(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029742
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】動力工具のトルク検知装置
(51)【国際特許分類】
G01L 3/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
G01L3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092524
(22)【出願日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】111131531
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523212852
【氏名又は名称】瞬豐實業股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 逸民
(57)【要約】
【課題】本発明は、外ハウジング、動力構造、保護カバー、内シェルカバー、軸受セット及びトルクセンサを含む動力工具のトルク検知装置を提供すること。
【解決手段】動力構造は外ハウジング内に設置され、動力構造には動力本体が含まれ、かつ、駆動軸を有している。保護カバーは動力本体上に嵌設される。軸受セットに含まれる前軸受は保護カバーと内シェルカバーとの間に設置され、後軸受は内シェルカバーと外ハウジングとの間に設置される。トルクセンサは内シェルカバー上に設置されて、正確なトルク値を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外ハウジングと、
当該外ハウジング内に設置される動力構造であって、動力本体を含み、かつ、当該動力本体が駆動軸を有する動力構造と、
当該動力本体上に嵌設される保護カバーと、
当該保護カバー外に嵌合する内シェルカバーと、
前軸受及び後軸受を含み、当該前軸受が当該保護カバーと当該内シェルカバーとの間に設置され、当該後軸受が当該内シェルカバーと当該外ハウジングとの間に設置される軸受セットと、
当該内シェルカバー上に設置される少なくとも1つのトルクセンサと、を含む、動力工具のトルク検知装置。
【請求項2】
当該保護カバーは、当該駆動軸に近接した保護カバー前側を有し、当該前軸受は当該保護カバー前側に位置する、請求項1に記載の動力工具のトルク検知装置。
【請求項3】
当該内シェルカバーは、当該駆動軸から離間した内シェル後側を有し、当該後軸受は当該内シェル後側に位置する、請求項2に記載の動力工具のトルク検知装置。
【請求項4】
当該保護カバー前側の端縁に複数の前ラチェット爪が設置され、当該保護カバー後側の端縁に複数の後ラチェット爪が設置される、請求項3に記載の動力工具のトルク検知装置。
【請求項5】
当該動力構造は、一対のモータ固定片を更に含み、当該対のモータ固定片は当該保護カバーの対向する側に設置された前固定片及び後固定片を含み、当該前固定片の周縁に離隔して複数の前凸片が設置され、当該後固定片の周縁に離隔して複数の後凸片が設置され、当該前固定片は当該それらの前凸片を介して当該それらの前ラチェット爪と相互に係合して当該保護カバー前側の一端に位置決めされ、当該後固定片は当該それらの後凸片を介して当該それらの後ラチェット爪と相互に係合して当該保護カバー後側の一端に位置決めされる、請求項4に記載の動力工具のトルク検知装置。
【請求項6】
当該動力構造は、複数の前ロック材を更に含み、当該前固定片に複数の第1ロック孔が設置され、当該動力本体に対応して複数の第2ロック孔が設置され、当該前固定片は当該それらの前ロック材を介して当該それらの第1ロック孔及び当該それらの第2ロック孔に貫設されて当該動力本体上に固定される、請求項5に記載の動力工具のトルク検知装置。
【請求項7】
当該内シェルカバーは、当該駆動軸に近接した内シェル前側を有し、当該内シェルカバーは当該内シェル前側の端縁において当該外ハウジングの内壁面に固接される、請求項3に記載の動力工具のトルク検知装置。
【請求項8】
当該内シェルカバーは、当該内シェル後側に後止着片が成形され、当該保護カバーは当該後固定片を介して当該後止着片に固設されることにより、当該内シェルカバーに連動回転を発生させる、請求項5に記載の動力工具のトルク検知装置。
【請求項9】
