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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029799
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】足裏用パック
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/06 20060101AFI20240229BHJP
   A41B 11/00 20060101ALI20240229BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61F13/06 Z
A41B11/00 Z
A41D13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132185
(22)【出願日】2022-08-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年6月10日に、ウェブサイト(https://amzn.asia/d/1BbAug5、https://amzn.asia/d/9FXvoAE、https://shopping.yahoo.co.jp/products/z45387jg1o、https://store.shopping.yahoo.co.jp/omoiyari-care/4573342843186-240.html、https://item.rakuten.co.jp/stayfree/4573342842936-3/、https://paypaymall.yahoo.co.jp/store/suhada/item/4573342842936-3/、https://www.3ple.jp/pay4ship/item/800000377875/)にて公開。
(71)【出願人】
【識別番号】322008807
【氏名又は名称】株式会社BHコンセプト
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】黒川 佐奈恵
(72)【発明者】
【氏名】林 弘志
【テーマコード(参考)】
3B011
3B018
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA14
3B011AB09
3B011AC09
3B011AC22
3B018AA03
3B018AB05
3B018AC00
3B018AD21
3B211AA14
3B211AB09
3B211AC09
3B211AC22
(57)【要約】
【課題】低廉に製造可能であり、足の裏の皮膚にのみ医薬品等を適用可能な足裏用パックを提供する。
【解決手段】角質除去剤14と、角質除去剤14を保持可能な第二シート状部材12と、
止水性を有する矩形状のシート状部材であって、第一折線11eと、第一折片11f、11gとを有し、第二シート状部材12を内包するよう第一折線11eで折り畳まれる第一シート状部材11と、第一折線11eで折り畳まれた状態の第一シート状部材11において、第一折片11f、11gの辺11a、11cの近傍を、辺11a、11cと平行に接着する第一溶着部13aと、第一折片11f、11gの辺11b、11dの近傍を、辺11b、11dと平行に接着する2つの第二溶着部13bとを備え、人の足FTの踝より末端側を開口部11iより挿入することで、足FTの裏の皮膚と第二シート状部材12とが接触するよう構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の足の裏の皮膚に対して使用される医薬品、医薬部外品又は化粧品と、
前記医薬品、医薬部外品又は化粧品を保持可能な保持部材と、
止水性を有する略矩形状のシート状部材であって、対向する一組の辺の略中間に、該一組の辺と略平行となるよう配される第一折線と、該第一折線によって区分される2つの第一折片とを有し、前記保持部材を内包するよう該第一折線で折り畳まれる第一シート状部材と、
前記第一折線で折り畳まれた状態の第一シート状部材において、前記2つの第一折片の前記第一折線と対向する辺である第一辺の近傍を、該第一辺と略平行に接着する第一接着部と、
前記第一折線で折り畳まれた状態の第一シート状部材において、前記2つの第一折片の前記第一折線と隣接する2つの辺である第二辺の近傍を、該第二辺と略平行に接着する2つの第二接着部と、
を備え、
前記第一接着部の近傍に開口部を形成し、人の足の少なくとも踝より末端側を該開口部より挿入することで、該足の裏の皮膚と前記保持部材とが接触するよう構成される足裏用パック。
【請求項2】
請求項1に記載の足裏用パックであって、さらに、
