(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029756
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】非セメント固定のための遠位機構を有する脛骨プロテーゼ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/64 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A61F2/64
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023130937
(22)【出願日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/399,911
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502427840
【氏名又は名称】ジンマー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】コリー トリシュラー
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ジー.ブランズカム
(72)【発明者】
【氏名】アーロン ジェイ.ビセック
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC02
4C097CC05
4C097DD10
4C097FF05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】非セメント固定のための遠位機構を有する脛骨プロテーゼを提供する。
【解決手段】本明細書中に記載された技術は、ベースプレートと脛骨キールとを任意に含む、膝関節形成術のための脛骨プロテーゼに関する。ベースプレートは、脛骨の近位切除面を実質的に覆うように寸法決めされ、かつ、成形された遠位面104、遠位面とは反対側の近位面であって、近位面が外側区画と、外側区画とは反対側の内側区画とを有する近位面、遠位面と近位面との間に延びる周縁部、遠位面の少なくとも大部分を形成し、かつ、周縁部へ延びる多孔質材料の第1の層、及び第1の層を通って延びる複数の参照機構を有する非多孔質の材料又は比較的多孔質ではない材料の第2の層であって、複数の参照機構が遠位面の少なくとも一部を形成する第2の層、を任意に含み、脛骨キールは、長手方向脛骨キール軸線を画定するために、遠位面から遠位方向に延びている。
【選択図】
図1C-D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝関節形成術のための脛骨プロテーゼであって、
ベースプレートであって、
脛骨の近位切除面を実質的に覆うように寸法決めされ、かつ、成形された遠位面、
前記遠位面とは反対側の近位面であって、外側区画と、前記外側区画とは反対側の内側区画とを有する近位面、
前記遠位面と前記近位面との間に延びる周縁部、
前記遠位面の少なくとも大部分を形成し、前記周縁部へ延びる多孔質材料の第1の層、及び、
前記第1の層を通って延びる複数の参照機構を有する非多孔質の材料又は又は比較的多孔質ではない材料の第2の層であって、前記複数の参照機構が前記遠位面の少なくとも一部を形成する、第2の層、を含むベースプレートと、
長手方向脛骨キール軸線を画定するために、前記遠位面から遠位方向に延びる脛骨キールと、
を備える、膝関節形成術のための脛骨プロテーゼ。
【請求項2】
前記脛骨キールと前記遠位面との間の分岐点に跨る複数のフィンをさらに備える、請求項1に記載の脛骨プロテーゼ。
【請求項3】
前記複数のフィンは、前記脛骨キールの後部にフルートを形成するように、前部-後部方向及び内側-外側方向に角度付けされている、請求項2に記載の脛骨プロテーゼ。
【請求項4】
前記脛骨キールは、前記脛骨キールの遠位先端へそれぞれが延びる第2のフルート及び第3のフルートを備え、前記第2のフルートと前記第3のフルートとは、前記脛骨キールの前部において前部フィンによって結合されている、請求項3に記載の脛骨プロテーゼ。
【請求項5】
前記遠位面から遠位方向に延びる複数のペグをさらに備え、前記複数のペグ又は前記複数のフィンの一方又は両方は、多孔質材料から形成された窓を有する、請求項2から請求項4の何れか1項に記載の脛骨プロテーゼ。
【請求項6】
前記複数のペグは、前記周縁部のそれぞれ後部-内側方向角隅、後部-外側方向角隅、前部-外側方向角隅、及び前部-内側方向角隅に隣接して配置された4つのペグを備える、請求項5に記載の脛骨プロテーゼ。
【請求項7】
前記複数のペグは、断面が正方形状又は長方形状のうちの1つであり、前記脛骨内へ開けられた丸い穴内へ圧入されるように構成されている、請求項5又は請求項6に記載の脛骨プロテーゼ。
【請求項8】
前記窓は、前記複数のフィンのうちの少なくとも1つのフィンを完全に通過して延びている、請求項5から請求項7の何れか1項に記載の脛骨プロテーゼ。
【請求項9】
前記脛骨キール又は前記複数のフィンのうちの少なくとも1つの、1つ又は複数の表面は、骨の内方成長を阻止するために、前記遠位面よりも平滑であるように製作されている、請求項2から請求項8の何れか1項に記載の脛骨プロテーゼ。
【請求項10】
脛骨プロテーゼシステムであって、
複数のプロテーゼであって、各前記複数のプロテーゼは、
ベースプレートであって、
脛骨の近位切除面を実質的に覆うように寸法決めされ、かつ、成形された遠位面、
前記遠位面とは反対側の近位面であって、外側区画と、前記外側区画とは反対側の内側区画とを有する近位面、
前記遠位面と前記近位面との間に延びる周縁部、及び、
前記遠位面から遠位方向に延びる複数のペグ、
を備え、
各前記複数のプロテーゼのサイズは、前記遠位面、前記近位面、及び、前記周縁部に対して異なっている、ベースプレートと、
前記遠位面からドーム形遠位先端へ遠位方向に延びる脛骨キールであって、前記脛骨キールは、近位-遠位方向で測定した細長い長さを有すると共に、前記細長い長さに沿って延びる長手方向脛骨キール軸線を画定し、前記細長い長さは、前記遠位面、前記近位面、及び、前記周縁部に対する前記複数のプロテーゼのサイズの増加に伴って段階的に増加する、脛骨キールと、
を含む、脛骨プロテーゼシステム。
【請求項11】
前記脛骨キールと前記遠位面との間の分岐点に跨る複数のフィンをさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記遠位面の少なくとも大部分を形成し、前記周縁部へ延びる多孔質材料の第1の層と、
ベースを形成する、非多孔質の材料又は比較的多孔質ではない材料の第2の層と、をさらに備え、
前記複数のペグは、前記多孔質材料、並びに、前記非多孔質の材料又は比較的多孔質ではない材料の両方から形成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記脛骨キールは、前記脛骨キールに加えて、前記複数のフィンの間に形成された、後部側の第1のフルートを含み、前記脛骨キールは、前記脛骨キールの遠位先端へそれぞれが延びる第2のフルート及び第3のフルートを含み、前記第2のフルートと前記第3のフルートとは、前記脛骨キールの前部において前部フィンによって結合されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記非多孔質の材料又は比較的多孔質ではない材料の第2の層は、前記第1の層を通って延びる複数の参照機構を有し、前記複数の参照機構は、前記遠位面の少なくとも一部を形成する、請求項12又は請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記脛骨キール又は前記複数のフィンのうちの少なくとも1つの、1つ又は複数の表面は、骨の内方成長を阻止するために、前記遠位面よりも平滑であるように製作されている、請求項10から請求項14の何れか1項に記載のシステム。
【請求項16】
脛骨プロテーゼシステムであって、
第1の脛骨プロテーゼであって、
第1の近位面と、
前記第1の近位面とは反対側の第1の遠位面であって、脛骨の近位切除面を実質的に覆うように寸法決めされ、かつ、成形されている、第1の遠位面と、
前記第1の脛骨プロテーゼ内に形成され、前記第1の遠位面からくぼんだ少なくとも1つのポケットであって、骨セメントを受容するように構成されている、少なくとも1つのポケットと、
前記第1の遠位面から遠位方向へ延びる第1のキールと、
前記第1のキールと前記第1の遠位面との間の分岐点に跨る第1の複数のフィンと、
