(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029752
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】履歴飛行データに基づく節油方策決定方法、システム及び機器
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240228BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20240228BHJP
G01C 21/14 20060101ALI20240228BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240228BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64F1/36
G01C21/14
G06Q50/30
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126390
(22)【出願日】2023-08-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】202211002850.6
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522223408
【氏名又は名称】珠海翔翼航空技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ハオ徳月
(72)【発明者】
【氏名】楊磊
(72)【発明者】
【氏名】楊実
(72)【発明者】
【氏名】王傑
(72)【発明者】
【氏名】劉岩
(72)【発明者】
【氏名】黄智豪
(72)【発明者】
【氏名】王治宇
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA11
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB26
2F129CC15
2F129CC16
2F129CC19
2F129CC23
2F129DD20
2F129DD46
2F129DD47
2F129EE52
2F129EE94
2F129FF32
2F129FF71
2F129HH25
5H181AA26
5H181BB04
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】本発明は、制御の技術分野に属し、具体的には履歴飛行データに基づく節油方策決定方法、システム及び機器に関し、既存の飛行計画立案方法では燃油消費の推定に偏差が存在することにより、燃油消費が過多になる問題を解決することを意図している。
【解決手段】本発明は、現在飛行体の航路情報、燃油情報、荷重情報及び環境情報を取得することと、飛行体の履歴飛行データを取得し、前記履歴飛行データのうち航行高度に応じて段階別履歴データに区分することと、前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体の全てのサブ飛行段階の節油空間を計算することと、現在飛行体の全てのサブ飛行段階の節油空間に基づいて、節油方策飛行計画を生成することと、を含む。本発明は、履歴飛行データに対して、巡航の過程全体を複数のサブ飛行段階に区分することで、各サブ飛行段階の燃油消費を分析し、これにより、最適な節油方策飛行計画が自動的に生成され、燃油消費がさらに削減できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履歴飛行データに基づく節油方策決定方法であって、前記節油方策決定方法は、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれることと、
飛行体の履歴飛行データを取得することと、
航行では実際飛行高度と計画飛行高度とが通常異なる数値の状態にあり、実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに応じて、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを段階別履歴データとして統合することと、前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の、各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの、毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階データの組合せが含まれることと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の、各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を計算することと、
前記現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間の取得方法は、
前記段階別履歴データにおける、各サブ飛行段階の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データと飛行段階全体の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データに基づいて、最適フライトを選択して目標フライトナンバーとし、
他のフライトナンバーと目標フライトナンバーとの間の燃油消費差を計算し、
段階別履歴データの特徴を抽出し、段階別履歴データの特徴をクラスタリングし相関性分析により燃油消費差を影響する影響ファクタを取得し、
前記した燃油消費差を影響する影響ファクタと現在飛行体の航行データを比較し、航空規制の命令に適合する範囲内で、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を得る、ことであり、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、節油方策飛行計画を生成することと、を含む、
ことを特徴とする履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項2】
前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する、
ことを特徴とする請求項1に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項3】
前記段階別履歴データは、毎回航行の履歴飛行データであり、
分割点が離陸点と着陸点であり、飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも全体的に大きいか又は全体的に小さい第1のサブ飛行段階データと、
分割点のいずれも巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第2のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が上昇段階から巡航段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第3のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階から降下段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第4のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第5のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にある第6のサブ飛行段階データと、の6つのサブ飛行段階データのうちの1つ又は複数からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項4】
前記節油方策飛行計画の取得方法は、
前記各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、現在飛行体の始点、終点及び積載を満たし且つ現在環境情報で燃油消費が最も低い最適節油方策飛行計画を計算予測する、ことである、
ことを特徴とする請求項1に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項5】
前記飛行体の航路情報は、飛行体の離陸点、降下点、現在経緯度、高度、速度、航行方向及びエンジン推力を含み、燃油情報は、飛行体の燃油量及び消費燃油記録を含み、環境情報は、風速、風向及び気温を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項6】
履歴飛行データに基づく節油方策決定システムであって、前記システムは、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれるように構成される情報取得モジュールと、
飛行体の履歴飛行データを取得するように構成される履歴データ取得モジュールと、
航行では実際飛行高度と計画飛行高度とが通常異なる数値の状態にあり、実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに応じて、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを段階別履歴データとして統合するように構成されるデータ区分モジュールと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階データの組合せが含まれるように構成される段階別燃油消費計算モジュールと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を計算するように構成される節油空間計算モジュールと、
