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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029750
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
H01G4/30 201M
H01G4/30 515
H01G4/30 201N
H01G4/30 201L
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117136
(22)【出願日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0104589
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヤン-セオク
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE05
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG26
5E082FG46
(57)【要約】
【課題】本発明は、積層型電子部品に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで第1方向に積層される内部電極を含む本体と、上記本体上に上記第1方向に垂直な第2方向に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記本体は、上記内部電極を含んで容量を形成するアクティブ部と、上記アクティブ部の上記第1方向の両端面に配置されるカバー部と、を含み、上記カバー部はセラミックワイヤを含み、上記セラミックワイヤは一方向に配列する少なくとも1つ以上の群を含むことができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで第1方向に積層される内部電極を含む本体と、
前記本体上に前記第1方向に垂直な第2方向に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記本体は、前記内部電極を含んで容量を形成するアクティブ部と、前記アクティブ部の前記第1方向の両端面に配置されるカバー部と、を含み、
前記カバー部はセラミックワイヤを含み、
前記セラミックワイヤは一方向に配列する少なくとも1つ以上の群を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記セラミックワイヤは、SiC、TiC、TiO2、BaTiO3、ZnO、Al2O3、及びガラス繊維(fiberglass)から選択される何れか1つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記セラミックワイヤは、セラミックマイクロワイヤ及びセラミックナノワイヤの少なくとも1つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記一方向に配列する群は、全セラミックワイヤに対する、一方向に配列するセラミックワイヤが30%以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記セラミックワイヤは、一方向に配列する一群と、他方向に配列する他群と、を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記一群は前記第2方向に配列し、前記他群は第3方向に配列する、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記カバー部は、外側カバー部と、前記アクティブ部と前記外側カバー部との間に配置される内側カバー部と、を含み、
前記セラミックワイヤは、前記内側カバー部または外側カバー部の何れかに選択的に含まれる、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記本体は、前記アクティブ部の両端面に前記第1及び第2方向に垂直な第3方向に配置されるマージン部と、を含み、
前記マージン部は前記セラミックワイヤを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記外部電極は、前記本体上に配置され、第1導電性金属とガラスを含む第1電極層と、前記第1電極層上に配置され、第2導電性金属と樹脂を含む第2電極層と、を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで第1方向に積層される内部電極を含む本体と、
前記本体上に前記第1方向に垂直な第2方向に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記本体は、前記内部電極を含んで容量を形成するアクティブ部と、前記アクティブ部の前記第1及び第2方向に垂直な第3方向の両端面に配置されるマージン部と、を含み、
前記マージン部はセラミックワイヤを含み、
前記セラミックワイヤは一方向に配列する少なくとも1つ以上の群を含む、積層型電子部品。
【請求項11】
前記セラミックワイヤは、SiC、TiC、TiO2、BaTiO3、ZnO、Al2O3、及びガラス繊維(fiberglass)のうち何れか1つ以上を含む、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記セラミックワイヤは、セラミックマイクロワイヤ及びセラミックナノワイヤの少なくとも1つ以上を含む、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記一方向に配列する群は、全セラミックワイヤに対する、一方向に配列するセラミックワイヤが30%以上である、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記セラミックワイヤは、一方向に配列する一群と、他方向に配列する他群と、を含む、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記一群は前記第1方向に配列し、前記他群は前記第2方向に配列する、請求項14に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記マージン部は、外側マージン部と、前記アクティブ部と前記外側マージン部との間に配置される内側マージン部と、を含み、
前記セラミックワイヤは、前記内側マージン部または前記外側マージン部の何れかに選択的に含まれる、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記外部電極は、前記本体上に配置され、第1導電性金属とガラスを含む第1電極層と、前記第1電極層上に配置され、第2導電性金属と樹脂を含む第2電極層と、を含む、請求項10に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の1つである積層セラミックキャパシター(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、スマートフォン、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサーである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシターは、小型でありながらも高容量が保障され、且つ実装が容易であるという利点を有するため、種々の電子装置の部品として用いられることができる。コンピューター、モバイル機器などの各種電子機器の小型化、高出力化に伴い、積層セラミックキャパシターに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
