(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029785
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】半導体部品の製造方法及び半導体部品の製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/48 20060101AFI20240229BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L23/48 P
H01L21/56 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132151
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金丸 浩之
【テーマコード(参考)】
5F061
【Fターム(参考)】
5F061AA01
5F061BA01
5F061CA22
5F061DD13
(57)【要約】
【課題】1つのリードフレームから多数の半導体部品を製造することができる製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】半導体部品は、半導体チップが樹脂により封止されている樹脂部分21と、樹脂部分21の一面から共通の方向に突出している複数のリード部22とを有する。半導体部品の製造方法は、複数の樹脂部分21が形成されているリードフレーム3を切断することによって、複数の樹脂部分21を個片化するステップと、個片化された樹脂部分21から突出している複数のリード部22の長さを延長するステップとを含む。リードフレーム3では、リード部22が突出している各樹脂部分21の突出面は他の樹脂部分21の突出面と対向しており、互いに対向する2つの突出面それぞれから突出している2つのリード部22の突出端部は互いに連結している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップが樹脂により封止されている樹脂部分と、前記樹脂部分の一面から共通の方向に突出している複数のリード部とを有する半導体部品の製造方法であって、
複数の前記樹脂部分が形成されているリードフレームを切断することによって、複数の前記樹脂部分を個片化するステップと、
個片化された前記樹脂部分から突出している前記複数のリード部の長さを延長するステップと
を含み、
前記リードフレームでは、前記リード部が突出している各樹脂部分の突出面は他の樹脂部分の突出面と対向しており、互いに対向する2つの突出面それぞれから突出している2つのリード部の突出端部は互いに連結している
半導体部品の製造方法。
【請求項2】
前記リードフレームに固定された複数の前記半導体チップそれぞれを樹脂により封止することによって、複数の前記樹脂部分を形成するステップ
を更に含む請求項1に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項3】
前記複数のリード部の長さを延長するステップでは、レーザ光を用いて、前記複数のリード部それぞれに複数の導体を溶接する
請求項1又は請求項2に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項4】
前記複数のリード部の長さを延長するステップでは、前記複数のリード部それぞれに、複数の第2の導体を圧着させる
請求項1又は請求項2に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項5】
前記複数のリード部の長さを延長するステップでは、前記複数のリード部を共通の電気器具に差し込む
請求項1又は請求項2に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製造方法で用いられる前記半導体部品の製造装置であって、
前記リードフレームに固定された複数の前記半導体チップそれぞれを樹脂で封止することによって、複数の前記樹脂部分を形成する樹脂成形モジュールと、
前記樹脂成形モジュールが複数の前記樹脂部分を形成した後、前記リードフレームを切断することによって、複数の前記樹脂部分を個片化する個片化モジュールと、
前記個片化モジュールによって個片化された前記樹脂部分から突出している前記複数のリード部の長さを延長する延長モジュールと
