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特開2024-2983フォトニック集積回路、光電子システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002983
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】フォトニック集積回路、光電子システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/126 20060101AFI20231228BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20231228BHJP
   G02B 6/136 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G02B6/126
G02B6/122 311
G02B6/136
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023103299
(22)【出願日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】22181072.4
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520052259
【氏名又は名称】エフェクト フォトニクス ベーハー
【氏名又は名称原語表記】EFFECT Photonics B.V.
【住所又は居所原語表記】Kastanjelaan 400 5616 LZ Eindhoven Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ニアル パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カルコヴァ イリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ランギ トマソ
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AA01
2H147AA02
2H147AB28
2H147BA05
2H147BA15
2H147BB02
2H147BD16
2H147CA23
2H147EA12A
2H147EA12B
2H147EA12C
2H147FC04
2H147FC05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気通信、LIDAR又はセンサ用途等に使用できるInPベースの偏光回転子を含むPICを提供する。
【解決手段】該PICのInPベースの偏光回転子は、細長いInPベースの光導波路と支持基板との両方に対して横断する方向から見たときに、偏光回転子の細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションが非対称な断面を有するという概念に基づいている。特定の幅プロファイルWP1~WP6の配置及び構成の結果として、細長いInPの光導波路の第1の導波路セクションにおける第1のInPベースのクラッド層と第2のInPベースのクラッド層との間の空間的非対称性により、より低次のTMモード、とより高次のTEモード、との夫々の実効屈折率が同じ又は可能な限り同じであるハイブリダイゼーション長Lhを有するハイブリダイゼーション領域を第1の導波路セクションの第1の部分が含むことを可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板(3)を有するInPベースの偏光回転子(2)を含むフォトニック集積回路PIC(1)であって、前記InPベースの偏光回転子(2)は、
前記支持基板(3)、又は前記支持基板(3)を少なくとも部分的に覆うように配置されたエピタキシャルInPベースの層の少なくとも一部である第1のInPベースのクラッド層(5)と、
前記第1のInPベースのクラッド層(5)を覆うように配置されたInPベースのコア層(6)と、
前記InPベースのコア層(6)を少なくとも部分的に覆うように配置された第2のInPベースのクラッド層(7)と
を含む細長いInPベースの光導波路(4)を含み、
前記細長いInPベースの光導波路(4)は、
第1の導波路セクション(8)であって、
第1の端部(10)と第2の端部(11)とを有する第1の部分(9)であって、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記第1のInPベースのクラッド層(5)に接触して配置された前記InPベースのコア層(6)の第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第1の幅プロファイルWP1であって、一定である第1の値W1を有する前記第1の幅プロファイルWP1を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)と前記第2のInPベースのクラッド層(7)との両方に接触して配置された前記InPベースのコア層(6)の第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第2の幅プロファイルWP2であって、
前記第1の部分(9)の前記第1の端部(10)における第2の値W2であって、前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1より小さい前記第2の値W2と、
前記第1の部分(9)の前記第2の端部(11)における第3の値W3であって、前記第2の値W2より大きく、前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1より小さい前記第3の値W3と
を有する前記第2の幅プロファイルWP2を有し、
前記第1の幅プロファイルWP1及び前記第2の幅プロファイルWP2は、前記細長いInPベースの光導波路(4)が、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して平行な方向から見たときに、ハイブリダイゼーション長Lhに沿った実効屈折率であって、最大-10dBのモード変換損失でハイブリダイゼーション領域(12)においてより低次のTMモードのより高次のTEモードへの変換を可能にする前記実効屈折率を有する前記ハイブリダイゼーション領域(12)を前記第1の部分(9)に提供するように構成及び配置される、
前記第1の部分(9)と、
第3の端部(14)と、前記第1の部分(9)の前記第1の端部(10)と光学的に接続して配置された第4の端部(15)とを有する第2の部分(13)であって、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第3の幅プロファイルWP3であって、
前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における第4の値W4であって、前記第1の部分(9)における前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1よりも小さい前記第4の値W4と、
前記第2の部分(13)の前記第4の端部(15)における第5の値W5であって、前記第1の部分(9)における前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1に等しい前記第5の値W5と
を有する前記第3の幅プロファイルW3を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第4の幅プロファイルWP4であって、
前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における第6の値W6であって、前記第3の幅プロファイルWP3の前記第4の値W4に等しい前記第6の値W6と、
前記第2の部分(13)の前記第4の端部(15)における第7の値W7であって、前記第1の部分(9)における前記第2の幅プロファイルWP2の前記第2の値W2に等しい前記第7の値W7と
を有する前記第4の幅プロファイルWP4を有する、
前記第2の部分(13)と、
前記第1の部分(9)の前記第2の端部(11)と光学的に接続して配置された第5の端部(17)と、第6の端部(18)とを有する第3の部分(16)であって、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第5の幅プロファイルWP5であって、
前記第3の部分(16)の前記第5の端部(17)における第8の値W8であって、前記第1の部分(9)における前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1に等しい前記第8の値W8と、
前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における第9の値W9であって、前記第8の値W8よりも小さく、前記第2の部分(13)における前記第3の幅プロファイルWP3の第4の値W4よりも大きい前記第9の値W9と
を有する前記第5の幅プロファイルWP5を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第6の幅プロファイルWP6であって、
前記第3の部分(16)の前記第5の端部(17)における第10の値W10であって、前記第1の部分(9)における前記第2の幅プロファイルWP2の前記第3の値W3に等しい前記第10の値W10と、
前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における第11の値W11であって、前記第5の幅プロファイルWP5の前記第9の値W9に等しい前記第11の値W11と
を有する前記第6の幅プロファイルWP6を有する、
前記第3の部分(16)と
を含む、前記第1の導波路セクション(8)と、
第7の端部(24)、前記第1の導波路セクションの前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)と光学的に接続されるように配置された第8の端部(25)と、前記細長いInPベースの光導波路(4)と前記支持基板(3)との両方に対して横断する方向で見たときに対称である第1の断面であって、前記第2の導波路セクション(23)がTM0、TE0、TM1、及びTE1モードの内の少なくとも1つをサポートすることを可能にする前記第1の断面とを含む第2の導波路セクション(23)と、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)と光学的に接続されるように配置された第9の端部(27)と、第10の端部(28)と、前記細長いInPベースの光導波路(4)と前記支持基板(3)との両方に対して横断する方向で見たときに対称である第2の断面であって、前記第3の導波路セクション(26)がTM0、TE0、TM1、及びTE1モードの内の少なくとも1つをサポートすることを可能にする前記第2の断面と含む第3の導波路セクション(26)と
を有するように構成及び配置される、
フォトニック集積回路PIC(1)。
【請求項2】
前記第1の導波路セクション(8)の前記第2部分(13)における前記第3の幅プロファイルWP3は、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第4の値W4と、前記第2の部分(13)の前記第4の端部(15)における前記第5の値W5との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3部分(16)における前記第5の幅プロファイルWP5は、前記第3の部分(16)の前記第5の端部(17)における前記第8の値W8と、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第9の値W9との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有する、
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項3】
前記第1の導波路セクション(8)の前記第1の部分(9)における前記第2の幅プロファイルWP2は、前記第1の部分(9)の前記第1の端部(10)における前記第2の値と、前記第1の部分(9)の前記第2の端部(11)における前記第3の値W3との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
前記第1の導波路セクション(8)前記の第2の部分(13)における前記第4の幅プロファイルWP4は、前記第2の部分(15)の前記第4の端部(14)における前記第6の値W6と、前記第2の部分(13)の前記第4の端部(15)における前記第7の値W7との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)における前記第6の幅プロファイルWP6は、前記第3の部分(16)の前記第5の端部(17)における前記第10の値W10と、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第11の値W11との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有する、
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項4】
前記第1の導波路セクション(8)の前記第1の部分(9)における前記第2の幅プロファイルWP2は、前記第1の部分(9)の前記第1の端部(10)における前記第2の値W2と、前記第1の部分(9)の前記第2の端部(11)における前記第3の値W3との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)における前記第3の幅プロファイルWP3は、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第4の値W4と、前記第2の部分(13)の前記第4の端部(15)における前記第5の値W5との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)における前記第4の幅プロファイルWP4は、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第6の値W6と、前記第2の部分(13)の前記第4の端部(15)における前記第7の値W7との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)における前記第5の幅プロファイルWP5は、前記第3の部分(16)の前記第5の端部(17)における前記第8の値W8と、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第9の値W9との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)における前記第6の幅プロファイルWP6は、前記第3の部分(16)の前記第5の端部(17)における前記第10の値W10と、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第11の値W11との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有する、
