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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000298
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】光学式センサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H01L27/146 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099017
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 淳
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AB01
4M118CA14
4M118CB20
4M118FB03
4M118FB09
4M118FB13
(57)【要約】
【課題】画素電極の平面領域を拡大することなくセンシング効率を向上させることができる光学式センサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光学式センサ2は、基板SUBと、基板SUBに設けられる画素電極210と、画素電極210の表面210aに積層する有機光電変換層230と、有機光電変換層230の表面230aに積層する共通電極240と、を有し、断面視において、画素電極210の表面210aは、基板SUBに垂直な方向において基板SUBに最も近い部分である端部210a-1から、基板SUBに垂直な方向において基板SUBから最も離れた部分である頂部210a-2に近づくにつれて、漸増的に又は段階的に高くなり、有機光電変換層230の表面230aと、共通電極240の表面240aとは、それぞれ画素電極210の表面210aの形状に応じた形状を有する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられる画素電極と、
前記画素電極の表面に積層する有機光電変換層と、
前記有機光電変換層の表面に積層する共通電極と、
を有し、
断面視において、前記画素電極の前記表面は、前記基板に垂直な方向において前記基板に最も近い部分である端部から、前記基板に垂直な方向において前記基板から最も離れた部分である頂部に近づくにつれて、漸増的に又は段階的に高くなり、
前記有機光電変換層の前記表面と、前記共通電極の表面とは、それぞれ前記画素電極の前記表面の形状に応じた形状を有する、
光学式センサ。
【請求項2】
断面視において、前記画素電極の前記表面は湾曲した形状である、
請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項3】
平面視において、前記画素電極は四角形状である、
請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項4】
前記基板に設けられる絶縁層であって、前記画素電極に対応する開口を有する前記絶縁層を更に有し、
前記有機光電変換層は、前記絶縁層の表面に積層し、
断面視において、前記絶縁層の前記表面は、前記画素電極の前記頂部より、前記基板と垂直な方向において前記基板から離れている、
請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項5】
前記共通電極の前記表面に積層し、平坦な表面を有する平坦化層を更に有する、
請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項6】
基板上に第1導電膜を形成する第1導電膜形成工程と、
前記第1導電膜上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
前記第1導電膜をエッチングする第1導電膜エッチング工程と、
前記レジスト膜及び前記第1導電膜を同時にエッチングする同時エッチング工程と、
前記レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程と、
前記第1導電膜上に有機光電変換膜を形成する有機光電変換膜形成工程と、
前記有機光電変換膜上に第2導電膜を形成する第2導電膜形成工程と、
を有し、
前記同時エッチング工程では、断面視において、前記第1導電膜の前記表面が、前記基板に垂直な方向において前記基板に最も近い部分である端部から、前記基板に垂直な方向において前記基板から最も離れた部分である頂部に近づくにつれて、漸増的に又は段階的に高くなるように前記第1導電膜を加工し、
前記有機光電変換膜形成工程では、前記有機光電変換膜の表面が前記第1導電膜の前記表面の形状に応じた形状を有するように前記有機光電変換膜を形成し、
前記第2導電膜形成工程では、前記第2導電膜の表面が前記第1導電膜の前記表面の形状に応じた形状を有するように前記第2導電膜を形成する、
光学式センサの製造方法。
【請求項7】
前記レジスト膜除去工程と有機光電変換膜形成工程との間において、
平面視において、前記画素電極に対応する開口を有する絶縁膜を基板上に形成する絶縁膜形成工程、
を更に有し、
前記有機光電変換膜形成工程では、前記絶縁膜の上に前記有機光電変換膜を形成し、
前記絶縁膜形成工程では、断面視において、前記絶縁膜の表面が、前記第1導電膜の前記頂部より、前記基板と垂直な方向において前記基板から離れるように、前記絶縁膜を形成する、
