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特開2024-29793マイクロ流体デバイス、マイクロ流体デバイスの製造方法、及び検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029793
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイス、マイクロ流体デバイスの製造方法、及び検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20240229BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240229BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240229BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20240229BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240229BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALN20240229BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALN20240229BHJP
【FI】
G01N35/08 E ZNA
G01N37/00 101
G01N21/64 F
G01N21/05
C12M1/00 A
C12Q1/68
C12Q1/6844 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132174
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390003193
【氏名又は名称】東洋鋼鈑株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【弁理士】
【氏名又は名称】生富 成一
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】大津 貴義
(72)【発明者】
【氏名】國則 正弘
(72)【発明者】
【氏名】一色 淳憲
(72)【発明者】
【氏名】田所 洋一
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
2G058
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA16
2G043CA03
2G043DA02
2G043DA05
2G043DA08
2G043EA01
2G043MA01
2G043NA01
2G057AA04
2G057AB01
2G057AC01
2G057BA05
2G057BB06
2G057BD01
2G057BD02
2G057BD03
2G058CC08
2G058CC17
2G058GA06
4B029AA07
4B029AA08
4B029AA23
4B029BB01
4B029BB20
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS24
4B063QS34
4B063QX01
(57)【要約】
【課題】 流路内に反応部などの機能部を有するマイクロ流体デバイスにおいて、機能部の表面付近で流体に流れを生じさせることの可能なマイクロ流体デバイスの提供を可能とする。
【解決手段】 第一の基板10と第二の基板とが接合されてなるマイクロ流体デバイスであって、第一の基板10に機能部12が備えられ、第一の基板10の機能部12が備えられた側に第二の基板が配置され、第一の基板10又は第二の基板に流路11が備えられ、機能部12の両端部に流路11が連通され、機能部12の少なくとも一方の端部の外側に位置する流路に、機能部12の水平面に対して傾斜する傾斜部111が備えられたマイクロ流体デバイス。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基板と第二の基板とが接合されてなるマイクロ流体デバイスであって、
前記第一の基板に機能部が備えられ、前記第一の基板の前記機能部が備えられた側に前記第二の基板が配置され、前記第一の基板又は前記第二の基板に流路が備えられ、前記機能部の両端部に前記流路が連通され、
前記機能部の少なくとも一方の端部の外側に位置する前記流路に、前記機能部の水平面に対して傾斜する傾斜部が備えられた
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記機能部の両端部の外側に位置する前記流路に、それぞれ前記機能部の水平面に対して傾斜する傾斜部が備えられたことを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記第二の基板に前記流路に接続する流体流入口及び流体流出口が備えられたことを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記機能部の水平面に対する前記機能部の端部のすぐ外側に位置する前記流路の底面の傾斜角が、0°より大きく90°以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記機能部の水平面に対する前記機能部の端部のすぐ外側に位置する前記流路の底面の傾斜角が、-180°以上で180°より小さく、0°ではないことを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記機能部を垂直方向からみた幅が、前記流路の幅以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記機能部に反応用物質が直接固定化されたことを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記機能部に、凹部、又は、貫通孔である担体保持部が備えられ、前記担体保持部に反応用物質が固定化された担体が保持されたことを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記第二の基板における、少なくとも前記第一の基板の前記機能部に対応する領域の光線透過率が、90%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
一枚の基板からなるマイクロ流体デバイスであって、
内部に機能部を有すると共に、前記機能部の両端部に流路が連通され、
前記機能部の少なくとも一方の端部の外側に位置する前記流路に、前記機能部の水平面に対して傾斜する傾斜部が備えられた
ことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
請求項1、2、又は10のいずれかに記載のマイクロ流体デバイスを3Dプリンタにより形成することを特徴とするマイクロ流体デバイスの製造方法。
【請求項12】
請求項1、2、又は10記載のマイクロ流体デバイスと、試薬を前記流路に送液する送液制御部と、前記マイクロ流体デバイスを加熱する加熱装置と、前記試薬の蛍光を励起する光を照射する光源及び発生した蛍光を検出する蛍光検出部を有する検出装置と、を備えた
ことを特徴とする検査システム。
【請求項13】