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項5】
前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)における前記第4の幅プロファイルWP4は、前記支持基板(3)に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第1の辺(20)であって、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)に配置され、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第6の値W6に等しい前記第1の辺(20)を有する周囲を有する第1のパート(19)を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)における前記第6の幅プロファイルWP6は、前記支持基板(3)に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第2の辺(22)であって、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)に配置され、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第11の値W11に等しい前記第2の辺(22)を有する周囲を有する第2のパート(21)を有する、
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項6】
前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)における前記第4の幅プロファイルWP4は、前記支持基板(3)に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第1の辺(20)であって、前記第2の部分(13)の前記第3の端部部分(14)に配置され、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第6の値W6に等しい前記第1の辺(20)を有する周囲を有する第1のパート(19)を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)における前記第6の幅プロファイルWP6は、前記支持基板(3)に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第2の辺(22)であって、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)に配置され、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第11の値W11に等しい前記第2の辺(22)を有する周囲を有する第2のパート(21)を有する、
請求項2に記載のPIC(1)。
【請求項7】
前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)における前記第4の幅プロファイルWP4は、前記支持基板(3)に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第1の辺(20)であって、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)に配置され、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第6の値W6に等しい前記第1の辺(20)を有する周囲を有する第1のパート(19)有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)における前記第6の幅プロファイルWP6は、前記支持基板(3)に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第2の辺(22)であって、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)に配置され、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第11の値W11に等しい前記第2の辺(22)を有する周囲を有する第2のパート(21)を有する、
請求項3に記載のPIC(1)。
【請求項8】
前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)における前記第4の幅プロファイルWP4は、前記支持基板(3)に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第1の辺(20)であって、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)に配置され、前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第6の値W6に等しい前記第1の辺(20)を有する周囲を有する第1のパート(19)有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)における前記第6の幅プロファイルWP6は、前記支持基板(3)に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第2の辺(22)であって、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)に配置され、前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第11の値W11に等しい前記第2の辺(22)を有する周囲を有する第2のパート(21)を有する、
請求項4に記載のPIC(1)。
【請求項9】
前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して平行な方向から見たときに、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第1の部分(9)は、前記ハイブリダイゼーション長Lhよりも長い第1の長さL1であって、450μm~750μmの第1の範囲内又は1450μm~1750μmの第2の範囲内にある前記第1の長さL1を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)は、20μm~100μmの第3の範囲内にある第2の長さL2を有し、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)は、20μm~100μmの第3の範囲内にある第3の長さL3を有する、
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項10】
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記第2の導波路セクション(23)の前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第7の幅プロファイルWP7であって、前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第3の幅プロファイルの前記第4の値W4に等しい第12の値W12を有する前記第7の幅プロファイルWP7を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記第2の導波路セクション(23)の前記InPベースのコア層(6)の前記第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第8の幅プロファイルWP8であって、前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第4の幅プロファイルWP4の前記第6の値に等しい第13の値W13を有する前記第8の幅プロファイルWP8を有し、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記第3の導波路セクション(26)の前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第9の幅プロファイルWP9であって、前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第5の幅プロファイルWP5の前記第9の値W9に等しい第14の値14を有する前記第9の幅プロファイルWP9を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記第3の導波路セクション(26)の前記InPベースのコア層(6)の前記第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第10の幅プロファイルWP10であって、前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第6の幅プロファイルWP6の前記第11の値W11に等しい第15の値W15を有する前記第10の幅プロファイルWP10を有する、
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項11】
前記InPベースのコア層はInGaAsP材料を含む、請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項12】
前記PICはハイブリッドPICである、請求項1に記載のPIC。
【請求項13】
前記PICはInPベースのモノリシックPICである、請求項1に記載のPIC。
【請求項14】
請求項1に記載のPIC(1)を含む、光電子システム(100)。
【請求項15】
支持基板(3)を有するInPベースの偏光回転子(2)を含むPIC(1)を製造する方法(200)であって、前記InPベースの偏光回転子(2)は、
前記支持基板(3)又は前記支持基板(3)を少なくとも部分的に覆うように配置されたエピタキシャルInPベースの層の少なくとも一部である第1のInPベースのクラッド層(5)と、
前記第1のInPベースのクラッド層(5)を覆うように配置されたInPベースのコア層(6)と、
前記InPベースのコア層(6)を少なくとも部分的に覆うように配置された第2のInPベースのクラッド層(7)と
含む細長いInPベースの光導波路(4)を含み、
前記細長いInPベースの光導波路(4)は、
第1の導波路セクション(8)であって、
第1の端部(10)及び第2の端部(11)を有する第1の部分(9)であって、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記第1のInPベースのクラッド層(5)に接触して配置された前記InPベースのコア層(6)の第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向で、前記支持基板(3)に平行な方向で見たときに、第1の幅プロファイルWP1であって、一定である第1の値W1を有する前記第1の幅プロファイルWP1を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)と前記第2のInPベースのクラッド層(7)との両方に接触して配置された前記InPベースのコア層(6)の第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第2の幅プロファイルWP2であって、
前記第1の部分(9)の前記第1の端部(10)における第2の値W2であって、前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1より小さい前記第2の値W2と、
前記第1の部分(9)の前記第2の端部(11)における第3の値W3であって、前記第2の値W2よりも大きく、前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1よりも小さい前記第3の値W3と
を有する前記第2の幅プロファイルWP2を有し、
前記第1の幅プロファイルWP1及び前記第2の幅プロファイルWP2は、前記細長いInPベースの光導波路(4)が、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して平行な方向から見たときに、ハイブリダイゼーション長Lhに沿った実効屈折率であって、最大-10dBのモード変換損失でハイブリダイゼーション領域(12)においてより低次のTMモードのより高次のTEモードへの変換を可能にする前記実効屈折率を有する前記ハイブリダイゼーション領域(12)を前記第1の部分(9)に提供するように構成及び配置される、
前記第1の部分(9)と、
第3の端部(14)と、前記第1の部分(9)の前記第1の端部(10)と光学的に接続して配置された第4の端部(15)とを有する第2の部分(13)であって、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第3の幅プロファイルWP3であって、
前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における第4の値W4であって、前記第1の部分(9)における前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1よりも小さい前記第4の値W4と、
前記第2の部分(13)の前記第4の端部(15)における第5の値W5であって、前記第1の部分(9)における前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1に等しい前記第5の値W5と
を有する前記第3の幅プロファイルW3を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第4の幅プロファイルWP4であって、
前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における第6の値W6であって、前記第3の幅プロファイルWP3の前記第4の値W4に等しい前記第6の値W6と、
