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特開2024-29801萌出状況情報管理装置及び萌出状況情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029801
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】萌出状況情報管理装置及び萌出状況情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20240229BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132187
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】507220361
【氏名又は名称】株式会社オプテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 さおり
(72)【発明者】
【氏名】石川 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】平田 哲明
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA23
(57)【要約】
【課題】患者の年齢区分に対応する萌出状況の情報を、歯科医師等の端末装置の操作者が確認できるようにする。
【解決手段】本発明の一態様に係る萌出状況情報管理サーバー1は、月齢の情報を含む年齢区分の情報と、該年齢区分において萌出していることが期待される歯の歯列情報とが対応付けられた年齢別歯列情報が記憶される記憶部11と、診察対象の患者の年齢区分に対応する年齢別歯列情報を抽出して端末装置2に出力する制御部10と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
月齢の情報を含む年齢区分の情報と、該年齢区分において萌出していることが期待される歯の歯列情報とが対応付けられた年齢別歯列情報が記憶される記憶部と、
診察対象の患者の年齢区分に対応する前記年齢別歯列情報を抽出して端末装置に出力する制御部と、を備える
萌出状況情報管理装置。
【請求項2】
前記記憶部には、診察の結果得られた前記患者の歯列の情報である患者歯列情報がさらに記憶され、
前記制御部は、前記年齢別歯列情報に基づき生成され、前記端末装置に送信された患者用歯列データであって、前記患者の診察結果に基づいて修正されて、前記端末装置から送信された前記患者用歯列データに基づいて、前記患者歯列情報を更新する
請求項1に記載の萌出状況情報管理装置。
【請求項3】
前記記憶部より前記患者歯列情報を取得して分析し、分析結果を前記年齢別歯列情報に反映させる分析部をさらに備える、
請求項2に記載の萌出状況情報管理装置。
【請求項4】
前記患者用歯列データの表示画面には、乳歯及び永久歯の両方の萌出状況が表示される
請求項2又は3に記載の萌出状況情報管理装置。
【請求項5】
前記患者用歯列データの表示画面において、前記乳歯及び/又は前記永久歯が萌出している状態は対応する歯が表示されることによって示され、前記乳歯及び/又は前記永久歯が欠損している状態は、対応する歯が非表示されることによって示される
請求項4に記載の萌出状況情報管理装置。
【請求項6】
前記患者用歯列データの表示画面における歯の表示又は非表示の切り替えは、対応する歯を選択する動作に連動して行われる
請求項5に記載の萌出状況情報管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記患者の診察状況に応じて、患者の年齢区分に対応する前記年齢別歯列情報、及び、前記患者の前回の診察結果に基づく前記患者歯列情報のいずれかを前記記憶部より抽出し、抽出した前記情報を用いて前記患者用歯列データを生成する
請求項6に記載の萌出状況情報管理装置。
【請求項8】
月齢の情報を含む年齢区分の情報と、該年齢区分において萌出していることが期待される歯の歯列情報とが対応付けられた年齢別歯列情報を記憶する手順と、
診察対象の患者の年齢区分に対応する前記年齢別歯列情報を抽出して端末装置に出力する手順と、を含む
萌出状況情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、萌出状況情報管理装置及び萌出状況情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の乳歯は上下左右で20本あり、永久歯は親知らずを除いて28本ある。乳歯は生後8か月くらいから生え始め、2歳半頃までには20本すべての乳歯が生えそろう。20本の乳歯は5歳半くらいから順番に抜け、代わりの永久歯が生えてくる。20本の乳歯が永久歯に生え変わる時期は10歳~13歳くらいであり、親知らずを除いた永久歯が生えそろう時期は12歳~14歳とされている。つまり、子供の口腔内において永久歯が完全に生えそろっておらず、乳歯と永久歯とが混在する状態は、5歳から14歳までと長く続く。
【0003】
このような乳歯及び永久歯の混在期において、歯科検診や歯科治療時等で口腔内の状態を記録する場合、歯科医師は、乳歯がどこまで永久歯に生え変わっているかを判別しながら記録を行う必要がある。
【0004】
しかし、日本小児歯科学会が1984年及び2015年にそれぞれ実施した一斉調査においては、過去30年の間で歯の萌出時期に変化が出ていること、萌出順番が変わったこと等が報告されている。したがって、歯科医師が、自身の大学時代等に学んだ乳歯・永久歯の萌出時期の知識に基づいて検診又は診察を行っている場合、歯科医師の卒後年数が長くなるにつれて、学習した乳歯・永久歯の萌出時期の情報と、実際の萌出時期との間に差が大きくなる可能性がある。
【0005】
特に、子供の口腔内を見慣れてない歯科医師は、記憶を頼りに診断を行うことになるため、実際の萌出時期の情報を知らないまま検診又は診察を行ってしまう可能性がある。実際の萌出時期に従っていない萌出時期の古い知識に基づいて歯科医師が検診又は診断を行った場合、永久歯の萌出時の異常の見落とし等が起こってしまう可能性がある。