前記保持部材が、略矩形状のシート状部材であって、対向する一組の辺の略中間に、該一組の辺と略平行となるよう配される第二折線を有し、該第二折線で折り畳まれた状態で、該第二折線が前記第一折線に沿うように配され、
前記第一シート状部材と、前記保持部材とを接着する第三接着部を備える足裏用パック。
【請求項3】
請求項2に記載の足裏用パックであって、
人の足の少なくとも踝より末端側を前記開口部より挿入した場合に、前記保持部材が、該足の甲の皮膚に接触しない大きさであることを特徴とする足裏用パック。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一に記載の足裏用パックであって、さらに、
人の足の少なくとも踝より末端側を前記開口部より挿入した場合に、該足が該開口部より偶発的に抜去されるのを防ぎ、且つ、前記第一シート状部材の内部が該足の甲の皮膚に接触するのを防ぐよう、前記2つの第一折片を接着する第四接着部を備える足裏用パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の裏の皮膚の治療、衛生、美容等を目的とする足裏用パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の足の皮膚に対して医薬品、医薬部外品又は化粧品(以下、「医薬品等」という。)を使用する方法として、例えば、特許文献1、2に開示されるような、人の足に沿うように足袋型又はブーツ型に形成された止水性のシート状部材と、該シート状部材に内包され、医薬品等を保持する保持部材からなる足用パックが提案されている。
【0003】
このような足用パックは、シート状部材の内部に足を挿入することで、保持部材を介して、医薬品等を足の皮膚に適用することができる。言い換えると、当該足用パックは、足袋やブーツを履くような動作を行うだけで、医薬品等を足の皮膚に均一に適用することができ、医薬品等を適量取り出し、これを足の皮膚に対して塗る等の作業が不要であるので、容易に使用することができる。
【0004】
また、医薬品等を手で触れなくてもよいので、手が汚れることがなく、止水性のシート状部材により、医薬品等が漏出せず、床や衣類等が医薬品等により汚れないため、使用後に、手の洗浄や周囲の清掃が不要であり、後片付けも容易である。
【0005】
このように、従来の足用パックは、容易に使用できるという利点がある一方、次の問題が生じる虞がある。
【0006】
人の足の裏の皮膚は、歩行時等に刺激を受けるため、足の甲の皮膚と比べ、角質が厚く、硬くなりやすい。このため、医薬品等を足の皮膚に均一に適用する従来の足用パックにおいて、足の裏の皮膚に有効となるよう調整された医薬品等を用いると、足の甲の皮膚に対しては効果が強すぎ、肌荒れの原因となり得る。
【0007】
また、従来の足用パックは、シート状部材を足袋型又はブーツ型に形成しているため、製造には、足袋型又はブーツ型に切り抜くための専用の型が必要である。このため、異なる形状の足用パックを製造する度に、型を作る必要があり製造コストがかかる。特に、足用パックメーカーは、多くの人に使用してもらうため、同じ商品であっても、例えば、Lサイズ、Mサイズ、Sサイズというように、異なる大きさの商品を複数製造するため、より多くの製造コストがかかってしまう。
【0008】
さらにいうならば、型を用いて、材料を足袋型又はブーツ型に切り抜くと、端材ができるため、非経済的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3149518号公報
【特許文献2】実用新案登録第3153595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の主な目的は、低廉に製造可能であり、足の裏の皮膚にのみ医薬品等を適用可能な足裏用パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
本発明の第1の側面に係る足裏用パックによれば、人の足の裏の皮膚に対して使用される医薬品、医薬部外品又は化粧品と、前記医薬品、医薬部外品又は化粧品を保持可能な保持部材と、止水性を有する略矩形状のシート状部材であって、対向する一組の辺の略中間に、該一組の辺と略平行となるよう配される第一折線と、該第一折線によって区分される2つの第一折片とを有し、前記保持部材を内包するよう該第一折線で折り畳まれる第一シート状部材と、前記第一折線で折り畳まれた状態の第一シート状部材において、前記2つの第一折片の前記第一折線と対向する辺である第一辺の近傍を、該第一辺と略平行に接着する第一接着部と、前記第一折線で折り畳まれた状態の第一シート状部材において、前記2つの第一折片の前記第一折線と隣接する2つの辺である第二辺の近傍を、該第二辺と略平行に接着する2つの第二接着部とを備え、前記第一接着部の近傍に開口部を形成し、人の足の少なくとも踝より末端側を該開口部より挿入することで、該足の裏の皮膚と前記保持部材とが接触するよう構成できる。
