(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029763
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】炭化ケイ素粉末、その製造方法、及びこれを用いて炭化ケイ素インゴットを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/956 20170101AFI20240228BHJP
C30B 29/36 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C01B32/956
C30B29/36 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133151
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2022-0104820
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521492724
【氏名又は名称】セニック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SENIC Inc.
【住所又は居所原語表記】17-15,4sandan 7-ro,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do, 31040, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョンフィ
(72)【発明者】
【氏名】キョン、ミョンオク
【テーマコード(参考)】
4G077
4G146
【Fターム(参考)】
4G077AA01
4G077AA02
4G077AB10
4G077BE08
4G077DA02
4G077EC02
4G077HA12
4G146MA14
4G146MB02
4G146MB05
4G146MB12
4G146MB18A
4G146MB18B
4G146MB19A
4G146MB19B
4G146NA04
4G146NB01
4G146NB02
4G146PA02
4G146PA06
4G146PA07
4G146PA15
4G146QA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】向上した純度を有し、欠陷の少ない炭化ケイ素インゴットを製造するために用いられる炭化ケイ素粉末、その製造方法、および炭化ケイ素ウエハの製造方法を提供する。
【解決手段】炭素及びケイ素を含み、0.1nm~10nmの厚さを有する酸化膜を含む炭化ケイ素粉末、それを用いて炭化ケイ素インゴットを製造し、そのインゴットより炭化ケイ素ウェハを製造する方法を提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素及びケイ素を含み、
0.1nm~10nmの厚さを有する酸化膜を含む、
炭化ケイ素粉末。
【請求項2】
前記炭素及び前記ケイ素の化合物である炭化ケイ素を含むコアを含み、
前記酸化膜は、前記コアの周囲に配置される、
請求項1に記載の炭化ケイ素粉末。
【請求項3】
前記酸化膜の厚さは、0.5nm~8nmである、
請求項1に記載の炭化ケイ素粉末。
【請求項4】
前記酸化膜の厚さは、0.7nm~6nmである、
請求項1に記載の炭化ケイ素粉末。
【請求項5】
100μm~1000μmの平均粒径を有する、
請求項1に記載の炭化ケイ素粉末。
【請求項6】
前記平均粒径に対する前記酸化膜の厚さ比は、1×10-7~1×10-5である、
請求項5に記載の炭化ケイ素粉末。
【請求項7】
X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、0.39以下であり、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、0.28以下である、
請求項1に記載の炭化ケイ素粉末。
【請求項8】
炭化ケイ素を含む原料を提供する段階;
前記原料を粉末化する段階;及び
前記粉末化した原料の表面を処理して、0.1nm~10nmの厚さを有する酸化膜を形成する段階を含む、
炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項9】
前記粉末化した原料の表面を処理する段階は、前記原料の表面を表面処理液に浸漬する段階を含む、
請求項8に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項10】
前記原料の表面を処理する段階において、前記表面処理液は、クエン酸を含む、
請求項9に記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項11】
炭素及びケイ素を含み、0.1nm~10nmの厚さを有する酸化膜を含む炭化ケイ素粉末を準備する段階;
前記炭化ケイ素粉末を用いて炭化ケイ素インゴットを成長させる段階;及び
前記炭化ケイ素インゴットを加工する段階を含む、
炭化ケイ素ウエハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は、炭化ケイ素粉末、その製造方法、及びこれを用いて炭化ケイ素インゴットを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(silicon carbide,SiC)は、耐熱性と機械的強度に優れ、放射線に強い性質を有し、大口径基板の生産も可能である長所がある。また、炭化ケイ素は、物理的強度及び耐化学性に優れ、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が大きく、電子の飽和ドリフト速度及び耐圧も大きい。よって、高電力、高効率化、高耐圧化、及び大容量化が求められる半導体デバイスはもちろん、研磨材、軸受、耐火ボードなどにも広範囲に使用される。
【0003】
炭化ケイ素は、炭化ケイ素廃棄物などの炭素原料を熱処理するか通電するなどの様々な方法によって製造される。従来の方法では、アチソン法、反応焼結法、常圧焼結法、又はCVD(chemical vapor deposition)工法などがある。しかし、これら方法は、炭素原料が残留するという問題点があり、これら残留物が不純物として作用して、炭化ケイ素の熱的、電気的、及び機械的特性を低下させるという短所がある。
【0004】
一例では、日本国公開特許第2002-326876号では、ケイ素源と炭素源とを重合又は架橋(cross-link)させるために、熱処理工程を経た炭化ケイ素前駆体をアルゴン(Ar)等の不活性ガス条件下で、高温で反応させて製造する方法を開示している。しかし、これら工程は、真空又は不活性ガス条件下で、1,800℃~2,100℃の高温熱処理されるため、製造単価が高く、粉末サイズが不均一であるという問題点がある。
【0005】
さらに、太陽電池及び半導体産業で使用されるウエハは、グラファイトなどからなる坩堝内シリコンインゴットから成長させて製造されるが、製造過程で、炭化ケイ素を含有する廃スラリーのみならず、坩堝の内壁に吸着した炭化ケイ素廃棄物が相当量発生する。しかし、今まではこれら廃棄物を埋め込み処理することから、環境の問題を引き起こし、高い廃棄コストが発生していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施例は、向上した純度を有し、欠陷の少ない炭化ケイ素インゴットを製造すために用いられる炭化ケイ素粉末を提供し、炭化ケイ素インゴットを製造する方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施例による炭化ケイ素粉末は、炭素及びケイ素を含み、約0.1nm~約10nmの厚さを有する酸化膜を含む。
【0008】
一実施例において、前記炭素及び前記ケイ素の化合物である炭化ケイ素を含むコアを含み、前記酸化膜は、前記コアの周囲に配置される。
【0009】
一実施例において、前記酸化膜の厚さは、約0.5nm~約8nmであってもよい。
【0010】
一実施例において、前記酸化膜の厚さは、約0.7nm~約6nmであってもよい。
【0011】
一実施例による炭化ケイ素粉末の平均粒径(D50)は、約100μm~約1000μmであってもよい。
【0012】
一実施例による炭化ケイ素粉末において、前記平均粒径に対する前記酸化膜の厚さ比は、1×10-7~1×10-5であってもよい。
【0013】
一実施例による炭化ケイ素粉末において、X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、0.39以下であり、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、0.28以下であってもよい。
【0014】
一実施例による炭化ケイ素粉末の製造方法は、炭化ケイ素を含む原料を提供する段階;前記原料を粉末化する段階;及び前記粉末化した原料の表面を処理して、0.1nm~10nmの厚さを有する酸化膜を形成する段階を含む。
【0015】
一実施例において、前記粉末化した原料の表面を処理する段階は、前記原料の表面を表面処理液に浸漬する段階を含むことができる。
【0016】
一実施例において、前記原料の表面を処理する段階において、前記表面処理液は、クエン酸を含むことができる。
【0017】
一実施例による炭化ケイ素インゴットの製造方法は、炭素及びケイ素を含み、0.1nm~10nmの厚さを有する酸化膜を含む炭化ケイ素粉末を準備する段階;前記炭化ケイ素粉末を用いて炭化ケイ素インゴットを成長させる段階;及び前記炭化ケイ素インゴットを加工する段階を含む。
【発明の効果】
【0018】
実施例による炭化ケイ素粉末は、適宜な厚さを有する酸化膜を含む。特に、実施例による炭化ケイ素粉末は、表面における適宜な厚さを有する酸化膜を含むことができる。
【0019】
これによって、実施例による炭化ケイ素粉末は、外部の不純物から内部を保護することができる。これによって、実施例による炭化ケイ素粉末は、炭化ケイ素を製造するための原料として適宜用いることができる。
【0020】
また、実施例による炭化ケイ素粉末によって、炭化ケイ素インゴット及び炭化ケイ素ウエハが製造されるとき、前記酸化膜の厚さが適宜であるため、前記炭化ケイ素インゴット及び前記炭化ケイ素ウエハの欠陷を減少させることができる。
【0021】
特に、前記炭化ケイ素粉末は、表面における適宜な厚さの酸化膜を含むため、初期熱処理段階において、前記酸化膜を容易に除去することができる。これによって、前記炭化ケイ素粉末の表面の酸化膜が初期熱処理過程で容易に除去され、前記炭化ケイ素インゴットが成長する過程での残留酸素による欠陷が最小化し得る。
【0022】
また、前記酸化膜は、保護膜機能を適宜行い、前記炭化ケイ素粉末が不純物に汚染することを容易に防止することができる。これによって、実施例による炭化ケイ素粉末が前記炭化ケイ素インゴットを製造する工程に用いられるとき、不純物の流入が最小化し得る。
【0023】
これによって、実施例による炭化ケイ素粉末は、欠陷の少ない炭化ケイ素インゴットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施例による炭化ケイ素粉末の製造過程を示した手順図である。
【
図2】一実施例による炭化ケイ素粉末の製造過程を示した手順図である。
【
図3】一実施例による炭化ケイ素粉末の製造過程を示した手順図である。
【
図4】一実施例による炭化ケイ素粉末の製造過程を示した手順図である。
【
図5】一実施例による炭化ケイ素粉末の製造過程を示した手順図である。
【
図6】一実施例による炭化ケイ素粉末の製造過程を示した手順図である。
【
図7】一実施例による炭化ケイ素粉末の一断面を示した断面図である。
【
図8】炭化ケイ素インゴットを成長させる過程を示した断面図である。
【
図9】実施例1に従って製造された炭化ケイ素粉末の一断面を示した図面である。