前記現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間の取得方法は、
前記段階別履歴データにおける、各サブ飛行段階の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データと飛行段階全体の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データに基づいて、最適フライトを選択して目標フライトナンバーとし、
他のフライトナンバーと目標フライトナンバーとの間の燃油消費差を計算し、
段階別履歴データの特徴を抽出し、段階別履歴データの特徴をクラスタリングし相関性分析により燃油消費差を影響する影響ファクタを取得し、
前記した燃油消費差を影響する影響ファクタと現在飛行体の航行データを比較し、航空規制の命令に適合する範囲内で、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を得る、ことであり、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、節油方策飛行計画を生成するように構成される節油方策生成モジュールと、を備える、
ことを特徴とする履歴飛行データに基づく節油方策決定システム。
【請求項7】
前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する、
ことを特徴とする請求項6に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定システム。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセッサーと、少なくとも1つの前記プロセッサーに通信接続されるメモリと、を備える電子機器であって、前記メモリには、前記プロセッサーに実行されて請求項1~5のいずれか一項に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するための、前記プロセッサーに実行されうる命令が記憶される、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータに実行されて請求項1~5のいずれか一項に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するためのコンピュータ命令が記憶される、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御の技術分野に属し、具体的には履歴飛行データに基づく節油方策決定方法、システム及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
巡航段階は、航路運航全体の時間の約57%を占め、該段階で燃油の利用率を高めることができれば、燃油の節減にとっては大きな効果を生み出す。既存のデータ統計からは、同じメーター速度で、航空機が低空で受けた空気抵抗は高空よりも遥かに大きいことが分かる。一方、フライト計画を策定するときに、同一航路のフライト計画は異なる計画高度層があり、フライトは実際の運航においてみな計画の航路通りに飛行できるとは限らない。燃油節約の目標を達成するために、本特許は、履歴フライト運航データに合わせて、ビッグデータ分析の方法により、航路運航の飛行高度に対して実行可能な最適化方案を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存技術における上記問題、即ち既存の飛行計画立案方法では燃油消費の推定に偏差が存在することにより、燃油消費が過多になる問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するために、本発明は、履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を提供し、前記節油方策決定方法は、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重(loading weight)情報、センサー情報及び気象情報が含まれることと、
飛行体の履歴飛行データを取得することと、
航行では前記飛行高度と計画飛行高度とが通常異なる数値の状態にあり、実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに従って、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを段階別履歴データとして統合することと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階データの組合せが含まれる可能性があることと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を計算することと、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、節油方策飛行計画を生成することと、を含む。
【0005】
いくつかの好ましい実施形態において、前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する。
【0006】
いくつかの好ましい実施形態において、前記段階別履歴データは、毎回航行の履歴飛行データであり、
分割点が離陸点と着陸点であり、飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも全体的に大きいか又は全体的に小さい第1のサブ飛行段階データと、
分割点のいずれも巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第2のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が上昇段階から巡航段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第3のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階から降下段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第4のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第5のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にある第6のサブ飛行段階データと、の6つのサブ飛行段階データのうちの1つ又は複数からなる。
【0007】
いくつかの好ましい実施形態において、
前記現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間の取得方法は、
前記段階別履歴データのうちに各サブ飛行段階の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データと飛行段階全体の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データに基づいて、最適フライトを選択して目標フライトナンバーとし、
他のフライトナンバーと目標フライトナンバーとの間の燃油消費差を計算し、
段階別履歴データの特徴を抽出し、段階別履歴データの特徴をクラスタリングし相関性分析により燃油消費差を影響する影響ファクタを取得し、
前記した燃油消費差を影響する影響ファクタと現在飛行体の航行データを比較し、航空規制の命令に適合する範囲内で、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を得る、ことである。
【0008】
いくつかの好ましい実施形態において、前記節油方策飛行計画の取得方法は、
前記各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、現在飛行体の始点、終点及び積載(stowage)を満たし且つ現在環境情報で燃油消費が最も低い最適節油方策飛行計画を計算予測する、ことである。
【0009】
いくつかの好ましい実施形態において、前記飛行体の航路情報は、飛行体の離陸点、降下点、現在経緯度、高度、速度、航行方向及びエンジン推力を含み、燃油情報は、飛行体の燃油量及び消費燃油記録を含み、環境情報は、風速、風向及び気温を含む。
【0010】
本発明の他の1つの側面は、以下のことを特徴とする履歴飛行データに基づく節油方策決定システムを提出し、前記システムは、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれるように構成される情報取得モジュールと、
飛行体の履歴飛行データを取得するように構成される履歴データ取得モジュールと、
航行では実際飛行高度と計画飛行高度とが通常異なる数値の状態にあり、実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに基づいて、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを段階別履歴データとして統合するように構成されるデータ区分モジュールと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階データの組合せが含まれる可能性があるように構成される段階別燃油消費計算モジュールと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を計算するように構成される節油空間計算モジュールと、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、節油方策飛行計画を生成するように構成される節油方策生成モジュールと、を備える。
【0011】
いくつかの好ましい実施形態において、前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する。
