(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029815
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20240229BHJP
A01C 11/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
A01C11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132210
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】豊田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 学
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕志
(72)【発明者】
【氏名】福島 寿美
(72)【発明者】
【氏名】野村 仁志
(72)【発明者】
【氏名】山下 英希
(72)【発明者】
【氏名】浦 由香
(72)【発明者】
【氏名】今泉 大介
【テーマコード(参考)】
2B043
2B060
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB08
2B043BA07
2B043BA09
2B043BB04
2B043DA01
2B043DA04
2B043DA17
2B043EA04
2B043EB18
2B043EB22
2B043EC02
2B043ED02
2B043ED12
2B043EE01
2B043EE06
2B043EE08
2B060BA04
2B060BB06
2B060CA03
2B060CB02
(57)【要約】
【課題】 作業機が装着可能である作業車両が、知られている。ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、リモート操作などをともなう便利な機能がつぎつぎと新たに実装される趨勢はますます加速すると考えている。しかしながら、従来の作業車両については、かくの如き実装されている便利な機能を利用するときに要求される、作業者の負担は必ずしも小さくないことに本発明者は気付いた。
【解決手段】 車体100を見下ろす位置へ取付けられた撮像装置900を備えており、撮像装置900は、車体100の少なくとも上半分が写る画像を撮影する田植え機である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(100)を見下ろす位置へ取付けられた撮像装置(900)を備えており、
前記撮像装置(900)は、前記車体(100)の少なくとも上半分が写る画像を撮影することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記撮像装置(900)により前記撮影された画像は、前記車体(100)およびリモートコントローラー(700)の少なくとも一方のモニター(800)で表示されることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記撮像装置(900)により前記撮影された画像は、前記リモートコントローラー(700)の前記モニター(800)で表示され、
前記リモートコントローラー(700)は、ユーザー指示に応じて遠隔操作を行うことを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記リモートコントローラー(700)は、エンジン(210)を停止させるエンジン停止ユニット(215)を駆動するための遠隔操作を行い、
前記エンジン停止ユニット(215)の駆動は、前記エンジン(210)の回転を検出するエンジン回転センサー(216)の検出結果に基づいて終了されることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
施肥装置(250)により散布される肥料を搬送するための搬送風を発生する施肥ブロアー(251)のブロアー吸気口(251p)には、ブロアー吸気ダクト(251d)が接続されており、
前記ブロアー吸気ダクト(251d)は、エンジンマフラー(211)の末端部を所定のスペースを隔てて覆い、
前記ブロアー吸気ダクト(251d)の側面には、前記エンジンマフラー(211)のマフラー排気口(211p)を外部へ露出させるマフラー排気口窓(211w)が形成されており、
前記マフラー排気口(211p)の開口向きは、下向きであり、
前記マフラー排気口(211p)と前記マフラー排気口窓(211w)との間には、空隙が形成されており、
前記リモートコントローラー(700)は、前記エンジン停止ユニット(215)を駆動するための前記遠隔操作に先立って、前記施肥ブロアー(251)を停止させるための遠隔操作を行うことを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