【
図10】実施例2に従って製造された炭化ケイ素粉末の一断面を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、具現例によって発明を詳説する。具現例は、以下で開示の内容に限定されるものではなく、発明の要旨が変更しない限り、様々な形態に変形することができる。
【0026】
本明細書において、ある部分がある構成要素「含む」とするとき、これは特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素を更に含むことができることを意味する。
【0027】
本明細書に記載の構成成分の量、反応条件などを示すあらゆる数字及び表現は、特に記載がない限り、すべての場合、「約」という用語で修飾するものと理解すべきである。
【0028】
また、本実施例に関する説明において作成された図面は、詳細な説明のため誇張して示すことができ、図面における大きさは、実際の大きさと異なり得る。
【0029】
先ず、実施例による炭化ケイ素粉末を製造するための方法は、炭化ケイ素原料を準備する段階を含む。
【0030】
前記炭化ケイ素原料は、炭化ケイ素を含む。前記炭化ケイ素原料は、α相炭化ケイ素及び/又はβ相炭化ケイ素を含むことができる。また、前記炭化ケイ素原料は、炭化ケイ素単結晶及び/又は炭化ケイ素多結晶を含むことができる。
【0031】
また、前記炭化ケイ素原料は、炭化ケイ素のほか、所望しない不純物を更に含むことができる。
【0032】
前記炭化ケイ素原料は、黒鉛などのような炭素系物質を不純物として更に含むことができる。前記炭素系物質は、黒鉛坩堝などから由来するものであってもよい。前記炭素系物質は、約5重量%~約50重量%の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。前記炭素系物質は、約50重量%以下の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。前記炭素系物質は、約45重量%以下の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。前記炭素系物質は、約40重量%以下の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。前記炭素系物質は、約1重量%~約50重量%の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。前記炭素系物質は、約5重量%~約45重量%の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。前記炭素系物質は、約10重量%~約40重量%の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。前記炭素系物質は、約10重量%~約35重量%の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。前記炭素系物質は、約10重量%~約30重量%の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。前記炭素系物質は、約10重量%~約20重量%の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。
【0033】
前記炭化ケイ素原料は、前記不純物としてフリーシリコン(free silicon)を更に含むことができる。前記フリーシリコンは、シリコン基板及び/又はシリコン部品などから由来するものであってもよい。前記シリコン部品は、フォーカスリングなどのような半導体装備に用いられる部品であってもよい。前記フリーシリコンは、約0.01重量%~約10重量%の含量で前記炭化ケイ素原料に含まれていてもよい。
【0034】
前記炭化ケイ素原料は、金属不純物を更に含むことができる。前記金属不純物は、リチウム、ホウ素、ナトリウム、アルミニウム、リン、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、ジルコニウム、モリブデン、スズ、バリウム、タングステン、又は鉛からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0035】
前記金属不純物の含量は、約0.1ppm~13ppmであってもよい。前記金属不純物の含量は、約0.3ppm~12ppmであってもよい。前記金属不純物の含量は、約0.5ppm~8ppmであってもよい。前記金属不純物の含量は、約0.8ppm~10ppmであってもよい。前記金属不純物の含量は、約1ppm~6ppmであってもよい。前記金属不純物の含量は、約0.1ppm~5ppmであってもよい。前記金属不純物の含量は、約0.5ppm~3ppmであってもよい。前記金属不純物の含量は、約0.5ppm~2ppmであってもよい。前記炭化ケイ素原料は、金属不純物を更に含むことができる。
【0036】
前記炭化ケイ素原料は、非金属不純物を更に含むことができる。前記非金属不純物は、フッ素、窒素、塩素、又はリンからなるグループから選択することができる。
【0037】
前記非金属不純物の含量は、約0.01ppm~30ppmであってもよい。前記非金属不純物の含量は、約0.3ppm~20ppmであってもよい。前記非金属不純物の含量は、約0.5ppm~15ppmであってもよい。前記非金属不純物の含量は、約1ppm~15ppmであってもよい。前記非金属不純物の含量は、約3ppm~13ppmであってもよい。前記非金属不純物の含量は、約1ppm~10ppmであってもよい。前記非金属不純物の含量は、約5ppm~15ppmであってもよい。前記非金属不純物の含量は、約5ppm~12ppmであってもよい。
【0038】
前記炭化ケイ素原料は、塊状を有することができる。前記炭化ケイ素原料は、板状を有することができる。
【0039】
前記炭化ケイ素原料は、約1mm以上の粒径を有する粒子を約30重量%以上含む。前記炭化ケイ素原料は、約1mm以上の粒径を有する粒子を約50重量%以上含むことができる。前記炭化ケイ素原料は、約1mm以上の粒径を有する粒子を約70重量%以上含むことができる。
【0040】
前記炭化ケイ素原料は、約10mm以上の粒径を有する粒子を約30重量%以上含む。前記炭化ケイ素原料は、約10mm以上の粒径を有する粒子を約50重量%以上含むことができる。前記炭化ケイ素原料は、約10mm以上の粒径を有する粒子を約70重量%以上含むことができる。
【0041】
ここで、前記粒子の体積と同じ体積を有する球を仮定し、前記球の直径を前記粒径と定義する。
【0042】
また、前記炭化ケイ素原料は、炭化ケイ素を含む基板から由来するものであってもよい。前記炭化ケイ素原料は、全体として炭化ケイ素を含むウエハから由来するものであってもよい。前記炭化ケイ素原料は、シリコンなどの基板上に蒸着した炭化ケイ素層から由来するものであってもよい。
【0043】
また、前記炭化ケイ素原料は、炭化ケイ素単結晶インゴットから由来するものであってもよい。前記炭化ケイ素単結晶インゴットは、製造過程で発生する不良によって廃棄するものであってもよい。これとは違って、前記炭化ケイ素原料は、炭化ケイ素多結晶体から由来するものであってもよい。
【0044】
前記炭化ケイ素原料は、炭化ケイ素焼結体から由来するものであってもよい。前記炭化ケイ素焼結体は、炭化ケイ素粉末が焼結して形成されていてもよい。前記炭化ケイ素焼結体は、半導体製造装備に含まれた部品であってもよい。
【0045】
前記炭化ケイ素原料は、炭化ケイ素層を含む黒鉛部品から由来するものであってもよい。前記黒鉛部品は、炭化ケイ素インゴットを形成するための坩堝などを含むことができる。
【0046】
前記炭化ケイ素原料は、炭化ケイ素層を含む半導体装備の部品から由来するものであってもよい。前記炭化ケイ素層は、シリコン部品などの表面に化学気相蒸着(chemical vapor deposition;CVD)工程によって炭化ケイ素が蒸着して形成することができる。
【0047】
実施例による炭化ケイ素粉末を製造するための方法は、前記炭化ケイ素原料を切断する段階を含むことができる。
【0048】
前記炭化ケイ素原料が大きすぎる場合、前記炭化ケイ素原料は、ダイヤモンド砥粒を含むワイヤソー(wire saw)又はバーカッティング(bar cutting)などによって切断することができる。前記炭化ケイ素原料の長さが150mmとなるように、前記炭化ケイ素原料を切断することができる。
【0049】
実施例による炭化ケイ素粉末を製造するための方法は、炭化ケイ素原料を破砕する段階を含むことができる。
【0050】
前記炭化ケイ素原料を破砕する段階は、前記炭化ケイ素原料を約100mm以下の平均粒径を有する粒子に砕く工程であってもよい。前記炭化ケイ素原料は、前記破砕工程によって、約80mm以下の平均粒径を有する粒子に砕くことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記破砕工程によって、約60mm以下の平均粒径を有する粒子に砕くことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記破砕工程によって、約50mm以下の平均粒径を有する粒子に砕くことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記破砕工程によって、約0.1mm~約50mmの平均粒径を有する粒子に砕くことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記破砕工程によって、約1mm~約40mmの平均粒径を有する粒子に砕くことができる。
【0051】
前記破砕工程では、ジョークラッシャー(jaw crusher)、コーンクラッシャー(cone crusher)、又はジャイレトリクラッシャー(gyratory crusher)を用いることができる。
【0052】
前記ジョークラッシャーは、一対の圧縮プレートを含み、前記圧縮プレートの間に前記炭化ケイ素原料が挿入される。前記圧縮プレートを介して加わる圧力によって、前記炭化ケイ素原料が破砕し、破砕した炭化ケイ素原料は、自己重力によって下方に吐出し得る。
【0053】
前記圧縮プレートは、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つを含むことができる。前記圧縮プレートのうち、前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分は、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つからなっていてもよい。前記圧縮プレートのうち、前記炭化ケイ素と原料と直接接触する部分は、前記炭化タングステンでコーティングすることができる。
【0054】
前記ジャイレトリクラッシャーは、クラッシングヘッド及びクラッシングヘッドを収容するクラッシングボールを含む。前記クラッシングヘッドは、切られた円錐状を有し、前記クラッシングヘッドがシャフトに取り付けられる。前記クラッシングヘッドの上端部は、柔軟な軸受に固定され、前記クラッシングヘッドの下端部は、円を描くように偏心駆動される。前記破砕作用は、円錐全体を中心に行われ、最大移動が底で行われる。これによって、前記ジャイレトリクラッシャーの破砕が継続して作動するため、前記ジャイレトリクラッシャーは、前記ジョークラッシャーよりも応力の変動が少なく、電力消費が低い。
【0055】
前記ジョークラッシャーと同様、前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分である、前記クラッシングヘッド及び前記クラッシングボールは、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つを含むことができる。前記クラッシングヘッド及び前記クラッシングボールにおいて、前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分は、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つからなってもよい。前記クラッシングヘッド及び前記クラッシングボールにおいて、前記炭化ケイ素と原料と直接接触する部分は、前記炭化タングステンでコーティングすることができる。