請求項6に記載の光学式センサの製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学式センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機光電変換素子(OPD:Organic Photodiode)が基板上に配列された光学式センサが知られている。このような検出装置は、例えば指紋や静脈等の生体情報を検出する生体センサとして用いられる。
【0003】
従来のOPDを用いた光学式センサでは、例えば下記特許文献1及び特許文献2において示されるように、画素電極の表面が平坦になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-125691号公報
【特許文献2】特開2021-57422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の光学式センサでは、画素電極の平面領域(平面視における画素電極の有効面積)を拡大させ、または画素電極上に堆積している有機光電変換層の体積を増やさなければ、センシング能力を向上させることができない。すなわち、OPDを用いた光学式センサのセンシング能力は、各画素電極の表面に積層する有機光電変換層及び共通電極の表面積と有機光電変換層の体積に依存する。ここで、上記のように画素電極の表面が平坦である場合、当該表面に積層する有機光電変換層及び共通電極の表面積を拡大するためには、画素電極の平面領域を拡大する必要がある。しかしながら、装置の小型化の観点から、画素電極の平面領域の拡大には限界がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、画素電極の平面領域を拡大することなくセンシング効率を向上させることができる光学式センサ及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光学式センサの一態様は、基板と、前記基板に設けられる画素電極と、前記画素電極の表面に積層する有機光電変換層と、前記有機光電変換層の表面に積層する共通電極と、を有し、断面視において、前記画素電極の前記表面は、前記基板に垂直な方向において前記基板に最も近い部分である端部から、前記基板に垂直な方向において前記基板から最も離れた部分である頂部に近づくにつれて、段階的に又は漸増的に高くなり、前記有機光電変換層の前記表面と、前記共通電極の表面とは、それぞれ前記画素電極の前記表面の形状に応じた形状を有する。
【0008】
本発明によれば、画素電極の平面領域を拡大することなく光学式センサのセンシング効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る光学式センサの概略を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る光学式センサの構成例を示すブロック図である。
図3図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。
図4図3の画素電極周辺を拡大して模式的に示す部分断面図である。
図5A】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
図5B】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
図5C】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
図5D】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
図5E】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
図5F】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
図5G】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
図6A図5Aに示す工程の模式的な拡大平面図である。
図6B図5Bに示す工程の模式的な拡大平面図である。
図6C図5Cに示す工程の模式的な拡大平面図である。
図6D図5Dに示す工程の模式的な拡大平面図である。
図6E図5Eに示す工程の模式的な拡大平面図である。
図6F図5Fに示す工程の模式的な拡大平面図である。
図6G図5Gに示す工程の模式的な拡大平面図である。
図7】本実施形態の変形例における図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。
図8】参考例における図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。
図9】別の参考例における図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0011】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0012】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る光学式センサの概略を示す平面図である。図1に示すように、光学式センサ2は、樹脂基板100と、センサ部10と、ゲート線駆動回路20と、信号線選択回路21と、検出回路24と、制御回路26と、電源回路28と、を有する。
【0014】
樹脂基板100には、フレキシブルプリント基板300を介して制御基板400が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板300には、検出回路24が設けられている。制御基板400には、制御回路26及び電源回路28が設けられている。制御回路26は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路26は、センサ部10、ゲート線駆動回路20及び信号線選択回路21に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。電源回路28は、電源電圧をセンサ部10、ゲート線駆動回路20及び信号線選択回路21に供給する。
