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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029795
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】攪拌システム
(51)【国際特許分類】
   B01F 31/23 20220101AFI20240229BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240229BHJP
   B01F 35/33 20220101ALI20240229BHJP
   B01F 35/42 20220101ALI20240229BHJP
   B01F 29/321 20220101ALI20240229BHJP
【FI】
B01F31/23
B25J13/00 Z
B01F35/33
B01F35/42
B01F29/321
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132176
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川島 健太
(72)【発明者】
【氏名】久保 祐治
【テーマコード(参考)】
3C707
4G036
4G037
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707DS01
3C707KS34
3C707KX07
3C707MT06
4G036AA21
4G036AB11
4G037DA01
4G037DA25
4G037EA10
(57)【要約】
【課題】容器に入った液体を攪拌するための容器の移動を許容しつつ、容器の脱落を抑制することを可能とした攪拌システムを提供する。
【解決手段】円筒形状を有した容器V内の液体Lを攪拌する攪拌システム1であって、容器Vが設置される収容部21を備える容器ホルダ20と、上下方向に延びる旋回軸Xを中心として容器ホルダ20を旋回させる旋回運動部10と、容器Vの上面USを上方から押圧する押圧部30と、容器ホルダ20を下方から弾性支持する第1弾性部11と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の容器内の液体を攪拌する攪拌システムであって、
前記容器が設置される収容部を備える容器ホルダと、
上下方向に延びる旋回軸を中心として前記容器ホルダを旋回させる旋回運動部と、
前記容器の上面を上方から押圧する押圧部と、を備え、
さらに、前記容器ホルダを下方から弾性支持する第1弾性部、及び、前記押圧部のうち前記容器と接する部分を上方から弾性支持する第2弾性部の少なくとも一方を備える
攪拌システム。
【請求項2】
前記押圧部が前記容器の上面を押圧可能な押圧位置と、前記押圧部が前記容器の上面から退避した退避位置と、の間において、前記押圧部を移動させる移動部をさらに備える
請求項1に記載の攪拌システム。
【請求項3】
前記容器は、円筒形状を有し、
前記収容部は、円形の底面と、上部に位置する円形の開口とを備え、
前記開口の直径をΦDUとし、
前記旋回運動部による前記容器ホルダの旋回において、前記開口の中心が通過する軌跡の直径をΦDTとし、
前記容器の底面の直径をΦDVとしたときに、
ΦDU>ΦDT+ΦDVを満たし、
前記収容部の底面の直径をΦDBとしたときに、
ΦDU>ΦDB>ΦDVを満たす
請求項1または2に記載の攪拌システム。
【請求項4】
前記押圧部は、前記押圧部のうち前記容器と接する部分として、前記容器ホルダの旋回に追従した前記容器の移動に追従して回転しながら前記容器の上面と接する回転接触部を備える
請求項1または2に記載の攪拌システム。
【請求項5】
前記回転接触部は、ボールローラである
請求項4に記載の攪拌システム。
【請求項6】
前記容器は、円筒形状を有し、
前記攪拌システムは、前記第1弾性部を備え、
前記第1弾性部は、前記押圧部が前記容器を押圧していない状態を基準として、上下方向に沿って第1圧縮可能距離D1を変位可能に構成され、
前記容器の側面と対向する視点から見る平面視で、前記容器の底面の端部と前記容器の上面の端部とを繋ぎ、かつ、前記円筒形状の中心軸と交差する対角線の長さをLVとし、
前記容器の底面から前記容器の上面までの高さをHVとし、
前記押圧部の押圧量をWとしたとき、
前記押圧部は、D1>W、かつ、LV-HV>D1-Wを満たすように前記容器を押圧する
請求項1または2に記載の攪拌システム。
【請求項7】
前記容器は、円筒形状を有し、
前記攪拌システムは、前記第2弾性部を備え、
前記第2弾性部は、前記押圧部が前記容器を押圧していない状態を基準として、上下方向に沿って第2圧縮可能距離D2を変位可能に構成され、
前記容器の側面と対向する視点から見る平面視で、前記容器の底面の端部と前記容器の上面の端部とを繋ぎ、かつ、前記円筒形状の中心軸と交差する対角線の長さをLVとし、
前記容器の底面から前記容器の上面までの高さをHVとし、
前記押圧部の押圧量をWとしたとき、
前記押圧部は、D2>W、かつ、LV-HV>D2-Wを満たすように前記容器を押圧する
請求項1または2に記載の攪拌システム。
【請求項8】
前記容器を前記容器ホルダに設置する動作と、前記容器ホルダに設置された前記容器を前記容器ホルダから取り出す動作とを実行可能に構成された容器搬送部をさらに備える