【0012】
また、本発明の第2の側面に係る足裏用パックによれば、前記保持部材が、略矩形状のシート状部材であって、対向する一組の辺の略中間に、該一組の辺と略平行となるよう配される第二折線を有し、該第二折線で折り畳まれた状態で、該第二折線が前記第一折線に沿うように配され、前記第一シート状部材と、前記保持部材とを接着する第三接着部を備えるよう構成できる。
【0013】
さらにまた、本発明の第3の側面に係る足裏用パックによれば、人の足の少なくとも踝より末端側を前記開口部より挿入した場合に、前記保持部材が、該足の甲の皮膚に接触しない大きさとなるよう構成できる。
【0014】
前記構成によれば、足の裏の皮膚と保持部材とが接触するよう構成できるので、足の裏の皮膚にのみ医薬品等を適用可能である。また、第一シート状部材や保持部材を矩形状のシート状部材にできるため、型を用いることなく低廉に製造できる。
【0015】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る足裏用パックによれば、人の足の少なくとも踝より末端側を前記開口部より挿入した場合に、該足が該開口部より偶発的に抜去されるのを防ぎ、且つ、前記第一シート状部材の内部が該足の甲の皮膚に接触するのを防ぐよう、前記2つの第一折片を接着する第四接着部を備えるよう構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】足裏用パックの模式図である。
図2】足裏用パックの図1におけるA-A'線断面図である。
図3】第一シート状部材の展開図である。
図4】足裏用パックの使用状態を示す模式図である。
図5】第二シート状部材の展開図である。
図6】本発明に係る足裏用パックと従来の足用パックを比較するための模式図である。
図7】足裏用パックの使用方法を説明するフローチャートである。
図8】足裏用パックの製造装置の模式図である。
図9】足裏用パックの製造方法を説明するフローチャートである。
図10】第三溶着部の形成方法を説明する模式図である。
図11】第一折線及び第二折線の形成方法を説明する模式図である。
図12】第二溶着部の形成方法を説明する模式図である。
図13】第四溶着部の形成方法を説明する模式図である。
図14】シート状部材の裁断方法を説明する模式図である。
図15】角質除去剤の注入方法を説明する模式図である。
図16】第一溶着部の形成方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[足裏用パック1]
【0018】
本発明の一実施の形態に係る足裏用パック1について、図1図6に基づいて説明する。
【0019】
足裏用パック1は、図1及び図2に示すように、第一シート状部材11、第二シート状部材12、溶着部13及び角質除去剤14(図示していない。)を備えている。以下で各部材について説明する。
〈第一シート状部材11〉
《第一シート状部材11の態様》
【0020】
第一シート状部材11は、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとの複合材料からなり、図3に示すように、辺11a~11d(辺11a、11cは特許請求の範囲における「第一辺」に対応し、辺11b、11dは特許請求の範囲における「第二辺」に対応する。)を有する矩形状のシート状部材であり、辺11aと辺11cの中間に、これらと平行な折線である第一折線11eと、第一折線11eによって区分される2つの第一折片11f、11gを有する。
【0021】
これにより、第一シート状部材11は、切り抜き用の専用の型を用いることなく製造可能であるため、低廉に製造可能な足裏用パック1を提供できる。
【0022】
また、第一シート状部材11は、図1及び図2に示すように、第二シート状部材12を内包するよう第一折線11eで折り畳まれ、2つの第一折片11f、11gの辺11a~11dの近傍が溶着され、第一溶着部13a及び第二溶着部13bが形成される。
【0023】
これにより、角質除去剤14を保持する第二シート状部材12が第一シート状部材11に内包、密閉されるので、足裏用パック1の使用前において、角質除去剤14が漏出することを防ぐことができる。
《シンボル11h》
【0024】
第一シート状部材11は、図1及び図3に示すように、シンボル11hを有している。シンボル11hは、第一溶着部13aの近傍に設けられ、自身に沿って第一シート状部材11を切断するよう、使用者を誘導するための切取線である。
【0025】
