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特開2024-29835ゲームプログラム、ゲーム装置及びゲームシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029835
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、ゲーム装置及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/48 20140101AFI20240229BHJP
   A63F 13/533 20140101ALI20240229BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20240229BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A63F13/48
A63F13/533
A63F13/79
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132239
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】福西 藍
(72)【発明者】
【氏名】槙石 隆
(57)【要約】
【課題】ユーザの診断結果に含まれる要改善項目に対する改善効果を有する複数のゲームを表示するゲームプログラム、サーバ装置およびゲームシステムを提供する。
【解決手段】ゲームプログラムは、コンピュータを、ユーザの心身又は能力の状態に関する診断結果に基づいて、診断結果に含まれる要改善項目に対して改善効果を有する複数のゲームに関する情報を表示する表示手段42cと、複数のゲームのいずれかに対するユーザの選択を受け付ける受付手段42dと、選択されたゲームを実行する実行手段42eと、として機能させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザの心身又は能力の状態に関する診断結果に基づいて、前記診断結果に含まれる要改善項目に対して改善効果を有する複数のゲームに関する情報を表示する表示手段と、
前記複数のゲームのいずれかに対するユーザの選択を受け付ける受付手段と、
前記選択されたゲームを実行する実行手段と、
として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記診断結果は、前記要改善項目に関連付けられた改善の重要性を示す指標を含み、
前記複数のゲームは、前記要改善項目と、一以上のゲームと、前記一以上のゲームのそれぞれが有する前記改善効果と、が関連付けられた改善効果情報及び前記指標に基づいて特定される、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記診断結果は、複数の前記要改善項目を含み、
前記複数のゲームは、前記複数のゲームと前記複数のゲーム以外のゲームとを含む母集団の中から特定された所定の組み合わせのゲームを含み、
前記組み合わせは、前記母集団に含まれるゲームが有する複数の前記要改善項目に対応する改善効果に基づいて特定される、請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記複数のゲームは、複数のユーザのプレイ履歴と、前記複数のユーザが前記ゲームをプレイすることにより得られた前記改善効果と、の因果関係を学習させることによって生成した学習済みモデル及び前記診断結果に基づいて特定される、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記表示手段は、前記要改善項目の効率的又は継続的な改善に有効と判定される条件である推奨条件を満たすゲームをプレイすることを推奨する推奨情報をさらに表示する、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記複数のゲームは、第1ゲームと、前記第1ゲームと比較して高い前記改善効果を有する第2ゲームと、を含み、
前記推奨情報は、前記第2ゲームをプレイすることを推奨する、請求項5に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記推奨条件は、ユーザのプレイ履歴に関する条件を含む、請求項5に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記プレイ履歴は、プレイ頻度に関する情報を含み、
前記複数のゲームは、第1ゲームと、前記第1ゲームと比較して前記プレイ頻度が高い又は低い第2ゲームと、を含み、
前記推奨情報は、前記第2ゲームをプレイすることを推奨する、請求項7に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記プレイ履歴は、前記ゲームの進捗及びプレイ頻度の少なくとも一方に関する情報を含み、
前記複数のゲームは、第1ゲームと、前記第1ゲームと比較して進捗が停滞又はプレイ頻度が低下している第2ゲームと、を含み、
前記推奨情報は、前記第1ゲームをプレイすることを推奨する、請求項7に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
前記表示手段は、ユーザのプレイ履歴に応じて表示するゲームを変更する、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項11】
前記プレイ履歴は、前記ゲームの進捗及びプレイ頻度の少なくとも一方に関する情報を含み、
前記表示手段は、前記複数のゲームに含まれる第1ゲームの進捗が停滞又はプレイ頻度が低下した場合、前記改善効果を有するとともに前記複数のゲームに含まれない第2ゲームを新たに表示する、請求項10に記載のゲームプログラム。
【請求項12】
前記表示手段は、ユーザに報酬が関連付けられるための報酬付与条件を表示し、
前記報酬付与条件は、ユーザのプレイ履歴に関する条件を含む、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のゲームプログラムを記憶した記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、
を備える、ゲーム装置。
【請求項14】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のゲームプログラムを記憶した記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行する制御部と、
を備える、ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラム、ゲーム装置及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、認知訓練計画を個人向けにカスタマイズすることによってユーザの認知能力を増強するためのプロセッサを実装する技術が知られている(特許文献1参照)。また、人々がゲームをしながらどのように意思決定を行い反応するかを分析することによって、個人の能力、技能および関心を識別するための技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-518856号