【0015】
樹脂基板100は、検出領域DAと額縁領域PAとを有する。検出領域DAは、センサ部10が設けられる領域である。額縁領域PAは、検出領域DAの外側の領域であり、センサ部10が設けられない領域である。すなわち、額縁領域PAは、検出領域DAの端部と樹脂基板100の端部との間の領域である。
【0016】
額縁領域PAは、折曲領域BAと端子領域TAとを有する。折曲領域BAと端子領域TAとは、額縁領域の一端に設けられる。折曲領域BA及び端子領域TAには、検出領域DAに繋がる配線が配置される。端子領域TAにおいて、樹脂基板100とフレキシブルプリント基板300とが接続される。
【0017】
センサ部10は、複数の画素PXを有する。複数の画素PXは、検出領域DAに行列状に配列される。複数の画素PXは、フォトダイオードであり、それぞれに照射される光に応じた電気信号を出力する。各画素PXは、それぞれに照射される光に応じた電気信号を検出信号Vdetとして信号線選択回路21に出力する。本実施形態では、光学式センサ2は、各画素PXからの検出信号Vdetに基づいて、指や掌等の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等の生体に関する情報を検出する。また、各画素PXは、ゲート線駆動回路20から供給されるゲート駆動信号Vgclに従って検出を行う。
【0018】
ゲート線駆動回路20及び信号線選択回路21は、額縁領域PAに設けられる。具体的には、ゲート線駆動回路20は、額縁領域PAのうち信号線SGLの延伸方向(第2方向Dy)に沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路21は、額縁領域PAのうちゲート線GCLの延伸方向(第1方向Dx)に沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と折曲領域BAとの間に設けられる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る光学式センサの構成例を示すブロック図である。図2に示すように、光学式センサ2は、さらに検出制御部30と検出部40とを有する。検出制御部30の機能の一部又は全部は、制御回路26に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路24以外の機能の一部又は全部は、制御回路26に含まれる。
【0020】
検出制御部30は、ゲート線駆動回路20、信号線選択回路21及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部30は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST等の各種制御信号をゲート線駆動回路20に供給する。また、検出制御部30は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路21に供給する。
【0021】
ゲート線駆動回路20は、各種制御信号に基づいてゲート線GCLを駆動する回路である。ゲート線駆動回路20は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線駆動回路20は、ゲート線GCLに接続された画素PXを選択する。
【0022】
信号線選択回路21は、複数の信号線SGLを順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路21は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路21は、検出制御部30から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SGLと検出回路24とを接続する。これにより、信号線選択回路21は、画素PXの検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0023】
検出部40は、検出回路24と、信号処理部44と、記憶部45と、座標抽出部46と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部30から供給される制御信号に基づいて、検出回路24と、信号処理部44と、座標抽出部46と、が同期して動作するように制御する。
【0024】
検出回路24は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE、Analog Front End)である。検出回路24は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0025】
信号処理部44は、検出回路24の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指や掌等の検出対象が検出面に接触又は近接した場合に、検出回路24からの信号に基づいて指や掌等の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理部44は、検出回路24からの信号に基づいて、指や掌等の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等の生体に関する情報を検出できる。
【0026】