当該動力構造は、複数の後ロック材を更に含み、当該後固定片に複数の第3ロック孔が設置され、当該後止着片に対応して複数の第4ロック孔が設置され、当該後固定片は当該それらの後ロック材を介して当該それらの第4ロック孔及び当該それらの第3ロック孔に貫設されて当該内シェルカバー上に固定される、請求項8に記載の動力工具のトルク検知装置。
【請求項10】
当該少なくとも1つのトルクセンサの数量は一対であり、当該一対のトルクセンサは当該内シェルカバーの対向する側に設置される、請求項1に記載の動力工具のトルク検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動力工具に関するものであり、特に動力工具のトルク検知装置を指している。
【背景技術】
【0002】
現在、トルクセンサが設置された動力工具はそれによりトルクを検出することができるとともに、所定のトルクに達すると信号を伝達して、動力本体が運転を停止するように制御する。また、一般的な動力工具のトルクセンサは、通常、伝動機構上に設置されているため、トルクセンサは伝動機構の運転に伴い長時間にわたって回転状態におかれ、電線の断裂発生、接触不良などの問題を引き起こして電気的接続に影響を及ぼし、動力工具の損壊を招く。また、動力工具が動作すると、工具ヘッドを接続する伝動機構に振動または変形などの状況が発生し、更に設置されているトルクセンサが検出するトルク値に影響が及び、トルクセンサの正確性が低下する。
【0003】
この点に鑑み、本発明者は、上記従来技術に対して、深く研究を重ねるとともに、併せて学術的理論を運用し、上記問題点の解決に尽力し、本発明者の改良目標を達成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、トルクセンサが内シェルカバー上に設置されているため、動力本体の振動の影響を直接受けず、正確なトルク値を提供する、動力工具のトルク検知装置を提供することにある。
【0005】
本発明の1つの目的は、トルクセンサが動力を伝達する要素上に直接固定されていないため、動力装置に伴って回転せず、電線に断裂及び接触不良などの問題が発生することを回避でき、組付時の利便性が向上している、動力工具のトルク検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、外ハウジング、動力構造、保護カバー、内シェルカバー、軸受セット及びトルクセンサを含む動力工具のトルク検知装置である。動力構造は外ハウジング内に設置され、動力構造は動力本体を含み、かつ、動力本体は駆動軸を有する。保護カバーは動力本体上に嵌設される。軸受セットは前軸受及び後軸受を含み、前軸受は保護カバーと内シェルカバーとの間に設置され、後軸受は内シェルカバーと外ハウジングとの間に設置される。少なくとも1つのトルクセンサは内シェルカバー上に設置される。
【発明の効果】
【0007】
公知技術に比べ、本発明における動力工具のトルク検知装置は、トルクセンサが内シェルカバーに設置され、かつ、動力本体のトルクが保護カバー及び内シェルカバーを介してトルクセンサまで再度伝達されるため、動力本体が所定のトルクを超過した後は反転状態となるとともに、保護カバー及び内シェルカバーに伝達され、更にトルクセンサに伝達され、トルクセンサが動力を伝達する要素上に直接固定されていないため、動力本体の振動の影響は受けず、従って、トルクセンサは動力本体に対してトルクを検知して、正確なトルク値を提供することができ、使用面における実用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明におけるトルク検知装置の立体外観概略図である。
【
図2】本発明におけるトルク検知装置の外ハウジングを取り外した立体外観概略図である。
【
図3】本発明におけるトルク検知装置の外ハウジングを取り外した立体分解概略図である。
【
図4】本発明におけるトルク検知装置の両方向からの組合せ断面図である。
【
図5】本発明におけるトルク検知装置の両方向からの組合せ断面図である。
【
図6】本発明におけるトルク検知装置の応用概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細な説明及び技術的内容に関して、図面に基づき以下の通り説明するが、添付されている図面は参考として説明用のみに提供されており、それにより本発明を制限するものではない。
【0010】
