(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029768
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ユーザを認証する方法、システムおよび自動車
(51)【国際特許分類】
B60R 25/24 20130101AFI20240228BHJP
B60R 25/31 20130101ALI20240228BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B60R25/24
B60R25/31
E05B49/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023133980
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】10 2022 208 670.8
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベルント エッテ
(72)【発明者】
【氏名】ティム ヴォレンティン
(72)【発明者】
【氏名】ディトマー フランツ
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB57
2E250HH01
2E250JJ41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、自動車のユーザを認証する方法、この方法を実施するためのシステムおよびこのシステムを含む自動車に関する。
【解決手段】本発明は、自動車(10)のユーザを認証する方法、この方法を実施するためのシステムおよびこのシステムを含む自動車(10)に関する。ここでは、UWB信号を使用し、送出したUWBパルスの受信されたインパルス応答に基づき、かつ/または、CIR測定の結果に基づき、認可されるユーザの位置および/または運動グラジエントを特定し、これらの情報に基づいて、認可されたユーザが認証されるように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)のユーザを認証する方法であって、前記自動車(10)は、ユーザの位置を検出するように構成された2つのモジュール(14,16)であって、UWB信号およびブルートゥース信号を送受信するように構成され、それぞれアンテナ(24,24’)を備えたそれぞれ1つの送受信器(22,22’)を有するモジュール(14,16)を有し、前記方法は、
ユーザを認可するために、少なくとも1つの前記アンテナ(24,24’)を使用し、外部送受信器(18)を介して送出される無線信号を受信するステップと、
少なくとも1つの前記アンテナ(24,24’)を使用して、UWBパルスを送信してインパルス応答を受信するために、かつ/または前記アンテナ(24,24’)を使用して、チャネルインパルス応答(CIR)測定ベースの方式を実行するために、前記送受信器(22,22’)を駆動制御するステップと、
受信された前記インパルス応答および/または前記CIR測定の結果に基づいて、前記ユーザの前記位置および/または運動グラジエントを特定するステップと、
前記ユーザの特定された前記位置および/または特定された前記運動グラジエントに基づき、受信された前記無線信号に前記ユーザを対応付けることにより、前記ユーザを認証するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記アンテナ(24,24’)を使用して前記外部送受信器(18)の位置を特定する、走行時間測定値に基づく位置決め法を実施するために、2つの前記モジュール(14,16)の前記送受信器(22,22’)を駆動制御するステップをさらに有し、
前記ユーザの特定された前記位置および/または特定された前記運動グラジエントと、前記外部送受信器(18)の特定された前記位置とを照合することによって前記ユーザの前記認証を行う、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記送受信器(22,22’)にはさらに、NFC無線信号を送受信するように構成されたNFCアンテナ(26)が含まれ、前記NFCアンテナ(26)は、前記ユーザを認可するための前記無線信号をNFC信号として受信するように構成されている、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
受信された前記無線信号と、記憶装置に格納されているデータベースとに基づいて、認証された前記ユーザの認可状態を特定するステップをさらに有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
認証された前記ユーザの特定された前記位置が、前記自動車(10)に対してあらかじめ定められた距離を下回る場合、前記アンテナ(24,24’)および/または少なくとも1つの前記NFCアンテナ(26)を使用して、支払い手続きについての問い合わせを送出するように2つの前記モジュール(14,16)を駆動制御するステップと、
前記アンテナ(24,24’)および/または少なくとも1つの前記NFCアンテナ(26)を使用して、前記支払い手続きを実行するための確認信号を受信するステップと、
受信された前記確認信号に基づいて、認証された前記ユーザの前記認可状態を適合させるステップと、
をさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
認証された前記ユーザの前記認可状態に基づき、前記自動車(10)の少なくとも1つの車両ドアおよび/または少なくとも1つの車両窓を開放するステップをさらに含む、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
前記チャネルインパルス応答測定ベースの方式を実行するために前記送受信器(22,22’)を駆動制御する前記ステップ、および/または前記UWBパルスの前記送信および前記インパルス応答の前記受信を行って、前記自動車(10)に対するアクセス領域がスキャンされるように、前記モジュール(14,16)が配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