を備える第1の脛骨プロテーゼ、及び、
第2の脛骨プロテーゼであって、
第2の近位面と、
前記第2の近位面とは反対側の第2の遠位面であって、脛骨の近位切除面を実質的に覆うように寸法決めされ、かつ、成形されている、第2の遠位面と、
前記第2の遠位面から遠位方向に延びる複数のペグと、
前記第2の遠位面の少なくとも大部分を形成する多孔質材料の第1の層と、
前記第2の脛骨プロテーゼの少なくとも一部を形成する非多孔質材料の第2の層と、
前記第2の遠位面から遠位方向へ延びる第2のキールと、
前記第2のキールと前記第2の遠位面との間の分岐点に跨る第2の複数のフィンと、
を備える第2の脛骨プロテーゼ、
を備え、
前記第1のキール及び前記第1の複数のフィンが、前記第2のキール及び前記第2の複数のフィンと実質的に同じジオメトリを共有する、脛骨プロテーゼシステム。
【請求項17】
前記実質的に同じジオメトリは、近位-遠位方向で測定した細長い長さ、遠位端プロファイル、及び、内側-外側方向幅のうちの少なくとも2つを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の複数のフィンは、前記第1の脛骨キールの後部に第1のフルートを形成するように、前部-後部方向及び内側-外側方向に角度付けされており、前記第2の複数のフィンは、前記第2の脛骨キールの後部に第1のフルートを形成するように、前部-後部方向及び内側-外側方向に角度付けされており、前記第1の脛骨プロテーゼの第1のフルートと前記第2の脛骨プロテーゼの第1のフルートとは実質的に同じ角度を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の複数のフィンは、前記第2の複数のフィンよりも比較的薄い、請求項16から請求項18の何れか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の脛骨キールは、前記第1の脛骨キールの遠位先端へそれぞれが延びる第2のフルート及び第3のフルートを含み、前記第2の脛骨キールは、前記脛骨キールの遠位先端へそれぞれが延びる第2のフルートと第3のフルートとを含み、前記第1の脛骨キールの前記第2のフルート及び前記第3のフルートは、前記第2の脛骨キールの前記第2のフルート及び前記第3のフルートと実質的に同じジオメトリを共有する、請求項16から請求項19の何れか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、整形外科的プロテーゼに関し、より具体的には、膝関節形成において使用されるベースプレートといった脛骨プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科的な処置及びプロテーゼは、人体内の損傷した骨及び組織を修復かつ/又は置換するために広く利用される。例えば、大腿骨及び/又は脛骨の損傷又は病変関節面を修復することによって生来の膝機能を回復させるために、膝関節形成術を用いることができる。関節を含む骨を露出するように、膝関節内が切開される。置換されるべき関節面の除去を案内するために切除ガイドが使用される。関節面を復元するためにプロテーゼが使用される。膝プロテーゼは大腿骨の遠位端に植え込まれた大腿骨コンポーネントを備えることができ、大腿骨コンポーネントは、脛骨の近位端に植え込まれた脛骨支承コンポーネント及び脛骨コンポーネント(脛骨トレイ又は脛骨ベースプレートと呼ばれることがある)と関節結合する。これらのコンポーネントはまとまって、健常の生来の膝の機能を復元する。関節の全ての関節区画は、プロテーゼコンポーネントによって修復される膝関節形成術を含む様々なタイプの関節形成術が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
概説
本開示は、一般的には、全膝関節形成術を含む膝関節形成術において使用される脛骨プロテーゼに関する。本発明者は、とりわけ、脛骨ベースプレートを近位脛骨に固定的に保持できるように、骨に対するより良好な初期固定及び骨の内方成長又は表面成長(on-growth)を介したより良好な接着を容易にし得る遠位機構を含む脛骨ベースプレートを認識している。より良好な接着は、脛骨ベースプレートのマイクロモーションを低減することができ、かつ、脛骨ベースプレートにより良好な耐久性をもたらすことができる。さらに本発明者は、遠位機構が、脛骨ベースプレートにより高い剛性及びねじり強度を提供し得ると認識している。加えて、本発明者は、外科医が手術中に脛骨を準備できるが、外科医がセメント固定型器具又は非セメント固定型器具を手術中に選択することも可能にする、器具及びシステムを考える。特に、セメント固定型器具及び非セメント固定型器具は、同じ又は同様のストックサイズを共有でき、そして同じ又は同様の脛骨キール及び/又はフィンのジオメトリ(例えば、2つ又は3つ以上の次元において実質的に同じ遠位プロファイル、形状、サイズなど)を共有できる。本明細書は、異なるストックサイズのセメント固定型器具と、異なるストックサイズの非セメント固定型器具とから成るシステムが提供される。しかしながら、これらはストックサイズに応じて実質的に同じジオメトリを共有することができる。一例としては、外科医は、第1ストックサイズの非セメント固定型器具から、同じ第1ストックサイズのセメント固定型器具へ、手術中に切り換えるという選択肢を有する。このことは外科的処置の複雑さ及び時間を軽減し得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書中に提供される様々な実施例の付加的な特徴及び利点が論じられ、かつ/又は当業者に明らかになる。
【0005】
本明細書中に開示された器具、システム、及び方法をさらに例示するために、下記の非限定的な実施例が提供され、これらは以下で技術と称される。これらの実施例/技術の一部または全部は、いかなる形でも組み合わせることができる。
【0006】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、ベースプレートと脛骨キールとを任意に含む膝関節形成術のための脛骨プロテーゼに関する。ベースプレートは、脛骨の近位切除面を実質的に覆うように寸法決めされ、かつ、成形された遠位面、遠位面とは反対側の近位面であって、外側区画及び外側区画とは反対側の内側区画を有する近位面、遠位面と近位面との間に延びる周縁部、遠位面の少なくとも大部分を形成し、周縁部へ延びる多孔質材料の第1の層、及び、第1の層を通って延びる複数の参照機構を有する非多孔質の材料又は比較的多孔質ではない材料の第2の層を任意に含み、複数の参照機構は、遠位面の少なくとも一部を形成し、かつ、脛骨キールは、長手方向脛骨キール軸線を画定するために、前記遠位面から遠位方向に延びている。
【0007】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、脛骨キールと遠位面との分岐点に跨る複数のフィンを任意にさらに含む、前述のような脛骨プロテーゼに関する。
【0008】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、複数のフィンは、脛骨キールの後部にフルートを形成するように、前部-後部及び内側-外側に角度付けされていることを任意に含む、前述のような脛骨プロテーゼに関する。
【0009】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、脛骨キールは、脛骨キールの遠位先端へ各々が延びる第2のフルートと第3のフルートとを含み、第2のフルートと第3のフルートとは、脛骨キールの前部で前部フィンによって結合されていることを任意に含む、前述のような脛骨プロテーゼに関する。
【0010】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、遠位面から遠位方向に延びる複数のペグをさらに含み、複数のペグ又は複数のフィンの一方又は両方が、多孔質材料から形成された窓を有していることを任意に含む、前述のような脛骨プロテーゼに関する。
【0011】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、複数のペグは、周縁部のそれぞれ後部-内側方向角隅、後部-外側方向角隅、前部-外側方向角隅、及び前部-内側方向角隅に隣接して配置された4つのペグを含むことを任意に含む、前述のような脛骨プロテーゼに関する。