記憶部45は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部45は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0027】
座標抽出部46は、信号処理部44において指や掌等の接触又は近接が検出されたときに、指や掌等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出部46は、指や掌等の血管の検出座標を求める論理回路である。座標抽出部46は、センサ部10の各画素PXから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指や掌等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出部46は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0028】
図3は、図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。図3では、検出領域DAの一部及び額縁領域PAの一部が断面視において示されている。前述の通り、検出領域DAは複数の画素PXを有し、額縁領域PAは折曲領域BA及び端子領域TAを有する。各画素PXは、対応する一の画素電極210と、対応する一の薄膜トランジスタTFTとを有する。
【0029】
なお、図3では、第2方向Dyにおける切断面が示されているが、検出領域DAについては、第1方向Dxにおいて切断した場合も図4と同様の断面構造が観察される。また、図3では、断面構造を見易くするため、一部の層のハッチングを省略している(図4-9においても同様)。以下では、図3に示す断面構造を下層から順を追って説明する。
【0030】
樹脂基板100上に、バリア無機膜110が積層されている。樹脂基板100は、ポリイミドにより形成される。ただし、シート型光学検出装置として十分な可撓性を有する基材であれば他の樹脂材料を用いてもよい。一方、バリア無機膜110は、第1無機膜(例えばシリコン酸化膜)111、第2無機膜(例えばシリコン窒化膜)112及び第3無機膜(シリコン酸化膜)113の三層積層構造である。第1無機膜111は基材との密着性向上のため、第2無機膜112は外部からの水分及び不純物のブロック膜として、第3無機膜113は第2無機膜112中に含有する水素原子が半導体層131側に拡散しないようにするブロック膜として、それぞれ設けられるが、特にこの構造に限定するものではない。さらに積層があってもよいし、単層あるいは二層積層としてもよい。
【0031】
後述する薄膜トランジスタTFTを形成する箇所に合わせて付加膜120を形成してもよい。付加膜120は、薄膜トランジスタTFTのチャネル裏面からの光の侵入等による薄膜トランジスタTFTの特性の変化を抑制したり、導電材料で形成して所定の電位を与えることで、薄膜トランジスタTFTにバックゲート効果を与えたりすることができる。ここでは、第1無機膜111を形成した後、薄膜トランジスタTFTが形成される箇所に合わせて付加膜120を島状に形成し、その後第2無機膜112及び第3無機膜113を積層することで、バリア無機膜110に付加膜120を封入するように形成しているが、この限りではなく、樹脂基板100上にまず付加膜120を形成し、その後にバリア無機膜110を形成してもよい。
【0032】
バリア無機膜110上には、薄膜トランジスタTFTが画素PX毎に形成されている。薄膜トランジスタTFTは、半導体層131と、ゲート電極132と、ソース電極133と、ドレイン電極134と、を有する。ポリシリコン薄膜トランジスタを例に挙げて、ここではNchトランジスタのみを示しているが、Pchトランジスタを同時に形成してもよい。薄膜トランジスタTFTの半導体層131は、チャネル領域とソース・ドレイン領域との間に低濃度不純物領域又は真性半導体領域を設けた構造をとる。なお、ゲート電極132は、各画素PXにおいて、ゲート線GCLが半導体層131と電気的に接続する部分である。同様に、ソース電極133は、各画素PXにおいて、信号線SGLが半導体層131と電気的に接続する部分である。
【0033】
半導体層131とゲート電極132との間には、ゲート絶縁膜140が設けられている。ここでは、ゲート絶縁膜140としてはシリコン酸化膜を用いる。ゲート電極132は、MoWから形成された第1配線層W1の一部である。第1配線層W1は、ゲート電極132に加え、第1保持容量線CsL1を有する。第1保持容量線CsL1と半導体層131(ソース・ドレイン領域)との間で、ゲート絶縁膜140を介して、保持容量Csの一部が形成される。
【0034】
ゲート電極132の上に、層間絶縁膜150が形成されている。層間絶縁膜150は、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜が積層した構造をとる。折曲領域BAに相当する箇所では、バリア無機膜110乃至層間絶縁膜150はパターニングにより除去されている。折曲領域BAに相当する箇所では、樹脂基板100を構成するポリイミドが露出している。なお、バリア無機膜110をパターニングにより除去する際、ポリイミド表面が一部浸食されて膜減りを生ずる場合が有る。
【0035】
層間絶縁膜150の端部における段差部分及びバリア無機膜110の端部における段差部分のそれぞれの下層には、配線パターンが形成されている。次の工程で形成する引き回し配線RWは、段差部分を横切る際に配線パターンの上を通る。層間絶縁膜150とバリア無機膜110との間には、例えばゲート電極132があり、バリア無機膜110と樹脂基板100との間には、例えば付加膜120があるので、それらの層を利用して配線パターンを形成する。
【0036】