【特許文献2】特表2018-506120号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術において提供されるゲームは単一の種類のみであり、ユーザの診断結果に含まれる要改善項目の効率的かつ継続的な治療ができず、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、ユーザの心身又は能力の状態に関する要改善項目を効率的に改善することができるゲームプログラム、ゲーム装置及びゲームシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面は、コンピュータを、ユーザの心身又は能力の状態に関する診断結果に基づいて、診断結果に含まれる要改善項目に対して改善効果を有する複数のゲームに関する情報を表示する表示手段と、複数のゲームのいずれかに対するユーザの選択を受け付ける受付手段と、選択されたゲームを実行する実行手段と、として機能させる、ゲームプログラムである。
【0007】
また、第1の側面において、診断結果は、要改善項目に関連付けられた改善の重要性を示す指標を含み、複数のゲームは、要改善項目と、一以上のゲームと、一以上のゲームのそれぞれが有する改善効果と、が関連付けられた改善効果情報及び指標に基づいて特定される。
【0008】
また、第1の側面において、診断結果は、複数の要改善項目を含み、複数のゲームは、複数のゲームと複数のゲーム以外のゲームとを含む母集団の中から特定された所定の組み合わせのゲームを含み、組み合わせは、母集団に含まれるゲームのそれぞれが有する複数の要改善項目に対応する改善効果に基づいて特定される。
【0009】
また、第1の側面において、複数のゲームは、複数のユーザのプレイ履歴と、複数のユーザがゲームをプレイすることにより得られた改善効果と、の因果関係を学習させることによって生成した学習済みモデル及び診断結果に基づいて特定される。
【0010】
また、第1の側面において、表示手段は、要改善項目の効率的又は継続的な改善に有効と判定される条件である推奨条件を満たすゲームをプレイすることを推奨する推奨情報をさらに表示する。
【0011】
また、第1の側面において、複数のゲームは、第1ゲームと、第1ゲームと比較して高い改善効果を有する第2ゲームと、を含み、推奨情報は、第2ゲームをプレイすることを推奨する。
【0012】
また、第1の側面において、推奨条件は、ユーザのプレイ履歴に関する条件を含む。
【0013】
また、第1の側面において、プレイ履歴は、プレイ頻度に関する情報を含み、複数のゲームは、第1ゲームと、第1ゲームと比較してプレイ頻度が高い又は低い第2ゲームと、を含み、推奨情報は、第2ゲームをプレイすることを推奨する。
【0014】
また、第1の側面において、プレイ履歴は、ゲームの進捗及びプレイ頻度の少なくとも一方に関する情報を含み、複数のゲームは、第1ゲームと、第1ゲームと比較して進捗が停滞又はプレイ頻度が低下している第2ゲームと、を含み、推奨情報は、第1ゲームをプレイすることを推奨する。
【0015】
また、第1の側面において、表示手段は、ユーザのプレイ履歴に応じて表示するゲームを変更する。
【0016】
また、第1の側面において、プレイ履歴は、ゲームの進捗及びプレイ頻度の少なくとも一方に関する情報を含み、表示手段は、複数のゲームに含まれる第1ゲームの進捗が停滞又はプレイ頻度が低下した場合、改善効果を有するとともに複数のゲームに含まれない第2ゲームを新たに表示する。
【0017】
また、第1の側面において、表示手段は、ユーザに報酬が関連付けられるための報酬付与条件を表示し、報酬付与条件は、ユーザのプレイ履歴に関する条件を含む。
【0018】
第2の側面は、第1の側面のゲームプログラムを記憶した記憶部と、ゲームプログラムを実行する制御部と、を備える、ゲーム装置である。
【0019】
第3の側面は、第1の側面のゲームプログラムを記憶した記憶部と、ゲームプログラムを実行する制御部と、を備える、ゲームシステムである。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、ユーザの心身又は能力の状態に関する要改善項目を効率的に改善するゲームプログラム、ゲーム装置及びゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ゲームシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】ゲームシステムの動作を示すシーケンス図である。
図3】ユーザの診断結果の一例を示す図である。
図4】ゲーム毎の改善効果情報リストの一例を示す図である。
図5】ゲーム用端末装置の表示画面の一例を示す図である。
図6】ユーザのプレイ履歴の一例を示す図である。
図7】報酬付与条件の一例を示す図である。
図8】学習済みモデルに学習させる情報の一例を示す図である。
図9】ゲーム用端末装置の表示画面の一例を示す図である。
図10】表示対象ゲームを変更する動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施形態]
本開示の実施形態にかかるゲームシステム1について、図面を参照して説明する。
【0023】
<ゲームの説明>
図1に示すゲームシステム1では、情報管理用端末装置2、情報管理サーバ装置3、ゲームサーバ装置5及び複数のゲーム用端末装置4が通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続され、ユーザはゲーム用端末装置4を用いてゲームを実行する。
【0024】
本実施形態のゲームは、例えば、もの探しゲームやパズルゲーム等を含む。
【0025】
もの探しゲームは、例えば、プレイヤキャラクタを操作しながら、各ステージの仮想ゲーム空間内に隠された複数の指定アイテムを制限時間内に探し出すものである。このゲームでは、制限時間内に複数の指定アイテムの全てを探しだすことにより、そのステージをクリアすることができる。
【0026】
パズルゲームは、例えば、ゲーム画面に次々に出現する複数色のパーツのうち、同一色のパーツを所定数そろえて消していくものである。パズルゲームでは、ステージごとに目標数が設定されており、1ステージに設定された行動回数内で目標数だけパーツを消すと、そのステージをクリアすることができる。
【0027】
このようなゲームは、ゲーム用端末装置4のユーザが、そのゲームを一人でプレイしたり、その他のユーザとともに複数人で対戦または協力してプレイしたりすることができる。このようなゲームは、プレイステーション(登録商標)等の家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)等の携帯用ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の電子機器であるゲーム用端末装置4を用いて実行される。以下では、ゲーム用端末装置4がスマートフォンである場合を例示する。
【0028】
また、本実施形態のゲーム用端末装置4によれば、異なる種類の複数のゲームからユーザの操作に応じて選択されたゲームが実行可能である。異なる種類の複数のゲームとは、ゲームのルール、音声、グラフィック及び登場するキャラクタ等が異なるゲームである。例えば、もの探しゲームとパズルゲームの2種類のゲームはゲームのルールが異なるため、異なる種類のゲームである。異なる種類の複数のゲームは、単に難易度が異なるのみではなく、それぞれが特有の興趣性を有する。
【0029】
<ランチャーアプリの説明>
ゲーム用端末装置4は、ランチャーアプリを起動することができる。ランチャーアプリとは、プレイできるゲームの一覧を表示し、ユーザの選択に応じてゲームを起動するためのアプリケーションソフトウェアである。例えば、ユーザはランチャーアプリに表示された「もの探しゲーム」と「パズルゲーム」から、プレイしたいゲームを選択することができる。すなわち、ランチャーアプリは複数のゲームをプレイするためのポータルとしての役割を果たす。また、典型的には、ゲームを実行するためのアプリケーションソフトウェアはランチャーアプリに包含されるものではなく、それぞれ別個のアプリケーションソフトウェアである。
【0030】