システム(100)であって、前記システム(100)は、
それぞれ送受信器(22,22’)を備えた、ユーザの位置を検出するように構成された第1モジュール(14)および第2モジュール(16)を有し、前記第1モジュール(14)および第2モジュール(16)は、UWB信号およびブルートゥース信号を送受信するように構成されたアンテナ(24,24’)を有し、
前記システム(100)はさらに、前記送受信器(22,22’)に接続された制御ユニット(12)を有し、前記制御ユニット(12)は、
前記ユーザを認可するために、少なくとも1つの前記アンテナ(24,24’)を使用し、外部送受信器(18)を介して送出される無線信号を受信し、
少なくとも1つの前記アンテナ(24,24’)を使用して、UWBパルスを送信してインパルス応答を受信するために、かつ/または前記アンテナ(24,24’)を使用して、チャネルインパルス応答(CIR)測定ベースの方式を実行するために、前記送受信器(22,22’)を駆動制御し、
受信された前記インパルス応答および/または前記CIR測定の結果に基づいて、前記ユーザの位置および/または運動グラジエントを特定し、
前記ユーザの特定された前記位置および/または特定された前記運動グラジエントに基づき、受信された前記無線信号に前記ユーザを対応付けることにより、前記ユーザを認証する
ように構成されている、
システム(100)。
【請求項9】
請求項8記載のシステム(100)を有する自動車(10)であって、2つの前記モジュール(14,16)は、前記自動車(10)に乗車するための、および前記自動車(10)を降車するためのアクセス領域を有する、前記自動車(10)の車両側面に配置されている、自動車(10)。
【請求項10】
2つの前記モジュール(14,16)の少なくとも1つは、前記アクセス領域に対して最大20cmの間隔で配置されている、請求項9記載の自動車(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のユーザを認証する方法、この方法を実施するためのシステムおよびこのシステムを含む自動車に関する。
【0002】
車両へのキーレスエントリを可能にするために、今日の車両は、無線技術に基づいて車両周辺部にいるユーザのポータブル端末またはトランスポンダを識別することができる様々なシステムを有する。
【0003】
車両へのパッシブアクセスを可能にするシステムの例は、文献の米国特許出願公開第2020/247363号明細書に記載されている。そこに開示されているシステムは、ポータブルデバイスと、BLE(Bluetooth-Low-Energy)通信コネクションまたはUWB(Ultra-wideband)通信コネクションを確立する。低周波送信器を介し、システムにより、ポータブルデバイスに問い合わせが送信され、対応する応答が受信される。受信された応答に含まれている情報に基づき、システムによってポータブルデバイスが認可される。ポータブルデバイスの認可に応じて、システムにより、車両のドアのロック解除、車両の荷室のロック解除または車両のスタートのイネーブリングを含めた車両機能が実行される。
【0004】
この際によく発生する問題は、使用されるシステムにより、受信された無線信号源を確実に認証できない、すなわち、受信された無線信号が実際にユーザに由来するか、または犯罪エネルギを用いて無線信号の情報を手に入れたソースに由来するかを確認できないことである。このようなセキュリティ問題に対処するために、今日のシステムにより、ポータブルデバイスの位置データおよび運動データが問い合わされ、これにより、このような仕方でユーザの位置を特定し、位置特定情報に基づいてユーザを認証する。
【0005】
認証を目的としてユーザの位置を特定するための公知のシステムは、文献の独国特許出願公開第102017201308号明細書、独国特許出願公開第102022100583号明細書または独国特許出願公開第10202020103083号明細書に記載されている。
【0006】
しかしながら、ユーザを認証するためにその位置を特定する際、公知のシステムが依存しているのは、ユーザのポータブル端末またはトランスポンダが、対応する無線通信を確立するのに、または適切な位置データおよび運動データを取得するのに適していることである。この際の問題は、ポータブル端末の数多くの比較的旧式のモデルが市場に存在し、これらのモデルが、大抵の場合、対応する前提条件を満たしていないことである。これらのモデルでは、必要なハードウェアまたは使用されるソフトウェアのいずれかが旧式化しており、したがって、例えば、車両のシステムとの通信を確立することができないかまたは位置特定情報を得ることができないことである。このことは特に、UWB通信も、最新のブルートゥース通信(特に少なくともブルートゥース規格バージョン5.1)も可能でないデバイスに関係している。ブルートゥース5.1によると、とりわけ、デバイスがオブジェクトの方向を識別できるようにする無線方向探知機能(いわゆるダイレクションファインディング)が導入されている。
【0007】
本発明の根底にある課題は、より多くのユーザの認証を可能にする方法を開発すること、ならびにこの方法を実施するためのシステムを提供することである。
【0008】
本発明によるこの課題は、特許請求の範囲の独立請求項に記載した、自動車のユーザを認証する方法により、この方法を実施するためのシステムにより、またこのシステムを有する自動車により、解決される。好ましい発展形態は、独立請求項をそれぞれ引用する従属請求項の対象である。
【0009】
1つの態様は、自動車のユーザを認証する方法に関する。この自動車は、ユーザの位置を検出するように構成された2つのモジュールを有し、これらのモジュールはそれぞれ、UWB信号およびブルートゥース信号、特にBLE信号を送受信するように構成された送受信器であって、それぞれ1つのアンテナを備えた送受信器を有する。この送受信器は特に、極めて広い周波数範囲において、特に2.4GHz~10.6GHzの周波数範囲において信号を送受信するように構成されている。UWB信号の場合、この送受信器は好ましくは、3.5GHz~9GHzの周波数範囲において、特に好ましくは6GHz~8.5GHzの周波数範囲において信号を送受信するように構成されている。ブルートゥース通信は好ましくは、2.402GHz~2.480GHzの公知の周波数帯域において行われる。好ましくはBluetooth-Low-Energy無線技術が設けられている。