層間絶縁膜150の上に、ソース電極133、ドレイン電極134及び引き回し配線RWとなる部分を含む第2配線層W2が形成されている。ここでは、Ti、Al及びTiの三層積層構造を採用する。層間絶縁膜150を介して、第1保持容量線CsL1(第1配線層W1の一部)と第2保持容量線CsL2(第2配線層W2の一部)とで、保持容量Csの他の一部が形成される。引き回し配線RWは、折曲領域BAを経由して端子領域TAまで延在しており、フレキシブルプリント基板300等を接続する端子部Tを形成している。
【0037】
なお、引き回し配線RWは、折曲領域BAを横切って端子部Tに到達するように形成されるため、層間絶縁膜150及びバリア無機膜110の段差部分を横切る。前述したとおり、段差部分には例えば付加膜120による配線パターンが形成されている。したがって、引き回し配線RWが段差の凹部で段切れを生じたとしても、該配線パターンにコンタクトすることで電気的な接続を維持することができる。
【0038】
ソース電極133、ドレイン電極134及び層間絶縁膜150を覆うように、平坦化膜160が設けられている。平坦化膜160は、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により形成される無機絶縁材料に比べ、表面の平坦性に優れることから、感光性アクリル等の樹脂が用いられる。平坦化膜160は、画素コンタクト部170、共通電極コンタクト部171、折曲領域BA及び端子領域TAでは除去されている。
【0039】
平坦化膜160の上に、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)からなる透明導電膜190が画素PX毎に形成されている。透明導電膜190は、相互に分離された第1透明導電膜191及び第2透明導電膜192を含む。
【0040】
第1透明導電膜191は、画素コンタクト部170において、平坦化膜160の除去により表面が露出した第2配線層W2を被覆する。そして、第1透明導電膜191を被覆するように、平坦化膜160の上に無機絶縁膜(シリコン窒化膜)180が設けられている。無機絶縁膜180は、画素コンタクト部170に開口している。
【0041】
一方、第2透明導電膜192は、後述する画素電極210の下方(さらに無機絶縁膜180の下方)、画素コンタクト部170の隣に設けられている。第2透明導電膜192、無機絶縁膜36及び画素電極210は重なっており、これらによって付加容量Cadが形成される。
【0042】
なお、端子部Tの表面に第3透明導電膜193が形成されてもよい。端子部Tの表面に形成される第3透明導電膜193は、以降の工程において配線露出部がダメージを負わないように保護することを目的の一として設けられ得る。
【0043】
以上、樹脂基板100から無機絶縁膜180までの積層構造(以下、基板SUBという)について説明した。以下では、図3とともに図4を用いて、基板SUBより上層の構造について説明する。図4は、図3の画素電極周辺を拡大して模式的に示す部分断面図である。
【0044】
基板SUB(より具体的には無機絶縁膜180)の上には、互いに隣り合う複数の画素電極210が設けられている。具体的には、画素コンタクト部170における無機絶縁膜180の開口を介してドレイン電極134に導通するように、画素電極210が画素PX毎に設けられる。画素電極210は、反射電極として形成され、酸化インジウム亜鉛膜、Ag膜、酸化インジウム亜鉛膜の三層積層構造になっている。ここで、酸化インジウム亜鉛膜に代わって酸化インジウムスズ膜を用いてもよい。画素電極210は、画素コンタクト部170から側方に拡がり、薄膜トランジスタTFTの上方に至る。後述するように、画素電極210は、平面視において四角形状となっている(図6G及び図6G参照)。
【0045】
断面視において、画素電極210の表面210aは、基板SUBに垂直な方向において基板SUBに最も近い部分である端部210a-1から、基板SUBに垂直な方向において基板SUBから最も離れた部分である頂部210a-2に近づくにつれて、漸増的に高くなる。より詳細には、端部210a-1は、画素電極210の表面210aのうち、基板SUBの表面SUB-aと画素電極210の表面210aとが接する部分である。また、頂部210a-2は、画素電極210の表面210aのうち、基板SUBに垂直な方向において基板SUBの表面SUB-aから最も離れた部分である。
【0046】
換言すれば、基板SUBに垂直な方向における画素電極210の表面210aの基板SUBからの距離は、端部210a-1から頂部210a-2に近づくにつれて、漸増的に大きくなる。なお、後述するように、前記距離が、端部210a-1から頂部210a-2に近づくにつれて、段階的に大きくなるようにしてもよい(図7参照)。或いは、画素電極の表面210aは、端部210a-1から頂部210a-2に近づくにつれて前記距離が漸増的に大きくなる部分と、端部210a-1から頂部210a-2に近づくにつれて前記距離が段階的に大きくなる部分と、を両方有してもよい。
【0047】
本実施形態では、断面視において、画素電極210の表面210aは湾曲した形状である。このような構成によれば、後述の有機光電変換層230を画素電極210の表面210aに形成する際、カバレッジ不良が生じにくい。
【0048】
基板SUB(より具体的には無機絶縁膜180)の上には、複数の画素電極210のそれぞれに対応する複数の開口を有する絶縁層220が設けられている。絶縁層220としては、平坦化膜160と同じく感光性アクリル等が用いられる。絶縁層220は、画素電極210の表面210aの一部(少なくとも端部210a-1)を覆う。なお、本実施形態では、絶縁層220の端部が逆テーパー形状となっているが、これは後述する製造工程上の都合によるものである。