を備える半導体部品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品の製造方法及び半導体部品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リードフレームから複数の半導体装置を製造する方法が開示されている。リードフレームでは、複数のモールド樹脂が配置されており、各モールド樹脂から複数のリード端子が突出している。複数のモールド樹脂は格子状に配置されている。各行に並んでいる複数のモールド樹脂から突出している複数のリード端子はタイバーによって連結されている。複数のタイバーは枠体に連結されている。リードフレームにおいて、各タイバーから複数のリード端子を分離することにより、共通のモールド樹脂から複数のリード端子が突出している半導体装置を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、リード端子の長さについて考慮されていない。例えば、リード端子が長い場合、サイズが固定されているリードフレームに形成することができるモールド樹脂の数は少ない。この場合、1つのリードフレームから製造することができる半導体装置の数は少ない。
【0005】
そこで、本発明は、1つのリードフレームから多数の半導体部品を製造することができる製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る半導体部品の製造方法は、半導体チップが樹脂により封止されている樹脂部分と、前記樹脂部分の一面から共通の方向に突出している複数のリード部とを有する半導体部品の製造方法であって、複数の前記樹脂部分が形成されているリードフレームを切断することによって、複数の前記樹脂部分を個片化するステップと、個片化された前記樹脂部分から突出している前記複数のリード部の長さを延長するステップとを含み、前記リードフレームでは、前記リード部が突出している各樹脂部分の突出面は他の樹脂部分の突出面と対向しており、互いに対向する2つの突出面それぞれから突出している2つのリード部の突出端部は互いに連結している。
【0007】
本発明の一態様に係る半導体部品の製造装置は、前述した製造方法で用いられる前記半導体部品の製造装置であって、前記リードフレームに固定された複数の前記半導体チップそれぞれを樹脂で封止することによって、複数の前記樹脂部分を形成する樹脂成形モジュールと、前記樹脂成形モジュールが複数の前記樹脂部分を形成した後、前記リードフレームを切断することによって、複数の前記樹脂部分を個片化する個片化モジュールと、前記個片化モジュールによって個片化された前記樹脂部分から突出している前記複数のリード部の長さを延長する延長モジュールとを備える。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様によれば、1つのリードフレームから多数の半導体部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における製造装置の概略図である。
【
図3】樹脂封止前のリードフレームの外観の説明図である。
【
図4】樹脂封止に用いられる成形型の断面図である。
【
図5】樹脂封止後のリードフレームの外観の説明図である。
【
図6】個片化された樹脂部分の外観の説明図である。
【
図7】レーザ光を用いたリード部の延長方法の説明図である。
【
図8】半導体部品の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2における部品収納モジュールが行う収納の説明図である。
【
図10】実施の形態3における圧着端子の外観の説明図である。
【
図11】圧着端子を用いたリード部の延長方法の説明図である。
【
図12】実施の形態4における延長用の電気器具の外観の説明図である。
【
図13】電気器具を用いたリード部の延長方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る半導体部品の製造方法及び半導体部品の製造装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における製造装置1の概略図である。製造装置1は、樹脂成形モジュール10、個片化モジュール11、延長モジュール12及び部品収納モジュール13を備える。各モジュールは、他のモジュールと着脱可能に接続される。
図1の例では、樹脂成形モジュール10、個片化モジュール11、延長モジュール12及び部品収納モジュール13がこの順に接続されている。
【0012】
製造装置1では、他のモジュールを追加してもよい。第1例として、製造装置1は複数の樹脂成形モジュール10を備えてもよい。第2例として、複数の個片化モジュール11を樹脂成形モジュール10及び延長モジュール12の間に接続してもよい。第3例として、1つのモジュールを省いてもよい。例えば、延長モジュール12を省いてもよい。この場合、個片化モジュール11は部品収納モジュール13に接続される。
【0013】
樹脂成形モジュール10、個片化モジュール11及び延長モジュール12それぞれが処理を実行することによって、複数の半導体部品2(
図2参照)が製造される。部品収納モジュール13は、製造された複数の半導体部品2を図示しないケースに収納する。
【0014】
図2は半導体部品2の外観の説明図である。
