(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029738
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】回転機構及びそれを有する扇風機
(51)【国際特許分類】
F16H 19/04 20060101AFI20240228BHJP
F04D 25/10 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
F16H19/04 H
F04D25/10 302K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019054
(22)【出願日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】202211005213.4
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517147504
【氏名又は名称】仏山市順徳弘金電器科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】劉 艶麗
【テーマコード(参考)】
3H130
3J062
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB26
3H130AB60
3H130AC25
3H130BA79G
3H130DE14X
3H130EA01G
3J062AA33
3J062AB05
3J062AC07
3J062BA11
3J062CA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造が簡単で、駆動装置が正回転と逆回転する必要がなく操作が便利な扇風機を提供する。
【解決手段】駆動装置(51)と、この駆動装置(51)の可動端に接続される伝動具(52)と、伝動具(52)に回転可能に接続される第1歯付部材(53)と、第1歯付部材(53)に噛み合う第2歯付部材(54)とを含む回転機構を開示する。また、底座(1)と、扇風機本体と、底座(1)と扇風機本体との間に設けられる上記の回転機構とを含む扇風機をさらに提供する。駆動装置(51)が伝動具(52)を一方向へ回転させた後、第1歯付部材(53)と第2歯付部材(54)との噛合により底座(1)に対する扇風機本体の正回転と逆回転が実現される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置と、前記駆動装置の可動端に接続される伝動具と、前記伝動具に回転可能に接続される第1歯付部材と、前記第1歯付部材に噛み合う第2歯付部材とを含む回転機構であって、
前記駆動装置が自由状態にありかつ前記第2歯付部材が固定状態にある場合、前記駆動装置は、前記伝動具を回転させることで前記第1歯付部材を回転させるとともに、前記伝動具を介して前記駆動装置を前記第2歯付部材に対して正回転と逆回転をさせることができ、
前記駆動装置が固定状態にありかつ前記第2歯付部材が自由状態にある場合、前記駆動装置は、前記伝動具を回転させることで前記第1歯付部材を移動させ、ひいては前記第2歯付部材を正回転と逆回転をさせることができることを特徴とする、回転機構。
【請求項2】
前記第1歯付部材はラックであり、前記第2歯付部材は前記ラックに噛み合うギアであることを特徴とする、請求項1に記載の回転機構。
【請求項3】
前記回転機構は、ホルダをさらに含み、前記ラックは、その長さ方向に沿って摺動溝が開設され、前記ホルダには、前記ラックと前記ギアが常に噛合状態を維持するように前記摺動溝が挿入される突出柱が設けられることを特徴とする、請求項2に記載の回転機構。
【請求項4】
前記ラックの直線運動の長さをL、前記ギアのピッチ円の周長をCとすると、
0<L/C<1である場合、前記第2歯付部材に対する前記駆動装置の回転角度又は前記第2歯付部材の回転角度は360度未満であり、
L/C=1である場合、前記第2歯付部材に対する前記駆動装置の回転角度又は前記第2歯付部材の回転角度は360度であり、
L/C>1である場合、前記第2歯付部材に対する前記駆動装置の回転角度又は前記第2歯付部材の回転角度は360度を超えることを特徴とする、請求項2に記載の回転機構。
【請求項5】
前記伝動具は、クランクであり、前記クランクの一端は、前記駆動装置の可動端に接続され、前記クランクの他端は、前記ラックにヒンジ接続されることを特徴とする、請求項2に記載の回転機構。