前記第2の部分(13)の前記第4の端部(15)における第7の値W7であって、前記第1の部分(9)における前記第2の幅プロファイルWP2の前記第2の値W2に等しい前記第7の値W7と
を有する前記第4の幅プロファイルWP4を有する、
前記第2の部分と、
前記第1の部分(9)の前記第2の端部(11)と光学的に接続して配置された第5の端部(17)と、第6の端部(18)とを有する第3の部分(16)であって、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第5の幅プロファイルWP5であって、
前記第3の部分(16)の前記第5の端部(17)における第8の値W8であって、前記第1の部分(9)における前記第1の幅プロファイルWP1の前記第1の値W1に等しい前記第8の値W8と、
前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における第9の値W9であって、前記第8の値W8よりも小さく、前記第2の部分(13)の前記第3の幅プロファイルWP3の前記第4の値W4よりも大きい前記第9の値W9と
を有する前記第5の幅プロファイルWP5を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記InPベースのコア層(6)の前記第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第6の幅プロファイルWP6であって、
前記第3の部分(16)の前記第5の端部(17)における第10の値W10であって、前記第1の部分(9)における前記第2の幅プロファイルWP2の前記第3の値W3に等しい前記第10の値W10と、
前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における第11の値W11であって、前記第5の幅プロファイルWP5の前記第9の値W9に等しい前記第11の値W11と
を有する前記第6の幅プロファイルを有する、
前記第3の部分と
を含む、前記第1の導波路セクション(8)と、
第2の導波路セクション(23)であって、
第7の端部(24)と、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)と光学的に接続して配置された第8の端部(25)と、
前記細長いInPベースの光導波路(4)と前記支持基板(3)との両方に対して横断する方向で見たときに対称である第1の断面であって、前記第2の導波路セクション(23)がTM0、TE0、TM1、及びTE1モードの内の少なくとも1つサポートすることを可能にする前記第1の断面と
を含み、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記第2の導波路セクション(23)の前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第7の幅プロファイルWP7であって、前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第3の幅プロファイルWP3の前記第4の値W4に等しい第12の値W12を有する前記第7の幅プロファイルWP7を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記第2の導波路セクション(23)の前記InPベースのコア層(6)の前記第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第8の幅プロファイルWP8であって、前記第1の導波路セクション(8)の前記第2の部分(13)の前記第3の端部(14)における前記第4の幅プロファイルWP4の前記第6の値W6に等しい第13の値W13を有する前記第8の幅プロファイルを有する、
前記第2の導波路セクション(23)と、
第3の導波路セクション(26)であって、
前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)と光学的に接続して配置された第9の端部(27)と、
第10の端部(28)と、
前記細長いInPベースの光導波路(4)と前記支持基板(3)との両方に対して横断する方向で見たときに対称である第2の断面であって、前記第3の導波路セクション(26)がTM0、TE0、TM1、及びTE1モードの内の少なくとも1つサポートすることを可能にする前記第2の断面と
を含み、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と、前記第3の導波路セクション(26)の前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第9の幅プロファイルWP9であって、前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第5の幅プロファイルWP5の前記第9の値W9に等しい第14の値W14を有する前記第9の幅プロファイルWP9を有し、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記第3の導波路セクション(26)の前記InPベースのコア層(6)の前記第2のパート(6b)とは、前記細長いInPベースの光導波路(4)に対して横断する方向でかつ前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、第10の幅プロファイルWP10であって、前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の部分(16)の前記第6の端部(18)における前記第6の幅プロファイルWP6の前記第11の値W11に等しい第15の値W15を有する前記第10の幅プロファイルWP10を有する、
前記第3の導波路セクション(26)と
を有するように構成及び配置され、
前記方法(200)は、
前記支持基板(3)、前記第1のInPベースのクラッド層(5)、前記InPベースのコア層(6)、及び前記第2のInPベースのクラッド層(7)を前記InPベースの偏光回転子(2)の前記細長いInPベースの光導波路(4)に設けること(201)と、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された少なくとも1つの保護層(30)を覆うために第1のマスキング層(29)を設けること(202)と、
前記支持基板(3)に対して平行な方向で見たときに、前記細長いInPベースの光導波路(4)の前記第2の導波路セクション(23)の前記第8の幅プロファイルWP8、前記第1の導波路セクション(8)の前記第4の幅プロファイルWP4、前記第2の幅プロファイルWP2、及び前記第6の幅プロファイルWP6、並びに前記第3の導波路セクション(26)の前記第10の幅プロファイルWP10を連続的に含む第1のパターン(31)を前記第1のマスキング層(29)に提供し、それによって、
前記第1のパターン(31)に従って成形された前記マスキング層(29)で覆われた、前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)の領域と、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)の覆われていない領域と
を得るために、前記第1のマスキング層(29)に第1のリソグラフィプロセスを適用すること(203)と、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)と、前記第2のInPベースのクラッド層(7)と接触して配置された前記InPベースのコア層(6)の前記第2のパート(6b)との内の少なくとも1つに前記第1のパターン(31)を転写し、それによって、
エッチングされた第1マスキング層(29)と、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)のエッチングされていない領域(33)に対して、第1のエッチング深さd1にあるInPベースの材料の第1のエッチング領域(32)と
を得るために、前記第1のマスキング層(29)と、前記第2のInPベースのクラッド層(7)又は前記第2のInPを覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)の前記覆われていない領域に第1のドライエッチングを適用すること(204)と、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)のエッチングされていない領域(33)から前記エッチングされた第1のマスキング層(29)を除去すること(205)と、
InPベースの材料の前記第1のエッチング領域(32)と、前記第2のInPベースのクラッド層(7)又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層のエッチングされていない領域(33)とを覆うために第2のマスキング層(34)を設けること(206)と、
前記細長いInPベースの光導波路(4)の前記第2の導波路セクション(23)の前記第8の幅プロファイルWP8、前記第1の導波路セクション(8)の前記第4の幅プロファイルWP4、前記第2の幅プロファイルWP2、及び前記第6の幅プロファイルWP6、並びに前記第3の導波路セクション(26)の前記第10の幅プロファイルWP10に対して平行な方向で見たときに、前記細長いInPベースの光導波路(4)の前記第2の導波路セクション(23)の前記第7の幅プロファイルWP7、前記第1の導波路セクション(8)の前記第3の幅プロファイルWP3、前記第1の幅プロファイルWP1、及び前記第5の幅プロファイルWP5、並びに前記第3の導波路セクション(26)の前記第9の幅プロファイルWP9を連続的に含む第2のパターン(35)を前記第2のマスキング層(34)に提供し、それによって、
前記第2のパターン(35)であって、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)の前記エッチングされていない領域(33)の少なくとも一部と、
InPベースの材料の前記第1のエッチング領域(32)の一部(36)と
を覆う前記第2のパターンに従って成形された前記第2のマスキング層(33)と、
InPベースの材料の前記第1のエッチング領域(32)の覆われていない部分(37)と、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)又は、前記第2のパターン(35)に従って成形された前記第2のマスキング層(34)が、前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)のエッチングされていない領域(33)を少なくとも部分的に覆う場合に前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)の前記エッチングされていない領域(33)の覆われていない部分(38)と
を得るために、前記第2のマスキング層(34)に第2のリソグラフィプロセスを適用すること(207)と、
少なくとも前記第1のInPベースのクラッド層(5)と前記InPベースのコア層(6)の前記第1のパート(6a)とに前記第2のパターンを転写し、それによって、
エッチングされた第2のマスキング層(34)と、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)又は前記第2のクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)の前記エッチングされていない領域(40)に対して第2のエッチング深さd2であって、前記エッチング深さd1よりも大きい前記第2のエッチング深さでのInPベースの材料の第2のエッチング領域(40)と
を得るために、
前記第2のマスキング層(34)と、
InPベースの材料の前記第1のエッチング領域(32)の前記覆われていない部分(37)と、
前記第2のInPベースのクラッド層(7)、又は前記第2のパターン(35)に従って成形された前記第2のマスキング層(34)が、前記第2のInPベースのクラッド層(7)又は前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)の前記エッチングされていない領域(33)を部分的に覆う場合に前記第2のInPベースのクラッド層(7)を覆うように配置された前記少なくとも1つの保護層(30)の前記エッチングされていない領域(33)の前記覆われていない部分(38)と
に第2のドライエッチングを適用すること(208)
を含む、方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、非限定的に、電気通信、光検出測距(LIDAR)又はセンサ用途に使用され得るフォトニック集積回路(PIC)に関する。発明は更に、該PICを含む光電子システムに関する。発明は更に、該PICを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非限定的に、光電気通信、LIDAR又はセンサ用途の分野に適用できるPICは、好ましくはフットプリントが可能な限り小さい単一のダイ上に集積される光学機能及び/又は電気機能の数が増加しているため、益々複雑になっている。
【0003】
益々複雑化するPICの例としては、コヒーレント受信に使用され得るPICがある。コヒーレント伝送には2つの光搬送波の振幅と位相とを変調することによるそれらの情報の符号化が含まれることが知られている。2つの偏波、すなわち横磁性(TM)及び横電気(TE)は、例えば、光ファイバ又は集積光導波路により形成され得る同じ光路に沿って光キャリアが伝播するときに、該光キャリアが互いに干渉するのを防ぐために一般的に使用される。符号化された情報を復元するには、受信した光信号内のTMモードとTEモードとの分離が必要である。
【0004】
PIC、特に光電気通信向けの最も汎用性の高い技術プラットフォームでは、InPベースの半導体材料を含むウェーハが使用される。InPベースの技術により、例えば、発光及び/又は光吸収光学デバイス等の能動コンポーネントと、例えば、光導波及び/又は光スイッチング光学デバイス等の受動コンポーネントとの両方を単一のダイ上の1つのPICにモノリシックに集積できる。
【0005】
量子井戸の限定された性質に起因して、殆どのInPベースのPICは、TEモードの処理に最適化されていることが知られている。それ故、例えば、コヒーレント受信の場合、TMモードとTEモードとを分割し、その後TMモードをTEモードに回転又は変換するのが一般的な方法である。偏光スプリッタは通常、TMモードとTEモードとを分割するために使用され、偏光回転子は通常、後でTMモードTEモードに回転又は変換するために使用される。
【0006】