【0012】
本発明の第3の側面は、少なくとも1つのプロセッサーと、少なくとも1つの前記プロセッサーに通信接続されるメモリと、を備える電子機器であって、前記メモリには、前記プロセッサーに実行されて上記した履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するための、前記プロセッサーに実行されうる命令が記憶される、電子機器を提出する。
【0013】
本発明の第4の側面は、コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体には、前記コンピュータに実行されて上記した履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するためのコンピュータ命令が記憶される、コンピュータ可読記憶媒体を提出する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は、次の通りである。
【0015】
(1)本発明は、履歴飛行データに対して、巡航の過程全体を複数のサブ飛行段階に区分する特有の分割方法により、各サブ飛行段階の燃油消費を分析することで、エンジン燃油消費、滞留時間、空気抵抗などの様々な要素を総合し、離陸から降下までの全過程の最適な節油方策飛行計画を自動的に生成することができ、燃油消費をさらに削減し、従来の航空機燃油消費方策では巡航段階のエンジン燃油消費だけが考慮される状況を回避することができる。
【0016】
(2)本発明の特有のサブ飛行段階区分方法は、従来の節油方策では、飛行体ができるだけ早く最も省油の巡航高度に上昇するようにさせるために、エンジンを常に最大パワーで稼働させ、実質上より大きな燃油消費をもたらす問題が解決され、本発明の区分形態により、飛行過程を簡単に離陸、巡航、降下の段階に分けるのではなく、計画高度断面及び実際高度断面に基づいて区分し、飛行過程における各種の高度変化による燃油消費影響が十分に考慮され、より合理的な節油方策を生成することができる。
【0017】
(3)本発明の特有のサブ飛行段階区分方法は、従来の燃油消費方策ではエンジン燃油消費だけに関心を払う次元単一の問題が解決され、従来の節油方策は、エンジン燃油消費に関心を払いすぎるため、低空滞留時間が長くなる問題になりやすく、低空滞留は、大きな抵抗をもたらし、より大きな燃油消費を引き起こす。
【0018】
(4)本発明の特有のサブ飛行段階区分方法は、従来の燃油消費方策では、各段階において飛行体が急速に上昇して速度で高度を得ることが要求され、引き起こされた上昇角度が大きいため、対地速度が小さくなり、その結果、航行の空間距離が長くなり引き起こされた燃油消費が逆に節減された油量よりも大きい場合がある、という問題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法のフロー模式図である。
【
図2】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第1のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図3】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第2のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図4】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第3のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図5】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第4のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図6】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第5のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図7】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第6のサブ飛行段階の原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の図面による非制限的実施例の詳しい説明を閲読参照することにより、本願の他の特徴、目的及び利点はより明らかになる。
【0021】
以下、図面及び実施例に合わせて本願をさらに詳しく説明する。ここで説明される具体的な実施例は、関連発明を解釈するためのものに過ぎず、該発明を限定するものではないことを理解できる。また、説明を容易にするために、図面には、関連発明に関する部分のみが示されていることをさらに説明しておく必要がある。
【0022】
なお、矛盾がない場合には、本願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせてもよい。以下、図面を参照して実施例に合わせて本願を詳しく説明する。
【0023】
本発明は、履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を提供し、本方法は、履歴飛行データに対して、巡航の過程全体を複数のサブ飛行段階に区分することで、各サブ飛行段階の燃油消費を分析し、これにより、最適な節油方策飛行計画が自動的に生成され、燃油消費がさらに削減できる。
【0024】
本発明の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法は、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれることと、
飛行体の履歴飛行データを取得することと、
航行では実際飛行高度と計画飛行高度とが通常異なる数値の状態にあり、実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに従って、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを段階別履歴データとして統合することと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階データの組合せが含まれる可能性があることと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を計算することと、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、節油方策飛行計画を生成することと、を含む。
【0025】
本発明の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法をより明晰に説明するために、以下、
図1に合わせて本発明の実施例における各ステップを展開して詳述する。
【0026】
本発明の第1の実施例の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法は、ステップS100~ステップS600を含み、各ステップの詳しい説明は、以下の通りである。ステップS100において、現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれている。
本実施例において、前記飛行体の航路情報は、飛行体の離陸点、降下点、現在経緯度、高度、速度、航行方向及びエンジン推力を含み、燃油情報は、飛行体の燃油量及び消費燃油記録を含み、環境情報は、風速、風向及び気温を含む。
【0027】
ステップS200において、飛行体の履歴飛行データを取得し、前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する。
【0028】
ステップS300において、航行では実際飛行高度と計画飛行高度とが通常異なる数値の状態にあり、実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに従って、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを段階別履歴データとして統合し、現実飛行任務において、航空規制を受ける原因により、飛行体は、通常、計画飛行方案通りに飛行することが困難である。
【0029】
前記段階別履歴データは、毎回航行の履歴飛行データであり、
図2に示すように、分割点が離陸点と着陸点であり、飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも全体的に大きいか又は全体的に小さい第1のサブ飛行段階データと、
図3に示すように、分割点のいずれも巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第2のサブ飛行段階データと、
図4に示すように、そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が上昇段階から巡航段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第3のサブ飛行段階データと、
図5に示すように、そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階から降下段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第4のサブ飛行段階データと、
図6に示すように、そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第5のサブ飛行段階データと、
図7に示すように、そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にある第6のサブ飛行段階データと、の6つのサブ飛行段階データのうちの1つ又は複数からなる。