前記流路の開閉、切替、及び/又は流量調節を行うバルブ制御部と、前記加熱装置、前記検出装置、前記送液制御部、及び前記バルブ制御部を制御する情報処理装置と、をさらに備えたことを特徴とする請求項12記載の検査システム。
【請求項14】
検体から検査対象遺伝子を抽出する核酸抽出機構と、
抽出された核酸を増幅する増幅反応機構と、
増幅産物中の検査対象遺伝子を検出するための請求項1、2、又は10記載のマイクロ流体デバイスを備える検出機構と、を有し、
少なくともこれらの機構が、この順に流路で接続されている
ことを特徴とする検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子検査などに用いるマイクロ流体デバイスに関し、特に流路内に反応部などの機能部を有するマイクロ流体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子検査において、マイクロ流体デバイスの流路内に反応部を形成し、この反応部にDNAマイクロアレイを配置させて、流路に送液される試薬中の検査対象物と、DNAマイクロアレイに固定化されたプローブとの反応にもとづいて、試薬における検査対象物の有無の判定が行われている。
【0003】
このような遺伝子検査で使用されるマイクロ流体デバイスを用いる場合、試薬は流体流入口から注入されて、反応部の上流側流路を流れて反応部に到達し、反応部でプローブとの反応が行われて、反応済みの試薬が反応部の下流側流路を流れて、流体流出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5376451号公報
【特許文献2】特表2013-539654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、マイクロ流体デバイスの流路における送液は、基本的に層流となるため、反応部に配置されたDNAマイクロアレイ上のプローブ付近の流速はゼロになっている。
このため、試薬中の検査対象物とDNAマイクロアレイ上のプローブの接触機会を増やすことによって反応効率を向上させるために流速を大きくしたとしても、流路の内壁付近に位置するプローブ周辺においては、送液されてくる新たな検査対象物にプローブが接触することがない。
【0006】
すなわち、流れがある流路内であってもプローブ周辺に滞留している試薬の存在領域に含まれる検査対象物は、反応開始時からある検査対象物と全く同一であり、局所的に見るとその存在領域内に含まれる検査対象物と反応するだけである。したがって、反応効率は、検査対象物の分子の拡散速度にのみ依存しており、流速を大きくすることによって向上することはない。
このように、プローブ周辺は静置と同条件となっており、送液による反応効率の向上は生じないため、反応に時間がかかるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明者らは、鋭意研究して、このような問題を解消可能なマイクロ流体デバイスを開発した。
具体的には、反応部の外側に位置する流路を反応部に対して傾斜して備えることによって、試薬の流れる方向を反応部に向かわせ、反応部の表面付近において流れを発生させることを可能とした。これにより、マイクロ流体デバイスを用いた遺伝子検査の反応速度を向上させることが可能となった。
【0008】
ここで、特許文献1には、DNAマイクロアレイを用いて生物の同定及び定量を行う方法が記載されている。この発明では、反応部を備えた反応チャンバー(貯留部)が用いられ、その反応チャンバーに試薬を注入し、また反応チャンバーから試薬を排出する構成となっているものであり、本発明のような反応部に流体を送液するための流路は備えられていない。
したがって、この文献は、マイクロ流体デバイスにおける反応部の外側に位置する流路を反応部に対して傾斜して備えることにより遺伝子検査の反応速度を向上させることについて工夫されたものではなく、このような構成については開示されていない。
【0009】
また、特許文献2には、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子検査方法が記載されている。この発明も、特許文献1と同様に、反応部を備えた反応チャンバー(貯留部)を用いるものであり、マイクロ流体デバイスにおける反応部の外側に位置する流路を反応部に対して傾斜して備える構成については、記載も示唆もされていない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、流路内に反応部などの機能部を有するマイクロ流体デバイスにおいて、機能部の表面付近で流体に流れを生じさせることの可能なマイクロ流体デバイス、マイクロ流体デバイスの製造方法、及び検査システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のマイクロ流体デバイスは、第一の基板と第二の基板とが接合されてなるマイクロ流体デバイスであって、前記第一の基板に機能部が備えられ、前記第一の基板の前記機能部が備えられた側に前記第二の基板が配置され、前記第一の基板又は前記第二の基板に流路が備えられ、前記機能部の両端部に前記流路が連通され、前記機能部の少なくとも一方の端部の外側に位置する前記流路に、前記機能部の水平面に対して傾斜する傾斜部が備えられた構成としてある。
【0012】
また、本発明のマイクロ流体デバイスを、前記機能部の両端部の外側に位置する前記流路に、それぞれ前記機能部の水平面に対して傾斜する傾斜部が備えられた構成とすることが好ましい。
また、本発明のマイクロ流体デバイスを、前記第二の基板に前記流路に接続する流体流入口及び流体流出口が備えられた構成とすることも好ましい。
【0013】
また、本発明のマイクロ流体デバイスを、前記機能部の水平面に対する前記機能部の端部のすぐ外側に位置する前記流路の底面の傾斜角が、0°より大きく90°以下である構成とすることも好ましい。
また、本発明のマイクロ流体デバイスを、前記機能部の水平面に対する前記機能部の端部のすぐ外側に位置する前記流路の底面の傾斜角が、-180°以上で180°より小さく、0°ではない構成とすることも好ましい。
【0014】
また、本発明のマイクロ流体デバイスを、前記機能部を垂直方向からみた幅が、前記流路の幅以上である構成とすることも好ましい。
また、本発明のマイクロ流体デバイスを、前記機能部に反応用物質が直接固定化された構成とすることも好ましい。
また、本発明のマイクロ流体デバイスを、前記機能部に、凹部、又は、貫通孔である担体保持部が備えられ、前記担体保持部に反応用物質が固定化された担体が保持された構成とすることも好ましい。
【0015】
また、本発明のマイクロ流体デバイスを、前記第二の基板における、少なくとも前記第一の基板の前記機能部に対応する領域の光線透過率が、90%以上である構成とすることも好ましい。
【0016】
また、本発明のマイクロ流体デバイスは、一枚の基板からなるマイクロ流体デバイスであって、内部に機能部を有すると共に、前記機能部の両端部に流路が連通され、前記機能部の少なくとも一方の端部の外側に位置する前記流路に、前記機能部の水平面に対して傾斜する傾斜部が備えられた構成としてある。
さらに、本発明のマイクロ流体デバイスを、上記のマイクロ流体デバイスにおける各構成を様々に組み合わせたものとすることも好ましい。
【0017】
また、本発明のマイクロ流体デバイスの製造方法は、上記のいずれかのマイクロ流体デバイスを、切削加工、射出成形、ホットエンボス加工、レーザー加工、エッチング加工、又は3Dプリンタ等を用いて形成する方法としてある。