さらに、ランチャーアプリは、ユーザの要改善項目の効率的又は継続的な改善を促す機能を備える。例えば、ユーザの要改善項目に対して改善効果が高い複数のゲームを表示し、そのうち少なくとも一部のゲームをプレイすることを推奨する表示を行うことができる。
【0031】
他にも、例えば、ランチャーアプリはコミュニティ機能を備える。コミュニティ機能とは、他のユーザとの交流を図る機能であり、例えば、フレンド登録機能、チャット機能及びギフト送信機能等が含まれる。当該機能を介して他のユーザと交流することにより、ゲームに対するモチベーションが向上し、継続的にゲームをプレイすることが期待される。
【0032】
<ゲームシステムの概要>
図1に示されるように、ゲームシステム1は、情報管理用端末装置2、情報管理サーバ装置3、ゲーム用端末装置4及びゲームサーバ装置5により構成される。
【0033】
情報管理用端末装置2は、診断者により用いられる。診断者は、ユーザを診断することが可能な第三者である。診断者は、例えば、特定の医師、複数の医師からなるグループ及び当該医師やグループが所属する医療機関等である。情報管理用端末装置2はパーソナルコンピュータ、スマートフォン及びタブレット等である。
【0034】
診断者は、ユーザを診断した後に情報管理用端末装置2を操作することにより、そのユーザの診断結果を情報管理サーバ装置3に登録することができる。診断結果には、例えば、診断者の氏名、診断者の識別番号、ユーザの氏名、ユーザの識別番号、診断の内容、診断に関する要改善項目及び要改善項目に対する指標等の情報が含まれている。指標とは、要改善項目を改善することの重要性である。指標は数値、点数、順位及び段階等により表現することができるが、本実施形態においては、指標は点数であるとして説明する。
【0035】
本実施形態において、診断者は、要改善項目に係る能力が高い場合には高い点数の指標を設定するものとする。すなわち、要改善項目に関する指標の点数が高いほど、能力が高く、改善することの重要性が低いことを示す。一方で、指標の点数が低いほど、要改善項目に関する能力が低く、改善することの重要性が高いことを示す。例えば、「10点」であると診断された要改善項目は、「90点」であると診断された要改善項目と比べて改善の重要性が高い。
【0036】
本実施形態における診断とは、典型的には、認知機能の一部が衰える疾患に関するものである。この場合における要改善項目は例えば、記憶力、言語能力、判断力及び計算力等であり、治療項目と称することもできる。また、本実施形態において、要改善項目の治療とは、要改善項目を改善するための行動(例えば、ユーザがゲームをプレイすることや、診断者がユーザにゲームをプレイすることを勧めること)を含む。すなわち、要改善項目の治療は、要改善項目の改善の一形態である。
【0037】
本実施形態では、診断者の診断を受けたユーザが、ゲーム用端末装置4を用いてゲームをプレイするプレイヤに相当する。以下では、診断者が診断したユーザ及びゲーム用端末装置4を用いてゲームをプレイするプレイヤをまとめて「ユーザ」と称する。
【0038】
情報管理サーバ装置3は、情報管理用端末装置2から送信される診断結果をユーザ毎の診断アカウント情報に関連付けて記憶する。情報管理サーバ装置3は、ゲーム用端末装置4を用いたユーザ認証が成立した場合、ゲーム用端末装置4との間で暗号化通信を行う。
【0039】
ゲームサーバ装置5は、ユーザがゲーム用端末装置4でゲームを実行するための各種情報を記憶する。ゲームを実行するための情報とは、例えば、ゲームプログラム、ゲームデータ及びユーザ毎のゲームアカウント情報等である。ゲームサーバ装置5は、ゲームアカウント情報毎のゲームデータの管理及びゲームの進行の管理を行い、ゲーム用端末装置4を用いたユーザ認証が成立した場合、ゲーム用端末装置4との間で暗号化通信を行う。
【0040】
上記のとおり、本実施形態におけるゲームシステムでは、診断に関する情報及びゲームに関する情報がそれぞれ情報管理サーバ装置3及びゲームサーバ装置5に分離して記憶される。具体的には、ユーザ毎の診断アカウント情報や診断結果は情報管理サーバ装置3に、ユーザ毎のゲームアカウント情報やゲームデータはゲームサーバ装置5に記憶される。当該システム構成により、ユーザの診断に関するセンシティブな情報をゲームサーバ装置から隔離して記憶することができ、個人情報を安全に取り扱うことができる。
【0041】
ゲーム用端末装置4は、情報管理サーバ装置3にログインする際に診断アカウント情報を情報管理サーバ装置3に送信する。診断アカウント情報は、ユーザが情報管理サーバ装置3にログインする際のユーザ認証に利用される。ユーザ認証を経て、ゲーム用端末装置4と情報管理サーバ装置3との間の相互通信が可能となる。
【0042】
また、ゲーム用端末装置4は、ゲームサーバ装置5にログインする際にゲームアカウント情報をゲームサーバ装置5に送信する。ゲームアカウント情報は、ユーザがゲームサーバ装置5にログインする際のユーザ認証に利用される。ユーザ認証を経て、ゲーム用端末装置4とゲームサーバ装置5との間の相互通信が可能となる。
【0043】
また、ゲーム用端末装置4は、ゲームサーバ装置5にログインした後、ゲームを進行させるために必要なデータ(例えば、ゲーム進行状況に関するデータ等)をゲームサーバ装置5から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像及びゲーム音声を出力しながら、ゲームを進行させる。
【0044】
以下、図1を参照し、情報管理サーバ装置3、ゲームサーバ装置5、ゲーム用端末装置4及び情報管理用端末装置2のハードウェア構成について説明する。
【0045】
<情報管理サーバ装置3の構成>
図1に示すように、情報管理サーバ装置3は、制御部32、記憶部30及びネットワークインターフェース部36を有し、バス38を介して互いに電気的に接続されている。
【0046】
ネットワークインターフェース部36は、インターネット及びLAN等の通信ネットワーク6を介してゲームサーバ装置5、情報管理用端末装置2及びゲーム用端末装置4と通信可能な状態で接続されている。
【0047】
記憶部30は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びSSD(Solid State Drive)等から構成される。記憶部30に記憶される情報には、本実施形態にかかるゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザ情報DB(Database)30a、改善効果情報DB30b、プレイ履歴情報DB30c及び報酬付与条件情報DB30d等の各種データ等が含まれる。
【0048】
ユーザ情報DB30aには、ユーザの識別情報ごとに、診断アカウント情報と当該ユーザの診断結果とが関連付けられている。診断結果には、当該診断に係る要改善項目に関する情報が含まれる。情報管理サーバ装置3に対するユーザの認証は、診断アカウント情報に基づいて行われる。診断結果と要改善項目については、図3を用いて後述する。
【0049】
改善効果情報DB30bには、複数のゲームの識別情報ごとに、当該ゲームが有する要改善項目に対する改善効果と、が関連付けられている改善効果情報リストが記憶される。例えば、パズルゲームは判断力を治療する効果が得られ、もの探しゲームは記憶力を治療する効果が得られる場合、この関係性に係る情報が記憶される。改善効果情報リストについては、図4を用いて後述する。
【0050】
ここで、ゲームが有する改善効果とは、ゲームをプレイすることによって得られる要改善項目に対する改善効果と同義である。例えば、パズルゲームは判断力を治療する改善効果を有し、もの探しゲームは記憶力を治療する改善効果を有する。
【0051】
プレイ履歴情報DB30cには、ユーザがゲームをプレイすることによって生じた各種履歴情報(以下、「プレイ履歴」という)を記憶する。プレイ履歴には、例えば、プレイ頻度、ゲームの進捗、プレイ時間、ゲームの累計成功回数及びこれらの情報から推定されるユーザの嗜好等が含まれる。プレイ履歴は、ゲームがプレイされる際にゲーム用端末装置4から受信する。プレイ履歴については、図6を用いて後述する。