ステップS400において、前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階データの組合せが含まれる可能性があっている。
ステップS500において、現在飛行体の航行データに基づいて、前記の、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を計算している。
本実施例において、前記現在飛行体の全てのサブ飛行段階の節油空間は、具体的に次の通りである。
【0030】
前記現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間の取得方法は、
前記段階別履歴データにおける各サブ飛行段階の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データと飛行段階全体の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データに基づいて、最適フライトを選択して目標フライトナンバーとし、
他のフライトナンバーと目標フライトナンバーとの間の燃油消費差を計算し、
段階別履歴データの特徴を抽出し、段階別履歴データの特徴をクラスタリングし相関性分析により燃油消費差を影響する影響ファクタを取得し、
前記した燃油消費差を影響する影響ファクタと現在飛行体の航行データを比較し、航空規制の命令に適合する範囲内で、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を得る、ことである。
【0031】
ステップS600において、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、節油方策飛行計画を生成する。
【0032】
本実施例において、前記節油方策飛行計画の取得方法は、
前記各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、現在飛行体の始点、終点及び積載を満たし且つ現在環境情報で燃油消費が最も低い最適節油方策飛行計画を計算予測する、ことである。
【0033】
各サブ飛行段階の節油空間を計算する過程において、燃油消費を影響する影響ファクタに対して分析を行い、影響ファクタの中から現在飛行体の制御可能パラメータを選び、
現在飛行体の航行データ及び前記制御可能パラメータに応じて、現在飛行体の次の実行可能なサブ飛行段階の組合せを生成し、実行可能なサブ飛行段階の組合せは、サブ飛行段階の類型を含むだけでなく、各サブ飛行段階の具体的な制御可能パラメータも含み、
前記実行可能なサブ飛行段階の組合せの燃油消費値を予測し、燃油消費が最も低い実行可能なサブ飛行段階の組合せを節油方策飛行計画として選定する。
【0034】
本ステップは、まず今回の飛行の航行データを段階別履歴データにおける各同機種飛行体の航行記録と比較することにより節油空間を取得するが、航空機の航行高度を影響する要因が多く、人的要因の可能性もあれば自然要因の可能性もあるため、直接に最も省油の方法通りに航行することができない。したがって、節油空間を取得し、それから得られた節油空間に応じて現在の飛行体が後続でどのようなサブ飛行段階の組合せを実行できるかを推測し、各実行できるサブ飛行段階の組合せの燃油消費を予測し、その上で節油方策飛行計画を得る、ということしかできない。
【0035】
上記実施例において各ステップを上記前後順番の形態に従って説明したが、当業者であれば、本実施例の効果を実現するために、異なるステップの間は必ずしもこのような順番に従って実行されるとは限らず、同時(並行)に実行されても又は逆の順番で実行されてもよく、これらの簡単な変化はいずれも本発明の保護範囲内にある、ことを理解できる。
【0036】
本発明の第2の実施例の履歴飛行データに基づく節油方策決定システムは、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重(loading weight)情報、センサー情報及び気象情報が含まれるように構成される情報取得モジュールと、
飛行体の履歴飛行データを取得するように構成される履歴データ取得モジュールと、
航行では実際飛行高度と計画飛行高度とが通常異なる数値の状態にあり、実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに応じて、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを段階別履歴データとして統合するように構成されるデータ区分モジュールと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階データの組合せが含まれる可能性があるように構成される段階別燃油消費計算モジュールと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間を計算するように構成される節油空間計算モジュールと、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油空間に基づいて、節油方策飛行計画を生成するように構成される節油方策生成モジュールと、を備える。
【0037】
当業者であれば、説明を容易及び簡素化にするために、上記説明されたシステムの具体的な稼働過程及び関連説明は、前述方法実施例における対応過程を参照可能であることを明確に理解でき、ここでは繰り返し説明しない。
【0038】
なお、上記実施例に係る履歴飛行データに基づく節油方策決定システムは、上記各機能モジュールの区分を例として説明するものに過ぎず、実際の応用において、ニーズに応じて上記機能を異なる機能モジュールに割り当て完成させてもよく、即ち本発明の実施例におけるモジュール又はステップをさらに分解し又は組み合わせ、例えば、上記実施例のモジュールは、以上で説明された全部又は一部の機能を完成させるために、1つのモジュールとして合併してもよいし、さらに複数のサブモジュールに区切ってもよい。本発明の実施例に関わるモジュール、ステップの名称については、各モジュール又はステップを区別するためのものに過ぎず、本発明を不当に限定するものとは見なされない。
【0039】
本発明の第3の実施例の電子機器は、少なくとも1つのプロセッサーと、少なくとも1つの前記プロセッサーに通信接続されるメモリと、を備え、そのうち、前記メモリには、前記プロセッサーに実行されて上記した履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するための、前記プロセッサーに実行されうる命令が記憶される。
【0040】
本発明の第4の実施例のコンピュータ可読記憶媒体では、前記コンピュータ可読記憶媒体には、前記コンピュータに実行されて上記した履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するためのコンピュータ命令が記憶される。
【0041】
当業者であれば、説明を容易及び簡素化にするために、上記説明された記憶装置、処理装置の具体的な稼働過程及び関連説明は、前述方法実施例における対応過程を参照可能であることを明確に理解でき、ここでは繰り返し説明しない。
【0042】
当業者であれば、本明細書に開示された実施例に合わせて説明された各例示のモジュール、方法ステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア又は2者の結合で実現可能であり、ソフトウェアモジュール、方法ステップに対応するプログラムは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、内部メモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM、電気的消去可能プログラマブルROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は技術分野内で公知の任意の他の形式の記憶媒体に置かれてもよい、ことを認識すべきである。電子ハードウェアとソフトウェアの互換性を明確に説明するために、上記説明では既に各例示の構成及びステップを機能に従って一般的に説明している。これらの機能が最終的に電子ハードウェアの形態で実行されるかソフトウェアの形態で実行されるかは、技術方案の特定の応用及び設計制約条件によって決められる。当業者であれば、各特定の応用に対して異なる方法を使用することにより説明される機能を実現することができるが、このような実現は、本発明の範囲を超えるものと思われるべきではない。
【0043】
図面におけるフロー図及びブロック図には、本願の各種の実施例によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能な体系アーキテクチャ、機能及び操作が図示されている。この点では、フロー図又はブロック図における各ブロックは、1つのモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表すことができ、該モジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部は、所定のロジック機能を実現するための1つの又は複数の実行可能な命令を含む。いくつかの置換である実現において、ブロックに表記された機能は、図面に表記された順序と異なるように発生してもよいことも注意すべきである。例えば、2つの連続的に表されたブロックは、実際的に、ほぼ並行に実行されてもよいし、場合によっては逆の順序で実行されてもよく、これは、関わる機能によって決められる。ブロック図及び/又はフロー図における各ブロック、並びにブロック図及び/又はフロー図におけるブロックの組合せは、所定の機能又は操作を実行する専用の、ハードウェアに基づくシステムを用いて実現されてもよいし、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令の組合せを用いて実現されてもよいことも注意されたい。