請求項1または2に記載の攪拌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌システムに関する。
【背景技術】
【0002】
容器に入った液体を攪拌するための方法として、容器を旋回させることで内部の液体に渦を発生させる方法が知られている。例えば、液体が入った容器を人の手で支持しながら旋回運動するテーブルに押し当てる。これにより、テーブルの旋回運動が容器に伝わることで、容器内の液体に渦が発生して攪拌される。
【0003】
近年、実験の効率化や再現性を高める観点から、実験及びその準備作業の自動化が進められている。例えば、特許文献1では、ロボットハンドで把持したマイクロチューブを旋回運動するミキサに押し当てることで内容物を攪拌する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5776772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロボットハンドで容器を把持する場合、把持力が強すぎると、容器の移動がロボットハンドによって拘束されることでミキサの旋回運動が容器に伝わらない場合がある。ミキサの旋回運動を容器に伝えるためにロボットハンドの把持力を弱めた場合には、容器を安定して支持することができず、容器の脱落を招くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための攪拌システムは、筒状の容器内の液体を攪拌する攪拌システムであって、前記容器が設置される収容部を備える容器ホルダと、上下方向に延びる旋回軸を中心として前記容器ホルダを旋回させる旋回運動部と、前記容器の上面を上方から押圧する押圧部と、を備え、さらに、前記容器ホルダを下方から弾性支持する第1弾性部、及び、前記押圧部のうち前記容器と接する部分を上方から弾性支持する第2弾性部の少なくとも一方を備える。
【0007】
上記構成によれば、容器が設置された容器ホルダを旋回させることで、容器ホルダ及び押圧部によって上下から挟み込まれた容器内の液体が、遠心力によって攪拌される。このとき、第1弾性部及び第2弾性部の少なくとも一方を備えることで、容器ホルダの旋回に追従した容器の移動を許容しつつ、容器ホルダ内に容器を保持するための荷重を容器に作用させることができる。
【0008】
上記攪拌システムにおいて、前記押圧部が前記容器の上面を押圧可能な押圧位置と、前記押圧部が前記容器の上面から退避した退避位置と、の間において、前記押圧部を移動させる移動部をさらに備えてもよい。上記構成によれば、押圧部を移動させる移動部を備えることで、容器ホルダへの容器の設置、及び、攪拌後の容器の容器ホルダからの取出しを容易に行うことができる。例えば、容器ホルダへの容器の設置、及び、攪拌後の容器の容器ホルダからの取出しを、ロボットアーム等で自動化することも可能となる。
【0009】
上記攪拌システムにおいて、前記容器は、円筒形状を有し、前記収容部は、円形の底面と、上部に位置する円形の開口とを備え、前記開口の直径をΦDUとし、前記旋回運動部による前記容器ホルダの旋回において、前記開口の中心が通過する軌跡の直径をΦDTとし、前記容器の底面の直径をΦDVとしたときに、ΦDU>ΦDT+ΦDVを満たし、前記収容部の底面の直径をΦDBとしたときに、ΦDU>ΦDB>ΦDVを満たす構成としてもよい。収容部の開口の直径を上記の大きさとすることで、旋回軸に対して容器ホルダが何れの位置にあっても、旋回軸の周囲には、容器を挿通可能な大きさの開口の面積が常に確保される。したがって、旋回軸に対して容器ホルダが何れの位置にあっても、容器ホルダへの容器の設置、及び、攪拌後の容器の容器ホルダからの取出しを一定の位置で行うことができる。例えば、容器ホルダへの容器の設置、及び、攪拌後の容器の容器ホルダからの取出しをロボットアーム等で自動化する際には、旋回軸に対する容器ホルダの位置の検出が不要となる。
【0010】
上記攪拌システムにおいて、前記押圧部は、前記押圧部のうち前記容器と接する部分として、前記容器ホルダの旋回に追従した前記容器の移動に追従して回転しながら前記容器の上面と接する回転接触部を備えてもよい。上記構成によれば、容器ホルダの旋回に追従して移動する容器を回転接触部によって押圧することで、容器と押圧部との摩擦力を低減できる。
【0011】
上記攪拌システムにおいて、前記回転接触部は、ボールローラであってもよい。上記構成によれば、回転接触部としてボールローラを用いることで、旋回軸と直交する平面内において、容器の上面がボールローラに対して何れの方向に移動した場合であっても、容器と押圧部との摩擦力を好適に低減できる。
【0012】
上記攪拌システムにおいて、前記容器は、円筒形状を有し、前記攪拌システムは、前記第1弾性部を備え、前記第1弾性部は、前記押圧部が前記容器を押圧していない状態を基準として、上下方向に沿って第1圧縮可能距離D1を変位可能に構成され、前記容器の側面と対向する視点から見る平面視で、前記容器の底面の端部と前記容器の上面の端部とを繋ぎ、かつ、前記円筒形状の中心軸と交差する対角線の長さをLVとし、前記容器の底面から前記容器の上面までの高さをHVとし、前記押圧部の押圧量をWとしたとき、前記押圧部は、D1>W、かつ、LV-HV>D1-Wを満たすように前記容器を押圧してもよい。上記構成によれば、容器ホルダが旋回する際の振動によって、押圧部が容器の上面から外れる程度にまで容器が過剰に傾くことを抑制できる。これにより、押圧部が容器の上面を押圧した状態を保つことができるため、容器ホルダの旋回に伴う容器の脱落を防止できる。