【0052】
報酬付与条件情報DB30dには、ユーザに対して報酬を付与する条件(以下、「報酬付与条件」という)を記憶する。報酬付与条件は、典型的には、プレイ履歴に基づいて達成しているか否かが判定される。付与される報酬は、例えば、ユーザが所定の条件を達成したことを示す称号等である。報酬付与条件については、図7を用いて後述する。
【0053】
制御部32は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置3の動作を制御する。制御部32は、各種プログラムを実行することにより、ゲーム特定手段32a、報酬付与手段32b及び通信手段32cとして機能する。以下、各種手段を実行した場合における処理の一例を示す。
【0054】
―ゲーム特定手段32a―
ゲーム特定手段32aは、情報管理用端末装置2から受信したユーザの診断結果に基づいて、診断結果に含まれる要改善項目に対して改善効果を有する複数のゲームを特定する。特定されるゲームは、典型的には、候補となる複数のゲームから所定の条件に基づいて選出されたゲーム(以下、「表示対象ゲーム」という)である。表示対象ゲームの識別情報はゲーム用端末装置4に送信され、ゲーム用端末装置4のランチャーアプリには当該表示対象ゲームの一覧が表示される。表示対象ゲームの特定の方法は、図3及び図4を用いて後述する。
【0055】
―報酬付与手段32b―
報酬付与手段32bは、ユーザのプレイ履歴に基づいて報酬付与条件情報DB30dに記憶された報酬付与条件が達成されているか否かを判定し、当該判定に基づいてユーザに対して報酬を付与する。情報管理サーバ装置3が付与する報酬は、典型的には、ランチャーアプリ内で使用及び確認できるものである。付与する報酬については、図7を用いて後述する。なお、情報管理サーバ装置3がユーザに報酬を付与することとは、ユーザ情報DB30aにおいて当該ユーザの診断アカウント情報に対して付与する報酬に関する情報を関連付けて記憶し、報酬が付与されたことを通知する信号をゲーム用端末装置4に送信することと同義である。
【0056】
―通信手段32c―
通信手段32cは、自装置3とゲーム用端末装置4及びゲームサーバ装置5との間で各種データを送受信する。通信手段32cが受信する主なデータとしては、認証用のログイン情報及びプレイ履歴等が挙げられる。通信手段32cが送信する主なデータとしては、認証が完了したことを通知する情報、表示対象ゲームの識別情報、報酬の付与に関する情報等が挙げられる。
【0057】
<ゲームサーバ装置5の構成>
図1に示すように、ゲームサーバ装置5は、制御部52、記憶部50及びネットワークインターフェース部56を有し、バス58を介して互いに電気的に接続されている。
【0058】
ネットワークインターフェース部56は、インターネット及びLAN等の通信ネットワーク6を介して情報管理サーバ装置3、情報管理用端末装置2及びゲーム用端末装置4と通信可能な状態で接続されている。
【0059】
記憶部50は、HDD、RAM、ROM及びSSD等から構成される。記憶部30に記憶される情報には、本実施形態にかかるゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザ情報DB50a、ゲーム情報DB50b及びプレイ履歴情報DB50c等の各種データ等が含まれる。
【0060】
ユーザ情報DB50aには、ユーザの識別情報ごとに、ゲームアカウント情報が関連付けられている。ゲームサーバ装置5に対するユーザの認証は、当該ゲームアカウント情報に基づいて行われる。
【0061】
ゲーム情報DB50bには、ゲームの進行に必要な各種情報が記憶されている。各種情報には、ゲームに関する画像情報や音声情報等が含まれる。典型的には、ゲーム用端末装置4が当該情報をダウンロードすることによりゲームを実行する。
【0062】
プレイ履歴情報DB50cには、プレイ履歴を記憶する。プレイ履歴は、ゲーム用端末装置4から送信されたものであり、典型的には、情報管理サーバ装置3におけるプレイ履歴情報DB30cに記憶されたものと同様の情報が記憶される。
【0063】
制御部52は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置5の動作を制御する。制御部52は、各種プログラムを実行することにより、通信手段52aとして機能する。以下、各種手段を実行した場合における処理の一例を示す。
【0064】
―通信手段52a―
通信手段52aは、自装置5とゲーム用端末装置4及び情報管理サーバ装置3との間で各種データを送受信する。通信手段52aが受信する主なデータとしては、認証用のログイン情報、実行要求があったゲームの識別情報、プレイ履歴及び報酬付与条件の達成状況に関する情報等が挙げられる。通信手段52aが送信する主なデータとしては、認証が完了したことを通知する情報、実行要求があったゲームを進行するために必要な情報等が挙げられる。
【0065】
<ゲーム用端末装置4の構成>
図1に示すように、ゲーム用端末装置4は、制御部42、記憶部40、ユーザインターフェース部44及びネットワークインターフェース部46を有し、バス48を介して互いに電気的に接続されている。
【0066】
ネットワークインターフェース部46は、インターネット及びLAN等の通信ネットワーク6を介して情報管理サーバ装置3、情報管理用端末装置2及びゲームサーバ装置5と通信可能な状態で接続されている。
【0067】
記憶部40は、HDD、RAM、ROM及びSSD等から構成される。記憶部40に記憶される情報には、本実施形態にかかるゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザ情報DB40a、ランチャー情報DB40b、ゲーム情報DB40c及びプレイ履歴情報DB40d等の各種データ等が含まれる。
【0068】
ユーザ情報DB40aには、診断アカウント情報及びゲームアカウント情報が記憶されている。診断アカウント情報及びゲームアカウント情報は、それぞれが情報管理サーバ装置3及びゲームサーバ装置5に送信され、認証を行い、複数のユーザ同士を区別するために用いられる。
【0069】
ランチャー情報DB40bには、ゲーム用端末装置4におけるランチャーアプリを実行するための各種情報や、報酬付与手段32bによって付与された報酬に関する情報が記憶されている。ランチャーアプリを実行するための各種情報には、ランチャーアプリに関する画像情報や音声情報等が含まれる。自装置4は、ランチャーアプリを実行する際に当該各種情報を読み出す。
【0070】
ゲーム情報DB40cには、自装置4でゲームを実行するために必要な各種情報が記憶されている。各種情報には、ゲームに関する画像情報や音声情報等が含まれる。典型的には、ゲームサーバ装置5からダウンロードした情報を記憶する。
【0071】
プレイ履歴情報DB40dには、ユーザがゲームをプレイすることによって生じた各種履歴情報を記憶する。記憶されるプレイ履歴は、自装置4内にて生成されたものであり、情報管理サーバ装置3及びゲームサーバ装置5に送信される。典型的には、情報管理サーバ装置3におけるプレイ履歴情報DB30cに記憶されたものと同様の情報が記憶される。
【0072】
ユーザインターフェース部44には、ディスプレイ44a、スピーカ44b及び入力装置44cが外部接続又は内蔵される。外部接続には、有線のケーブルによる接続のほか、無線通信による接続も含まれる。
【0073】
ディスプレイ44aは、映像を出力できる機器又は部品である。ディスプレイ44aには、例えば、液晶ディスプレイ、3次元映像を映写可能なディスプレイ、画像を他の物体に対して映写できる機器(例えば、プロジェクター)等が含まれる。
【0074】