【0010】
UWBパルスの送信出力は小さい。UWB信号の帯域幅は、少なくとも500MHzであり、UWB送受信器は好ましくは、0.5mW / -41.3dBm/MHz間の送信出力で信号を送信するように構成されている。さらに好ましくは、送受信器は、IEEE802.15.4規格(特にUWBの物理層のセクション)に従い、また好ましくはIEEE802.15.4zに従って構成される。このような広い周波数範囲にわたって信号が散乱させられることにより、別の無線信号はUWB信号によって最小限度しか妨害されない。
【0011】
ユーザの認可のために、少なくとも1つのアンテナを使用し、外部送受信器を介して送出される無線信号が受信される。換言すると、ユーザは、それ自体公知の複数の車両機能の1つを実行するために、自身のポータブル端末またはトランスポンダを使用して、認可情報を含めた命令信号を車両に伝送する。この通信は好ましくは、少なくとも、UWB無線技術および/またはブルートゥース無線技術に基づいて行われる。
【0012】
送受信器は、少なくとも1つのアンテナを使用して、UWBパルスを送信してインパルス応答を受信するために、かつ/またはアンテナを使用してチャネルインパルス応答(CIR)測定ベースの方式を実行するために駆動制御される。受信されたインパルス応答および/またはCIR測定の結果に基づいて、ユーザの位置および/または運動グラジエント(Bewegungsgradient)が特定される。CIR測定の際には、アンテナより、UWB信号が別のアンテナに送信され、この別のアンテナにより、送出された信号が受信されるのに対し、インパルス応答受信方式では、UWB信号を送出したのと同じアンテナにより、インパルス応答も受信される。この点において、ここでは、スキャンされる周辺部のエコーが受信される。換言すると、本発明によれば、ユーザの位置特定は、車両と外部送受信器との間の通信を必要とすることなく、UWB無線技術に基づいて行われる。結果的には、車両のすぐ近くにいる、ポータブル端末を有するユーザであって、ポータブル端末またはトランスポンダを利用し、UWB機能を有する通信も、5.1以降のバージョンの必要なブルートゥース規格も有しないユーザの位置も特定することができる。
【0013】
時間的に強く局在化されるUWBパルスに起因して可能であるのは、受信されたUWBパルスと、送信したUWBパルスに周辺部が及ぼす影響から生じるそれらのインパルス応答とから、UWBパルスの伝搬路についての情報を抽出することである。周辺部の影響は、UWBパルスをその幾何学的にあらかじめ定められた経路から逸脱させる物理的な現象、例えば、屈折、回折、反射または減衰等に基づく。信号または信号パケットの伝搬時間は、伝搬路が異なれば異なり、また伝搬路にまたは伝搬路の近くに対象体があるか否かに応じて変化することは明らかである。信号または信号パケットのパルス形状も、伝搬路にまたは伝搬路の近くに対象体があるか否かに応じて影響を受ける。これにより、これらの伝搬路に沿って伝送される信号または信号パケットの測定に基づいて有利には、伝搬路にまたは伝搬路の近くに対象体があるか否かを推定することができる。
【0014】
同じアンテナから送出されたUWBパルスのインパルス応答が受信された際には、このインパルス応答は、時間的に分解される複数のエコー信号を表し、これらのエコー信号は、送受信器に対するこれらの対象体および/または人の間隔に依存してインパルス応答の形で表れる。時間的にずらされたUWBパルスについてのエコー信号と、それらの受信されたインパルス応答とを比較することにより、送受信器を基準にした対象体および/または人間の位置変化を推定することができる。これらの位置変化から、運動グラジエントを特定することができる。エコー信号は好ましくは、振幅情報および/または位相情報に基づいて特定可能であり、互いに比較可能である。これによって有利には、少なくとも1つのアンテナを使用して、車両の周辺部または内部空間を位置分解的にかつ時間分解的にスキャンすることが可能である。当然のことながら、2つのモジュールのアンテナにより、または別の複数のモジュールのアンテナにより、インパルス応答受信方式を実行することも可能であり、これにより、異なる角度から、車両の周辺部および/または内部空間が位置分解的にかつ時間分解的にスキャンされる。
【0015】
対象体が送受信器から離れれば離れるほど、対象体に対応付けられているエコー信号は、送受信器によって遅く受信される。これにより、所望の到達距離に対応する時間の後、インパルス応答の受信が中断されかつ/または新たなUWBパルスが送出されることにより、送受信器の到達距離を限定することができる。送受信器を介してUWBパルスが送出される時間には、送信に使用される送受信器によるインパルス応答の受信はできない。
【0016】
さらに、付加的または択一的に少なくとも2つのアンテナを使用して有利に可能であるのは、CIR測定を用いて周辺部を位置分解的にスキャンすることである。1つのアンテナを介してUWBパルスを複数回、送ることにより、また別の1つのアンテナによって受信されたインパルス応答に基づき、時間的にずらされた複数のインパルス応答を比較することにより、周辺部の変化(例えば、スキャン対象の領域に存在する新たな対象体)を位置分解的にかつ時間分解的に可視化することできる。このようにして、スキャン対象の領域に進入する対象体の検出が、高い信頼性で可能である。殊に、CIR測定を用い、特に好ましくは一定にかつ/または繰り返して周辺部をスキャンすることにより、スキャン対象の領域の対応する監視が可能である。
【0017】