【0056】
前記コーンクラッシャーは、衝撃力と圧縮力で前記炭化ケイ素原料を破砕する装置である。前記コーンクラッシャーは、前記ジャイレトリクラッシャーに類似する構造及び破砕運動を有する。但し、前記コーンクラッシャーは、より短いコーンを有することができる。前記コーンクラッシャーは、垂直方向の中心軸上に取り付けられた傘状のコーンマントルヘッドを含む。前記コーンマントルヘッドの偏心運動により、コーンケーブボールに前記炭化ケイ素原料が噛まれ、下に行きつつ前記炭化ケイ素原料が破砕する。
【0057】
前記ジョークラッシャーと同様、前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分である、前記コーンマントルヘッド及び前記コーンケーブボールは、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つを含むことができる。前記コーンマントルヘッド及び前記コーンケーブボールにおいて、前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分は、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つからなっていてもよい。前記コーンマントルヘッド及び前記コーンケーブボールにおいて、前記炭化ケイ素と原料と直接接触する部分は、前記炭化タングステンでコーティングすることができる。
【0058】
実施例による炭化ケイ素粉末を製造するための方法は、炭化ケイ素原料を粉碎する段階を含むことができる。
【0059】
前記炭化ケイ素原料を粉碎する段階は、前記炭化ケイ素原料を約30mm以下の粒径に砕く工程を含むことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記粉砕工程によって、約20mm以下の平均粒径を有する粒子に砕くことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記粉砕工程によって、約15mm以下の平均粒径を有する粒子に砕くことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記粉砕工程によって、約10mm以下の平均粒径を有する粒子に砕くことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記粉砕工程によって、約0.1mm~約10mmの平均粒径を有する粒子に砕くことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記粉砕工程によって、約0.1mm~約8mmの平均粒径を有する粒子に砕くことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記粉砕工程によって、約0.01mm~約6mmの平均粒径を有する粒子に砕くことができる。
【0060】
前記粉砕工程では、ボールミル(ball mill)、ハンマークラッシャー(hammer crusher)又はジェットミル(jet mill)などを用いることができる。
【0061】
前記ボールミルは、金属シリンダー及びボールを含むことができる。前記ボール及び前記炭化ケイ素原料は、前記金属シリンダー内に配置される。前記金属シリンダーが回転するとき、前記ボール及び前記炭化ケイ素原料の摩擦及び前記金属シリンダー内遠心力により、前記ボール及び前記炭化ケイ素原料が回転される。このとき、前記ボール及び前記炭化ケイ素原料が前記シリンダー内で特定の高さまで上昇した後、落下して、前記炭化ケイ素原料は、粉砕して研磨される。前記シリンダーの回転速度、前記シリンダーの内径、前記ボールサイズ、前記ボールの材質、及び前記粉砕工程時間によって、前記炭化ケイ素原料は、小さい粒径を有する粒子に砕くことができる。
【0062】
前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分である、前記金属シリンダー及び前記ボールは、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つを含むことができる。前記金属シリンダー及び前記ボールにおいて、前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分は、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つからなっていてもよい。前記金属シリンダー及び前記ボールにおいて、前記炭化ケイ素と原料と直接接触する部分は、前記炭化タングステンでコーティングすることができる。
【0063】
前記ハンマークラッシャーは、砕室及び複数個のハンマーを含む。前記ハンマーは、前記砕室内に配置される回転体に取り付けられる。前記ハンマーの前記砕室内で回転し、前記ハンマーは、前記炭化ケイ素原料に衝撃を加える。これによって、前記炭化ケイ素原料は、小さい粒径を有する粒子に砕くことができる。
【0064】
前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分である、前記砕室及び前記ハンマーは、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つを含むことができる。前記砕室及び前記ハンマーにおいて、前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分は、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つからなっていてもよい。前記砕室及び前記ハンマーにおいて、前記炭化ケイ素と原料と直接接触する部分は、前記炭化タングステンでコーティングすることができる。
【0065】
前記ジェットミルは、砕室及びノズルを含む。前記ジェットミルは、流体の圧力による前記ノズルでの噴射エネルギーで前記炭化ケイ素原料を相互衝突により粉砕させる。前記炭化ケイ素原料は、所望の粒子サイズになるまで、前記砕室で粉砕工程が行われる。また、前記粉砕工程が行われた粒子は、前記砕室から分級室を経て捕集される。前記ジェットミルは、流体の圧力により、前記炭化ケイ素原料の相互衝突により前記炭化ケイ素原料を粉碎するため、他装置との直接接触による前記炭化ケイ素原料の汚染を最小化することができる。
【0066】
前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分である、前記砕室は、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つを含むことができる。前記砕室において、前記炭化ケイ素原料と直接接触する部分は、スチール、ステンレススチール、マンガン添加スチール、クロム添加スチール、ニッケル添加スチール、モリブデン添加スチール、窒素添加スチール、又は炭化タングステンのうち少なくとも1つからなっていてもよい。前記砕室において、前記炭化ケイ素と原料と直接接触する部分は、前記炭化タングステンでコーティングすることができる。
【0067】
実施例による炭化ケイ素粉末の製造方法は、自力によって鉄を除去する段階を更に含むことができる。
【0068】
前記鉄成分除去段階は、前記破砕及び粉砕段階において、炭化ケイ素原料に吸着する鉄を除去する段階であってもよい。
【0069】
前記鉄成分除去段階において、回転金属検出機(Rotary Metal Detector)を用いて前記鉄を除去することができる。
【0070】
前記回転金属検出機の回転数は、約100rpm~約800rpmであり、前記回転金属検出機に含まれた電磁石の出力は、約0.5kW~約3kWであってもよい。また、前記回転金属検出機の回転数は、約800rpm~約1700rpmであり、前記回転金属検出機に含まれた電磁石の出力は、約3kW~約5kWであってもよい。
【0071】
前記鉄成分が除去された炭化ケイ素原料に含まれた鉄成分の含量は、約1ppm以下であってもよい。前記鉄成分が除去された炭化ケイ素原料に含まれた鉄成分の含量は、約0.5ppm以下であってもよい。前記鉄成分が除去された炭化ケイ素原料に含まれた鉄成分の含量は、約0.3ppm以下であってもよい。前記鉄成分が除去された炭化ケイ素原料に含まれた鉄成分の含量は、約0.1ppm以下であってもよい。
【0072】
実施例による炭化ケイ素粉末を製造するための方法は、前記炭素系物質を除去する段階を含む。
【0073】
前記炭素系物質を除去する段階は、前記炭素系物質を物理的に除去する段階を含むことができる。
【0074】
前記炭素系物質を物理的に除去する段階は、スチールカットワイヤショット(steel wire shot)工程を含むことができる。前記スチールカットワイヤショットに用いられるワイヤは、炭素鋼(carbon steel)、ステンレススチール(stainless steel)、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、銅、又はこれらの合金などから作られたものであってもよいものの、これに限定されるものではない。また、前記ワイヤの直径は、約0.2mm~約0.8mmであってもよい。前記ワイヤソーの直径は、約0.4mm~約0.6mmであってもよい。
【0075】
前記ワイヤの回転数は、約1000rpm~約5000rpmであってもよい。
【0076】
また、前記炭素系物質を物理的に除去する段階は、サンドブラスト又はショットブラスト(shot blasting)などのようなブラスト工程を含むことができる。前記ブラスト工程は、前記黒鉛などといった炭素系物質に微細粒子を噴射して、前記炭素系物質を除去する工程であってもよい。すなわち、前記炭素系物質は、前記炭化ケイ素に比べて低い硬度を有するため、適宜な圧力で噴射した微細粒子によって容易に除去することができる。
【0077】
また、前記炭素系物質を物理的に除去する段階は、遠心分離などといった密度差による分離工程を含むことができる。前記破砕及び/又は粉砕した炭化ケイ素原料は、前記炭素系物質と前記炭化ケイ素との密度差によって分離することができる。すなわち、炭化ケイ素の密度は、黒鉛の密度よりもさらに大きいため、密度勾配遠心分離などによって、前記炭素系物質を容易に除去することができる。
【0078】
前記炭素系物質を物理的に除去する段階後、前記原料物質に含まれる炭素系物質の含量は、約5重量%以下であってもよい。前記炭素系物質を除去する段階後、前記原料物質に含まれる炭素系物質の含量は、約3重量%以下であってもよい。前記炭素系物質を除去する段階後、前記原料物質に含まれる炭素系物質の含量は、約1重量%以下であってもよい。
【0079】
また、前記炭素系物質を除去する段階は、前記炭素系物質を化学的に除去する段階を含む。
【0080】
前記炭素系物質を化学的に除去する段階は、前記炭素系物質を酸化させる段階を含む。
【0081】
前記原料物質に含まれている炭素系物質が十分除去された後、前記原料物質は、酸素又は大気雰囲気で熱処理される。このとき、前記酸化熱処理温度は、約1000℃~約1200℃であってもよい。前記熱処理時間は、約12時間~約48時間であってもよい。
【0082】
上記のような時間及び温度範囲で前記原料物質が熱処理されるため、前記原料物質に含まれた炭素系物質を効果的に除去することができる。また、上記のような時間及び温度範囲で前記原料物質が熱処理されるため、前記原料物質にシリコンオキサイドなどのような副産物の生成を最小化することができる。
【0083】