使用者は、シンボル11hに沿って第一シート状部材11を切断することで、開口部11iを形成でき、図4に示すように、足FTの踝より末端側を開口部11iより挿入することで、足FTの裏の皮膚と第二シート状部材12とを接触させ、足FTの裏の皮膚に角質除去剤14を適用できる。
《第一シート状部材11の他の態様》
【0026】
第一シート状部材11は、前述の態様に限定されない。例えば、第一シート状部材11の形状は、矩形状に限定されず、辺11b、11dが斜めとなった四角形状であってもよい。ただし、足裏用パック1を無駄なく、より低廉に製造するためには、端材が発生しないよう、辺11b、11dが同形状であることが好ましい。なお、特許請求の範囲において、第一シート状部材の形状を「略矩形状」とする記載は、ここで説明したような形状を含むものである。
【0027】
また、シンボル11hは必ずしも設ける必要はない。
〈第二シート状部材12〉
《第一シート状部材12の態様》
【0028】
第二シート状部材12(特許請求の範囲における「保持部材」の一例に対応する。)は、図5に示すように、辺12a~12dを有する矩形状のプラスチック製の不織布であり、辺12aと辺12cの中間に、これらと平行な折線である第二折線12eと、第一折線12eによって区分される2つの第一折片12f、12gを有する。
【0029】
これにより、第二シート状部材12は、切り抜き用の専用の型を用いることなく製造可能であるため、低廉に製造可能な足裏用パック1を提供でき、足FTの大きさに合わせて、異なる大きさの足裏用パック1を多数製造できる。
【0030】
また、第二シート状部材12は、図1及び図2に示すように、第二折線12eで折り畳まれた状態で、第二折線12eが第一シート状部材11の第一折線11eと重なるように配される。そして、この状態が維持されるよう、第二シート状部材12の辺12a、11cの近傍が、第一シート状部材11の第一折片11f、11gに溶着され、第三溶着部13aが形成される。
《第二シート状部材12の他の態様》
【0031】
第二シート状部材12は、前述の態様に限定されない。例えば、第二シート状部材12の形状は、矩形状に限定されず、辺12b、12dが斜めとなった四角形状であってもよい。ただし、足裏用パック1を無駄なく、より低廉に製造するためには、端材が発生しないよう、辺12b、12dが同形状であることが好ましい。なお、特許請求の範囲において、保持部材の形状を「略矩形状」とする記載は、ここで説明したような形状を含むものである。
【0032】
また、第二シート状部材12の大きさは、特に限定されず、足FTの大きさに合わせて、第二シート状部材12の大きさを調整することで、異なる大きさの足裏用パック1を多数製造できる。すなわち、使用者は、自身の足FTの大きさに合った足裏用パック1を選択することで、足FTの裏の皮膚にのみ角質除去剤14を適用できる。
【0033】
また、第二シート状部材12は、医薬品、医薬部外品又は化粧品を保持可能な態様であればよく、プラスチック製の不織布に限定されない。例えば、スポンジや布、紙等であってもよい。
〈溶着部13〉
《溶着部13の態様》
【0034】
溶着部13は、第一シート状部材11や第二シート状部材12が熱溶着(ヒートシール)されることによって形成される部材であって、図1に示すように、第一溶着部13a、第二溶着部13b、第三溶着部13c及び第四溶着部13dからなる。
《第一溶着部13a》
【0035】
第一溶着部13a(特許請求の範囲における「第一接着部」の一例に対応する。)は、図1及び図2に示すように、第一シート状部材11が、第二シート状部材12を内包するよう第一折線11eで折り畳まれた状態において、2つの第一折片11f、11gの辺11a、11cの近傍が、辺11a、11cに沿って隙間なく溶着されて形成される部材である。
【0036】
これにより、足裏用パック1の使用前において、角質除去剤14が、辺11a、11c側から漏出することを防ぐことができる。
《第二溶着部13b〉
【0037】
第二溶着部13b(特許請求の範囲における「第二接着部」の一例に対応する。)は、図1に示すように、第一シート状部材11が、第二シート状部材12を内包するよう第一折線11eで折り畳まれた状態において、2つの第一折片11f、11gの辺11b、11dの近傍が、辺11b、11dに沿って、隙間なく溶着されて形成される部材である。すなわち、第二溶着部13bは、内包する第二シート状部材12の2つの第二折片12f、12gごと、溶着されて形成される部材である。
【0038】
これにより、足裏用パック1の使用前において、角質除去剤14が、辺11b、11d側から漏出することを防ぐことができる。
《第三溶着部13c〉
【0039】