【請求項6】
前記駆動装置はモータであり、前記クランクの一端は、前記モータの出力軸に外嵌して接続されることを特徴とする、請求項5に記載の回転機構。
【請求項7】
底座と、扇風機本体と、前記底座と前記扇風機本体との間に設けられるとともに前記扇風機本体を前記底座に対して回転させるための請求項1から6のいずれか1項に記載の回転機構とを含むことを特徴とする、扇風機。
【請求項8】
前記扇風機本体は、前記底座に前記底座を覆って設けられる上蓋と、前記上蓋に接続されるハウジングと、前記ハウジングに設けられるヘッド部とを含み、前記駆動装置は、前記上蓋に接続され、前記第2歯付部材は、前記底座に接続されることを特徴とする、請求項7に記載の扇風機。
【請求項9】
前記上蓋と前記底座との間には、第1収容空間が形成され、前記伝動具、前記第1歯付部材及び前記第2歯付部材は、いずれも前記第1収容空間内に位置することを特徴とする、請求項8に記載の扇風機。
【請求項10】
前記上蓋の頂部には、前記ハウジングを収容して固定するための取付溝が設けられ、前記取付溝には、前記駆動装置を取り付けるための取付部位が設けられ、前記ハウジングの内部には、第2収容空間が設けられ、前記駆動装置は、前記第2収容空間内に位置することを特徴とする、請求項8に記載の扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電技術分野に関し、具体的には回転機構及びそれを有する扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販されている回転扇風機は、ほとんど時計回りに特定の角度だけ回転した後、モータの逆回転により扇風機の逆回転を駆動する必要がある。しかしながら、モータの頻繁な正回転と逆回転は、その使用寿命に影響を与え、信頼性を低下させる可能性がある。また、このような回転方式は、モータの制御精度に対する要求も高いため、比較的面倒である。
【発明の概要】
【0003】
従来技術の上記欠陥を克服するために、本発明は、回転機構及びそれを有する扇風機を提供する。その回転機構中の駆動装置は、伝動具を一方向のみに沿って回転させれば、底座に対する扇風機本体の正回転と逆回転を実現することができ、構造が簡単で、駆動装置が正回転と逆回転をする必要がなく、操作が便利である。
【0004】
上記の問題を解決するために、本発明は、以下の技術的手段を採用する。
駆動装置と、前記駆動装置の可動端に接続される伝動具と、前記伝動具に回転可能に接続される第1歯付部材と、前記第1歯付部材に噛み合う第2歯付部材とを含む回転機構であって、
前記駆動装置が自由状態にありかつ前記第2歯付部材が固定状態にある場合、前記駆動装置は、前記伝動具を回転させることで前記第1歯付部材を回転させるとともに、前記伝動具を介して前記駆動装置を前記第2歯付部材に対して正回転と逆回転をさせることができ、
前記駆動装置が固定状態にありかつ前記第2歯付部材が自由状態にある場合、前記駆動装置は、前記伝動具を回転させることで前記第1歯付部材を移動させ、ひいては前記第2歯付部材を正回転と逆回転をさせることができる、回転機構。
【0005】
さらに、前記第1歯付部材はラックであり、前記第2歯付部材は前記ラックに噛み合うギアである。
【0006】
さらに、前記回転機構は、ホルダをさらに含み、前記ラックは、その長さ方向に沿って摺動溝が開設され、前記ホルダには、前記ラックと前記ギアが常に噛合状態を維持するように前記摺動溝が挿入される突出柱が設けられる。
【0007】
さらに、前記ラックの直線運動の長さをL、前記ギアのピッチ円の周長をCとすると、
0<L/C<1である場合、前記第2歯付部材に対する前記駆動装置の回転角度又は前記第2歯付部材の回転角度は360度未満であり、
L/C=1である場合、前記第2歯付部材に対する前記駆動装置の回転角度又は前記第2歯付部材の回転角度は360度であり、
L/C>1である場合、前記第2歯付部材に対する前記駆動装置の回転角度又は前記第2歯付部材の回転角度は360度を超える。
【0008】
さらに、前記伝動具は、クランクであり、前記クランクの一端は、前記駆動装置の可動端に接続され、前記クランクの他端は、前記ラックにヒンジ接続される。
【0009】
さらに、前記駆動装置はモータであり、前記クランクの一端は、前記モータの出力軸に外嵌して接続される。
【0010】
また、本発明の第2態様では、底座と、扇風機本体と、前記底座と前記扇風機本体との間に設けられるとともに前記扇風機本体を前記底座に対して回転させるための前記回転機構とを含む扇風機が提供される。