実施例による炭化ケイ素粉末を製造するための方法は、前記炭化ケイ素原料を分級する段階を含む。前記分級する段階は、前記破砕工程及び前記粉砕工程を経て粒子化した炭化ケイ素原料を分級することができる。
【0084】
前記粒子化した炭化ケイ素原料は、所望のサイズのメッシュ(mesh)によって分級することができる。
【0085】
前記分級段階は、振動式分級装置であるツイストスクリーン(Twist Screen)を用いて行うことができる。
【0086】
前記ツイストスクリーンは、10mm~80mm、15mm~70mm、又は20mm~60mmの直径を有するシリコン材質のタップピングボールを用いることができる。前記ツイストスクリーンは、約1000回/分~3000回/分の振動条件で、約10分~約100分間行うことができる。
【0087】
前記粒子化した炭化ケイ素原料は、前記ツイストスクリーンに一定した速度で投入することができる。
【0088】
前記粒子化した炭化ケイ素原料の平均粒径(D50)は、約10μm~約10000μmであってもよい。前記粒子化した炭化ケイ素原料の平均粒径(D50)は、約100μm~約6000μmであってもよい。前記粒子化した炭化ケイ素原料の平均粒径(D50)は、約60μm~約5000μmであってもよい。前記粒子化した炭化ケイ素原料の平均粒径(D50)は、約100μm~約4000μmであってもよい。前記粒子化した炭化ケイ素原料の平均粒径(D50)は、約150μm~約400μmであってもよい。前記粒子化した炭化ケイ素原料の平均粒径(D50)は、約300μm~約800μmであってもよい。前記粒子化した炭化ケイ素原料の平均粒径(D50)は、約500μm~約1000μmであってもよい。前記粒子化した炭化ケイ素原料の平均粒径(D50)は、約700μm~約2000μmであってもよい。前記粒子化した炭化ケイ素原料の平均粒径(D50)は、約1000μm~約3000μmであってもよい。
【0089】
実施例による炭化ケイ素粉末を製造するための方法は、前記粒子化した炭化ケイ素原料の表面を処理する段階を含む。
【0090】
前記粒子化した炭化ケイ素原料の表面を処理する段階は、前記炭化ケイ素原料を湿式エッチングする段階を含むことができる。
【0091】
前記湿式エッチング段階は、エッチング液によって行われる。前記破砕及び粉砕工程を経た炭化ケイ素原料は、前記湿式エッチング段階を経ることができる。
【0092】
前記エッチング液は、水及び酸を含むことができる。前記エッチング液に含まれる酸は、クエン酸、フッ酸、窒酸、塩酸、及び硫酸からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0093】
前記エッチング液は、水、フッ酸、及び窒酸を含むことができる。
【0094】
前記フッ酸は、前記水100重量部を基準に、約5重量部~約40重量部の含量で前記エッチング液に含まれていてもよい。前記フッ酸は、前記水100重量部を基準に、約10重量部~約35重量部の含量で前記エッチング液に含まれていてもよい。前記フッ酸は、前記水100重量部を基準に、約12.5重量部~約30重量部の含量で前記エッチング液に含まれていてもよい。
【0095】
前記窒酸は、前記水100重量部を基準に、約3重量部~約30重量部の含量で前記エッチング液に含まれていてもよい。前記窒酸は、前記水100重量部を基準に、約4重量部~約25重量部の含量で前記エッチング液に含まれていてもよい。前記窒酸は、前記水100重量部を基準に、約5重量部~約20重量部の含量で前記エッチング液に含まれていてもよい。
【0096】
前記エッチング液は、エッチング容器に満たすことができる。このとき、前記エッチング液は、前記エッチング容器の全体体積を基準に、約10vol%~約20vol%で前記エッチング容器に満たすことができる。前記エッチング液は、前記エッチング容器の全体体積を基準に、約12vol%~約18vol%で前記エッチング容器に満たすことができる。また、前記炭化ケイ素原料は、前記エッチング容器の全体体積を基準に、約10vol%~約30vol%で前記エッチング容器に満たすことができる。前記炭化ケイ素原料は、前記エッチング容器の全体体積を基準に、約15vol%~約25vol%で前記エッチング容器に満たすことができる。前記エッチング容器に前記炭化ケイ素原料が満たされるとき、前記炭化ケイ素原料の体積は、見掛体積で測定することができる。
【0097】
前記炭化ケイ素原料は、前記エッチング液によって湿式エッチングすることができる。すなわち、前記炭化ケイ素原料の表面は、前記エッチング液によってエッチングされ、前記炭化ケイ素原料の表面に残留する不純物は、前記エッチング液によって除去することができる。
【0098】
前記湿式エッチング段階は、次のような過程によって行うことができる。
【0099】
先ず、前記エッチング容器及び前記炭化ケイ素原料が乾燥し得る。前記エッチング容器及び前記炭化ケイ素原料は、約50℃~約150℃の熱風で、約10分~約1時間乾燥することができる。
【0100】
その後、前記エッチング容器に前記炭化ケイ素原料が配置される。
【0101】
その後、前記炭化ケイ素原料が配置されたエッチング容器に前記エッチング液が投入される。
【0102】
前記エッチング液が投入される過程は、次のとおりである。
【0103】
先ず、前記炭化ケイ素原料が配置されたエッチング容器に脱イオン水が投入される。
【0104】
その後、前記脱イオン水が投入されたエッチング容器にフッ酸が投入される。
【0105】
その後、前記フッ酸が投入されたエッチング容器に窒酸が投入される。
【0106】
その後、前記エッチング液が投入されたエッチング容器は、蓋によって密閉し、前記エッチング容器の内部に配置される炭化ケイ素原料及びエッチング液は、約50rpm~約500rpmの速度で攪拌される。前記攪拌時間は、約30分~約2時間であってもよい。
【0107】
その後、前記エッチング液は、排水され、前記湿式エッチング工程を経た炭化ケイ素原料は、脱イオン水に数回沈殿して中和される。このとき、沈殿後、排水される廃水に含まれたフッ酸の含量及び/又はpHを基準に、前記湿式エッチング工程を経た炭化ケイ素原料の中和工程が仕上げられる。前記廃水のpHが6.8~7.2であるとき、前記中和工程は、仕上げられる。
【0108】
前記粒子化した炭化ケイ素原料の表面を処理する段階は、前記炭化ケイ素原料を乾式エッチングする段階を含むことができる。
【0109】
前記乾式エッチング工程は、前記炭化ケイ素原料にエッチング気体を噴射して行うことができる。
【0110】
前記エッチング気体は、塩素気体を含むことができる。前記エッチング気体は、キャリア気体としてアルゴンなどのような不活性気体を更に含むことができる。
【0111】
前記乾式エッチング工程は、次のように行うことができる。
【0112】
先ず、乾式エッチング炉を設ける。前記乾式エッチング炉は、黒鉛からなっていてもよく、約2000℃以上の温度に加熱することができる。前記乾式エッチング炉は、外部から密封されて、前記乾式エッチング炉の内部は、約5torr以下まで減圧することができる。
【0113】
前記乾式エッチング炉内に前記炭化ケイ素原料が配置される。
【0114】
その後、前記乾式エッチング炉は、約1800℃~約2200℃の温度まで加熱される。
【0115】
その後、前記乾式エッチング炉の内部は、約1torr~約30torrの圧力に減圧される。前記乾式エッチング炉の内部は、約1torr~約10torrの圧力に減圧される。前記乾式エッチング炉の内部は、約1torr~約8torrの圧力に減圧される。
【0116】
その後、前記エッチング気体が前記乾式エッチング炉に投入される。前記エッチング気体は、前記乾式エッチング炉の下部と上部との温度差により、前記乾式エッチング炉内で対流することができる。すなわち、前記乾式エッチング炉の下部温度は、前記乾式エッチング炉の上部温度よりも約50℃~約100℃さらに高いため、前記乾式エッチング炉の下部のエッチング気体が前記乾式エッチング炉の上部に移動しつつ、前記炭化ケイ素原料の表面を乾式エッチングすることができる。前記エッチング気体が前記乾式エッチング炉で滞留する時間は、約24時間~約96時間であってもよい。
【0117】
その後、前記エッチング気体は、湿式スクラバーによって除去され、前記乾式エッチング炉の内部は、約600torr~約780torrに昇圧し得る。
【0118】
前記粒子化した炭化ケイ素原料の表面を処理する段階は、熱処理工程を含むことができる。
【0119】
前記乾式エッチングされた炭化ケイ素粒子は、前記乾式エッチング炉内において、酸素を含む雰囲気で、約700℃~約1300℃の温度で熱処理することができる。前記乾式エッチングされた炭化ケイ素粒子は、前記乾式エッチング炉内において、酸素を含む雰囲気で、約800℃~約1200℃の温度で熱処理することができる。前記乾式エッチングされた炭化ケイ素粒子は、前記乾式エッチング炉内において、酸素を含む雰囲気で、約900℃~約1100℃の温度で熱処理することができる。前記熱処理時間は、約10分~約2時間であってもよい。前記熱処理時間は、約20分~約1時間であってもよい。
【0120】
前記熱処理によって、前記乾式エッチングされた炭化ケイ素粒子の表面に残留する塩素を容易に除去することができる。
【0121】
前記粒子化した炭化ケイ素原料の表面を処理する段階は、酸化膜の厚さ調節工程を含むことができる。
【0122】
前記酸化膜の厚さ調節工程は、湿式工程によって行うことができる。
【0123】
エッチング容器に前記炭化ケイ素原料が投入され、前記エッチング容器に表面処理液が投入される。
【0124】
前記表面処理液は、脱イオン水、酸、及び酸化剤を含む。
【0125】
前記表面処理液に含まれる酸は、クエン酸、フッ酸、窒酸、塩酸、及び硫酸からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0126】
前記表面処理液に含まれる酸は、クエン酸であってもよい。
【0127】
前記酸化剤は、過酸化水素又はオゾンからなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0128】
前記酸化剤は、過酸化水素であってもよい。
【0129】
前記表面処理液は、前記脱イオン水100重量部を基準に、約0.5重量部~約10重量部の含量で前記酸を含むことができる。前記表面処理液は、前記脱イオン水100重量部を基準に、約0.7重量部~約5重量部の含量で前記酸を含むことができる。前記表面処理液は、前記脱イオン水100重量部を基準に、約1重量部~約3重量部の含量で前記酸を含むことができる。
【0130】
前記表面処理液は、前記脱イオン水100重量部を基準に、約0.5重量部~約10重量部の含量で前記酸化剤を含むことができる。前記表面処理液は、前記脱イオン水100重量部を基準に、約0.7重量部~約7重量部の含量で前記酸化剤を含むことができる。前記表面処理液は、前記脱イオン水100重量部を基準に、約1重量部~約5重量部の含量で前記酸化剤を含むことができる。
【0131】
その後、前記エッチング容器内の炭化ケイ素原料及び表面処理液が攪拌されて、前記炭化ケイ素原料の表面に形成された酸化膜の厚さを調節することができる。
【0132】
前記酸化膜の厚さ調節工程において、前記攪拌工程は、約10分~約60分間行うことができる。前記酸化膜の厚さ調節工程において、前記攪拌工程は、約10分~約30分間行うことができる。
【0133】
前記表面処理液は、酸及び酸化剤を同時に含むため、前記表面処理液は、前記酸化膜のエッチングと前記酸化膜の形成を同時に行うことができる。これによって、前記表面処理液は、前記酸化膜が適宜な厚さを有するように、前記炭化ケイ素原料の表面を処理することができる。
【0134】
前記酸化膜の厚さが調節された炭化ケイ素原料は、脱イオン水により中和される。
【0135】
実施例による炭化ケイ素粉末を製造するための方法は、前記炭化ケイ素原料を洗浄する段階を含むことができる。
【0136】
前記洗浄工程は、フッ酸、蒸留水、又は超純水などからなるグループから少なくとも1つ以上を選択して含む洗浄液によって行うことができる。