非常に複雑なPIC、特にInPベースの偏光スプリッタとInPベースの偏光回転子の内の少なくとも1つを含むPICの既知の欠点は、前述のコンポーネントの製造の複雑さと脆弱性とが高いため、適切なチップ歩留まりを達成することが非常に困難であること、及びCMOSレベルのプロセス制御がInPベースのプラットフォームではまだ広く利用可能になっていないという事実である。それ故、InPベースの偏光回転子の改良された設計により、PICの性能向上及び歩留まり向上の内の少なくとも1つを可能にするInPベースの偏光回転子を含むPICを提供する必要がある。また、そうしたPICを含む光電子システムを提供する必要がある。本発明に従ったPICの製造方法を提供することも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、例えば、非限定的に、電気通信、LIDAR又はセンサ用途に使用できる改良された設計を有するInPベースの偏光回転子を含むPICを提供すること、当技術分野で知られているInPベースの偏光回転子を含むPICに関連する上述の欠点及び/又はその他の欠点の内の少なくとも1つを先回りして解消する又は少なくとも軽減することである。
【0008】
また、本発明の目的は、例えば、非限定的に、発明に従ったPICを含む電気通信用途、LIDAR又はセンサ用途に使用できる光電子システムを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、発明に従ったPICを製造する方法を提供することである。
【0010】
本発明の態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の機構は、単に請求項に明示的に記載されているだけでなく、必要に応じて独立請求項の機構と組み合わせることができる。更に、全ての機構は他の技術的に均等の機構と置き換えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的の内の少なくとも1つは、請求項1によって定義されるPICによって達成される。該PICのInPベースの偏光回転子は、細長いInPベースの光導波路と支持基板との両方に対して横断する方向から見たときに、偏光回転子の細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションが非対称な断面を有するという概念に基づいている。こうした導波路セクションは一般的にリブ導波路セクションと称される。請求項1によって定義されるような幅プロファイルWP1~WP6の配置及び構成の結果として、細長いInPの光導波路の第1の導波路セクションにおける第1のInPベースのクラッド層と第2のInPベースのクラッド層との間の空間的非対称性により、より低次のTMモード、例えば、基本TMモード(TM0)とより高次のTEモード、例えば、TE1との夫々の実効屈折率が同じ又は可能な限り同じであるハイブリダイゼーション長Lhを有するハイブリダイゼーション領域を第1の導波路セクションの第1の部分が含むことを可能にする。結果として、より低次のTMモードが第1の導波路セクションを渡って第3の導波路セクションに向かって伝播すると、より低次のTMモード、例えば、TMOのより高次のTMモード、例えば、TE1への変換がハイブリダイゼーション領域で達成され得る。
【0012】
InPベースの偏光回転子の具体的な構成に応じて、より低次のTEモード、例えば、基本TEモード(TE0)から、変換されたより高次のTMモード、例えば、TM1への断熱遷移が発明に従ったPICのInPベースの偏光回転子の細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションの第1の部分のハイブリダイゼーション領域で達成できることも可能である。量子井戸の限定された性質に起因して、殆どのInPベースのPICがTEモードの処理に最適化されているという上記の観察を考慮すると、より低次のTEモードのより高次のTMモードへの変換又は回転も本発明の範囲内に含まれるが、簡単にするために、PICのInPベースの偏光回転子に関する論考は、より低次のTMモードからより高次のTEモードへの、例えば、TMOからTE1への回転又は変換のみに関係するであろうことに留意されたい。
【0013】
請求項1に定義されているように、本発明に従ったPICは、支持基板を有するInPベースの偏光回転子を含み、InPベースの偏光回転子は、
支持基板、又は支持基板を少なくとも部分的に覆うように配置されたエピタキシャルInPベースの層の少なくとも一部である第1のInPベースのクラッド層と、
第1のInPベースのクラッド層を覆うように配置されたInPベースのコア層と、
InPベースのコア層を少なくとも部分的に覆うように配置された第2のInPベースのクラッド層と
を含む細長いInPベースの光導波路を含む。
【0014】
細長いInPベースの光導波路は、
第1の端部及び第2の端部を有する第1の部分であって、
少なくとも第1のInPベースのクラッド層と、第1のInPベースのクラッド層と接触して配置されたInPベースのコア層の第1のパートとは、細長いInPベースの光導波路に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第1の幅プロファイルWP1であって、一定である第1の値W1を有する第1の幅プロファイルWP1を有し、
第2のInPベースのクラッド層、又は第2のInPベースのクラッド層と、InPベースのコア層の第1のパートと第2のInPベースのクラッド層との両方に接触して配置されたInPベースのコア層の第2のパートとは、細長いInPベースの光導波路に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第2の幅プロファイルWP2であって、
第1の部分の第1の端部における第2の値W2であって、第1の幅プロファイルWP1の第1の値W1よりも小さい第2の値W2と、
第1の部分の第2の端部における第3の値W3であって、第2の値W2よりも大きく、第1の幅プロファイルWP1の第1の値W1よりも小さい第3の値W3と
を有する第2の幅プロファイルWP2を有する、
第1の部分
を含む第1の導波路セクション
を有するように構成及び配置される。
【0015】
第1の幅プロファイルWP1及び第2の幅プロファイルWP2は、細長いInPベースの光導波路に対して平行な方向で見たときに、細長いInPベースの光導波路がハイブリダイゼーション長Lhに沿って実効屈折率値を有するハイブリダイゼーション領域を第1の部分に提供するように構成及び配置される。該実効屈折率値は、最大-10dBのモード変換損失で、ハイブリダイゼーション領域においてより低次のTMモードのより高次のTEモードへの変換を可能にする。
【0016】
ハイブリダイゼーション長Lhが短すぎた場合、より低次のTMモードが変換されたより高次のTEモードに完全に変換する時間がないため、ハイブリダイゼーション長Lhの制御が重要であることに留意されたい。逆に、ハイブリダイゼーション長Lhが長すぎる場合、ハイブリダイゼーション領域の終了前に、変換されたより高次のTEモードは、より低次のTMモードに戻り始め得る。
【0017】
ハイブリダイゼーション領域のある点において、細長いInPベースの光導波路の実効屈折率は、モード変換損失が最小値を有することを可能にする値を有する。ハイブリダイゼーション領域のこのいわゆる交点では、より低次のTMモードから変換されたより高次のTEモードへの変換が最大になる。理想的には、交点は、ハイブリダイゼーション領域の中心、すなわち、ハイブリダイゼーション長Lhの中間にある。
【0018】
発明に従ったPICの第1の例示的な実施形態では、第2の幅プロファイルWP2の第2の幅W2は2.75μmの値を有し得、第2の幅プロファイルWP2の第3の幅W3は2.85μmの値を有し得、第1の幅プロファイルWP1の第1の幅W1は、少なくとも8μmの値を有し得、第1の導波路セクションの第1の部分に沿ったハイブリダイゼーション領域のシフト及びハイブリダイゼーション長Lhの変動は主に、第2の幅プロファイルWP2と、少なくとも第1のInPベースのクラッド層と第1のInPベースのクラッド層と接触して配置されたInPベースのコア層の第1のパートとの第1の幅プロファイルWP1との両方の変動に依存する代わりに、第2のInPベースのクラッド層、又は第2のInPベースのクラッド層と、InPベースのコア層の第1のパートと第2のInPベースのクラッド層との両方と接触して配置されたInPベースのコア層の第2のパートとの第2の幅プロファイルWP2の変動に依存し得る。
【0019】
第2の幅W2から第3の幅W3までの第2の幅プロファイルWP2の角度増加は、ハイブリダイゼーション長Lhに沿ったハイブリダイゼーション領域内の実効屈折率の変化率を最もよく表すことに留意されたい。発明に従ったPICの上述の第1の例示的な実施形態において、第2の幅W2が2.75μmの値を有し、第3の幅W3が2.85μmの値を有し、±0.00095度の精度で0.00477度の第1の値を有する角度が使用された場合、最大-10dBのモード変換損失を達成できる。
【0020】
少なくとも第1のInPベースのクラッド層と、第1のInPベースのクラッド層と接触するInPベースのコア層の第1のパートとの第3の幅プロファイルWP3と、第2のInPベースのクラッド層、又は第2のInPベースのクラッド層と、細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションの第2の部分の第2のInPベースのクラッド層と接触するInPベースのコア層の第2のパートとの第4の幅プロファイルWP4とは、約10%のTE(TM)割合でTM0(TE1)モードを準TM0(TE1)モードに変換可能に構成される。同じことは、少なくとも第1のInPベースのクラッド層と、第1のInPベースのクラッド層と接触するInPベースのコア層の第1のパートとの第5の幅プロファイルWP5と、第2のInPベースのクラッド層、又は第2のInPベースのクラッド層と、細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションの第3の部分の第2のInPベースのクラッド層と接触するInPベースのコア層の第2のパートとの第6の幅プロファイルWP6とにも当てはまる。第1の導波路セクションは、低損失モード変換をサポートするのに十分な全長を有する。第1の導波路セクションの第1の部分は、第1の導波路セクションの第2の部分及び第3の部分の個別の長さの各々よりも長い長さを有する。
【0021】
第2の幅プロファイルWP2、第3の幅プロファイルWP3、第4の幅プロファイルWP4、第5の幅プロファイルWP5、及び第6の幅プロファイルWP6の何れも、任意の適切な形状を有するように構成できることに留意されたい。支持基板に平行な平面で見たときに、前述の幅プロファイルの内の何れか1つは、例えば、線形的、断熱的、又は単調なテーパ形状を有し得る。
【0022】
細長いInPベースの光導波路の第2の導波路セクション及び第3の導波路セクションは、細長いInPベースの光導波路と支持基板との両方に対して横断する方向で見たときに対称な断面を有する。こうした導波路セクションは、一般的にリッジ導波路セクションと称される。リブ導波路セクションと比較したリッジ導波路セクションの利点は、リッジ導波路セクションがより低い伝播損失を有し、より小さな曲げ半径をサポートし、モード形状の点でより安定していることである。それ故、細長いInPベースの光導波路の第2導波路セクション及び第3導波路セクションをリッジ導波路セクションとして構成することが有利である。第2の導波路セクション及び第3の導波路セクションは、細長いInPベースの光導波路と支持基板との両方に対して横断する方向で見たときにそれらの個別の断面が対称である限り、任意の適切な幅プロファイルを有し得る。
【0023】
上記に基づいて、請求項1により定義されるPICの実施形態のInPベースの偏光回転子は、PICのInPベースの偏光回転子の臨界寸法のばらつきを低減することに少なくとも起因して、PICの性能向上及び歩留まり向上の内の少なくとも1つを可能にする改良された設計を有すると理解できる。
【0024】
発明に従ったPICの一実施形態では、
第1の導波路セクションの第2部分における第3の幅プロファイルWP3は、第2の部分の第3の端部における第4の値W4と第2の部分の第4の端部における第5の値W5との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
第1の導波路セクションの第3部分における第5の幅プロファイルWP5は、第3の部分の第5の端部における第8の値W8と第3の部分の第6の端部における第9の値W9との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有する。
【0025】
第3の幅プロファイルWP3及び第5の幅プロファイルWP5の内の少なくとも1つが線形テーパ形状を有する場合、線形テーパ形状は、例えば、区分的線形テーパ形状であり得る。第3の幅プロファイルWP3が第4の値W4と第5の値W5との間で厳密に増加している線形テーパ形状を有し、第5の幅プロファイルWP5が第8の値W8と第9の値W9との間で厳密に増加している線形テーパ形状を有する場合、第1の導波路セクションの第2の部分、第1の部分、及び第3の部分に続いて、第3の幅プロファイルWP3、第1の幅プロファイルWP1、及び第5の幅プロファイルWP5は、少なくとも第1のInPベースのクラッド層と、斜六角形で第1のInPベースのクラッド層と接触するInPベースのコア層の第1のパートとを提供するように構成される。
【0026】
第3の幅プロファイルWP3及び第5の幅プロファイルWP5を、線形テーパ形状の代わりに断熱テーパ形状を有するように構成する利点は、光放射の低損失伝播をサポートしながら、PICのフットプリントを削減できることである。
【0027】
発明に従ったPICの一実施形態では、
第1の導波路セクションの第1の部分における第2の幅プロファイルWP2は、第1の部分の第1の端部における第2の値W2と第1の部分の第2の端部における第3の値W3との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
第1の導波路セクションの第2の部分における第4の幅プロファイルWP4は、第2の部分の第3の端部における第6の値W6と第2の部分の第4の端部における該第7の値W7との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
第1の導波路セクションの第3の部分における第6の幅プロファイルWP6は、第3の部分の第5の端部における第10の値W10と第3の部分の第6の端部における第11の値W11との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有する。
【0028】
第2の幅プロファイルWP2、第4の幅プロファイルWP4、及び第6の幅プロファイルWP6の内の少なくとも1つが線形テーパ形状を有する場合、線形テーパ形状は、例えば、細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションの個別の部分の個別の端部における個別の値の間で厳密に増加している区分的線形テーパ形状又は線形テーパ形状であり得る。
