(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002981
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】溶接可能な半割シェル
(51)【国際特許分類】
F16L 47/03 20060101AFI20231228BHJP
F16L 43/02 20060101ALI20231228BHJP
F16L 39/00 20060101ALI20231228BHJP
F16L 33/22 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F16L47/03
F16L43/02
F16L39/00
F16L33/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023103148
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】22180897
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】311017474
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー ローアライトゥングスズュステーメ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer Rohrleitungssysteme AG
【住所又は居所原語表記】Ebnatstrasse 111,CH‐8200 Schaffhausen,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ペトリー
(72)【発明者】
【氏名】マークス ブライアー
【テーマコード(参考)】
3H017
3H019
3J106
【Fターム(参考)】
3H017HA07
3H019GA03
3H019GA12
3J106AA06
3J106AB03
3J106BA01
3J106BC06
3J106BC10
3J106DA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造が簡単かつ安価であり、組付けの際に一次管路と二次管路との接続個所の検査が可能な、二重管システムの二次管路のための継手を提案する。
【解決手段】プラスチック製の2つの半割シェル2であって、各半割シェルがそれぞれ組み込まれた加熱ワイヤを有しており、加熱ワイヤはそれぞれ接続管片4の領域に配置されており、加熱ワイヤは複数のメアンダ状の巻線を有しており、加熱ワイヤはそれぞれ半割シェルに加熱ワイヤのために設けられた溝内に配置されている、半割シェルと、両半割シェルを結合する結合エレメント7と、を有している継手において、継手は、一次管路に対して継手を同心的に配置するための、半割シェルの内周面に配置されたスペーサエレメントを有していることを特徴とする、継手。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重管システムの二次プラスチック管路の接続のための継手(1)であって、プラスチック製の2つの半割シェル(2)であって、各半割シェル(2)がそれぞれ組み込まれた加熱ワイヤ(3)を有しており、該加熱ワイヤ(3)はそれぞれ接続管片(4)の領域に配置されており、前記加熱ワイヤ(3)は複数のメアンダ状の巻線(5)を有しており、前記加熱ワイヤ(3)はそれぞれ前記半割シェル(2)に前記加熱ワイヤのために設けられた溝(6)内に配置されている、半割シェル(2)と、両半割シェル(2)を結合する結合エレメント(7)と、を有している継手(1)において、
前記継手(1)は、一次管路(10)に対して前記継手(1)を同心的に配置するための、前記半割シェル(2)の内周面(8)に配置されたスペーサエレメント(9)を有していることを特徴とする、継手(1)。
【請求項2】
前記スペーサエレメント(9)は、一次管路(10)の外径に当接する、円セグメント状のプレートとして形成されている、請求項1記載の継手。
【請求項3】
前記加熱ワイヤは、前記半割シェルのフランジに沿って延在している、請求項1または2記載の継手(1)。
【請求項4】
前記接続管片(4)の領域に配置された前記加熱ワイヤ巻線(5)は、前記フランジ(17)に沿って延在する前記加熱ワイヤ(3)を介して互いに接続されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の継手(1)。
【請求項5】
前記半割シェルは溶接表示部を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の継手(1)。
【請求項6】
前記結合エレメント(7)は、別個の、または前記継手に一体に配置されたスナップ結合部として形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の継手(1)。
【請求項7】
前記スナップ結合部は、前記半割シェル(2)内に装着可能な、または前記半割シェルに一体に配置された固定部材(15)と、前記半割シェル(2)内に装着可能な、または前記半割シェルに一体に配置されたクリップ(14)と、から形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の継手(1)。
【請求項8】
前記継手(1)は、T字型継手、エルボ継手または湾曲継手として形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の継手(1)。
【請求項9】