【0044】
用語「第1」、「第2」などは、類似する対象を区別するためのものであり、特定の順序や前後順番を説明する又は表すためのものではない。
【0045】
用語「含む」又は任意の他の類似用語は、一連の要素を含む過程、方法、物品又は機器/装置がそれらの要素を含むだけでなく、明確に挙げられていない他の要素をさらに含むか、又はこれらの過程、方法、物品又は機器/装置にとって固有の要素をさらに含むように、排他的ではない包含をカバーすることを意図している。
【0046】
これまで、既に図面に示す好ましい実施形態に合わせて本発明の技術方案を説明してきたが、当業者であれば、本発明の保護範囲が明らかにこれらの具体的な実施形態に限られるものではないことを容易に理解される。本発明の原理から逸脱しない前提で、当業者であれば、関連技術特徴に対して同等の変更又は置換を行うことができ、これらの変更又は置換の後の技術方案はいずれも本発明の保護範囲内に収まるものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御の技術分野に属し、具体的には履歴飛行データに基づく節油方策決定方法、システム及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
巡航段階は、航路運航全体の時間の約57%を占め、該段階で燃油の利用率を高めることができれば、燃油の節減にとっては大きな効果を生み出す。既存のデータ統計からは、同じメーター速度で、航空機が低空で受けた空気抵抗は高空よりも遥かに大きいことが分かる。一方、フライト計画を策定するときに、同一航路のフライト計画は異なる計画高度層があり、フライトは実際の運航においてみな計画の航路通りに飛行できるとは限らない。燃油節約の目標を達成するために、本特許は、履歴フライト運航データに合わせて、ビッグデータ分析の方法により、航路運航の飛行高度に対して実行可能な最適化方案を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存技術における上記問題、即ち既存の飛行計画立案方法では燃油消費の推定に偏差が存在することにより、燃油消費が過多になる問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するために、本発明は、履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を提供し、前記節油方策決定方法は、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重(loading weight)情報、センサー情報及び気象情報が含まれることと、
飛行体の履歴飛行データを取得することと、
飛行体の飛行の飛行段階全体を複数のサブ飛行段階に区分し、飛行段階全体において実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、複数の前記分割点のうちの2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに従って、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを前記複数のサブ飛行段階ごとに段階別履歴データとして統合することと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階の履歴飛行データの組合せが含まれる可能性があることと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を計算することと、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、節油方策飛行計画を生成することと、を含む。
【0005】
いくつかの好ましい実施形態において、前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する。
【0006】
いくつかの好ましい実施形態において、前記段階別履歴データは、毎回航行の履歴飛行データであり、
分割点が離陸点と着陸点であり、飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも全体的に大きいか又は全体的に小さい第1のサブ飛行段階データと、
分割点のいずれも巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第2のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が上昇段階から巡航段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第3のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階から降下段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第4のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第5のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にある第6のサブ飛行段階データと、の6つのサブ飛行段階データのうちの1つ又は複数からなる。
【0007】
いくつかの好ましい実施形態において、
前記現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地の取得方法は、
前記段階別履歴データのうちに各サブ飛行段階の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データと飛行段階全体の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データに基づいて、最適フライトを選択して目標フライトナンバーとし、
他のフライトナンバーと目標フライトナンバーとの間の燃油消費差を計算し、
段階別履歴データの特徴を抽出し、段階別履歴データの特徴をクラスタリングし相関性分析により燃油消費差を影響する影響ファクタを取得し、
前記した燃油消費差を影響する影響ファクタと現在飛行体の航行データを比較し、航空規制の命令に適合する範囲内で、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を得る、ことである。
【0008】
いくつかの好ましい実施形態において、前記節油方策飛行計画の取得方法は、
前記各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、現在飛行体の始点、終点及び積載(stowage)を満たし且つ現在環境情報で燃油消費が最も低い最適節油方策飛行計画を計算予測する、ことである。
【0009】
いくつかの好ましい実施形態において、前記飛行体の航路情報は、飛行体の離陸点、降下点、現在経緯度、高度、速度、航行方向及びエンジン推力を含み、燃油情報は、飛行体の燃油量及び消費燃油記録を含み、環境情報は、風速、風向及び気温を含む。
【0010】
本発明の他の1つの側面は、以下のことを特徴とする履歴飛行データに基づく節油方策決定システムを提出し、前記システムは、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれるように構成される情報取得モジュールと、
飛行体の履歴飛行データを取得するように構成される履歴データ取得モジュールと、
飛行体の飛行の飛行段階全体を複数のサブ飛行段階に区分し、飛行段階全体において実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、複数の前記分割点のうちの2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに基づいて、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを前記複数のサブ飛行段階ごとに段階別履歴データとして統合するように構成されるデータ区分モジュールと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階の履歴飛行データの組合せが含まれる可能性があるように構成される段階別燃油消費計算モジュールと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を計算するように構成される節油余地計算モジュールと、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、節油方策飛行計画を生成するように構成される節油方策生成モジュールと、を備える。
【0011】
いくつかの好ましい実施形態において、前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する。
【0012】
本発明の第3の側面は、少なくとも1つのプロセッサーと、少なくとも1つの前記プロセッサーに通信接続されるメモリと、を備える電子機器であって、前記メモリには、前記プロセッサーに実行されて上記した履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するための、前記プロセッサーに実行されうる命令が記憶される、電子機器を提出する。
【0013】
本発明の第4の側面は、コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体には、前記コンピュータに実行されて上記した履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するためのコンピュータ命令が記憶される、コンピュータ可読記憶媒体を提出する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は、次の通りである。
【0015】