近年、自動車電装用MLCCの需要が急増するに伴い、高熱や外部衝撃に対しても優れた信頼性を有する積層型電子部品が求められている。特に、技術が発展するにつれて高電圧の製品が求められているが、かかる製品を製作するためには、高耐電圧特性を付与するための開発が必須である。そこで、外部環境に起因する振動と衝撃だけでなく、電歪効果(逆圧電効果)によるチップ(chip)の膨張及び収縮に耐えられるように、優れた機械的特性が必要となる。
【0005】
従来は、電圧によるチップ(chip)の変形により発生するクラック(crack)の問題を改善するために、MLCCの誘電体層の厚さ、もしくはカバー部及びマージン部の厚さ、チップの形態など、設計を変更して問題を解決しようとしていたが、設計を変更する場合、予想しない副効果が伴われる可能性がある。また、漸進的に高度化された信頼性、容量、小型化が求められているため、カバー部及びマージン部の体積を減少する必要性が高まっているが、その場合、信頼性及び機械的強度が低下し、容量形成面積の減少により容量が不足するという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2022-0037136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、電歪効果による歪み応力や外部衝撃に強い積層型電子部品を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、クラック(crack)や剥離(delamination)が発生することを抑える積層型電子部品を提供することにある。
【0009】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、機械的特性が向上した積層型電子部品を提供することにある。
【0010】
但し、本発明が解決しようとする様々な課題は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで第1方向に積層される内部電極を含む本体と、上記本体上に上記第1方向に垂直な第2方向に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記本体は、上記内部電極を含んで容量を形成するアクティブ部と、上記アクティブ部の上記第1方向の両端面に配置されるカバー部と、を含み、上記カバー部はセラミックワイヤを含み、上記セラミックワイヤは一方向に配列する少なくとも一つ以上の群を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで第1方向に積層される内部電極を含む本体と、上記本体上に上記第1方向に垂直な第2方向に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記本体は、上記内部電極を含んで容量を形成するアクティブ部と、上記アクティブ部の上記第1及び第2方向に垂直な第3方向の両端面に配置されるマージン部と、を含み、上記マージン部はセラミックワイヤを含み、上記セラミックワイヤは一方向に配列する少なくとも一つ以上の群を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の歪み応力及び外部衝撃に対しても信頼性が低下しないことである。
【0014】
本発明の様々な効果の一つは、クラック(crack)や剥離(delamination)が発生することを抑えることができることである。
【0015】
本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の機械的特性が向上することである。
【0016】
但し、本発明の多様で且つ有益な利点と効果は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示したものである。
図3図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものである。
図4図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものである。
図5図3のPc領域を拡大した図であって、本発明の様々な実施形態を概略的に示したものである。
図6図4のPm領域を拡大した図であって、本発明の様々な実施形態を概略的に示したものである。
図7】本発明の一実施形態による図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものである。
図8】本発明の一実施形態による図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0019】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」とは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0021】
積層型電子部品
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、図2は本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示したものであり、図3図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものであり、図4図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものであり、図5図3のPc領域を拡大した図であって、本発明の様々な実施形態を概略的に示したものであり、図6図4のPm領域を拡大した図であって、本発明の様々な実施形態を概略的に示したものであり、図7は本発明の一実施形態による図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものであり、図8は本発明の一実施形態による図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものである。
【0022】
以下、図1から図8を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシターについて説明するが、本発明は、誘電体組成物を用いる様々な電子製品、例えば、インダクター、圧電体素子、バリスター、またはサーミスターなどにも適用可能である。
【0023】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層111を挟んで第1方向に積層される内部電極121、122を含む本体110と、上記本体110上に上記第1方向に垂直な第2方向に配置され、上記内部電極121、122と連結される外部電極131、132と、を含み、上記本体110は、上記内部電極121、122を含んで容量を形成するアクティブ部Acと、上記アクティブ部Acの上記第1方向の両端面(end surface)に配置されるカバー部112、113と、を含み、上記カバー部112、113はセラミックワイヤ141を含み、上記セラミックワイヤ141は一方向に配列する少なくとも一つ以上の群を含むことができる。