【0006】
例えば、特許文献1には、第一被験者の口腔内を撮影した画像から、被験者の永久歯に関する幾何学的形状を示す情報を少なくとも含む被験者情報を取得する第1取得部と、第一被験者とは異なる第二被験者の永久歯が萌出するまでの期間である萌出期間を示す萌出期間情報とを含むデータセットを複数記憶しているデータベースを備える永久歯萌出時期予測装置が記載されている。
特許文献1に記載の永久歯萌出時期予測装置は、第一被験者の被験者情報と第二被験者の被験者情報との類似性を判断し、その判断結果に基づいてデータベースに含まれる萌出期間情報を取得する。そして、取得した萌出期間情報に基づいて、第一被験者の永久歯の萌出期間を予測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6414026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、歯科医院においては、患者ごとの診察内容を管理する電子カルテ等のシステムが導入されていることが一般的である。そして、歯科医師による診察結果はシステムに入力される。したがって、該システムを介して、診察時等に患者の年齢に合った歯の萌出状況(歯列データ)の情報を確認することができれば、古い知識を持った歯科医師や、子供の診察の経験が少ない歯科医師などが、誤った知識に基づく診断を行ってしまうことを防止できると考えられる。しかし、特許文献1に記載の永久歯萌出時期予測装置では、患者の年齢区分に対応する歯の萌出状況情報を確認することまでは考慮されていない。
【0009】
本発明は、上記の状況を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、患者の年齢区分に対応する歯の萌出状況情報を、歯科医師等の端末装置の操作者が確認できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る萌出状況情報管理装置は、月齢の情報を含む年齢区分の情報と、該年齢区分において萌出していることが期待される歯の歯列情報とが対応付けられた年齢別歯列情報が記憶される記憶部と、診察対象の患者の年齢区分に対応する年齢別歯列情報を抽出して端末装置に出力する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の少なくとも一態様によれば、患者の年齢区分に対応する萌出状況の情報を、歯科医師等の端末装置の操作者が確認できるようになる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る萌出状況情報管理システムの概略構成例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る萌出状況情報管理サーバー及び端末装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る患者情報データベースの構成例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る患者別歯列情報データベースの構成例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る年齢別歯列情報データベースの構成例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る患者用歯列データの表示処理について説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態に係る患者用歯列データの編集内容反映処理について説明するための図である。
図8】本発明の一実施形態に係る患者別歯列情報の分析処理の概要を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る分析結果の年齢別歯列情報データベースへの反映例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る患者用歯列データの表示例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る患者用歯列データの表示例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る初診時における萌出状況情報管理システムによる患者用歯列データの表示処理の手順の例を示すフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態に係る萌出状況情報管理システムによる患者用歯列データの編集内容反映処理の手順の例を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態に係る再診時における萌出状況情報管理システムによる患者用歯列データ又は患者歯列情報の表示処理、並びに、患者用歯列データ又は患者歯列情報の編集内容反映処理の手順の例を示すフローチャートである。
図15】本発明の一実施形態に係る萌出状況情報管理システムのデータ分析部による患者別歯列情報の分析処理の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。本発明は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値等は例示である。また、本明細書及び図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0014】
<萌出状況情報管理システムの概略構成>