【0012】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、複数のペグは、断面が正方形又は長方形のうちの1つであり、そして脛骨内へ開けられた丸い穴内へ圧入されるように構成されていることを任意に含む、前述のような脛骨プロテーゼに関する。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、窓が複数のフィンのうちの少なくとも1つのフィンを完全に通過して延びていることを任意に含む、前述のような脛骨プロテーゼに関する。
【0014】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、脛骨キール又は複数のフィンのうちの少なくとも1つの、1つ又は複数の表面は、骨の内方成長を阻止するために、遠位面よりも平滑であるように製作されていることを任意に含む、前述のような脛骨プロテーゼに関する。
【0015】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、複数のプロテーゼを任意に含む脛骨プロテーゼシステムであって、複数のプロテーゼの各々は、当該ベースプレートが、脛骨の近位切除面を実質的に覆うように寸法決めされ、かつ、成形された遠位面と、遠位面とは反対側の近位面であって、近位面が外側区画及び外側区画とは反対側の内側区画を有する近位面と、遠位面と近位面との間に延びる周縁部、及び、遠位面から遠位方向に延びる複数のペグとを含み、複数のプロテーゼの各々のサイズが遠位面、近位面、及び周縁部に対して異なっている、ベースプレートと、遠位面から遠位方向にドーム形遠位先端へ延びる脛骨キールであって、脛骨キールが近位-遠位方向で測定した細長い長さを有すると共に、細長い長さに沿って延びる長手方向脛骨キール軸線を画定し、細長い長さは、遠位面、近位面及び周縁部に対する複数のプロテーゼのサイズの増加とともに、段階的に増加する、脛骨キールとを任意に含むことを任意に含む、脛骨プロテーゼシステムに関する。
【0016】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、脛骨キールと遠位面との分岐点に跨る複数のフィンを任意にさらに含む、前述のようなシステムに関する。
【0017】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、遠位面の少なくとも大部分を形成し、かつ、周縁部へ延びる多孔質材料の第1の層と、ベースを形成する非多孔質の材料又は比較的多孔質ではない材料の第2の層とをさらに含み、複数のペグは、多孔質材料、及び、非多孔質材料又は比較的多孔質ではない材料の両方から形成されていることを任意に含む、前述のようなシステムに関する。
【0018】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、脛骨キールは、脛骨キールに加えられた複数のフィンの間に形成された、後部側の第1のフルートを含み、かつ、脛骨キールは、脛骨キールの遠位先端へ各々が延びる第2のフルート及び第3のフルートを含み、第2のフルート及び第3のフルートは、脛骨キールの前部において前部フィンによって結合されていることを任意に含む、前述のようなシステムに関する。
【0019】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、非多孔質の材料又は比較的多孔質ではない材料の第2の層は、第1の層を通って延びる複数の参照機構を有しており、かつ、複数の参照機構は、遠位面の少なくとも一部を形成することを任意に含む、前述のようなシステムに関する。
【0020】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、脛骨キール又は複数のフィンのうちの少なくとも1つの、1つ又は複数の表面は、骨の内方成長を阻止するために、遠位面よりも平滑であるように製作されていることを任意に含む、前述のようなシステムに関する。
【0021】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、第1の脛骨プロテーゼであって、第1の近位面と、第1の近位面とは反対側の第1の遠位面であって、第1の遠位面が、脛骨の近位切除面を実質的に覆うように寸法決めされ、かつ、成形されている、第1の遠位面と、第1の脛骨プロテーゼ内に形成され、第1の遠位面からくぼんだ少なくとも1つのポケットであって、少なくとも1つのポケットが、その中に骨セメントを受容するように構成されている、少なくとも1つのポケットと、第1の遠位面から遠位方向へ延びる第1のキールと、第1の脛骨キールと第1の遠位面との分岐点に跨る第1の複数のフィンと、を任意に含む第1の脛骨プロテーゼ、及び、第2の脛骨プロテーゼであって、第2の近位面と、第2の近位面とは反対側の第2の遠位面であって、第2の遠位面は、脛骨の近位切除面を実質的に覆うように寸法決めされ、かつ、成形されている、第2の遠位面と、第2の遠位面から遠位方向に延びる複数のペグと、第2の遠位面の少なくとも大部分を形成する多孔質材料の第1の層と、第2の脛骨プロテーゼの少なくとも一部を形成する非多孔質材料の第2の層と、第2の遠位面から遠位方向へ延びる第2のキールと、第2のキールと第2の遠位面との分岐点に跨る第2の複数のフィンと、を任意に含む第2の脛骨プロテーゼを任意に含み、第1のキール及び第1の複数のフィンが、第2のキール及び第2の複数のフィンと実質的に同じジオメトリを共有している、脛骨プロテーゼシステムに関する。
【0022】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、実質的に同じジオメトリが、近位-遠位方向で測定した細長い長さ、遠位端プロファイル、及び内側-外側方向幅のうちの少なくとも2つを含むことを任意に含む、前述のようなシステムに関する。
【0023】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、第1の複数のフィンは、第1の脛骨キールの後部に第1のフルートを形成するように、前部-後部方向及び内側-外側方向に角度付けされており、第2の複数のフィンは、第2の脛骨キールの後部に第1のフルートを形成するように、前部-後部方向及び内側-外側方向に角度付けされており、そして、第1の脛骨プロテーゼの第1のフルートと第2の脛骨プロテーゼの第1のフルートとが実質的に同じ角度を有していることを任意に含む、前述のようなシステムに関する。
【0024】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、第1の複数のフィンは、第2の複数のフィンよりも比較的薄いことを任意に含む、前述のようなシステムに関する。
【0025】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、第1の脛骨キールは、各々が第1の脛骨キールの遠位先端へ延びる第2のフルートと第3のフルートとを含み、第2の脛骨キールは、各々が脛骨キールの遠位先端へ延びる第2のフルートと第3のフルートとを含み、第1の脛骨キールの第2のフルート及び第3のフルートは、第2の脛骨キールの第2のフルート及び第3のフルートと実質的に同じジオメトリを共有していることを任意に含む、前述のようなシステムに関する。
【0026】
必ずしも原寸に比例しない図面において、同様の符号は異なる図面において類似のコンポーネントを表し得る。異なる添字を有する同様の符号は、類似のコンポーネントの様々な異なる事例を表し得る。図面は大まかに言えば、例えば、決して限定するものではないが、本明細書で論じられる様々な実施例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A-B】
図1A及び
図1Bは、本出願の一実施例に係る脛骨ベースプレートの様々な視点からの平面図を示す。
【
図1C-D】
図1C及び
図1Dは、本出願の一実施例に係る脛骨ベースプレートの様々な視点からの平面図を示す。
【
図1E-H】
図1Eは、本出願の一実施例に係る脛骨ベースプレートの様々な視点からの平面図を示し、
図1Fから
図1Hは、本出願の一実施例に係る
図1Aから1Eの脛骨ベースプレートの様々な拡大図及び/又は断面図を示す。
【
図1I-L】
図1Iから
図1Lは、本出願の一実施例に係る
図1Aから1Eの脛骨ベースプレートの様々な拡大図及び/又は断面図を示す。
【
図2】
図2は、本出願の一実施例に係る、様々な異なる近位-遠位方向長さのキールを有する複数の脛骨ベースプレートを含むシステムを示す。
【
図2A】
図2Aは、本出願の一実施例に係る、標準サイズの脛骨ベースプレートと比較したキールの近位-遠位方向長さの変化のチャートを示す。
【
図3A-B】
図3A及び