図1~
図3を参照すると、それぞれ本発明におけるトルク検知装置の立体外観概略図、トルク検知装置の外ハウジングを取り外した立体外観概略図及びトルク検知装置の外ハウジングを取り外した立体分解概略図である。本発明は動力工具のトルク検知装置1であり、外ハウジング10、動力構造20、保護カバー30、内シェルカバー40、軸受セット50及び少なくとも1つのトルクセンサ60が含まれる。当該動力構造20は当該外ハウジング10内に取り付けられ、かつ、当該動力構造20は動力本体21を含む。当該保護カバー30は当該動力本体21に嵌設され、かつ、当該内シェルカバー40は当該保護カバー30に嵌合する。当該軸受セット50は当該動力本体21と当該外ハウジング10との間に設置される。当該トルクセンサ60は内シェルカバー40上に設置される。それにより、動力工具は、当該トルクセンサ60を介してトルク値を測定するとともに、それに応じて当該動力本体21の運転を制御することができる。トルク検知装置1のより詳細な説明は以下の通りである。
【0011】
当該外ハウジング10は動力工具の外枠である。また、当該動力構造20は当該外ハウジング10内に設置される。当該動力構造20は動力本体21を含み、かつ、当該動力本体21は駆動軸211を有する。本実施例において、当該動力本体21は、電池を動力源として利用し、当該駆動軸211が回転するように駆動する電動モータである。但し、実際の実施時、当該動力本体21は、圧縮空気を動力源として利用し、当該駆動軸211が回転するように駆動するエアモータを設置してもよい。
【0012】
当該保護カバー30は当該動力本体21上に嵌設され、かつ、当該保護カバー30は当該駆動軸211に近接した保護カバー前側31及び対向する保護カバー後側32を有する。当該保護カバー前側31の端縁に複数の前ラチェット爪311が設置される。当該保護カバー後側32の端縁に複数の後ラチェット爪321が設置される。
【0013】
また、当該内シェルカバー40は当該保護カバー30外に嵌合し、かつ、当該内シェルカバー40は当該駆動軸211に近接した内シェル前側41及び当該駆動軸211から離間した内シェル後側42を有する。当該内シェルカバー40は当該内シェル前側41の端縁に前フランジ411が成形され、また当該内シェル後側42に後止着片421が成形される。
【0014】
当該軸受セット50は前軸受51及び後軸受52を含む。当該前軸受51は当該保護カバー30と当該内シェルカバー40との間に設置される。当該後軸受52は当該内シェルカバー40と当該外ハウジング10との間に設置される。具体的に述べると、当該前軸受51は当該保護カバー前側31に位置し、また、当該後軸受52は当該内シェル後側42に位置する。
【0015】
本発明の1つの実施例において、当該動力構造20は一対のモータ固定片22を更に含む。当該一対のモータ固定片22は当該保護カバー30の対向する側に設置された前固定片221及び後固定片222を含む。当該前固定片221の周縁に離隔して複数の前凸片2211が設置される。当該後固定片222の周縁に離隔して複数の後凸片2221が設置される。
【0016】
具体的に述べると、当該前固定片221は当該それらの前凸片2211を介して当該保護カバー30の前ラチェット爪311と相互に係止して当該保護カバー前側31の一端に位置決めされる。また、当該後固定片222は当該それらの後凸片2221を介して当該保護カバー30の後ラチェット爪321と相互に係止して当該保護カバー後側32の一端に位置決めされる。
【0017】
本発明の1つの実施例において、当該動力構造20は複数の前ロック材23及び複数の後ロック材24を更に含む。当該前固定片221に複数の第1ロック孔2210が設置され、かつ、当該動力本体21に対応して複数の第2ロック孔210が設置される。当該前固定片221は当該それらの前ロック材23を介して当該それらの第1ロック孔2210及び当該それらの第2ロック孔210に貫設されて当該動力本体21上に固定される。また、当該後固定片222に複数の第3ロック孔2220が設置され、かつ、当該内シェルカバー40の後止着片421に対応して複数の第4ロック孔4210が設置される。当該後固定片222は当該それらの後ロック材24を介して当該それらの第4ロック孔4210及び当該それらの第3ロック孔2220に貫設されて当該内シェルカバー40上に固定される。
【0018】