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る萌出状況情報管理システム100の構成について説明する。図1は、萌出状況情報管理システム100の概略構成例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、萌出状況情報管理システム100は、萌出状況情報管理サーバー1(萌出状況情報管理装置の一例)と、端末装置2-1~端末装置2-n(nは2以上の自然数)と、を含む。萌出状況情報管理サーバー1と、端末装置2-1~端末装置2-nのそれぞれとは、ネットワークNを介して通信可能に接続される。
【0016】
萌出状況情報管理サーバー1は、例えばクラウド環境に置かれ、複数の端末装置2から患者の萌出状況を示す情報を収集して分析し、学習するサーバーである。端末装置2は、歯科医院内に設置されるPC(Personal Computer)や、スマートフォン等の携帯端末で構成される装置である。端末装置2_1はX歯科医院内に設置され、端末装置2_nはY歯科医院内に設置されている。なお、図1には端末装置2として端末装置2_1及び2_nの2つのみを図示しているが、萌出状況情報管理サーバー1には、他の端末装置2も複数台接続されているものとする。また、以下の説明において端末装置2_1~2_nをそれぞれ区別する必要がない場合には、これらを端末装置2と総称する。
【0017】
<萌出状況情報管理システムの制御系の構成>
次に、図2を参照して、萌出状況情報管理システム100を構成する萌出状況情報管理サーバー1及び端末装置2の制御系の構成について説明する。図2は、萌出状況情報管理サーバー1及び端末装置2の制御系の構成例を示すブロック図である。図2Aには、萌出状況情報管理サーバー1の制御系の構成例を示し、図2Bには、端末装置2の制御系の構成例を示す。
【0018】
[萌出状況情報管理サーバー]
図2Aに示すように、萌出状況情報管理サーバー1は、バスB1にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103及び記憶部11を備える。また、萌出状況情報管理サーバー1は、通信I/F(Interface)部12、操作入力部13、表示部14及びデータ分析部15を備える。
【0019】
CPU101は、本実施形態に係る萌出状況情報管理サーバー1の各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM102から読み出してRAM103に展開して実行する。もしくは、CPU101は、プログラムコードをROM102から直接読み出してそのまま実行する制御部である。なお、萌出状況情報管理サーバー1は、CPU101の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。RAM103には、CPU101による演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0020】
記憶部11としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この記憶部11には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、萌出状況情報管理サーバー1を機能させるためのプログラムが格納される。また、記憶部11には、患者情報データベースD1、患者別歯列情報データベースD2、年齢別歯列情報データベースD3等が記憶される。なお、図2においては、「データベース」を「DB」と表記している。
【0021】
患者情報データベースD1には、患者のIDや氏名、生年月日、性別などの患者の属性情報が格納される。なお、患者情報データベースD1については、図3を参照して詳述する。患者別歯列情報データベースD2には、患者の歯の欠損情報が、各診察を識別する診察IDと対応付けて格納される。患者別歯列情報データベースD2については、図4を参照して詳述する。年齢別歯列情報データベースD3には、月齢を含む各年齢区分に対応する歯列データ(歯の萌出状態を示す情報)が格納される。年齢別歯列情報データベースD3については、図5を参照して詳述する。
【0022】
なお、プログラムは、ROM102に格納されていてもよい。プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU101は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM102又は記憶部11は、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0023】
通信I/F12は、端末装置2装置との間で行われる通信の制御を行う通信デバイス等により構成される。
【0024】
操作入力部13は、例えば、マウスやキーボードなどで構成され、ユーザによる操作に応じた操作信号を生成してCPU101に供給する。
表示部14は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成されるモニタである。
なお、操作入力部13と表示部14とは、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。また、萌出状況情報管理サーバー1は、操作入力部13及び表示部14を備えない構成にしてもよい。
【0025】
データ分析部15は、予め定められた所定のタイミング又は任意のタイミングにおいて、患者情報データベースD1に格納された患者情報と、患者別歯列情報データベースD2に格納された患者の歯列情報とを取得する。そして、データ分析部15は、取得したこれらの情報に基づいて患者の歯列の状態(歯の萌出状況)を分析し、統計を取ることにより、分析結果を年齢別歯列情報データベースD3に反映させる。データ分析部15による処理の詳細については、図15で説明する。
【0026】
[端末装置]
次に、同じく図2を参照して、端末装置2の制御系の構成について説明する。
図2Bに示すように、端末装置2は、バスB2にそれぞれ接続されたCPU201、ROM202、RAM203及び記憶部21を備える。また、端末装置2は、通信I/F部22、操作入力部23及び表示部24を備える。
【0027】