図3Bは、脛骨に対する非セメント固定及びセメント固定の両方のために構成されたものを含む様々なサイズの脛骨ベースプレートを提供するシステムを示し、脛骨ベースプレートは、同じ標準サイズ(非セメント固定バージョン及びセメント固定バージョンの両方)を有することができ、かつ、本出願の一実施例に係るキール及び複数のフィンに対して実質的に同じ遠位プロファイルを共有することができる。
【
図4A-B】
図4A及び
図4Bは、脛骨に対する非セメント固定及びセメント固定の両方のために構成されたものを含む様々なサイズの脛骨ベースプレートを提供するシステムを示し、脛骨ベースプレートは、同じ標準サイズ(非セメント固定バージョン及びセメント固定バージョンの両方)を有することができ、かつ、本出願の一実施例に係るキール及び複数のフィンに対して実質的に同じ遠位プロファイルを共有することができる。
【
図5A-B】
図5A及び
図5Bは、脛骨に対する非セメント固定及びセメント固定の両方のために構成されたものを含む様々なサイズの脛骨ベースプレートを提供するシステムを示し、脛骨ベースプレートは、同じ標準サイズ(非セメント固定バージョン及びセメント固定バージョンの両方)を有することができ、かつ、本出願の一実施例に係るキール及び複数のフィンに対して実質的に同じ遠位プロファイルを共有することができる。
【
図6A-B】
図6A及び
図6Bは、脛骨に対する非セメント固定及びセメント固定の両方のために構成されたものを含む様々なサイズの脛骨ベースプレートを提供するシステムを示し、脛骨ベースプレートは、同じ標準サイズ(非セメント固定バージョン及びセメント固定バージョンの両方)を有することができ、かつ、本出願の一実施例に係るキール及び複数のフィンに対して実質的に同じ遠位プロファイルを共有することができる。
【
図7A-B】
図7A及び
図7Bは、脛骨に対する非セメント固定及びセメント固定の両方のために構成されたものを含む様々なサイズの脛骨ベースプレートを提供するシステムを示し、脛骨ベースプレートは、同じ標準サイズ(非セメント固定バージョン及びセメント固定バージョンの両方)を有することができ、かつ、本出願の一実施例に係るキール及び複数のフィンに対して実質的に同じ遠位プロファイルを共有することができる。
【
図8A-B】
図8A及び
図8Bは、脛骨に対する非セメント固定及びセメント固定の両方のために構成されたものを含む様々なサイズの脛骨ベースプレートを提供するシステムを示し、脛骨ベースプレートは、同じ標準サイズ(非セメント固定バージョン及びセメント固定バージョンの両方)を有することができ、かつ、本出願の一実施例に係るキール及び複数のフィンに対して実質的に同じ遠位プロファイルを共有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本出願は脛骨プロテーゼ、具体的には脛骨ベースプレート及びシステムに関する。本出願は、本明細書でさらに論じるように、脛骨ベースプレートの遠位態様及び遠位機構に重点を置く。前述のように、これらの遠位機構は、数ある利点の中でも脛骨ベースプレートの固定及び耐久性を改善し得る。
【0029】
本明細書中に使用する「近位」及び「遠位」という用語には、一般に理解される解剖学的解釈が与えられるべきである。「近位」という用語は、概ね患者の胴へ向かう方向を意味し、「遠位」という用語は、近位とは反対の方向、すなわち患者の胴から離れる方向を意味する。言うまでもなく、「近位」及び「遠位」という用語を使用する場合、これは、本明細書中に記載された装置が一般には膝関節を曲げた状態で使用されるにもかかわらず、あたかも患者が膝関節を延ばした状態で立っているかのように解釈されるべきである。その意図は、「近位」及び「遠位」という用語を「前部」及び「後部」という用語から区別化することである。本明細書中に使用される「前部」及び「後部」という用語には、一般に理解される解剖学的解釈が与えられるべきである。したがって、「後部」は、患者の後ろ側、例えば膝の後ろ側を意味する。同様に、「前部」は患者の前側、例えば膝の前側を意味する。したがって、「後部」は「前部」の反対方向を意味する。同様に、「外側(lateral)」という用語は「内側(medial)」の反対方向を意味する。「内側-外側方向」という用語は内側から外側への方向、又は外側から内側への方向を意味する。「近位-遠位」という用語は、近位から遠位への方向又は遠位から近位への方向を意味する。「前部-後部」という用語は前部から後部への方向又は後部から前部への方向を意味する。
【0030】
本明細書中に使用される脛骨プロテーゼの「周縁部」は、上面図、例えば概ね横方向の解剖学的平面内で見たときの任意の周縁部を意味する。あるいは、脛骨プロテーゼの周縁部は、底面図、例えば概ね横方向の平面内で見たときの、そして、脛骨の切除近位面と接触するように構成された遠位面を見たときの任意の周縁部であってよい。以下に記載する脛骨ベースプレートのようなプロテーゼの文脈において、「ホーム軸線」は、ベースプレートに対して配向された軸線であって、ベースプレートを適切な回転・空間配向で植え込んだ後に、ベースプレートのベースプレートホーム軸線が脛骨のホーム軸線と整列するような軸線を意味する。本明細書中に例示されたものを含むいくつかのベースプレートのデザインでは、ホーム軸線は、脛骨プラトーの周縁部の後縁でPCL切り欠きを二等分し、かつ、脛骨プラトーの周縁部の前縁で前縁を二等分する。ホーム軸線を他のベースプレート機構に対して配向することも考えられ、脛骨上におけるベースプレートの適切な整列及び配向は、ベースプレートのホーム軸線と脛骨のホーム軸線とが一致するように位置決めするように、ベースプレートのホーム軸線が位置決めされると理解される。
【0031】
ホーム軸線は、ベースプレートを脛骨上に植え込んだ場合に概ね前部及び後部へ延びることから、脛骨ベースプレートのホーム軸線は、前後方向軸線であり得る。脛骨ベースプレートは、また、ベースプレートのホーム軸線に対して垂直である、周縁部内部に含まれる最も長い線分に沿って位置する内外側方向軸線を画定する。下記のように、ホーム軸線と内外側方向軸線とは協働して、本開示に基づくある特定のベースプレート機構を定量化するのに有用な座標系を画定する。加えて、キール及び1つ又は複数のフィンといった遠位機構は、前後方向軸線、内外側方向軸線、又は、対称軸線、近位-遠位方向軸線といった他の軸線に対して整列させることもできる。
【0032】
図1Aから
図1Eは、脛骨ベースプレート100の様々な側を示す平面図である。脛骨ベースプレート100は、近位面102、遠位面104、周縁部106を含むことができる。
図1Bから
図1Eに示されているように、脛骨ベースプレート100はキール108と複数のフィン110A及び110B(何れも
図1Dに示されている)とを含むことができる。
【0033】
図1Aは、脛骨ベースプレート100の近位側を示す平面図であり、近位面102と、前後方向軸線APと、周縁部106とを示している。脛骨支承コンポーネント(図示せず)と連結するための、ボス、レール、ノッチ、及び/又は他の機構といった連結機構112を近位側で利用することができる。連結機構112の構造は、インディアナ州Warsaw在Zimmer Biomet Inc.の商業的に入手可能なPersona(登録商標)Total Knee Systemのものと同様であり得る。
【0034】
脛骨ベースプレート100は、ホーム軸線及び前後方向軸線APに対して、特定の非対称性を有することができる。このような形状は、米国特許出願公開第2013/0024001A1号及び米国特許出願公開第2013/0131820A1号を含む、出願人による以前の様々な出願であって、これらの明細書の全体は、本明細書がその全体を参照することによって援用されている出願において論じられているように、膝置換候補の大部分の脛骨被覆率を最大化するように設計されている。最大化された皮質骨被覆率は、脛骨ベースプレート100の優れた支持を容易にする。脛骨の皮質骨及び海綿骨との間の大面積接触によって、脛骨に対する脛骨ベースプレート100の堅固で永続的な固定が容易になる。
【0035】
前後方向軸線APは、脛骨ベースプレート100を内側区画114と外側区画116とに分割することができる。内側区画114は、周縁部106に沿って画定された外側区画116に対して非対称的に成形し、かつ、寸法決めすることができる。周縁部106は壁として成形することができ、かつ、1つ又は複数の選択個所に沿って連結機構112を有することができる。
【0036】