【0013】
上記攪拌システムにおいて、前記容器は、円筒形状を有し、前記攪拌システムは、前記第2弾性部を備え、前記第2弾性部は、前記押圧部が前記容器を押圧していない状態を基準として、上下方向に沿って第2圧縮可能距離D2を変位可能に構成され、前記容器の側面と対向する視点から見る平面視で、前記容器の底面の端部と前記容器の上面の端部とを繋ぎ、かつ、前記円筒形状の中心軸と交差する対角線の長さをLVとし、前記容器の底面から前記容器の上面までの高さをHVとし、前記押圧部の押圧量をWとしたとき、前記押圧部は、D2>W、かつ、LV-HV>D2-Wを満たすように前記容器を押圧してもよい。上記構成によれば、容器ホルダが旋回する際の振動によって、押圧部が容器の上面から外れる程度にまで容器が過剰に傾くことを抑制できる。これにより、押圧部が容器の上面を押圧した状態を保つことができるため、容器ホルダの旋回に伴う容器の脱落を防止できる。
【0014】
上記攪拌システムにおいて、前記容器を前記容器ホルダに設置する動作と、前記容器ホルダに設置された前記容器を前記容器ホルダから取り出す動作とを実行可能に構成された容器搬送部をさらに備えてもよい。上記構成によれば、容器搬送部によって容器を容器ホルダに設置することと、容器ホルダに設置された容器を容器ホルダから取り出すことと、を自動で行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容器に入った液体を攪拌するための容器の移動を許容しつつ、容器の脱落を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、攪拌システムを模式的に示す正面図である。
図2図2は、旋回運動部及び容器ホルダを示す上面図である。
図3図3は、容器ホルダ及び容器を示す正面図である。
図4図4は、旋回軸に対するホルダ開口の位置関係を示す上面図である。
図5図5は、押圧部と容器と第1弾性部とを示す正面図である。
図6図6は、攪拌システムの変更例を示す図であって、第1弾性部に代えて第2弾性部を設けた場合の構成を示す正面図である。
図7図7は、攪拌システムの変更例を示す図であって、第1弾性部に加えて第2弾性部を設けた場合の構成を示す正面図である。
図8図8は、比較例1の構成を模式的に示す正面図である。
図9図9は、実施例1~3及び比較例1の評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[攪拌システム]
以下、攪拌システムの一実施形態について図1図7を参照して説明する。
図1に示すように、攪拌システム1は、容器Vに入った液体Lを自動で攪拌するための機構である。容器Vは、一例として、本体部V1と蓋部V2とを備える。本体部V1は、一例として、上部に開口を有した円筒形状を有する。蓋部V2は、一例として、本体部V1よりも小径の円筒形状を有する。蓋部V2は、本体部V1に対して着脱可能に構成されるとともに、本体部V1に装着された状態で本体部V1の開口を塞ぐ。
【0018】
攪拌システム1は、旋回運動部10と、容器ホルダ20と、押圧部30と、容器搬送部40とを備える。旋回運動部10は、第1弾性部11を備える。第1弾性部11は、容器ホルダ20を下方から弾性支持する。第1弾性部11は、コイルばね11Aを備える。第1弾性部11は、コイルばね11Aによる付勢力によって容器ホルダ20を下方から上方に向けて付勢する。第1弾性部11は、容器Vが設置された状態であって、容器Vに荷重が作用していない状態を基準として、上下方向に沿って所定の第1圧縮可能距離D1を押圧されて変位可能に構成される。
【0019】
旋回運動部10は、上下方向に延びる旋回軸Xを中心として第1弾性部11を旋回させる。これにより、容器ホルダ20が旋回軸Xを中心として旋回する。旋回運動部10は、例えば、ボルテックスミキサであってもよい。
【0020】
容器ホルダ20は、一例として、ポリアミドなどの樹脂製で構成される。容器ホルダ20は、収容部21を備える。収容部21には、容器Vが設置される。収容部21は、上部に位置するホルダ開口22と、平坦なホルダ底面23とを有した凹部である。ホルダ開口22は、一例として、円形状を有する。ホルダ底面23は、一例として、ホルダ開口22よりも小径の円形状を有する。収容部21は、ホルダ開口22からホルダ底面23に向けて徐々に縮径するテーパ状の斜面24を備える。
【0021】
収容部21の中心軸Yは、ホルダ開口22の円形状の中心とホルダ底面23の円形状の中心とを通過する。すなわち、ホルダ開口22の円形状は、上面視でホルダ底面23の円形状と同心円である。収容部21の中心軸Yは、容器ホルダ20が旋回する中心である旋回軸Xに対して所定の距離Dの分だけ偏心している。容器ホルダ20は、旋回軸Xに対して常に距離Dの分だけ中心軸Yが偏心した状態で、旋回軸Xの周囲を旋回する。
【0022】
押圧部30は、容器ホルダ20に設置された容器Vの上面USを上方から押圧する。押圧部30が容器ホルダ20に設置された容器Vを上方から押圧することで、容器Vが上下に挟み込まれるようにして容器ホルダ20内に保持される。容器Vの上面USは、容器Vのなかで蓋部V2が備える面である。
【0023】