CPU201は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM202から読み出してRAM203に展開して実行する。もしくは、CPU201は、プログラムコードをROM202から直接読み出してそのまま実行する。なお、端末装置2は、CPU201の代わりに、MPU等の処理装置を備えてもよい。RAM203には、CPU201による演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0028】
記憶部21としては、例えば、HDD、SSD、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この記憶部21には、OS、各種のパラメータの他に、端末装置2を機能させるためのプログラム等も記憶される。
【0029】
なお、プログラムは、ROM202に格納されていてもよい。プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPU201は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM202又は記憶部21は、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0030】
通信I/F22は、萌出状況情報管理サーバー1との間で行われる通信の制御を行う通信デバイス等により構成される。
【0031】
操作入力部23は、例えば、マウスやキーボードなどで構成され、ユーザによる操作に応じた操作信号を生成してCPU201に供給する。
表示部24は、例えば、LCD等で構成されるモニタである。表示部24には、萌出状況情報管理サーバー1から送信された患者用歯列データに基づく画面や、電子カルテの画面、レセプトシステムの画面などが表示される。なお、操作入力部23と表示部24とは、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。
【0032】
<患者情報データベースの構成>
次に、図3を参照して、患者情報データベースD1の構成について説明する。図3は、患者情報データベースD1の構成例を示す図である。
図3に示すように、患者情報データベースD1は、「患者ID」、「患者氏名」、「生年月日」及び「性別」の各項目を有する。
【0033】
「患者ID」の項目には、患者を識別するIDが格納される。「患者氏名」の項目には、患者の氏名が格納される。「生年月日」の項目には、患者の生年月日が“YYYY/MM/DD”のデータ形式で格納される。「性別」の項目には、患者の生物学上の性別の情報が格納される。
【0034】
例えば、図3に示す患者情報データベースD1の一番上のレコードには、患者IDが“1001”である患者の氏名は“佐藤A子”であり、生年月日は2016年4月1日であり、性別は女性であるという情報が格納されている。
【0035】
<患者別歯列情報データベースの構成>
次に、図4を参照して、患者別歯列情報データベースD2の構成について説明する。図4は、患者別歯列情報データベースD2の構成例を示す図である。図4Aは患者別歯列情報データベースD2のヘッダーD2hを示し、図4Bは患者別歯列情報データベースD2のボディD2bを示す。
【0036】
図4Aに示すように、患者別歯列情報データベースD2のヘッダーD2hは、「患者ID」、「診察ID」及び「診察日」の各項目を有する。「患者ID」の項目には患者IDが格納され、「診察ID」の項目には、各診察を識別する診察IDが格納される。診察IDには、初診時に“1”が割り当てられ、以降行われる診察毎に“2”以降の数字が順に割り当てられる。そして、診察が行われる毎に、ヘッダーD2hに新しいレコードが追加される。「診察日」の項目には、患者の診察が行われた(該診察の結果が保存された)日付が“YYYY/MM/DD”のデータ形式で格納される。
【0037】
図4Aに示す患者別歯列情報データベースD2のヘッダーD2hには、患者IDが“1001”である患者の診察ID“1”には、診察日の“2022/5/10”が対応付けられている。すなわち、患者IDが“1001”の患者(図3の患者情報データベースD1によれば、佐藤A子さん)の初診は、2022年5月10日に行われたことが示されている。
【0038】
また、診察ID“2”には、診察日の“2022/5/16”が対応付けられている。すなわち、患者IDが“1001”の患者の再診(2回目)は、2022年5月16日に行われたことが分かる。
【0039】
図4Bに示すように、患者別歯列情報データベースD2のボディD2bは、「患者ID」、「診察ID」、「歯列番号」及び「欠損情報」の各項目を含む。なお、患者別歯列情報データベースのボディD2bには、例えば、歯への補綴物の情報や、歯の状態の情報などを示す各項目も含まれるが、本発明との関係が少ない項目については図示及び説明を省略する。
【0040】
「患者ID」の項目には患者IDが格納され、「診察ID」の項目には診察IDが格納される。「歯列番号」には、歯の部位を示す番号が格納される。「欠損情報」の項目には、歯列番号によって示される歯が、欠損しているか否かを示す情報が格納される。その歯が生えている場合には、「欠損情報」の項目に「0:なし」の情報が格納され、その歯が生えていない又は抜けている場合には、「欠損情報」の項目に「1:あり」の情報が格納される。患者別歯列情報データベースD2のボディD2bには、1回の診察毎に、すべての歯の欠損情報が格納される。
【0041】
<年齢別歯列情報データベースの構成>
次に、図5を参照して、年齢別歯列情報データベースD3の構成について説明する。図5は、年齢別歯列情報データベースD3の構成例を示す図である。図5に示すように、年齢別歯列情報データベースD3は、「年齢区分(下限)」、「年齢区分(上限)」及び「萌出状況」の各項目を有する。
【0042】
「年齢区分(下限)」の項目には、年齢区分の下限を示す情報が、生まれてからの経過日数のデータ形式で格納される。「年齢区分(上限)」の項目には、年齢区分の上限を示す情報が、生まれてからの経過日数のデータ形式で格納される。
【0043】