CIR測定には、例えば、(少なくとも)2つのアンテナ間であらかじめ定義した信号または信号パケット(いわゆるテレグラム)を送ることが含まれる。アンテナ間の信号または信号パケットの直接の伝搬路の他には、複数の別の伝搬路が存在し、これらの別の伝搬路には、例えば、車両の内部空間または外部空間からの対象体の反射が含まれる。アンテナの個数が十分でありかつ/またはアンテナを有利に配置することに基づき、これらの伝搬路により、空間の、例えば、車両内部空間または車両外部空間の別の部分をカバーすることができる。当然のことながら、モジュールの配置に応じて、対応する領域をスキャンするために、複数のモジュール間でCIR測定を行うことができる。
【0018】
さらに、ユーザの特定された位置および/または特定された運動グラジエントに基づき、受信された無線信号にユーザを対応付けることによってユーザの認証が行われる。モジュールには好ましくは、車両におけるそのあらかじめ定められた配置構成によってあらかじめ定められた認証領域であって、車両によって認証されるためにユーザがその中にとどまらなければならない認証領域が含まれている。認証領域の有効範囲は好ましくは、送受信器の設定された到達距離によって設定可能であり、かつ/またはCIR測定用のアンテナの配置構成に依存する。運動グラジエントを使用して好ましく特定されるのは、ユーザがどの方向に運動するか、かつ/またはユーザが、記憶ユニットに格納されたジェスチャ運動を実行するか否かである。例えば、車両から離れる方向に、かつ/または車両方向に対してせいぜい平行に運動するユーザは、認証から除外可能である。この場合に有利には、車両に対して1つの方向に運動するユーザ、したがって、高い確率で自動車と互いに作用しかつ/またはこれに乗車しようとしているユーザだけが認証される。さらに好ましくは、特定された運動グラジエントからユーザのジェスチャを特定し、これにより、ジェスチャ運動による車両の操作またはユーザの認証を可能にする。結果的に、手またはジェスチャにより、かつ/またはポータブル端末および/またはトランスポンダにより、車両の操作が非接触で可能である。認証領域と、ユーザの特定された運動方向とを組み合わせることにより、説明したそれぞれの利点が一緒に生じる。したがって車両と外部送受信器との間の、認可を越えた通信は、本発明によれば不要である。これにより、特定された位置データおよび/または運動データに基づき、旧式の、または別の理由から不適切なポータブル端末のユーザも認証することができ、これにより、より大きなユーザサークルが対象となる。
【0019】
好ましい実施形態では、アンテナを使用して外部送受信器の位置を特定する、伝搬時間測定値に基づく位置決め法を実施するために、2つのモジュールの送受信器が駆動制御されるように構成されており、さらに、ユーザの特定された位置および/または特定された運動グラジエントと、外部送受信器の特定された位置とを照合することによってユーザの認証を行う。位置決め法として好ましくは、到着時間(TOA:time of arrival)、飛行時間(TOF:time of flight)、TWR(two-way ranging)、TDOA(time difference on arrival)、到着角度(AOA:angle of arrival)、出発角度(AOD:angle of departure)および/または受信信号強度(RSSI:received signal strength indication)の表示が構成される。位置決め法の目的のために好ましくは、UWB無線技術および/またはブルートゥース無線技術が構成される。換言すると、本発明では、外部送受信器の位置特定は、車両と外部送受信器との間の無線通信によって行われる。有利には、外部送受信器についての位置決め情報は、ユーザの特定された位置データおよび/または運動データによって妥当性検査(これらと照合)可能であり、これにより、誤認証の確率が低減可能である。5.1よりも前のバージョンのブルートゥース規格を使用するポータブル端末では好ましくはRSSI測定が行われ、その結果は、ユーザの特定された位置データおよび運動データによって妥当性検査される(これらと照合される)。
【0020】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つまたは2つの送受信器にはさらに、NFC無線信号(NFC:near field communication)を送受信するように構成されたNFCアンテナが含まれ、このNFCアンテナは、ユーザを認可するための無線信号をNFC無線信号として受信するように構成されている。NFCアンテナを介し、車両とUWB通信もブルートゥース通信も確立できないポータブル端末またはトランスポンダによって認可データを受信することも可能である。数センチメートル~最大10cmのNFCの短い到達距離に起因して、ユーザの特定された位置および/または特定された運動グラジエントを使用してユーザを容易に認証することができる。換言すると、好ましくは、NFCデータ伝送が識別される場合、NFCの到達距離に対応する狭い認証領域だけが選択され、ユーザは、車両によって認証されるために、この狭い認証領域内にとどまらなければならない。好ましくは、少なくとも1つの送受信器は、アンテナを用いて外部送受信器に電磁エネルギを伝送するように構成される。これにより、有利には、ポータブル端末および/またはトランスポンダのバッテリが放電している場合であっても、NFCを介して認可データを交換することができる。
【0021】
別の有利な実施形態では、受信された無線信号と、記憶装置に格納されているデータベースとに基づいて、認証されたユーザの認可状態を特定するように構成されている。これにより、中央システムを介して、車両によるユーザの認可およびこれに続く認証を引き継ぐことができる。有利には、車両には異なるシステムを備え付ける必要はなく、コストを節約することができる。
【0022】