脛骨ベースプレート100は複数の標準サイズで利用することができる。これらの標準サイズは、様々なサイズの脛骨に対する被覆を可能にするように選択される。一例としては、脛骨ベースプレート100は、サイズ1(低身長)からサイズ9(高身長)までの9つのサイズを含むことができる。適切なサイズ選択を行うために、外科医は様々なサイズをシステムとして利用することができる。標準サイズは、本明細書中にさらに説明するように、近位側(例えば周縁部106、近位面102など)及び遠位側(例えば遠位面104、キール108、及び複数のフィン110A及び110Bなど)に沿って異なるジオメトリを有している。
【0037】
図1Bから
図1Eは、様々な側から見た脛骨ベースプレート100のさらなる平面図を示している。
図1Bはキール108と複数のフィン110Aの1つとを示している。フィン110Aは、キール108と遠位面104との間で延びることができる。キール108は、遠位面104及び脛骨ベースプレート100の残りの部分から概ね遠位方向へ延びることができる。フィン110A及び/又は110Bは、キール108の組立体の一部であり得るが、ここではステム機構を含むキール108の残りの部分とは異なる機構として記述する。キール108は、遠位面104に対して(遠位面104からキール108の対称軸線S1まで測定して)角度θを成すことができる。
図1Bの実施例によれば、角度θはほぼ90度であり得る。キール108の対称軸線S1は近位-遠位方向軸線であり得る。
【0038】
図1Bは、キール108が、遠位先端118を有するステム機構を含み得ることを示している。この遠位先端118は、脛骨の管(canal)内へ挿入するように成形することができる。したがって、遠位先端118は、例えばドーム状、半球体状、又は鋭利な縁部を有しないように成形された他の形状として成形することができる。遠位先端118を形成する表面は、30度から70度(いくつかの実施例では、ほぼ50度)の角度αを形成するためのジオメトリを有することができる。遠位先端118を形成する表面は湾曲することができ、例えば、3mmから6mmの曲率半径を有することができる。一実施例によれば、曲率半径は例えばほぼ4.5mmであり得る。遠位先端118は例えば頂部を含むことができる。なお、遠位先端118を有するキール108は、いくつかの膝関節全置換システム(total knee systems)において一般的であるようにステム延長部又は他の機構と連結するようには構成されていない。むしろ、キール108は大まかに言えば、脛骨ベースプレート100の標準サイズの増加に伴って近位-遠位方向長さを増加させる。
【0039】
図1C及び
図1Dは、遠位面104から延びるキール108と複数のフィン110A及び110Bとを示している。フィン110A及び110Bは、互いに対して、そしてその対向する内側及び外側の側に配置されたキール108に対して、対称配置関係及び鏡像ジオメトリを有することができる。2つのフィン110A及び110Bが、
図1C及び
図1Dに示されてはいるものの、他の実施例では3つ又は4つ以上のフィンを考える。キール108は、第1のフルート120Aを備える第1の溝と、第2のフルート120Bを備える第2の溝とを含むことができる。第1のフルート120A及び第2のフルート120Bは、遠位面104から数ミリメートルのところから遠位先端118へ延びることができる。したがって、第1のフルート120A及び第2のフルート120Bは、キール108の近位-遠位方向長さの大部分(例えば長さの50%から95%)にわたって延びることができる。第1のフルート120A及び第2のフルート120Bは大まかに言えば、前部に向くように、キール108の前部側に位置決めすることができる。第1のフルート120A及び第2のフルート120Bは互いに対して対称的に成形することができる。第1のフルート120A及び第2のフルート120Bのジオメトリについて、続いてさらに論じる。
【0040】
キール108及びフィン110A及び110Bは、加えて、キール108及びフィン110A及び110Bの後部側に沿って、第3のフルート120C(
図1D)又は凹部エリアを形成することができる。第3のフルート120Cは、主として、角度βを形成するように互いに角度付けすることができるフィン110A及び110Bによって形成することができる。特に、フィン110A及び110Bは、(いくつかの実施例では、キール108として)近位-遠位方向に延びるだけではなく、さらに内側-外側方向及び前部-後部方向に延びることもできる。角度βは、例えば、ほぼ105度から140度であり得る。一実施例によれば、角度βはほぼ126度であり得る。フィン110A及び110Bは、その後部側に沿って、キール108に対して曲率半径を有することができる。この曲率半径はほぼ5mmから10mmであり得る。一実施例によれば、曲率半径はほぼ7.6mmであり得る。フィン110A及び110Bの厚さT(
図1D)は所望に応じて変化することができるが、同じストックサイズの非セメント固定型プロテーゼの場合、セメント固定型プロテーゼと比較して相対的に厚くなり得る。なお、フィン110A及び110Bに沿って近位-遠位方向に移動すると厚さTは変化する。しかしながら、同じストックサイズの非セメント固定型プロテーゼの厚さTは、同じ近位-遠位方向位置においてセメント固定型プロテーゼの厚さに比べて相対的に厚くなり得る。
【0041】
遠位面104及び他の機構、例えば
図1Eから
図1Gの窓126について続いて説明する。これらの機構は、骨の内方成長量を促進する多孔質又は高度に多孔質の材料から形成することができる。例えば、遠位面及び窓126は、高度に多孔質の生体材料から構成されてもよく、又はこのような生体材料で被覆されてよい。高度に多孔質の材料は、骨代替物として、そして細胞及び組織を受容可能な材料として有用である。高度に多孔質の生体材料の間隙率は30%,55%という低さ、又は70%,80%,85%、又は90%という高さであってよい。高度に多孔質の生体材料の平均孔径は、例えば100ミクロンから1000ミクロンであり得る。
【0042】
このような多孔質又は高度に多孔質の材料の一例は、インディアナ州Warsaw在Zimmer Biomet Inc.から一般に入手可能なOsseoTi(登録商標)である。材料はチタン又はチタン合金を含むことができ、加えて他の材料を含むこともできる。このような材料(比較的多孔質でない又は非多孔質の生体適合性のベースを含む)は、レーザー焼結又はこれに類するものといった積層造形処理を用いて製造することができる。OsseoTi(登録商標)は高度に生体適合性であり、高い耐食性を有して、かつ、骨インテグレーション及び内部成長を向上させ得る人間の海綿骨の多孔質構造を模倣する、高度に相互接続された多孔質アーキテクチャを含む。多孔質又は高度に多孔質の材料は、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、又は当業者に知られた他の材料といった比較的多孔質でない又は非多孔質の生体適合性材料と共に/上に層状に重ねられるように、又は、構造化されるように製造することができる。
【0043】
このような多孔質又は高度に多孔質の材料の別の例は、インディアナ州Warsaw在Zimmer Biomet Inc.から一般に入手可能なTrabecular Metal(登録商標)を使用して製造される。このような材料は、Kaplanの米国特許第5,282,861号明細書において詳細に開示され、参照することによってこの開示内容全体が本明細書中に明示的に援用される化学蒸着(CVD)法によって、この基体をタンタラムといった生体適合性金属で浸潤させ、かつ、被覆する網状ガラス状炭素発泡体基体から形成されてよい。。タンタラムに加えて、他の金属、例えばニオブ、又はタンタラム及びニオブの相互の、又は他の金属との合金が使用されてもよい。多孔質タンタラム構造は、具体的な用途に合わせて構造を選択的に調整するために、様々な密度で形成されてよい。特に、上記で援用した米国特許第5,282,861号明細書において論じられているように、多孔質タンタラムは、事実上任意の所望の間隙率及び孔径となるように製作されてよく、骨の内方成長及び石灰化のための改善されたマトリックスを提供するために、周縁部の生来の骨と調和させてもよい。
【0044】
一般的には、検討される多孔質材料構造は、間に開口空間を画定する多数のリガメントを含むことができ、各リガメントは概ね、金属薄膜によって覆われたコアを含む。リガメント間の開放空間は、多孔質タンタラム構造を通る海綿骨の成長は阻害しないように、デッドエンドを有しない連続チャネルのマトリックスを形成する。多孔質又は高度に多孔質の材料は、最大70%、85%、又はこれを上回るボイド空間を含んでよい。したがって、多孔質又は高度に多孔質の材料は、組成がほぼ均一かつ一貫している軽量で強い多孔質構造であり、生来の海綿骨の構造と極めて類似する。これによって、患者の骨に脛骨ベースプレート100を固定可能にするように、海綿骨がその内部へ成長し得るマトリックスが提供される。