例えば、年齢別歯列情報データベースD3の一番上のレコードにおける「年齢区分(下限)」の“913”は、“2.5(年:2歳6か月)×365(日)=913”の式により求められる値である。すなわち、2歳6か月を示す。また、「年齢区分(上限)」の“2189”は、“6(年:6歳)×365(日)-1(日)=2189”の式により求められる値である。すなわち、5歳11か月を示す。つまり、年齢別歯列情報データベースD3の一番上のレコードには、2歳6か月から5歳11か月までの年齢区分が示されている。
【0044】
「萌出状況」の項目には、歯の萌出状況が“0”~“100”(%)の値によって示される。0%は、歯が全く生えていないことを示し、100%は、歯が完全に生えていることを示す。つまり、「萌出状況」の項目においては、その年齢区分において各歯が生えている確率が示される。歯の萌出状況及び該萌出状況と対応付けられる年齢区分の情報は、例えば、永久歯及び乳歯の萌出時期に関する調査結果が示された、以下の刊行物(1)に記載の内容に基づき求めることができる。
【0045】
公益社団法人日本小児歯科学会 小児歯科学雑誌57巻3号 p.363-373「日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究(その2.永久歯について)」2019年6月25日発行…刊行物(1)
【0046】
なお、年齢別歯列情報データベースD3の「年齢区分」及び「萌出状況」の根拠とする情報は、上記刊行物に記載の情報に限定されない。その他の刊行物又は論文等に記載の情報に基づいて決めてもよい。また、歯の萌出状況に関する独自の調査結果などがある場合には、その情報に基づいて決めることもできる。
【0047】
「萌出状況」のデフォルト値には、“0”(%)又は“100”(%)の値が設定されるが、萌出状況情報管理サーバー1のデータ分析部15(図2参照)による分析(統計)が進むにつれ、“20”(%)や“80”(%)などの間の値も含むものに細分化されていく。
【0048】
<萌出状況情報管理処理の概要>
次に、萌出状況情報管理システム100による萌出状況情報管理処理の概要について、図6図9を参照して説明する。
【0049】
萌出状況情報管理システム100による萌出状況情報管理処理においては、以下の(1)~(3)の処理が行われる。
(1)患者用歯列データの表示処理
(2)患者用歯列データの編集内容反映処理
(3)患者別歯列情報の分析処理
【0050】
[患者用歯列データの表示処理]
まず、図6を参照して、上記(1)の患者用歯列データの表示処理の概要について説明する。図6は、患者用歯列データの表示処理について説明するための図である。
【0051】
最初に、患者である田中A子さんの診察時に、歯科医師は、A子さんの保険証等に記載の情報に基づいて、端末装置2の診察情報入力画面Scに患者の情報を入力する(ステップS1)。図6に示す例では、歯科医師は、「田中A子さん」、「6歳2か月」の情報を入力している。診察情報入力画面Scは、例えば、電子カルテや、電子カルテに連携されたレセプトシステムなどによる画面として、端末装置2の表示部24(図2参照)に表示される。
【0052】
なお、診察情報入力画面Scに入力される情報は、図6に示した情報、すなわち、患者の氏名及び年齢に限定されない。例えば、診察情報入力画面Scには、患者IDのみが入力されてもよい。また、患者の情報を入力する者も、歯科医師に限定されず、歯科助手、歯科衛生士等であってもよい。診察情報入力画面Scが、電子カルテと連携したレセプトシステムによる画面である場合等には、入力は、受付の担当者によって行われることも想定される。
【0053】
ステップS1で診察情報入力画面Scに入力された患者の情報は、萌出状況情報管理サーバー1に送信され、萌出状況情報管理サーバー1の制御部10(図2参照)によって、患者情報データベースD1に書き込まれる(ステップS2)。なお、患者の診察が再診である場合には、患者情報データベースD1への患者の情報の書き込みは行われない。
【0054】
次いで、萌出状況情報管理サーバー1の制御部10は、患者の年齢に対応する年齢区分の年齢別歯列情報を、年齢別歯列情報データベースD3から取得し、患者用歯列データとして端末装置2に送信する(ステップS3)。ステップS3で萌出状況情報管理サーバー1から送信された患者用歯列データDdは、端末装置2の診察情報入力画面Scに表示される。なお、図6においては、患者用歯列データDdを歯式によって示しているが、実際には、乳歯及び永久歯の歯の画像及び歯式によって構成される。患者用歯列データDdに基づく画面の表示例については、後述の図10及び図11を参照して詳述する。
【0055】
このように、患者の情報に基づいて、患者の年齢区分に応じた歯列データ(患者用歯列データDd)を診察情報入力画面Scに表示することにより、患者の診察(又は検診)を行う歯科医師は、患者の年齢区分において生えていることが期待される歯列の情報を、診察前に把握することができる。
【0056】
[患者用歯列データの編集内容反映処理]
次に、図7を参照して、上記(2)の患者用歯列データの編集内容反映処理の概要について説明する。図7は、患者用歯列データDdの編集内容反映処理について説明するための図である。
【0057】
まず、歯科医師は患者を診察する(ステップS11)。次いで、歯科医師は、診察の内容に基づいて、患者用歯列データDdを編集する(ステップS12)。診察の結果、6歳2か月である患者の田中A子さんは発育が早く、下の歯の左右6番の歯がそれぞれ生えていることが分かったとする。この場合、診察を行った歯科医師は、患者用歯列データDdを編集して、下の歯の左右の6番の歯も生えていることを示す患者用歯列データDd′に書き換える。
【0058】
つまり、本実施形態によれば、歯科医師は、患者の歯の情報を一本ずつ入力する等の手間を要することなく、患者の年齢区分に応じた患者用歯列データDdを編集するという簡易な操作により、患者の診察結果を適切に記録することが可能となる。
【0059】