前記半割シェル(2)は対称にまたは点対称に形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の継手(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重管システムの二次プラスチック管路の接続のための継手であって、プラスチック製の2つの半割シェルであって、各半割シェルがそれぞれ組み込まれた加熱ワイヤを有しており、加熱ワイヤはそれぞれ接続管片の領域に配置されており、加熱ワイヤは複数のメアンダ状の巻線を有しており、加熱ワイヤはそれぞれ半割シェルに加熱ワイヤのために設けられた溝内に配置されている、半割シェルと、両半割シェルを結合する結合エレメントと、を有している継手に関する。
【背景技術】
【0002】
二重管システムは、環境への危険な化学物質の予期せぬ流出を防ぐため、または人的損害を防止するために、法的に定められているかまたはエンドユーザによって設置される。さらに、二重管システムは、特に高価な設備(機械、ITインフラストラクチャ)を保護するために使用される。二次管路は、流体を案内する内側のまたは一次の管を取り囲む保護管から成っている。二次保持システムは、地面に敷設されてまたは地上に、圧力下で、または排水システムとして構成されていてよく、通常、漏れを検出するための一種の検出システムを有している。今日のシステムは、同時溶接またはカスケード溶接によって互いに接続される。接合技術は大陸ごとに大きく異なる。しかしながら、特に欧州では、接合は、(ポリオレフィンで)高温溶接によって実現されることが増えている。
【0003】
従来技術から、内側継手および外側継手を備えた既に予め製造された継手が製造され、次いでこの継手がそれぞれ内管および外管に接続されることが知られている。内管および外管の極めて多様な直径および予め製造しなければならないT字型継手、エルボ継手等のような多種の継手のために、極めて多数の在庫が必要となり、このようなことは今日では望ましくない。類似の形式で、より小さな内管/主管を、より大きな外管/封じ込め管に挿入し、センタリング部材を設けることにより、二次封じ込め管が製造される。この場合、管と成形部材との接続が最も困難な課題である。既存のシステムは、設置のためにかなりの数の同時接続を必要とする。典型的な接着接続は、最初に、組み付けるべき両表面に下地を塗布し、次いで両表面にセメンタイトの塗布を行い、組み付けるべき部分を1/4回転により迅速に接合し、次いで30秒から1分間、セメンタイトが結合するまで部品を保持することによって行われる。この方法は、内側の接続部と外側の接続部とを同時に製造しようとする場合に、より実施困難であることが理解される。準備しなければならない表面は2倍であり、スリーブの完全な装着を保証するためには、内管を保護管に取り付けなければならない。さらに、同時接続を実施する際、内側の接続は「見えない状態で」実施される。さらに、既存のシステムの別の欠点は、圧力検査中に内側の接続を検査することができず、また、漏れが発生した場合に、欠陥のある接続の位置を特定して修理することが困難であることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、製造が簡単かつ安価であり、組付けの際に一次管路と二次管路との接続個所の検査が可能であるような、二重管システムの二次管路のための継手を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、継手が、一次管路に対して継手を同心的に配置するための、半割シェルの内周面に配置されたスペーサエレメントを有していることによって解決される。
【0006】
二重管システムの二次プラスチック管路の接続のための本発明による継手は、プラスチック製の2つの半割シェルを有している。半割シェルは、それぞれ1つの組み込まれた加熱ワイヤを有しており、加熱ワイヤはそれぞれ接続管片の領域に配置されている。加熱ワイヤは接続管片の領域に複数のメアンダ状の巻線を有しており、すなわち、加熱ワイヤは、半割シェルの内径に設けられた溝に沿ってまたは溝内に延在しており、この場合、加熱ワイヤは、半径を介して互いに接続されているか、好ましくは互いに平行に延在する線において延在している。加熱ワイヤは、半割シェルに、この加熱ワイヤのために設けられた溝内に配置されており、加熱ワイヤは好ましくは、埋め込みにより半割シェル内に取り付けられている。さらに、継手は、両半割シェルを結合させる結合エレメントを有している。分割平面に沿って外径に、好ましくは規則的な間隔で配置されている結合エレメントによって、両半割シェルは、良好な溶接部を形成するために、互いに緊締される。継手は、一次管路に対して継手を同心的に配置するための、半割シェルの内周面に配置されたスペーサエレメントを有している。本発明による二次管路の継手の構成により、既に組み付けられた一次管路の周囲に、両半割シェルを当て付けることができる。これにより、一次管路の溶接または接続を先に検査することができ、次いで二次管路をその周囲に装着することができる。
【0007】
スペーサエレメントが、一次管路の外径に当接する、円セグメント状のプレートとして形成されていると有利であることが示されている。スペーサエレメントは、同心的に半割シェル内に配置されている、好ましくは半割シェルに一体に形成されているか、または半割シェルに射出成形により取り付けられている。スペーサエレメントが、接続管片の領域の間の半割シェルの中央領域に配置されていると有利である。
【0008】
好ましくは、加熱ワイヤは、半割シェルのフランジに沿って延在している。半割シェルは、継手の中心軸線または長手方向軸線に沿って、これらの軸線を通って延在する分割平面により形成され、これにより、半割シェルの開放フランジが形成される。
【0009】
好ましくは、接続管片の領域に配置された加熱ワイヤ巻線は、フランジに沿って延在する加熱ワイヤを介して互いに接続されている。これにより、均一な加熱が得られる。
【0010】
半割シェルが溶接表示部を有していて、これにより、溶接が既に実施されたか否かが検知されると有利である。溶接表示部は、好ましくは、半割シェルのフランジに沿って配置されている。接合されて1つの継手をなす2つの半割シェルが好ましくは点対称に形成されていることにより、継手は、中央領域の始端部と終端部とにそれぞれ配置されている2つの溶接表示部を有している。中央領域には、それぞれ接続管片が続いている。