第三溶着部13c(特許請求の範囲における「第三接着部」の一例に対応する。)は、図1及び図2に示すように、第二シート状部材12の第二折線12eが第一シート状部材11の第一折線11eと重なるように配された状態において、第一シート状部材11の第一折片11f、11gに、第二シート状部材12の辺12a、11cの近傍が、辺12a、11cに沿って隙間なく溶着されて形成される部材である。
【0040】
これにより、第二シート状部材12の第一シート状部材11に対する相対的な位置が、ずれることを防止できる。
《第四溶着部13d〉
【0041】
第四溶着部13d(特許請求の範囲における「第四接着部」の一例に対応する。)は、図1に示すように、第一シート状部材11が、第二シート状部材12を内包するよう第一折線11eで折り畳まれた状態において、2つの第一折片11f、11gの第一溶着部13aと一方の第二溶着部13bの近傍が、第一溶着部13aと平行に溶着されて形成される部材である。すなわち、第四溶着部13dは、シンボル11hに沿って第一シート状部材11を切断して開口部11iを形成した際に、開口部11iの一部(足裏用パック1の使用状態における、足FTのつま先側)を塞ぐ位置に配される。
【0042】
これにより、図4における矢印の方向に足FTを持ち上げたとしても、第四溶着部13dが足FTのつま先に引っ掛かり、足FTが開口部11iより偶発的に抜去されるのを防ぐことができる。
【0043】
また、つま先側の形状を矩形状とし、第四溶着部13dが第一溶着部13aの近傍(第一折線11eの遠方)に配することにより、足裏用パック1は、図6に示すように、従来の足袋型(ブーツ型)の足用パック2に比べ、つま先側が広くなっており、第一シート状部材11が足FTのつま先側の甲の皮膚に接触しにくい構成となっている。角質除去剤14は、第一シート状部材11の内側に付着することがあるところ、足裏用パック1は、前述の構成により、第一シート状部材11を介して、足FTの甲の皮膚に角質除去剤14が適用されるのを防ぎ、足FTの裏の皮膚にのみ角質除去剤14を適用できる。
《溶着部13の他の態様》
【0044】
溶着部13は、前述の態様に限定されない。例えば、溶着部13は、熱溶着以外に、高周波溶着、超音波溶着、レーザー溶着の溶着方法を用いて形成されてもよい。さらにいうならば、特許請求の範囲における「第一接着部」、「第二接着部」、「第三接着部」、「第三接着部」は、第一シート状部材11や第二シート状部材12を接着できればよく、溶着以外にも、例えば、接着剤を用いて接着するようにしてもよい。
【0045】
また、第三溶着部13c及び第四溶着部13dの形状は、図1に示すような実線形状に限定されず、例えば、破線形状や曲線形状等であってもよい。さらにいうならば、第三溶着部13c及び第四溶着部13dは必ずしも設けなくてもよい。
〈角質除去剤14〉
《角質除去剤14の態様》
【0046】
角質除去剤14(特許請求の範囲における「医薬品、医薬部外品又は化粧品」の一例に対応する。)は、グリコール酸やサルチル酸、クエン酸等を有効成分とする薬剤である。
【0047】
角質除去剤14は、第二シート状部材12を介して、足FTの甲の皮膚に適用され、角質を除去する。
《角質除去剤14の他の態様》
【0048】
角質除去剤14は、前述の態様に限定されない。また、足裏用パック1において、角質除去剤14は、美容液や水虫治療薬、その他の医薬品、医薬部外品又は化粧品に代えることもできる。
[足裏用パック1の使用方法]
【0049】
足裏用パック1は、例えば、以下の手順(図7参照)で使用できる。
〈ステップST101:開口部の形成〉
【0050】
まず、ステップST101で、シンボル11hに沿って第一シート状部材11を切断し、開口部11iを形成する。
【0051】
ステップST101前の足裏用パック1は、角質除去剤14を保持する第二シート状部材12を第一シート状部材11で密閉しており、角質除去剤14が漏出することを防ぐことができる。
〈ステップST102:角質除去剤の適用〉
【0052】
次に、ステップST102で、足FTの踝より末端側を開口部11iより挿入することで、足FTの裏の皮膚と第二シート状部材12とを接触させ、足FTの裏の皮膚に角質除去剤14を適用する。このとき、必要に応じて、角質除去剤14の適用時間(後述するステップST103に進むまでの時間)を設けてもよい。
【0053】
このように、足裏用パック1は、足袋やブーツを履くような動作を行うだけで、医薬品等を足FTの裏の皮膚に均一に適用することができ、角質除去剤14を適量取り出し、これを足の皮膚に対して塗る等の作業が不要であるので、容易に使用することができる。また、角質除去剤14を手で触れなくてもよいので、手が汚れることがない。
〈ステップST103:後片付け〉
【0054】