【0024】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0025】
より具体的に、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成するアクティブ部Acを含むことができる。
【0026】
本体110の具体的な形状は特に制限されないが、図示されたように、本体110は、六面体形状またはそれに類似の形状からなることができる。焼成過程における、本体110に含まれているセラミック粉末の収縮により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0027】
本体110は、第1方向に互いに向かい合う第1及び第2面1、2と、第1及び第2面1、2と連結されて第2方向に互いに向かい合う第3及び第4面3、4と、第1~第4面1、2、3、4と連結されて第3方向に互いに向かい合う第5及び第6面5、6と、を有することができる。
【0028】
本体110を成す複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0029】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができれば制限されない。一般に、ペロブスカイト(ABO3)系材料を用いることができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などが使用できる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、セラミック粉末の例として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、またはBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられる。
【0030】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に、本発明の目的に応じて、種々のセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0031】
誘電体層111の厚さtdは、特に限定する必要はない。
【0032】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さは0.6μm以下であることができ、より好ましくは0.4μm以下であることができる。
【0033】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1内部電極121と第2内部電極122との間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味し得る。
【0034】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向のサイズを意味し得る。また、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味し、誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味し得る。
【0035】
誘電体層111の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つの誘電体層111において、第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は、アクティブ部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して行うと、誘電体層111の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0036】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に積層されることができる。
【0037】
内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0038】
より具体的に、第1内部電極121は、第4面4から離隔して第3面3を介して露出し、第2内部電極122は、第3面3から離隔して第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0039】
すなわち、第1内部電極121は、第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は、第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。この時、第1及び第2内部電極121、122は、その間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0040】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成することで形成されることができる。
【0041】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気伝導性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0042】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷することで形成されることができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0043】
一方、内部電極121、122の厚さteは、特に限定する必要はない。
【0044】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さteは0.6μm以下であることができ、より好ましくは0.4μm以下であることができる。
【0045】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味し得る。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味し、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味し得る。
【0046】
内部電極121、122の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つの内部電極121、122において、第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は、アクティブ部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して行うと、内部電極121、122の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0047】
近年、自動車電装用MLCCの需要が急増するに伴い、高熱や外部衝撃に対しても優れた信頼性を有する積層型電子部品が求められている。特に、技術が発展するにつれて高電圧の製品が求められているが、かかる製品を製作するためには、高耐電圧特性を付与するための開発が必須である。そこで、外部環境に起因する振動と衝撃だけでなく、電歪効果(逆圧電効果)によるチップ(chip)の膨張及び収縮に耐えられるように、優れた機械的特性が必要となる。