【0018】
本発明の検査システムは、上記のいずれかのマイクロ流体デバイスと、試薬を前記流路に送液する送液制御部と、前記マイクロ流体デバイスを加熱する加熱装置と、前記試薬の蛍光を励起する光を照射する光源及び発生した蛍光を検出する蛍光検出部を有する検出装置とを備えた構成としてある。
【0019】
また、本発明の検査システムを、前記流路の開閉、切替、及び/又は流量調節を行うバルブ制御部と、前記加熱装置、前記検出装置、前記送液制御部、及び前記バルブ制御部を制御する情報処理装置とをさらに備えた構成とすることも好ましい。
【0020】
また、本発明の検査システムを、検体から検査対象遺伝子を抽出する核酸抽出機構と、抽出された核酸を増幅する増幅反応機構と、増幅産物中の検査対象遺伝子を検出するための上記のマイクロ流体デバイスを備える検出機構とを有し、少なくともこれらの機構が、この順に流路で接続されている構成とすることも好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、流路内に反応部などの機能部を有するマイクロ流体デバイスにおいて、機能部の表面付近で流体に流れを生じさせることの可能なマイクロ流体デバイス、マイクロ流体デバイスの製造方法、及び検査システムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスにおける機能部の一方の端部の外側に傾斜部が形成された流路を備える基板を示す模式図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの断面(B)と、これを構成する基板の断面(A)を示す模式図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの流路における流体の流れ(B)と、流路に傾斜部を備えていないマイクロ流体デバイスの流路における流体の流れ(A)を示す模式図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの変形例であって、機能部の表面が流路の表面と同一平面上で連続したものを示す模式図である。
図5】本発明の第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの流路における機能部を垂直方向からみた幅L1と流路の幅L2を示す模式図である。
図6】本発明の第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの傾斜部の傾斜角θが0°<θ≦90°のもの(A)と、傾斜部の傾斜角θが90°<θ<180°の変形例(B)の流路の長手方向中央を垂直方向に切断した断面を示す模式図である。
図7】本発明の第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの変形例を示し、傾斜部の傾斜角θが-90°≦θ<0°の変形例(C)と、傾斜部の傾斜角θが-180°<θ<-90°の変形例(D)の流路の長手方向中央を垂直方向に切断した断面を示す模式図である。
図8】本発明の第二実施形態に係るマイクロ流体デバイスにおける機能部の両端部の外側に傾斜部が形成された流路を備える基板を示す模式図である。
図9】本発明の第二実施形態に係るマイクロ流体デバイスの断面(B)と、これを構成する基板の断面(A)を示す模式図である。
図10】本発明の第二実施形態に係るマイクロ流体デバイスの変形例(A),(B),(C)を示す模式図である。
図11】本発明の第二実施形態に係るマイクロ流体デバイスを用いて蛍光検出を行う様子を示す模式図である。
図12】本発明の実施形態に係る検査システムの構成を示す模式図である。
図13】マイクロ流体デバイスにおける傾斜部にもとづく蛍光強度の増加に関する試験1の結果を表すグラフを示す図である。
図14】マイクロ流体デバイスにおける傾斜部の傾斜角度にもとづく蛍光強度の増加に関する試験2の結果を表すグラフを示す図である。
図15】流路に傾斜部を備えていないマイクロ流体デバイスの構成を示す模式図である。
図16】流路に傾斜部を備えていないマイクロ流体デバイスの断面(B)と、これを構成する基板の断面(A)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るマイクロ流体デバイス、マイクロ流体デバイスの製造方法、及び検査システムについて詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態及び実施例の具体的な内容に限定されるものではない。
【0024】
[マイクロ流体デバイスの第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスについて、図1及び図2を参照して説明する。図1は、第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスにおける機能部の一方の端部の外側に傾斜部が形成された流路を備える基板を示す模式図である。図2は、第一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの断面(B)と、これを構成する基板の断面(A)を示す模式図である。なお、図1において、第二の基板は、省略している。また、図2は、マイクロ流体デバイスの流路の長手方向中央を垂直方向に切断した断面図を示している。
【0025】
図1及び図2に示すように、本実施形態のマイクロ流体デバイスは、第一の基板10と第二の基板20とが接合されてなるマイクロ流体デバイスであり、第一の基板10に流路11と機能部12が備えられ、機能部12の両端部に流路11が連通されている。
また、機能部12の少なくとも一方の端部の外側に位置する流路11に、機能部12の水平面に対して傾斜する傾斜部111が備えられている。
機能部12の水平面とは、機能部12を構成する空間の上面に相当する面、あるいは同空間の下面に相当する面に平行な面を意味し、後述するように機能部12に担体を配置した場合にはその担体の表面に平行な面を意味する。
【0026】
第一の基板10の機能部12が備えられた表面側には、第二の基板20が接合されている。図2は、第二の基板20としてフィルムが用いられている例を示しているが、第二の基板20はこれに限定されず、流路を形成し得る板状やシート状の樹脂基板なども用いることができる。後述する第二実施形態においても同様である。
【0027】
また、第二の基板20において、流路11に連通する流体流入口21及び流体流出口22が備えられている。
そして、流体流入口21から注入された流体は、流路11を流れて傾斜部111を介して機能部12に流入し、さらに流路11を流れて流体流出口22から排出される。
【0028】
ここで、図3を参照して、本実施形態のマイクロ流体デバイスの流路における流体の流れと、流路に傾斜部を備えていないマイクロ流体デバイスの流路における流体の流れの相違について説明する。なお、図3における矢印は、流体の流れを強調して示している。
【0029】
図3(A)に示すように、流路に傾斜部を備えていない一般的なマイクロ流体デバイスの場合、流路110を流れる流体は、基本的に層流となって送液される。このため、機能部120の表面(又は担体保持部に配置された担体300の表面)付近の流速はゼロになっている。