【0045】
図1Dを参照すると、ペグ122A,122B,122C及び122Dといった様々な遠位機構、並びに、参照機構124A,124B,124C,124D,124E及び124Fが示されている。ペグ122A,122B,122C及び122Dは、正方形又は長方形の形状を有することができる。ペグ122A,122B,122C及び122Dの幅寸法は2.5mmから7.5mmのオーダーであり得る。ペグ122A,122B,122C及び122Dの近位-遠位方向長さ(深さ)は、例えば5mmから15mmであり得る。正方形又は長方形のペグ122A,122B,122C及び122Dは、例えば脛骨内に開けられた同様の又はより小さな直径を有する丸い(断面)穴内へ圧入するように構成することができる。
【0046】
一実施例によれば、ペグ122A,122B,122C及び122Dの近位-遠位方向長さ(深さ)は、7.5mmから12.5mmであり得る。ペグ122A,122B,122C及び122Dは、キール108、フィン110A,110B、周縁部106、前後方向軸線AP(
図1A)及び/又は内外側方向軸線に対して非対称的に配置することができる。ペグ122A,122B,122C及び122Dは、周縁部106から15mm以下以内に配置することができる。特に、ペグ122A,122B,122C及び122Dは、周縁部106の前部-内側方向角隅、後部-内側方向角隅、後部-外側方向角隅、及び前部-外側方向角隅にそれぞれ隣接して(12mm以下以内に)配置することができる。同様に、ペグ122A,122B,122C及び122Dは、フィン110A,110Bのそれぞれ一方から10mm以下以内に配置することができる。ペグ122A,122B,122C及び122Dは、遠位面104に対してほぼ90度又は別の角度を成して配向することができる。
【0047】
参照機構124A,124B,124C,124D,124E及び124Fは、比較的多孔質でない又は非多孔質の生体適合性材料から成るベースの円形、円筒形、又はその他の形状の機構を含むことができる。参照機構124A,124B,124C,124D,124E及び124Fは、ベース(
図1Dには示されていないが
図1Lには示されている)から遠位方向に突出し、そして脛骨ベースプレート100の遠位面104の少なくとも一部を形成する。参照機構124A,124B,124C,124D,124E及び124Fは、比較的小さく、直径0.5mmから2.0mmのオーダーにある。遠位面104の少なくとも大部分(そして好ましくはそれよりも多くの部分)は、多孔質又は高度に多孔質の材料から形成し得るため、このような材料を有する遠位面104の全体的な平坦性又は角度形成を判断することは難しい場合がある。したがって、比較的多孔質でない又は非多孔質の生体適合性材料から形成された参照機構124A,124B,124C,124D,124E及び124Fを利用することができる。参照機構124A,124B,124C,124D,124E及び124Fは、様々な個所に配置することができ、そして様々な個所で遠位面104を形成するように突出する。参照機構124A,124B,124C,124D,124E及び124Fを遠位面104の様々な個所で測定することによって、遠位面104が所期の全体的な平坦性又は角度形成を有するか否かを判定することができる。
【0048】
図1Eは、後部-内側又は後部-外側の側から見た脛骨ベースプレート100の平面図を示しており、複数のフィン110A及び110Bの両方を示している。
図1Eは、また窓126を示している。窓126は、例えばフィン110A,110B、キール108及び/又はペグ122A,122B,122C及び122Dに形成することができる。窓126は、同一の多孔質若しくは高度に多孔質の材料から形成し、又は、遠位面104の少なくとも大部分と同様に形成することができる。
【0049】
図1Fはフィン110Aの一部の拡大図であり、窓126のうちの1つを示している。窓126は近位-遠位方向深さに対して細長い内側-外側方向幅を有することができる。内側-外側方向幅は、例えば5mmから10mmであり得る。一実施例によれば、内側-外側方向幅は約6mmであり得る。一実施例によれば、近位-遠位方向深さは1.7mmであり得る。窓126の縁部が、フィン110Aの遠位縁部から約3.5mmから6.5mmのところにあり得る。
【0050】
図1Gは、多孔質又は高度に多孔質の材料128を有する窓126を示している。窓126はフィン110Aの一部を完全に通過することができ、フィン110の一部を形成することができる。窓126は、多孔質又は高度に多孔質の材料128によって、示されたエリア内に形成された遠位面104に隣接して(その遠位方向に)位置決めすることができる。特に、遠位部分及び遠位面に沿ったフィン110Aの大部分を、比較的多孔質でない又は非多孔質の生体適合性材料から構成することができる。実際に、いくつかの実施例によれば、フィン110A,110B(
図1Gには示されていない)、及び、キール108(
図1Gには示されていない)は、脛骨ベースプレート100の遠位面104又は他の部分の表面仕上げよりも比較的平滑な表面仕上げ(例えば8.0ミクロンRa未満)を有するように製作することができる(例えば印刷したままの状態(as-printed)、機械加工、ドライ・ブラスティング加工など)。多孔質又は高度に多孔質の材料128で形成された遠位面104及び窓126と比較して、このような相対的に平滑な表面仕上げは、フィン110A,110B、キール108及び/又はペグの遠位部分/遠位面における骨の内包成長又は表面成長を阻止することができる。しかしながら、フィン110A及び/若しくは110B並びに/又はキール108の表面仕上げは、いくつかの実施態様では考えられていない。
【0051】
図1Hは、遠位面104、ペグ122A及び122B、参照機構124A,124B及び124C、窓126、ベースB及び多孔質又は高度に多孔質の材料128の断面を含む脛骨ベースプレート100の断面を示している。ペグ122A及び122Bは対称的に成形することができ、かつ、比較的同じサイズ及び形状を有することができる。ペグ122A及び122Bの遠位端130はピラミッド形であり、その対称軸線に対して約30度を成すように角度付けすることができる。したがって、ペグ122A及び122Bは、遠位端130の互いに対向する側に対して角度θを成すことができる。角度θは、例えば約60度であり得る。遠位端130は例えば、主要次元において1.0mm未満の鈍な先端132を有することができる。
【0052】
図1Hの実施例に示されているように、多孔質又は高度に多孔質の材料128は、窓126のところでペグ122A及び122Bを完全に通過して延びていなくてよく、ペグ122A及び122Bの近位ベース部分134を深さ0.25mmから1.5mmまで覆っていてよい。特に、遠位部分、遠位端130及び遠位面に沿った、ペグ122A及び122Bの大部分は、比較的多孔質でない又は非多孔質の生体適合性材料から構成することができる。
【0053】
図1Iから
図1Kは、キール108及び複数のフィン110A及び110Bの断面図を示しており、第1のフルート120A、第2のフルート120B、及び第3のフルート120Cのような機構を示している。
図1Iから
図1Kに示されているように、キール及び複数のフィン110A及び110Bは、遠位面に隣接した個所から遠位先端へ向けて先細にすることができる。第1のフルート120Aと第2のフルート120Bとは、前部フィン140によって分離することができる。前部フィン140は、キール108の最前部分を形成することができ、キール108の近位遠位方向長さの少なくとも大部分にわたってほぼ均一な幅を有することができる。前部フィン140の幅は、例えばその長手方向長さの大部分にわたって、1mmから約3mmのオーダーにあってよい。前部フィン140の幅は、
図1Iに示されたキール108の近位部分に隣接して増加することができる。第1のフルート120Aは、約100度から約140度の角度θ1を有することができる。一実施例によれば、角度θ1は約117度であり得る。同様に、第2のフルート120Bも、約100度から約140度の角度θ1を有することができる。一実施例によれば、角度θ1は約117度であり得る。キール108はテーパを有しなくてよく、その近位-遠位方向長さの少なくとも大部分又はそれよりも多くの長さに沿ってほとんど先細にされていなくてよい。フィン110A及び110Bは前述のようにテーパすることができる。
【0054】