図2では、半導体部品2の平面、側面及び底面が示されている。半導体部品2では、導電性及び熱伝導性を有する矩形板状の載置片20の幅広面に半導体チップ25(
図3参照)が載置されている。幅広面は、載置片20の端面とは異なる面である。載置片20は、リードフレーム3(
図3参照)の一部分である。リードフレーム3は、銅、又は、銅成分を含む銅合金等によって製造されている。載置片20の幅広面には、載置片20の厚み方向に貫通する貫通孔20aが設けられている。半導体チップ25及び貫通孔20aは、載置片20の長手方向に沿って並んでいる。
【0015】
半導体部品2では、半導体チップ25は、直方体状の樹脂部分21内に配置されている。樹脂部分21では、半導体チップ25は樹脂により封止されている。樹脂部分21は、載置片20の一部分を覆っている。載置片20に関して、半導体チップ25が配置されている幅広面とは反対側の幅広面は、樹脂部分21から露出している(
図5参照)。載置片20の熱伝導率は、樹脂部分21の熱伝導率よりも高い。このため、半導体チップ25で発生した熱は、載置片20を介して外部に放出される。載置片20はヒートシンクとしても機能する。
【0016】
以上のように、載置片20は、樹脂部分21の一面から突出している。載置片20において、樹脂部分21から突出している部分に貫通孔20aが設けられている。
【0017】
樹脂部分21に関して、載置片20が突出している一面とは反対の一面から複数の棒状のリード部22が共通の方向に突出している。各リード部22は、導電性を有する。載置片20と同様に、各リード部22はリードフレーム3の一部分である。前述したように、リードフレーム3は、銅又は銅合金等によって製造される。
図2には、リード部22の数が3である例が示されている。複数のリード部22は、載置片20の幅広面に沿った方向に並んでいる。載置片20の幅広面に沿った方向は、
図2において、平面及び底面が示されている半導体部品2の左右方向である。
【0018】
半導体チップ25として、電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)及びレギュレータ等が挙げられる。半導体チップ25が電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ又はIGBTである場合、例えば、リード部22の数は3である。半導体チップ25が電界効果トランジスタである場合、3つのリード部22それぞれは、例えば、ドレイン端子、ソース端子及びゲート端子である。半導体チップ25がバイポーラトランジスタである場合、3つのリード部22それぞれは、例えば、コレクタ端子、エミッタ端子及びベース端子である。半導体チップ25がIGBTである場合、3つのリード部22それぞれは、例えば、コレクタ端子、エミッタ端子及びゲート端子である。
【0019】
半導体チップ25がレギュレータである場合、例えば、リード部22の数は3である。この場合、3つのリード部22それぞれは、例えば、電流の入力端子、電流の出力端子、及び、制御端子である。
なお、半導体チップ25のリード部22の数は、3に限定されず、2又は4以上であってもよい。
【0020】
各リード部22は、棒状の延長導体23に連結されている。このため、リード部22及び延長導体23の連結部分24は溶接によって実現されている。連結部分24では、リード部22の一部分が溶融し、溶融した金属が延長導体23に接着している。各リード部22は、連結されている延長導体23と導通している。各リード部22の軸方向は、延長導体23の軸方向と一致している。
【0021】
なお、2つの軸方向の一致は、厳密な一致のみを意味せず、実質的な一致も含まれる。従って、2つの軸方向がなす角度が誤差範囲内の値である場合、2つの軸方向は一致している。
【0022】
連結されたリード部22及び延長導体23の全体の軸方向の長さは、リード部22の軸方向の長さよりも長い。このため、延長導体23をリード部22に連結することによって、リード部22の長さは延長される。
【0023】
次に、樹脂成形モジュール10の処理を説明する。
図3は、樹脂封止前のリードフレーム3の外観の説明図である。樹脂成形モジュール10には、樹脂封止前のリードフレーム3が投入される。リードフレーム3は矩形状の枠体30を有する。枠体30の内部では、複数の載置片20が格子状に配置されている。各載置片20では、半導体チップ25は、導電性接着剤、例えば銀ペーストによって固定されている。各載置片20では、貫通孔20a及び半導体チップ25は列方向に沿って並んでいる。列方向は、
図3における上下方向である。
【0024】
各列において、(2・N-1)行目の載置片20と、(2・N)行目の載置片20との間に2つの載置片20に対応する複数のリード部22が配置されている。ここで、Nは自然数である。「・」は積を示す。各列において(2・N-1)行目及び(2・N)行目に配置されている2つの載置片20に関して、2つの貫通孔20aの間に2つの半導体チップ25が配置されている。従って、