更に、当該トルクセンサ60は、歪みゲージとして内シェルカバー40の外縁面上に設置することができる。本実施例において、当該トルクセンサ60の数量は一対として設置される。当該トルクセンサ60は当該内シェルカバー40の対向する側に設置される。本発明の1つの実施例において、当該内シェルカバー40の外縁面に凹溝401が設置され、当該トルクセンサ60は当該凹溝401内に設置される。ここで説明すべきは、当該凹溝401の設置により当該トルクセンサ60の設置に対して良好な位置決めを提供可能である点である。
【0019】
更に
図4及び
図5を参照すると、本発明におけるトルク検知装置の両方向からの組合せ断面図である。
図4に示されている通り、本発明の動力構造20は当該外ハウジング10内に設置される。当該前軸受51は当該保護カバー30と当該内シェルカバー40との間に設置され、かつ、当該保護カバー前側31に位置している。当該後軸受52は当該内シェルカバー40と当該外ハウジング10との間に設置され、かつ、当該内シェル後側42に位置している。また、当該対のモータ固定片22は当該動力本体21の対向する側に設置される。その他、当該内シェルカバー40の前フランジ411は当該外ハウジング10の内壁面に固接される。当該内シェルカバー40の後止着片421は当該外ハウジング10の内壁面に当接する。当該内シェル前側41が当該外ハウジング10上に固接されているため、当該内シェル後側42の回転時に、それに従動して当該内シェル前側41が共に回転せず、そのため、当該内シェルカバー40が変形を生じることにより、当該内シェルカバー40上に設置されるトルクセンサ60が変形信号を受信する。
【0020】
従って、当該動力本体21に反転力が発生すると、当該後固定片222は当該後止着片421が回転するように反転力を伝達し、それに従動して当該内シェルカバー40に回転変形が発生する。
【0021】
図5を参照すると、本実施例において、当該対のトルクセンサ60は当該内シェルカバー40の対向する側に設置される。また、当該動力本体21が発生するトルクは当該保護カバー30及び当該内シェルカバー40を介して各トルクセンサ60に伝達される。具体的に述べると、当該動力本体21は動作(操作)して抵抗力を受けると、反転力を発生する。また、当該反転力は当該保護カバー30及び当該内シェルカバー40に伝達され、更に当該トルクセンサ60に伝達されて、当該トルクセンサ60に信号を発生させる。
【0022】
続けて
図6を参照すると、本発明におけるトルク検知装置の応用概略図である。本発明のトルク検知装置1は変速機70を更に含む。当該変速機70は当該動力本体21の駆動軸211に接続して、必要とする回転出力を提供する。更に、動力工具は電池及び制御板(図示せず)も含む。当該電池及び当該制御板は当該外ハウジング10内に設置され、かつ、当該制御板は当該動力本体21及び当該トルクセンサ60に電気的に接続される。
【0023】
従って、動力本体21の運転が所定のトルクを超えた後、当該制御板は当該トルクセンサ60が伝送した信号を受信するとともに、直ちに当該動力本体21の運転を停止させる。
【0024】
ここで説明すべきは、本発明のトルクセンサ60は動力を伝達する要素上に直接固定されていないため、当該動力本体21の振動の影響を受けない点である。そのため、当該トルクセンサ60は当該動力本体21のトルクを検知して、正確なトルク値を提供することが可能である。
【0025】
以上の記載は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明の特許請求範囲を定めるものではなく、その他の本発明における特許理念を運用した等価な変更は、いずれも本発明の特許請求範囲に属しているものとする。
【符号の説明】
【0026】
1 トルク検知装置
10 外ハウジング
20 動力構造
21 動力本体
210 第2ロック孔
211 駆動軸
22 モータ固定片
221 前固定片
2210 第1ロック孔
2211 前凸片
222 後固定片
2220 第3ロック孔
2221 後凸片
23 前ロック材
24 後ロック材
30 保護カバー
31 保護カバー前側
311 前ラチェット爪
32 保護カバー後側
321 後ラチェット爪
40 内シェルカバー
401 凹溝
41 内シェル前側
411 前フランジ
42 内シェル後側
421 後止着片
4210 第4ロック孔
50 軸受セット
51 前軸受
52 後軸受
60 トルクセンサ
70 変速機