入力装置44cは、信号を入力できる機器又は部品である。入力装置44cには、例えば、タッチパネル、ボタン、アナログスティック、タッチパッド、カメラ、マイク、加速度センサ及び振動センサ等である。本実施形態においては、入力装置はスマートフォンに搭載されたタッチパネルであるとし、各種操作(例えば、ボタンの押下や表示領域の変更等)はタッチパネルに触れることによって行うものとする。
【0075】
制御部42は、CPU及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置4の動作を制御する。制御部42は、各種プログラムを実行することにより、ランチャー実行手段42a、取得手段42b、表示手段42c、受付手段42d、ゲーム実行手段42e、音声制御手段42f及び通信手段42gとして機能する。以下、各種手段を実行した場合における処理の一例を示す。
【0076】
―ランチャー実行手段42a―
ランチャー実行手段42aは、ユーザのゲーム用端末装置4に対する操作に基づいて、ランチャー情報DB40bに記憶された情報を読み出し、ランチャーアプリを起動する。ランチャーアプリの起動時には、情報管理サーバ装置3と通信を行い、自身に付与された報酬の有無を確認する。
【0077】
―取得手段42b―
取得手段42bは、ランチャーアプリの起動時に、情報管理サーバ装置3及びゲームサーバ装置5から各種情報を取得する。取得される情報には、情報管理サーバ装置3のゲーム特定手段32aにより特定されたゲームの識別情報や、ゲームサーバ装置5のゲーム情報DB50bに記憶されてゲームの進行に必要な情報等が含まれる。ここで、ゲームの識別情報とは、例えば、複数のゲームを一意に識別できるIDや、ゲームの名称、ゲームのアイコン等が含まれる。
【0078】
―表示手段42c―
表示手段42cは、ランチャーアプリにおいて、取得手段42bにより取得した表示対象ゲームの名称等をディスプレイ44aに表示するとともに、表示対象ゲームの少なくとも一部をプレイすることを推奨する推奨情報を表示する。表示方法の一例については、図5を用いて後述する。
【0079】
また、表示手段42cは、ランチャーアプリにおいてゲームを選択した後は、ゲーム実行手段42e(後述)により生成されるゲーム画像情報に基づいて、キャラクタ及び仮想ゲーム空間に関する各種情報を含むゲーム画像を、動画形式で描画する。動画形式に描画されたゲーム画像は、ユーザインターフェース部44を介してゲーム画像としてディスプレイ44aに表示される。
【0080】
―受付手段42d―
受付手段42dは、表示手段42cにより表示された表示対象ゲームに対するユーザの選択を受け付ける。選択とは、典型的には、表示対象ゲームの名称が表示されたボタンを押下することである。
【0081】
―ゲーム実行手段42e―
ゲーム実行手段42eは、受付手段42dにより選択されたゲームを実行する。具体的には、自装置4のユーザの操作に基づいて仮想ゲーム空間における行動を制御し、これに応じてゲーム画像情報及びゲーム音声情報を生成する。ゲームがプレイされることにより生成されたログに関する情報は、プレイ履歴情報DB40dに記憶されるとともに、情報管理サーバ装置3及びゲームサーバ装置5に送信される。なお、ユーザがゲームをプレイすることと、ユーザがゲームを実行することは同義である。
【0082】
ゲーム実行手段42eがゲームを実行することには、ゲームサーバ装置5にゲームを実行させ、生成されたゲーム画像情報及びゲーム音声情報を受信することが含まれる。
【0083】
―音声制御手段42f―
音声制御手段42fは、ゲーム実行手段42eにより生成されるゲーム音声情報に基づいて、ゲーム音声を再生及び合成する。合成された音声は、ユーザインターフェース部44を介してゲーム音声としてスピーカ44bで再生される。
【0084】
―通信手段42g―
通信手段42gは、自装置4と情報管理サーバ装置3及びゲームサーバ装置5との間で各種データを送受信する。通信手段42gが受信する主なデータとしては、認証が完了したことを通知する情報、表示対象ゲームの識別情報及び報酬の付与に関する情報等が挙げられる。通信手段42gが送信する主なデータとしては、認証用のログイン情報及びプレイ履歴等が挙げられる。
【0085】
<情報管理用端末装置2の構成>
情報管理用端末装置2は、診断者が診断結果を入力し、情報管理サーバ装置3に登録するための機器であり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の電子機器である。情報管理用端末装置2は、ディスプレイ及び入力装置(例えば、キーボード及びマウス等)を備え、通信ネットワーク6に接続することにより情報管理サーバ装置3と通信を行うことができる。
【0086】
<ゲームシステム1の動作の流れ>
ゲームシステム1の動作の流れについて、図2図7を参照して説明する。図2は、情報管理用端末装置2、情報管理サーバ装置3、ゲーム用端末装置4及びゲームサーバ装置5が通信ネットワーク6を介して通信する際のシーケンス図を示す。図3は要改善項目を含む診断結果の一例を示す。図4は改善効果情報リストの一例を示す。図5は本実施形態のゲーム用端末装置4における表示画面の一例を示す。図6は、プレイ履歴の一例を示す。図7は、報酬付与条件情報の一例を示す。なお、以下において、各装置間の通信は、各装置の制御部が備える通信手段により行われる。
【0087】
診断者は、ユーザに対する診断を行った後、情報管理用端末装置2に診断結果を登録する(S100)。診断結果の入力を受け付けた情報管理用端末装置2は、診断結果を情報管理サーバ装置3に送信する(S102)。情報管理サーバ装置3は、診断結果をユーザに関連付けてユーザ情報DB30aに記憶する。
【0088】
図3は、S102で送信されるユーザの診断結果の一例である。診断結果は、要改善項目を含み、要改善項目に対して診断者が登録した指標が関連付けられている。本実施形態においては、「記憶力」、「言語能力」、「判断力」及び「計算力」の4つの要改善項目に対して、それぞれ「10点」、「100点」、「60点」及び「30点」の指標が関連付けられている。
【0089】
指標は、要改善項目に関する能力の高さを表す。例えば、図3によると、本実施形態におけるユーザの「言語能力(100点)」及び「判断力(60点)」は比較的高く、「記憶力(10点)」及び「計算力(30点)」は比較的低い。このようなユーザは、指標の点数が低い(すなわち、治療することの重要性が高い)「記憶力」又は「計算力」を優先的に治療することが望ましい。以下では、要改善項目が「X点」であることは、要改善項目に対応する指標が「X点」であることと同義であるとする。例えば、「記憶力」が「10点」であることと、「記憶力」に対応する指標が「10点」であることは同義である。
【0090】
ユーザは、診断を受けた後、ゲーム用端末装置4を操作することによりランチャーアプリを起動する(S104)。図5(A)は、ランチャーアプリの表示画面の一例である。画面400は、ランチャーアプリの起動直後の表示画面の一例である。画面400には、ゲームプレイボタン402及びコミュニティボタン404が表示される。ゲームプレイボタン402を押下すると、後述する方法で特定される表示対象ゲームを表示する(図5(B)参照)。コミュニティボタン404を押下すると、フレンドリストや診断者等とのチャット機能等を使用する画面に遷移する。
【0091】
ランチャーアプリを起動すると、ランチャー情報DB40bからランチャーアプリの実行に必要な情報が読み出される。この際、ゲーム用端末装置4は情報管理サーバ装置3に対して診断アカウント情報とともに表示対象ゲームの識別情報を要求する信号を送信する(S106)。
【0092】
