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▶ 阿久津 悦進の特許一覧

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  • 特開-自転車用揺動回転伝達装置 図1
  • 特開-自転車用揺動回転伝達装置 図2
  • 特開-自転車用揺動回転伝達装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029721
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】自転車用揺動回転伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 3/06 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B62M3/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140538
(22)【出願日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2022131609
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】310007003
【氏名又は名称】阿久津 悦進
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 悦進
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造が簡単で部品点数が少なく、低コストで、ペダルを漕ぐ脚の負担が軽減されるところまで膝の曲がりを小さくさせることができる自転車用揺動回転伝達装置を提供する。
【解決手段】自転車に実装した自転車用揺動回転伝達装置の、クランク4a、4bを回転させる連結棒6a、6bの長さがクランク4a、4bの長さよりも長くなっていることによって、ペダル7aを漕がない側の連結棒6aがクランク4aを頂点から回転させられるところまで連結棒6aをペダル7aとともに、前方に瞬時に揺動移動させる距離が長くなるため、揺動移動させてペダル7aを漕ぐ側に入れ替わったペダル7aを漕いでる間では、ペダル7aを漕ぐ脚の負担が軽減されるところまで膝の曲がりを小さくさせることができる。反対側の右側も同様にペダル7bを漕ぐことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のフレームの上方側にある第1の軸受けに、回転可能に取り付けられたクランク軸と、前記クランク軸の両端に、180度の位相差で取り付け固定されたクランクと、前記クランクの先端に取り付けられた支軸と、前記支軸に回転可能に取り付けられて常にぶら下がっている状態になる連結棒と、前記連結棒を自由自在に前後に揺動させるための前記連結棒の先端に取り付けられたペダルと、前記連結棒を前記ペダルとともに、前記クランクを回転させられるところまで、前方に瞬時に揺動移動させてから、このまま前記揺動移動させながら前記クランクを回転させるとともに、前記クランク軸を回転させて前記クランク軸の回転を被伝達部の変速機ギアに伝達するための伝達機構、とを備えたことを特徴とする自転車用揺動回転伝達装置。
【請求項2】
請求項1記載の自転車用揺動回転伝達装置において、前記連結棒を前記ペダルとともに、前方に瞬時に揺動移動させる距離を長くさせて、前記ペダルを漕ぎ出して早い段階から、前記ペダルを漕ぐ脚の膝上の脚が膝下の脚を押せるところまで、前記ペダルを漕ぐ脚の膝の曲がりを小さくさせて、前記ペダルを漕いでいられる距離を長くするとともに、前記ペダルの漕ぎ出しから軽減される脚の負担を更に減少させるために、前記連結棒の長さが前記クランクの長さよりも長くなっていることを特徴とする自転車用揺動回転伝達装置。
【請求項3】
請求項1記載の自転車用揺動回転伝達装置において、前記伝達機構は、前記クランク軸の左端の内側に取り付け固定された第1のギアと、前記自転車のフレームの下方側にある第2の軸受けに、回転可能に取り付けられた回転軸と、前記回転軸の左端に取り付け固定された第2のギアと、前記第1のギア及び前記第2のギアに架け渡された第1のチェーンと、前記回転軸の右端に取り付け固定された楕円チェーンリングと、前記被伝達部の前記変速機ギアと、前記楕円チェーンリング及び前記変速機ギアに架け渡された第2のチェーン、とを備えたことを特徴とする自転車用揺動回転伝達装置。
【請求項4】