施肥装置(250)により散布される肥料を搬送するための搬送風を発生する施肥ブロアー(251)のブロアー吸気口(251p)には、ブロアー吸気ダクト(251d)が接続されており、
前記ブロアー吸気ダクト(251d)は、エンジンマフラー(211)の一部を覆うことを特徴とする作業車両。
【請求項7】
前記ブロアー吸気ダクト(251d)は、前記エンジンマフラー(211)のマフラー排気口(211p)を覆わないことを特徴とする請求項6に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機のような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機が装着可能である作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、リモート操作などをともなう便利な機能がつぎつぎと新たに実装される趨勢はますます加速すると考えている。
【0005】
しかしながら、上述された従来の作業車両については、かくの如き実装されている便利な機能を利用するときに要求される、作業者の負担は必ずしも小さくないことに本発明者は気付いた。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、作業者の負担を軽減することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、車体(100)を見下ろす位置へ取付けられた撮像装置(900)を備えており、
前記撮像装置(900)は、前記車体(100)の少なくとも上半分が写る画像を撮影することを特徴とする作業車両である。
【0008】
第2の本発明は、前記撮像装置(900)により前記撮影された画像は、前記車体(100)およびリモートコントローラー(700)の少なくとも一方のモニター(800)で表示されることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0009】
第3の本発明は、前記撮像装置(900)により前記撮影された画像は、前記リモートコントローラー(700)の前記モニター(800)で表示され、
前記リモートコントローラー(700)は、ユーザー指示に応じて遠隔操作を行うことを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0010】
第4の本発明は、前記リモートコントローラー(700)は、エンジン(210)を停止させるエンジン停止ユニット(215)を駆動するための遠隔操作を行い、
前記エンジン停止ユニット(215)の駆動は、前記エンジン(210)の回転を検出するエンジン回転センサー(216)の検出結果に基づいて終了されることを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0011】
第5の本発明は、施肥装置(250)により散布される肥料を搬送するための搬送風を発生する施肥ブロアー(251)のブロアー吸気口(251p)には、ブロアー吸気ダクト(251d)が接続されており、
前記ブロアー吸気ダクト(251d)は、エンジンマフラー(211)の末端部を所定のスペースを隔てて覆い、
前記ブロアー吸気ダクト(251d)の側面には、前記エンジンマフラー(211)のマフラー排気口(211p)を外部へ露出させるマフラー排気口窓(211w)が形成されており、
前記マフラー排気口(211p)の開口向きは、下向きであり、
前記マフラー排気口(211p)と前記マフラー排気口窓(211w)との間には、空隙が形成されており、
前記リモートコントローラー(700)は、前記エンジン停止ユニット(215)を駆動するための前記遠隔操作に先立って、前記施肥ブロアー(251)を停止させるための遠隔操作を行うことを特徴とする第4の本発明の作業車両である。
【0012】
第6の本発明は、施肥装置(250)により散布される肥料を搬送するための搬送風を発生する施肥ブロアー(251)のブロアー吸気口(251p)には、ブロアー吸気ダクト(251d)が接続されており、
前記ブロアー吸気ダクト(251d)は、エンジンマフラー(211)の一部を覆うことを特徴とする作業車両である。
【0013】
第7の本発明は、前記ブロアー吸気ダクト(251d)は、前記エンジンマフラー(211)のマフラー排気口(211p)を覆わないことを特徴とする第6の本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0014】
第1の本発明により、作業者の負担を軽減することが可能である。
【0015】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、使い勝手を向上することが可能である。
【0016】