【0048】
従来は、電圧によるチップ(chip)の変形により発生するクラック(crack)の問題を改善するために、MLCCの誘電体層の厚さ、もしくはカバー部及びマージン部の厚さ、チップの形態など、設計を変更して問題を解決しようとしていたが、設計を変更する場合、予想しない副効果が伴い可能性がある。また、漸進的に高度化された信頼性、容量、小型化が求められているため、カバー部及びマージン部の体積を減少する必要性が高まっているが、その場合、信頼性及び機械的強度が低下し、容量形成面積の減少により容量が不足になるという問題が発生する。
【0049】
本発明の一実施形態は、カバー部112、113またはマージン部114、115に、セラミックマイクロワイヤまたはセラミックナノワイヤを含むセラミックワイヤ141、142を含ませることで、電歪効果による歪み応力や外部衝撃が積層型電子部品であるチップ(chip)に加えられても、優れた機械的特性を有するという効果がある。以下でより詳細に説明する。
【0050】
本体110は、アクティブ部Acの第1方向の両端面(end-surface)上に配置されるカバー部112、113を含むことができる。
【0051】
より具体的に、アクティブ部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112と、アクティブ部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113と、を含むことができる。
【0052】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層111または2つ以上の誘電体層111をアクティブ部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層することで形成されることができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0053】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0054】
本発明の一実施形態において、カバー部112、113はセラミックワイヤ141を含むことができる。
【0055】
カバー部112、113に含まれるセラミックワイヤ141は、ワイヤ(wire)の形態を有するセラミック(ceramic)物質を意味し得る。例えば、セラミック物質は、SiC、TiC、TiO2、BaTiO3、ZnO、Al2O3、及びガラス繊維(fiberglass)から選択される何れか1つ以上を含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0056】
セラミックワイヤ141、142は優れた耐熱及び強度特性を有し、高温でも優れた機械的特性を有することができる。そのため、カバー部112、113またはマージン部114、115を形成するための製造工程中にセラミックワイヤ141、142を含ませた後、焼成工程を進行しても、最終製品のチップ(chip)でワイヤの形態で残存することができる。また、セラミック系の特性上、悪性残炭(residual carbon)が発生することがなく、カバー部112、113またはマージン部114、115の主成分として使用可能なセラミック誘電体組成物であるBaTiO3との異質性も少ないため機械的特性が低下しないとともに、気孔(pore)などの生成を抑制して信頼性を向上させることができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、セラミックワイヤ141は、セラミックマイクロワイヤ及びセラミックナノワイヤの少なくとも1つ以上を含むことができる。
【0058】
ここで、マイクロワイヤは、直径が1μm以上100μm以下、長さが1μm以上1000μm以下のサイズを有し、長さが直径より大きいワイヤの形態を有する物質と定義することができるが、特にこれに限定されるものではなく、マイクロ単位のワイヤの形態を有する、一般に定義される物質を意味し得る。
【0059】
ナノワイヤは、直径が1nm以上100nm以下、長さが1nm以上1000nm以下のサイズを有し、長さが直径より大きいワイヤの形態を有する物質と定義することができるが、特にこれに限定されるものではなく、ナノ単位のワイヤの形態を有する、一般に定義される物質を意味し得る。
【0060】
より具体的に、カバー部112、113にセラミックマイクロワイヤまたはセラミックナノワイヤをそれぞれ含ませるか混在させることで、セラミックワイヤ141を含ませることができる。カバー部112、113に分散されているセラミックワイヤ141が、カバー部112、113に含まれている誘電体層を支持することで、補強の役割を果たすことができる。
【0061】
これにより、機械的強度が向上することができ、電圧の印加による電歪効果が発生してチップ(chip)の変形により発生し得る電歪クラック、内部電極の膨張による放射クラック、外部衝撃などによるチップ(chip)の変形や割れなどのような不良の発生に対して抵抗性を有することができ、これにより、耐湿信頼性も向上することができる。
【0062】
結果として、積層型電子部品100の機械的特性が向上することにより、従来の積層型電子部品と比べてカバー部112、113の体積を減少させ、容量を形成するアクティブ部Acの領域を拡張設計して電気的特性を向上させるか、超小型化を達成することができる。
【0063】
本発明の一実施形態において、カバー部112、113に含まれるセラミックワイヤ141は、一方向に配列する少なくとも1つ以上の群を含むことができる。
【0064】
本発明の一実施形態において、一方向に配列するセラミックワイヤ141の群(group)は、カバー部112、113に含まれる全セラミックワイヤ141に対する、一方向に配列するセラミックワイヤ141の割合が30%以上であるものを意味し得る。
【0065】
より具体的に、上部カバー部112に含まれる全セラミックワイヤ141に対する、上部カバー部112に一方向に配列するセラミックワイヤ141の割合が30%以上であるものを意味し、下部カバー部113に含まれる全セラミックワイヤ141に対する、下部カバー部113に一方向に配列するセラミックワイヤ141の割合が30%以上であるものを意味し得る。
【0066】
一方、本明細書で説明するセラミックワイヤ141、142の方向は、1つのセラミックワイヤ141、142において、長軸(長さ方向)の両端部分を結んだ仮想の線が向く方向を意味し得る。すなわち、セラミックワイヤ141、142の一端部分の短軸(直径)の中心と他端部分の短軸(直径)の中心とを結んだ仮想の線を意味し得る。
【0067】
または、セラミックワイヤ141、142が任意の一方向に向かって実質的な直線を成している時の方向を意味し得、セラミックワイヤ141、142の長軸の長さのうち50%を超えて実質的に一定の方向に配列している方向を意味し、好ましくは70%を超え、より好ましくは90%を超えて実質的に一定の方向に配列している方向を意味し得る。
【0068】
カバー部112、113内に分布されているセラミックワイヤ141の配列方向をランダムにすることで機械的特性を向上させることができるが、セラミックワイヤ141の配列方向を特定の方向に配列する場合、特定の方向に発生する可能性がある不良の発生をさらに効果的に抑制することができる。