この状態で、旋回運動部10が容器ホルダ20を旋回させることで、容器ホルダ20の旋回に追従して容器Vが移動する。このようにして容器Vが容器ホルダ20とともに旋回することで、容器V内の液体Lが遠心力によって攪拌される。言い換えれば、押圧部30が容器Vを押圧することで、第1弾性部11によって容器ホルダ20の旋回に追従した容器Vの移動を許容しつつ、容器ホルダ20内に容器Vを保持するための荷重を、容器Vに作用させることができる。
【0024】
なお、第1弾性部11が変位可能に構成される第1圧縮可能距離D1は、押圧部30が容器Vを押圧していない状態を基準として、コイルばね11Aが圧縮されることで第1弾性部11が下方に向かって変位する距離である。
【0025】
押圧部30は、回転接触部31を備える。回転接触部31は、押圧部30の先端に位置する部分であって、容器Vの上面USと接する部分である。回転接触部31は、一例として、ボールローラである。回転接触部31は、容器ホルダ20の旋回に追従した容器Vの移動に追従して回転しながら容器Vの上面USと接する。回転接触部31は、一例として、旋回軸X上に配置されるが、旋回軸Xに対して偏心していてもよい。
【0026】
押圧部30において、容器Vの上面USとの接触を回転接触部31が担うことで、容器Vと押圧部30との摩擦力を低減できる。これにより、例えば、容器Vの上面USが削れることを抑制できる。
【0027】
押圧部30は、押圧量調整部32を備える。押圧量調整部32は、回転接触部31を上下方向に移動させることで、容器Vの押圧量を調整する。押圧量調整部32は、一例として、電動のスライダである。
【0028】
攪拌システム1は、押圧部30を移動可能に支持する移動部33を備える。移動部33は、押圧部30を移動させることで、押圧部30が容器Vの上面USを押圧可能な状態と、押圧部30が容器Vの上面USから退避した状態と、を切り換える。言い換えれば、移動部33は、押圧部30が容器Vの上面USを押圧可能な押圧位置と、押圧部30が容器Vの上面USから退避した退避位置と、の間において、押圧部30を移動させる。なお、図1では、押圧位置に位置する押圧部30を実線で示すとともに、退避位置に位置する押圧部30を二点鎖線で示す。
【0029】
移動部33によって押圧部30を容器Vの上面USから退避させることで、容器ホルダ20への容器Vの設置、及び、攪拌後の容器Vの容器ホルダ20からの取出しを容易に行うことができる。言い換えれば、移動部33を設けることで、容器ホルダ20に容器Vを設置する際、及び、攪拌後の容器Vを容器ホルダ20から取り出す際に、容器Vに押圧部30が干渉することを防ぐことができる。
【0030】
移動部33は、一例として、押圧部30を1次元方向に水平移動させる。なお、移動部33が押圧部30を1次元方向に上下移動させる構成であってもよいし、2次元方向もしくは3次元方向に移動させる構成であってもよい。また、移動部33は、押圧部30と一体の多軸ロボットのような構成であってもよい。例えば、押圧部30と移動部33とを一体に構成する場合、3次元方向に移動可能なロボットアームの先端に回転接触部31を設けてもよい。この場合、ロボットアームが押圧量調整部32と移動部33とを担う。
【0031】
容器搬送部40は、一例として、3次元方向に移動可能なロボットアームである。容器搬送部40は、先端に容器把持部41を備える。容器把持部41は、容器Vを掴む動作と掴んだ容器Vを離す動作とを実行可能に構成される。容器把持部41は、一例として、ロボットハンドである。容器搬送部40は、容器Vを容器ホルダ20に設置する動作と、容器ホルダ20に設置された容器Vを容器ホルダ20から取り出す動作と、を実行可能に構成される。
【0032】
攪拌システム1は、制御装置100を備える。制御装置100は、攪拌システム1の各部の動作を制御する。制御装置100は、例えば、制御部と、記憶部とを備える。制御部は、一例として、CPUである。制御部は、例えば、旋回運動部10が容器ホルダ20を旋回させる動作を制御する。制御部は、例えば、押圧部30が容器Vの上面USを押圧する動作を制御する。制御部は、例えば、移動部33が押圧部30を移動させる動作を制御する。制御部は、容器搬送部40が容器Vを容器ホルダ20に設置する動作を制御する。制御部は、容器搬送部40が容器ホルダ20に設置された容器Vを容器ホルダ20から取り出す動作を制御する。記憶部は、一例として、攪拌システム1の各部の動作を制御するためのプログラムを記憶する。記憶部は、一例として、HDDである。
【0033】
図2に示すように、容器ホルダ20が備える収容部21のホルダ底面23と対向する視点から見る上面視で、旋回運動部10は、一例として、旋回軸Xを中心として時計回りに容器ホルダ20を旋回させる。なお、旋回運動部10が容器ホルダ20を旋回させる方向は、反時計回りでもよく、時計回りと反時計回りとが一定の間隔で入れ替わってもよい。
【0034】
容器ホルダ20の旋回において、収容部21の中心軸Yが通過する軌跡Aは、図2中に破線で示す円形状で表される。軌跡Aの直径ΦDTは、旋回軸Xに対して中心軸Yが偏心する距離Dの2倍である。
【0035】
[収容部の構成]
図3に示すように、収容部21において、ホルダ開口22の直径ΦDUは、ホルダ底面23の直径ΦDBよりも大きい。ホルダ底面23の直径ΦDBは、容器Vの底面BSの直径ΦDVよりも大きい。すなわち、収容部21は、ΦDU>ΦDB>ΦDVを満たすように構成される。収容部21は、所定の深さH1を有する。なお、収容部21の深さH1は、ホルダ底面23からホルダ開口22までの距離に相当する。容器Vの底面BSは、容器Vのなかで本体部V1が備える面である。