サドルの位置は、前記サドルに座った状態になって前記連結棒を前記ペダルとともに
、前方に瞬時に揺動移動させる距離を長くさせて、前記ペダルを前方斜め下方向に力強く漕ぎ出せるところまで基準のサドルの位置よりも後方に、前記サドルを設置したことを特徴とする自転車用揺動回転伝達装置。
【請求項5】
請求項3記載の自転車用揺動回転伝達装置において、前記サドルに座った状態になって、前記ペダルを前方斜め下方向に力強く漕ぎ出して少し先までと、前記ペダルを漕ぎ終わる前後は、前記ペダルを漕ぐ負担を軽減させるために楕円チェーンリングを使用することを特徴とする自転車用揺動回転伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車等のペダルを漕ぐ脚の負担が軽減されるところまで膝の曲がりを小さくさせることができる自転車用揺動回転伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な自転車において、自転車を走行させているときは、サドルに座ってハンドルを握りペダルを漕ぐ脚に力を入れてペダルを漕いでいる間では、クランクが最下点になると、クランクの先端に取り付けられたペダルから地面まで一定の距離を離れるため、ペダルの漕ぎ出しからペダルを漕ぐ脚の膝の曲がりが深く大きく曲がった状態になってしまうため、ペダルを漕ぐ脚の負担がペダルを漕ぐ力よりも大きく増してしまうので、本来の力を出せる力は弱くなってしまい、このままペダルを漕ぎ終わるまでにペダルを漕ぐ本来の力を出せてペダルを漕いでもペダルを漕いでる距離が長くならないので、ペダルを漕ぐ脚の負担が軽減されるペダルの漕ぎ方ができないものであった。そこでペダルを漕ぐ脚の負担を可変させる変速ギアを取り付けて大きいギアを使用すれば、ペダルを漕ぐ脚の負担を軽減させることができるが、この状態で上り坂になればペダルを漕ぐ重さが増すだけで、変速機ギアだけではこれ以上のペダルを漕ぐ脚の負担を軽減させることはできないものであった。
【0003】
そこで、こうした不便を解消させた周知技術として、自転車を走行させているときはペダルを漕ぐ脚の負担を効果的に軽減させて十分に駆動補助ができる「駆動補助装置」(特許文献1参照)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6347020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に係る駆動補助装置を自転車に実施したものである。その一形態は、支持軸とペダルとの間の距離を変更可能にする可変機構のペダルを漕いで自転車を走行させているときは、可変機構として機能する可変機構全体を回転させるとともに、ガイド部材の歪円環形状の環状ガイド溝に嵌合された状態になっている可変機構のコロが、溝内を移動することによって、可変機構の板状片の他端が取り付け固定された支持軸の軸芯とペダルの軸芯との距離が形状的に膨らんだ鈍端側では長くなり、縮んだ鋭端側では短くなるように工夫されているため、ペダルを漕ぐ鈍端側で基準クランクの長さよりも長くなる部分で可変機構のコロが溝内を移動する速度は速くなるとともに、可変機構のペダルを漕ぐ速度も速くなるためペダルを漕ぐ脚の負担を効果的に軽減させて十分に駆動補助ができる。
【0006】
ところが、かかる技術によれば、ペダルを漕ぎながら複雑な動作をさせるため、部品点数が多くなってしまい、コスト高を回避できないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、構造が簡単で部品点数が少なく、低コストで、自転車を走行させているときは、サドルに座ってハンドルを握りペダルを漕ぐ脚に力を入れてペダルを漕いでいる間では、ペダルを漕ぐ脚の負担が軽減されるところまでひざの曲がりを小さくさせることができる自転車用揺動回転伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一形態は、自転車のフレームの上方側にある第1の軸受けに、回転可能に取り付けられたクランク軸と、前記クランク軸の両端に、180度の位相差で取り付け固定されたクランクと、前記クランクの先端に取り付けられた支軸と、前記支軸に回転可能に取り付けられて常にぶら下がっている状態になる連結棒と、前記連結棒を自由自在に前後に揺動させるための前記連結棒の先端に取り付けられたペダルと、前記連結棒を前記ペダルとともに、前記クランクを回転させられるところまで、前方に瞬時に揺動移動させてから、このまま前記揺動移動させながら前記クランクを回転させるとともに、前記クランク軸を回転させて前記クランク軸の回転を被伝達部の変速機ギアに伝達するための伝達機構、とを備えたことを特徴とする自転車用揺動回転伝達装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記構成により、構造が簡単で部品点数が少なく、低コストで、自転車を走行させているときは、サドルに座ってハンドルを握りペダルを漕ぐ脚に力を入れてペダルを漕いでいる間では、クランクを回転させる連結棒の長さがクランクの長さよりも長くなっていることによって連結棒をペダルとともに、前方に瞬時に揺動移動させる距離が長くなるためペダルを漕ぐ脚の負担が軽減されるところまで、ひざの曲がりを小さくさせることができる自転車用揺動回転伝達装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の自転車用揺動回転伝達装置を自転車に実施した例を示した斜視図である
図2図1に示す自転車用揺動回転伝達装置のペダルを漕がない側がペダルを漕ぐ側に入れ替わるまでの動作を示した簡略図である
図3図2に示す動作を行ってからペダルを漕いでいる様子を示した簡略図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の自転車用揺動回転伝達装置を自転車に実施した例を、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例0012】
図1は、本発明の自転車用揺動回転伝達装置を自転車に実施した例を示した斜視図である。
【0013】
図1を参照すれば、自転車用揺動回転伝達装置は、自転車のフレーム1の上方側にある第1の軸受け2に、回転可能に取り付けられたクランク軸3と、前記クランク軸3の両端に、180度の位相差で取り付け固定されたクランク4a,4bと、前記クランク4a,4bの先端に取り付けられた支軸5a、5bと、前記支軸5a、5bに回転可能に取り付けられて常にぶら下がっている状態になる連結棒6a、6bと、前記連結棒6a、6bを自由自在に前後に揺動させるための前記連結棒6a、6bの先端に取り付けられたペダル7a、7bと、前記連結棒6a、6bを前記ペダル7a、7bとともに、前記クランク4a、4bを回転させられるところまで、前方に瞬時に揺動移動させてから、このまま前記揺動移動させながら前記クランク4a,4bを回転させるとともに、前記クランク軸3を回転させて前記クランク軸3の回転を被伝達部の変速機ギア14に伝達するための伝達機構、とを備えたことを特徴とする自転車用揺動回転伝達装置である。
【0014】
また、伝達機構は、前記クランク軸3の左端の内側に取り付け固定された第1のギア8と、前記自転車のフレーム1の下方側にある第2の軸受け9に、回転可能に取り付けられた回転軸10と、前記回転軸10の左端に取り付け固定された第2のギア11と、前記第1のギア8及び前記第2のギア11に架け渡された第1のチェーン12と、前記回転軸10の右端に取り付け固定された楕円チェーンリング13と、被伝達部の前記変速機ギア14と、前記楕円チェーンリング13及び前記変速機ギア14に架け渡された第2のチェーン15、とを備えたことを特徴とする。
【0015】
このように、回転を次に伝える伝達機構は、自転車のサドル16に座ってハンドルを握りペダル7a、7bを漕ぐ脚に力を入れて、ペダル7a,7bを漕ぎ出せば、ともに連結棒6a,6bがクランク4a,4bを回転させてクランク軸3と第1のギア8はともに回転する。この第1のギア8と第2のギア11とには第1のチェーン12が架け渡されているため、第1のチェーン12の回転移動に伴って回転軸10と第2のギア11はともに回転をする。第2のギア11が回転すると、楕円チェーンリング13も回転軸10とともに回転する。この楕円チェーンリング13と後車輪の右側に取り付けられた変速機ギア14とには、第2のチェーン15が架け渡されているため、第2のチェーン15の回転移動に伴って変速機ギア14と後車輪はともに回転をすることで、自転車が走行する。
【0016】
図2は、図1に示す自転車用揺動回転伝達装置のペダル7aを漕がない側がペダル7aを漕ぐ側に入れ替わるまでの動作を示した簡略図である
【0017】