このため、例えば試薬中の検査対象物と担体300の表面に固定化されたプローブの接触機会を増やすことによって反応効率を向上させるために流速を大きくしたとしても、流路110の内壁付近に配置された機能部120の表面付近において、プローブが送液されてくる新たな検査対象物と接触することはない。
【0030】
すなわち、流れがある流路内であってもプローブ周辺に滞留している試薬の存在領域に含まれる検査対象物は反応開始時からある検査対象物と全く同一であり、局所的に見るとその存在領域内に含まれる検査対象物と反応するだけであるため、反応効率は検査対象物の分子の拡散速度にのみ依存している。
したがって、機能部120の表面付近においては静置と同条件となり、送液によって反応効率は向上せず、反応時間を短縮することが難しいという問題があった。
【0031】
これに対して、図3(B)に示す本実施形態のマイクロ流体デバイスによれば、機能部12の少なくとも一方の端部の外側に位置する流路11に、機能部12の表面(又は担体保持部に配置された担体30の表面)に対して傾斜する傾斜部111が備えられているため、流体は、機能部12の表面方向に流れ込むことができ、担体30の表面に対する流体の垂直方向の流速成分を増加させることが可能になっている。
このため、本実施形態のマイクロ流体デバイスによれば、担体30の表面に固定化されたプローブと試薬中の検査対象物質の反応時間を短縮することが可能になっている。
【0032】
本実施形態のマイクロ流体デバイスにおいて、機能部12の用途は、上記のような反応部としての用途に限定されず、例えば試薬を混合するための混合部として好適に用いることが可能である。
また、機能部12を反応部として用いる場合、機能部12の表面自体にプローブなど(反応用物質)を固定化して、検査部として機能させることが可能である。
【0033】
具体的には、図4に示すように、本実施形態のマイクロ流体デバイスにおいて、第一の基板10’における機能部12’の表面が、流路11’の表面と同一平面上で連続したものとすることも好ましい。
本実施形態のマイクロ流体デバイスをこのような構成にすれば、機能部12’を混合部としたり、あるいは機能部12’を反応部としてその表面にプローブなどの反応用物質を直接固定化することを好適に行うことが可能である。
【0034】
また、機能部12を反応部として用いる場合、機能部12を凹部として形成し、この機能部12にプローブが固定化されたDNAマイクロアレイなどの担体を配置して(このような担体を保持する機能部を担体保持部と称する場合がある。)、検査部として機能させることも可能である。
【0035】
また、機能部12を反応部として用いる場合、担体保持部を、第一の基板10における流路11が備えられた面側から反対面側まで貫通する穿孔(貫通孔)として形成することも好ましい。
このようなマイクロ流体デバイスの担体保持部に担体を配置する方法としては、例えば、第一の基板10における上記反対面側に第三の基板を接合させ、この第三の基板における担体保持部に対応する位置に担体を配置させることができる。
【0036】
このような担体保持部が貫通孔として形成されたマイクロ流体デバイスでは、例えば第三の基板としてフィルムを用いて形成することによって、担体保持部に対応する加熱面側を薄くすることが可能となる。
このため、このようなマイクロ流体デバイスによれば、マイクロ流体デバイスの加熱効率を向上させることができる。
【0037】
また、このようなマイクロ流体デバイスでは、第一の基板10の機能部12において底面加工を行う必要がないため、検出装置に対する担体表面の平行性を比較的容易に確保することが可能となる。
また、機能部を切削や射出成形によって凹部形状にする底面加工は難易度が高いところ、このマイクロ流体デバイスによれば、機能部の加工難易度を低減させることが可能となる。
【0038】
さらに、機能部12を反応部として用いる場合、担体としては、DNAマイクロアレイやDNAチップとすることができる。また、担体は、DNAを検出するものに限られず、その他の物質を検出するためのマイクロアレイやチップなどであってもよい。
本実施形態において、担体としてDNAマイクロアレイを用いる場合、このDNAマイクロアレイは、プローブを用いて、既存の一般的な方法で製造することができる。
【0039】
例えば、このDNAマイクロアレイとして、貼り付け型のDNAチップを作成する場合は、DNAスポッターによりプローブをガラス基板上に固定化して、各プローブに対応するスポットを形成することにより作成することができる。また、合成型DNAチップを作成する場合は、光リソグラフィ技術により、ガラス基板上で上記配列を備えた一本鎖オリゴDNAを合成することにより作成することができる。さらに、基板はガラス製に限定されず、プラスチック基板やシリコンウエハー等を用いることもできる。また、基板の形状は平板状のものに限定されず、様々な立体形状のものとすることもでき、その表面に化学反応が可能となるように官能基を導入したものなどを用いることもできる。
【0040】
また、担体としてDNAマイクロアレイを用いる場合、マイクロアレイ用基板に固定化される固体支持体は、核酸(DNA,RNA等)、又はペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質等)を固定化するためのもので、核酸又はペプチドと共有結合し得る官能基を有する。核酸又はペプチドと共有結合し得る官能基としては、当技術分野で公知のものを使用できる。また担体として、表面にダイヤモンドライクカーボン層(DLC)を有するものを用いることも好ましい。
【0041】
反応用物質としては、核酸、タンパク質、糖鎖などの生体物質を好適に用いることができる。具体的には、例えば、DNA、RNA、抗体、レクチン、ビオチン-アビジン等を用いることができる。また、反応用物質として、生体物質以外のもの、例えば、抗体やDNAアプタマーなどの生体物質と結合することが可能な低分子化合物(香気成分、アレルゲンなど)を用いることも可能である。
【0042】
また、本実施形態のマイクロ流体デバイスにおいて、図5に示すように、機能部12を垂直方向からみた幅L1が、流路11の幅L2以上である構成とすることが好ましく、機能部12を垂直方向からみた幅L1が、流路11の幅L2より大きい構成とすることがより好ましい。
ここで、仮に機能部12を垂直方向からみた幅L1が、流路11の幅L2より小さい構成とすると、流路内に気泡が発生するリスクや空気が残存するリスクが高くなる。
これに対して、機能部12を垂直方向からみた幅L1が、流路11の幅L2より大きい構成とすれば、流路の流れが良好になり、流路内に気泡や残存空気が発生し難いため好ましい。
【0043】
また、本実施形態のマイクロ流体デバイスは、第二の基板20における、少なくとも第一の基板10の機能部12に対応する領域の光線透過率が、90%以上であることが好ましい。

本実施形態のマイクロ流体デバイスをこのような構成にすれば、機能部12を反応部として用いる場合に、後述する検査装置による蛍光物質の検出を好適に行うことが可能である。
【0044】
また、本実施形態のマイクロ流体デバイスを、機能部12の水平面に対する機能部12の端部のすぐ外側に位置する流路11の底面の傾斜角度(以下、単に傾斜部111の傾斜角と称する場合がある。)が、0°より大きく90°以下である構成とすることが好ましく、0°より大きく90°より小さい構成とすることがより好ましい。
さらに、本実施形態のマイクロ流体デバイスを、機能部12の水平面に対する機能部12の端部のすぐ外側に位置する流路11の底面の傾斜角度が、-180°より大きく180°より小さく、0°ではない構成とすることも好ましい。