【0137】
前記洗浄工程は、1次洗浄段階、1次フッ酸処理段階、2次洗浄段階、2次フッ酸処理段階、及び3次洗浄段階を含むことができる。
【0138】
前記1次洗浄段階は、蒸留水、超純水又は純水を用いて1分~300分間行うことができる。例えば、前記1次洗浄段階は、約1分~約250分、約1分~約200分、約3分~約150分、約10分~約100分、約15分~約80分、約20分~約60分、又は約20分~約40分間行うことができる。
【0139】
その後、前記1次フッ酸処理段階は、フッ酸を含む洗浄液を用いて前記炭化ケイ素原料を洗浄する段階である。前記炭化ケイ素原料は、前記洗浄液内において、約1分~約300分、約1分~約250分、約1分~約200分、約3分~約150分、約10分~約100分、約15分~約80分、約20分~約60分、又は約20分~約40分間攪拌することができる。その後、前記炭化ケイ素原料は、前記洗浄液内で沈殿し得る。前記炭化ケイ素原料は、前記洗浄液内において、約1分~約300分、約1分~約250分、約1分~約200分、約3分~約150分、約10分~約100分、約15分~約80分、約20分~約60分、約20分~約40分間沈殿し得る。
【0140】
前記2次洗浄段階は、蒸留水、超純水又は純水を用いて1分~300分間行うことができる。例えば、前記2次洗浄段階は、約1分~約250分、約1分~約200分、約3分~約150分、約10分~約100分、約15分~約80分、約20分~約60分、又は約20分~約40分間行うことができる。
【0141】
その後、前記2次フッ酸処理段階は、フッ酸を含む洗浄液を用いて前記炭化ケイ素原料を洗浄する段階である。前記炭化ケイ素原料は、前記洗浄液内において、約1分~約300分、約1分~約250分、約1分~約200分、約3分~約150分、約10分~約100分、約15分~約80分、約20分~約60分、又は約20分~約40分間攪拌することができる。その後、前記炭化ケイ素原料は、前記洗浄液内で沈殿し得る。前記炭化ケイ素原料は、前記洗浄液内において、約1分~約300分、約1分~約250分、約1分~約200分、約3分~約150分、約10分~約100分、約15分~約80分、約20分~約60分、約20分~約40分間沈殿し得る。
【0142】
前記3次洗浄段階は、蒸留水、超純水又は純水を用いて1分~300分間行うことができる。例えば、前記3次洗浄段階は、約1分~約250分、約1分~約200分、約3分~約150分、約10分~約100分、約15分~約80分、約20分~約60分、又は約20分~約40分間行うことができる。
【0143】
前記黒鉛除去工程、前記鉄成分除去工程、前記湿式エッチング工程、前記乾式エッチング工程、前記洗浄工程によって、実施例による炭化ケイ素粉末は、非常に高い純度を有することができる。
【0144】
図1を参照すると、一実施例による炭化ケイ素粉末は、次のような過程によって製造することができる。
【0145】
先ず、前記炭化ケイ素原料は、前記破砕工程で破砕される(S10)。
【0146】
その後、前記炭素系物質除去工程によって、前記炭化ケイ素原料に含まれた黒鉛などの炭素系物質が除去される(S20)。
【0147】
その後、前記炭素系物質が除去された炭化ケイ素原料は、前記粉砕工程によって粉砕される(S30)。
【0148】
その後、前記粉砕した炭化ケイ素原料は、湿式エッチング工程によってエッチングされる(S40)。これによって、前記粉砕した炭化ケイ素原料の表面に付着した不純物を効率良く除去することができる。特に、前記粉砕した炭化ケイ素原料に残留する炭素系物質は、前記エッチング液に浮遊して、前記エッチング液に含まれたフッ酸などと反応し得る。これによって、前記湿式エッチング工程において、金属不純物のみならず、前記炭素系物質も効率良く除去することができる。
【0149】
その後、前記湿式エッチングした炭化ケイ素原料は、乾式エッチング工程によってエッチングされる(S50)。
【0150】
その後、前記乾式エッチングした炭化ケイ素原料の表面に配置される酸化膜の厚さが調節される(S60)。
【0151】
その後、前記酸化膜の厚さが調節された炭化ケイ素原料は、洗浄工程を経る(S70)。
【0152】
その後、前記洗浄した炭化ケイ素原料は、所望の粒子サイズに分級することができる(S80)。
【0153】
図2を参照すると、一実施例による炭化ケイ素粉末は、次のような過程によって製造することができる。
【0154】
本実施例において、上記
図1の過程と実質的に同一であるが、前記破砕工程の前に炭素系物質除去工程を行うことができる(S1)。
【0155】
前記炭化ケイ素原料は、不純物として炭素が多く含まれる場合、前記炭素系物質除去工程を先行することができる。例えば、前記炭化ケイ素原料が、炭化ケイ素がコーティングされた黒鉛部品などのように、高い割合で黒鉛成分を含む場合、前記炭素系物質除去工程を先行することができる。
【0156】
前記炭素系物質が先に除去されて(S1)、前記破砕工程(S10)を経るため、前記炭化ケイ素原料に含まれた炭素系物質を効率良く除去することができる。
【0157】
よって、本実施例による炭化ケイ素粉末の製造方法は、高含量で炭素系物質を含む炭化ケイ素原料を用いて、高純度の炭化ケイ素粉末を提供することができる。
【0158】
図3を参照すると、一実施例による炭化ケイ素粉末の製造方法は、次のような過程によって製造することができる。
【0159】
本実施例において、上記
図1の過程と実質的に同一であるが、前記炭素系物質除去工程を省略することができる。
【0160】
前記炭化ケイ素原料が、前記黒鉛などのような炭素系物質を含まないか、非常に低い含量で含む場合、前記炭素系物質除去工程は、省略することができる。例えば、前記炭化ケイ素原料は、単結晶炭化ケイ素インゴット、多結晶炭化ケイ素、又は炭化ケイ素焼結体などのように、約95重量%以上に炭化ケイ素を含むことができる。かかる場合、前記湿式エッチング工程などにおいて、少量の炭素系物質が除去されて、別途追加工程がなくても、高純度の炭化ケイ素粉末が得られる。
【0161】
図4~
図6を参照すると、一実施例による炭化ケイ素粉末は、次のような過程によって製造することができる。
【0162】
本実施例において、上記
図1、
図2又は
図3の過程と実質的に同一であるが、前記粉砕工程(S30)の後、直ぐに前記分級工程(S31)を行うことができる。すなわち、前記粉砕した炭化ケイ素原料は、前記粉砕工程の後、直ぐに前記分級工程によって所望の粒子サイズに分級することができる。前記分級した炭化ケイ素原料は、前記湿式エッチング工程、前記乾式エッチング工程、前記酸化膜の厚さ調節工程、及び前記洗浄工程を経ることができる。
【0163】
本実施例において、前記炭化ケイ素原料は、均一な粒径に分級された後に、前記湿式エッチング工程及び前記乾式エッチング工程を経るため、前記炭化ケイ素原料の表面は、全体的に均一にエッチングすることができる。特に、前記炭化ケイ素原料は、均一な粒径に分級されるため、前記炭化ケイ素原料の粒子間空間も均一に形成することができる。これによって、前記エッチング気体は、前記炭化ケイ素原料間の空間に均一に染み込まれ得、前記乾式エッチング工程は、前記炭化ケイ素原料を全体的に均一にエッチングすることができる。
【0164】
これによって、本実施例による炭化ケイ素粉末の製造方法は、表面に含まれた炭素、ケイ素、及び酸素の含量を全体的に均一に調節することができる。
【0165】
実施例による炭化ケイ素粉末の純度は、約99.99%以上であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の純度は、約99.999%以上であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の純度は、約99.9999%以上であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の純度は、約99.999999%以上であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の純度は、約99.9999999%以上であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の純度は、約99.9999999%以上であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の純度は、約99.99999999%以上であってもよい。
【0166】
実施例による炭化ケイ素粉末は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、又はモリブデンからなるグループから少なくとも1つ以上選択される不純物を約1ppm以下、約0.8ppm以下、約0.7ppm以下、約0.1~約0.7ppm、又は約0.1~約0.6ppmで含むことができる。
【0167】
また、実施例による炭化ケイ素粉末の粒径(D50)は、約10μm~約10000μmであってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の粒径(D50)は、約100μm~約6000μmであってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の粒径(D50)は、約60μm~約5000μmであってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の粒径(D50)は、約100μm~約4000μmであってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の粒径(D50)は、約150μm~約400μmであってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の粒径(D50)は、約300μm~約800μmであってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の粒径(D50)は、約500μm~約1000μmであってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の粒径(D50)は、約700μm~約2000μmであってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の粒径(D50)は、約1000μm~約3000μmであってもよい。
【0168】
実施例による炭化ケイ素粉末は、適宜な含量で表面に酸素元素を含むことができる。
【0169】
実施例による炭化ケイ素粉末の表面に含まれた酸素の含量は、約3atom%~約23atom%であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の表面に含まれた酸素の含量は、約4atom%~約20atom%であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の表面に含まれた酸素の含量は、約4atom%~約18atom%であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の表面に含まれた酸素の含量は、約4atom%~約15atom%であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の表面に含まれた酸素の含量は、約4atom%~約13atom%であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の表面に含まれた酸素の含量は、約4atom%~約11atom%であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末の表面に含まれた酸素の含量は、約5atom%~約10atom%であってもよい。
【0170】
前記表面に含まれた酸素の含量は、X線光電子分光法で測定することができる。
【0171】
前記X線光電子分光法において、X線ソースは、モノクロメイティドアルミニウムX線ソース(Monochromated Al X-Ray sources)であり、Al Kα線(Al Kα line)が約1300eV~約1600eVであってもよい。
【0172】
また、前記X線光電子分光法において、X線パワーは、約10kV~約14kVの電圧を有し、約8mA~約12mAの電流を有することができる。
【0173】
また、前記X線光電子分光法において、測定領域(sampling area)の直径は、約300μm~約500μmであってもよい。前記X線光電子分光法において、ナロースキャン(narrow scan)におけるパスエネルギー(pass energy)は、約30eV~約50eVであってもよい。前記X線光電子分光法において、前記ナロースキャンにおけるステップサイズ(step size)は、約0.03eV~約0.07eVであってもよい。また、前記X線光電子分光法において、圧力は、約10-9mbar~5×10-9mbarであってもよい。また、前記X線光電子分光法において、エッチング条件は、約1keV~約3keV、及びラスターサイズ(raster size)が約1mm×1mm~約3mm×3mmのアルゴンイオンエッチングであってもよい。
【0174】
実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法によって表面の元素割合を測定することができる。例えば、前記X線光電子分光法によって、サーベイ(survey)スペクトラム又はマルチプレックス(multiplex)スペクトラムが得られる。前記サーベイスペクトラム又はマルチプレックススペクトラムから個々の元素のピーク広さが積分により導出される。各元素のピーク広さを各元素の敏感度で割った値は、各元素の相対的な量になり得る。これによって、各元素の割合が得られる。
【0175】
実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.29以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.28以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.27以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.26以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.25以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.24以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sの最小値は、約0.05であってもよい。
【0176】
また、実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.05~約0.29であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.05~約0.28であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.07~約0.27であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.1~約0.26であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.13~約0.25であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/C1sは、約0.15~約0.24であってもよい。
【0177】
実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.39以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.38以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.37以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.36以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.32以下であってもよい。前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pの最小値は、約0.05であってもよい。
【0178】
また、実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.05~約0.39であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.05~約0.38であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.1~約0.37であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.1~約0.36であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2pは、約0.15~約0.32であってもよい。
【0179】
実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2sは、約0.4以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2sは、約0.37以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2sは、約0.37以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2sは、約0.35以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2sは、約0.33以下であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記X線光電子分光法で測定された表面のO1s/Si2sの最小値は、約0.05であってもよい。
【0180】
図7に示されたように、実施例による炭化ケイ素粉末は、炭化ケイ素コア及び前記酸化膜を含む。
【0181】
前記炭化ケイ素コアは、主成分として炭化ケイ素を含む。前記炭化ケイ素コアは、前記炭化ケイ素を99.99wt%以上の含量で含むことができる。前記炭化ケイ素コアは、実質的に前記炭化ケイ素からなっていてもよい。
【0182】
前記酸化膜は、前記炭化ケイ素コアの周囲に配置される。前記酸化膜は、前記炭化ケイ素コアの周囲を取り囲む。前記酸化膜は、前記炭化ケイ素コアの表面に密着していてもよい。前記酸化膜は、前記炭化ケイ素コアの表面に全体的に配置されていてもよい。前記酸化膜は、前記炭化ケイ素コアの表面を全体的に覆うことができる。
【0183】
前記酸化膜の厚さは、約0.1nm~約10nmである。前記酸化膜の厚さは、約0.5nm~約8nmであってもよい。前記酸化膜の厚さは、約0.7nm~約6nmである。前記酸化膜の厚さは、約1nm~約6nmであってもよい。前記酸化膜の厚さは、約0.1nm~約3nmであってもよい。
【0184】
実施例による炭化ケイ素粉末において、前記平均粒径(D50)に対する前記酸化膜の厚さは、約1×10-7~約50×10-5であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記平均粒径(D50)に対する前記酸化膜の厚さは、約5×10-7~約5×10-5であってもよい。実施例による炭化ケイ素粉末において、前記平均粒径(D50)に対する前記酸化膜の厚さは、約1×10-6~約50×10-6であってもよい。前記平均粒径(D50)に対する前記酸化膜の厚さは、約1×10-6~約40×10-6であってもよい。前記平均粒径(D50)に対する前記酸化膜の厚さは、約1×10-6~約20×10-6であってもよい。前記平均粒径(D50)に対する前記酸化膜の厚さは、約1×10-6~約10×10-6であってもよい。前記平均粒径(D50)に対する前記酸化膜の厚さは、約1×10-6~約5×10-6であってもよい。
【0185】
実施例による炭化ケイ素粉末は、適宜な厚さを有する酸化膜を含む。特に、実施例による炭化ケイ素粉末は、表面における適宜な厚さを有する酸化膜を含むことができる。
【0186】
これによって、実施例による炭化ケイ素粉末は、外部の不純物から内部を保護することができる。これによって、実施例による炭化ケイ素粉末は、炭化ケイ素を製造するための原料として適宜用いることができる。
【0187】
また、実施例による炭化ケイ素粉末によって、炭化ケイ素インゴット及び炭化ケイ素ウエハが製造されるとき、前記酸化膜の厚さが適宜であるため、前記炭化ケイ素インゴット及び前記炭化ケイ素ウエハの欠陷を減少させることができる。
【0188】
特に、前記炭化ケイ素粉末は、表面における適宜な厚さの酸化膜を含むため、初期熱処理段階において、前記酸化膜を容易に除去することができる。これによって、前記炭化ケイ素粉末の表面の酸化膜が初期熱処理過程で容易に除去され、前記炭化ケイ素インゴットが成長する過程での残留酸素による欠陷を最小化することができる。
【0189】
また、前記酸化膜は、保護膜機能を適宜行い、前記炭化ケイ素粉末が不純物に汚染することを容易に防止することができる。これによって、実施例による炭化ケイ素粉末が前記炭化ケイ素インゴットを製造する工程に用いられるとき、不純物の流入が最小化し得る。
【0190】
これによって、実施例による炭化ケイ素粉末は、欠陷の少ない炭化ケイ素インゴットを提供することができる。
【0191】
実施例による炭化ケイ素粉末は、非常に高い純度を有し、向上した性能の炭化ケイ素ウエハを製造することができる。
【0192】
図7及び
図8を参照すると、実施例による炭化ケイ素ウエハは、下記のように製造することができる。
【0193】
先ず、炭化ケイ素インゴットを製造することができる。前記炭化ケイ素インゴットは、大面積であり、かつ、欠陷が少ないように、物理的気相輸送法(PVT)が適用されて、製造される。
【0194】
一実施例による炭化ケイ素インゴット12の製造方法は、準備段階、炭化ケイ素粉末装入段階、及び成長段階を含むことができる。
【0195】
前記準備段階は、内部空間を有する坩堝本体20と、前記坩堝本体を覆う坩堝蓋21と、を含む坩堝組立体を準備する段階である。
【0196】
前記炭化ケイ素粉末装入段階は、前記坩堝組立体内に炭化ケイ素粉末30を装入し、前記原料上には、種結晶を前記原料と一定間隔を空けて配置されるようにする段階である。
【0197】
前記坩堝本体20は、例えば、上面の開放した開口部を有する円筒状であり、その内部に炭化ケイ素原料を装入できる構造を有することを適用することができる。前記坩堝本体20は、その密度が1.70g/m3~1.90g/m3であるものを適用することができる。前記坩堝本体20の材料にはグラファイトが含まれていてもよい。
【0198】
前記坩堝蓋21は、その密度が1.70g/m3~1.90g/m3であるものを適用することができる。前記坩堝蓋21の材料にはグラファイトが含まれていてもよい。前記坩堝蓋21は、前記坩堝本体20の開口部全部を覆う形態を有するものを適用することができる。
【0199】
前記坩堝蓋21は、前記坩堝本体20の開口部一部を覆うか、貫通孔(不図示)を含む前記坩堝蓋21を適用することができる。かかる場合、後述する結晶成長雰囲気で蒸気移送速度を調節することができる。
【0200】
また、前記坩堝蓋21には種結晶ホルダ22が配置される。前記種結晶ホルダ22は、前記坩堝蓋21に結合していてもよい。前記種結晶ホルダ22は、前記坩堝蓋21に付着していてもよい。前記種結晶ホルダ22は、前記坩堝蓋21と一体に形成することができる。