図3において、(2・N-1)行目の載置片20では、半導体チップ25は、貫通孔20aの下側に配置されている。(2・N)行目の載置片20では、半導体チップ25は、貫通孔20aの上側に配置されている。
【0025】
(2・N-1)行目の載置片20に対応する複数のリード部22中の1つは、(2・N-1)行目の載置片20に連結している。同様に、(2・N)行目の載置片20に対応する複数のリード部22中の1つは、(2・N)行目の載置片20に連結している。各列において、(2・N-1)行目の載置片20に対応する複数のリード部22の端部それぞれは、(2・N)行目の載置片20に対応する複数のリード部22の端部に連結している。従って、リードフレーム3では、2つのリード部22によって一本の導体が形成されている。
【0026】
各載置片20に対応する複数のリード部22の中で、載置片20に連結しているリード部22を除く他のリード部22は、載置片20から離されている。半導体チップ25は、載置片20から離されている残りのリード部22それぞれに、導電性のワイヤー26で接続されている。
図3の例では、リード部22の数は3であり、半導体チップ25は、載置片20から離されている2つのリード部22それぞれにワイヤー26で接続されている。
【0027】
(2・N-1)行目に配置されている複数の載置片20に対応する複数のリード部22は、行方向に延びる共通のタイバー31によって連結されている。行方向は
図3の左右方向である。(2・N)行目に配置されている複数の載置片20に対応する複数のリード部22も、行方向に延びる共通のタイバー31によって連結されている。各タイバー31は、リード部22の中途に連結している。各タイバー31の両端部は枠体30に連結している。
【0028】
樹脂成形モジュール10は、成形型4(
図4参照)を用いて、リードフレーム3の載置片20に固定されている複数の半導体チップ25それぞれを樹脂により封止する。これにより、複数の樹脂部分21が形成される。成形型4は例えば金型である。
図4は、樹脂封止に用いられる成形型4の断面図である。成形型4は、上型40及び下型41を有する。リードフレーム3は、上型40及び下型41によって挟まれる。このとき、成形型4内には、キャビティ42が形成される。キャビティ42内には、半導体チップ25と、載置片20の一部分と、複数のリード部22それぞれの一部分とが配置されている。
【0029】
樹脂封止には、例えば、熱硬化性を有する樹脂が用いられる。この樹脂を用いる場合、上型40及び下型41を加熱する。加熱後、溶融して液状となった樹脂がキャビティ42内に注入される。樹脂が注入された後、一定期間の間、上型40及び下型41の配置を維持する。これにより、樹脂が硬化する。結果、半導体チップ25が樹脂で封止され、樹脂部分21が形成される。
【0030】
なお、樹脂成形モジュール10の構成は、リードフレーム3及び樹脂材料を供給する供給モジュールと、成形型4を型締めするプレスモジュールとを有する構成であってもよい。この場合において、樹脂成形モジュール10は、複数のプレスモジュールを有してもよい。
【0031】
図5は、樹脂封止後のリードフレーム3の外観の説明図である。
図5には、樹脂封止後のリードフレーム3の平面及び側面が示されている。複数の半導体チップ25が配置されている位置それぞれに、樹脂部分21が形成される。従って、複数の樹脂部分21は格子状に配置されている。前述したように、樹脂部分21は直方体状をなし、載置片20は樹脂部分21から露出している。載置片20は、樹脂部分21の一面から突出している。1つの樹脂部分21は、1つの載置片20に対応する複数のリード部22それぞれの一部分を覆っている。樹脂部分21に関して、載置片20が突出している一面とは反対の一面から複数のリード部22が共通の方向に突出している。
【0032】
樹脂部分21において、複数のリード部22が突出している面を突出面と記載する。リードフレーム3では、(2・N-1)行目の樹脂部分21の突出面は、(2・N)行目の樹脂部分21の突出面と対向している。互いに対向する2つの突出面それぞれから突出している2つのリード部22の突出端部は、直接に互いに連結している。従って、2つのリード部22の突出端部は互いに接触している。
【0033】
樹脂成形モジュール10は、リードフレーム3において、複数の樹脂部分21を形成した後、複数の樹脂部分21が形成されているリードフレーム3を個片化モジュール11に渡す。個片化モジュール11は、樹脂成形モジュール10から受け取ったリードフレーム3を切断することによって、複数の樹脂部分21を個片化する。
【0034】
具体的には、各リード部22に沿ってタイバー31を切断する。これにより、複数組の樹脂部分21が取り出される。1組の樹脂部分21には、互いに連結されている2つの樹脂部分21が含まれる。各組の樹脂部分21について、2つのリード部22によって形成されている一本の導体を切断する。リード部22の数が3である場合、3本の導体を切断する。これにより、複数の樹脂部分21が個片化される。