【0011】
さらに、前記扇風機本体は、前記底座に前記底座を覆って設けられる上蓋と、前記上蓋に接続されるハウジングと、前記ハウジングに設けられるヘッド部とを含み、前記駆動装置は、前記上蓋に接続され、前記第2歯付部材は、前記底座に接続される。
【0012】
さらに、前記上蓋と前記底座との間には、第1収容空間が形成され、前記伝動具、前記第1歯付部材及び前記第2歯付部材は、いずれも前記第1収容空間内に位置する。
【0013】
さらに、前記上蓋の頂部には、前記ハウジングを収容して固定するための取付溝が設けられ、前記取付溝には、前記駆動装置を取り付けるための取付部位が設けられ、前記ハウジングの内部には、第2収容空間が設けられ、前記駆動装置は、前記第2収容空間内に位置する。
【0014】
以上のことから、本発明の回転機構及びそれを有する扇風機では、駆動装置が伝動具を一方向へ回転させる際に、第1歯付部材と第2歯付部材との噛合により底座に対する扇風機本体の正回転と逆回転が実現され、構造が簡単で、駆動装置に対する制御要求が比較的低く、駆動装置が正回転と逆回転する必要がないため、操作が便利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】本発明の扇風機の底座を取り外した後の構造模式図である。
【
図5】本発明の扇風機中の回転機構の構造模式図である。
【
図6】本発明の扇風機中の回転機構の分解模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
より良好に理解及び実施するために、以下、本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の実施例の技術的手段を明確且つ完全に説明する。
【0017】
本発明の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」「内」、「外」などの用語により示される方向又は位置関係は、図面に基づく方向又は位置関係であり、本発明を説明し、説明を簡素化するためのものに過ぎず、而不是指示或暗示示される装置又は素子が必ず特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作しなければならないことを示したり暗示したりするものではないため、本発明を限定するものと理解されるべきではない。
【0018】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学的用語は、当業者が一般的に理解している意味と同じである。本明細書で使用される用語は、特定の実施例を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。
【0019】
図1-
図6を参照されたい。本発明は、底座1と、扇風機本体と、底座1と扇風機本体との間に設けられるとともに扇風機本体を底座1に対して回転させるための回転機構5とを含む扇風機を提供する。具体的には、この扇風機本体は、底座1に底座1を覆って設けられる上蓋2と、上蓋2に接続されるハウジング3と、ハウジング3に設けられるヘッド部4とを含む。前記上蓋2と底座1との間には第1収容空間が形成され、前記ハウジング3の内部には第2収容空間が形成される。前記回転機構5は、駆動装置51、駆動装置51の可動端に接続される伝動具52と、伝動具52に回転可能に接続される第1歯付部材53と、第1歯付部材53に噛み合う第2歯付部材54とを含む。前記駆動装置51は、上蓋2に取り付けられるとともに第2収容空間内に位置する。前記伝動具52、第1歯付部材53及び第2歯付部材54は、いずれも第1収容空間内に位置し、上記第2歯付部材54は、底座1に接続される。
【0020】
本実施例において、上記駆動装置51はモータであり、上記伝動具52はクランクであり、前記第1歯付部材53はラックであり、前記第2歯付部材54はギアである。前記クランクは、一端がモータの出力軸に外嵌して設けられ、他端がラックの端部にヒンジ接続される。前記ラックとギアは噛み合う。
【0021】
このようにして、扇風機の底座1が机の上に置かれると、底座1は固定され、即ち、ギアは固定(回転しない)状態にある。ラックとギアが噛み合うため、モータを起動した後、モータの出力軸はクランクを回転させることでラックを回転させる。この場合、ラックは、クランクを介してモータをギアに対して正回転と逆回転させる。これによって、扇風機本体は、底座1に対して正回転と逆回転する。同時に、モータ及び扇風機本体は全体として底座1に対して回転するため、電源コードが絡まるなどの問題がない。