【0069】
特定の方向に一定に配列する場合とは、例えば、複数のセラミックワイヤ141を何れも一方向に一定に配列する場合、一方向に配列する一群及び他方向に配列する他群を含む場合、または配列方向が同一ではない複数の群を含む場合を含む。
【0070】
一方、セラミックワイヤ141を配列する方法としては、ドクターブレード(doctor blade)法などを用いることができるが、特にこれに制限されるものではない。
【0071】
より具体的に、カバー部112、113は、前述のとおり、1つの誘電体層111または2つ以上の誘電体層111をアクティブ部Acの第1方向の両端面(end-surface)に第1方向に積層することで形成されることができる。この時、誘電体層111を形成するためのスラリー(slurry)の製作時に、セラミックワイヤ141を添加することができる。その後、フィルム(film)上にスラリーを塗布し、ドクターブレード法などを用いて均一な厚さの誘電体グリーンシート(sheet)を形成することができる。この時、フィルム(film)の移動速度、スラリーの濃度、セラミックワイヤの数、ドクターブレードを用いた誘電体グリーンシート(sheet)の厚さ調節などにより、セラミックワイヤ141が一定の方向に配列されるように調節することができる。これは、外部の剪断応力(shear stress)により特定の方向に配列されたものであることができる。
【0072】
かかる方法により特定の方向に配列されたセラミックワイヤ141が含まれた誘電体グリーンシートを、方向を異ならせて積層することで、異なる方向に配列されたセラミックワイヤ141を含むカバー部112、113が形成されることができる。
【0073】
本発明の一実施形態において、セラミックワイヤ141は、一方向に配列する一群と、他方向に配列する他群と、を含むことができる。
【0074】
本発明の一実施形態である図5を参照すると、カバー部112、113に含まれるセラミックワイヤ141は第2方向または第3方向に配列することができる。
【0075】
すなわち、一方向に配列する一群は第2方向に配列しており、他方向に配列する他群は第3方向に配列していることができる。
【0076】
電圧の印加により発生する電歪効果は、一般に、内部電極121、122の第1方向に沿って発生し、これにより、カバー部112、113には第1方向に歪み応力が加えられる可能性がある。この時、カバー部112、113に含まれているセラミックワイヤ141が第1方向に垂直な第2方向または第3方向に配列されている場合、電歪効果によりカバー部112、113に加えられる歪み応力を効果的に抑えることができ、クラック(crack)、剥離(delamination)、またはアコースティックノイズ(acoustic noise)などが発生することを防止することができる。
【0077】
より具体的に、セラミックワイヤ141が第2方向に配列される場合には、第1方向への歪み応力を抑えることができ、積層型電子部品100が第2方向に引張または収縮される際に、機械的特性を補強することができる。
【0078】
セラミックワイヤ141が第3方向に配列される場合には、第1方向への歪み応力を抑えることができ、積層型電子部品100が第3方向に引張または収縮される際に、機械的特性を補強することができる。
【0079】
カバー部112、113に含まれているセラミックワイヤ141は、本体110の第1及び第2方向または第1及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)でイメージスキャンして測定することができ、エネルギー分散型X線スペクトロメーター(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)によっても確認することができる。この時、誘電体結晶粒の他に、セラミックワイヤ141と識別される微細構造が上記断面から検出されるかを確認することができる。
【0080】
一方、図7及び図8を参照すると、本発明の他の実施形態において、カバー部112、113は、外側カバー部112b、113bと、アクティブ部Acと外側カバー部112b、113bとの間に配置される内側カバー部112a、113aと、を含み、セラミックワイヤ141は、内側カバー部112a、113aまたは外側カバー部112b、113bの何れかに選択的に含まれることができる。
【0081】
より具体的に、カバー部112、113は、アクティブ部Ac上に配置される内側カバー部112a、113aと、内側カバー部112a、113a上に配置される外側カバー部112b、113bと、を含むことができ、セラミックワイヤ141は、内側カバー部112a、113aまたは外側カバー部112b、113bの何れかに選択的に含まれることができる。
【0082】
換言すると、カバー部112、113は、内側カバー部112a、113a及び外側カバー部112b、113bを含む二重層の構造を有することができ、内側カバー部112a、113a及び外側カバー部112b、113bから選択される何れか1つにセラミックワイヤ141が含まれることができる。
【0083】
この時、セラミックワイヤ141が含まれているカバー部の領域と、含まれていないカバー部の領域を区分して、内側カバー部112a、113aまたは外側カバー部112b、113bと区分することができる。例えば、外側カバー部112b、113bにセラミックワイヤ141が含まれている場合、内側カバー部112a、113aにはセラミックワイヤ141が含まれないことができる。
【0084】
外側カバー部112b、113bの形成方法は特に制限されない。内側カバー部112a、113aの外側面を、セラミックワイヤ141を含むペーストに浸漬(dipping)することで形成することができ、収縮及び膨張が容易なフィルム(film)上に、セラミックワイヤ141が含まれているシート(sheet)をドクターブレード法などにより実装した後、内側カバー部112a、113a上にスクリーン印刷法などにより形成することができ、または、外側カバー部112b、113b及び外側マージン部114b、115bを連続して形成、例えば、第2面2、第6面6、第1面1、及び第5面5を順にスクリーン印刷法などにより形成することができる。
【0085】
一方、外側カバー部112b、113bにはセラミックワイヤ141が含まれることが好ましい。
【0086】
これは、電歪効果によりカバー部112、113に第1方向に歪み応力が加えられるか外部衝撃が加えられる場合、カバー部112、113の領域のうち外側領域である外側カバー部112b、113bにさらに大きい応力が加えられるために歪みの程度が強くなり、これにより、クラック(crack)や剥離(delamination)などがより発生しやすくなることを防止するためである。
【0087】
但し、特にこれに限定されるものではなく、上部カバー部112では外側カバー部112bにセラミックワイヤ141が含まれ、下部カバー部113では内側カバー部113aにセラミックワイヤ141が含まれることができる。または、上部カバー部112では内側カバー部112aにセラミックワイヤ141が含まれ、下部カバー部113では外側カバー部113bにセラミックワイヤ141が含まれることができる。
【0088】
カバー部112、113の厚さtcは、特に限定する必要はない。