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、使い勝手をさらに向上することが可能である。
【0017】
第4の本発明により、第3の本発明の効果に加えて、安全性を向上することが可能である。
【0018】
第5の本発明により、第4の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0019】
第6の本発明により、作業者の負担を軽減することが可能である。
【0020】
第7の本発明により、第6の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明における実施の形態の田植え機の左側面図
【
図2】(a)本発明における実施の形態の田植え機遠隔監視の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の田植え機遠隔監視の説明図(その二)
【
図3】本発明における実施の形態の田植え機フロントエンジン温風施肥の説明図(その一)
【
図4】本発明における実施の形態の田植え機フロントエンジン温風施肥の説明図(その二)
【
図5】本発明における実施の形態のワイドステップ田植え機のワイド手摺り折畳みの説明図(その一)
【
図6】(a)本発明における実施の形態のワイドステップ田植え機のワイド手摺り折畳みの説明図(その二)、(b)本発明における実施の形態のワイドステップ田植え機のワイド手摺り折畳みの説明図(その三)
【
図7】(a)本発明における実施の形態のワイドステップ田植え機のワイド手摺り折畳みの説明図(その四)、(b)本発明における実施の形態のワイドステップ田植え機のワイド手摺り折畳みの説明図(その五)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0024】
(1)はじめに、
図1を主として参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0025】
ここに、
図1は、本発明における実施の形態の田植え機の左側面図である。
【0026】
本実施の形態の田植え機の動作について説明しながら、コントローラー600などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0027】
本実施の形態の田植え機は、操舵装置230における手動操縦操作または自動操縦操作に基づいたコントローラー600の制御に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で車体100を走行させながら、ローター261およびフロート262を有する整地装置260により圃場Fの整地を行って苗植付け具241を有する苗植付け装置240により圃場Fへの苗植付けを行うとともに施肥装置250により圃場Fへの施肥を行うための田植え機である。
【0028】
走行装置220ならびに苗植付け装置240、施肥装置250および整地装置260は、HSTである主変速装置および副変速装置を有する変速機構を介して伝達されるエンジン210の動力により駆動される。
【0029】
本実施の形態の田植え機は、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0030】
(2)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0031】
(2a)本発明における実施の形態の田植え機遠隔監視について説明する。
【0032】
車体100を見下ろす位置へ取付けられた撮像装置900は、車体100の少なくとも上半分が写る画像を撮影する。
【0033】
撮像装置900により撮影された画像は、車体100およびリモートコントローラー700の少なくとも一方のモニター800で表示される。
【0034】
本発明における実施の形態の田植え機遠隔監視の説明図(その一および二)である
図2(a)および2(b)に示されているように、田植え機の車体上部に全天球型の360度ライブカメラを有する撮像装置900を設け、運転席にカメラの画像モニターとして機能するモニター800を設ける構成が考えられる。カメラは車体100を上方から見下ろす画角で車体周囲360度を含む下側半球のライブ映像をモニター800に映す。8条植えまたは10条植えの仕様などにおいては、圃場移動または格納庫移動のとき、苗載せ台部および前輪部分に起因する死角部分は障害物と接触しやすく、作業者は運転に習熟することをしばしば求められる。このような死角部分がモニター800のおかげでなくなるので、安全性が向上する。操作性が向上し、運転に不慣れである作業者でも運転操作などを容易に行うことができるので、商品力の向上への寄与が期待される。
【0035】
撮像装置900により撮影された画像は、リモートコントローラー700のモニター800で表示される。リモートコントローラー700は、ユーザー指示に応じて遠隔操作を行う。
【0036】