【0201】
前記坩堝蓋21の厚さは、約10mm~約50mmであってもよい。また、前記種結晶ホルダ22の厚さは、約1mm~約10mmであってもよい。
【0202】
前記炭化ケイ素インゴットを製造するために種結晶が設けられる。前記種結晶は、(0001)面に対して、0~8度の範囲で選択された角度であるオフ角を適用したウエハのいずれかであってもよい。
【0203】
前記種結晶は、欠陷や多形の混入が最小化した、実質的に単結晶である4H SiCインゴットであってもよい。前記炭化ケイ素種結晶は、実質的に4H SiCからなるものであってもよい。
【0204】
前記種結晶は、4インチ以上、5インチ以上、さらには6インチ以上のものを有することができる。より具体的に前記種結晶は、4~12インチ、4~10インチ、又は6~8インチの直径を有することができる。
【0205】
前記種結晶は、種結晶ホルダに接着される。前記種結晶ホルダは、黒鉛を含む。前記種結晶ホルダは、黒鉛からなっていてもよい。前記種結晶ホルダは、異方性黒鉛を含むことができる。より詳細は、前記種結晶ホルダは、異方性黒鉛からなっていてもよい。
【0206】
また、前記種結晶及び前記種結晶ホルダは、接着層によって互いに接着される。前記接着層は、黒鉛フィラー及びフェノール樹脂などの炭化物を含む。前記接着層は、低い気孔率を有することができる。
【0207】
前記種結晶は、C面が下方に向かうように配置されていてもよい。
【0208】
その後、前記坩堝内に前記炭化ケイ素インゴットを製造するために、本実施例による炭化ケイ素粉末が装入される。
【0209】
前記炭化ケイ素粉末30は、炭素源とケイ素源を含む。具体的に、前記炭化ケイ素粉末30は、炭素-ケイ素源を含む。前記炭化ケイ素粉末30は、上述した特徴を有することができる。また、前記炭化ケイ素粉末30は、上述した方法で製造することができる。
【0210】
前記炭化ケイ素粉末30は、粒子サイズが75μm以下であるのが全体原料を基準に、15重量%以下で含まれていてもよく、10重量%以下で含まれていてもよく、5重量%以下で含まれていてもよい。このように、粒子サイズが小さいものの含量が比較的に少量である原料を適用する場合、インゴットの欠陥発生を減らして、過飽和度の制御により有利であり、より結晶特性の向上したウエハを提供できる炭化ケイ素インゴットを製造することができる。
【0211】
前記炭化ケイ素粉末30は、互いにネッキングされるかネッキングされていないものであってもよい。これら粒径を有する原料を適用する場合、より優れた結晶特性を有するウエハを提供する炭化ケイ素インゴットを製造することができる。
【0212】
前記炭化ケイ素粉末装入段階において、前記坩堝組立体は、前記炭化ケイ素粉末30の重量を1としたとき、前記坩堝組立体の重量が1.5~2.7(倍)である重量割合(Rw)を有することができる。ここで、坩堝組立体の重量は、原料を除く坩堝組立体の重量を意味し、具体的に、前記坩堝組立体にシードホルダが適用されるか否かを問わず、種結晶まで含まれて組み立てられた坩堝組立体から投入した原料の重さを除いた値である。
【0213】
前記重量割合が1.5未満である場合は、結晶成長雰囲気で過飽和度が増加しすぎて、インゴットの結晶品質が却って低下し得、前記重量割合が2.7超えた場合は、過飽和度が低くなり、インゴットの結晶品質が低下し得る。
【0214】
前記重量割合は、1.6~2.6であってもよく、1.7~2.4であってもよい。これら重量割合を有する場合、欠陥特性や結晶特性に優れるインゴットを製造することができる。
【0215】
前記坩堝組立体は、前記坩堝本体20の内部空間の径を1としたとき、前記炭化ケイ素粉末30が位置する最も下面から種結晶11の表面までの長さの割合である長さ割合は、1倍超2.5倍以下であってもよい。
【0216】
前記成長段階は、前記坩堝本体20の内部空間を結晶成長雰囲気で調節して、前記原料が前記種結晶に蒸気移送されて蒸着し、前記種結晶から成長した炭化ケイ素インゴットを設ける段階である。
【0217】
前記成長段階は、前記坩堝組立体の内部空間を結晶成長雰囲気に調節する過程が含まれ、具体的に、断熱材40で前記坩堝組立体を囲み、前記坩堝組立体と、これを囲む前記断熱材40を含む反応容器(不図示)を設け、これを石英管などの反応チャンバに位置させた後、加熱手段により前記坩堝などを加熱する方式で行うことができる。
【0218】
前記反応チャンバ42内には前記反応容器が位置して、加熱手段(50)により、前記坩堝本体20の内部空間を結晶成長雰囲気に好適な温度に誘導する。これら温度は、前記結晶成長雰囲気に重要な要素の1つであり、圧力とガスの移動などの条件を調節して、より好適な結晶成長雰囲気を形成する。前記反応チャンバ42と前記反応容器との間には、断熱材40が位置して、結晶成長雰囲気の形成と制御をより容易にすることができる。
【0219】
前記断熱材40は、成長雰囲気で前記坩堝本体の内部又は前記反応容器の内部温度の勾配に影響を及ぼし得る。具体的に前記断熱材は、グラファイト断熱材40を含むことができ、より具体的に前記断熱材40は、レーヨン系グラファイトフェルト又はピッチ系グラファイトフェルトを含むことができる。
【0220】
具現例は、前記断熱材40として、その密度が約0.12g/cc~約0.30g/ccであるものを適用することができる。具現例は、前記断熱材40として、その密度が約0.13g/cc~約0.25g/ccであるものを適用することができる。具現例は、前記断熱材40として、その密度が約0.14g/cc~約0.20g/ccであるものを適用することができる。
【0221】
前記断熱材40の密度が約0.14g/cc未満であるものを適用する場合は、成長したインゴットの形状が凹状に成長し得、6H-SiC多形が発生して、インゴットの品質が低下し得る。
【0222】
前記断熱材40の密度が約0.30g/cc超えたものを適用する場合は、成長したインゴットが過度に凸状に成長し得、縁の成長率が低くなって収率が減少するか、インゴットにクラックの発生が増加し得る。
【0223】
前記断熱材40は、その密度が約0.12g/cc~約0.30g/ccであるものを適用する場合よりもインゴットの品質を向上させることができ、約0.14g/cc~約0.20g/ccであるものを適用することが、インゴットの成長過程で結晶成長雰囲気を制御し、より優れた品質のインゴットを成長させるのにさらに良い。
【0224】
前記断熱材40は、気孔度が約73vol%~約95vol%であってもよい。前記断熱材40は、気孔度が約76vol%~約93vol%%であってもよい。前記断熱材40は、気孔度が81vol%~91vol%%であってもよい。これら気孔度を有する断熱材40を適用する場合、インゴットクラックの発生頻度をより減少させることができる。
【0225】
前記断熱材40は、圧縮強度が約0.21Mpa以上であってもよい。前記断熱材40は、圧縮強度が約0.49Mpa以上であってもよい。前記断熱材40は、圧縮強度が約0.78MPa以上であってもよい。また、前記断熱材40は、圧縮強度が約3MPa以下であってもよく、約25MPa以下であってもよい。前記断熱材40がこれら圧縮強度を有する場合、熱的/機械的安定性に優れ、灰(ash)の発生する確率が落ちて、より優れた品質のSiCインゴットを製造することができる。
【0226】
前記断熱材40は、約20mm以上の厚さで適用することができ、約30mm以上の厚さで適用することができる。また、前記断熱材は、約150mm以下の厚さで適用することができ、約120mm以下の厚さで適用することができ、約80mm以下の厚さで適用することができる。これら厚さ範囲で前記断熱材40を適用する場合、断熱材40の余計な無駄使いなしに断熱効果を十分得ることができる。
【0227】
前記断熱材40は、密度が約0.12g/cc~約0.30g/ccであってもよい。前記断熱材40は、気孔度が約72vol%~約90vol%であってもよい。これら断熱材40を適用する場合、インゴットの形状が凹状であるか、過度に凸状に成長することを抑制することができ、多形の品質が低下するか、インゴットにクラックが発生する現象を減少させることができる。
【0228】
前記結晶成長雰囲気は、前記反応チャンバ42の外部加熱手段(500)の加熱によって行うことができ、前記加熱と同時に又は別途減圧して空気を除去し、減圧雰囲気及び/又は不活性雰囲気(例示:Ar雰囲気、N2雰囲気、又はこれの混合雰囲気)で行うことができる。
【0229】
前記結晶成長雰囲気は、原料を種結晶の表面に蒸気移送されるようにして、炭化ケイ素結晶の成長を誘導し、インゴット12に成長させる。
【0230】
前記結晶成長雰囲気は、2100℃~2450℃の成長温度と、1torr~100torrの成長圧力条件を適用することができ、これら温度と圧力を適用する場合、より効率良く炭化ケイ素インゴットを製造することができる。
【0231】
具体的に、前記結晶成長雰囲気は、坩堝の上下部の表面温度が2100℃~2450℃の成長温度と、1torr~50torrの成長圧力条件を適用することができ、より詳細は、坩堝の上下部の表面温度が2150℃~2450℃の成長温度と、1torr~40torrの成長圧力条件を適用することができる。
【0232】
より具体的に、坩堝の上下部の表面温度が2150~2350℃の成長温度と、1torr~30torrの成長圧力条件を適用することができる。
【0233】
上述した結晶成長雰囲気を適用すれば、本発明の製造方法等において、より高品質の炭化ケイ素インゴットを製造するのにより有利である。
【0234】
前記炭化ケイ素インゴット12は、4H SiCを含有するものであって、その表面が凸状又は平らな形状であってもよい。
【0235】
前記炭化ケイ素インゴット12の表面が凹状に形成される場合、意図する4H-SiC結晶のほか、6H-SiCのような他の多形が混入したものであってもよく、これは炭化ケイ素インゴットの品質を低下し得る。また、前記炭化ケイ素インゴットの表面が過度に凸状に形成される場合は、インゴット自体にクラックが発生するか、ウエハに加工する際に結晶が砕かれ得る。
【0236】
このとき、前記炭化ケイ素インゴット12が過度に凸状であるか否かは、曲がり度合いを基準に判断し、本明細書で製造される炭化ケイ素インゴットは、曲がりが約20mm以下である。
【0237】
前記曲がりは、炭化ケイ素インゴットの成長が完了したサンプルを定盤上に置いて、インゴットの後面を基準に、インゴットの中心と縁の高さをハイトゲージ(Height Gauge)で測定し、(中心高さ-縁高さ)の値と評価する。曲がりの数値が正の値であれば、凸状を意味し、0の値は、平らな形状、そして負の値は、凹状を意味する。
【0238】
具体的に、前記炭化ケイ素インゴット12は、その表面が凸状又は平らな形状のものであって、曲がりが約0mm~約14mmであってもよく、約0mm~約11mmであってもよく、約0mm~約8mmであってもよい。これら曲がり度合いを有する炭化ケイ素インゴットは、ウエハ加工がより容易であり、砕きの発生を減少させることができる。
【0239】
前記炭化ケイ素インゴット12は、欠陷や多形の混入が最小化した、実質的に単結晶である4H SiCインゴットであってもよい。前記炭化ケイ素インゴット12は、実質的に4H SiCからなるものであり、その表面が凸状又は平らな形状であってもよい。
【0240】
前記炭化ケイ素インゴット12は、炭化ケイ素インゴットで発生し得る欠陷を減らしたものであって、より高品質の炭化ケイ素ウエハを提供することができる。
【0241】
本明細書の方法で製造された前記炭化ケイ素インゴットは、その表面のピット(pit)を減少させ、具体的に、4インチ以上の直径を有するインゴットにおいて、その表面に含まれるピット(pit)が約10k/cm2以下であってもよい。
【0242】
本明細書において、前記炭化ケイ素インゴットの表面ピットの測定は、インゴットの表面におけるファセットを除く中央部分の1ヶ所、そして炭化ケイ素インゴットエッジにおける中央部方向に約10mm内側に位置する3時、6時、9時、および12時方向の4ヶ所、計5ヶ所を光学顕微鏡で観察して、各位置で単位面積(1cm3)当たりピット(pit)を測定した後、その平均値と評価する。