最後に、ステップST103で、足FTの踝より末端側を開口部11iより抜去し、使用後の足裏用パック1を処分する。また、必要に応じて、足FTの裏の皮膚に付着した角質除去剤14を洗い流す等して除去してもよい。
【0055】
このときも、角質除去剤14を手で触れなくてもよいので、手が汚れることがなく、第一シート状部材11により、角質除去剤14が漏出せず、床や衣類等が角質除去剤14により汚れないため、使用後に、手の洗浄や周囲の清掃が不要であり、後片付けも容易である。
[足裏用パック1の製造方法]
【0056】
足裏用パック1は、例えば、図8に示すような製造装置群3を用い、以下の手順(図9参照)で製造できる。
〈ステップST201:シート状部材の送給〉
【0057】
まず、ステップST201で、送給装置31aを用いて、シートロールSR1(足裏用パック1がシンボル11hを有する場合は、シンボル11hが所望の場所に印刷されたシートロールSR1を用意する。)を第一シート状部材11の材料となるシート状部材SB1に巻き戻しながら、シート状部材SB1を製造装置群3に送給する。また、同時に、送給装置31bを用いて、シートロールSR2を第二シート状部材12の材料となるシート状部材SB2に巻き戻しながら、シート状部材SB2を製造装置群3に送給する。
【0058】
このとき、シート状部材SB2がシート状部材SB1の幅方向の中央に配されるよう製造装置群3に送給する。また、シートロールSR1の幅が第一シート状部材11の辺11b、11dの長さとなり、シートロールSR2の幅が第二シート状部材12の辺12b、12dの長さとなるため、適用する足の大きさに合うよう適切な幅のシートロールSR1、SR2を適宜選択する。
〈ステップST202:第三溶着部の形成〉
【0059】
次に、ステップST202で、図10に示すように、第三ヒートシール装置32により、シート状部材SB2の両端部をシート状部材SB1に溶着する。
【0060】
具体的には、第三ヒートシール装置32は、図8及び図10に示すように、シート状部材SB1、SB2の融点以上に発熱するヒーター部32aと、ヒーター部32aと対向するよう配される受部32bとを有し、シート状部材SB1、SB2をヒーター部32aと受部32bとで挟み込むことで溶着できる。このときに形成された溶着部13c'が後に第三溶着部13cとなる。
【0061】
すなわち、第三溶着部13cの位置は、シート状部材SB1、SB2の幅方向におけるヒーター部32a及び受部32bの位置を調整することで容易に変更できる。
〈ステップST203:第一折線及び第二折線の形成〉
【0062】
次に、ステップST203で、図11に示すように、折板33を用いて、シート状部材SB1、SB2を幅方向の中央で折り畳む。このとき、シート状部材SB1に形成された折線11e'が後に第一折線11eとなり、シート状部材SB2に形成された折線12e'が後に第二折線12eとなる。
〈ステップST204:第二溶着部の形成〉
【0063】
次に、ステップST204で、図12に示すように、第二ヒートシール装置34により、シート状部材SB1、SB2を一定間隔で溶着する。
【0064】
具体的には、第二ヒートシール装置34は、図8及び図12に示すように、シート状部材SB1、SB2の融点以上に発熱し、シート状部材SB1、SB2に対して上下移動するヒーター部34aと、ヒーター部34aと対向するよう配される受部34bとを有し、ヒーター部34aが下側に移動した際に、シート状部材SB1、SB2をヒーター部34aと受部34bとで挟み込むことで溶着できる。このときに形成された溶着部13b'が後に第二溶着部13bとなる。
【0065】
すなわち、隣接する第二溶着部13bの間隔は、ヒーター部34aの上下移動のタイミングを調整することで容易に変更できる。
〈ステップST205:第四溶着部の形成〉
【0066】
次に、ステップST205で、図13に示すように、第四ヒートシール装置35により、シート状部材SB1の折線11e'と対向する辺の近傍を断続的に溶着する。
【0067】
具体的には、第四ヒートシール装置35は、図8及び図13に示すように、シート状部材SB1の融点以上に発熱し、シート状部材SB1に対して上下移動するヒーター部35aと、ヒーター部35aと対向するよう配される受部35bとを有し、ヒーター部35aが下側に移動した際に、シート状部材SB1をヒーター部35aと受部35bとで挟み込むことで溶着できる。このときに形成された溶着部13d'が後に第四溶着部13dとなる。
【0068】
すなわち、第四溶着部13dの位置は、シート状部材SB1の幅方向におけるヒーター部35a及び受部35bの位置と、ヒーター部35aの上下移動のタイミングを調整することで容易に変更できる。また、第四溶着部13dの長さは、ヒーター部35aの上下移動のタイミングを調整することで容易に変更できる。