リモートコントローラー700は、エンジン210を停止させるエンジン停止ユニット215を駆動するための遠隔操作を行う。エンジン停止ユニット215の駆動は、エンジン210の回転を検出するエンジン回転センサー216の検出結果に基づいて終了される。
【0037】
上述された態様において、モバイル端末のようなリモートコントローラー700から車体100のエンジン210を停止するための車体エンジン停止操作を行うことができる機能を車体側に実装する構成が考えられる。リモートコントローラー側からは、エンジン停止スイッチをオンするための内容を有する発信が行われる。車体側においては、リモートコントローラー700からの指示電波信号を受信する受信装置と協働しながら、コントローラー600が、エンジン停止のための燃料カットを行う、エンジン停止ユニット215のソレノイド作動モーターを制御する。コントローラー600は、リモートコントローラー700から送信された電波の受信をトリガーとして、ソレノイド作動モーターへ回転信号を送る。エンジン回転軸にはエンジン回転センサー216の回転検知部が設けられており、コントローラー600は、このような回転検知部が行った、回転検知によるエンジン停止の感知をトリガーとして、ソレノイド作動モーターへの回転信号を停止させる。不要な信号出力の継続が抑制されるように、このような回転信号の停止は車体側からリモートコントローラー側へ報告されてもよい。ユーザーは、リモート操作のためのリモートコントローラー700で映像の確認を行うことができるので、無人運転における車体状態を正確に把握して、緊急のとき、必要に応じて車体停止を行うことができるので、安心であって安全性が向上する。
【0038】
上述された態様において、リモートコントローラー700からエンジン再始動操作を行うことができる機能を車体側に実装する構成が考えられる。リモートコントローラー側からは、エンジン始動スイッチをオンするための内容を有する発信が行われる。車体側においては、エンジン始動のためのセル回転を行うエンジン始動セル回転モーターが設けられている。コントローラー600は、リモートコントローラー700から送信された電波の受信をトリガーとして、エンジン始動セル回転モーターへ回転信号を送る。エンジン回転軸にはエンジン回転センサー216の回転検知部が設けられており、コントローラー600は、このような回転検知部が行った、回転検知によるエンジン始動の感知をトリガーとして、エンジン始動セル回転モーターへの回転信号を停止させる。不要な信号出力の継続が抑制されるように、このような回転信号の停止は車体側からリモートコントローラー側へ報告されてもよい。ユーザーは、リモート操作のためのリモートコントローラー700で映像の確認を行うことができるので、無人運転における車体状態を正確に把握して、緊急停止の後、必要に応じてエンジン再始動を行うことができるので、安心であって安全性が向上する。
【0039】
上述された態様において、リモートコントローラー700から車体ハンドル操作を行うことができる機能を車体側に実装する構成が考えられる。リモートコントローラー側からは、ハンドルの左右操舵ダイヤルを任意の操舵角度へ設定するための内容を有する発信が行われる。車体側においては、ハンドル旋回を行うハンドル旋回モーターが設けられている。コントローラー600は、設定された操舵角度に応じてリモートコントローラー700から送信された電波の受信をトリガーとして、ハンドル旋回モーターへ回転信号を送る。ハンドル旋回モーターは、設定された操舵角度に応じたハンドル切れ角を実現するようにハンドル旋回を行う。ハンドル軸には回転検知部が設けられており、コントローラー600は、このような回転検知部が行った、操舵角度が最大ハンドル切れ角を超えないようにあらかじめ定められた回転数の検知による感知をトリガーとして、ハンドル旋回モーターへの回転信号を停止させる。不要な信号出力の継続が抑制されるように、このような回転信号の停止は車体側からリモートコントローラー側へ報告されてもよい。ユーザーは、リモート操作のためのリモートコントローラー700で映像の確認を行うことができるので、無人運転における車体状態を正確に把握して、緊急のとき、必要に応じて車体旋回を行うことができるので、安心であって安全性が向上する。
【0040】
(2b)本発明における実施の形態の田植え機フロントエンジン温風施肥について説明する。
【0041】
施肥装置250により散布される肥料を搬送するための搬送風を発生する施肥ブロアー251のブロアー吸気口251pには、ブロアー吸気ダクト251dが接続されている。
【0042】
本発明における実施の形態の田植え機フロントエンジン温風施肥の説明図(その一)である