【0035】
図6は、個片化された樹脂部分21の外観の説明図である。
図6では、樹脂部分21の平面、側面及び底面が示されている。個片化された樹脂部分21は、複数の延長導体23を連結する前の半導体部品2である。従って、樹脂部分21の一面から載置片20が突出しており、樹脂部分21の突出面から複数のリード部22が共通の方向に突出している。個片化モジュール11は、個片化された複数の樹脂部分21を延長モジュール12に渡す。
【0036】
延長モジュール12は、個片化モジュール11から受け取った樹脂部分21から突出している複数のリード部22それぞれを、レーザ光を用いて延長する。これにより、
図1に示す半導体部品2が製造される。
【0037】
図7は、レーザ光を用いたリード部22の延長方法の説明図である。延長モジュール12は、照射器50及び制御器51を有する。照射器50は制御器51に接続されている。制御器51は、処理を実行する図示しない処理素子、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御器51の処理素子は、プログラムを実行することによって、照射器50の動作を制御する。
【0038】
照射器50は、制御器51の指示に従って、レーザ光のパルス照射又は連続照射を行う。照射器50は、CO2 レーザ、YAGレーザ又はファイバーレーザ等である。パルス照射は、間欠的なレーザ光の照射である。連続照射は、連続したレーザ光の照射である。照射器50は、制御器51の指示に従って、レーザ光の照射の開始又は終了する。照射器50がレーザ光を照射している場合、照射器50は、制御器51の指示に従って、照射しているレーザ光の出力強度を調整する。
【0039】
パルス照射が行われている場合、照射器50はレーザ光の照射を周期的に開始する。1周期において、レーザ光が照射されている照射期間が占める割合をデューティと記載する。デューティが大きい程、1周期中の照射期間は長い。パルス照射が行われている場合、照射器50は、制御器51の指示に従ってデューティを調整する。
【0040】
延長モジュール12は、リード部22の一部分を棒状の延長導体23の一部分に重ねる。前述したように、リード部22の軸方向は延長導体23の軸方向と一致している。前述したように、2つの軸方向の一致は、厳密な一致のみを意味せず、実質的な一致も含まれる。照射器50は、リード部22において、延長導体23を重なっている部分にレーザ光を照射する。これにより、リード部22の一部分が溶融し、溶融した金属が延長導体23に接着する。これにより、リード部22に延長導体23が連結される。以上のように、リード部22に延長導体23が溶接される。
【0041】
延長モジュール12は、レーザ光を用いて、個片化された樹脂部分21の突出面から突出している複数のリード部22それぞれに複数の延長導体23を溶接する。これにより、複数のリード部22の長さは延長される。なお、延長導体23は屈曲していてもよい。この場合、屈曲の回数は、1回に限定されず、2回以上であってもよい。
【0042】
延長モジュール12は、複数のリード部22の長さを延長することによって生成した半導体部品2を部品収納モジュール13に渡す。部品収納モジュール13は、延長モジュール12から受け取った複数の半導体部品2を図示しないケースに収納する。
【0043】
図8は、半導体部品2の製造方法の手順を示すフローチャートである。前述したように、製造装置1の樹脂成形モジュール10は、まず、リードフレーム3に固定されている複数の半導体チップ25それぞれを樹脂により封止することによって複数の樹脂部分を形成する(ステップS1)。ステップS1が実行された後、製造装置1の個片化モジュール11は、複数の樹脂部分21が形成されているリードフレーム3を切断することによって、複数の樹脂部分21を個片化する(ステップS2)。
【0044】
ステップS2が実行された後、製造装置1の延長モジュール12は、個片化された樹脂部分21から突出している複数のリード部22の長さを延長する(ステップS3)。これにより、半導体部品2が製造される。ステップS3が実行された後、製造装置1の部品収納モジュール13は、製造された複数の半導体部品2をケースに収納する(ステップS4)。ステップS4を実行された後、半導体部品2の製造方法は終了する。
【0045】
以上のように構成された製造装置1では、複数の樹脂部分21を個片化した後、樹脂部分21の突出面から突出している複数のリード部22の長さを延長する。このため、リードフレーム3では、突出面が対向する2つの樹脂部分21を接続する2つのリード部22は短くてもよい。2つのリード部22が短い場合、樹脂成形モジュール10は、リードフレーム3において多数の樹脂部分21を形成することができる。