そして、編集後の患者用歯列データDd′は、萌出状況情報管理サーバー1に送信されて、患者別歯列情報データベースD2に書き込まれる(ステップS13)。歯科医師によって編集された患者用歯列データDd′は、1つの歯科医院のみでなく、萌出状況情報管理サーバー1に接続された他の複数の歯科医院からも、萌出状況情報管理サーバー1に送信される。これにより、患者別歯列情報データベースD2には、様々な年齢の患者の実際の歯列(歯の萌出状況)の情報が蓄積されていく。
【0060】
[患者別歯列情報の分析処理]
次に、図8及び図9を参照して、上記(3)の患者別歯列情報の分析処理の概要について説明する。
まず、図8を参照して、萌出状況情報管理サーバー1のデータ分析部15による、患者別歯列情報の分析処理の概要について説明する。図8は、患者別歯列情報の分析処理について説明するための図である。
【0061】
データ分析部15は、予め定められた所定のタイミング又は任意のタイミングにおいて、患者情報データベースD1に格納された患者情報と、患者別歯列情報データベースD2に格納された患者の歯列情報とを取得する(ステップS21)。
【0062】
データ分析部15は、取得した患者情報と患者の歯列情報に基づいて患者の歯列の状態(歯の萌出状況)を分析する(ステップS22)。具体的には、データ分析部15は、データの保存時の患者の年齢と、患者別歯列情報データベースD2から取得した患者の歯列情報とに基づいて、患者の歯列の状態を解析する。そして、データ分析部15は、解析結果の統計をとる等の手法によって、患者の歯列の状態の年齢別歯列情報データベースD3への変更の要否及び変更内容を分析する。例えば、取得した同じ年齢区分の歯列データにおける各歯の萌出状況の平均値、中央値、又は分散等を求めることによって、分析と統計処理が行われる。
【0063】
その後、データ分析部15は、分析結果を年齢別歯列情報データベースD3に反映させる(ステップS23)。
【0064】
図9は、分析結果を年齢別歯列情報データベースD3へ反映した例を示す図である。
図9の上段には、分析結果の反映前の年齢別歯列情報を示す。図9に示す例では、変更前の年齢別歯列情報には、5歳までの間はすべての歯が乳歯(A番~E番)で構成され、6歳0か月~6歳5か月の間に下の乳歯A番が抜けて、永久歯1番が生えることが示されている。
【0065】
しかし、例えば、データ分析部15による分析の結果、下の歯の右の永久歯1番は、6歳3か月までに生えそろうことが分かったとする。この場合、図9の下段に示すように、「6歳0か月~6歳5か月まで」だった年齢区分が、「6歳0か月~6歳3か月まで」と、「6歳4か月~6歳5か月まで」とに細分化される。
【0066】
そして、「6歳0か月~6歳3か月まで」の年齢区分に対応する歯列情報が、下の歯の右の永久歯1番が生えていることを示すものに変更される。データ分析部15は、このような分析及び分析結果の反映を行うことにより、子供たちの歯の萌出時期や萌出順序などに変化が生じる傾向がある場合にも、萌出状況情報管理サーバー1は、その情報を詳細に把握することが可能となる。
【0067】
<患者用歯列データの表示例>
次に、図10及び図11を参照して、診察情報入力画面Scにおける患者用歯列データDdの表示例について説明する。図10及び図11は、患者用歯列データDdの表示例を示す図である。
【0068】
図10Aには、診察情報入力画面Scに表示された患者用歯列データDdにおいて、乳歯及び永久歯のすべての歯が表示されている状態を示す。患者用歯列データDdの内側には、上下のA番~E番の乳歯の側面図及び上面図が示されており、外側には、上下の1番~8番の永久歯の側面図及び上面図が示されている。
【0069】
これらのすべての歯の表示又は非表示は、表示又は非表示にしたい歯の位置をタップ又はクリックして選択することにより、切り替えることができる。歯の表示は、歯の萌出状態と対応付けられており、歯の非表示は、歯の欠損状態と対応付けられている。
【0070】
図10Bの上段に示すように、上の歯の右側の4番の永久歯の表示位置が歯科医師によって選択されたとする。この場合、図10Bの下段に示すように、患者用歯列データDdにおいて、表示されていた上の右側の4番の永久歯の表示が消える。つまり、歯科医師は、患者を診察した結果、患者の上の歯の右側の4番の永久歯はまだ生えていないことを確認した場合、4番の永久歯の位置を選択して歯を非表示にすることにより、その歯が未萌出であることを萌出状況情報管理サーバー1に記録することができる。
【0071】
図11Aに示す患者用歯列データDdにおいては、下の左右のA番の乳歯が抜けていて、左右の永久歯1番が生えていることが示されている。歯科医師が患者を診察した結果、左右の永久歯1番だけでなく、左右の永久歯6番も生えていることが分かったとする。この場合、歯科医師は、左右の永久歯6番の位置を選択することにより、図11Bに示すように、これらの歯を表示させることができる。すなわち、歯科医師は、左右の永久歯6番の歯も生えていることを記録することができる。
【0072】
つまり、本実施形態によれば、歯科医師等は、乳歯用の画面と永久歯用の画面との切り替え等を行うことなく、患者の年齢区分に対応する歯列データを一つの画面内で確認できる。また、歯科医師は、患者の乳歯及び永久歯の両方の萌出状況の情報を、一つの画面内で的確に入力することが可能となる。
【0073】
なお、図11には、診察情報入力画面Scの患者用歯列データDdに、その年齢区分において100%萌出していると想定される歯を表示される例を示すが、本発明はこれに限定されない。90%や80%などの他の確率に対応付けられた歯の萌出状況を表示できるようにしてもよい。確率の指定は、例えば、患者用歯列データDdに設けられた入力フォームへの値の入力や、確率を変更可能なスライドバーのスライドの移動などによって受け付けることが可能である。
【0074】
<萌出状況情報管理システムによる萌出状況情報管理処理>
次に、萌出状況情報管理システム100による萌出状況情報管理方法の詳細について、図12図15を参照して説明する。
【0075】
[患者用歯列データの表示処理]