図3に示されているように、車体前側にエンジン210が搭載されている施肥機搭載田植え機において、いわゆる施肥ホッパーに貯留された肥料を乾燥させるための温風を施肥装置250の施肥ブロアー251で安定的に取得する構成が考えられる。エンジン210が施肥ブロアー251近傍へ設けられているミッドエンジンの場合と同様に、エンジン210と施肥ブロアー251との間の距離が大きいフロントエンジンの場合においても、エンジン210の周辺の温風を取得することができる。田植え機のエンジンマフラー211の周辺の高い温度を利用することにより安定的に温風を得ることができるように、ブロアー吸気口251pへ接続されたブロアー吸気ダクト251dのダクト末端部はマフラー排気口211p近傍に設けられており、ダクト末端部がマフラー排気口部の方向を向いている、ブロアー吸気ダクト251dはエンジンマフラー211に触れないように田植え機ステップ下部を通って延びる。
【0043】
ブロアー吸気ダクト251dは、エンジンマフラー211の一部を覆う。
【0044】
上述された態様において、施肥ブロアー251がエンジンマフラー211の周辺の熱を帯びた空気を吸込むことができるように、ブロアー吸気ダクト251dはエンジンマフラー211を覆う構成が考えられる。たとえば、施肥ブロアー251が排気の熱を帯びた空気のみならずエンジンマフラー211の周辺の熱を帯びた空気も吸込むことができるように、ブロアー吸気ダクト251dのダクト末端部はエンジンマフラー211のマフラー排気口部を覆う。
【0045】
ブロアー吸気ダクト251dは、エンジンマフラー211のマフラー排気口211pを覆わない。
【0046】
本発明における実施の形態の田植え機フロントエンジン温風施肥の説明図(その二)である
図4に示されているように、上述された態様において、施肥ブロアー251がエンジンマフラー211からの排気ガスを吸込みにくいように、マフラー排気口部の向きはブロアー吸気ダクト251dの向きと途中まで同じであるが、マフラー排気口部は途中からブロアー吸気ダクト251dの外へ出る構成が考えられる。たとえば、マフラー排気口部は、途中までブロアー吸気ダクト251dに沿って進んでマフラー排気口窓211wからブロアー吸気ダクト251dの外へ出る。
【0047】
上述された態様において、マフラー排気口部の向きは、車体下部、車体外側および前輪部と比べて、前側へ向く構成が考えられる。マフラー振動にともなう部材接触が抑制され、洗車のときの水溜まりが発生しにくい。たとえば、マフラー排気口部は、他の周辺部材と比べて、前側へ向く。
【0048】
ブロアー吸気ダクト251dは、エンジンマフラー211の末端部を所定のスペースを隔てて覆う。ブロアー吸気ダクト251dの側面には、エンジンマフラー211のマフラー排気口211pを外部へ露出させるマフラー排気口窓211wが形成されている。マフラー排気口211pの開口向きは、下向きである。マフラー排気口211pとマフラー排気口窓211wとの間には、空隙が形成されている。
【0049】
上述された態様において、植付け作業などで侵入した水が排出されるように、孔をブロアー吸気ダクト251dにおいて形成する構成が考えられる。たとえば、ブロアー吸気ダクト251dには、マフラー排気口部の出口と比べてやや大きい、侵入した水を排出するための孔としても機能するマフラー排気口窓211wが開けられている。侵入した雨水などは、車体下部を向いているマフラー排気口窓211wから自然に落下する。
【0050】
リモートコントローラー700は、エンジン停止ユニット215を駆動するための遠隔操作に先立って、施肥ブロアー251を停止させるための遠隔操作を行う。
【0051】
上述された態様と同様に、リモートコントローラー700から施肥装置250の施肥ブロアー251を停止するための施肥ブロアー停止操作を行うことができる機能を車体側に実装する構成が考えられる。リモートコントローラー側からは、施肥ブロアー停止スイッチをオンするための内容を有する発信が行われる。車体側においては、リモートコントローラー700からの指示電波信号を受信する受信装置と協働しながら、コントローラー600が、ブロアー停止のための施肥装置停止ユニットを制御する。ユーザーは、リモート操作のためのリモートコントローラー700で映像の確認を行うことができるので、無人運転における車体状態を正確に把握して、緊急のとき、必要に応じて車体停止のみならず施肥停止を行うことができるので、安心であって安全性が向上する。
【0052】
(3)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0053】
(3a)本発明における実施の形態のワイドステップ田植え機のワイド手摺り折畳みについて説明する。
【0054】
本発明における実施の形態のワイドステップ田植え機のワイド手摺り折畳みの説明図(その一)である
図5に示されているように、ワイド手摺りの形状はZ形状であり、このようなZ形状の車体前側はワイドステップ前端と比べて前方へ飛出すように配置されている構成が考えられる。折畳まれたZ形状のワイド手摺り前側は、ワイドステップ前端と重ならないように前方へ飛出すので、飛出し部分は田植え機昇降において利用可能である手摺りおよび握りのための部材として利用可能である。