【0046】
延長モジュール12は、レーザ光を用いてリード部22に延長導体23を溶接する。レーザ光は、指向性が高いので、リード部22においてレーザ光が当たる面積は小さい。このため、局所加熱を実現することができる。結果、延長モジュール12は、短い時間でリード部22の長さを延長することができる。また、熱源として光が用いられているため、溶接中に、リード部22を介して半導体チップ25に大きい電流が流れることはない。同様の理由で、溶接中に、リード部22を介して半導体チップ25に大きい電圧が印加されることもない。従って、延長モジュール12がリード部22の長さを延長している間に半導体チップ25の故障が発生する可能性は低い。
【0047】
なお、延長導体23の形状は、棒状に限定されず、例えば、長板状であってもよい。
【0048】
(実施の形態2)
実施の形態1では、部品収納モジュール13は、半導体部品2をケースに収納している。しかしながら、部品収納モジュール13が収納する物体は半導体部品2に限定されない。
以下では、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と共通している。このため、実施の形態1と共通する構成部には実施の形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0049】
図9は、実施の形態2における部品収納モジュール13が行う収納の説明図である。実施の形態2では、部品収納モジュール13は、複数の半導体部品2ではなく、個片化モジュール11によって個片化された複数の樹脂部分21をケース6に収容する。ケース6は筒状をなす。ケース6の一方の端面は閉鎖されている。ケース6の他方の端面は開放されている。これにより、他方の端面に挿入口60が形成されている。部品収納モジュール13は、個片化された複数の樹脂部分21を挿入口60から順次、ケース6内に挿入する。
【0050】
ケース6では、凹部61が設けられている。凹部61は、ケース6の軸方向に沿って延びている。ケース6内では、載置片20が突出している樹脂部分21の一面が凹部61によって支持される。なお、ケース6はチューブと呼ばれることがある。
【0051】
実施の形態1の説明で述べたように、樹脂部分21の突出面から突出している複数のリード部22は短くてもよい。複数のリード部22が短い場合においては、ケース6に樹脂部分21を収納するときに、樹脂部分21から突出しているリード部22がケース6の挿入口60に当たる可能性は低い。このため、樹脂部分21を収納する場合にリード部22の形状が変形する可能性は低い。
【0052】
例えば、第1工場に樹脂成形モジュール10、個片化モジュール11及び部品収納モジュール13が設置されている。半導体部品2の実装を行う第2工場に延長モジュール12が配置されている。第1工場では、前述したように、部品収納モジュール13は、個片化モジュール11によって個片化された複数の樹脂部分21をケース6に収容する。個片化された複数の樹脂部分21が収容されているケース6を第1工場から第2工場に搬送する。第2工場において、延長モジュール12がケース6に収容されている樹脂部分21の複数のリード部22を延長する。第2工場において半導体部品2が製造される。
実施の形態2における製造装置1は、実施の形態1が奏する効果を同様に奏する。
【0053】
(実施の形態3)
実施の形態1における延長モジュール12は、リード部22に延長導体23を溶接することによって、リード部22の長さを延長している。しかしながら、リード部22の長さを延長する方法は、延長導体23を溶接する方法に限定されない。
以下では、実施の形態3について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と共通している。このため、実施の形態1と共通する構成部には実施の形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0054】
図10は、実施の形態3における圧着端子7の外観の説明図である。実施の形態3における延長モジュール12は、リード部22の長さを延長するために圧着端子7を用いる。
図10には、圧着端子7の平面及び底面が示されている。圧着端子7では、両方の端面が開放されている筒体70が配置されている。従って、筒体70には、筒体70の軸方向に貫通する貫通孔70aが設けられている。筒体70の端部から長板体71が、筒体70の軸方向に沿って突出している。筒体70及び長板体71は導電性を有する。長板体71の長手方向は筒体70の軸方向に一致している。
【0055】
なお、長手方向及び軸方向の一致は、厳密な一致のみを意味せず、実質的な一致も含まれる。従って、長手方向及び軸方向がなす角度が誤差範囲内の値である場合、長手方向及び軸方向は一致している。
【0056】
図11は、圧着端子7を用いたリード部22の延長方法の説明図である。