【0029】
第2の幅プロファイルWP2、第4の幅プロファイルWP4、及び第6の幅プロファイルWP6を、線形テーパ形状の代わりに断熱テーパ形状を有するように構成する利点は、光放射の低損失伝播をサポートしながらPICのフットプリントを削減できることである。
【0030】
発明に従ったPICの一実施形態では、
第1の導波路セクションの第1の部分における第2の幅プロファイルWP2は、第1の部分の第1の端部における第2の値W2と第1の部分の第2の端部における第3の値W3との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
第1の導波路セクションの第2部分における第3の幅プロファイルWP3は、第2の部分の第3の端部における第4の値W4と第2の部分の第4の端部における第5の値W5との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
第1の導波路セクションの第2の部分における第4の幅プロファイルWP4は、第2の部分の第3の端部における第6の値W6と第2の部分の第4の端部における第7の値W7との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
第1の導波路セクションの第3部分における第5の幅プロファイルWP5は、第3の部分の第5の端部における第8の値W8と第3の部分の第6の端部における第9の値W9との間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有し、
第1の導波路セクションの第3の部分における第6の幅プロファイルWP6は、第3の部分の第5の端部における第10の値W10から第3の部分の第6の端部における第11の値W11までの間で線形テーパ形状又は断熱テーパ形状を有する。
【0031】
第2の幅プロファイルWP2、第3の幅プロファイルWP3、第4の幅プロファイルWP4、第5の幅プロファイルWP5、及び第6の幅プロファイルWP6の内の少なくとも1つが線形テーパ形状を有する場合、線形テーパ形状は、例えば、第2の幅プロファイルWP2、第3の幅プロファイルWP3、第4の幅プロファイルWP4、及び第6の幅プロファイルWP6に関して、細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションの個別の部分の個別の端部における各値の間で厳密に増加し、第5の幅プロファイルWP5に関して、細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションの第3の部分の第5の端部における第8の値W8と第3の部分の第6の端部における第9の値W9との間で厳密に減少している区分的線形テーパ形状又は線形テーパ形状であり得る。
【0032】
第2の幅プロファイルWP2、第3の幅プロファイルWP3、第4の幅プロファイルWP4、第5の幅プロファイルWP5、及び第6の幅プロファイルWP6を線形テーパ形状の代わりに断熱テーパ形状を有するように構成する利点は、光放射の低損失伝播をサポートしながら、PICのフットプリントを削減できることである。
【0033】
発明に従ったPICの一実施形態では、
第1の導波路セクションの第2の部分における第4の幅プロファイルWP4は、支持基板に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第1の辺であって、第2の部分の第3の端部に配置され、第2の部分の第3の端部における該第6の値W6に等しい該第1の辺を有する周囲を有する第1のパートを有し、
第1の導波路セクションの第3の部分における第6の幅プロファイルWP6は、支持基板に対して平行な平面で見たときに、少なくとも六角形であり、第2の辺であって、第3の部分の第6の端部に配置され、第3の部分の第6の端部における該第11の値W11に等しい該第2の辺を有する周囲を有する第2のパートを有する。
【0034】
PICの上に定義した実施形態の製造中、第2のInPベースのクラッド層、又は第2のInPベースのクラッド層と、第2のInPベースのクラッド層と接触するInPベースのコア層の第2のパートとには、支持基板に対して平行な方向で見たときに、細長いInPベースの光導波路の第2の導波路セクションの第8の幅プロファイルWP8、第1の導波路セクションの第4の幅プロファイルWP4、第2の幅プロファイルWP2、及び第6の幅プロファイルWP6、並びに第3の導波路セクションの第10の幅プロファイルWP10が第1の浅いドライエッチングを使用して連続して設けられる。第1の浅いドライエッチングは、例えば、反応性イオンエッチングを使用して実施され得る。
【0035】
第1の導波路セクションの第2の部分の第3の端部における第4の幅プロファイルWP4の該第1のパートと、第1の導波路セクションの第3の部分の第6の端部における第6の幅プロファイルWP6の該第2のパートとの六角形の形状は、第2のInPベースのクラッド層、又は第2のInPベースのクラッド層と、第1の導波路セクションの個別の第2の部分又は第3の部分における第2のInPベースのクラッド層に接触するInPベースのコア層の第2のパートとの保護されていない犠牲部分の第2の深いドライエッチングへの露出の後にもたらされる。第2の深いドライエッチング中に除去された該保護されていない犠牲部分により、支持基板に対して平行な方向で見たときに、細長いInPベースの光導波路の第2の導波路セクションの第7の幅プロファイルWP7、第1の導波路セクションの第3の幅プロファイルWP3、第1の幅プロファイルWP1、及び第5の幅プロファイル、並びに第3の導波路セクションの第9の幅プロファイルWP9を連続して含むパターンが第2の深いドライエッチング中に使用されるマスキング層に与えられるリソグラフィプロセス中の位置合わせ不良によって引き起こされる、細長いInPベースの光導波路に対して横断する方向で支持基板に対して平行な方向における任意のオーバレイ誤差を調整することが可能になった。第2の深いドライエッチングは、例えば、誘導結合プラズマエッチングを使用して実施され得る。
【0036】
該オーバレイ誤差を調整することによって、細長いInPベース光導波路の第2導波路セクション及び第3導波路セクションの非最適な導波路断面を少なくとも減少させることができ、理想的には防止することができる。その結果、PICの歩留まりに悪影響を及ぼし得る第2の導波路セクション及び第3の導波路セクションにおける予測不可能なモードプロファイルを少なくとも低減することができ、理想的には防止することができる。
【0037】
発明に従ったPICの一実施形態では、細長いInPベースの光導波路に対して平行な方向で見たときに、
第1の導波路セクションの第1の部分は、ハイブリダイゼーション長Lhよりも長い第1の長さL1であって、450μm~750μmの第1の範囲内、又は1450μm~1750μmの第2の範囲内にある該第1の長さL1を有し、
第1の導波路セクションの第2の部分は、20μm~100μmの第3の範囲内にある第2の長さL2を有し、
第1の導波路セクションの第3の部分は、20μm~100μmの第3の範囲内にある第3の長さL3を有する。
【0038】
第1の長さL1が第1の範囲から選択された第1の値を有する場合、より低次のTMモードからより高次のTEモードへの一次変換が達成できることに留意されたい。例えば、第2の幅プロファイルWP2の第2の幅W2が2.75μmの値を有し、第2の幅プロファイルWP2の第3の幅W3が2.85μmの値を有し、第2の幅プロファイルWP2の角度増加が±0.00095度の精度で0.00477度の第1の値を有する場合、600μmの値を有する第1の長さL1は、TM0からTE1への真直ぐな一次変換を達成することができる。
【0039】
第1の長さL1が第2の範囲から選択された第2の値を有する場合、より低次のTMモードからより高次のTEモードへの二次変換を達成することができ、すなわち、より低次のTMモードは、まず、より高次のTEモードに変換し、次により低次のTMモードに戻り、最後により高次のTEモードに戻る。例えば、第2の幅プロファイルWP2の第2の幅W2が2.75μmの値を有し、第2の幅プロファイルWP2の第3の幅W3が2.85μmの値を有し、第2の幅プロファイルWP2の角度増加が±0.00019度の精度で0.00179度の第2の値を有する場合、1600μmの値を有する第1の長さL1は、TM0からTE1への二次変換を達成することができ、すなわち、TM0は、まず、TE1に変換し、次にTM0に戻り、最後にTE1に戻る。
【0040】
原理的には、1750μmを超える第1の長さL1の値については、より低次のTMモードからより高次のTEモードへの更により高次の変換を達成できるが、第1の長さL1のそうした値は、-10dBを超えるモード変換損失をもたらすだけでなく、不必要に大きなPICのフットプリントももたらすであろう。
【0041】
第2の長さL2及び/又は第3の長さL3が20μmよりも小さな値を有する場合、著しい光損失が発生し得る。第2の長さL2及び/又は第3の長さL3が100μmよりも大きな値を有する場合、PICのフットプリントは不必要に大きくなるであろう。第1の長さL1の値を第1の範囲から、又は第2の範囲から選択し、第2の長さL2及び第3の長さL3の値を第3の範囲から選択することによって、細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションは、低損失モード変換をサポートする、すなわち、最大-10dBのモード変換損失を有するように構成され得る。
【0042】
発明に従ったPICの一実施形態では、
少なくとも第1のInPベースのクラッド層と、第2の導波路セクションの第1のInPベースのクラッド層に接触して配置されたInPベースのコア層の第1のパートとは、細長いInPベースの光導波路に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行で見たときに、第7の幅プロファイルWP7であって、第1の導波路セクションの第2の部分の第3の端部における第3の幅プロファイルWP3の第4の値W4に等しい第12の値W12を有する第7の幅プロファイルWP7を有し、
第2のInPベースのクラッド層、又は第2のInPベースのクラッド層と、InPベースのコア層の第1のパートと第2の導波路セクションの第2のInPベースのコア層との両方に接触して配置されたInPベースのコア層の第2のパートとは、細長いInPベースの光導波路に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第8の幅プロファイルWP8であって、第1の導波路セクションの第2の部分の第3の端部における第4の幅プロファイルWP4の第6の値W6に等しい第13の値W13を有する第8の幅プロファイルWP8を有し、
少なくとも第1のInPベースのクラッド層と、第3の導波路セクションのInPベースのコア層の該第1のパートとは、細長いInPベースの光導波路に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第9の幅プロファイルWP9であって、第1の導波路セクションの第3の部分の第6の端部における第5の幅プロファイルWP5の第9の値W9に等しい第14の値W14を有する第9の幅プロファイルWP9を有し、
第2のInPベースのクラッド層、又は第2のInPベースのクラッド層と、第3の導波路セクションのInPベースのコア層の該第2のパートとは、細長いInPベースの光導波路に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第10の幅プロファイルWP10であって、第1の導波路セクションの第3の部分の第6の端部における第6の幅プロファイルWP6の第11の値W11に等しい第15の値W15を有する第10の幅プロファイルWP10を有する。
【0043】
上述したように、本発明に従ったPICの第2の導波路セクションと第3の導波路セクションとがリッジ導波路セクションであること、すなわち、細長いInPベースの光導波路と支持基板との両方に対して横断する方向で見たときに対称な断面を有することは有利である。その結果、第2の導波路セクションの第7の幅プロファイルWP7及び第8の幅プロファイルWP8は、細長いInPベースの光導波路に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに等しい形状を有する。同じことは、第3の導波路セクションの第9の幅プロファイルWP9及び第10の幅プロファイルWP10にも当てはまる。原理的には、PICの上に定義した実施形態の第2の導波路セクション及び第3の導波路セクションは、任意の適切な形状を有するように構成できる。通常、第2の導波路セクションの第7の幅プロファイルWP7の第12の値W12、及び第8の幅プロファイルWP8の第13の値W13は、最終的に製造されるPICでは一定である。図7C及び図7Hに関連して、最終的に製造されるPICにおいて第2の導波路セクションの第7の幅プロファイルWP7の第12の値W12及び第8の幅プロファイルの第13の値W13の第1の定数値、並びに第3の導波路セクションの第9の幅プロファイルの第14の値W14及び第10の幅プロファイルWP10の第15の値W15の第2の定数値に到着するためにPICの製造中に夫々、第2の導波路セクションの第7の幅プロファイルWP7及び第8の幅プロファイルWP8、並びに第3の導波路セクションの第9の幅プロファイルWP9及び第10の幅プロファイルの可能な形状に関する例が提供される。上記に基づいて、第1の定数値と第2の定数値とは通常異なる。
【0044】
発明に従ったPICの一実施形態では、InPベースのコア層はInGaAsP材料を含む。
【0045】
発明に従ったPICの一実施形態では、PICはハイブリッドPICである。ハイブリッドPICにより、本発明の利点をシリコンフォトニクスの領域だけでなくIII-Vフォトニクスの領域にも適用することができる。ハイブリッドPICは、III-V族半導体材料、例えば、InPベースの半導体材料を含むフォトニックコンポーネント、及びIV族半導体材料、例えば、Siベースの半導体材料を含むフォトニックコンポーネントを単一のダイ上に含み得る。発明に従ったハイブリッドPICの利点は、例えば、誤動作又は故障の場合にフォトニックコンポーネントを交換できることであり得る。
【0046】
発明に従ったPICの一実施形態では、PICはInPベースのモノリシックPICである。InPベースのモノリシックPICの利点は、例えば、光生成及び/又は光吸収光デバイス等の能動コンポーネントと、例えば、光導波及び/又は光スイッチング光デバイス等の受動コンポーネントとの両方を単一のダイの同じ半導体基板上に集積できることである。その結果、InPベースのモノリシックPICの製造は、通常各々が異なる基板上に製造される能動及び受動光電子デバイスのハイブリッド相互接続のための組み立てステップを必要とするハイブリッドPICの組み立てよりも手間がかからず、それ故、安価にすることができる。また、InPベースのモノリシックPICにより、ハイブリッドPICの総フットプリントよりもPICのフットプリントを小さくすることができる。