当該信号を受信した情報管理サーバ装置3は、表示対象ゲームを特定する(S108)。この特定方法について図3及び図4を用いて説明する。図4は、改善効果情報DB30bに記憶される改善効果情報リストの一例である。改善効果情報リストは、要改善項目と、一以上のゲームと、一以上のゲームのそれぞれが有する改善効果と、が関連付けられたリストである。例えば、「記憶力」の要改善項目に対して「ゲームAは1点/プレイ単位の向上」「ゲームBは8点/プレイ単位の向上」「ゲームCは4点/プレイ単位の向上」「ゲームDは5点/プレイ単位の向上」という改善効果が関連付けられている。
【0093】
プレイ単位とは、典型的には、ゲームの所定のプレイ時間の長さ(例えば、1時間又は10時間等)である。プレイ単位は、ゲームシステムの設計の時点で予め決定される。
【0094】
また、改善効果とは、1プレイ単位のゲームを実行した場合に向上すると見込まれる指標の点数である。例えば、図4によると、ゲームAを1プレイ単位実行することにより「記憶力」が「1点」向上することが見込まれる。すなわち、1プレイ単位が10時間であるとすると、「記憶力」が「10点」であるユーザが10時間ゲームAをプレイすることにより「記憶力」は「11点」に向上することが見込まれる。
【0095】
改善効果は、典型的には、事前の検証結果等に基づいて決定される。例えば、複数名のユーザにゲームAを1プレイ単位実行させたところ、平均して「記憶力」が「1点」向上したという結果が得られた場合、ゲームAの「記憶力」の改善効果は「1点/プレイ単位」であると決定される。
【0096】
この場合、改善効果は統計的な処理に基づいて決定されるため、必ずしも改善効果情報リストのとおりの改善効果が得られると限らない。例えば、ゲームAを1プレイ単位実行した場合に、「記憶力」が「10点」から「12点」に向上するユーザがいる一方で、他のユーザは「10点」のまま変わらない場合もある。
【0097】
表示対象ゲームの識別情報を要求する信号を受信した情報管理サーバ装置3は、ゲーム特定手段32aにより表示対象ゲームを特定する。本実施形態においては、ユーザの要改善項目のうち、指標が最も低いものに基づいてゲームを特定する。例えば、図3の診断結果を有するユーザは「記憶力」の指標が「10点」であり最も低いため、「記憶力」を治療するために比較的改善効果が高いゲームを表示対象ゲームとして特定する。具体的には、ゲームB及びゲームDはそれぞれ「記憶力」の改善効果が「8点/プレイ単位」及び「5点/プレイ単位」であり、ゲームA及びゲームCの「1点/プレイ単位」及び「4点/プレイ単位」より高いため、ゲームB及びゲームDを表示対象ゲームとして特定する。
【0098】
表示対象ゲームを特定した後、情報管理サーバ装置3は当該表示対象ゲームの識別情報をゲーム用端末装置4に送信する(S110)。なお、ゲームに関する画像情報や音声情報等はゲームサーバ装置5に記憶されているため、ここで送信される情報にはこれらの情報は含まれない。
【0099】
表示対象ゲームの識別情報を受信したゲーム用端末装置4は、ランチャーアプリに表示対象ゲームの識別情報(例えば、名称等)を含むボタンを表示し、ユーザからのゲームの選択を受け付ける(S112)。図5(B)は、表示対象ゲームを表示する画面の一例である。画面420には、ゲームB実行ボタン422、ゲームD実行ボタン426及びゲームBをプレイすることを推奨する推奨情報424が表示される。ここで、「ゲームB」及び「ゲームD」は表示対象ゲームの名称である。
【0100】
推奨情報とは、ユーザの要改善項目の効率的又は継続的な改善に有効と判定される条件である推奨条件を満たすゲームをプレイすることを推奨する情報である。推奨条件とは、例えば、第1ゲームより高い改善効果を有する第2ゲームであること等である。この推奨条件の場合、本実施形態におけるユーザは「記憶力」が「10点」であり治療の重要性が高い(図3参照)ところ、表示対象ゲームのうちゲームBの記憶力の改善効果は「8点/プレイ単位」でありゲームDの「5点/プレイ単位」よりも高い(図4参照)ため、ゲームBは推奨条件を満たし、推奨情報はゲームBをプレイすることを推奨する。
【0101】
ユーザがゲームの選択(ゲームB実行ボタン422又はゲームD実行ボタン426の押下に相当)をすると、選択したゲームの識別情報及びゲームアカウント情報をゲームサーバ装置5に送信する(S114)。本実施形態においては、ユーザは推奨情報に従ってゲームBを選択したとする。
【0102】
このとき、選択できる表示対象ゲームはいずれもユーザの要改善項目の治療に有効なゲームであり、推奨情報により推奨されるゲームは特に有効であるから、当該ゲームをプレイすることによりユーザの要改善項目の効果的な治療が期待できる。例えば、表示対象ゲームのゲームB及びゲームDはいずれもユーザの「記憶力」の治療に有効であり、その中でも推奨情報により推奨されるゲームBは特に有効である。
【0103】
ゲームの識別情報及びゲームアカウント情報を受信したゲームサーバ装置5は、当該ゲームアカウントに関連付けられたゲーム情報を特定し(S116)、ゲームBを実行するために必要な各種情報をゲーム用端末装置4に送信する(S118)。
【0104】
ゲームを実行するために必要な各種情報を受信したゲーム用端末装置4は、ゲームBを実行する(S120)。なお、ゲーム用端末装置4がゲームを実行することには、ゲーム用端末装置4が自装置上でゲームを実行することに加え、ゲームサーバ装置5にゲームを実行させ、生成されたゲーム画像情報及びゲーム音声情報を受信することを含む。この際、ゲームのプレイによって生成された各種ログはプレイ履歴としてプレイ履歴情報DB40dに記憶されるとともに、情報管理サーバ装置3及びゲームサーバ装置5に送信される(S122)。
【0105】
図6は、ユーザのプレイ履歴の一例である。プレイ履歴には、プレイ頻度、ゲームの進捗、累計プレイ時間、累計成功回数、累計失敗回数及びユーザ嗜好等の情報が含まれる。プレイ頻度とは、所定の期間内にゲームをプレイした回数である。ゲームの進捗とは、ゲームに含まれるすべてのコンテンツをクリアした状態を100%とした場合の相対的な達成率である。累計プレイ時間とは、対応するゲームをプレイした時間の累計値である。累計成功/失敗回数とは、対応するゲームにおいて所定の課題(例えば、クエスト又はステージ等)の成功/失敗回数の累計値である。ユーザ嗜好とは、ユーザの対応するゲームに対する嗜好であり、典型的には、プレイ頻度や累計プレイ時間等の他のプレイ履歴に基づいて決定される。
【0106】
ゲームのプレイが終了すると、ゲーム用端末装置4はゲームの結果を表示する(S123)。図5(C)は結果表示画面の一例である。画面440は、ゲームBをクリアした際の結果表示画面である。画面440には、ゲーム名表示領域442、結果詳細表示領域444及びもどるボタン446が表示される。ゲーム名表示領域442には、プレイしたゲームの名称が表示される。結果詳細表示領域444には、ゲームの成否(例えば、成功、失敗、クリア等)、ゲームで獲得した得点及びゲームで使用したアイテムに関する情報が表示される。もどるボタン446は、押下することによって図5(A)又は図5(B)の画面に遷移することができるボタンである。
【0107】
プレイ履歴を受信した情報管理サーバ装置3は、プレイ履歴情報DB30cに記憶するとともに、情報管理用端末装置2に対して当該情報を送信する(S124)。プレイ履歴を受信した情報管理用端末装置2は、ディスプレイにプレイ履歴に基づいて生成されたデータを表示する(S126)。表示されるデータには、各ゲームの改善効果と実行したプレイ単位の積により算出される合計改善効果等が含まれる。例えば、図4によると、ゲームBを3プレイ単位実行したユーザの「記憶力」に関する合計改善効果は、「8点/プレイ単位」と「3プレイ単位」の積により、「24点」と算出される。他にも、例えば、ゲームAとゲームDのそれぞれを2プレイ単位ずつ実行したユーザの「言語能力」に関する合計改善効果は、「8点/プレイ単位」と「2プレイ単位」の積及び「3点/プレイ単位」と「2プレイ単位」の積の合計により、「22点」と算出される。このようなデータを参照することにより、診断者はユーザのプレイ状況を把握し、治療の進捗を確認することができる。