【0055】
本発明における実施の形態のワイドステップ田植え機のワイド手摺り折畳みの説明図(その二および三)である
図6(a)および6(b)に示されているように、10条植え田植え機において、後側サイドステップと比べて車体左右外側へ折畳み可能であるワイドステップが設けられており、左右外側部分がこのように折畳み可能であるワイド手摺りは、ワイドステップ幅を考慮し、植付け部および施肥機の手前において設けられている構成が考えられる。ワイドステップは上方へ向かって折畳み可能であり、ワイド手摺りは下方へ向かって折畳み可能であり、折畳まれたワイドステップは手摺り支柱と折畳まれたワイド手摺りとの間に正面視で挟込まれて側面視で重なるように配置されている。ワイド手摺りは、水平伸長状態においてのみならず、下方への90度折曲げによる折畳み状態においても固定可能であるように、ワイド手摺りロック機構が設けられているが、上方へ向かって起立させられて折畳まれたワイドステップをロックするための専用の機構は不要である。ワイドステップおよびワイド手摺りが折畳まれたとき、ワイドステップは、手摺り支柱と固定されたワイド手摺りとの間に挟まれるので、意図せずに展開されることはほとんどなく、安全な折畳み機構が実現される。田植え機に乗降するとき、オペレーターが折畳まれたワイドステップの上部を掴んでも、ワイドステップは広がらずに手摺りとして機能するので、オペレーター乗降は安全に行われる。
【0056】
本発明における実施の形態のワイドステップ田植え機のワイド手摺り折畳みの説明図(その四および五)である
図7(a)および7(b)に示されているように、補助席が手摺り支柱の車体内側に設けられており、下方へ向かって折畳まれたワイド手摺りの水平部分の位置は補助席の位置より高い構成が考えられる。ワイド手摺りは折畳まれているがワイドステップは折畳まれていないとき、補助席に座っている補助者は折畳まれたワイド手摺りの水平部分を手摺りおよび握りのための部材として利用することができる。
【0057】
(3b)本発明における実施の形態のロボット田植え機走行制御について説明する。
【0058】
走行経路の曲率を計算して対応するステアリング操作を行うことで自動走行を行うロボット田植え機において、方位偏差、横ずれ偏差、および角速度、ならびにそれらの積分結果をそれぞれ加味することで曲率を求め、方位偏差が一定値を越えた場合、曲率計算における方位偏差の影響が低減されるように、所定の係数パラメーターを減少させる構成が考えられる。方位が大きくずれた影響が単純に修正される手法は採用されず、過度に大きいカウンターステアが割当てられないので、揺れが収束しやすくなり、直進性の向上が期待される。
【0059】
上述された態様において、横ずれ偏差が一定値を越えた場合、曲率計算における横ずれ偏差の影響が低減されるように、所定の係数パラメーターを減少させる構成が考えられる。横に大きくずれた影響が車軸位置などで単純に修正される手法は採用されず、過度に大きいハンドル切り操作が行われないので、植付け位置の観点からの大きいずれはほとんど発生せず、直進性の向上が期待される。
【0060】
上述された態様において、計算における各項の係数パラメーターにより方位偏差、横ずれ偏差、および角速度、ならびにそれらの積分結果をそれぞれ加味することで曲率を求め、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを圃場および土質などに応じて選択することができるシステムによる構成が考えられる。土質などの影響のために常に同じではない、直進制御における係数パラメーターを選択することができるので、直進性の向上が期待される。
【0061】
上述された態様において、ユーザーが係数パラメーターをそれぞれ変更できるシステムによる構成が考えられる。土質などの影響のために常に同じではない、直進制御における係数パラメーターを選択することができるので、直進性の向上が期待される。
【0062】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、変更をモニターパネル操作で行うことができる構成が考えられる。モニターパネル操作での変更は、コントローラーの書換えのような比較的に複雑な操作による変更とは異なり、圃場および土質に応じて複数の圃場での作業に容易に対応することができる。
【0063】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、変更をリモートコントローラー操作で行うことができる構成が考えられる。リモートコントローラー操作での変更は、コントローラーの書換えのような比較的に複雑な操作による変更とは異なり、圃場および土質に応じて複数の圃場での作業に容易に対応することができる。