【0047】
本発明の別の態様に従えば、発明に従ったPICを含む光電子システムが提供される。光電子システムは、例えば、非限定的に、電気通信、LIDAR又はセンサ用途に使用できる。光電子システムは、受信機、送受信機、コヒーレント受信機、及びコヒーレント送受信機の内の1つであり得る。InPベースの偏光回転子の改良された設計は、本発明に従ったPICの性能及び歩留まりの内の少なくとも1つを向上させ得るため、該PICを含む光電子システムの性能及び歩留まりの内の少なくとも1つを向上させることもできる。
【0048】
本発明の更に別の態様に従えば、請求項15によって定義されるような発明に従ったPICを製造する方法が提供される。発明に従った方法を実施することによって直接得られるPICは、上に説明した利点の内の少なくとも1つを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
発明の更なる機構及び利点は、本発明に従ったPIC、そうしたPICを含む光電子システム、及び本発明に従ったPICの全体的な性能の改善された判定方法の例示的かつ非限定的な実施形態の説明から明らかになるであろう。
【0050】
当業者は、PIC、方法、及び光電子システムの説明する実施形態が本質的に単なる例示であり、決して保護範囲を限定するものとして解釈されないことを理解するであろう。当業者であれば、本発明の保護範囲から逸脱することなく、PIC、方法、及び光電子システムの代替及び均等の実施形態を着想でき、実践できることが分かるであろう。
【0051】
添付の図面シートの図が参照されるであろう。図は本質的に概略的であるため、必ずしも縮尺通りに描かれていない。更に、同一の参照符号は同一又は類似の部分を示す。
【0052】
付属の図面シートにおいて、
【0053】
図1】発明に従ったPICの第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図2】細長いInPベースの光導波路の第3の導波路セクションの位置における、図1に示したPICの第1の例示的で非限定的な実施形態のInPベースの偏光回転子の概略断面図を示す。
図3】細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクションの第1の部分の位置における、図1に示したPICの第1の例示的で非限定的な実施形態のInPベースの偏光回転子の概略断面図を示す。
図4】発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図5】本発明に従ったPICを含む光電子システムの第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図6】発明に従った方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図を示す。
図7A図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略断面図を示す。
図7B図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略断面図を示す。
図7C図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面を示す。
図7D図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略断面図を示す。
図7E図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略断面図を示す。
図7F図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略断面図を示す。
図7G図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略断面図を示す。
図7H】本図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図7I図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略断面図を示す。
図7J図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図7K図6に示した方法の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図のステップを説明する発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、InPベースの偏光回転子2を含む発明に従ったPIC1の第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。InPベースの偏光回転子2は、支持基板3と、第1の導波路セクション8、第2の導波路セクション23、及び第3の導波路セクション26を有するように構成及び配置された細長いInPベースの光導波路4とを有する。支持基板3の概略断面図は、特に、図2図3、及び図7Aに示されている。PIC1がハイブリッドPICである場合、支持基板3は任意の適切な材料を含み得る。PIC1がモノリシックInPベースのPICである場合、支持基板はInPベースの材料を含む。
【0055】
第3の導波路セクション26及び第1の導波路セクション8の位置におけるInPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4の概略断面図を図2及び図3に夫々示す。図2に示す断面から、第3の導波路セクション26は、細長いInPベースの光導波路4と支持基板3との両方に対して横断する方向で見たときに対称な断面を有することは明らかである。上述したように、こうした導波路セクションは一般的にリッジ導波路セクションと称される。図3に示す断面から、第1の導波路部分8は、細長いInPベースの光導波路4と支持基板3との両方に対して横断する方向で見たときに非対称な断面を有することは明らかである。上述したように、こうした導波路セクションは一般的にリブ導波路セクションと称される。
【0056】
図2及び図3は、細長いInPベースの光導波路4が、第1のInPベースのクラッド層5、InPベースのコア層6、及び第2のInPベースのクラッド層7を含むことを示している。InPベースのコア層6は、第1のInPベースのクラッド層5及び第2のInPベースのクラッド層7の両方の屈折率よりも高い屈折率を有するInGaAsP材料を含み得る。典型的には、第1のInPベースのクラッド層5及び第2のInPベースのクラッド層7の屈折率は同じである。
【0057】
図1に示したPIC1の第1の例示的で非限定的な実施形態に従えば、図2及び図3の細長いInPベースの光導波路の概略断面図に示したような第1のInPベースのクラッド層5は、支持基板を部分的に覆うように配置されたエピタキシャルInPベースの層である。PICの別の例示的で非限定的な実施形態(図示せず)に従えば、第1のInPベースのクラッド層は、支持基板3の少なくとも一部分であり得ることに留意されたい。InPベースのコア層6は、第1のInPベースのクラッド層5と接触して配置され、第1のInPベースのクラッド層5を完全に覆うように配置された第1のパート6aを有する。InPベースのコア層6は、InPベースのコア層6の該第1のパート6aと第2のInPベースのクラッド層7との両方に接触して配置された第2のパート6bをも有する。InPベースのコア層6の該第2のパート6bは、リッジ導波路セクションとして構成された第3導波路セクション26の位置でInPベースコア層6の該第1のパート6aを完全に覆い、かつリブ導波路セクションとして構成された第1の導波路セクション8の位置でInPベースコア層6の該第1のパート6aを部分的に覆うように配置される。第2のInPベースのクラッド層7は、InPベースのコア層6の該第2のパート6bを完全に覆うように配置される。
【0058】
図1は、細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8が、第1の長さL1を有する第1の部分9と、第2の長さL2を有する第2の部分13と、第3の長さL3を有する第3の部分16とを含むことを示す。上述したように、第1の長さL1はハイブリダイゼーション長Lhよりも大きく、450μm~750μmの第1の範囲又は1450μm~1750μmの第2の範囲から選択された値を有し得る。例えば、第2の幅プロファイルWP2の第2の幅W2が2.75μmの値を有し、第2の幅プロファイルWP2の第3の幅W3が2.85μmの値を有し、第2の幅プロファイルWP2の角度増加が±0.00095度の精度で0.00477度の第1の値を有する場合、600μmの値を有する第1の長さL1は、TM0からTE1への真直ぐな一次変換を達成することができる。
【0059】
第1の長さL1が第2の範囲から選択された第2の値を有する場合、より低次のTMモードからより高次のTEモードへの二次変換を達成することができ、すなわち、まずより低次のTMモードはより高次のTEモードに変換し、次により低次のTMモードに戻り、最後により高次のTEモードに戻る。例えば、第2の幅プロファイルWP2の第2の幅W2が2.75μmの値を有し、第2の幅プロファイルWP2の第3の幅W3が2.85μmの値を有し、第2の幅プロファイルWP2の角度増加が±0.00019度の精度で0.00179度の第2の値を有する場合、1600μmの値を有する第1の長さL1は、TM0からTE1への2次変換を達成することができ、すなわち、まずTM0がTE1に変換し、次にTM0に戻り、最後にTE1に戻る。
【0060】
原理的には、1750μmを超える第1の長さL1の値については、より低次のTMモードからより高次のTEモードへの更により高次の変換を達成できるが、第1の長さL1のそうした値は、-10dBを超えるモード変換損失をもたらすだけでなく、不必要に大きいPICのフットプリントをもたらすであろう。
【0061】
第2の長さL2及び/又は第3の長さL3が20μmよりも小さい値を有する場合、著しい光損失が発生し得る。第2の長さL2及び/又は第3の長さL3が100μmよりも大きな値を有する場合、PICは不必要に大きなフットプリントを有し得る。第1の長さL1の値を第1の範囲又は第2の範囲から選択し、第2の長さL2及び第3の長さL3の値を第3の範囲から選択することによって、細長いInPベースの光導波路の第1の導波路セクション9は、低損失モード変換をサポートする、すなわち、最大-10dBのモード変換損失を有するように構成され得る。
【0062】
第1の部分9は、第1の端部10と第2の端部11とを有する。第1のInPベースのクラッド層5と、第1のInPベースのクラッド層に接触して配置されたInPベースのコア層6の第1のパート6aとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板3に対して平行な方向で見たときに、第1の幅プロファイルWP1であって、一定である第1の値W1を有する第1の幅プロファイルWP1を有する。PICの別の実施形態(図示せず)に従えば、支持基板3の一部も第1の幅プロファイルWP1を有し得る。
【0063】
第2のInPベースのクラッド層7と、InPベースのコア層6の第1のパート6aと第2のInPベースのクラッド層7との両方に接して配置されたInPベースのコア層6の第2のパート6bとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板3に対して平行な方向で見たときに第2の幅プロファイルWP2を有する。第2の幅プロファイルWP2は、第1の部分9の第1の端部10における第2の値から第1の部分9の第2の端部11における第3の値W3まで厳密に増加している線形テーパ形状を有する。第2の値W2は第1の幅プロファイルWP1の第1の値W1よりも小さく、第3の値W3は、第2の値W2よりも大きく、第1の値W1よりも小さい。PICの更に別の実施形態(図示せず)に従えば、第2のInPベースのクラッド層7のみが第2の幅プロファイルWP2を有し得ることに留意されたい。その場合、InPベースのコア層6の該第2のパート6bは、第1の定数値W1を有する第1の幅プロファイルWP1を有する。
【0064】
第1の導波路セクション8の第2の部分13は、第3の端部14と、第1の部分9の第1の端部10と光学的に接続して配置された第4の端部15とを有する。第1のInPベースのクラッド層5と、第2の部分13におけるInPベースのコア層6の該第1のパート6aとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板3に対して平行な方向で見たときに、第3の幅プロファイルWP3を有する。第3の幅プロファイルW3は、第2の部分13の第3の端部14における第4の値W4から第2の部分13の第4の端部15における第5の値W5まで厳密に増加している線形テーパ形状を有する。第4の値W4は、第1の部分9における第1の幅プロファイルWP1の第1の値W1よりも小さく、第5の値W5は、第1の部分9における第1の幅プロファイルWP1の第1の値W1に等しい。PICの別の実施形態(図示せず)に従えば、支持基板3の一部も第3の幅プロファイルWP3を有し得る。
【0065】
第2のInPベースのクラッド層7と、第2の部分13におけるInPベースのコア層6の該第2の部分パートとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第4の幅プロファイルWP4を有する。第4の幅プロファイルWP4は、第2の部分13の第3の端部14における第6の値W6から第2の部分13の第4の端部15における第7の値W7まで厳密に増加している線形テーパ形状を有する。第6の値W6は、第3の幅プロファイルWP3の第4の値W4に等しく、第7の値W7は、第1の部分9における第2の幅プロファイルWP2の第2の値W2に等しい。PICの更に別の実施形態(図示せず)に従えば、第2のInPベースのクラッド層7のみが第4の幅プロファイルWP4を有し得ることに留意されたい。その場合、InPベースのコア層6の該第2のパート6bも第3の幅プロファイルWP3を有する。
【0066】