【0108】
プレイ履歴を受信した情報管理サーバ装置3は、報酬付与手段32bにより、報酬付与条件情報DB30dに記憶された報酬付与条件に基づいて、ユーザが達成した報酬付与条件の有無を判定する(S128)。
【0109】
図7は、報酬付与条件の一例である。報酬付与条件は、ゲーム毎の報酬付与条件と、当該報酬付与条件が達成された場合にユーザに付与される報酬とが関連付けられたリストである。
【0110】
報酬付与条件には、プレイ履歴に関する条件が含まれる。具体的には、プレイ頻度に関する条件(例えば、「プレイ頻度10回/月達成」等)、ゲームの進捗に関する条件(例えば、「ゲーム進捗40%達成」等)、プレイ時間に関する条件(例えば、「累計プレイ時間50時間達成」等)及び累計成功/失敗回数に関する条件(例えば、「累計成功回数10回達成」及び「累計失敗回数5回達成」等)が含まれる。
【0111】
S128においてユーザに付与される報酬が有ると判定された場合、情報管理サーバ装置3は報酬付与手段32bによりユーザに対して報酬を付与する(S130)。報酬には、ユーザがゲームをプレイすることのインセンティブを増加させるものが含まれる。具体的には、ランチャーアプリ内で確認できる称号等が含まれる。
【0112】
称号とは、ユーザが所定の報酬付与条件を達成したこと示す異名(例えば、「ゲームA初級者」及び「ゲームB上級者」等)である。ユーザは称号を自身に設定することにより、コミュニティ機能等を介して他ユーザに称号を獲得したことを示すことができる。例えば、「ゲームB上級者」の称号を自身に設定したユーザは、他ユーザに対してゲームBの「累計プレイ時間50時間達成」の報酬付与条件をクリアしたことを示すことができる。
【0113】
報酬付与条件を達成した場合に報酬を付与することにより、ユーザの継続的な治療を促すことができる。例えば、「ゲームB上級者」の称号を獲得することを目標に、ユーザはゲームBをさらに継続的にプレイすることが期待される。
【0114】
以上をまとめると、本実施形態におけるプログラムは、コンピュータを、ユーザの心身又は能力の状態に関する診断結果に基づいて、診断結果に含まれる要改善項目に対して改善効果を有する複数のゲームに関する情報を表示する表示手段と、複数のゲームのいずれかに対するユーザの選択を受け付ける受付手段と、選択されたゲームを実行する実行手段と、として機能させる。
【0115】
<効果>
本実施形態に係るゲームプログラムによれば、ユーザの心身又は能力の状態に関する要改善項目を治療するために効果的な複数のゲームを特定し、さらに推奨情報を表示することによりこれらのゲームを継続的にプレイすることを促すことができる。これにより、効率的かつ継続的にユーザの要改善項目を改善することができる。
【0116】
[他の実施形態]
上記実施形態において説明した各種制御手段及び処理手順は一例であり、本発明、その適用物、又はその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段及び処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0117】
<ゲームシステムに関する変形例>
上記実施形態では、情報管理用端末装置2、情報管理サーバ装置3、ゲーム用端末装置4及びゲームサーバ装置5は異なる装置であり、これらが一体となってゲームプログラムを機能させる場合を例示したが、これに限定されない。
【0118】
具体的には、上記実施形態において各装置の制御部が実行する手段は、他の装置において実行されてもよい。例えば、上記実施形態においては情報管理サーバ装置3の制御部32がゲーム特定手段32aにより表示対象ゲームを特定すると説明したが、代わりにゲーム用端末装置4の制御部42が表示対象ゲームを特定する処理を実行してもよい。
【0119】
他にも、具体的には、上記実施形態において各装置が記憶する情報は、他の装置において記憶されてもよい。例えば、上記実施形態においては、報酬付与条件は情報管理サーバ装置3の記憶部30が報酬付与条件情報DB30dに記憶されると説明したが、代わりにゲーム用端末装置4の記憶部40が報酬付与条件を記憶してもよい。
【0120】
1つの装置が上記実施形態における2つ以上の装置の機能を備えてもよい。例えば、情報管理用端末装置2及び情報管理サーバ装置3の機能を有する情報管理装置と、ゲーム用端末装置4及びゲームサーバ装置5の機能を有するゲーム装置とによってゲームシステムが構築されてもよい。
【0121】
上記実施形態における1つの装置の機能が、2つ以上の装置により実現されてもよい。例えば、記憶部30に相当するデータベースサーバ装置と、制御部32に相当する演算を行うサーバ装置とが協働して上記実施形態における情報管理サーバ装置3の機能が実現されてもよい。
【0122】
1つのゲームシステムは同種類の装置を複数台含んでもよい。例えば、ゲームシステムはゲームサーバ装置5を4台含み、それぞれゲームAに係るゲームサーバ装置、ゲームBに係るゲームサーバ装置、ゲームCに係るゲームサーバ装置、ゲームDに係るゲームサーバ装置として動作してもよい。他にも、例えば、ゲームシステムはゲーム用端末装置4を複数台含んでもよい。
【0123】
ゲームシステムに係る処理の一部は日本国外で行われてもよい。例えば、情報管理サーバ装置3が日本国外に設置され、日本国内に設置されたゲームサーバ装置5及び日本国内のユーザのゲーム用端末装置4と通信を行ってもよい。
【0124】
情報管理サーバ装置3に記憶される診断結果は、診断者が入力したものに限られない。例えば、ユーザ自身が情報管理用端末装置2を用いてチェックリストに回答した結果に基づいて診断結果が登録されてもよい。
【0125】
<ランチャーアプリとゲームに関する変形例>
上記実施形態においてはランチャーアプリとゲームは異なるアプリケーションソフトウェアであると説明したが、これに限られない。例えば、ゲームはランチャーアプリに含まれるミニゲームであってもよい。
【0126】
ゲームは、ランチャーアプリを経由しなければ実行できないものであってもよい。例えば、ゲーム用端末装置4を起動してもランチャーアプリを経由することなくゲームAやゲームBを直接起動することはできず、表示対象ゲームとして表示されるゲームを選択することによってのみ起動できる態様であってもよい。
【0127】
ゲームは上記実施形態のゲームシステム専用のゲームでなくてもよい。例えば、一般的に提供されており、上記実施形態における診断を受けたユーザ以外のユーザもプレイできるものであってもよい。この場合、診断を受けたユーザ以外のユーザはランチャーアプリを起動することなくゲームを直接起動することができる。また、診断を受けたユーザとそれ以外のユーザのそれぞれに提供されるゲームは異なる設定(例えば、異なる難易度等)であってもよい。
【0128】
ゲームは、ユーザが単独でプレイするシングルプレイのゲームに限られず、通信ネットワーク6を介して他のユーザと共同でプレイするマルチプレイのゲームを含む。改善効果は、ゲームをプレイする態様によっても生じる。例えば、診断結果に「協調性」に係る要改善項目が含まれる場合には、マルチプレイのゲームをプレイすることによって、「協調性」を改善することができる。
【0129】
<ゲーム実行手段42eに関する変形例>
上記実施形態においては、ユーザが選択したゲームが実行されると説明したが、ユーザは特定のゲームを選択しなくてもよい。具体的には、所定のボタンを押下することにより、おまかせのゲーム(典型的には、プレイすることが推奨されるゲーム)やランダムに選択されたゲームを実行してもよい。すなわち、「複数のゲームのいずれかに対するユーザの選択」には、特定のゲームに対する選択に加え、ゲームは特定しない、いずれかのゲームに対する選択が含まれる。
【0130】
<ゲーム特定手段32aに関する変形例>