まず、図12を参照して、萌出状況情報管理システム100による初診時における患者用歯列データDdの表示処理について説明する。図12は、初診時における萌出状況情報管理システム100による患者用歯列データDdの表示処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0076】
まず、端末装置2の制御部20(図2参照)は、操作入力部23を介して、患者情報の入力を受け付ける(ステップSA1)。次いで、制御部20は、入力された患者情報を、通信I/F部22を介して萌出状況情報管理サーバー1に送信する(ステップSA2)。
【0077】
ステップSA2で端末装置2から送信された患者情報は、萌出状況情報管理サーバー1の通信I/F部12によって受信される(ステップSB1)。次いで、萌出状況情報管理サーバー1の制御部10は、ステップSB1で受信した患者情報を、記憶部11内の患者情報データベースD1に登録する(ステップSB2)。
【0078】
次に、萌出状況情報管理サーバー1の制御部10は、患者情報データベースD1に登録された患者情報に基づいて、患者の年齢区分を特定する(ステップSB3)。具体的には、制御部10は、患者の生年月日とその日の日付とに基づいて、患者の年齢を算出し、該年齢に対応する年齢区分を求める。
【0079】
次に、制御部10は、ステップSB3で特定した年齢区分に対応する歯列データを、年齢別歯列情報データベースD3から抽出し、患者用歯列データDdを作成する(ステップSB4)。そして、制御部10は、通信I/F12を介して端末装置2に送信する(ステップSB5)。ステップSB5の処理後、萌出状況情報管理サーバー1による患者用歯列データDdの表示処理は終了する。
【0080】
ステップSB5で萌出状況情報管理サーバー1から送信された患者用歯列データは、端末装置2の通信I/F部22によって受信される(ステップSA3)。
【0081】
次いで、端末装置2の制御部20は、患者用歯列データDdを診察情報入力画面Sc(図7等参照)に表示させる(ステップSA4)。ステップSA4の処理後、端末装置2による患者用歯列データDdの表示処理は終了する。
【0082】
上述した実施形態では、患者情報に応じて抽出された、患者の年齢区分に対応する歯列データ(患者用歯列データDd)が、端末装置2の画面(診察情報入力画面Sc)に表示される。したがって、古い知識を持った歯科医師や、子供の診察の経験が少ない歯科医師などであっても、画面に表示された患者の年齢区分に応じた歯列データに基づいて、正しく診察をすることが可能となる。つまり、本実施形態によれば、例えば永久歯の萌出時の異常の見落とし等の、歯科医師による誤った知識に基づく診断が行われてしまうことを防ぐことができる。
【0083】
[患者用歯列データの編集内容反映処理]
次に、図13を参照して、萌出状況情報管理システム100による患者用歯列データDdの編集内容反映処理について説明する。図13は、萌出状況情報管理システム100による患者用歯列データDdの編集内容反映処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0084】
まず、端末装置2の制御部20は、操作入力部23を介して、診察結果に基づく患者用歯列データDdの編集を受け付ける(ステップSA11)。次いで、制御部20は、通信I/F部22を介して、編集後の患者用歯列データDd′を萌出状況情報管理サーバー1に送信する(ステップSA12)。ステップSA12の処理後、端末装置2による患者用歯列データの編集内容反映処理は終了する。
【0085】
ステップSA12で端末装置2から送信された編集後の患者用歯列データDd′は、萌出状況情報管理サーバー1の通信I/F部12によって受信される(ステップSB11)。次いで、萌出状況情報管理サーバー1の制御部10は、受信した編集後の患者用歯列データDd′に記載の情報を、記憶部11内の患者別歯列情報データベースD2に登録する(ステップSB12)。ステップSB12の処理後、萌出状況情報管理サーバー1による患者用歯列データDdの編集内容反映処理は終了する。
【0086】
[再診時における患者用歯列データ又は患者歯列情報の表示処理、並びに、患者用歯列データ又は患者歯列情報の編集内容反映処理]
次に、図14を参照して、再診時における萌出状況情報管理システム100による患者用歯列データDd又は患者歯列情報の表示処理、並びに、患者用歯列データDd又は患者歯列情報の編集内容反映処理について説明する。
図14は、再診時における萌出状況情報管理システム100による患者用歯列データDd又は患者歯列情報の表示処理、並びに、患者用歯列データDd又は患者歯列情報の編集内容反映処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0087】
まず、端末装置2の制御部20は、操作入力部23を介して、患者情報の入力を受け付ける(ステップSA21)。次いで、制御部20は、入力された患者情報を、通信I/F部22を介して萌出状況情報管理サーバー1に送信する(ステップSA22)。
【0088】
ステップSA22で端末装置2から送信された患者情報は、萌出状況情報管理サーバー1の通信I/F部12によって受信される(ステップSB21)。そして、萌出状況情報管理サーバー1の制御部10は、ステップSB21で受信した患者情報に基づいて、患者の年齢区分を特定する(ステップSB22)。
【0089】
次に、制御部10は、ステップSB22で特定した年齢区分に対応する歯列データを、年齢別歯列情報データベースD3から抽出する(ステップSB23)。次いで、ステップSB21で受信した患者情報に記載の患者の前回の診察時における患者歯列情報を、患者別歯列情報データベースD2から抽出する(ステップSB24)。そして、制御部10は、患者の年齢区分に対応する患者用歯列データDdと、前回診察時の患者歯列情報とを、通信I/F部12を介して端末装置2に送信する(ステップSB25)。
【0090】