【0049】
複数の画素電極210の上には、有機光電変換層230が複数の画素PX(すなわち、複数の画素電極210)に共通して積層している。すなわち、有機光電変換層230は、検出領域DAの全体にわたって設けられている。また、有機光電変換層230は、絶縁層220の上にも積層している。具体的には、有機光電変換層230は、複数の画素電極210のそれぞれの表面210a及び絶縁層220の表面220aに積層している。
【0050】
有機光電変換層230は、下部電荷輸送層231と、活性層232と、上部電荷輸送層233と、を含む。より詳細には、有機光電変換層230は、下部電荷輸送層231と、活性層232と、上部電荷輸送層233と、が下からこの順に積層した構造を有する。活性層232は、光学式センサ2に入射する入射光を電荷に変換する。下部電荷輸送層231及び上部電荷輸送層233は、活性層232において生成された前記電荷を輸送する。表面照射型構造を採用する場合には、下部電荷輸送層231を正孔輸送層、上部電荷輸送層233を電子輸送層とするが、裏面照射型構造を採用する場合には、下部電荷輸送層231を電子輸送層、上部電荷輸送層233を正孔輸送層とする。
【0051】
有機光電変換層230の上には、共通電極240が複数の画素PX(すなわち、複数の画素電極210)に共通に積層している。すなわち、共通電極240は、有機光電変換層230と同様に、検出領域DAの全体にわたって設けられている。表面照射型構造を採用する場合には、上部電極240は透明とする必要がある。具体的には、有機光電変換層230と接する面にPEDOT:PSSを形成した後、Ag、Al等の金属材料を用い、入射光が透過する程度の薄膜として共通電極240を形成する。共通電極240は、検出領域DAに設けられた有機光電変換層230上から、額縁領域PAに設けられた共通電極コンタクト部171上にわたって形成される。そして、共通電極コンタクト部171において、第2配線層W2の引き回し配線RWと電気的に接続され、最終的には端子部Tに引き出される。
【0052】
ここで、有機光電変換層230及び共通電極240は、均一または略均一の厚さで成膜されている。したがって、有機光電変換層230の表面230aと、共通電極240の表面240aとは、それぞれ画素電極210の表面の形状210aに応じた形状を有する。すなわち、有機光電変換層230の表面230aは、基板SUBに垂直な方向において基板SUBに最も近い部分である端部230a-1から、基板SUBに垂直な方向において基板SUBから最も離れた部分である頂部230a-2に近づくにつれて、漸増的に高くなる。同様に、共通電極240の表面240aは、基板SUBに垂直な方向において基板SUBに最も近い部分である端部240a-1から、基板SUBに垂直な方向において基板SUBから最も離れた部分である頂部240a-2に近づくにつれて、漸増的に高くなる。また、より詳細には、断面視において、有機光電変換層230の表面230a及び共通電極240の表面240aは湾曲した形状である。
【0053】
上記の構成によれば、画素電極210の平面領域を拡大することなく、画素電極210の表面210aに積層する有機光電変換層230及び共通電極240の表面積を拡大することができる。そのため、画素電極210の平面領域の大きさによらずに、光学式センサ2のセンシング効率を向上させることができる。なお、ここで「平面領域」とは、平面視における画素電極210の有効面積をいう。より具体的には、「平面領域」は、平面視において、画素電極210の表面210aのうち絶縁層220に覆われていない領域(すなわち、絶縁層220の開口に重なる領域)である。
【0054】
ところで、断面視において、絶縁層220の表面220aは、画素電極210の頂部210a-2より、基板SUBと垂直な方向において基板SUBから離れている。換言すれば、断面視において、基板SUBに垂直な方向における絶縁層220の表面220aと基板SUBの表面SUB-aとの距離H1は、基板SUBに垂直な方向における画素電極210の頂部210a-2と基板SUBの表面SUB-aとの距離H2より小さい。このような構成によれば、画素電極210の表面210aに積層する有機光電変換層230及び共通電極240の表面積をより確実に拡大することができる。
【0055】
共通電極240の上には、平坦化層250が積層している。より詳細には、平坦化層250は、共通電極240の表面240aに積層している。平坦化層250の表面250aは平坦な形状となっている。また、基板SUBに垂直な方向における共通電極240の頂部240a-2と基板SUBの表面SUB-aとの距離H3は、基板SUBに垂直な方向における平坦化層250の表面250aと基板SUBの表面SUB-aとの距離H4より小さい。このような構成とすることで、画素電極210の表面210aの形状に応じて上方に突出した共通電極240の表面240aと、後述の封止層260と、が接触しないので、光学式センサ2の耐久性が良好となる。なお、平坦化層260を形成する材料としては、平坦化膜160と同様、感光性アクリル等の樹脂が利用可能である。
【0056】
平坦化層250の上には、封止層260が積層している。封止層260は、外部より侵入する水分等から有機光電変換層230を保護することを機能の一としており、ガスバリア性の高いものが要求される。
【0057】
封止層260は、第1無機材料層261と、樹脂層262と、第2無機材料層263と、を下からこの順に含む。より詳細には、封止層260は、第1無機材料層261と、樹脂層262と、第2無機材料層263と、が下から上に向かってこの順に積層した構造を有する。本実施形態では、第1無機材料層261はシリコン窒化膜、樹脂層262はアクリル樹脂、第2無機材料層263はシリコン窒化膜である。第1無機材料層261と樹脂層262との間には、密着性向上を目的の一として、シリコン酸化膜やアモルファスシリコン層を設けてもよい。本実施形態では、封止層260は受光側に設けられる膜となるため、検出対象となる波長の光に対して吸収等の作用を及ぼさない材料が好ましい。