【0089】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは、100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であることができる。
【0090】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向のサイズを意味し得る。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味し、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味し得る。
【0091】
カバー部112、113の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つのカバー部112、113において、第3方向に等間隔である30個の地点で厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、上部カバー部112で指定されることができる。また、このような平均値の測定を下部カバー部113に拡張して行うと、カバー部112、113の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0092】
本発明の他の実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層111を挟んで第1方向に積層される内部電極121、122を含む本体110と、上記本体110上に上記第1方向に垂直な第2方向に配置され、上記内部電極121、122と連結される外部電極131、132と、を含み、上記本体110は、上記内部電極121、122を含んで容量を形成するアクティブ部Acと、上記アクティブ部Acの上記第1及び第2方向に垂直な第3方向の両端面(end surface)に配置されるマージン部114、115と、を含み、上記マージン部114、115はセラミックワイヤ142を含み、上記セラミックワイヤ142は一方向に配列する少なくとも1つ以上の群を含むことができる。
【0093】
本体110は、アクティブ部Acの第3方向の両端面(end-surface)上に配置されるマージン部114、115を含むことができる。
【0094】
より具体的に、マージン部114、115は、アクティブ部Acの第5面5上に配置される第1マージン部114と、アクティブ部Acの第6面6上に配置される第2マージン部115と、を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、アクティブ部Acの第3方向の両端面上に配置されることができる。
【0095】
マージン部114、115は、図示されているように、アクティブ部Acの第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準として、第1及び第2内部電極121、122の第3方向の両断面(end-surface )と本体110の境界面との間の領域を意味し得る。
【0096】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上に、マージン部114、115が形成されるべき箇所を除いて導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑えるために、積層後の内部電極121、122がアクテブアクティブ部Acの第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111または2つ以上の誘電体層111をアクティブ部Acの第3方向の両端面(end-surface)上に第3方向に積層することで形成されてもよい。
【0097】
マージン部114、115は、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0098】
第1マージン部114及び第2マージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。すなわち、第1マージン部114及び第2マージン部115はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0099】
本発明の一実施形態において、マージン部114、115はセラミックワイヤ142を含むことができる。
【0100】
マージン部114、115に含まれるセラミックワイヤ142は、前述のカバー部112、113に含まれるセラミックワイヤ141と同一であることができ、これに係る重複説明は省略する。
【0101】
マージン部114、115に含まれるセラミックワイヤ142は、ワイヤ(wire)の形態を有するセラミック(ceramic)物質を意味し得る。例えば、セラミック物質は、SiC、TiC、TiO2、BaTiO3、ZnO、Al2O3、及びガラス繊維(fiberglass)から選択される何れか1つ以上を含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0102】
本発明の一実施形態において、セラミックワイヤ142は、セラミックマイクロワイヤ及びセラミックナノワイヤの少なくとも1つ以上を含むことができる。
【0103】
本発明の一実施形態において、マージン部114、115に含まれるセラミックワイヤ142は、一方向に配列する少なくとも1つ以上の群を含むことができ、これにより、機械的特性がより向上することができる。
【0104】
マージン部114、115内に分布されているセラミックワイヤ142の配列方向をランダムにすることで機械的特性を向上させることができるが、セラミックワイヤ142の配列方向を特定の方向に配列する場合、特定の方向に発生する可能性がある不良の発生をさらに効果的に抑制することができる。
【0105】
すなわち、複数のセラミックワイヤ142は、例えば、複数のセラミックワイヤ141を何れも一方向に一定に配列する場合、一方向に配列する一群及び他方向に配列する他群を含む場合、または配列方向が同一ではない複数の群を含む場合を含む。
【0106】
一方、セラミックワイヤ142を配列する方法としては、ドクターブレード(doctor blade)法などを用いることができるが、特にこれに制限されるものではなく、これに係る具体的な説明は、カバー部112、113に含まれるセラミックワイヤ141の配列方法と同一であるため省略する。
【0107】
本発明の一実施形態において、セラミックワイヤ142は、一方向に配列する一群と、他方向に配列する他群と、を含むことができる。
【0108】
本発明の一実施形態である図6を参照すると、マージン部114、115に含まれるセラミックワイヤ142は第1方向または第2方向に配列することができる。
【0109】
すなわち、一方向に配列する一群は第1方向に配列しており、他方向に配列する他群は第3方向に配列していることができる。
【0110】
電圧の印加により発生する電歪効果は、一般に、内部電極121、122の第1方向に沿って発生し、この時、マージン部114、115には第3方向に歪み応力が加えられる可能性がある。この時、マージン部114、115に含まれているセラミックワイヤ142が第3方向に垂直な第1方向または第2方向に配列されている場合、電歪効果によりマージン部114、115に加えられる歪み応力を効果的に抑えることができ、クラック(crack)、剥離(delamination)、またはアコースティックノイズ(acoustic noise)などが発生することを防止することができる。