【0036】
収容部21の斜面24のテーパ角度θは、例えば、90度超135度以下である。斜面24のテーパ角度θは、ホルダ底面23と斜面24とがなす角度である。テーパ角度θを上記範囲とすることで、容器Vを収容部21に設置する際に、ホルダ開口22からホルダ底面23に向けて容器Vを誘い込むことができるとともに、収容部21に設置された容器Vが斜面24に向けて倒れ込むことを防止できる。
【0037】
ホルダ開口22の直径ΦDUは、容器ホルダ20の旋回において、収容部21の中心軸Yが通過する軌跡Aの直径ΦDTと容器Vの底面BSの直径ΦDVとの和よりも大きいことが好ましい(ΦDU>ΦDT+ΦDV)。以下、図4を参照して、ΦDU>ΦDT+ΦDVを満たす場合の収容部21の構成について説明する。なお、図4では、説明の便宜上、ホルダ底面23及び斜面24を図示していない。
【0038】
図4に示す内接円Iは、ホルダ開口22の円形状に内接し、かつ、旋回軸Xを中心とする仮想的な円である。内接円Iは、容器ホルダ20が旋回したときに、ホルダ開口22の円形状と内接円Iとの交点Pが通る軌跡である。したがって、旋回軸Xに対して容器ホルダ20が何れの位置にあっても、内接円Iの内側の部分にはホルダ開口22が常に位置することになる。
【0039】
このとき、ホルダ開口22の直径ΦDUは、軌跡Aの直径ΦDTと内接円Iの直径ΦDIとを用いて、ΦDU/2=ΦDT/2+ΦDI/2、すなわち、ΦDU=ΦDT+ΦDIとして表すことができる。ここで、ΦDU=ΦDT+ΦDIをΦDU>ΦDT+ΦDVに代入すると、ΦDT+ΦDI>ΦDT+ΦDV、すなわち、ΦDI>ΦDVの関係が導き出される。つまり、ΦDU>ΦDT+ΦDVを満たすことで、内接円Iの直径ΦDIが容器Vの直径ΦDVよりも大きくなる。
【0040】
したがって、旋回軸Xの周囲には、容器Vを挿通可能な大きさのホルダ開口22の面積が常に確保される。これにより、旋回軸Xに対して容器ホルダ20が何れの位置にあっても、容器ホルダ20への容器Vの設置、及び、攪拌後の容器Vの容器ホルダ20からの取出しを特定の位置(内接円Iの内側)で行うことができる。例えば、容器ホルダ20への容器Vの設置、及び、攪拌後の容器Vの容器ホルダ20からの取出しを容器搬送部40で自動化する際には、旋回軸Xに対する容器ホルダ20の位置の検出が不要となる。
【0041】
なお、ホルダ開口22の直径ΦDUは、ΦDU>ΦDT+ΦDVを満たしつつ、さらに、容器搬送部40の動作精度に応じた位置の誤差を許容できる程度の大きさとしてもよい。また、収容部21の深さH1(図3参照)は、斜面24のテーパ角度θが上記の範囲を満たし、かつ、ホルダ開口22の直径ΦDUが上記の不等式を満たすように適宜決定すればよい。
【0042】
[容器の大きさと押圧量の関係]
図5に示すように、容器Vは、高さHVを有する。高さHVは、容器Vにおける底面BSから上面USまでの距離に相当する。容器Vの高さHVは、容器ホルダ20と容器把持部41との干渉を避ける観点から、収容部21の深さH1よりも大きいことが好ましいが、収容部21の深さH1と同じであってもよいし、容器Vの高さHVよりも小さくてもよい。また、容器Vの側面と対向する視点から見る平面視で、容器Vは、容器Vの底面BSにおける端部と容器Vの上面USにおける端部とを繋ぎ、かつ、中心軸Yと交差する対角線が長さLVを有する。
【0043】
押圧部30の押圧量Wは、一例として、第1弾性部11が上下方向に沿って変位可能な第1圧縮可能距離D1よりも小さい(D1>W)。言い換えれば、押圧部30の押圧量Wは、押圧部30が容器Vを押圧した状態で、第1弾性部11がさらに圧縮される方向に変位可能な状態となるように設定される。なお、押圧部30の押圧量Wは、回転接触部31が容器Vの上面USと接した状態を基準として、容器Vを押圧することで第1弾性部11が圧縮されて変位した距離である。
【0044】
押圧部30の押圧量Wは、押圧部30が容器Vを押圧した状態で第1弾性部11をさらに圧縮可能な距離(D1-W)が、容器Vの側面と対向する視点から見て、容器Vにおける対角線の長さLVと容器Vの高さHVとの差Zよりも小さいことが好ましい。すなわち、押圧部30の押圧量Wは、Z=LV-LV>D1-Wを満たすように設定されることが好ましい。
【0045】
上記の押圧量Wであれば、容器ホルダ20が旋回する際の振動によって、押圧部30が容器Vの上面USから外れる程度にまで容器Vが過剰に傾くことを抑制できる。すなわち、押圧部30の回転接触部31が容器Vの上面USを押圧した状態を保つことができるため、容器ホルダ20の旋回に伴う容器Vの脱落を防止できる。
【0046】
[攪拌方法]
攪拌システム1を用いた攪拌方法の一例は、押圧部30が退避した退避位置に位置する状態から開始される。この状態で、まず、容器搬送部40は、容器Vを容器ホルダ20に設置する。例えば、制御装置100は、押圧部30が退避位置に位置することを検知した後に、容器Vを容器ホルダ20に設置する動作を容器搬送部40に実行させる。
【0047】
このとき、容器搬送部40は、容器Vの中心軸Yが旋回軸Xと重なるように、容器Vを容器ホルダ20に設置する。これにより、容器Vは、容器ホルダ20のホルダ開口22における内接円Iを通過して斜面24によって誘い込まれながら容器ホルダ20の収容部21に設置される。したがって、容器搬送部40は、旋回軸Xに対する容器ホルダ20の位置によらず、常に一定の軌道で容器Vの設置を行うことができる。