【0045】
このような本実施形態のマイクロ流体デバイスの具体例を図6及び図7に示す。
図6(A)は、傾斜部111の傾斜角θが0°<θ≦90°のマイクロ流体デバイスの流路11の長手方向中央を垂直方向に切断した断面を示している。
ここで、急な方向変化のある管路の継手を一般的にエルボと呼ぶ。このようなエルボでは、流体の流れがコーナー部分から離脱して渦を作るため、方向変化の前後で大きな圧力損失を生じる。このため、エルボの屈曲部では渦が発生する。屈曲形状の流路においても同様に、屈曲部において渦が発生し得る。
【0046】
本実施形態のマイクロ流体デバイスでは、機能部12の表面方向に対する流れが生じると共に、機能部12付近で渦が発生し得るため、例えば機能部12にDNAマイクロアレイを配置する場合、その表面付近にある試薬がより効率的に交換されて、反応速度が向上すると考えられる。
したがって、このような本実施形態のマイクロ流体デバイスは、例えばDNAマイクロアレイを用いた検査用途に好適に使用することが可能である。
【0047】
また、図6(B)は、本実施形態のマイクロ流体デバイスの変形例を示し、傾斜部111-1の傾斜角θが90°<θ<180°のものの流路11-1の長手方向中央を垂直方向に切断した断面を示している。
このようなマイクロ流体デバイスは、機能部12-1の表面方向に対する流れが生じると共に、機能部12-1付近で比較的大きな渦が発生して、機能部12-2付近において流体の攪拌効果を得ることができる。
このため、このような本実施形態のマイクロ流体デバイスは、例えば試薬の混合用途に好適に使用することが可能である。
【0048】
また、図7(C)は、本実施形態のマイクロ流体デバイスの変形例を示し、傾斜部111-2の傾斜角θが-90°≦θ<0°のものの流路11-2の長手方向中央を垂直方向に切断した断面を示している。
このようなマイクロ流体デバイスでは、機能部12-2の表面付近に渦を発生させる構成にすることが可能であるため、例えば機能部12-2にDNAマイクロアレイを配置する場合、その表面付近にある試薬が効率的に交換されて、反応速度が向上すると考えられる。
したがって、このような本実施形態のマイクロ流体デバイスは、例えばDNAマイクロアレイを用いた検査用途に好適に使用することが可能である。
【0049】
また、図7(D)は、本実施形態のマイクロ流体デバイスの変形例を示し、傾斜部111-3の傾斜角θが-180°<θ<-90°のものの流路11-3の長手方向中央を垂直方向に切断した断面を示している。
このようなマイクロ流体デバイスでは、機能部12-3の表面付近で渦が発生すると共に、屈曲部において比較的大きな渦が発生する。
このため、このような本実施形態のマイクロ流体デバイスは、例えば試薬の混合用途やDNAマイクロアレイを用いた検査用途に使用することができる。
【0050】
本実施形態のマイクロ流体デバイスにおける第一の基板10と第二の基板20の具体的な材料は特に限定されないが、例えば、COP(シクロオレフィンポリマー)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COC(シクロオレフィンコポリマー)などを好適に用いることが可能である。また、PDMS(ポリジメチルシロキサン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いてもよい。
【0051】
また、第一の基板10と第二の基板20は、熱融着、レーザー、超音波、溶剤、接着剤、粘着剤、プラズマ処理、紫外線処理を用いるなど、その接合方法は、特に限定されない。
第一の基板10と第二の基板20の材料及び接合方法については、後述する変形例や第二実施形態においても同様である。
【0052】
[マイクロ流体デバイスの第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態のマイクロ流体デバイスについて、図8及び図9を参照して説明する。図8は、本実施形態に係るマイクロ流体デバイスにおける機能部の両端部の外側に傾斜部が形成された流路を備える基板を示す模式図である。また、図9は、本実施形態に係るマイクロ流体デバイスの断面(B)と、これを構成する基板の断面(A)を示す模式図である。なお、図8において、第二の基板は、省略している。また、図9は、マイクロ流体デバイスの流路の長手方向中央を垂直方向に切断した断面図を示している。
【0053】
図8及び図9に示すように、本実施形態のマイクロ流体デバイスは、第一の基板10aと第二の基板20aとが接合されてなるマイクロ流体デバイスであり、第一の基板10aに流路11aと機能部12aが備えられ、機能部12aの両端部に流路11aが連通されている。
また、機能部12aの両端部の外側に位置する流路11aに、それぞれ機能部12aの水平面に対して傾斜する傾斜部111aが備えられている。
【0054】
第一の基板10aの機能部12aが備えられた表面側には、第二の基板20aが接合されている。図9では、第二の基板20aとしてフィルムが用いられている。
また、第二の基板20aにおいて、流路11aに連通する流体流入口21a及び流体流出口22aが備えられている。
【0055】
そして、流体流入口21aから注入された流体は、流路11aを流れて傾斜部111aを介して機能部12aに流入し、さらに流路11aを流れて流体流出口22aから排出される。また、その反対に、流体流出口22aから流体を注入して流路11aに流し、傾斜部111aを介して機能部12aに流入させ、さらに流路11aを経由して流体流入口21aから排出することなどにより、機能部12aにおいて流体を往復するように送液させることもできる。
【0056】
このような本実施形態のマイクロ流体デバイスによれば、機能部12aの両端部の外側に配置する2つの傾斜部111aによって、機能部12aの表面方向に対する流れを生じさせることができ、また機能部12a付近で渦を発生させることもできる。
このため、例えば機能部12にDNAマイクロアレイを配置する場合、その表面付近の試薬を効率的に交換させることができ、反応速度を向上させることが可能である。
【0057】
また、このような傾斜部111aを2つ備えたマイクロ流体デバイスの変形例として、図6及び図7を用いて説明したものと同様に、傾斜部111aの傾斜角θが90°<θ<180°のもの、傾斜部111aの傾斜角θが-90°≦θ<0°のもの、又は傾斜部111aの傾斜角θが-180°<θ<-90°のマイクロ流体デバイスを作成することも好ましい。
【0058】
また、2つの傾斜部111aの傾斜角θとして、異なる角度を備えたマイクロ流体デバイスを構成することも好ましい。例えば、一方の傾斜部111aの傾斜角θを0°<θ≦90°とし、他方の傾斜部111aの傾斜角θを90°<θ<180°とすることも好ましい
このようなマイクロ流体デバイスによれば、例えば一方の傾斜部111aによって流体の混合を促進させると共に、他方の傾斜部111aによって反応を促進させるなど、機能部12の用途に応じて様々なマイクロ流体デバイスを作成することが可能である。
【0059】
次に、第二実施形態のマイクロ流体デバイスの他の変形例について、図10を参照して説明する。図10は、第二実施形態のマイクロ流体デバイスの変形例(A),(B),(C)を示す模式図である。
【0060】