【0111】
より具体的に、セラミックワイヤ142が第1方向に配列される場合には、第3方向への歪み応力を抑えることができ、積層型電子部品100が第1方向に引張または収縮される際に、機械的特性を補強することができる。
【0112】
セラミックワイヤ142が第2方向に配列される場合には、第3方向への歪み応力を抑えることができ、積層型電子部品100が第2方向に引張または収縮される際に、機械的特性を補強することができる。
【0113】
マージン部114、115に含まれているセラミックワイヤ142は、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)でイメージスキャンして測定することができ、エネルギー分散型X線スペクトロメーター(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)によっても確認することができる。この時、誘電体結晶粒の他に、セラミックワイヤ142と識別される微細構造が上記断面から検出されるかを確認することができる。
【0114】
一方、図8を参照すると、本発明の他の実施形態において、マージン部114、115は、外側マージン部114b、115bと、アクティブ部Acと外側マージン部114b、115bとの間に配置される内側マージン部114a、115aと、を含み、セラミックワイヤ142は、内側マージン部114a、115aまたは外側マージン部114b、115bの何れかに選択的に含まれることができる。
【0115】
より具体的に、マージン部114、115は、アクティブ部Ac上に配置される内側マージン部114a、115aと、内側マージン部114a、115a上に配置される外側マージン部114b、115bと、を含むことができ、セラミックワイヤ142は、内側マージン部114a、115aまたは外側マージン部114b、115bの何れかに選択的に含まれることができる。
【0116】
換言すると、マージン部114、115は、内側マージン部114a、115a及び外側マージン部114b、115bを含む二重層の構造を有することができ、内側マージン部114a、115a及び外側マージン部114b、115bから選択される何れか1つにセラミックワイヤ142が含まれることができる。
【0117】
この時、セラミックワイヤ142が含まれているマージン部の領域と、含まれていないマージン部の領域を区分して、内側マージン部114a、115aまたは外側マージン部114b、115bと区分することができる。例えば、外側マージン部114b、115bにセラミックワイヤ142が含まれている場合、内側マージン部114a、115aにはセラミックワイヤ142が含まれないことができる。
【0118】
外側マージン部114b、115bの形成方法は、前述の外側カバー部112b、113bの形成方法と同一であるため省略する。
【0119】
一方、外側マージン部114b、115bにはセラミックワイヤ142が含まれることが好ましい。
【0120】
これは、電歪効果によりマージン部114、115に第3方向に歪み応力が加えられるか外部衝撃が加えられる場合、マージン部114、115の領域のうち外側領域である外側マージン部114b、115bにさらに大きい応力が加えられるために歪みの程度が強くなり、これにより、クラック(crack)や剥離(delamination)などがより発生しやすくなることを防止するためである。
【0121】
但し、特にこれに限定されるものではなく、第1マージン部114では外側マージン部114bにセラミックワイヤ142が含まれ、第2マージン部115では内側マージン部115aにセラミックワイヤ142が含まれることができる。または、第1マージン部114では内側マージン部114aにセラミックワイヤ142が含まれ、第2マージン部115では外側マージン部115bにセラミックワイヤ142が含まれることができる。
【0122】
マージン部114、115の幅wmは、特に限定する必要はない。
【0123】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の幅wmは、100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であることができる。
【0124】
ここで、マージン部114、115の幅wmは、マージン部114、115の第3方向のサイズを意味し得る。また、マージン部114、115の幅wmは、マージン部114、115の平均幅wmを意味し、マージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味し得る。
【0125】
マージン部114、115の第3方向の平均サイズは、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つのマージン部114、115において、第1方向に等間隔である30個の地点で第3方向のサイズを測定した平均値であることができる。上記等間隔である30個の地点は、第1マージン部114で指定されることができる。また、このような平均値の測定を第2マージン部115に拡張して行うと、マージン部114、115の第3方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0126】
本発明の一実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的によって変わり得る。
【0127】
外部電極131、132は本体110上に配置され、内部電極121、122と連結されることができる。
【0128】
より具体的に、外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は、本体の第3面3に配置されて第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は、本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0129】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば如何なる物質を用いて形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらには、多層構造を有することができる。
【0130】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層と、電極層上に配置されるめっき層と、を含むことができる。
【0131】
電極層のより具体的な例としては、電極層は、導電性金属及びガラス(glass)を含む焼成電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0132】
より具体的に、電極層131a、132a、131b、132bは、本体110上に配置され、第1導電性金属とガラスを含む第1電極層131a、132aと、第1電極層131a、132a上に配置され、第2導電性金属と樹脂を含む第2電極層131b、132bと、を含むことができる。この時、第1電極層131a、132aは焼成電極であることができ、第2電極層131b、132bは樹脂系電極であることができる。
【0133】
また、電極層は、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式により形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式により形成されてもよい。