(1)本発明は、履歴飛行データに対して、巡航の過程全体を複数のサブ飛行段階に区分する特有の分割方法により、各サブ飛行段階の燃油消費を分析することで、エンジン燃油消費、滞留時間、空気抵抗などの様々な要素を総合し、離陸から降下までの全過程の最適な節油方策飛行計画を自動的に生成することができ、燃油消費をさらに削減し、従来の航空機燃油消費方策では巡航段階のエンジン燃油消費だけが考慮される状況を回避することができる。
【0016】
(2)本発明の特有のサブ飛行段階区分方法は、従来の節油方策では、飛行体ができるだけ早く最も省油の巡航高度に上昇するようにさせるために、エンジンを常に最大パワーで稼働させ、実質上より大きな燃油消費をもたらす問題が解決され、本発明の区分形態により、飛行過程を簡単に離陸、巡航、降下の段階に分けるのではなく、計画高度断面及び実際高度断面に基づいて区分し、飛行過程における各種の高度変化による燃油消費影響が十分に考慮され、より合理的な節油方策を生成することができる。
【0017】
(3)本発明の特有のサブ飛行段階区分方法は、従来の燃油消費方策ではエンジン燃油消費だけに関心を払う次元単一の問題が解決され、従来の節油方策は、エンジン燃油消費に関心を払いすぎるため、低空滞留時間が長くなる問題になりやすく、低空滞留は、大きな抵抗をもたらし、より大きな燃油消費を引き起こす。
【0018】
(4)本発明の特有のサブ飛行段階区分方法は、従来の燃油消費方策では、各段階において飛行体が急速に上昇して速度で高度を得ることが要求され、引き起こされた上昇角度が大きいため、対地速度が小さくなり、その結果、航行の空間距離が長くなり引き起こされた燃油消費が逆に節減された油量よりも大きい場合がある、という問題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法のフロー模式図である。
【
図2】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第1のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図3】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第2のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図4】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第3のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図5】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第4のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図6】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第5のサブ飛行段階の原理模式図である。
【
図7】本発明の実施例における履歴飛行データに基づく節油方策決定方法の第6のサブ飛行段階の原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の図面による非制限的実施例の詳しい説明を閲読参照することにより、本願の他の特徴、目的及び利点はより明らかになる。
【0021】
以下、図面及び実施例に合わせて本願をさらに詳しく説明する。ここで説明される具体的な実施例は、関連発明を解釈するためのものに過ぎず、該発明を限定するものではないことを理解できる。また、説明を容易にするために、図面には、関連発明に関する部分のみが示されていることをさらに説明しておく必要がある。
【0022】
なお、矛盾がない場合には、本願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせてもよい。以下、図面を参照して実施例に合わせて本願を詳しく説明する。
【0023】
本発明は、履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を提供し、本方法は、履歴飛行データに対して、巡航の過程全体を複数のサブ飛行段階に区分することで、各サブ飛行段階の燃油消費を分析し、これにより、最適な節油方策飛行計画が自動的に生成され、燃油消費がさらに削減できる。
【0024】
本発明の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法は、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれることと、
飛行体の履歴飛行データを取得することと、
飛行体の飛行の飛行段階全体を複数のサブ飛行段階に区分し、飛行段階全体において実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、複数の前記分割点のうちの2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに従って、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを前記複数のサブ飛行段階ごとに段階別履歴データとして統合することと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階の履歴飛行データの組合せが含まれる可能性があることと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を計算することと、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、節油方策飛行計画を生成することと、を含む。
【0025】
本発明の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法をより明晰に説明するために、以下、
図1に合わせて本発明の実施例における各ステップを展開して詳述する。
【0026】
本発明の第1の実施例の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法は、ステップS100~ステップS600を含み、各ステップの詳しい説明は、以下の通りである。ステップS100において、現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれている。
本実施例において、前記飛行体の航路情報は、飛行体の離陸点、降下点、現在経緯度、高度、速度、航行方向及びエンジン推力を含み、燃油情報は、飛行体の燃油量及び消費燃油記録を含み、環境情報は、風速、風向及び気温を含む。
【0027】
ステップS200において、飛行体の履歴飛行データを取得し、前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する。
【0028】
ステップS300において、飛行体の飛行の飛行段階全体を複数のサブ飛行段階に区分し、飛行段階全体において実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、複数の前記分割点のうちの2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに従って、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを前記複数のサブ飛行段階ごとに段階別履歴データとして統合し、現実飛行任務において、航空規制を受ける原因により、飛行体は、通常、計画飛行方案通りに飛行することが困難である。
【0029】
前記段階別履歴データは、毎回航行の履歴飛行データであり、
図2に示すように、分割点が離陸点と着陸点であり、飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも全体的に大きいか又は全体的に小さい第1のサブ飛行段階データと、
図3に示すように、分割点のいずれも巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第2のサブ飛行段階データと、
図4に示すように、そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が上昇段階から巡航段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第3のサブ飛行段階データと、
図5に示すように、そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階から降下段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第4のサブ飛行段階データと、
図6に示すように、そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第5のサブ飛行段階データと、
図7に示すように、そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にある第6のサブ飛行段階データと、の6つのサブ飛行段階データのうちの1つ又は複数からなる。
ステップS400において、前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階
の履歴飛行データの組合せが含まれる可能性が
ある。
ステップS500において、現在飛行体の航行データに基づいて、前記の、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油
余地を計算している。
本実施例において、前記現在飛行体の全てのサブ飛行段階の節油
余地は、具体的に次の通りである。
【0030】
前記現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地の取得方法は、