図10(A)に示すように,第二実施形態のマイクロ流体デバイスの変形例は、第一の基板10bに機能部12bが形成され、第二の基板20bの第一の基板10bとは反対側表面に流路23bが形成されて、機能部12bの両端部の外側に流路23bが連通するように第二の基板20bを貫通して形成された傾斜部231bを備えている。
このようなマイクロ流体デバイスは、第二の基板20bにおける、第一の基板10bの反対側にフィルムなどからなる第三の基板を備え、第三の基板において流路23bの両端部に対応する位置に流体流入口と流体流出口を備えたものとすることが好ましい。
【0061】
また、図10(B)に示すように,本実施形態のマイクロ流体デバイスの他の変形例として、第一の基板10cに機能部12cを形成すると共に、第二の基板20cの第一の基板10cと向かい合う表面に流路23cを形成し、機能部12cの両端部の外側に連通する流路23cの端部に傾斜部231cを備えると共に、流路23cの傾斜部231cとは反対側の両端部に流体流入口21cと流体流出口22cを備えた構成とすることも好ましい。
【0062】
さらに、図10(c)に示すように,本実施形態のマイクロ流体デバイスの他の変形例として、一枚の基板からなるマイクロ流体デバイスとすることも好ましい。この変形例は、内部に機能部12dを有すると共に、機能部12dの両端部に流路11dが連通され、機能部12dの両端部の外側に位置する流路11dに、機能部12dの水平面に対して傾斜する傾斜部111dが備えられている。
【0063】
なお、傾斜部111dを機能部12dの一方の端部の外側に位置する流路11dのみに備えてもよい。また、流路11dの両端部に流体流入口13dと流体流出口14dを備えた構成とすることも好ましい。
このように、本実施形態のマイクロ流体デバイスは、基板に様々な形態で、機能部と傾斜部を有する流路を形成させたものとすることが可能である。
【0064】
[マイクロ流体デバイスの製造方法]
本実施形態の流体デバイスを、切削加工、射出成形、ホットエンボス加工、レーザー加工、エッチング加工などを用いて行うことも好ましい。
さらにまた、本実施形態のマイクロ流体デバイスを、3Dプリンタを用いて形成することも好ましく、特に図10(c)に示すマイクロ流体デバイスは、このような製造方法によって、好適に製造することが可能である。
【0065】
[検査方法]
次に、図11を参照して、本実施形態のマイクロ流体デバイスを用いた検査方法について説明する。図11は、本実施形態のマイクロ流体デバイスを用いて蛍光検出を行う様子を示す模式図である。なお、図11では、第二実施形態のマイクロ流体デバイスを用いているが、第一実施形態のマイクロ流体デバイスも同様にして用いることができる。
図11には、加熱装置50に載置されたマイクロ流体デバイスが示されている。このマイクロ流体デバイスにおける機能部12aに対面するように、検出装置40が配置されている。
【0066】
本実施形態のマイクロ流体デバイスを用いた検査方法では、まず、第一の基板10aの機能部12aに、反応用物質が固定化された担体を配置して、第一の基板10aと第二の基板20aを接合し、検査に用いるマイクロ流体デバイスを準備する。
次いで、流体流入口21aから試薬を注入して担体の表面と接触させる。このとき、必要に応じて、例えば、試薬を流路11a内において往復移動するよう送液することによって撹拌することができる。
【0067】
また、このとき、本実施形態のマイクロ流体デバイスには、傾斜部111aが機能部12aの両端部の外側に備えられているため、試薬が傾斜部111aを経由することによって、機能部12aに対する試薬の流れや渦を生じさせることができるようになっている。
このため、機能部12aにおける試薬と担体の表面との反応を促進させることが可能となっている。
【0068】
試薬には、被検査物質に蛍光物質を結合したものが含まれている。また、担体の表面における反応用物質は、検査対象物と反応することによって、検査対象物を担体の表面に固定する。
したがって、試薬に検査対象物が含まれていると、検査対象物は担体の表面における反応性物質に捕捉されるため、捕捉された検査対象物の蛍光物質を検出することによって、試薬における検査対象物の有無を判定することができるようになっている。
【0069】
このとき、マイクロ流体デバイスの機能部12aにおける試薬の温度が、検査対象物と反応用物質との反応に適した温度に保たれるように、加熱装置50によってマイクロ流体デバイスを加熱する。
検査対象物と反応用物質の反応完了後、流体流入口21aから洗浄液を注入しつつ、流体流出口22から試薬と洗浄液を排出して、流路11a内における試薬を洗浄液に置換する。
そして、機能部12aに配置された担体に対して、光源41から蛍光の励起用のレーザーを照射し、蛍光検出部42によって、担体の表面における反応用物質と反応した検査対象物に結合する蛍光物質から励起された蛍光を検出する。
【0070】
このような本実施形態の検査方法によれば、使用する本実施形態のマイクロ流体デバイスに傾斜部が備えられているため、機能部に対して試薬の流れを生じさせることができ、機能部における反応を促進させることが可能である。
【0071】
[検査システム]
次に、図12を参照して、本実施形態の検査システムについて説明する。図12は、本実施形態の検査システムの構成を示す模式図である。
図12に示すように、本実施形態の検査システム60は、マイクロ流体デバイス61と、試薬供給部62と、廃液排出部63と、加熱装置64と、検出装置65と、送液制御部66を有している。
【0072】
マイクロ流体デバイス61は、上記の各実施形態に係るマイクロ流体デバイスである。
試薬供給部62は、試薬が充填された容器やチューブなどにより構成される。試薬としては、例えば検査対象物であるDNAを含むハイブリダイゼーションバッファーなどが用いられる。また、ハイブリダイゼーション後、マイクロ流体デバイス61からバッファーを洗い流すための洗浄液も用いられる。
廃液排出部63は、マイクロ流体デバイス61における反応後、マイクロ流体デバイス61からの廃液を貯留する容器やチューブなどにより構成される。
また必要に応じて、マイクロ流体デバイス61と、試薬供給部62と、廃液排出部63とを併せて備えることも好ましい。
【0073】
加熱装置64は、マイクロ流体デバイス61を加熱して、機能部における試薬の温度を反応に適した温度に調節する。この加熱装置64としては、ヒーターや金属製のステージを用いて構成することができる。具体的には、例えばペルチェ式ヒーターを用いることができる。また、必要に応じて冷却させるために、冷却ファンなどの冷却装置を併せて備えることも好ましい。
【0074】
検出装置65は、図11の検出装置40に相当するものであり、試薬に含まれる蛍光物質の蛍光を励起する光を照射する光源と、発生した蛍光を検出する蛍光検出部とを備えている。
すなわち、光源がマイクロ流体デバイス61の担体保持部に配置された担体に励起レーザを照射して、蛍光検出部が担体の表面に固定化された反応用物質に結合した試薬の蛍光色素から放出される蛍光を検出して数値化する。
【0075】
また、本実施形態の検査システム60において、加熱装置64は、マイクロ流体デバイス61の第一の基板側に配置され、検出装置65は、マイクロ流体デバイス61の第二の基板側に配置される。
そして、検出装置65の蛍光検出部は、第二の基板を介して、第一の基板に配置された担体(又は機能部)から放出される蛍光を検出する。
【0076】