【0134】
電極層131a、132a、131b、132bに含まれる第1及び第2導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を用いることができ、例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上を含むことができるが、特にこれに限定されない。
【0135】
第1電極層131a、132aは、ガラスを含むことで、本体110との接合性を向上させる役割を果たし、第2電極層131b、132bは、樹脂を含むことで、歪み強度を向上させる役割を果たすことができる。
【0136】
第1電極層131a、132aに用いられる第1導電性金属は、静電容量を形成するための上記内部電極121、122と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上を含むことができる。第1電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリット(glass frit)を添加して準備された導電性ペーストを塗布した後、焼成することで形成されることができる。
【0137】
第2電極層131b、132bに含まれる第2導電性金属は、第1電極層131a、132aと電気的に連結されるようにする役割を果たすことができる。
【0138】
第2電極層131b、132bに含まれる導電性金属は、電極層131a、132aと電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上を含むことができる。
【0139】
第2電極層131b、132bに含まれる第2導電性金属は、球状粒子及びフレーク状粒子のうち1つ以上を含むことができる。すなわち、導電性金属は、フレーク状粒子のみからなるか、球状粒子のみからなってもよく、フレーク状粒子と球状粒子が混合された形態であってもよい。ここで、球状粒子は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さの割合(長軸/短軸)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク状粒子は、平らで且つ長い形態を有する粒子を意味し、特に制限されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さの割合(長軸/短軸)が1.95以上であることができる。上記球状粒子及びフレーク状粒子の長軸と短軸の長さは、セラミック電子部品の第3方向の中央部で切断した第1及び第2方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得た画像から測定することができる。
【0140】
第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は、接合性の確保及び衝撃吸収の役割を果たす。第2電極層131b、132bに含まれる樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作製可能なものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0141】
また、第2電極層131b、132bは、複数の金属粒子、金属間化合物、及び樹脂を含むことができる。上記金属間化合物を含むことで、第1電極層131a、132aとの電気的連結性をより向上させることができる。上記金属間化合物は、複数の金属粒子を連結して電気的連結性を向上させる役割をし、複数の金属粒子を取り囲んで互いに連結する役割を果たすことができる。
【0142】
この時、上記金属間化合物は、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むことができる。すなわち、上記金属間化合物が樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属を含むため、樹脂の硬化温度より低い融点を有する金属が乾燥及び硬化工程を経る過程で溶融され、金属粒子の一部と金属間化合物を形成して金属粒子を取り囲むようになる。この時、金属間化合物は、好ましくは300℃以下の低融点金属を含むことができる。
【0143】
例えば、113~220℃の融点を有するSnを含むことができる。乾燥及び硬化工程を経る過程でSnが溶融され、溶融されたSnが、Ag、Ni、またはCuのような高融点の金属粒子を毛細管現象により濡らし、Ag、Ni、またはCu金属粒子の一部と反応してAg3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5、Cu3Snなどの金属間化合物を形成するようになる。反応に関与しなかったAg、Ni、またはCuは、金属粒子の形態で残るようになる。
【0144】
したがって、上記複数の金属粒子は、Ag、Ni、及びCuのうち1つ以上を含み、上記金属間化合物は、Ag3Sn、Ni3Sn4、Cu6Sn5、及びCu3Snのうち1つ以上を含むことができる。
【0145】
めっき層131c、132cは、実装特性を向上させる役割を果たす。
【0146】
めっき層131c、132cの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含む単一層のめっき層131c、132cであってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0147】
めっき層131c、132cのより具体的な例としては、めっき層131c、132cは、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよい。また、めっき層131c、132cは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0148】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0149】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態及び添付図面により限定されず、添付の特許請求の範囲により限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0150】
一方、本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0151】
また、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0152】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
112a、113a 内側カバー部
112b、113b 外側カバー部
114、115 マージン部
114a、115a 内側マージン部
114b、115b 外側マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 第1電極層
131b、132b 第2電極層
131c、132c めっき層
141、142 ワイヤ
図1
図2
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図6
図7
図8