〈ステップST206:シート状部材の裁断〉
【0069】
次に、ステップST206で、図14に示すように、裁断装置36により、シート状部材SB1、SB2を溶着部13b'の中央で裁断する。
【0070】
具体的には、裁断装置36は、図8及び図14に示すように、シート状部材SB1、SB2に対して上下移動する刃部36aと、刃部36aと対向するよう配される受部36bとを有し、刃部36aが下側に移動した際に、シート状部材SB1、SB2を刃部36aと受部36bとで挟み込むことで裁断でき、足裏用パック1から第一溶着部13a及び角質除去剤14を除いた状態に相当する袋状部材FB(袋状部材FBの各部材は、対応する足裏用パック1の各部材の名称及び符号を用いて説明する。)を形成できる。なお、形成された袋状部材FBは、送給装置31a、31bに代わり、ベルトコンベアBCによって送給される。
【0071】
ここでの裁断は、単に、連なった状態で製造される袋状部材FBを切り離して、独立した袋状部材FBを形成する工程である。すなわち、従来の足用パックのように、材料を足袋型又はブーツ型に切り抜くような行程ではないため、端材が発生せず、経済的である。
〈ステップST207:角質除去剤の注入〉
【0072】
次に、ステップST207で、図15に示すように、注入装置37を用いて、袋状部材FBの内側に配されるシート状部材SB2に角質除去剤14を注入する。
【0073】
具体的には、注入装置37は、図8及び図15に示すように、吸引ノズル37a及び注入ノズル37bを有し、吸引ノズル37aが負圧により第一折片11gを吸着し、持ち上げることで、第一折片11f、11g間の隙間を広げ、この隙間から注入ノズル37bを挿入し、注入ノズル37bよりシート状部材SB2に角質除去剤14を注入する。
〈ステップST208:第一溶着部の形成〉
【0074】
最後に、ステップST208で、図16に示すように、第一ヒートシール装置38により、2つの第一折片11f、11gの辺11a、11cの近傍を溶着する。
【0075】
具体的には、第一ヒートシール装置38は、図8及び図16に示すように、第一シート状部材11(シート状部材SB1)の融点以上に発熱するヒーター部38aと、ヒーター部38aと対向するよう配される受部38bとを有し、2つの第一折片11f、11gをヒーター部38aと受部38bとで挟み込むことで第一溶着部13aを形成する。
【0076】
すなわち、第一溶着部13aの位置は、第一シート状部材11(シート状部材SB1)の幅方向におけるヒーター部38a及び受部38bの位置を調整することで容易に変更できる。
〈足裏用パック1の他の製造方法〉
【0077】
足裏用パック1の他の製造方法は、前述の態様に限定されない。例えば、各ステップの順番は適宜変更可能である。さらに、複数のステップは、複数のステップを同時に実施して、一つのステップとしてもよいし、逆に一つのステップを複数のステップに分担してもよい。
【0078】
また、使用する製造装置群3は前述のものに限定されず、適宜変更可能である。
[本発明に係る足裏用パック1の効果]
【0079】
以上説明したように、本発明に係る足裏用パック1は、切り抜き用の専用の型を用いることなく製造可能であるため、低廉に製造可能な裏用パック1を提供できる。
【0080】
また、切り抜き用の専用の型を用いることなく製造できることにより、足FTの大きさに合わせて、異なる大きさの足裏用パック1を多数製造でき、使用者は、自身の足FTの大きさに合った足裏用パック1を選択することで、足FTの裏の皮膚にのみ角質除去剤14を適用できる。
【符号の説明】
【0081】
1…足裏用パック
11…第一シート状部材
11a~11d…辺
11e…第一折線
11e'…折線
11f、11g…第一折片
11h…シンボル
11i…開口部
12…第二シート状部材
12a~12d…辺
12e…第二折線
12e'…折線
12f、12g…第二折片
13…溶着部
13a…第一溶着部
13b…第二溶着部
13c…第三溶着部
13d…第四溶着部
13b'~13d'…溶着部
14…角質除去剤
2…従来の足用パック
3…製造装置群
31a、31b…送給装置
32…第三ヒートシール装置;32a…ヒーター部;32b…受部
33…折板
34…第二ヒートシール装置;34a…ヒーター部;34b…受部
35…第四ヒートシール装置;35a…ヒーター部;35b…受部
36…裁断装置;36a…刃部;36b…受部
37…注入装置;37a…吸引ノズル;37b…注入ノズル
38…第一ヒートシール装置;38a…ヒーター部;38b…受部
FT…足
SR1、SR2…シートロール
SB1、SB2…シート状部材
FB…袋状部材
BC…ベルトコンベア
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図16