【0064】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、最適な係数パラメーターを土質の変化に応じて自動的に選択することができるシステムによる構成が考えられる。自動的な変更は、ユーザー操作による変更とは異なり、最適な選択をしばしばより確実に行うことができるので、さまざまな圃場における直進性の向上が期待される。
【0065】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、最適な係数パラメーターを硬軟ダイヤルレベルに応じて自動的に選択することができるシステムによる構成が考えられる。硬軟ダイヤルレベルでの変更は、指標が曖昧である、モニター視認をともなって深い階層に入込むマニュアル操作による変更とは異なり、硬軟ダイヤルとの連動で細かく煩わしい操作を不要にすることができる。
【0066】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、最適な係数パラメーターを硬軟センサー検出結果に応じて自動的に選択することができるシステムによる構成が考えられる。硬軟センサー検出結果での変更は、指標が曖昧である、モニター視認をともなって深い階層に入込むマニュアル操作による変更とは異なり、硬軟センサーとの連動で細かく煩わしい操作を不要にすることができる。
【0067】
上述された態様において、ステアリングモーターの作動状況に基づいて植付け結果を自動的に判別し、作動レベル値が閾値などを超えるモーター稼働が行われている場合、出力が小さくなる側へ向かって係数パラメーターを変化させるシステムによる構成が考えられる。モーター挙動が安定しないで制御の発散が発生しやすいとき、モーター動作はしばしば限界へ達しているので、係数パラメーターをこのように変化させることにより、過剰な操舵を回避して制御の発散を抑制することができる。
【0068】
上述された態様において、ステアリングモーターの作動状況に基づいて植付け結果を自動的に判別し、モーター出力に対する操舵切り角度の変化が少ないまたは遅れる場合、出力が大きくなる側へ向かって係数パラメーターを変化させるシステムによる構成が考えられる。圃場抵抗が大きいとき、ステアリング出力を増大させなければ操舵切り角度は変化しにくいので、係数パラメーターをこのように変化させることにより、抵抗が大きい圃場においても正確な直進制御を行うことができる。
【0069】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、制御の発散がユーザー選択にともなって生じた場合、元の係数パラメーターのセットへ戻るための復帰制御を自動的に行う構成が考えられる。ユーザー選択による最適化が成功しなかったときでも、挙動が慢性的に安定しない発散状態を回避することができる。
【0070】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、横ずれ偏差がユーザー選択にともなって所定のレベルを越えた場合、元の係数パラメーターのセットへ戻るための復帰制御を自動的に行う構成が考えられる。制御の発散が懸念される、横ずれ偏差が所定のレベルを越えたときでも、挙動が慢性的に安定しない発散状態を回避することができる。
【0071】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、方位偏差がユーザー選択にともなって所定のレベルを越えた場合、元の係数パラメーターのセットへ戻るための復帰制御を自動的に行う構成が考えられる。制御の発散が懸念される、方位が安定しない不適切な制御が持続しやすいときでも、挙動が慢性的に安定しない発散状態を回避することができる。
【0072】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、制御の発散がユーザー選択にともなって発生した場合、曲率が減少するように、係数パラメーターを自動的に変化させて植付けを行う構成が考えられる。挙動が慢性的に安定しない発散状態をできるだけ回避しながら植付け作業などを継続することができる。
【0073】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、制御の発散がユーザー選択にともなって発生した場合、植付けを停止してリモートコントローラーからの係数パラメーターの変更を促す構成が考えられる。制御の発散が発生した場合、植付けを停止することにより、二度植えとも呼ばれる植直しにともなう作業を低減することができる。
【0074】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、制御の発散がユーザー選択にともなって発生した場合、車速を減少させる構成が考えられる。制御の発散が発生した場合、減速制御を行うことにより、二度植えとも呼ばれる植直しおよび無駄な係数パラメーターの変更にともなう作業を低減することができる。