【0243】
例示的に、前記炭化ケイ素インゴットを外径研削装備を適用して、インゴットの外郭縁部分をグラインドして(External Grinding)、一定厚さで切削(Slicing)した後、縁研削と表面研磨、ポリッシング等の加工を行うことができる。
【0244】
前記スライス段階は、炭化ケイ素インゴットを一定したオフアングルを有するようにスライスして、スライスされた結晶を設ける段階である。前記オフアングルは、4H SiCにおける(0001)面を基準にする。前記オフアングルは、具体的に、0~15度から選択された角度であってもよく、0~12度から選択された角度であってもよく、0~8度から選択された角度であってもよい。
【0245】
前記スライスは、通常、ウエハの製造に適用されるスライス方法であれば適用することができ、例示的に、ダイヤモンドワイヤやダイヤモンドスラリーを適用したワイヤを用いた切削、ダイヤモンドが一部適用されたブレードやホイールを用いる切削等を適用することができるものの、これに限定されるものではない。
【0246】
前記スライスされた結晶の厚さは、製造しようとするウエハの厚さを考慮して調節することができ、後述する研磨段階で研磨された後の厚さを考慮して、適宜な厚さにスライスされてもよい。
【0247】
前記研磨段階は、前記スライスされた結晶を、その厚さが300~800μmとなるように研磨して、炭化ケイ素ウエハを形成する段階である。
【0248】
前記研磨段階は、通常、ウエハの製造に適用される研磨方法を適用することができ、例示的に、ラッピング(Lapping)及び/又はグラインディング(Grinding)等の工程が行われた後、ポリッシング(polishing)等が行われる方式を適用することができる。
【0249】
実施例による炭化ケイ素ウエハは、低い表面酸素濃度を有することができる。実施例による炭化ケイ素ウエハにおいて、前記X線光電子分光法で測定される表面酸素濃度は、約5atom%~約14atom%であってもよい。実施例による炭化ケイ素ウエハにおいて、前記X線光電子分光法で測定される表面酸素濃度は、約6atom%~約13atom%であってもよい。実施例による炭化ケイ素ウエハにおいて、前記X線光電子分光法で測定される表面酸素濃度は、約7atom%~約12.5atom%であってもよい。実施例による炭化ケイ素ウエハにおいて、前記X線光電子分光法で測定される表面酸素濃度は、約8atom%~約12atom%であってもよい。
【0250】
これによって、実施例による炭化ケイ素ウエハは、低い表面酸素含量を有するため、電力半導体素子の製造工程に使用されるとき、高い収率を具現することができる。実施例による炭化ケイ素ウエハは、製造される電力半導体素子に対して、約88%以上の収率を有することができる。すなわち、実施例による炭化ケイ素ウエハが使用される電力半導体素子の製造方法は、約88%以上の収率を有することができる。
【0251】
以下、具体的な実施例によって具体的に説明する。下記の実施例は、具現例について理解するための例示に過ぎないし、本明細書が開示する発明の範囲は、これに限定されるものではない。
【0252】
製造例1
単結晶炭化ケイ素塊が炭化ケイ素原料として提供された。前記単結晶炭化ケイ素塊は、約99.9999%以上の純度を有する炭化ケイ素粉末が約2300℃の温度で昇華し、種結晶に蒸着して形成される。
【0253】
前記単結晶炭化ケイ素塊は、ジョークラッシャー(Henan Dewo Industrial Limited Company,KER-100×60)によって1次粉砕された。前記粉砕した炭化ケイ素塊から約6mmの粒径を有する1次粉末が得られた。
【0254】
その後、前記1次粉末は、ボールミル(Ganzhou Li Ang Machinery Co.,Ltd.,QM400*600)によって2次粉砕された。前記2次粉砕した1次粉末は、分級機で分級されており、約500μmの平均粒径(D50)を有する2次粉末が得られた。
【0255】
その後、前記2次粉末は、大気雰囲気で、約1200℃の温度で、約24時間熱処理されて、フリー炭素及びフリーシリコンが除去された。
【0256】
その後、前記熱処理された炭化ケイ素粉末は、湿式エッチング工程によって精製された。
【0257】
約3:1.5:1.5の重量割合で、脱イオン水、フッ酸水溶液(30wt%濃度の水溶液)、及び窒酸水溶液(30wt%濃度の水溶液)が混合して、エッチング液が製造された。
【0258】
その後、約5Lの体積を有するエッチング容器に約1L(見掛体積)の前記熱処理された炭化ケイ素粉末が投入され、前記エッチング液が約0.8L投入された。
【0259】
その後、前記エッチング容器は、蓋で密閉された。このとき、前記蓋を介して、前記エッチング容器内で発生する油蒸気が排出され、スクラバーによって前記油蒸気は回収された。
【0260】
前記エッチング液及び前記熱処理された炭化ケイ素粉末は、約26rpmの速度で約1時間攪拌された。
【0261】
その後、前記エッチング液は、排水され、前記湿式エッチングされた炭化ケイ素粉末は、脱イオン水により、次のような工程によって中和された。前記湿式エッチングした炭化ケイ素粉末は、脱イオン水に浸漬して、攪拌後、前記脱イオン水は、排出された。前記排出した脱イオン水のpHが7となるまで、このような浸漬及び排出過程が繰り返された。
【0262】
その後、前記中和した炭化ケイ素粉末は、約80℃の温度で、約30分間乾燥した。
【0263】
その後、前記乾燥した炭化ケイ素粉末は、黒鉛坩堝内に配置される。
【0264】
その後、前記坩堝の内部温度が約2000℃まで上昇し、前記坩堝の内部は、約8torrの圧力に減圧される。
【0265】
その後、前記坩堝の内部にアルゴン及び塩素気体が約10:1の体積比で混合したエッチング気体を投入し、前記坩堝の内部は、約760torrに昇圧する。このとき、前記坩堝の下部温度が前記坩堝の上部温度よりも約50℃さらに高いように、前記坩堝の温度が設定された。かかる状態は、約2日維持した。
【0266】
その後、前記坩堝の内部のエッチング気体は、スクラバーによって回収され、前記乾式エッチングされた炭化ケイ素粉末が配置された坩堝の内部は、約1000℃の温度で、大気雰囲気で、約10時間熱処理される。
【0267】
その後、前記熱処理された炭化ケイ素粉末は、下記の表1のような表面処理液に浸漬して、前記炭化ケイ素粉末及び前記表面処理液は、約1時間攪拌された。
【0268】
その後、前記フッ酸水溶液に処理された炭化ケイ素粉末は、超純水に浸漬し、十分混合した後、前記超純水が排水される過程を繰り返して洗浄された。このとき、前記排水された超純水に含まれるフッ酸の濃度が約0.0001wt%以下に低くなるまで、前記浸漬及び排水工程が繰り返された。
【0269】
製造例2~4
製造例1と実質的に同一であり、下記の表1及び表2のようなエッチング液及びエッチング気体を用いた。
【0270】
【0271】
【0272】
実施例
その後、製造例1で製造された炭化ケイ素粉末をグラファイト坩堝本体の内部に装入した。前記粉末の上部に炭化ケイ素種結晶及び種結晶ホルダを配置した。このとき、炭化ケイ素種結晶(4H SiC単結晶、6インチ)のC面(0001)が坩堝の下部に向かうように通常の方法で固定した。また、坩堝蓋と種結晶ホルダが黒鉛で一体に製造して形成され、前記坩堝蓋及び前記種結晶ホルダは、いずれも円板状を有する。このとき、前記坩堝蓋の厚さは、約20mmであり、前記坩堝蓋の直径は、約210mmであり、前記種結晶ホルダの厚さは、約3mmであり、前記種結晶ホルダの直径は、約180mmであった。
【0273】
前記種結晶及び種結晶ホルダが設置された坩堝蓋で前記坩堝本体を覆い、断熱材40で囲んだ後、加熱手段である加熱コイルが備えられた反応チャンバ内に入れた。
【0274】
このとき、断熱材としては、約0.19g/ccの密度、約85vol%の気孔度、約0.37MPaの圧縮強度であるグラファイトフェルトが適用されている。
【0275】
坩堝の内部を真空状態に作った後、アルゴンガスを徐々に注入して、前記坩堝の内部が大気圧に到逹するようにして、さらに前記坩堝の内部を徐々に減圧させた。これと共に、坩堝の内部温度を2000℃まで約3℃/分の昇温速度で徐々に昇温し、2350℃まで約5℃/分の昇温速度で徐々に昇温した。
【0276】
その後、2350℃の温度と20torrの圧力条件下で、100時間、炭化ケイ素種結晶からSiCインゴットを成長させた。
【0277】
その後、前記炭化ケイ素インゴットは、ダイヤモンドワイヤソーによって切断しており、面取り工程、研削工程、及び研磨工程によって加工された。これによって、(0001)面を基準に、4度のオフ角度の炭化ケイ素ウエハが製造された。
【0278】
実施例2~4及び比較例1及び2
下記の表3に示されたように、前記炭化ケイ素粉末が変更されたことを除いては、他の工程は、実施例1と同様であった。
【0279】
【0280】
測定例
1.炭化ケイ素粉末の純度
製造例による炭化ケイ素粉末の純度は、グロー放電質量分析によって測定された。
【0281】
2.炭化ケイ素粉末の形状
製造例で製造された炭化ケイ素粉末は、光学顕微鏡(Nikon社のEclipse LV150 Microscope)によって撮影されて、イメージ分析プログラム(IMT社のi-solution)によって分析された。
【0282】
3.XPS分析
XPS装備名/製造企業:K-AlpHa+/ThermoFisher Scientific
【0283】
測定条件
1)X-ray source:Monochromated Al X-ray sources(Al Kα line:1486.6eV)
2)X-Ray power:12kV、10mA
3)Sampling area:400μm(diameter)
4)Narrow scan:pass energy 40eV、step size 0.05eV
5)Vacuum:3×10-9mbar
6)Calibration:No
7)Flood gun is used for charge compensation ON
【0284】
<エッチング条件>
AR Ion etching:2keV、1500sec、raster size 2×2mm
【0285】
4.酸化膜の厚さ
前処理工程:炭化ケイ素粉末を白金蒸着工程によって固定して、切断後、TEMで切断面が撮影された。
【0286】
装備人:Libra 200 MC TEM
製造社:Carl Zeiss
Gun Type:ZrO/W-field emitter system (Schottky emitter)
Attachment:Monochromator(CEOS,Germany)
Imaging Cs-Corrector(CEOS,Germany)
Corrected OMEGA in-Column energy filter
CCD Camera
ORIUS SC200D(Gatan,U.S.)
UltraScan 1000XP(Gatan,U.S.)
EDS Detector(X-Max 80T,Oxford,U.K.)
【0287】
5.ウエハ製作デバイス収率
実施例及び比較例で製造された炭化ケイ素ウエハ上に約10μm厚さのエピタキシャル層が形成された。その後、約3922個の電力半導体デバイスが形成され、各々の電力半導体が不良であるか否かがチェックされた。
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
表4~表6に記載したように、実施例によって製造された炭化ケイ素粉末は、酸化膜の厚さを有する。また、実施例によって製造された炭化ケイ素ウエハは、向上した電力半導体素子収率を有する。
【符号の説明】
【0292】
11 種結晶
12 炭化ケイ素インゴット
20 坩堝本体
21 坩堝蓋
22 種結晶ホルダ
30 炭化ケイ素粉末
42 反応チャンバ
40 断熱材
50 加熱手段