フィン110A及び110Bは、遠位面104及びキール108を含む脛骨ベースプレート100の残り部分とモノリシック又は一体的に形成することができる。したがって、フィン110A及び110Bは、上述のキール108の機構であり得る。しかしながら、フィン110A及び110Bは、脛骨ベースプレート100の他の機構に別個に取り付け可能であることも考えられる。あるいは、フィン110A及び110Bは、単一片としてモノリシックに一緒に形成することができ、かつ、キール108又は遠位面104と別個に連結することもできる。キール108並びに/又はフィン110A及び110Bは、レーザー焼結又はこれに類するものといった積層造形処理によって(互いに一緒に又は互いに一緒ではなく、かつ、脛骨ベースプレート100の残りの部分と一緒に、又は残りの部分なしに)形成することができる。
【0055】
同様に、
図1Hを参照すると、ペグ122A,122B、参照機構124A,124B及び124C、窓126及び多孔質又は高度に多孔質の材料128といった機構は、積層造形処理又は他の処理等によって、ベースBとモノリシック又は一体的に形成することができる。
【0056】
図1Lは、
図1Hの参照機構124Aの拡大図を示している。参照機構124Aは、遠位面104の一部を形成する遠位端を有することができる。参照機構124Aは、ベースBから概ね遠位方向に延びることができ、比較的多孔質でない又は非多孔質の生体適合性材料150といったベースBと同様又は同一の材料から形成することができる。この比較的多孔質でない又は非多孔質の材料150は、レーザー焼結、接着層、又は当業者に知られた他の技術を用いて、多孔質又は高度に多孔質の材料128と接合することができる。
【0057】
換言すれば、多孔質又は高度に多孔質の材料128は、遠位面104の少なくとも大部分を形成する少なくとも第1の層152を形成することができる。比較的多孔質でない又は非多孔質の材料150は、少なくとも第2の層154を含むことができる。参照機構124Aは、第1の層152を通って延びることができ、遠位面104の少なくとも一部を形成することができる。
【0058】
図2は、様々なサイズの脛骨ベースプレート100A,100B及び100Cを含むシステム200を示す。脛骨ベースプレート100Aは、低身長に対応する膝を有する患者のために構成された標準サイズ1であり得る。脛骨ベースプレート100Bは、中程度の身長に対応する膝を有する患者のために構成された標準サイズ5であり得る。脛骨ベースプレート100Cは、高身長に対応する膝を有する患者のために構成された標準サイズ8であり得る。脛骨ベースプレート100A,100B及び100Cは、オーバーハング又は他の望まれない装着配置がない状態で、切除脛骨への所望する量の被覆率を提供するように構成することができる。脛骨ベースプレート100A,100B及び100Cは、(例えば、周縁部の第1の最も内側方向の縁部から第2の最も外側方向の縁部までを測定した)内側-外側方向の延び、(例えば、周縁部の第3の最も前部方向の縁部から第4の最も後部方向の縁部までを測定した)前部-後部方向の延びのような寸法に対して異なり得る。しかしながら、脛骨ベースプレート100Aの内側-外側方向幅W1は、脛骨ベースプレート100B又は脛骨ベースプレート100Cのものから、例えば、20mm以下だけ変化するにすぎないことがある。したがって、内側-外側幅W1は、他の寸法(例えば、周縁部の内側-外側方向の延び、周縁部の前部-後部方向の延び)と調和する(commiserate)形で標準サイズの変化とともに大きくならないことがある。脛骨ベースプレート100Aの近位-遠位方向長さL1は、脛骨ベースプレート100B又は脛骨ベースプレート100Cのものから、例えば
図2及び
図2Aに示された実質的な量だけ変化するにすぎないことがある。
【0059】
図2は、脛骨ベースプレート100A,100B及び100Cが構造的にすべてステム式(stemmable)ではないことを示す(ステム式の構造も考えられるものの)。したがって、キール108Aの近位-遠位方向長さは、標準サイズの増加とともに概ね増加する。したがって、脛骨ベースプレート100Aのキール108Aの近位-遠位方向長さは、キール108B及びキール108Cのものよりも延びが比較的短い。
図2Aは、2つ以上の異なる標準サイズがそれぞれ同じ近位-遠位方向長さを共有することによって、キール108Aの近位-遠位方向長さを段階的な増加させることが可能であることを示している。換言すれば、近位-遠位方向長さは、標準サイズの増加に伴って直線状で線形に増加せず、段階的に増加する。したがって、標準サイズのうちの少なくとも2つ(そして、場合によっては標準サイズのうちの4つまで)が、同じ近位-遠位方向長さを共有する。
【0060】
1標準サイズ当たりのキールの模範的長さが
図2Aに提供されている。なお、キール長さは直線状に滑らかに遷移するのではなく、いくつかのサイズ(サイズ1から2、サイズ3から6、及びサイズ7から9)は、実質的に同じ近位-遠位方向長さを共有することができるといったステップ関数性を有する。しかしながら、最良のフィットカーブによって示される一般的な傾向は、サイズの変化に伴うキールの近位遠位方向長さが直線的に増加することである。なお、フルートの角度、フルートの半径、フルートの内側-外側方向幅、前部フィンのサイズ(内側-外側方向幅)、及び/又はフィンの半径、後部フルートの角度(例えばフィン間の角度)、キールのジオメトリの遠位先端といった本明細書中で論じた他の機構は、標準サイズが変化してもジオメトリはほぼ一定のままであり得ることに留意されたい。したがって、例えば標準サイズ1の脛骨ベースプレート100Aは、標準サイズ8の脛骨ベースプレート100C(
図2参照)のものと同じサイズ(内側-外側方向)の前部溝を有することになる。
【0061】
【0062】
脛骨ベースプレート100D及び100Eは、同じ標準サイズ(例えば標準サイズ2)ではあるが、脛骨ベースプレート100Dが、セメント固定のために構成されている脛骨ベースプレート100Eと比較して、非セメント固定のために構成されている(むしろ骨内方成長を利用する)という点で異なる構造を有し得る。同様に、脛骨ベースプレート100F及び100Gは、同じ標準サイズ(例えば標準サイズ4)ではあるが、脛骨ベースプレート100Fが、セメント固定のために構成されている脛骨ベースプレート100Gと比較して、非セメント固定のために構成されている(むしろ骨内方成長を利用する)という点で異なる構造を有し得る。脛骨ベースプレート100H及び100Iは、同じ標準サイズ(例えば標準サイズ7)ではあるが、脛骨ベースプレート100Hが、セメント固定のために構成されている脛骨ベースプレート100Iと比較して、非セメント固定のために構成されている(むしろ骨内方成長を利用する)という点で異なる構造を有し得る。
【0063】
脛骨ベースプレート100D及び100Eは、実質的に同じサイズを共有することができる(例えば、周縁部の内側-外側方向の延びは実質的に同じとすることができ、周縁部の前部-後部方向の延びは実質的に同じとすることができる、など)。加えて、脛骨ベースプレート100D及び100Eの遠位機構のジオメトリも実質的に同じであり得る。これは、脛骨ベースプレート100Eのキール108E及びフィン110E,110EEの対応する態様と比較した場合の、脛骨ベースプレート100Dのキール108D及びフィン110D,110DDの複数の態様のジオメトリを含む。したがって、
図3Aから
図4Bに示されているように、脛骨ベースプレート100Dのキール108D及びフィン110D,110DDは、脛骨ベースプレート100Eのキール108E及びフィン110E,110EEと実質的に同じ遠位プロファイル302(キール108D及びフィン110D,110DDの範囲に沿って内側-外側方向に移動するキール108D及びフィン110D,110DDの最も遠位方向の面に沿って測定される)を共有することができる。換言すれば、キール108D及び108Eは、近位-遠位方向長さ、直径、溝の形状及びサイズ、フルートのサイズ及び形状、厚さ等であるがこれに限定されない同じ幾何学的特徴を共有することができる。同様に、フィン110D,110DDは、フィン110E,110EEと同じジオメトリ(角度、内側-外側方向幅、近位-遠位方向長さなど)を共有することができる。キール108D及びフィン110D,110DDと、キール108E及びフィン110E,110EEとのこのような実質的な形状の一致によって、外科医はセメント固定型器具又は非セメント固定型器具を手術中に選択できるようになる。このようにすると、セメント固定型器具から非セメント固定型器具(又はその逆)への切り換えのために実施する必要のあるリーミング又は他の外科的手順を実施する必要がなくなり、時間及び複雑さを軽減することができる。いくつかの実施例によれば、フィン110D,110DDとフィン110E,110EEとは、フィン110D,110DDの厚さがフィン110E,110EEの対応する厚さよりもわずかに大きい点でだけが異なってもよい。