前記段階別履歴データにおける各サブ飛行段階の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データと飛行段階全体の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データに基づいて、最適フライトを選択して目標フライトナンバーとし、
他のフライトナンバーと目標フライトナンバーとの間の燃油消費差を計算し、
段階別履歴データの特徴を抽出し、段階別履歴データの特徴をクラスタリングし相関性分析により燃油消費差を影響する影響ファクタを取得し、
前記した燃油消費差を影響する影響ファクタと現在飛行体の航行データを比較し、航空規制の命令に適合する範囲内で、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を得る、ことである。
【0031】
ステップS600において、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、節油方策飛行計画を生成する。
【0032】
本実施例において、前記節油方策飛行計画の取得方法は、
前記各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、現在飛行体の始点、終点及び積載を満たし且つ現在環境情報で燃油消費が最も低い最適節油方策飛行計画を計算予測する、ことである。
【0033】
各サブ飛行段階の節油余地を計算する過程において、燃油消費を影響する影響ファクタに対して分析を行い、影響ファクタの中から現在飛行体の制御可能パラメータを選び、
現在飛行体の航行データ及び前記制御可能パラメータに応じて、現在飛行体の次の実行可能なサブ飛行段階の組合せを生成し、実行可能なサブ飛行段階の組合せは、サブ飛行段階の類型を含むだけでなく、各サブ飛行段階の具体的な制御可能パラメータも含み、
前記実行可能なサブ飛行段階の組合せの燃油消費値を予測し、燃油消費が最も低い実行可能なサブ飛行段階の組合せを節油方策飛行計画として選定する。
【0034】
本ステップは、まず今回の飛行の航行データを段階別履歴データにおける各同機種飛行体の航行記録と比較することにより節油余地を取得するが、航空機の航行高度を影響する要因が多く、人的要因の可能性もあれば自然要因の可能性もあるため、直接に最も省油の方法通りに航行することができない。したがって、節油余地を取得し、それから得られた節油余地に応じて現在の飛行体が後続でどのようなサブ飛行段階の組合せを実行できるかを推測し、各実行できるサブ飛行段階の組合せの燃油消費を予測し、その上で節油方策飛行計画を得る、ということしかできない。
【0035】
上記実施例において各ステップを上記前後順番の形態に従って説明したが、当業者であれば、本実施例の効果を実現するために、異なるステップの間は必ずしもこのような順番に従って実行されるとは限らず、同時(並行)に実行されても又は逆の順番で実行されてもよく、これらの簡単な変化はいずれも本発明の保護範囲内にある、ことを理解できる。
【0036】
本発明の第2の実施例の履歴飛行データに基づく節油方策決定システムは、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重(loading weight)情報、センサー情報及び気象情報が含まれるように構成される情報取得モジュールと、
飛行体の履歴飛行データを取得するように構成される履歴データ取得モジュールと、
飛行体の飛行の飛行段階全体を複数のサブ飛行段階に区分し、飛行段階全体において実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、複数の前記分割点のうちの2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに応じて、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを前記複数のサブ飛行段階ごとに段階別履歴データとして統合するように構成されるデータ区分モジュールと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階の履歴飛行データの組合せが含まれる可能性があるように構成される段階別燃油消費計算モジュールと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を計算するように構成される節油余地計算モジュールと、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、節油方策飛行計画を生成するように構成される節油方策生成モジュールと、を備える。
【0037】
当業者であれば、説明を容易及び簡素化にするために、上記説明されたシステムの具体的な稼働過程及び関連説明は、前述方法実施例における対応過程を参照可能であることを明確に理解でき、ここでは繰り返し説明しない。
【0038】
なお、上記実施例に係る履歴飛行データに基づく節油方策決定システムは、上記各機能モジュールの区分を例として説明するものに過ぎず、実際の応用において、ニーズに応じて上記機能を異なる機能モジュールに割り当て完成させてもよく、即ち本発明の実施例におけるモジュール又はステップをさらに分解し又は組み合わせ、例えば、上記実施例のモジュールは、以上で説明された全部又は一部の機能を完成させるために、1つのモジュールとして合併してもよいし、さらに複数のサブモジュールに区切ってもよい。本発明の実施例に関わるモジュール、ステップの名称については、各モジュール又はステップを区別するためのものに過ぎず、本発明を不当に限定するものとは見なされない。
【0039】
本発明の第3の実施例の電子機器は、少なくとも1つのプロセッサーと、少なくとも1つの前記プロセッサーに通信接続されるメモリと、を備え、そのうち、前記メモリには、前記プロセッサーに実行されて上記した履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するための、前記プロセッサーに実行されうる命令が記憶される。
【0040】
本発明の第4の実施例のコンピュータ可読記憶媒体では、前記コンピュータ可読記憶媒体には、前記コンピュータに実行されて上記した履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するためのコンピュータ命令が記憶される。
【0041】
当業者であれば、説明を容易及び簡素化にするために、上記説明された記憶装置、処理装置の具体的な稼働過程及び関連説明は、前述方法実施例における対応過程を参照可能であることを明確に理解でき、ここでは繰り返し説明しない。
【0042】
当業者であれば、本明細書に開示された実施例に合わせて説明された各例示のモジュール、方法ステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア又は2者の結合で実現可能であり、ソフトウェアモジュール、方法ステップに対応するプログラムは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、内部メモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM、電気的消去可能プログラマブルROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は技術分野内で公知の任意の他の形式の記憶媒体に置かれてもよい、ことを認識すべきである。電子ハードウェアとソフトウェアの互換性を明確に説明するために、上記説明では既に各例示の構成及びステップを機能に従って一般的に説明している。これらの機能が最終的に電子ハードウェアの形態で実行されるかソフトウェアの形態で実行されるかは、技術方案の特定の応用及び設計制約条件によって決められる。当業者であれば、各特定の応用に対して異なる方法を使用することにより説明される機能を実現することができるが、このような実現は、本発明の範囲を超えるものと思われるべきではない。
【0043】
図面におけるフロー図及びブロック図には、本願の各種の実施例によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能な体系アーキテクチャ、機能及び操作が図示されている。この点では、フロー図又はブロック図における各ブロックは、1つのモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表すことができ、該モジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部は、所定のロジック機能を実現するための1つの又は複数の実行可能な命令を含む。いくつかの置換である実現において、ブロックに表記された機能は、図面に表記された順序と異なるように発生してもよいことも注意すべきである。例えば、2つの連続的に表されたブロックは、実際的に、ほぼ並行に実行されてもよいし、場合によっては逆の順序で実行されてもよく、これは、関わる機能によって決められる。ブロック図及び/又はフロー図における各ブロック、並びにブロック図及び/又はフロー図におけるブロックの組合せは、所定の機能又は操作を実行する専用の、ハードウェアに基づくシステムを用いて実現されてもよいし、又は専用のハードウェアとコンピュータ命令の組合せを用いて実現されてもよいことも注意されたい。
【0044】
用語「第1」、「第2」などは、類似する対象を区別するためのものであり、特定の順序や前後順番を説明する又は表すためのものではない。
【0045】
用語「含む」又は任意の他の類似用語は、一連の要素を含む過程、方法、物品又は機器/装置がそれらの要素を含むだけでなく、明確に挙げられていない他の要素をさらに含むか、又はこれらの過程、方法、物品又は機器/装置にとって固有の要素をさらに含むように、排他的ではない包含をカバーすることを意図している。
【0046】