送液制御部66は、試薬供給部62からマイクロ流体デバイス61への試薬の送液を制御する。送液制御部66は、流体を流すためにアクチュエータとして空気圧を用いるニューマチック型、蠕動運動型、加熱による気体の膨張を利用するサーモニューマチック型、静電引力型、電磁石型、ピエゾ型、バイメタル型、形状記憶合金型、電圧駆動型などがあげられる。具体的には、例えば流路内を加圧するポンプ、ペリスタポンプ、シリンジポンプ等を好適に用いることができる。
【0077】
また、本実施形態の検査システム60において、バルブ制御部67と制御装置68を備えることも好ましい。
バルブ制御部67は、マイクロ流体デバイス61にバルブ部が備えられている場合、バルブ部を制御することによって流路に対して外部から力を与え、流路の開閉、切替、流量調節を行うことができる。バルブ制御部67は、アクチュエータにより可動部を動かして流路を変形・遮断する能動型と、機械的構造や流路寸法、表面親水性により流れの方向を規定する受動型のものがあげられる。アクチュエータとしては、空気圧を用いるニューマチック型、加熱による気体の膨張を利用するサーモニューマチック型、静電引力型、電磁石型、ピエゾ型、バイメタル型、形状記憶合金型、おもりやバネを用いる挟持型などがあげられ、特にニューマチック型を特に好適に用いることができる。
【0078】
制御装置68は、加熱装置64、検出装置65、送液制御部66、及びバルブ制御部67を制御する情報処理装置などにより構成することができる。この情報処理装置としては、コンピュータやマイコン、PLC(programmable logic controller,プログラマブルロジックコントローラ)などを用いることができる。制御装置68は、各装置を制御するための情報を所定のタイミングで送信することによりそれらの動作を制御することができる。
【0079】
また、本実施形態の検査システムを、検体から検査対象遺伝子を抽出する核酸抽出機構と、抽出された核酸を増幅する増幅反応機構と、増幅産物中の検査対象遺伝子を検出するための上述した本実施形態のマイクロ流体デバイスを備える検出機構とを有し、少なくともこれらの機構が、この順に流路で接続された構成とすることも好ましい。
勿論、これらの機構の間に、その他の処理を行う機構を有するものとすることができることは言うまでもない。
【0080】
核酸抽出機構は、検体の細胞の破砕物からゲノムDNAを抽出する構成である。ゲノムDNAの抽出は、CTAB法(Cetyl trimethyl ammonium bromide)や多孔質材料を使ってPCR阻害物質を低減する方法や、DNA吸着担体とフィルター、磁性ビーズなどの分離精製方法を組み合わせたDNA抽出キット・装置を用いる方法など、一般的な手法により行うことができる。
増幅反応機構は、抽出したゲノムDNAにおける標的領域を増幅させる構成である。すなわち、ゲノムDNAにおける標的領域を含むDNA断片を増幅させる。この標的領域の増幅方法は、特に限定されないが、PCR法を好適に用いることができる。PCR法では、標的領域を増幅させるためのプライマーセットを含有するPCR反応液を用いて、標的領域を増幅させる。PCR装置としては、一般的なサーマルサイクラーなどを用いることができる。
【0081】
検出機構は、図12を用いて上述した検査システムの構成部分である。すなわち、本実施形態の検査システムによって、増幅産物を本実施形態のマイクロ流体デバイスの担体保持部に配置したDNAマイクロアレイのプローブと反応させ、プローブと結合した増幅産物の標識を検出することで、増幅産物の有無を確認する。
【0082】
以上説明したように、本実施形態のマイクロ流体デバイスによれば、機能部の端部に傾斜部が備えられているため、流路に送液される流体に機能部の表面付近において流れや渦を生じさせることができ、機能部における反応などを促進させることが可能である。
また、本実施形態のマイクロ流体デバイスの製造方法によれば、本実施形態のマイクロ流体デバイスを一枚の基板を用いて形成する場合でも、好適に製造することが可能である。
【0083】
また、本実施形態の検査方法によれば、使用する本実施形態のマイクロ流体デバイスに傾斜部が備えられているため、機能部に対して試薬の流れを生じさせることができ、機能部における反応を促進させることが可能である。
さらに、本実施形態の検査システムによれば、検体からの検査対象物の抽出から、マイクロ流体デバイスによる検査対象物の検出までを自動的に制御することが可能である。また、マイクロ流体デバイスの機能部における反応などを促進させることができるため、検査精度を向上させることが可能である。
【実施例0084】
以下、本発明の実施形態に係るマイクロ流体デバイスを用いた検査において、検出される蛍光強度の増加効果を確認するための試験、及びマイクロ流体デバイスの傾斜部の傾斜角度による蛍光強度の増加効果への影響を確認するための試験を行った。
【0085】
[試験1]
まず、本実施形態のマイクロ流体デバイスと、流路に傾斜部を備えていないマイクロ流体デバイスを作成し、これらを用いて蛍光強度の増加効果を確認するための試験を行った。
具体的には、本実施形態のマイクロ流体デバイスとして、図1及び図2に示すマイクロ流体デバイスを作成して実施例1とした。
【0086】
このとき、第一の基板として、光硬化式3Dプリンタ(3DSystems社製)使用し、56mm×24.8mm×3mmの基板を作成した。また、第二の基板として、シクロオレフィンポリマー製の56mm×24.8mm×0.1mmのフィルムを使用した。
【0087】
第一の基板の中央部分には機能部を配置した。機能部は六角形状とし、機能部内に担体保持部を形成した。また、機能部の幅を3.25mm、長さを5.5mmとし、担体保持部以外の深さを0.3mm、担体保持部の深さを0.935mmとした。
また、機能部の長手方向の両端側に流路を配置した。一方の流路は、幅を1mm、長さを36mm、深さを0.3mmとした。また、他方の流路には傾斜部を形成した。傾斜部の傾斜角度を30°、斜面の長さを1.13mmとし、流路の幅を1mm、長さを36.151mm(傾斜部を含む)、深さを0.3mmとした。
第二の基板には、上記の流路の両端部に対応させて、流体流入口と流体流出口を穴加工した。
【0088】
また、担体保持部にDNAマイクロアレイ(縦横3.1mm,厚み0.635mm、ジーンシリコン(R)、東洋鋼鈑株式会社製)を配置した。
このDNAマイクロアレイは、予め以下の表に示される配列番号1の塩基配列からなるプローブを固定化して作成した。
【表1】
そして、第一の基板に形成した流路が内側に配置されるように、第一の基板と第二の基板を粘着剤により接合して、実施例1のマイクロ流体デバイスを完成させた。
【0089】
また、流路に傾斜部を備えていないマイクロ流体デバイスとして、図15及び図16に示すマイクロ流体デバイスを作成して参考例1とした。
具体的には、第一の基板として、光硬化式3Dプリンタ(3DSystems社製)を使用し、56mm×24.8mm×3mmの基板を作成した。また、第二の基板として、シクロオレフィンポリマー製の56mm×24.8mm×0.1mmのフィルムを使用した。
【0090】
第一の基板に対して、流路の幅が1mm、長さが36mm、深さが0.3mmの流路を配置した。
また、流路の長手方向の中央に機能部を配置した。機能部は六角形状とし、機能部内に担体保持部を形成した。また、機能部の幅を3.25mm、長さを5.5mmとし、担体保持部以外の深さを0.3mm、担体保持部の深さを0.935mmとした。
さらに、第二の基板において、流路の両端部に流体流入口と流体流出口を穴加工した。
【0091】