認証されたユーザの特定された位置が、自動車に対してあらかじめ定められた距離を下回る場合、アンテナおよび/または少なくとも1つのNFCアンテナを使用して、好ましくは、支払い手続きについての問い合わせを送出するように2つのモジュールを駆動制御する。好ましくは、アンテナおよび/または少なくとも1つのNFCアンテナを使用して、支払い手続きを実行するための確認信号を受信し、受信された確認信号に基づいて、認証されたユーザの認可状態を適合させる。換言すると、1つまたは複数のモジュールを使用して支払い機能を引き継ぐように車両が構成されている。有利には、車両には異なるシステムを備え付ける必要はなく、コストを節約することができる。好ましくは、あらかじめ定められた間隔は、最大5m、好適には最大2.5m、特に好ましくは0.1m~1.5mである。本発明に従って位置および/または運動グラジエントを特定することにより、支払い機能に必要な、互いに通信するデバイスの1.5mの最大間隔を保証することができ、ひいてはただ1つのシステムにより、確実な支払い機能を実装することができる。
【0023】
自動車により、好ましくは、認証されたユーザの認可状態に基づき、少なくとも1つの車両機能を実行する。特に好ましくは、認証されたユーザの認可状態に基づき、自動車の1つまたは複数の車両ドアおよび/または少なくとも1つの車両窓を開放または閉鎖する。有利には、認可されかつ認証されたユーザにのみ許可することにより、車両機能の実行を選択的に実行する。
【0024】
別の好ましい実施形態では、チャネルインパルス応答測定ベースの方式を実行するための送受信器の駆動制御、および/またはUWBパルスの送信およびインパルス応答の受信を行って、自動車に対する少なくとも1つのアクセス領域がスキャンされるようにモジュールが配置されるように構成される。アクセス領域は、ユーザが自動車に乗車または自動車を降車可能な、自動車の領域である。好ましくは、これは、自動車の入口ドアの回りの領域である。この方法は、ドア、例えばスライドドアまたは観音開きのドア等の全ての実施形態タイプにおいて適用可能である。アクセス領域には好ましくは、閉鎖状態において隣接領域込みでドアの領域が含まれており、この領域は、3メートル、好適には2メートル、特に好ましくは1メートル、車両の中にかつ/または車両の外に延在している。アクセス領域のスキャンは、ユーザを自動的に認証および認可することができるため、ユーザは、快適かつ操作なしに自動車に乗車可能であるという利点を有する。換言すると、ユーザのパッシブアクセスの際にアクセス認可を自動的に行うことができる。したがって、(運転者のいない)自動運転の自動車において特別な利点が得られる。さらに、閉鎖する運転者席側ドアと、ユーザとの起こり得る衝突を適時に識別し、閉鎖過程を中断することができる。
【0025】
好ましくは、認証領域は、入口ドアの状態および/または自動車の位置に依存する。入口ドアが閉鎖している状態では、また例えば停留所にアプローチする際には、認証領域の有効範囲は、入口ドアが開放している状態の場合よりも大きくてよい。このことが考慮に入れているのは、ドアが開いている場合、乗車しようとしているユーザが、自動車により近付いていることである。認証領域の大きな有効範囲で停留所に自動車がアプローチする際には、自動車が、どのユーザまたは何人のユーザが停留所において車両に乗車しようとしているかについて極めて早い段階でわかると有利である。この車両は、この場合、ユーザと対話するために、特に1つのモジュールのヒューマンディスプレイインタフェースに情報を表示するために、あらかじめ定められた車両機能を実行することができる。例えば、座席利用率および別のアプローチ対象の停留所が表示される。しかしながらさらに、ユーザとのUWB接続またはブルートゥース接続が確立できなかったこと、およびユーザがNFCを介して通信を行うべきであることも表示可能である。特に好ましくは、CIR測定および/またはインパルス応答受信ベースの測定は、停留所にアプローチする際にはじめて、かつ/またはUWB、ブルートゥースまたはNFCによって認可されるユーザが車両周辺部にいると同時に行われる。
【0026】
モジュールには好ましくはCANインタフェース(CAN-Interface)が含まれており、これにより、モジュールは互いに接続可能である。ユーザの位置および/または運動グラジエントを決定するために、CANインタフェースを介し、好ましくはスタートフェーズを開始するための信号が伝送される。同様に好ましくは、少なくとも1つのモジュールにはユーザとの通信のためのインタフェース(HMI:Human Machine Interface)が含まれている。HMIにより、好ましくはリアルタイムデータが示され、かつ/またはユーザはグラフィックユーザインタフェースを介して、車両と通信するための入力ができるようになる。さらにモジュールは、好ましくはユーザから見える、自動車の領域に配置される。ユーザから見える領域は、例えば、窓、特に入口ドアにおける窓、背もたれ、ヘッドレストまたはドアの内張りである。窓は、台形窓または固定の窓であってよい。
【0027】
別の1つの態様は、本発明に係る方法を実施するように構成されているシステムに関する。本システムは、ユーザの位置を検出するために構成された第1モジュールおよび第2モジュールを有し、第1モジュールおよび第2モジュールはそれぞれ、UWB信号およびブルートゥース信号を送受信するように構成されたアンテナを有する送受信器を備えている。本システムにはさらに、送受信器に接続された制御ユニットが含まれており、この制御ユニットは、次のように、すなわち、ユーザの認可のために、少なくとも1つのアンテナを使用し、外部送受信器を介して送出される無線信号を受信し、少なくとも1つのアンテナを使用して、UWBパルスを送信してインパルス応答を受信するために、かつ/またはアンテナを使用して、チャネルインパルス応答(CIR)測定ベースの方式を実行するために送受信器を駆動制御し、受信されたインパルス応答および/またはCIR測定の結果に基づいて、ユーザの位置および/または運動グラジエントを特定し、ユーザの特定された位置および/または特定された運動グラジエントに基づき、受信された無線信号にユーザを対応付けることにより、ユーザを認証するように構成されている。方法によって説明した複数の特徴的構成およびそれらの利点は、システムによって類似に実現可能であり、したがって互いに任意に組み合わせ可能である。
【0028】