これまで、既に図面に示す好ましい実施形態に合わせて本発明の技術方案を説明してきたが、当業者であれば、本発明の保護範囲が明らかにこれらの具体的な実施形態に限られるものではないことを容易に理解される。本発明の原理から逸脱しない前提で、当業者であれば、関連技術特徴に対して同等の変更又は置換を行うことができ、これらの変更又は置換の後の技術方案はいずれも本発明の保護範囲内に収まるものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履歴飛行データに基づく節油方策決定方法であって、前記節油方策決定方法は、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれることと、
飛行体の履歴飛行データを取得することと、
飛行体の飛行の飛行段階全体を複数のサブ飛行段階に区分し、飛行段階全体において実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、複数の前記分割点のうちの2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに応じて、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを前記複数のサブ飛行段階ごとに段階別履歴データとして統合することと、前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の、各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの、毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階の履歴飛行データの組合せが含まれることと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の、各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を計算することと、
前記現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地の取得方法は、
前記段階別履歴データにおける、各サブ飛行段階の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データと飛行段階全体の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データに基づいて、最適フライトを選択して目標フライトナンバーとし、
他のフライトナンバーと目標フライトナンバーとの間の燃油消費差を計算し、
段階別履歴データの特徴を抽出し、段階別履歴データの特徴をクラスタリングし相関性分析により燃油消費差を影響する影響ファクタを取得し、
前記した燃油消費差を影響する影響ファクタと現在飛行体の航行データを比較し、航空規制の命令に適合する範囲内で、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を得る、ことであり、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、節油方策飛行計画を生成することと、を含む、
ことを特徴とする履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項2】
前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する、
ことを特徴とする請求項1に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項3】
前記段階別履歴データは、毎回航行の履歴飛行データであり、
分割点が離陸点と着陸点であり、飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも全体的に大きいか又は全体的に小さい第1のサブ飛行段階データと、
分割点のいずれも巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第2のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が上昇段階から巡航段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第3のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階から降下段階に変わる変換点であり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第4のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が離陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にあり、分割点の間の飛行体の実際飛行高度断面が計画飛行高度断面よりも大きいか又は小さい第5のサブ飛行段階データと、
そのうちの1つの分割点が着陸点であり、他の1つの分割点が巡航段階にある第6のサブ飛行段階データと、の6つのサブ飛行段階データのうちの1つ又は複数からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項4】
前記節油方策飛行計画の取得方法は、
前記各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、現在飛行体の始点、終点及び積載を満たし、且つ現在環境情報で燃油消費が最も低い最適節油方策飛行計画を計算予測する、ことである、
ことを特徴とする請求項1に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項5】
前記飛行体の航路情報は、飛行体の離陸点、降下点、現在経緯度、高度、速度、航行方向及びエンジン推力を含み、燃油情報は、飛行体の燃油量及び消費燃油記録を含み、環境情報は、風速、風向及び気温を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法。
【請求項6】
履歴飛行データに基づく節油方策決定システムであって、前記システムは、
現在飛行体の航行データを取得し、前記航行データには、航路情報、燃油情報、荷重情報、センサー情報及び気象情報が含まれるように構成される情報取得モジュールと、
飛行体の履歴飛行データを取得するように構成される履歴データ取得モジュールと、
飛行体の飛行の飛行段階全体を複数のサブ飛行段階に区分し、飛行段階全体において実際飛行高度と計画飛行高度の数値が同じである点を分割点とし、複数の前記分割点のうちの2つの分割点が上昇段階、巡航段階又は降下段階の異なる状況にあることに応じて、各フライトの毎回飛行の前記履歴飛行データを前記複数のサブ飛行段階ごとに段階別履歴データとして統合するように構成されるデータ区分モジュールと、
前記段階別履歴データに基づいて、現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況を選定し、現在飛行体と同一航路且つ同一機種のフライトの毎回飛行の段階別履歴データには、異なるサブ飛行段階の履歴飛行データの組合せが含まれるように構成される段階別燃油消費計算モジュールと、
現在飛行体の航行データに基づいて、前記した現在飛行体と同一航路且つ同一機種の飛行体の各サブ飛行段階の燃油消費状況に合わせて、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を計算するように構成される節油余地計算モジュールと、
前記現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地の取得方法は、
前記段階別履歴データにおける、各サブ飛行段階の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データと飛行段階全体の燃油消費が最も少ないフライトの履歴データに基づいて、最適フライトを選択して目標フライトナンバーとし、
他のフライトナンバーと目標フライトナンバーとの間の燃油消費差を計算し、
段階別履歴データの特徴を抽出し、段階別履歴データの特徴をクラスタリングし相関性分析により燃油消費差を影響する影響ファクタを取得し、
前記した燃油消費差を影響する影響ファクタと現在飛行体の航行データを比較し、航空規制の命令に適合する範囲内で、現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地を得る、ことであり、
現在飛行体の各サブ飛行段階の節油余地に基づいて、節油方策飛行計画を生成するように構成される節油方策生成モジュールと、を備える、
ことを特徴とする履歴飛行データに基づく節油方策決定システム。
【請求項7】
前記履歴飛行データには、航行データ、実際飛行高度及び計画飛行高度が含まれ、実際飛行高度断面及び計画飛行高度断面を含む線グラフを描画する、
ことを特徴とする請求項6に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定システム。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセッサーと、少なくとも1つの前記プロセッサーに通信接続されるメモリと、を備える電子機器であって、前記メモリには、前記プロセッサーに実行されて請求項1~5のいずれか一項に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するための、前記プロセッサーに実行されうる命令が記憶される、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体には、コンピュータに実行されて請求項1~5のいずれか一項に記載の履歴飛行データに基づく節油方策決定方法を実現するためのコンピュータ命令が記憶される、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。