【0011】
結合エレメントが、別個の、または一体に配置されたスナップ結合部として形成されていると、好適な実施形態であることが示されている。結合エレメントが、組み付けられて1つの継手をなす両半割シェルの分割個所に沿って配置されていると有利である。このために、半割シェルは、好ましくは、対向する貫通孔を有しており、この貫通孔に、結合エレメントまたはスナップ結合部が配置されるか、または結合エレメントが半割シェルに直接、射出成形により取り付けられる。
【0012】
スナップ結合部が、半割シェルに装着可能なまたは半割シェルに一体成形されたまたは射出成形により取り付けられた固定部材と、半割シェルに装着可能なまたは半割シェルに一体成形されたまたは射出成形により取り付けられたクリップと、から形成されると有利であることが示されている。好ましくは、半割シェルの一方の側には固定部材が配置され、半割シェルの他方の側にはクリップが配置されており、対向する半割シェルにおいては対応するように逆に配置されており、これにより半割シェルを互いに結合することができる。
【0013】
継手が、T字型継手、エルボ継手または湾曲継手として形成されていると有利であることが示されている。
【0014】
好ましくは、半割シェルは、対称または点対称に形成されている。これにより、このような継手の経済的な製造が最適化される。本発明の実施例を図面に基づき説明するが、本発明は、この実施例のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】二次プラスチック管路の本発明による継手を示す立体図である。
【
図2】結合エレメントが装着された本発明による継手の半割シェルを示す立体図である。
【
図3】本発明による継手の半割シェルを示す立体図である。
【
図5】一次管路が挿入されている半割シェルを示す立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示された図は、本発明による継手1の立体図を示している。継手1は、二重管システムの二次管路11の接続のために用いられ、見易くするために継手1の1つの半割シェル2を省いた
図5に示されているように、一次管路10の継手20を、また、一次管路の管または管の区分を取り囲んでいる。図面には、継手1として専らエルボ継手が示されており、当然のことながら、この本発明による継手1には、二次管路11を接続するT字型継手および湾曲継手も同様に含まれる。継手1は、プラスチック製の、好ましくは対称のまたは点対称の2つの半割シェル2を含む。両半割シェル2は、中心軸線または長手方向軸線12に沿って延在する分割平面19で互いに当接されており、これにより半割シェルのフランジ17は互いに接触し、1つの閉じられた継手1を形成する。半割シェル2は、組み込まれた加熱ワイヤ3を有しており、加熱ワイヤ3は、それぞれ接続管片4の領域に配置されていて、メアンダ状の巻線5として延在している。巻線5は、接続管片4の領域で、半割シェル2の内径8に延在している。この領域で、継手1は、二次管路11の管に溶接される。加熱ワイヤ3は、このために設けられた溝6内で延在しており、加熱ワイヤ3は好ましくは溝内に埋め込まれている。両半割シェル2は、結合エレメント7を介して互いに結合されており、この場合、結合エレメント7は、
図4に示されているように、別個の部分として形成されている。この場合、スナップ結合部を射出成形により取り付ける実施形態も考えられる。結合エレメント7が、半割シェル2のフランジ17の縁部に配置されている貫通孔13内に装着されるスナップ結合部として形成されていると有利である。好ましくは、
図2に示されているように、クリップ14と固定部材15とが互いに係止するように、半割シェル2の一方の側にはクリップ14が配置され、半割シェル2の他方の側には固定部材15が配置されており、対向する半割シェル2において対応するように同様に配置されている。
図2および
図3に良好に示されているように、半割シェル2は、その中央領域18においてその内径8に、一次管路10の継手に当て付けられるスペーサエレメント9を有している。これにより、半割シェル2は、接続管片4の領域では、二次管に適合する内径を有し、中央領域18では、一次管路10の継手が、形状接続的に中央で継手1に配置されていることが可能となる。接続管片4の領域における内径8は、二次管路の管に直接溶接され、一次管路10の継手は、本発明による継手1の両半割シェル2によって形状接続的に取り囲まれる。スペーサエレメント9は、好ましくは、円セグメント状のプレートとして形成され、半割シェル2の内径に一体的に配置されている。これにより半割シェル2は、組付け状態で一次管路の継手に当接し、接続管片で二次管路11の管に溶接される。
【0017】
図2および
図3には、加熱ワイヤ3がフランジ17に沿って延在し、接続管片4における巻線5を互いに接続していることがさらに良好に示されている。さらに、溶接が既に実施されたか否かを検知するために、半割シェル2に溶接表示部16が配置されていると有利である。
図5は、一次管路10または継手が内部でどのように配置されているかを示すために、半割シェル2の一方を省いた状態で、二重管システムの一区分を示している。本発明による半割シェル2が、(この図では省かれている)他方の半割シェルに溶接されているだけではなく、一次管路の管にも溶接されており、二次管路11の継手が、本発明による継手1内に形状接続的に中央に配置されていることが良好に示されている。
【符号の説明】
【0018】
1 継手
2 半割シェル
3 加熱ワイヤ
4 接続管片
5 加熱ワイヤ巻線
6 溝
7 結合エレメント/スナップ結合部
8 半割シェルの内周面
9 スペーサエレメント
10 一次管路
11 二次管路
12 中心軸線、長手方向軸線
13 貫通孔
14 クリップ
15 固定部材
16 溶接表示部
17 フランジ
18 中央領域
19 分割平面
20 一次管路の継手
【外国語明細書】