自動車における実施形態に関してシステムを説明したが、本システムはこれに限定されない。本システムはむしろ、ドア、フラップ、窓および類似のもの制御するためにアクセス権限を付加的に認証すべきである全ての適用において使用可能である。
【0029】
別の1つの態様は、上で挙げたシステムを有する自動車に関する。上記の2つのモジュールは、自動車に乗車するための、また自動車を降車するためのアクセス領域を有する、自動車の車両側面に配置されている。上記の方法によって説明した複数の特徴的構成およびそれらの利点は、自動車によって類似に実現可能であり、したがって互いに任意に組み合わせ可能である。
【0030】
好ましい実施形態では、2つのモジュールの少なくとも1つは、アクセス領域に対して最大20cmの間隔で配置されるように構成されている。好ましくは、モジュールは、入口ドアとは反対側の側面に配置されており、かつ/または1つのモジュールは中央に、別の1つのモジュールは、反対側の側面の1つに配置されている。
【0031】
自動車の上で挙げた制御ユニットは好ましくは、電気または電子構成部材もしくはコンポーネント(ハードウェア)によって、またはファームウェア(ASIC)によって実装される。付加的または択一的には、制御ユニットの機能は、適切なプログラム(ソフトウェア)を実行する際に実現される。同様に好ましくは、制御ユニットは、ハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアの組み合わせによって実現される。例えば、制御ユニットの個々のコンポーネントは、個々の機能を提供するために別体の集積回路として構成されるか、または共通の集積回路に配置される。
【0032】
制御ユニットの個々のコンポーネントはさらに、好ましくは、1つまたは複数のプロセスとして構成されており、これらのプロセスは、1つまたは複数の電子計算装置における1つまたは複数のプロセッサ上で動作し、1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する際に生成される。計算装置は好ましくは、本明細書で説明した機能を実現するために、別のコンポーネントと、例えばモジュール、セントラルロッキングシステム、原動機制御器等と連携するように構成されている。コンピュータプログラムのインストラクションは好ましくは記憶装置、例えばRAM素子等に記憶される。しかしながらコンピュータプログラムは、不揮発性の記憶媒体、例えばCD-ROM、フラッシュメモリまたはこれに類するもの等にも格納可能である。
【0033】
さらに当業者に明白であるのは、制御ユニットの機能を実現するために、これらの機能が、複数の計算ユニット(データ処理装置)によって組み合わせ可能であるか、またはただ1つの装置に組み合わせ可能であるか、または特定のデータ処理装置の機能が、複数のデバイスに分散して設けられていてよいことである。
【0034】
本発明の別の1つの態様は、コンピュータプログラムに関し、このコンピュータプログラムには命令が含まれ、この命令は、コンピュータ、例えば、自動車の制御装置、すなわち、ユーザの位置を検出するために構成されており、それぞれ送受信器を備え、UWB信号およびブルートゥース信号を送受信するように構成されたアンテナを有する第1モジュールおよび第2モジュールを備えたシステムを有する自動車の制御装置によって、プログラムが実行される際に、このコンピュータに、本発明に係る方法、特に自動車のユーザを認証する方法を実施させる。
【0035】
本発明の別の好ましい実施形態は、従属請求項に挙げられた残りの特徴的構成から得られる。
【0036】
本出願で挙げた、本発明の様々な実施形態は、個別のケースにおいて別に説明しない限り、有利には互いに組み合わせ可能である。
【0037】
以下では、所属の図面に基づき、実施例において本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】1つの実施形態による、自動車の方法の概略図である。
【
図2】1つの実施形態による自動車の概略図である。
【
図3】1つの実施形態によるシステムの概略図である。
【0039】
図1~
図3には、自動車の比較的多くのユーザの認証を可能にする、本発明で提案する方法、システムおよび自動車の概略図が示されている。
【0040】
図1に略示した方法は、自動車10(
図2を参照されたい)のユーザを認証するのに適している。
図2に示した自動車10および
図3に示したシステム100に関連して本方法を説明する。
【0041】
自動車10は、ユーザの位置を検出するように構成された第1モジュール14および第2モジュール16を有する。それぞれのモジュール14,16には、それ自体がUWB信号およびブルートゥース信号を送受信するように構成されたアンテナ24,24’を含む送受信器22,22’が含まれている(
図3を参照されたい)2つのモジュール14,16は例示的に、自動車10の左側面に配置されている。詳しくいうと、第1モジュール14は、運転者側ドアの窓中央にかつドアの内張りに取り付けられているのに対し、第2モジュール16は、左後部の車両ドアの台形窓にかつ内張りに配置されている。付加的には、例示的に同じ構造の第3モジュール28が、自動車10の反対側の側面(右側面)において、自動車10の前方ドアと後方ドアとの間のバーに配置されている。これは、本発明の開示をよりよく理解できるようにするための単なる例示である。
【0042】
自動車10にはさらに、送受信器22,22’に接続されている制御ユニット12が含まれており、この制御ユニット12は、ユーザを認可するために、モジュール14,16,28のアンテナ24,24’を使用し、外部送受信器18(
図3を参照されたい)を介して送出される無線信号を受信するように構成されている。制御ユニット12はさらに、少なくとも1つのアンテナ24,24’を使用して、UWBパルスを送信してインパルス応答を受信するために、またアンテナ24,24’を使用してチャネルインパルス応答(CIR:Channel Impulse Response)測定ベースの方式を実行するために、送受信器22,22’を駆動制御することを目的として、ならびに受信されたインパルス応答およびCIR測定の結果に基づいてユーザの位置および運動グラジエントを特定することを目的として構成されている。CIR測定は、受信されたインパルス応答とは、次の点で異なる。すなわち、CIR測定は、モジュール14,16,28間で複数のテレグラムを送信し、これらのテレグラムが、それらの伝搬路において、テレグラムの周辺部の対象体によって変更される点が異なる。換言すると、モジュールの送信されるUWB信号と、伝搬路におけるその変更とが、別のモジュールによって受信される(