担体保持部に実施例1と同じDNAマイクロアレイ(縦横3.1mm,厚み0.635mm、ジーンシリコン、東洋鋼鈑株式会社製)を配置した。
そして、第一の基板に形成した担体保持部と第二の基板に形成した流路が内側に配置されるように、第一の基板と第二の基板を粘着剤により接合して、参考例1のマイクロ流体デバイスを完成させた。
【0092】
次に、マイクロ流体デバイスに送液するための試薬に含まれる検査対象物として、表1に示される配列番号2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを準備した。このオリゴヌクレオチドは、DNAマイクロアレイに固定化したプローブと相補的塩基配列を備えている。また、このオリゴヌクレオチドの5末端には、蛍光標識であるCy5が結合されている。
そして、試薬として、この検査対象物を含むハイブリダイゼーションバッファー(オリゴヌクレオチド0.67nM+0.75×SSCクエン酸-生理食塩水+0.75%SDS)を30μL準備した。
【0093】
そして、実施例1のマイクロ流体デバイスを加熱ステージに載置して機能部内の温度が49.5℃になるように加温した。
そして、マイクロ流体デバイスに試薬を注入して、試薬における検査対象物とDNAマイクロアレイにおけるプローブとの反応を行わせた。
このとき、10秒毎にマイクロ流体デバイスの流体流入口から試薬30μLを約15μL/秒の速度で送液し、その直後同速度で吸引して試薬を反対方向に送液することで、機能部内における試薬を撹拌した。これを60回繰り返し行ってハイブリダイゼーションを行った。
【0094】
次いで、試薬として、第1の洗浄液(0.75×SSCクエン酸-生理食塩水+0.75%SDS)30μLを用いて、機能部内を2回洗浄し、さらに第2の洗浄液(1×SSCクエン酸-生理食塩水)30μLを用いて機能部内を2回洗浄し、流路内に同洗浄液を充填した。
【0095】
そして、蛍光検出機(GENOGATE(R)リーダー,東洋製罐グループエンジニアリング株式会社製)を用いて、DNAマイクロアレイに固定化されたプローブにおける蛍光強度(プローブに結合した検査対象物に結合された蛍光色素の蛍光強度)を測定して、蛍光強度値とバックグラウンド値を取得し、静置状態の蛍光強度に対する試薬を攪拌させた時の蛍光強度の増加割合を算出した。このとき、蛍光強度の増加割合Rを、次の式にもとづき算出した。
R=攪拌させた時の蛍光強度/静置状態の蛍光強度×100-100
【0096】
実施例1の静置状態の蛍光強度は1833であり、攪拌させた時の蛍光強度は2713であった。一方、参考例1の静置状態の蛍光強度は1930であり、攪拌させた時の蛍光強度は1967であった。したがって、実施例1の蛍光強度の増加割合は48%であり、参考例1の蛍光強度の増加割合は1.9%であった。この結果を図13のグラフに示す。
【0097】
このように、マイクロ流体デバイスの流路の機能部の端部に傾斜部を備えることにより、流路に傾斜部を備えていないマイクロ流体デバイスに比較して、機能部における反応によって得られる蛍光強度が増加することが確認された。
すなわち、本実施形態のマイクロ流体デバイスに備えられた傾斜部によれば、機能部における反応などを促進可能であることが明らかとなった。
【0098】
[試験2]
次に、様々な傾斜角の傾斜部を備えたマイクロ流体デバイスと、流路に傾斜部を備えていないマイクロ流体デバイスを作成し、これらを用いてマイクロ流体デバイスの傾斜部の傾斜角度による蛍光強度の増加効果への影響を確認するための試験を行った。
【0099】
具体的には、本実施形態のマイクロ流体デバイスとして、傾斜部の傾斜角度が5°、流路の長さが36.004mm(傾斜部を含む)である点を除いて実施例1と同じである実施例2のマイクロ流体デバイスと、傾斜部の傾斜角度が10°、流路の長さが36.017mm(傾斜部を含む)である点を除いて実施例1と同じである実施例3のマイクロ流体デバイスと、傾斜部の傾斜角度が60°、流路の長さが36.563mm(傾斜部を含む)である点を除いて実施例1と同じである実施例4のマイクロ流体デバイスを準備した。なお、実施例2~4の傾斜部における斜面の長さは、実施例1と同じである。
【0100】
そして、試験1と同様にして、それぞれのマイクロ流体デバイスを用いて、ハイブリダイゼーションを行い、蛍光検出機(GENOGATE(R)リーダー,東洋製罐グループエンジニアリング株式会社製)を用いて、DNAマイクロアレイに固定化されたプローブにおける蛍光強度を測定して、蛍光強度値とバックグラウンド値を取得し、静置状態の蛍光強度に対する試薬を攪拌させた時の蛍光強度の増加割合を算出した。
【0101】
実施例2の静置状態の蛍光強度は1805であり、攪拌させた時の蛍光強度は2769であった。実施例3の静置状態の蛍光強度は1683であり、攪拌させた時の蛍光強度は2901であった。実施例4の静置状態の蛍光強度は2181であり、攪拌させた時の蛍光強度は3575であった。したがって、実施例2の蛍光強度の増加割合は53.4%であり、実施例3の蛍光強度の増加割合は72.4%であり、実施例4の蛍光強度の増加割合は64.0%であった。この結果を試験1における実施例1と参考例1を含めて図14のグラフに示す。
【0102】
このように、マイクロ流体デバイスの流路における傾斜部の傾斜角度が5°、10°、30°、60°のいずれの場合も、機能部における反応によって得られる蛍光強度が大きく増加することが確認された。
すなわち、マイクロ流体デバイスの流路における傾斜部の傾斜角度が5°程度のような小さな傾斜角度であっても、流路に傾斜部を備えていないマイクロ流体デバイスに比較して、機能部における反応によって得られる蛍光強度を大きく増加できることが明らかとなった。
【0103】
本発明は、以上の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、流路を一直線状ではなく、1つ又は複数の曲がり角を備えたものとしたり、1つ又は複数の分岐を備えたものとしたり、機能部をその他の形状にするなど適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、マイクロ流体デバイスを用いた検査対象物の存否の検査において、特に機能部における反応感度を向上させたい場合などに、好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0105】
10,10’,10-1~10-3,10a~10d 第一の基板
11,11’,11-1~11-3,11a,11d 流路
111,111’,111-1~111-3,111a,111d 傾斜部
12,12’,12-1~12-3,12a~12d 機能部
13d 流体流入口
14d 流体流出口
20,20’,20a,20b,20c 第二の基板
21,21’,21a,21b,21c 流体流入口
22,22’,22a,22b,22c 流体流出口
23b,23c 流路
231b,231c 傾斜部
30 担体
40 検出装置
41 光源
42 蛍光検出部
50 加熱装置
60 検査システム
61 マイクロ流体デバイス
62 試薬供給部
63 廃液排出部
64 加熱装置
65 検出装置
66 送液制御部
67 バルブ制御部
68 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【配列表】
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