【0048】
次いで、移動部33は、押圧部30を退避位置から押圧位置に移動させる。例えば、制御装置100は、容器Vが容器ホルダ20に設置されたことを検知した後に、押圧部30を退避位置から押圧位置に移動させる動作を移動部33に実行させる。例えば、旋回運動部10は、容器Vが容器ホルダ20に設置されたことを検知するために、容器Vが容器ホルダ20に設置されたときの重量の変化を測定するための機構(例えば、電子天秤や圧力センサ)を備えてもよい。もしくは、制御装置100は、容器Vを容器ホルダ20に設置する動作を行った容器搬送部40が、容器ホルダ20の上方から退避したことを検知した後に、押圧部30を退避位置から押圧位置に移動させる動作を移動部33に実行させる。
【0049】
続いて、押圧量調整部32は、回転接触部31を下方に移動させることで、容器Vの上面USを押圧する。例えば、制御装置100は、第1弾性部11のばね定数、及び、押圧部30が容器Vを押圧する荷重から、押圧量調整部32が回転接触部31を下方に移動させる変位量、すなわち、押圧量Wを制御してもよい。例えば、旋回運動部10は、容器V及び容器ホルダ20を介して第1弾性部11が押圧部30から受ける荷重を検知するための機構(例えば、ロードセル)を備えてもよい。また、押圧部30は、容器V及び容器ホルダ20を介して押圧部30が第1弾性部11から受ける反力を検知するための機構を備えてもよい。
【0050】
そして、旋回運動部10が旋回軸Xを中心に容器ホルダ20を旋回させることで、容器ホルダ20の旋回運動に追従して容器Vが移動する。このとき、容器Vの移動に伴って容器V内の液体Lに遠心力が作用するため、容器V内の液体Lに渦が生じることで液体Lが攪拌される。例えば、制御装置100は、容器ホルダ20が旋回軸Xを中心に旋回する速度が所定の速度に達した状態で、容器ホルダ20が旋回軸Xの周囲を旋回する回数が所定の回数に達するまで、旋回運動部10に容器ホルダ20を旋回させる動作を実行させる。
【0051】
容器ホルダ20の旋回運動が停止した後、移動部33は、押圧部30を押圧位置から退避位置に移動させる。そして、容器搬送部40は、容器Vを容器ホルダ20から取り出す。以上の手順によって、攪拌システム1を用いた攪拌が完了する。
【0052】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)容器Vが設置された容器ホルダ20を旋回させることで、容器ホルダ20及び押圧部30によって上下から挟み込まれた容器V内の液体Lが遠心力によって攪拌される。このとき、第1弾性部11によって容器ホルダ20の旋回に追従した容器Vの移動を許容しつつ、容器ホルダ20内に容器Vを保持するための荷重を容器Vに作用させることができる。
【0053】
(2)押圧位置と退避位置との間において、押圧部30を移動させる移動部33を備えることで、容器ホルダ20への容器Vの設置、及び、攪拌後の容器Vの容器ホルダ20からの取出しを容易に行うことができる。例えば、容器ホルダ20への容器Vの設置及び容器Vの容器ホルダ20からの取出しを、容器搬送部40のようなロボットアーム等で自動化することも可能となる。
【0054】
(3)ホルダ開口22の直径ΦDUと、容器ホルダ20の旋回においてホルダ開口22の中心が通過する軌跡Aの直径ΦDTと、容器Vの底面BSの直径ΦDVとが、ΦDU>ΦDT+ΦDVを満たす。これにより、旋回軸Xに対して容器ホルダ20が何れの位置にあっても、旋回軸Xの周囲には、容器をV挿通可能な大きさのホルダ開口22の面積が常に確保される。したがって、旋回軸Xに対して容器ホルダ20が何れの位置にあっても、容器ホルダ20への容器Vの設置、及び、攪拌後の容器Vの容器ホルダ20からの取出しを一定の位置で行うことができる。例えば、容器ホルダ20への容器Vの設置、及び、攪拌後の容器Vの容器ホルダ20からの取出しを容器搬送部40のようなロボットアーム等で自動化する際には、旋回軸Xに対する容器ホルダ20の位置の検出が不要となる。
【0055】
(4)容器ホルダ20の旋回に追従して移動する容器Vを回転接触部31によって押圧することで、容器Vと押圧部30との摩擦力を低減できる。特に、回転接触部31としてボールローラを用いることで、旋回軸Xと直交する平面内において、容器Vの上面USがボールローラに対して何れの方向に移動した場合であっても、容器Vと押圧部30との摩擦力を好適に低減できる。
【0056】
(5)第1弾性部11の第1圧縮可能距離D1と、容器Vの対角線の長さLVと、容器Vの高さHVと、押圧部30の押圧量Wとが、D1>W、かつ、LV-HV>D1-Wを満たすことで、容器ホルダ20の旋回に伴う容器Vの脱落を防止できる。
【0057】
(6)攪拌システム1が容器搬送部40を備えることで、容器搬送部40によって容器Vを容器ホルダ20に設置すること、及び、容器ホルダ20に設置された容器Vを容器ホルダ20から取り出すことを自動で行うことができる。
【0058】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、各変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0059】