図2を参照すれば、ペダル7aを漕がない側の位置Gでぶら下がっている状態になっている連結棒6aは、前方の位置あまでクランク4aを回転させる抵抗がないので、この間は、クランク4aが位置Gから位置A頂点までペダル7aを漕ぐ側で回転させられている回転に伴って、連結棒6aをペダル7aとともに、前方に瞬時に揺動移動させている。このため、揺動移動させている距離は図1に示す、クランク4a、4bを回転させる連結棒6a、6bの長さが、クランク4a、4bの長さよりも長くなっていることによってクランク4aが位置Gから位置A頂点まで、ペダル7bを漕ぐ側で回転させられている回転距離を含めて、揺動移動させている距離は長くなるためペダル7aを漕ぐ側に入れ替わった位置(あ)で、ペダル7aを漕ぐ脚の膝の曲がりはクランク4aを回転させる連結棒6aをペダル7aとともに前方に瞬時に揺動移動させても少ししか小さくならないが本来の力を出せるところまで前方に瞬時に揺動移動させているため、位置(あ)でペダル7aを漕ぐ脚の負担が軽減されるところまでひざの曲がりは小さくなってペダル7aを前方斜め下方向に力強く漕ぎ出せるとともに、連結棒6aがクランク4aを位置A頂点から回転させることができる。
【0018】
図3は、図2に示す動作を行ってからペダル7aを漕いでいる様子を示した簡略図である。
【0019】
図3を参照すれば、図2に示す動作を行ってから、ペダル7aを漕ぐ側に入れ替わって、位置A頂点から位置C90度までの前半で行う動作では、位置(あ)からペダル7aを前方斜め下方向に力強く漕ぎながらともに、連結棒6aがクランク4aを位置A頂点から位置Bまで回転させたところで、ペダル7aを漕ぐ脚の負担が軽減されるところまで膝の曲がりは位置Aのところよりも小さくなってこのままペダル7aを前方斜め下方向に力強く漕ぎながらともに、連結棒6aがクランク4aを位置Bから位置C90度まで回転させたところで、ペダル7aを漕ぐ脚の膝の曲がりは位置Bのところよりも小さくなるとともに、ペダル7aを漕ぐ脚の負担も位置Bのところよりも減少する。そしてこのまま位置C90度から位置E最下点までの後半で行う動作では、すぐに位置C90度のところでペダル7aがクランク軸3から離れる距離は最長に近いところまで長くなっているので、このまま位置E最下点まではペダル7aがクランク軸3から離れる距離の差も最小になるため、ペダル7aを漕ぐ距離は前半よりも長くなる。このため位置Bから位置E最下点まではペダル7aを漕ぐ脚の膝の曲がりはまっすぐな状態になるため、この間では、ペダル7aを漕ぐ脚の膝上の脚が膝下の脚を押している状態になって、ペダル7aを後方斜め下方向に力強く漕ぎながらともに、連結棒6aがクランク4aを回転させてともに、ペダル7aを漕ぐ脚の負担は位置C90度のところよりも減少する。
【0020】
さらにペダル7aを前方上方向に押し上げるように連結棒6aをペダル7aとともに、前方に瞬時に揺動移動させれば揺動移動させた距離は位置あまで揺動移動させた距離よりも長くなってこの状態からペダル7aを前方斜め下方向に力強く漕ぎ出せば早い段階からペダル7aを漕ぐ脚の膝上の脚が膝下の脚を押せるところまでペダル7aを漕ぐ脚の膝の曲がりを小さくさせてペダル7aを漕ぎ終わるまで押しながらペダル7aを漕いでいられる距離を長くすることが可能になるとともに、この間ではペダル7aの漕ぎ出しから軽減される脚の負担はペダル7aを漕ぎ終わるまで更に減少させることができる。
【0021】
またサドル16の位置は、前記サドル16に座った状態になって前記連結棒6aを前記ペダル7aとともに、前方に瞬時に揺動移動させる距離を長くさせて、前記ペダル7aを前方斜め下方向に力強く漕ぎ出せるところまで基準のサドルの位置よりも後方に、前記サドルを設置したことを特徴とする。
【0022】
それからサドル16に座った状態になって、図3に示す動作を行っている位置(あ)から、ペダル7aを前方斜め下方向に力強く漕ぎ出して少し先までと、ペダル7aを漕ぎ終わる最下点前後は、楕円チェーンリング13を使用することによって、ペダル7aを漕ぐ速度は少し速くなり、ペダル7aを漕ぐ負担も少し軽くなるため、ペダル7aを漕いでる間では、ペダル7aを漕ぐ脚の負担はすべて軽減させることができる。
【0023】
すなわち、ペダル7aを漕ぐ脚の膝の曲がりはペダル7aの漕ぎ出しからペダル7aを漕ぎ終わるまで小さくさせていくとともに、ペダル7aの漕ぎ出しから軽減される脚の負担を、ペダル7aを漕ぎ終わるまで減少させていくペダル7aの漕ぎ方が可能である。反対側の右側も同様にペダル7bを漕ぐことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 自転車のフレーム
2 第1の軸受け軸
3 クランク軸
4a,4b クランク
5a,5b 支軸
6a,6b 連結棒
7a,7b ペダル
8 第1のギア
9 第2の軸受け
10 回転軸
11 第2のギア
12 第1のチェーン
13 楕円チェーンリング
14 変速機ギア
15 第2のチェーン
16 サドル
17 ハンドル
図1
図2
図3