第1の導波路セクション8の第3の部分16は、第1の導波路セクション8の第1の部分9の第2の端部11と光学的に接続されるように配置された第5の端部17と、第6の端部18とを有する。第1のInPベースのクラッド層5と、第3の部分16におけるInPベースのコア層6の該第1のパート6aとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第5の幅プロファイルWP5を有する。第5の幅プロファイルWP5は、第3の部分16の第5の端部17における第8の値W8から第3の部分16の第6の端部18における第9の値W9まで厳密に減少している線形テーパ形状を有する。第8の値W8は、第1の導波路セクション8の第1の部分9における第1の幅プロファイルWP1の第1の定数値W1に等しく、第9の値W9は、第8の値W8よりも小さく、第1の導波路セクション8の第2の部分13における第3の幅プロファイルWP3の第4の値W4よりも大きい。PICの別の実施形態(図示せず)に従えば、支持基板3の一部も第5の幅プロファイルWP5を有し得る。
【0067】
第2のInPベースのクラッド層7と、第3の部分16におけるInPベースのコア層6の該第2の部分パートとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第6の幅プロファイルWP6を有する。第6の幅プロファイルWP6は、第3の部分16の第5の端部17における第10の値W10から第3の部分16の第6の端部18における第11の値W11まで厳密に増加している線形テーパ形状を有する。第10の値W10は、第1の部分9における第2の幅プロファイルWP2の第3の値W3に等しく、第11の値W11は、第5の幅プロファイルの第9の値W9に等しい。PICの更に別の実施形態(図示せず)に従えば、第2のInPベースのクラッド層7のみが第6の幅プロファイルWP6を有し得ることに留意されたい。その場合、InPベースのコア層6の該第2のパート6bも第5の幅プロファイルWP5を有する。
【0068】
図1は、支持基板3に対して平行な平面で見たときに、第1の導波路セクションの第2の部分13、第1の部分9、及び第3の部分16に続いて、第3の幅プロファイルWP3、第1の幅プロファイルWP1、及び第5の幅プロファイルWP5が、斜六角形を第1のInPベースのクラッド層5とInPベースのコア層の該第1のパート6aに提供することを示している。
【0069】
PICの更なる実施形態(図示せず)に従えば、幅プロファイルWP1~WP6の何れも、線形テーパ形状の代わりに断熱テーパ形状を有し得ることに留意されたい。その場合、光放射の低損失伝播をサポートしながら、PICのフットプリントを削減できる。
【0070】
上述したように、細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8における第1のInPベースのクラッド層5と第2のInPベースのクラッド層7との間の空間的非対称性により、より低次のTMモード、例えば、基本TMモード(TM0)とより高次のTEモード、例えば、TE1との夫々の実効屈折率が類似し、又は可能な限り類似するハイブリダイゼーション長Lhを有するハイブリダイゼーション領域12を第1の導波路部分8の第1の部分9が含むことを可能にする。その結果、より低次のTMモードが第1導波路セクション8を渡って第3導波路セクション26に向かって伝播すると、より低次のTMモード、例えば、TM0のより高次のTEモード、例えば、TE1への変換は、ハイブリダイゼーション領域12において達成することができる。ハイブリダイゼーション長Lhは、第1の導波路セクション8の第1の部分9の第1の長さL1よりも小さいことに留意されたい。
【0071】
更に、上で論じたように、第1の幅プロファイルWP1及び第2の幅プロファイルWP2は、細長いInPベースの光導波路4に対して平行な方向から見たときに、細長いInPベースの光導波路4がハイブリッド形成長Lhに沿って実効屈折率値を有するハイブリダイゼーション領域12を細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の第1の部分9に提供するように構成及び配置される。該実効屈折率値により、最大-10dBのモード変換損失で、ハイブリダイゼーション領域12におけるより低次のTMモードのより高次のTMモードへの変換が可能になる。
【0072】
上で論じたように、ハイブリダイゼーション長Lhが短すぎた場合、より低次のTMモードが変換されたより高次のTEモードに完全に変換する時間がないため、ハイブリダイゼーション長Lhの制御は重要である。逆に、ハイブリダイゼーション長Lhが長すぎる場合、変換されたより高次のTEモードは、ハイブリダイゼーション領域12の終わりよりも前に、より低次のTMモードへの逆変換を開始し得る。また、ハイブリダイゼーション領域12のある点において、細長いInPベースの光導波路4の実効屈折率は、モード変換損失が最小値になり得る値を有する。ハイブリダイゼーション領域12のこのいわゆる交点では、より低次のTMモードの変換されたより高次のTEモードへの変換が最大になる。理想的には、交点はハイブリダイゼーション領域12の中心、すなわちハイブリダイゼーション長Lhの中間にある。
【0073】
図1に示したPIC1の第2の幅プロファイルWP2の第2の幅W2が例えば2.75μmの値を有し、第2の幅プロファイルWP2の第3の幅W3が例えば、2.85μmの値を有し、第1の幅プロファイルWP1の第1の幅W1が例えば、少なくとも8μmの値を有する場合、第1の導波路セクション8の第1の部分9に沿ったハイブリダイゼーション領域12のシフト及びハイブリダイゼーション長さLhの変動は、主に、該第2の幅プロファイルWP2と、少なくとも第1のInPベースのクラッド層5と、第1のInPベースのクラッド層5と接触して配置されたInPベースのコア層6の第1のパート6aとの第1の幅プロファイルWP1との両方の変動に依存する代わりに、第2のInPベースのクラッド層7、又は第2のInPベースのクラッド層7と、InPベースのコア層6の第1のパート6aと第2のInPベースのクラッド層7との両方に接触して配置されたInPベースのコア層6の第2の部分パート6bとの第2の幅プロファイルWP2の変動に依存し得る。
【0074】
例えば、図1に示すように、第2の幅W2から第3の幅W3までの第2の幅プロファイルWP2の角度増加は、ハイブリダイゼーション長Lhに沿ったハイブリダイゼーション領域12における実効屈折率の変化率を最も正確に表すことに留意されたい。±0.00095度の精度で0.00477度の値を有する角度が、2.75μmの値を有する第2の幅W2と2.85μmの値を有する第3の幅W3とに使用される場合、最大で-10dBのモード変換損失を達成できる。
【0075】
図1は、細長いInPベースの光導波路4の第2の導波路セクション23が、第7の端部24と、第1の導波路セクションの第2の部分13の第3の端部14と光学的に接続されるように配置された第8の端部25とを含むことを示す。第2の導波路セクション23は、第3の導波路セクション26に関して図2に示すように、細長いInPベースの光導波路4と支持基板3との両方に対して横断する方向で見たときに対称である第1の断面を有する。第1の断面により、第2の導波路セクション23がTM0、TE0、TM1、及びTE1モードの内の少なくとも1つをサポートできるようになる。
【0076】
第1のInPベースのクラッド層5と、第2の導波路セクション23のInPベースのコア層6の該第1のパート6aとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第7の幅プロファイルWP7を有する。第7の幅プロファイルWP7は、一定であり、第1の導波路セクション8の第2の部分13の第3の端部における第3の幅プロファイルWP3の第4の値W4に等しい第12の値W12を有する。PICの別の実施形態(図示せず)に従えば、支持基板3の一部も第7の幅プロファイルWP7を有し得る。
【0077】
第2のInPベースのクラッド層7と、第2の導波路セクション23のInPベースのコア層6の該第2の部分パートとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第8の幅プロファイルWP8を有する。第8の幅プロファイルWP8は、一定であり、第1の導波路セクション8の第2の部分13の第3端部14における第4の幅プロファイルWP4の第6の値W6に等しい第13の値W13を有する。PICの更に別の実施形態(図示せず)に従えば、第2のInPベースのクラッド層7のみが第8の幅プロファイルWP8を有し得ることに留意されたい。その場合、InPベースのコア層6の該第2のパート6bも第7の幅プロファイルWP7を有する。
【0078】
図1は、細長いInPベースの光導波路4の第3の導波路セクション26が、第1の導波路セクション8の第3の部分16の第6の端部18に光学的に接続されるように配置された第9の端部27と、第10の端部28とを含むことを示している。第3の導波路セクション26は、細長いInPベースの光導波路4と支持基板3との両方に対して横断する方向で見たときに対称である第2の断面を有する。このことは図2に示されており、上で論じた。第2の断面により、第3の導波路セクション26がTM0、TE0、TM1、及びTE1モードの内の少なくとも1つをサポートできるようになる。
【0079】
第1のInPベースのクラッド層5と、第3の導波路セクション26のInPベースのコア層6の該第1のパート6aとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第9の幅プロファイルWP9を有する。第9の幅プロファイルWP9は、一定であり、第1の導波路セクション8の第3の部分16の第6の端部18における第5の幅プロファイルWP5の第9の値W9に等しい第14の値W14を有する。PICの別の実施形態(図示せず)に従えば、支持基板3の一部も第9の幅プロファイルWP9を有し得る。
【0080】
第2のInPベースのクラッド層7と、第3の導波路セクション26のInPベースのコア層6の第2のパート6bとは、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向でかつ支持基板に対して平行な方向で見たときに、第10の幅プロファイルWP10を有する。第10の幅プロファイルWP10は、一定であり、第1の導波路セクション8の第3の端部16の第6の端部18における第6の幅プロファイルWP6の第11の値W11に等しい第15の値W15を有する。PICの更に別の実施形態(図示せず)に従えば、第2のInPベースのクラッド層7のみが第10の幅プロファイルWP10を有し得ることに留意されたい。その場合、InPベースのコア層6の該第2のパート6bも第9の幅プロファイルWP9を有する。
【0081】
図4は、発明に従ったPIC1の第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。図1及び図4の夫々に示したInPベースの偏光回転子2の違いは、図4に示したInPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の第2の部分13における第4の幅プロファイルWP4が、支持基板3に対して平行な平面で見たときに、六角形であり、第1の導波路セクション8の第2の部分13の第3の端部14に配置された第1の辺20を有する周囲を有する第1のパート19を有することである。第1の辺20は、第2の部分13の第3の端部14における該第6の値W6に等しい。図4は、細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の第3の部分16における第6の幅プロファイルWP6が、支持基板に対して平行な方向で見たときに、六角形であり、第1の導波路セクション8の第3の部分16の第6の端部18に配置された第2の辺22を有する周囲を有する第2のパート21を有することも示している。第2の辺22は、第3の部分16の第6の端部分18における該第11の値W11に等しい。
【0082】
第1の辺20及び第2の辺22の夫々に対向する破線は、第1のパート19及び第2のパート21の六角形の周囲を強調するためにのみ含まれていることに留意されたい。第3の幅プロファイルWP3及び第4の幅プロファイルWP4の実際の形状に依存して、第1のパート19の周囲は、少なくとも六角形であれば任意の形状を有し得ることは分かるであろう。同じことは、第5の幅プロファイルWP5及び第6の幅プロファイルWP6の実際の形状に依存する第2のパート21の周囲の形状にも当てはまる。このことは、図7C及び図7Hを参照して更に説明されるであろう。
【0083】
図5は、本発明に従ったPIC1を含む光電子システム100の第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。光電子システム100は、例えば、非限定的に、電気通信用途、LIDAR又はセンサ用途に使用され得る。光電子システム100は、例えば、受信機、送受信機、コヒーレント受信機、及びコヒーレント送受信機の内の1つであり得る。
【0084】
図6は、発明に従った方法200の第1の例示的で非限定的な実施形態のフロー図を示す。方法200のこの第1の例示的で非限定的な実施形態のステップ201~208は、図4に示したPIC1の第2の例示的で非限定的な実施形態に従ったInPベースの偏光回転子2を含むPIC1の製造を示すことによって、図7A図7Kで説明される。
【0085】
方法200は、支持基板3、第1のInPベースのクラッド層5、該第1のパート6a及び該第2のパート6bを含むInPベースのコア層6、並びに第2のInPベースのクラッド層をPIC1のInPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4に設ける第1のステップ201を含む。図7Aは、前述の層スタックの概略断面図を示す。
【0086】
方法200は、第2のInPベースのクラッド層7、又は第2のInPベースのクラッド層7を覆うように配置された少なくとも1つの保護層30を覆うために第1のマスキング層29を設ける第2のステップ202を含む。図7Bは、図7Aに示した層スタック、第2のInPベースのクラッド層7を覆うように配置された保護層30、及び保護層30を覆うように配置された第1のマスキング層29の概略断面図を示す。
【0087】
方法200は、支持基板3に対して平行な方向で見たときに、InPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4の第2の導波路セクション23の第8の幅プロファイルW8、第1の導波路セクション8の第4の幅プロファイルWP4、第2の幅プロファイルWP2、及び第6の幅プロファイルWP6、並びに第3の導波路セクション26の第10幅プロファイルWP10を連続的に含む第1のパターン31を第1のマスキング層29に提供するために第1のマスキング層29に第1のリソグラフィプロセスを適用する第3のステップ203を含む。第1のリソグラフィプロセスは、第1のパターン31に従って成形された第1のマスキング層29で覆われた保護層30の領域と、保護層30の覆われていない領域とをもたらす。
【0088】