【0064】
脛骨ベースプレート100D及び100Eを用いて論じたように、脛骨ベースプレート100F及び100Gも実質的に同じサイズを共有することができる(例えば、周縁部の内側-外側方向の延びは実質的に同じとすることができ、周縁部の前部-後部方向の延びは実質的に同じであり得る、など)。加えて、脛骨ベースプレート100F及び100Gの遠位機構のジオメトリも実質的に同じであり得る。これは、脛骨ベースプレート100Gのキール108G及びフィン110G,110GGの対応する態様と比較した場合の、脛骨ベースプレート100Fのキール108F及びフィン110F,110FFの複数の態様のジオメトリを含む。したがって、
図5Aから
図6Bに示されているように、脛骨ベースプレート100Fのキール108F及びフィン110F,110FFは、脛骨ベースプレート100Gのキール108G及びフィン110G,110GGと実質的に同じ遠位プロファイル304(キール108F及びフィン110F,110FFの範囲に沿って内側-外側方向に移動するキール108F及びフィン110F,110FFの最も遠位方向の面に沿って測定される)を共有することができる。換言すれば、キール108F及び108Gは、近位-遠位方向長さ、直径、溝の形状及びサイズ、フルートのサイズ及び形状等であるがこれに限定されない同じ幾何学的特徴を共有することができる。同様に、フィン110F,110FFは、フィン110G,110GGと同じジオメトリ(角度、内側-外側方向幅、近位-遠位方向長さ、厚さなど)を共有することができる。いくつかの実施例によれば、フィン110F,110FFとフィン110G,110GGとは、フィン110F,110FFの厚さがフィン110G,110GGの対応する厚さよりもわずかに大きい点だけが異なってもよい。
【0065】
脛骨ベースプレート100H及び100Iは、実質的に同じサイズを共有することができる(例えば、周縁部の内側-外側方向の延びは実質的に同じとすることができ、周縁部の前部-後部方向の延びは実質的に同じとすることができる、など)。加えて、脛骨ベースプレート100H及び100Iの遠位機構のジオメトリも実質的に同じであり得る。これは、脛骨ベースプレート100Iのキール108I及びフィン110I,110IIの対応する態様と比較した場合の、脛骨ベースプレート100Hのキール108H及びフィン110H,110HHの複数の態様のジオメトリを含む。したがって、
図7Aから
図8Bに示されているように、脛骨ベースプレート100Hのキール108H及びフィン110H,110HHは、脛骨ベースプレート100Iのキール108I及びフィン110I,110IIと実質的に同じ遠位プロファイル306(キール108H及びフィン110H,110HHの範囲に沿って内側-外側方向に移動するキール108H及びフィン110H,110HHの最も遠位方向の面に沿って測定される)を共有することができる。換言すれば、キール108H及び108Iは、近位-遠位方向長さ、直径、溝の形状及びサイズ、フルートのサイズ及び形状等であるがこれに限定されない特徴の同じジオメトリを共有することができる。同様に、フィン110H,110HHは、フィン110I,110IIと同じジオメトリ(角度形成、内側-外側方向幅、近位-遠位方向長さ、厚さなど)を共有することができる。いくつかの実施例によれば、フィン110H,110HHとフィン110I,110IIとは、フィン110H,110HHの厚さがフィン110I,110IIの対応する厚さよりもわずかに大きい点だけが異なっていてもよい。
【0066】
本明細書中に提供される実施例によれば、脛骨ベースプレートは、十字靭帯保持型(cruciate retaining (CR))デザインを含むことができる。したがって、脛骨ベースプレートは、植え込み中に切除されない後十字靭帯のためのリリーフ(relieve)を有することができる。しかしながら、例えば後部安定化型(posterior-stabilized(PS))デザイン、中位拘束(mid-level constraint(MLC))又は拘束後部安定化型(constrained posterior stabilized(CPS))デザイン、及び、超適合(ultra-congruent (UC))デザインを含む、他のプロテーゼデザインも考えられる。PS及びMLCデザインは、当業者に知られているようなスパイン及びカムを利用する。後十字靭帯は排除されるため、リリーフ(relief)の必要はない。
【0067】
補注
上記の詳細な説明は、添付の図面の参照を含む。これらの図面は詳細な説明の一部を形成する。図面は、本発明を実施し得る具体的な実施態様を実例として示す。これらの実施態様は本明細書中では「実施例」とも称される。このような実施例は図示又は記述されたものに加えられる要素を含み得る。しかしながら、本発明者はまた、図示又は記述された要素だけが提供される実施例をも考える。さらに、本発明者はまた、図示又は記述された特定の実施例(又はその1つ又は複数の態様)に関して、又は他の実施例(又はこれらの1つ又は複数の態様)に関して、図示され記述された要素(又はこれらの1つ又は複数の態様)の組み合わせ又は置換を用いた実施例をも考える。
【0068】
本文献では、「概ね(generally)」、「ほぼ(substantially)」、「約(about)」という用語は、提供された値の15パーセント(±)以内を意味する。「a」又は「an」という用語は、特許文献において共通するように、「少なくとも1つ(at least one)」又は「1つ又は複数(one or more)」といういかなる他の例又は利用からも独立して、1つ又は1つよりも多い(one or more than one)ことを含むために使用される。本文献では、「又は」という用語は、非排他的orを意味し、これにより特に断りのない限り、「A又はB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、そして「AでありかつBである」を含むように使用される。本文献では「含む(including)」及び「そこには(in which)」という用語は、「含む(comprising)」及び「そこにおいて(wherein)」というそれぞれの用語と同等のプレイン・イングリッシュとして使用される。また、下記クレームにおいて、「含む(including)」及び「含む(comprising)」はオープンエンドであり、すなわち請求項におけるこのような用語の後に挙げられたものに加えられる要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスであり、これらの要素は、請求項の範囲に含まれるとまだ見なされる。さらに、下記請求項において、「第1」、「第2」、及び「第3」などという用語は、単に標識として使用されるにすぎず、これらの対象物に数値的要件を課すものではない。
【0069】
上記記述内容は、例示的なものであって、限定的ではないものと意図される。例えば、上記実施例(又はこれらの1つ又は複数の態様)は、相互の組み合わせにおいて用いることができる。上記記述を概観すれば、例えば当業者によって他の実施例を用いることができる。要約書は、読者が技術開示内容の性質を迅速に確認するのを可能にするために、米国特許法第1.72(b)条を遵守するように提供されている。これは、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するためには使用されないという理解のもとに提出される。また、上記詳細な説明において、様々な特徴をまとめることによって、開示内容を簡素化することができる。このことは、請求項以外で開示された特徴がいずれの請求項にも必須であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、開示された特定の実施例のすべての特徴にあるわけではない。したがって、下記請求項はここでは実施例又は実施態様として詳細な説明に組み込まれる。各請求項はそれ自体別個の実施例として存在し、またこのような実施例は様々な組み合わせ又は置換において、互いに組み合わせることができる。本発明の範囲は、添付の請求項を、このような請求項に与えられた同等のものの全範囲と併せて参照することによって見極められるべきである。
【外国語明細書】