図2におけるモジュール14,16,28間の矢印を参照されたい)。
【0043】
これと異なり、インパルス応答受信方式では、アンテナ24,24’から送出されるUWB信号は、同じアンテナ24,24’によって受信される。この点において、周辺部の一種のエコー信号を用いて周辺部がスキャンされる。この方式を使用する際のモジュール14,16,28の例示的な有効範囲は、
図2において破線の円によって示されている。これは単に例示的に説明に使用されるべきものである。しかしながら、約1メートルの半径を有するこれらの円は、提示したこれらの寸法には限定されない。むしろ、この方式ではそれぞれのモジュール14,16,28から10メートルまでの有効範囲も実現可能である。
【0044】
図2に例示的に示したモジュール14,16および28の配置構成は、モジュール28とモジュール14との間およびモジュール28とモジュール16との間のCIR測定により、またモジュール28によるインパルス応答受信ベース方式により、車両内部空間をスキャンすることができるという利点を有する。しかしながら同時に、モジュール14および16を用いたインパルス応答受信ベース方式による自動車10の左側の周辺部のスキャンも、モジュール14とモジュール16との間でCIR測定を用いた自動車10の左側のアクセス領域のスキャンも可能である。これによって結果的に、車両方向かつ自動車10の左側のドアに沿って配置されているモジュール14および16により、特定される運動グラジエントに基づいて、乗車および降車する乗車者(自動車10のユーザ)を識別することができることになる。ここで挙げた利点は、モジュール14,16,28の別の配置構成によって、特に自動車10の別の車両側面において、または別の個数のモジュールによって実現可能であることも明らかである。
【0045】
制御ユニット12はさらに、ユーザの特定された位置および/または特定された運動グラジエントに基づいて、受信された無線信号にユーザを対応付けることにより、ユーザを認証するように構成されている。ユーザの特定された位置および特定された運動グラジエントが、受信された無線信号に妥当に対応付けることができる場合、受信された無線信号を用いて認可されたユーザが認証される。
【0046】
図3に記載したシステム100には、自動車10によって説明した2つのモジュール14および16が含まれている。それぞれのモジュール14,16には、モジュール14,16を互いに接続するCANインタフェース20,20’が含まれている。CANインタフェース20,20’を介する接続は、上記の方法のスタートフェーズ(
図1の第1方法ステップ50)を開始するために利用される。スタートフェーズは、自動車10が例えば、あらかじめ設定したルートポイント、例えば停留所等にアプローチする場合に開始される。
【0047】
スタートフェーズの後、アンテナ24,24’を同期化し(第2方法ステップ52)、ユーザの外部送受信器18から無線信号を受信する(第3方法ステップ54)。外部送受信器18の構成に応じて、システム100は、外部送受信器18とのUWB通信および/またはブルートゥース通信を確立することができるだけではない。むしろ少なくともモジュール14には、NFCを介して外部送受信器18と通信するために、NFCアンテナ26が含まれている。これにより、UWB機能またはブルートゥース機能のあるポータブルデバイス(外部送受信器18)を使用しないユーザも認可することができる。
【0048】
システム100により、無線信号を介してユーザの認可データが受信された後、システム100により、CIR測定とインパルス応答受信方式とをモジュール14,16によって実行する。受信されたインパルス応答とCIR測定の結果とに基づいて、ユーザの位置および運動グラジエントを特定する(第5方法ステップ58)。ユーザの位置特定のこの形態では、外部送受信器18とシステム100の間の通信は不要であるため、ユーザは、このユーザによって使用されるポータブルデバイス、例えばスマートフォンまたはトランスポンダ等に依存せずに位置が特定される。特に、これにより、5.1よりも前のブルートゥース規格バージョンを有するデバイスの、以前には問題であった位置特定が可能である。これにより、NFC機能だけを有するデバイスのユーザもシステム100によって位置特定可能である。
【0049】
ユーザの特定された位置および特定された運動グラジエントに基づいて、受信された無線信号にユーザを対応付けてユーザを認可し(第6方法ステップ60)、これにより、認可されたユーザが認証される。システム100によって、例えば、車両ドアが開かれるかまたはロック解除されることにより、自動車10へのアクセスが可能になる。システム100の具体的な適用に依存して、ユーザの認証および認可に成功した後、別の車両機能、例えば、荷室フラップまたは車両窓に連結されたアクチュエータ等も操作可能である。この点において、本発明で提示した方法と、システム100と、システム100を含む自動車10とにより、自動車10のユーザのパッシブアクセスが可能になる。換言すると、(認可された)ユーザは、アクティブなサポートなしに自動車10に進入またこれを退出することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 自動車
12 制御ユニット
14 第1モジュール
16 第2モジュール
18 外部送受信器
20,20’ CANインタフェース
22,22’ 送受信器
24,24’ UWB/BLEアンテナ
26 NFCアンテナ
28 第3モジュール
50 第1方法ステップ
52 第2方法ステップ
54 第3方法ステップ
56 第4方法ステップ
58 第5方法ステップ
60 第6方法ステップ
100 システム
【手続補正書】