【0058】
以下、図5図5Aから図5G)及び図6図6Aから図6G)を参照して、図3及び図4に示す光学式センサ2の製造工程について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。また、図6は、図5に示す工程の模式的な拡大平面図である。
【0059】
まず、基板SUB上に第1導電膜300を形成する(図5A及び図6A)。第1導電膜300は、後の工程において加工され、画素電極210となる。次いで、第1導電膜300上に複数のレジスト膜400を形成する(図5B及び図6B)。具体的には、複数のレジスト膜400は、後の工程において複数の画素電極210が形成される箇所に対応する位置に形成される。
【0060】
続いて、第1導電膜300をエッチングする(図5C及び図6C)。具体的には、レジスト膜400をエッチングマスクとして用いて第1導電膜300をドライエッチングし、第1導電膜300のうちレジスト膜400が形成されていない部分を選択的に除去する。
【0061】
次に、レジスト膜400及び第1導電膜300を同時にエッチングする(図5D図5E及び図6D図6E)。この際、断面視において、第1導電膜300の表面が、基板SUBに垂直な方向において基板SUBに最も近い部分である端部から、基板SUBに垂直な方向において基板SUBから最も離れた部分である頂部に近づくにつれて、漸増的に高くなるように第1導電膜300を加工する。
【0062】
具体的には、図5D及び図6Dに示す工程では、破線で示すレジスト膜400の側部400bが後退(レジスト膜400の中央に向かって移動)するようにエッチングを行う。レジスト膜400の側部400bの後退に伴って、第1導電膜300の上面300aが徐々に露出する。これにより、破線で示す第1導電膜300の側部300bと、破線で示す第1導電膜300の上面300aのうち露出した部分300a-1と、が同時にエッチングされていく。その結果として、図5E及び図6Eに示すように、第1導電膜300の表面300c(レジスト膜400に覆われていない部分)におけるテーパー角は、断面視において、基板SUBに垂直な方向において基板SUBの表面SUB-aから離れるにつれて小さくなっている。なお、ここで「テーパー角」とは、断面視において、第1導電膜300の表面300cのうちの一点における接線と、基板SUBの表面SUB-aと、がなす角のことをいう。
【0063】
エッチングを終えたのち、レジスト膜400を除去する(図5F及び図6F)。前述したように、レジスト膜400を除去したあとに残る第1導電膜300は、画素電極210として利用される。前述の図5D図5E及び図6D図6Eに示す工程により、画素電極210の表面210aは、図5Fに示すように、断面視において湾曲した形状となっている。
【0064】
その後、基板SUB上に、絶縁層220(絶縁膜)を形成する(図5G及び図6G)。この際、断面視において、絶縁層220の表面が、画素電極210の頂部より、基板SUBと垂直な方向において基板SUBから離れるように、絶縁層220を形成する(図4参照)。そして、有機光電変換層230(有機光電変換膜)を画素電極210及び絶縁膜220の上に形成し、さらに、共通電極240(第2導電膜)を当該有機光電変換膜の上に形成する(不図示)。この際、有機光電変換層230の表面が画素電極210の表面210aの形状に応じた形状を有するように有機光電変換層230を形成する(図4参照)。また、共通電極240の表面が画素電極210の表面210aの形状に応じた形状を有するように共通電極240を形成する(図4参照)。絶縁層220、有機光電変換層230及び共通電極240の詳細については、前記した通りであるため、説明を省略する。
【0065】
なお、図6F及び図6Gに示すように、画素電極210は、平面視において四角形状である。このような構成によれば、画素電極210が平面視において円形状の場合と比較して、より良好なセンシング効率と解像度とを確保することができる。
【0066】
以下では、本発明の変形例について説明する。図7は、第1の変形例における図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。
【0067】
画素電極の表面210aは、断面視において、基板SUBに垂直な方向において基板SUBに最も近い部分である端部210a-1から、基板SUBに垂直な方向において基板SUBから最も離れた部分である頂部210a-2に近づくにつれて、段階的に高くなっている。なお、本変形例においても、画素電極の表面210aは、端部210a-1から頂部210a-2に近づくにつれて前記距離が漸増的に大きくなる部分と、端部210a-1から頂部210a-2に近づくにつれて前記距離が段階的に大きくなる部分と、を両方有してもよい。
【0068】
すなわち、本変形例では、画素電極210の表面210aは、階段形状を有する。具体的には、図7に示す画素電極210の表面210aは、複数の上面210a-3と、最上面(この場合、頂部210a-2と同一面)を除く当該複数の上面210a-3のそれぞれに対応する複数の蹴上面210a-4であって対応する上面210a-3からそれぞれ立ち上がる複数の蹴上面210a-4と、を有する。なお、図7には、上面210a-3と蹴上面210a-4とがなす段差が3つの場合を示しているが、この段差の数は2つでもよく、あるいは4つ以上でもよい。
【0069】