図11の上側に示すように、延長モジュール12は、樹脂部分21から突出している複数のリード部22それぞれを、複数の圧着端子7の貫通孔70aに通す。リード部22が筒体70の貫通孔70aを通っている状態で、工具、例えば圧着ペンチを用いて筒体70をかしめる。これにより、
図11の下側に示すように、筒体70が変形し、筒体70の一部分が凹む。結果、筒体70はリード部22に圧着され、リード部22は圧着端子7に導通する。
【0057】
以上のように、半導体部品2の製造方法のステップS2では、延長モジュール12は、複数のリード部22それぞれに複数の圧着端子7を圧着させる。これにより、複数のリード部22の長さが延長される。圧着端子7は第2の導体として機能する。
【0058】
延長モジュール12は、リード部22に圧着端子7を圧着させることによって、リード部22を延長するので、リード部22の長さを延長している間に、半導体チップ25への電圧の印加、及び、半導体チップ25を介して電流の通流はない。このため、リード部22の長さを延長している間に半導体チップ25の故障が発生する可能性は低い。
【0059】
実施の形態3における製造装置1は、実施の形態1における製造装置1が奏する効果の中で、レーザ光を用いて溶接を行うことによって得られる効果を除く他の効果を同様に奏する。
実施の形態3における部品収納モジュール13は、実施の形態2と同様に、リード部22の長さを延長する前に、個片化された複数の樹脂部分21をケース6に収納してもよい。また、長板体71は屈曲していてもよい。この場合、屈曲の回数は、1回に限定されず、2回以上であってもよい。
【0060】
(実施の形態4)
実施の形態1における延長モジュール12は、リード部22に延長導体23を溶接することによって、リード部22の長さを延長している。しかしながら、リード部22の長さを延長する方法は、延長導体23を溶接する方法に限定されない。
以下では、実施の形態4について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と共通している。このため、実施の形態1と共通する構成部には実施の形態1と同一の参照符号を付し、その構成部の説明を省略する。
【0061】
図12は、実施の形態4における延長用の電気器具8の外観の説明図である。実施の形態4における延長モジュール12は、リード部22の長さを延長するために、電気器具8を用いる。
図12には、電気器具8の側面及び平面が示されている。
図12に示すように、電気器具8では、器具本体80に複数のリード部22が差し込まれる差し込み口81が設けられている。差し込み口81の開口の面積は、リード部22の断面積よりも大きい。
【0062】
また、器具本体80の一面から、複数の棒状の器具端子82が突出している。複数の差し込み口81の側壁それぞれは、複数の器具端子82に導通している。
【0063】
図13は、電気器具8を用いたリード部22の延長方法の説明図である。
図13には、複数のリード部22を電気器具8に差し込む前の状態と、複数のリード部22を電気器具8に差し込んだ後の状態とが示されている。
図13に示すように、延長モジュール12は、樹脂部分21から突出している複数のリード部22それぞれを、器具本体80に設けられている複数の差し込み口81に差し込む。これにより、複数のリード部22それぞれは、複数の器具端子82に導通し、複数のリード部22の長さが延長される。
【0064】
以上のように、半導体部品2の製造方法のステップS2では、延長モジュール12は、複数のリード部22それぞれを共通の電気器具8に差し込む。これにより、複数のリード部22の長さが延長される。このため、リード部22の長さの延長を容易に実現することができる。
【0065】
実施の形態4における製造装置1は、実施の形態1における製造装置1が奏する効果の中で、レーザ光を用いて溶接を行うことによって得られる効果を除く他の効果を同様に奏する。
実施の形態4における部品収納モジュール13は、実施の形態2と同様に、リード部22の長さを延長する前に、個片化された複数の樹脂部分21をケース6に収納してもよい。
【0066】
実施の形態4において、器具端子82の形状は、棒状に限定されず、例えば、長板状であってもよい。また、器具端子82は屈曲していてもよい。この場合、屈曲の回数は、1回に限定されず、2回以上であってもよい。
【0067】
実施の形態1~4において、樹脂部分21の形状は、直方体状に限定されず、例えば、円柱状であってもよい。
【0068】
以下、今回開示した半導体部品2の製造装置1及び半導体部品2の製造方法の概要について説明する。
【0069】