図6に示すように、攪拌システム1は、第1弾性部11に代えて、押圧部30が第2弾性部34を備える構成であってもよい。第2弾性部34は、押圧部30のうち容器Vの上面USと接する部分である回転接触部31を上方から弾性支持する。第2弾性部34は、コイルばね34Aを備える。第2弾性部34は、押圧部30が容器Vを押圧していない状態を基準として、上下方向に沿って所定の第2圧縮可能距離D2を押圧されて変位可能に構成される。このような構成であっても、第2弾性部34によって容器ホルダ20の旋回に追従した容器Vの移動を許容しつつ、容器ホルダ20内に容器Vを保持するための荷重を容器Vに作用させることができる。なお、この場合、容器ホルダ20は、第2弾性部34よりも十分に弾性変形しにくい支持軸12を介して旋回運動部10に接続される。すなわち、支持軸12は、容器Vが押圧された際にはほとんど弾性変形しない。
【0060】
この場合、第2弾性部34の第2圧縮可能距離D2と、容器Vの対角線の長さLVと、容器Vの高さHVと、押圧部30の押圧量Wとが、D2>W、かつ、LV-HV>D2-Wを満たすように構成されることが好ましい。これにより、(5)の効果と同様に容器ホルダ20の旋回に伴う容器Vの脱落を防止できる。なお、押圧部30の押圧量Wは、回転接触部31が容器Vの上面USと接した状態を基準として、容器Vを押圧することで第2弾性部34が圧縮されて変位した距離である。
【0061】
図7に示すように、攪拌システム1は、第1弾性部11に加えて、押圧部30が第2弾性部34を備える構成であってもよい。この場合、第1圧縮可能距離D1、第2圧縮可能距離D2、容器Vの対角線の長さLV、容器Vの高さHV、及び、押圧部30の押圧量Wが、D1+D2>W、かつ、LV-HV>D1+D2-Wを満たすように構成されることが好ましい。これにより、(5)の効果と同様に容器ホルダ20の旋回に伴う容器Vの脱落を防止できる。なお、押圧部30の押圧量Wは、回転接触部31が容器Vの上面USと接した状態を基準として、容器Vを押圧することで第1弾性部11が圧縮されて変位した距離と、第2弾性部34が圧縮されて変位した距離との和である。
【0062】
・攪拌システム1が第1弾性部11を備え、かつ、第2弾性部34を備えない場合において、例えば、旋回時の振動によって第1弾性部11がほとんど変位しない場合には、LV-HV>D1-Wを満たさなくてもよい。すなわち、旋回時の振動によって容器Vが過剰に傾くことを抑制可能な構成であれば、D1-Wの値がLV-HVの値以上であってもよい。同様に、攪拌システム1が第2弾性部34を備え、かつ、第1弾性部11を備えない場合において、例えば、旋回時の振動によって第2弾性部34がほとんど変位しない場合には、LV-HV>D2-Wを満たさなくてもよい。すなわち、旋回時の振動によって容器Vが過剰に傾くことを抑制可能な構成であれば、D2-Wの値がLV-HVの値以上であってもよい。攪拌システム1が第1弾性部11及び第2弾性部34を備える場合において、例えば、旋回時の振動によって第1弾性部11及び第2弾性部34の少なくとも一方がほとんど変位しない場合には、LV-HV>D1+D2-Wを満たさなくてもよい。すなわち、旋回時の振動によって容器Vが過剰に傾くことを抑制可能な構成であれば、D1+D2-Wの値がLV-HVの値以上であってもよい。
【0063】
・攪拌システム1は、容器搬送部40によって容器Vを容器ホルダ20に設置する構成に代えて、手作業によって容器Vを容器ホルダ20に設置してもよい。また、容器搬送部40によって容器Vを容器ホルダ20から取り出す構成に代えて、手作業によって容器Vを容器ホルダ20から取り出してもよい。
【0064】
・回転接触部31は、容器ホルダ20の旋回に追従した容器Vの移動に追従して回転する構成であればボールローラに限定されず、例えば、容器Vの上面USと線接触する円柱状のローラであってもよい。この場合、円柱状のローラは、例えば、容器Vの上面USの接線方向と直交するように容器Vの上面USと線接触する。このような構成であっても、容器Vと押圧部30との摩擦力を低減できる。
【0065】
・容器Vの耐摩耗性が高い場合や、押圧部30において容器Vに接する部分と容器Vとの摩擦係数が低い場合などには、押圧部30が回転接触部31を備えなくてもよい。例えば、押圧部30が回転接触部31に代えて、先端に球面を有した丸棒であってもよい。
【0066】
・ホルダ開口22の直径ΦDUの大きさが、軌跡Aの直径ΦDTと容器Vの底面BSの直径ΦDVとの和と同じか、それよりも小さくてもよい。容器搬送部40に容器ホルダ20の開口の位置を検知する機構を設ける場合や、手作業によって容器Vを容器ホルダ20に設置する場合などには、ホルダ開口22の直径ΦDUが少なくとも容器Vの底面BSの直径ΦDVよりも大きければよい。
【0067】
・容器ホルダ20は、容器Vを設置可能な構成であれば、その形状は限定されない。例えば、容器ホルダ20が、ホルダ開口22を構成するリング状の部材(直径:ΦDU)と、ホルダ底面23を構成する円盤状の部材(直径:ΦDB)と、リング状の部材及び円盤状の部材を繋ぐ連結部材とを備える構成であってもよい。また、直径が異なる複数のリング状の部材を、上から下に向かうにつれて直径が小さくなるように間欠的に配置することで、間欠的な斜面24を備える構成としてもよい。例えば、最上部に直径ΦDUを有したリング状の部材を配置するとともに、最下部に直径ΦDBを有したリング状の部材を配置してもよい。また、リング状の部材は、リング状の部材の一部が欠落したC字状の部材であってもよい。
【0068】