【0075】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、係数パラメーターの変更が行われたとき、設定された車速より一段階だけ小さい車速で植付けを開始し、制御の発散が発生しなければ、車速を設定された車速まで増大させる構成が考えられる。横ずれなどは係数パラメーターの変更にともなって発生しやすいので、設定された車速より一段階だけ小さい車速に着眼して、係数パラメーターの変更が行われたときの横ずれに対して必要な修正制御などを行った後、設定された車速を適用することにより、直進性の保持が期待される。
【0076】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、係数パラメーターの変更が行われたとき、車速があらかじめ定められた車速を超えていない場合、そのままの車速で植付けを開始し、車速があらかじめ定められた車速を超えている場合、車速があらかじめ定められた車速を超えないように減速制御を行って植付けを開始し、制御の発散が発生しなければ、車速を設定された車速まで増大させる構成が考えられる。横ずれなどは係数パラメーターの変更にともなって発生しやすいので、あらかじめ定められた車速に着眼して、係数パラメーターの変更が行われたときの横ずれに対して必要な修正制御などを行った後、設定された車速を適用することにより、直進性の保持が期待される。
【0077】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、係数パラメーターの変更が直進経路の途中で行われたとき、車速があらかじめ定められた車速を超えないように減速制御を行って植付けを開始する構成が考えられる。横ずれなどは係数パラメーターの変更にともなって発生しやすいので、直進経路の途中での係数パラメーターの変更に着眼して、係数パラメーターの変更が行われたときの横ずれに対して必要な修正制御などを行った後、設定された車速を適用することにより、直進性の保持が期待される。
【0078】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、係数パラメーターの変更が直進経路の途中で指示されたとき、指示された係数パラメーターの変更を保留し、保留された係数パラメーターの変更をいわゆるバックターンにおける後進段階で行う構成が考えられる。横ずれなどは係数パラメーターの変更にともなって発生しやすいが、直進経路の途中での係数パラメーターの変更に起因する悪影響は懸念されず、係数パラメーターの変更が行われた後の効果が確認しやすい。
【0079】
上述された態様において、あらかじめ用意された複数個の各項の係数パラメーターのセットの内から、ユーザーが係数パラメーターを選択することができるシステムにおいて、係数パラメーターの変更が直進経路の途中で指示されたとき、指示された係数パラメーターの変更を保留し、係数パラメーターの変更に先立つ減速制御を行った後、方位偏差および横ずれ偏差があらかじめ定められた範囲内に収まったとき、保留された係数パラメーターの変更を行う構成が考えられる。横ずれなどは係数パラメーターの変更にともなって発生しやすいが、直進経路の途中での係数パラメーターの変更に起因する悪影響は懸念されない。
【0080】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0081】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0082】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0083】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0084】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0085】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0086】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0087】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明における作業車両は、作業者の負担を軽減することができ、田植え機のような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0089】
100 車体
210 エンジン
211 エンジンマフラー
211p マフラー排気口
211w マフラー排気口窓
215 エンジン停止ユニット
216 エンジン回転センサー
220 走行装置
221 前輪
222 後輪
230 操舵装置
240 苗植付け装置
241 苗植付け具
250 施肥装置
251 施肥ブロアー
251p ブロアー吸気口
251d ブロアー吸気ダクト
260 整地装置
261 ローター
262 フロート
600 コントローラー
700 リモートコントローラー
800 モニター
900 撮像装置
F 圃場