図7に示す画素電極210は、図3及び図4に示す画素電極210と比較して、より簡易なプロセスで形成することができる。例えば、開口のサイズの異なる複数のメタルマスクを用いた成膜により、図7に示す構造の画素電極210を形成することができる。
【0070】
以上に説明した本発明に係る光学式センサによれば、画素電極の平面領域を拡大することなく、画素電極の表面に積層する有機光電変換層及び共通電極の表面積を拡大することができる。そのため、画素電極の平面領域の大きさによらずに、光学式センサのセンシング効率を向上させることができる。特に、図3-4及び図7に示す例では、後述の図8-9に示す参考例と比較して、画素電極の断面が狭小である部分が少ないため、局所的に高抵抗となる部分が生じるのを抑制することができる。
【0071】
以下では、図8及び図9を用いて、参考例について説明する。
【0072】
図8は、参考例における図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。図8に示す画素電極210の上面210bは、縁部210b-1から底部210b-2に近づくにつれて、漸増的に低くなっている。図8に示す構造の画素電極210は、例えば、順テーパー形状の端部を有する絶縁層220を形成したのちに、当該絶縁層220の開口部分に成膜することにより形成可能である。このような構成とした場合にも、画素電極210の平面領域の大きさによらずに、光学式センサ2のセンシング効率を向上させることができる。特に、図8に示す画素電極210の形状は、集光の観点において利点を有する。なお、画素電極210の上面210bは、縁部210b-1から底部210b-2に近づくにつれて、段階的に低くなってもよい。また、画素電極210の上面210bは、縁部210b-1から底部210b-2に近づくにつれて漸増的に低くなる部分と、縁部210b-1から底部210b-2に近づくにつれて段階的に低くなる部分と、を両方有してもよい。
【0073】
図9は、別の参考例における図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。図9に示す画素電極210の上面210bは、凹凸形状を有する。このような上面210bの凹凸形状は、例えば、画素電極210を形成したのちに、上面210bをスパッタリング等の真空プロセスにより荒らすことによって実現可能である。このような構成とした場合にも、画素電極210の平面領域の大きさによらずに、光学式センサ2のセンシング効率を向上させることができる。特に、図9に示す画素電極210の形状は、表面積の向上の観点において利点を有する。
【0074】
なお、図9に示す例においては、まず平坦化膜160の表面を凹凸形状とし、その上にスパッタリング等の真空プロセスによって画素電極210を形成することにより、画素電極210の上面210bを凹凸形状としてもよい。この製造方法は、図9に示す例に限らず、図3-4及び図7-8に示す例においても適用可能である。このようにして画素電極210を形成する場合、より簡易なプロセスによって、画素電極210を所望の形状に加工することができる。
【0075】
また、図3-4及び図7-8に示した例では、絶縁層220は画素コンタクト部170と平面視で重ならないように設けられているが、絶縁層220が画素コンタクト部170と平面視で重なるように設けられていてもよい。すなわち、上記製造方法により画素電極210の形状を加工する場合には、画素コンタクト部170において、画素電極210の上層の有機光電変換層230のショートや段切れが発生するおそれがある。この点、画素コンタクト部170と平面視で重なるように絶縁層220を設けることにより、かかるショートや段切れを抑制することができる。
【0076】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【0077】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
2 光学式センサ、10 センサ部、20 ゲート線駆動回路、21 信号線選択回路、24 検出回路、26 制御回路、28 電源回路、30 検出制御部、40 検出部、42 検出信号増幅部、43 A/D変換部、44 信号処理部、45 記憶部、46 座標抽出部、100 樹脂基板、110 バリア無機膜、111 第1無機膜、112 第2無機膜、113 第3無機膜、120 付加膜、131 半導体層、132 ゲート電極、133 ソース電極、134 ドレイン電極、140 ゲート絶縁膜、150 層間絶縁膜、160 平坦化膜、170 画素コンタクト部、171 共通電極コンタクト部、180 無機絶縁膜、190 透明導電膜、191 第1透明導電膜、192 第2透明導電膜、193 第3透明導電膜、210 画素電極、220 絶縁層、230 有機光電変換層、231 下部電荷輸送層、232 活性層、233 上部電荷輸送層、240 共通電極、250 平坦化層、260 封止層、261 第1無機封止膜、262 樹脂層、263 第2無機封止膜、300 第1導電膜、400 レジスト膜、GCL ゲート線、SGL 信号線、STV スタート信号、CK クロック信号、RST リセット信号、Vgcl ゲート駆動信号、Vdet 検出信号、Vo センサ出力、ASW 選択信号、CL 回路層、TFT 薄膜トランジスタ、Cs 保持容量、CsL1 第1保持容量線、CsL2 第2保持容量線、W1 第1配線層、W2 第2配線層、Cad 付加容量、RW 引き回し配線、T 端子部、PX 画素、DA 検出領域、PA 額縁領域、BA 折曲領域、TA 端子領域、SUB 基板。

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7
図8
図9