ステップSB25で萌出状況情報管理サーバー1から送信された患者用歯列データDd及び患者歯列情報は、端末装置2の通信I/F部22によって受信される(ステップSA23)。次いで、端末装置2の制御部20は、前回の診察時における患者の歯列情報ではなく、患者用歯列データDdを使用するか否かを判定する(ステップSA24)。
【0091】
患者の年齢区分に対応する年齢別歯列情報に基づく患者用歯列データDdを使用するか、前回の診察時における患者の歯列情報を使用するかは、前回診察時からの経過時間の長さや、診察の結果判断された歯列の変化の大きさなどの情報に基づいて、制御部10によって判定される。もしくは、どちらの情報を使用するかを選択肢として診察情報入力画面Scに表示して、歯科医師によっていずれかを選択させてもよい。
【0092】
ステップSA24で、患者用歯列データDdを使用すると判定された場合(ステップSA24がYES判定の場合)、端末装置2の制御部20は、患者用歯列データDdを診察情報入力画面Scに表示させる(ステップSA25)。一方、ステップSA24で、患者用歯列データDdを使用しないと判定された場合(ステップSA24がNO判定の場合)、制御部20は、前回診察時の患者の歯列情報を診察情報入力画面Scに表示させる(ステップSA26)。
【0093】
ステップSA25又はステップSA26の処理後、制御部20は、操作入力部23を介して、患者用歯列データDd又は患者の歯列情報の編集を受け付ける(ステップSA27)。そして、制御部20は、編集後の患者用歯列データDd′又は患者の歯列情報を、通信I/F部22を介して萌出状況情報管理サーバー1に送信する(ステップSA28)。ステップSA28の処理後、端末装置2による再診時における患者用歯列データDd又は患者歯列情報の表示処理、並びに、患者用歯列データDd又は患者歯列情報の編集内容反映処理は終了する。
【0094】
ステップSA28で端末装置2から送信された、編集後の患者歯列データDd又は患者歯列情報は、萌出状況情報管理サーバー1の通信I/F部12によって受信される(ステップSB26)。次いで、萌出状況情報管理サーバー1の制御部10は、受信した編集後の患者歯列データDd′又は患者歯列情報を、患者別歯列情報データベースD2に登録する(ステップSB27)。ステップSB27の処理後、萌出状況情報管理サーバー1による患者用歯列データDd又は患者歯列情報の表示処理、並びに、患者用歯列データDd又は患者歯列情報の編集内容反映処理は終了する。
【0095】
[患者別歯列情報の分析処理]
次に、図15を参照して、萌出状況情報管理システム100による患者別歯列情報の分析処理について説明する。図15は、萌出状況情報管理システム100のデータ分析部15による患者別歯列情報の分析処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0096】
まず、萌出状況情報管理サーバー1のデータ分析部15は、予め定められた所定のタイミング又は任意のタイミングにおいて、患者情報データベースD1に格納された患者情報と、患者別歯列情報データベースD2に格納された患者の歯列情報とを取得する(ステップSB31)。
【0097】
次いで、データ分析部15は、取得したこれらの情報に基づいて患者の歯列の状態(歯の萌出状況)を分析する(ステップSB32)。具体的には、データ分析部15は、データの保存時の患者の年齢と、患者別歯列情報データベースD2から取得した患者の歯列情報とに基づいて、患者の歯列の状態を分析する。この分析は、患者別歯列情報データベースD2に格納された複数の患者の歯列情報を対象として行われる。
【0098】
そして、データ分析部15は、分析結果の統計をとり、該統計の内容に基づいて、分析結果を年齢別歯列情報データベースD3に反映させる(ステップSB33)。ステップSB33の処理後、萌出状況情報管理システム100による患者別歯列情報の分析処理は終了する。
【0099】
上述した実施形態では、萌出状況情報管理サーバー1のデータ分析部15による分析及び統計が定期的に行われることにより、子供たちの歯の萌出時期や萌出順序などに変化が生じている傾向がある場合にも、その傾向を萌出状況情報管理サーバー1が適宜把握することができる。そして、該傾向を反映した年齢別歯列情報を、端末装置2を介して歯科医師に提示することが可能になる。
【0100】
また、データ分析部15による分析と統計処理とが進む(分析・統計数が増える)につれて、図9に示した例のように、特に乳歯及び永久歯が混在する時期において、年齢別歯列情報の年齢区分が細分化されていくことが想定される。つまり、本実施形態によれば、実情に即した細かい粒度で、患者の年齢区分に対応する歯列の情報を、端末装置2を操作する歯科医師等に提供することが可能となる。
【0101】
なお、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために装置(萌出状況情報管理サーバー、端末装置)及びシステム(萌出状況情報管理システム)の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【0102】
また、図1及び図2において実線で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0103】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0104】
さらに、上述した本発明の一実施形態にかかる萌出状況情報管理システムの各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…萌出状況情報管理サーバー、2…端末装置、10…制御部、11…記憶部、12…通信I/F部、13…操作入力部、14…表示部、15…データ分析部、20…制御部、21…記憶部、22…通信I/F部、23…操作入力部、24…表示部、100…萌出状況情報管理システム、D1…患者情報データベース、D2…患者別歯列情報データベース、D3…年齢別歯列情報データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15