(1)本開示の半導体部品2の製造方法は、半導体チップ25が樹脂により封止されている樹脂部分21と、樹脂部分21の一面から共通の方向に突出している複数のリード部22とを有する半導体部品2の製造方法であって、複数の樹脂部分21が形成されているリードフレーム3を切断することによって、複数の樹脂部分21を個片化するステップと、個片化された樹脂部分21から突出している複数のリード部22の長さを延長するステップとを含み、リードフレーム3では、リード部22が突出している各樹脂部分21の突出面は他の樹脂部分21の突出面と対向しており、互いに対向する2つの突出面それぞれから突出している2つのリード部22の突出端部は互いに連結している。
【0070】
上記(1)に記載の製造方法によれば、複数の樹脂部分21を個片化した後、樹脂部分21から突出している複数のリード部22の長さを延長する。このため、リードフレーム3では、突出面が対向する2つの樹脂部分21を接続する2つのリード部22は短くてもよい。リードフレーム3に設けられているリード部22が短い場合、リードフレーム3において多数の樹脂部分21を形成することができる。
例えば、リード部22の長さを延長する前に、複数の樹脂部分21をケース6に収納する。リード部22が短い場合、リード部22がケース6の挿入口に当たる可能性は低い。このため、樹脂部分21を収納する場合にリード部22の形状が変形する可能性は低い。
【0071】
(2)上記(1)に記載の製造方法は、リードフレーム3に固定されている複数の半導体チップ25それぞれを樹脂により封止することによって、複数の樹脂部分21を形成するステップを更に含んでもよい。
【0072】
上記(2)に記載の製造方法によれば、リードフレーム3に固定された複数の半導体チップ25それぞれを樹脂により封止した後、複数の樹脂部分21を個片化する。
【0073】
(3)上記(1)又は(2)に記載の製造方法に関して、複数のリード部22の長さを延長するステップでは、レーザ光を用いて、複数のリード部22それぞれに複数の延長導体23を溶接してもよい。
【0074】
上記(3)の製造方法によれば、レーザ光を用いてリード部22に延長導体23を溶接する。レーザ光は、指向性が高いので、レーザ光が当たる面積が小さい。このため、局所加熱を実現することができる。結果、短い時間でリード部22の長さを延長することができる。また、熱源が光であるため、溶接中に半導体チップ25に大きい電流が流れることはない。更に、溶接中に半導体チップ25に大きい電圧が印加されることはない。従って、リード部22の長さを延長している間に半導体チップ25の故障が発生する可能性は低い。
【0075】
(4)上記(1)又は(2)に記載の製造方法に関して、複数のリード部22の長さを延長するステップでは、複数のリード部22それぞれに、複数の圧着端子7(第2の導体)を圧着させてもよい。
【0076】
上記(4)の製造方法によれば、リード部22に圧着端子7を圧着させる。このため、リード部22の長さを延長している間に、半導体チップ25への電圧の印加、及び、半導体チップ25を介した電流の通流はない。このため、リード部22の長さを延長している間に半導体チップ25の故障が発生する可能性は低い。
【0077】
(5)上記(1)又は(2)に記載の製造方法に関して、複数のリード部22の長さを延長するステップでは、複数のリード部22を共通の電気器具8に差し込んでもよい。
【0078】
上記(5)に記載の製造方法によれば、複数のリード部22を共通の電気器具8に挿入することによって、リード部22の長さの延長を容易に実現することができる。
【0079】
(6)本開示の半導体部品2の製造装置1は、上記(1)から上記(5)のいずれか1つに記載の製造方法で用いられる半導体部品の製造装置であって、リードフレーム3に固定された複数の半導体チップ25それぞれを樹脂で封止することによって、複数の樹脂部分21を形成する樹脂成形モジュール10と、樹脂成形モジュール10が複数の樹脂部分21を形成した後、リードフレーム3を切断することによって、複数の樹脂部分21を個片化する個片化モジュール11と、個片化モジュール11によって個片化された樹脂部分21から突出している複数のリード部22の長さを延長する延長モジュール12とを備える。
【0080】
上記(6)に記載の製造装置によれば、上記(1)に記載の製造方法と同様に、突出面が対向する2つの樹脂部分21を接続する2つのリード部22は短くてもよい。リードフレーム3に設けられているリード部22が短い場合、リードフレーム3において多数の樹脂部分21を形成することができる。
例えば、部品収納モジュール13は、リード部22の長さを延長する前に、複数の樹脂部分21をケース6に収納する。リード部22が短い場合、リード部22がケース6の挿入口に当たる可能性は低い。このため、樹脂部分21を収納する場合にリード部22の形状が変形する可能性は低い。
【符号の説明】
【0081】
1 製造装置
2 半導体部品
3 リードフレーム
7 圧着端子(第2の導体)
8 電気器具
10 樹脂成形モジュール
11 個片化モジュール
12 延長モジュール12
21 樹脂部分
22 リード部
23 導体(延長導体)
25 半導体チップ