【0022】
他の実施例において、他の設置であってもよい。即ち、モータを底座1に取り付け、ギアを上蓋2に接続する。このようにして、扇風機の底座1が机の上に置かれると、底座1上のモータは固定状態にあり、対応のギアは自由状態にある。これによって、モータを起動した後、モータの出力軸はクランクを回転させることでこのラックを前後移動させる。ラックとギアが噛み合うため、ギアを正回転と逆回転させることができる。これによって、扇風機本体は、底座1に対して正回転と逆回転することができる。しかし、この実施形態において、モータが固定で動かないため、モータの電源コードは絡まりやすい。なお、電源コードの配線は、本発明の特許請求の範囲に属するものではないため、ここで説明を省略する。つまり、上記の設置方式によっても底座1に対する扇風機本体の正回転と逆回転を実現できるため、ここでは制限されない。
【0023】
このようにして、本発明の扇風機を使用する場合、その駆動装置51は、伝動具52を一方向へ回転させた後、第1歯付部材53と第2歯付部材54との噛み合いにより、底座1に対する扇風機本体の正回転と逆回転が実現される。構造が簡単であるだけでなく、駆動装置51に対する制御要求は比較的低く、駆動装置51が正回転と逆回転する必要がなく、操作が便利である。
【0024】
本実施例において、上蓋2の頂部には、ハウジング3を収容して固定するための取付溝21が開設される。この取付溝21には、モータを取り付けるための取付部位22が開設される。この取付部位22には、モータ出力軸が通過可能な貫通孔221が開設される。上蓋2の底部の中心には、取付柱23が突出して設けられる。前記ギアは、取付柱23に外嵌される。前記ギアの底部は、その円周方向に沿って複数の係止ブロック541が設けられる。前記底座1の中心には、係止孔11が開設される。この係止孔11は、その円周方向に沿って係止ブロック541に係合する複数の係止溝が開設される。これによって、前記ギアと底座1との接続が実現される。
【0025】
また、前記回転機構5は、取付柱23に外嵌されるとともに上蓋2とギアとの間に位置するホルダ55をさらに含む。前記ラックは、その長さ方向に沿って摺動溝531が開設される。ホルダ55には、摺動溝531に挿入される突出柱551が設けられる。これによって、突出柱551と摺動溝531との摺動係合により、ラックとギアは常に噛合状態を維持することができる。
【0026】
図1-
図6を再度参照されたい。前記ラックとギアが噛み合うため、クランクの長さを調整することによりラックの直線運動の長さを変化させることができる。ラックの直線運動の長さをL、ギアのピッチ円の周長をCとすると、0<L/C<1である場合、ギアに対するモータの円運動は360度未満であり、即ち、底座1に対する扇風機本体の回転角度は360度未満であり、L/C=1である場合、ギアに対するモータの円運動は360度であり、即ち、底座1に対する扇風機本体の回転角度は360度であり、L/C>1である場合、ギアに対するモータの円運動は360度を超え、即ち、底座1に対する扇風機本体の回転角度は360度を超える。このようにして、クランクの長さを調整することによって、扇風機本体の回転角度の調整を実現することができるため、比較的簡単で便利である。
【0027】
以上のことから、本発明の回転機構及びそれを有する扇風機では、駆動装置51が伝動具52を一方向へ回転させる際に、第1歯付部材53と第2歯付部材54との噛合により底座1に対する扇風機本体の正回転と逆回転が実現され、構造が簡単で、駆動装置51に対する制御要求が比較的低く、駆動装置51が正回転と逆回転する必要がないため、操作が便利である。
【0028】
本発明の技術的手段は、上記の実施形態に開示された技術的手段に限定されず、上記の技術的特徴を任意に組み合わせた技術的手段も含む。当業者であれば、本発明の原理から逸脱しない限り、複数の改良及び修飾を行うことができ、これらに改良及び修飾は、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0029】
符号の説明
1、底座;11、係止孔;2、上蓋;21、取付溝;22、取付部位;221、貫通孔;23、取付柱;3、ハウジング;4、ヘッド部;5、回転機構;51、駆動装置;52、伝動具;53、第1歯付部材;531、摺動溝;54、第2歯付部材;541、係止ブロック;55、ホルダ;551、突出柱。