【提出日】2023-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(10)のユーザを認証する方法であって、前記自動車(10)は、ユーザの位置を検出するように構成された2つのモジュール(14,16)であって、UWB信号およびブルートゥース信号を送受信するように構成され、それぞれアンテナ(24,24’)を備えたそれぞれ1つの送受信器(22,22’)を有するモジュール(14,16)を有し、前記方法は、
ユーザを認可するために、少なくとも1つの前記アンテナ(24,24’)を使用し、外部送受信器(18)を介して送出される無線信号を受信するステップと、
少なくとも1つの前記アンテナ(24,24’)を使用して、UWBパルスを送信してインパルス応答を受信するために、かつ/または前記アンテナ(24,24’)を使用して、チャネルインパルス応答(CIR)測定ベースの方式を実行するために、前記送受信器(22,22’)を駆動制御するステップと、
受信された前記インパルス応答および/または前記CIR測定の結果に基づいて、前記ユーザの前記位置および/または運動グラジエントを特定するステップと、
前記ユーザの特定された前記位置および/または特定された前記運動グラジエントに基づき、受信された前記無線信号に前記ユーザを対応付けることにより、前記ユーザを認証するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記アンテナ(24,24’)を使用して前記外部送受信器(18)の位置を特定する、走行時間測定値に基づく位置決め法を実施するために、2つの前記モジュール(14,16)の前記送受信器(22,22’)を駆動制御するステップをさらに有し、
前記ユーザの特定された前記位置および/または特定された前記運動グラジエントと、前記外部送受信器(18)の特定された前記位置とを照合することによって前記ユーザの前記認証を行う、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記送受信器(22,22’)にはさらに、NFC無線信号を送受信するように構成されたNFCアンテナ(26)が含まれ、前記NFCアンテナ(26)は、前記ユーザを認可するための前記無線信号をNFC信号として受信するように構成されている、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
受信された前記無線信号と、記憶装置に格納されているデータベースとに基づいて、認証された前記ユーザの認可状態を特定するステップをさらに有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
認証された前記ユーザの特定された前記位置が、前記自動車(10)に対してあらかじめ定められた距離を下回る場合、前記アンテナ(24,24’)および/または少なくとも1つの前記NFCアンテナ(26)を使用して、支払い手続きについての問い合わせを送出するように2つの前記モジュール(14,16)を駆動制御するステップと、
前記アンテナ(24,24’)および/または少なくとも1つの前記NFCアンテナ(26)を使用して、前記支払い手続きを実行するための確認信号を受信するステップと、
受信された前記確認信号に基づいて、認証された前記ユーザの前記認可状態を適合させるステップと、
をさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
認証された前記ユーザの前記認可状態に基づき、前記自動車(10)の少なくとも1つの車両ドアおよび/または少なくとも1つの車両窓を開放するステップをさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記チャネルインパルス応答測定ベースの方式を実行するために前記送受信器(22,22’)を駆動制御する前記ステップ、および/または前記UWBパルスの前記送信および前記インパルス応答の前記受信を行って、前記自動車(10)に対するアクセス領域がスキャンされるように、前記モジュール(14,16)が配置されている、請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
システム(100)であって、前記システム(100)は、
それぞれ送受信器(22,22’)を備えた、ユーザの位置を検出するように構成された第1モジュール(14)および第2モジュール(16)を有し、前記第1モジュール(14)および第2モジュール(16)は、UWB信号およびブルートゥース信号を送受信するように構成されたアンテナ(24,24’)を有し、
前記システム(100)はさらに、前記送受信器(22,22’)に接続された制御ユニット(12)を有し、前記制御ユニット(12)は、
前記ユーザを認可するために、少なくとも1つの前記アンテナ(24,24’)を使用し、外部送受信器(18)を介して送出される無線信号を受信し、
少なくとも1つの前記アンテナ(24,24’)を使用して、UWBパルスを送信してインパルス応答を受信するために、かつ/または前記アンテナ(24,24’)を使用して、チャネルインパルス応答(CIR)測定ベースの方式を実行するために、前記送受信器(22,22’)を駆動制御し、
受信された前記インパルス応答および/または前記CIR測定の結果に基づいて、前記ユーザの位置および/または運動グラジエントを特定し、
前記ユーザの特定された前記位置および/または特定された前記運動グラジエントに基づき、受信された前記無線信号に前記ユーザを対応付けることにより、前記ユーザを認証する
ように構成されている、
システム(100)。
【請求項9】
請求項8記載のシステム(100)を有する自動車(10)であって、2つの前記モジュール(14,16)は、前記自動車(10)に乗車するための、および前記自動車(10)を降車するためのアクセス領域を有する、前記自動車(10)の車両側面に配置されている、自動車(10)。
【請求項10】
2つの前記モジュール(14,16)の少なくとも1つは、前記アクセス領域に対して最大20cmの間隔で配置されている、請求項9記載の自動車(10)。
【外国語明細書】