図7Cは、第1のパターン31に従って成形された第1のマスキング層29の概略上面図を示す。図7Cは、第8の幅プロファイルWP8が、第1の導波路セクション8の第2の部分13に向かう方向で見たときに厳密に減少している線形テーパ形状を有することを示す。第4の幅プロファイルWP4は、区分的線形形状を有し、第1の線形テーパ部分50は、第2の導波路部分23に向かう方向で見たときに厳密に増加し、第2の線形テーパ部分51は、第1の導波路セクション8の第1の部分9に向かう方向で見たときに厳密に増加している。第2の幅プロファイルWP2は、第1の導波路セクション8の第3の部分16に向かう方向で見たときに厳密に増加している線形テーパ形状を有する。第6の幅プロファイルWP6も区分的線形テーパ形状を有し、第1の線形テーパ部分60は、第1の導波路セクション8の第1の部分9に向かう方向で見たときに厳密に減少し、第2の線形テーパ部分61は、第3の導波路セクション26に向かう方向で見たときに厳密に増加している。第10の幅プロファイルWP10は、第1の導波路セクションの第3の部分16に向かう方向で見たときに厳密に減少している線形テーパ形状を有する。第4の幅プロファイルWP4の第1の線形テーパ部分50、第8の幅プロファイルWP8、第6の幅プロファイルWP6の第1の線形テーパ部分60、及び第10の幅プロファイルの夫々のサイズは、分かりやすくするために大幅に誇張していることに留意されたい。発明に従ったPICの製造された偏光回転子におけるそれらの個別の実際のサイズは、PICの性能を損なうことを予想されていない。
【0089】
図7Dは、支持基板3、第1のInPベースのクラッド層5、該第1のパート6a及び該第2のパート6bを含むInPベースのコア層6、第2のInPベースのクラッド層7、保護層30、及びInPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の第1の部分9の位置で第1のパターン31に従って成形された第1のマスキング層29の概略断面図を示す。
【0090】
方法200は、第1のパターン31を保護層30、第2のInPベースのクラッド層7、及びInPベースのコア層6の該第2のパート6bに転写するために、第1のマスキング層29及び保護層30の覆われていない領域に第1のドライエッチングを適用する第4のステップ204を含む。第1のドライエッチングは、エッチングされた第1のマスキング層29と、保護層30のエッチングされていない領域33に対して第1のエッチング深さd1にあるInPベース材料の第1のエッチング領域32とをもたらす。当業者は、第1のドライエッチングが一般的に浅いエッチングと称されることを理解するであろう。第1の浅いドライエッチングは、例えば、反応性イオンエッチングを使用して実施され得る。
【0091】
図7Eは、InPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の第1の部分9の位置にある支持基板3、第1のInPベースのクラッド層5、InPベースのコア層6の第1のパート6a、InPベースのコア層6の部分的にエッチングされた第2のパート6b、部分的にエッチングされた第2のInPベースのクラッド層7、部分的にエッチングされた保護層30、及びエッチングされた第1のマスキング層29の概略断面図を示す。図7Eはまた、保護層30のエッチングされていない領域33に対して第1のエッチング深さd1にあるInPベースの材料の第1のエッチング領域32を示している。更に、図7Eは、エッチングされた第1のマスキング層29が、図7Dに示したエッチングされていない第1のマスキング層29と比較して、減少した厚さを有することを示している。
【0092】
方法200は、保護層30のエッチングされていない領域33からエッチングされた第1のマスキング層29を除去する第5のステップ205を含む。図7Fは、InPベースの回転子2の細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の第1の部分9の位置にある支持基板3、第1のInPベースのクラッド層5、InPベースのコア層6の第1のパート6a、InPベースのコア層6の部分的にエッチングされた第2のパート6b、部分的にエッチングされた第2のInPベースのクラッド層7、及び部分的にエッチングされた保護層30の概略断面図を示す。図7Fはまた、エッチングされた第1マスキング層29が除去された保護層30のエッチングされていない領域33に対して第1エッチング深さd1にあるInPベースの材料の第1のエッチング領域32を示している。
【0093】
エッチングされた第1のマスキング層29は、マスキング層の材料特性に依存して任意の適切な除去技術を使用して除去できることに留意されたい。当業者は、幾つかの場合、例えば、ウェット化学プロセス、ドライ化学プロセス、又はそれらの任意の適切な組み合わせが使用され得ることを理解するであろう。幾つかの場合、第1のマスキング層29を構成するマスキング材料の物理的除去のみに依存する除去技術を使用することさえ可能であり得る。
【0094】
方法200は、InPベースの材料の第1のエッチング領域32及び保護層30のエッチングされていない領域33を覆うために第2のマスキング層34を設ける第6のステップ206を含む。図7Gは、支持基板3、第1のInPベースのクラッド層5、InPベースのコア層6の第1のパート6a、InPベースのコア層6の部分的にエッチングされた第2のパート6b、部分的にエッチングされた第2のInPベースのクラッド層7、部分的にエッチングされた保護層30、及びInPベースの材料の第1のエッチングされた領域32と、InPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の第1の部分9の位置における保護層30のエッチングされていない領域33とを覆う第2のマスキング層34の概略断面図を示す。
【0095】
方法200は、第2の導波路セクション23の該第8の幅プロファイルWP8に対して平行な方向で見たときに、InPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4の第2の導波路セクション23の第7の幅プロファイルWP7、第1の導波路セクション8の第3の幅プロファイルWP3、第1の幅プロファイルWP1、及び第5の幅プロファイルWP5、並びに第3の導波路セクション26の第9の幅プロファイルWP9に連続して、細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の該第4の幅プロファイルWP4、該第2の幅プロファイルWP2、及び該第6の幅プロファイルWP6、並びに第3の導波路セクション26の該第10の幅プロファイルWP10を含む第2のパターン35を第2のマスキング層34に提供するために第2のマスキング層34に第2のリソグラフィプロセスを適用する第7のステップ207を含む。発明に従った方法200を説明するために使用したPIC1の第2の例示的で非限定的な実施形態に関して、第2のリソグラフィプロセスは、一方では、保護層30のエッチングされていない領域33の部分、第2のパターン35に従って成形された第2のマスキング層34で覆われているInPベースの材料の第1のエッチング領域32の部分36をもたらし、他方では、InPベースの材料の第1のエッチング領域32の覆われていない部分37、及び保護層30のエッチングされていない領域33の覆われていない部分38をもたらす。
【0096】
図7Hは、第2のパターン35に従って成形された第2のマスキング層34の概略上面図を示す。図7Hは、第7の幅プロファイルWP7が、第12の値W12に等しい一定の幅を有することを示す。第3の幅プロファイルWP3は、第1の導波路セクション8の第1の部分9に向かう方向で見たときに厳密に増加している線形テーパ形状を有する。第1の幅プロファイルWP1は、第1の値W1に等しい一定の幅を有する。第5の幅プロファイルWP5は、第3の導波路セクション26に向かう方向で見たときに厳密に減少している線形テーパ形状を有する。第9の幅プロファイルWP9は、第14の値W14に等しい一定の幅を有する。
【0097】
図7Iは、InPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の第1の部分9の位置にある支持基板3、第1のInPベースのクラッド層5、InPベースのコア層6の第1のパート6a、InPベースのコア層6の部分的にエッチングされた第2のパート6b、部分的にエッチングされた第2のInPベースのクラッド層7、部分的にエッチングされた保護層30、及び第2のパターン35に従って成形された第2のマスキング層34の概略断面図を示す。図7Iはまた、第2のパターン35に従って成形された第2のマスキング層34で覆われたInPベースの材料の第1のエッチング領域32の部分36と、InPベースの材料の第1のエッチング領域の覆われていない部分37とを示す。
【0098】
方法200は、第2のマスキング層34、InPベースの材料の第1のエッチング領域32の覆われていない部分37、及び保護層30のエッチングされていない領域33の覆われていない部分38に第2のドライエッチングを適用する第8のステップ208を含む。発明に従った方法200を説明するために使用されるPIC1の第2の例示的で非限定的な実施形態に関して、第2のドライエッチングは、第2のパターン35を第1のInPベースのクラッド層5及びInPベースのコア層6の該第1のパート6aに転写することをもたらし、それにより、エッチングされた第2のマスキング層34と、保護層30のエッチングされていない領域33に対して第2のエッチング深さd2にあるInPベース材料の第2のエッチング領域40とが得られる。第2のエッチング深さd2は、第1のエッチング深さd1よりも大きい。
【0099】
図7Jは、PIC1の第2の例示的で非限定的な実施形態に従ったInPベースの偏光回転子2のエッチングされた細長いInPベースの光導波路4の概略上面図を示す。エッチングされた細長いInPベースの光導波路4は、エッチングされた第2のマスキング層34で依然として覆われている。第4の幅プロファイルWP4の第1のパート19、及び第6の幅プロファイルWP6の第2のパート21の六角形の形状は、図7Hに示した保護層30のエッチングされていない領域33の保護されていない犠牲部分38の第2のドライエッチングへの露出後にもたらされる。第2のドライエッチング中に除去された保護されていない犠牲部分38は、マスキング層34に第2のパターン35が設けられたリソグラフィプロセス中の位置合わせ不良によって引き起こされる、細長いInPベースの光導波路4に対して横断する方向で支持基板3に対して平行な方向におけるオーバレイ誤差を調整することが可能になった。当業者であれば、第2のドライエッチングが一般的に深いエッチングと称されることを理解するであろう。第2の深いエッチングは、例えば、誘導結合プラズマエッチングを使用して実施され得る。上述のオーバレイ誤差を調整することによって、細長いInPベース光導波路4の第2導波路セクション23及び第3導波路セクション26の非最適な導波路の断面を少なくとも削減でき、理想的には防止できる。その結果、PIC1の歩留まりに悪影響を及ぼし得る、第2導波路セクション23及び第3導波路セクション26における予測不可能なモードプロファイルを少なくとも低減でき、理想的には防止できる。
【0100】
図7Kは、InPベースの偏光回転子2の細長いInPベースの光導波路4の第1の導波路セクション8の第1の部分9の位置にある支持基板3、第2のパターン35に従ってエッチングされた第1のInPベースのクラッド層5及びInPベースのコア層6の第1のパート6a、第1のパターン31に従ってエッチングされたInPベースのコア層6の第2のパート6b、第2のInPベースのクラッド層7、及び保護層30、並びに第2のパターン35に従ってエッチングされた第2のマスキング層34の概略断面図を示す。図7Kはまた、第2の深いドライエッチングに起因して、第2のマスキング層34が図7Iに示した第2のマスキング層34と比較して薄い厚さを有することを示している。図7Kはまた、保護層30のエッチングされていない領域33に対して第2のエッチング深さd2にあるInPベースの材料の第2のエッチング領域40を示している。第2のエッチング深さd2は、InPベースの材料の第1のエッチング領域36が配置された第1のエッチング深さd1よりも大きい。PIC1の更なる実施形態(図示せず)に従えば、第2の深いドライエッチングは、支持基板3内に、すなわち、第1のInPベースのクラッド層5を超えて拡張し得ることに留意されたい。
【0101】
また、エッチングされた第2のマスキング層34は、マスキング層の材料特性に依存して任意の適切な除去技術を使用して除去できることに留意されたい。当業者は、幾つかの場合、例えば、ウェット化学プロセス、ドライ化学プロセス、又はそれらの任意の適切な組み合わせが使用され得ることを理解するであろう。幾つかの場合、第2のマスキング層34を構成するマスキング材料の物理的除去のみに依存する除去技術を使用することさえ可能であり得る。エッチングされた第2のマスキング層34を除去することは、例えば、エッチングされた第2のマスキング層34内に水分が閉じ込められることによって引き起こされる信頼性の問題を軽減するのに有利であり得る。
【0102】
本発明は、InPベースの偏光回転子の限界寸法のばらつきの減少及びPICのInPベースの偏光回転子の製造中のオーバレイ誤差の減少の内の少なくとも1つによるPICの性能向上及び歩留まり向上を可能にする改良された設計を有するInPベースの偏光回転子2を含むPIC1に関するものとして要約することができる。発明は更に、該PICを含む光電子システム100に関する。発明はまた、改良された設計を有するInPベースの偏光回転子を含むPICを製造する方法200に関する。
【0103】
本発明の範囲が上で論じた例に限定されず、それらの幾つかの補正及び修正が添付の特許請求項の範囲に定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく可能であることは当業者には明らかであろう。具体的には、発明の様々な態様の特定の機構の組み合わせを行うことができる。発明の一態様は、発明の別の態様に関連して説明した機構を追加することによって更に有利に強化し得る。本発明を図面及び説明において詳細に図示し説明してきたが、そうした図示及び説明は例証又は例示にすぎず、限定的なものではないと考えられる。
【0104】
本発明は、開示した実施形態に限定されない。開示した実施形態に対する変形は、特許請求された発明を実践する際に、図、説明、及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、当業者によって理解され得、実現され得る。特許請求の範囲において、語“含む”は他のステップ又は要素を排除するものではなく、不定冠詞“a”又は“an”は複数を排除するものではない。幾つかの手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
【外国語明細書】