておく。
(2)屋根ケース11の第1上面部110を、板材10に接着し、屋根ケース11の水平片116を壁付けフレーム17に螺子で固定する。
(3)正面ケース8を、上側正面フレーム4の上側垂直片43の上端、上側端部フレーム6の上側垂直片63の上端に載置する。
(4)正面ケース8の側面部8Bの後端の上端部位と上側端部フレーム6の上側垂直片63の上端の間に上側位置合わせ要素13の半部を挿入する。
(5)側面ケース9を、上側端部フレーム6の上側垂直片63の上端に載置し、この時、側面ケース9の前端の上端部位と上側端部フレーム6の上側垂直片63の上端の間に上側位置合わせ要素13の残りの半部を挿入する。
(6)下側正面フレーム5を、上側正面フレーム4に固定し、下側端部フレーム7を、端部支持アーム2´に固定する。
(7)下側位置合わせ要素14の半部を、正面ケース8の側面部8Bの後端の下端部位と下側端部フレーム7の下面部70の間に挿入し、残りの半部を、側面ケース9の後端の下端部位と下側端部フレーム7の下面部70の間に挿入する。
(8)正面ケース8を、下側正面フレーム5、上側端部フレーム6及び下側端部フレーム7に螺子S7、螺子S8で固定し、側面ケース9を、上側端部フレーム6及び下側端部フレーム7に螺子S7、螺子S8で固定する。
(9)側方軒天見切り16を、下側端部フレーム7の下面部70にケース下面(下側水平片85、95、水平片140)と共に螺子S8´で固定し、左右の側方軒天見切り16の前端間を覆うように、正面軒天見切り15を下側正面フレーム5の下面部50にケース下面(下側水平片85)と共に螺子S8´で固定する。
(10)正面ケース8の側面部8Bの垂下片82と屋根ケース11の第1上面部110との当接部もしくは近接部及び立ち上がり壁113A、114Aとの隙間にシールを施し、側面ケース9の垂下片92と屋根ケース11の立ち上がり壁113B、114Bとの隙間にシールを施し、正面ケース8の側面部8Bと側面ケース9の繋目部分にシールを施す。
【符号の説明】
【0066】
2 支持アーム(中間支持アーム)
2´ 支持アーム(端部支持アーム)
22 正面部(取付片)
23 下面部
230 延出部
3 根太
4 上側正面フレーム
5 下側正面フレーム
6 上側端部フレーム
7 下側端部フレーム
8 正面ケース
80 面部(ケース面部)
800 上側部位(ケース面部)
801 下側部位(ケース面部)
81 上面部(ケース上面)
82 垂下片(上側垂下片)
83 下面部(ケース下面)
84 垂直片(ケース下面)
85 下側水平片(ケース下面)
8A 正面部
8B 側面部
9 側面ケース
90 面部(ケース面部)
900 上側部位(ケース面部)
901 下側部位(ケース面部)
91 上面部(ケース上面)
92 垂下片(上側垂下片)
93 下面部(ケース下面)
94 垂直片(ケース下面)
95 下側水平片(ケース下面)
10 板材
11 屋根ケース
12 スペーサ(高さ調整手段)
13 上側位置合わせ要素
14 下側位置合わせ要素