・容器Vは、上面USと底面BSとを備える構成であれば円筒形状に限定されず、例えば、角筒状であってもよい。この場合、容器ホルダ20の収容部21の形状は、容器Vの形状に合わせて適宜変更すればよい。
【0069】
・移動部33は、押圧部30を押圧位置と退避位置との間で移動させる構成であれば、その構成は限定されない。また、移動部33が押圧部30を押圧位置と退避位置との間で移動させる構成に代えて、手作業によって押圧部30を押圧位置と退避位置との間で移動させてもよい。
【0070】
[実施例]
以下、図8図9を参照して、実施例1~3及び比較例1について説明する。なお、以下の実施例は、上記実施形態の効果を説明するための一例であって、本発明を限定するものではない。
【0071】
[実施例1]
実施例1では、攪拌システム1を用いて容器Vに入った液体Lを攪拌した。容器Vは、円筒形状を有したガラス製の本体部V1と、ポリプロピレン製の蓋部V2とを備えるスクリュー管(No.3、株式会社マルエム製)を使用した。容器Vの底面BSの直径ΦDVが21mm、蓋部V2を本体部V1に装着した状態における容器Vの高さHVが47mm、対角線の長さLVが50mmであった。液体Lは、水を用いた。旋回運動部10は、ボルテックスミキサの一例であるMX-S(DLAB Scientific社製)を使用した。旋回運動部10には、第1弾性部11を介してポリアミド製の容器ホルダ20を接続した。第1弾性部11の第1圧縮可能距離D1を4mmとした。容器ホルダ20は、ホルダ開口22の直径ΦDUを35mm、ホルダ底面23の直径ΦDBが22mm、収容部21の深さH1を22mmとした。押圧部30は、回転接触部31を備えない構成であって、先端に球面を有した直径3mmのステンレス丸棒を用いた。押圧部30は、押圧量Wが3.5mmとなるように容器Vを押圧した。この状態で、旋回運動部10を駆動させた。なお、実施例1の攪拌システム1は、LV-HV>D1-Wを満たす。
【0072】
[実施例2]
実施例2では、押圧部30は、押圧量Wが0.5mmとなるように容器Vを押圧した点を除き、実施例1と同様に容器Vに入った液体Lを攪拌した。なお、実施例2の攪拌システム1は、LV-HV>D1-Wを満たさず、LV-HV<D1-Wとなっている。
【0073】
[実施例3]
実施例3では、押圧部30として、回転接触部31を備える構成であって、先端にボールローラを設けた棒体を用いた点を除き、実施例1と同様に容器Vに入った液体Lを攪拌した。
【0074】
[比較例1]
図8に示すように、比較例1では、旋回運動部10、第1弾性部11、及び容器ホルダ20の構成に代えて、旋回テーブル50を用いた。旋回テーブル50は、ボルテックスミキサの一例であるVORTEX-GENIE2(Scientific Industries社製)を用いた。旋回テーブル50は、旋回運動するテーブルと、テーブルの表面に設けられたゴム製の接触面とを備える。この状態で、液体Lを入れた容器Vをロボットハンド61で把持した状態で旋回テーブル50の接触面に押し付けた。ロボットハンド61は、ロボットアーム60の先端に配置される。ロボットハンド61は、容器Vの蓋部V2を把持した。ロボットアーム60は、UR5e(Universal Robots社製)を用いた。ロボットハンド61は、2F-140 Adaptive Grippers(Robotiq社製)を用いた。容器V及び液体Lは、実施例1と同じ構成とした。
【0075】
[評価]
実施例1~3及び比較例1において、容器V内の液体Lに渦が発生したかどうかを目視にて確認した。また、攪拌後の容器Vにおいて、攪拌に伴う樹脂粉の発生の有無を目視にて確認した。評価結果を図9に示す。
【0076】
図9に示すように、実施例1~3では、旋回運動部10を駆動すると、容器V内の液体Lに渦が生じることで液体Lが攪拌されていることが確認された。一方、比較例1では、容器V内の液体Lにおける渦の発生、及びそれに伴う液体Lの攪拌は確認されなかった。比較例1では、ロボットアーム60及びロボットハンド61が容器Vの位置を固定していることから、旋回テーブル50の旋回運動に追従した容器Vの移動が規制されたためと考えられる。したがって、攪拌システム1によれば、容器V内の液体Lの攪拌を自動で行うことができることが確認された。
【0077】
また、実施例1,2では、攪拌後の容器Vにおいて、容器Vにおける押圧部30との接点が削れることで生じた樹脂粉が確認された。一方で、実施例3では、実施例1のような樹脂粉が確認されなかった。したがって、押圧部30に回転接触部31を設けることで、攪拌に伴う樹脂粉の発生を抑制できることが確認された。
【0078】
また、実施例2では、容器ホルダ20の旋回に伴って容器Vが移動する際に、容器Vが上下方向に振動することで第1弾性部11がさらに圧縮される変位量が実施例1,3よりも大きくなっていた。したがって、LV-HV>D1-Wを満たすように押圧量Wを設定することで、容器ホルダ20の旋回に伴う容器Vの脱落をより確実に防止できることが確認された。
【符号の説明】
【0079】
BS…底面
D1…第1圧縮可能距離
D2…第2圧縮可能距離
HV…高さ
L…液体
US…上面
V…容器
X…旋回軸
Y…中心軸
1…攪拌システム
10…旋回運動部
11…第1弾性部
20…容器ホルダ
21…収容部
22…ホルダ開口
23…ホルダ底面
30…押圧部
31…回転接触部
33…移動部
34…第2弾性部
40…容器搬送部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9