上記実施形態においては、ユーザの心身又は能力の状態に関する診断結果に含まれる要改善項目は「記憶力」、「言語能力」、「判断力」及び「計算力」等の認知機能であるとして説明したが、これに限られない。例えば、「動体視力」、「バランス感覚」及び「筋力」等の身体能力に関するものや、「協調性」「コミュニケーション能力」等の社会的な能力に関するものも含まれる。
【0131】
また、上記実施形態においては、プレイ履歴に含まれるユーザの嗜好は、プレイ頻度、ゲームの進捗、プレイ時間、ゲームの累計成功回数及びこれらの情報から推定されると説明したが、これに限られない。ユーザの嗜好は、例えば、診断者が診断結果とともに情報管理用端末装置2により登録したものであってもよく、ユーザ自身がゲーム用端末装置4で設定したものであってもよい。
【0132】
また、上記実施形態においては、改善効果は1プレイ単位のゲームを実行した場合に向上すると見込まれる指標の点数であると説明したが、これに限られない。改善効果は、他のゲームに対して順位(例えば、「記憶力改善効果1位」及び「言語能力改善効果4位」等)により相対的に決定されてもよい。他にも、段階(例えば、「効果大」、「効果中」及び「効果小」等)により表現されてもよい。
【0133】
また、上記実施形態においては、プレイ単位はゲームの所定のプレイ時間の長さであるとして説明したが、これに限られない。例えば、ゲームのプレイ回数や成功回数に基づいてプレイ単位を決定してもよい。
【0134】
また、上記実施形態においては、ユーザの要改善項目のうち、指標が最も低いものに基づいて表示対象ゲームを特定する例を説明したが、これに限られない。具体的には、ゲームが有する複数の要改善項目に対応する改善効果に基づいて特定してもよい、例えば、「記憶力」と「計算力」のそれぞれに対応する改善効果が高い組み合わせのゲームを表示対象ゲームとして特定してもよい。図3に示される診断結果を有するユーザは、「言語能力(100点)」及び「判断力(60点)」と比較して、「記憶力(10点)」及び「計算力(30点)」が低い。このような場合に、「記憶力」の改善効果が「8点/プレイ単位」で最も高いゲームBと、「計算力」の改善効果が「7点/プレイ単位」で最も高いゲームCとを表示対象ゲームとしてもよい(図4参照)。
【0135】
また、上記実施形態においては、図4の改善効果情報リストを用いてゲームを特定したが、これに限られない。例えば、複数のユーザのプレイ履歴と、当該複数のユーザがゲームをプレイすることにより得られた改善効果と、の因果関係を学習させることによって生成した学習済みモデルを用いて表示対象ゲームを特定してもよい。
【0136】
図8は、学習済みモデルを作成するために使用するデータセットの一例である。データセットは、典型的には、事前の検証結果等により作成する。図8のデータセットは、ユーザα、ユーザβ及びユーザγのそれぞれがゲームBを10時間プレイした場合の要改善項目の診断結果の変化に関する情報である。当該情報には、ゲームの嗜好に関する情報が含まれていてもよい。
【0137】
一般的に、ゲームの嗜好によっては改善効果に差が生じる場合がある。例えば、図8によると、ゲームBが好きなユーザβは、ゲームBを10時間プレイすることによって「記憶力」がプレイ前と比べて「10点」向上している。一方で、ゲームBが嫌いなユーザγは、ゲームBを10時間プレイしても「記憶力」は「1点」しか向上していない。さらに、この場合、ユーザβはゲームBを高いプレイ頻度で実行するが、ユーザγはプレイ頻度が低くなることが想定される。このように、各ユーザの嗜好に応じて表示対象ゲームを特定することは効率的又は継続的な治療に有効である。
【0138】
しかし、図4に示されるような改善効果情報リストを用いた場合には、ユーザのゲームの嗜好が反映されないため、必ずしもユーザの要改善項目の効率的な治療が可能なゲームを特定できるとは限らない。
【0139】
一方で、図8に示されるようなデータセットを用いて生成した学習済みモデルは、ユーザの嗜好ごとに、どのゲームをプレイすることによって各要改善項目についてどの程度の改善効果が得られるかを学習させているため、ユーザの嗜好に応じてゲームを特定することができる。このように、学習済みモデルを用いた場合には、改善効果情報リストには含まれない様々なパラメータを考慮したゲームの特定が可能となる。
【0140】
また、上記実施形態においては、表示対象ゲームはゲーム特定手段32aで特定される例を説明したが、これに限られない。例えば、表示対象ゲームの一部を診断者が設定してもよい。他にも、例えば、ユーザの診断結果によらず、表示対象ゲームの一部に日替わりで表示されるゲームがあってもよい。
【0141】
<表示手段42cに関する変形例>
上記実施形態における推奨情報は、ランチャーアプリの表示対象ゲームの表示画面において、ユーザの治療の重要性が高い要改善項目に対する改善効果が高いゲームをプレイすることを推奨したが、推奨情報はこれに限られない。例えば、推奨条件がプレイ履歴に関する条件を含み、推奨情報はプレイ頻度が低い又は高いゲームをプレイすることを推奨してもよい。また、ランチャーアプリの表示対象ゲームの表示画面において、報酬付与条件と、当該報酬付与条件を達成するまでに必要な行動に関する情報が表示されてもよい。
【0142】
図9(A)は、プレイ頻度に応じて推奨情報を表示する表示画面の一例である。画面900は、ゲームB実行ボタン904、推奨情報表示領域906、報酬付与条件表示領域908、ゲームC実行ボタン910、推奨情報表示領域912、報酬付与条件表示領域914及びスクロールバー表示領域916を含む。なお、この例において、ゲームBはゲームCと比べてプレイ頻度が高いゲームである。
【0143】
推奨情報表示領域906の推奨情報は「プレイ時間:40時間突破!」と表示し、ゲームCと比べてプレイ頻度が高いゲームBをプレイすることを推奨している。プレイ頻度が高いゲームは、ユーザの嗜好に合ったゲームである傾向が高い。そのため、プレイ頻度が高いゲームのプレイを推奨することにより、ユーザに継続的な治療を促すことができる。
【0144】
推奨情報表示領域912の推奨情報は「プレイ頻度低下中!」と表示し、ゲームBと比べてプレイ頻度が低いゲームCをプレイすることを推奨している。表示対象ゲームのうち一部のゲームのみがプレイされると、要改善項目の十分な治療ができない場合がある。例えば、ゲームCが表示対象ゲームとなる場合には他のゲームより改善効果が高い「計算力」の治療が期待されるが(図4参照)、ゲームCのプレイ頻度が低く、ゲームBばかりがプレイされる場合には「計算力」に関して十分な治療ができない。そのため、プレイ頻度が低いゲームのプレイを推奨することにより、ユーザに効率的な治療を促すことができる。
【0145】
他にも、推奨情報は、表示対象ゲームの一部のゲームの進捗が停滞又はプレイ頻度が低下した場合に、他のゲームをプレイすることを推奨してもよい。ゲームの進捗が停滞することとは、例えば、未クリアのゲームを複数回プレイし、クリアすることなく連続で失敗することである。
【0146】
図9(B)は、ゲームの進捗の停滞又はプレイ頻度の低下に応じて推奨情報を表示する表示画面の一例である。画面920は、ゲームB実行ボタン922、進捗停滞表示領域928、ゲームC実行ボタン930、推奨情報932及びスクロールバー表示領域934を含む。なお、この例において、ゲームBは5回連続で失敗しており、ゲームの進捗が停滞するとともにプレイ頻度が低下している。
【0147】
推奨情報932は、「こちらもおすすめ!」と表示し、ゲームの進捗が停滞しているゲームBとは異なるゲームCをプレイすることを推奨している。ゲームのプレイ頻度が低下した場合や、ゲームの進捗が停滞している場合等には、ユーザがゲームから離脱し、要改善項目の治療が継続的に行われなくなる場合がある。このような場合には、他のゲームをプレイすることを推奨することにより、ユーザに継続的な治療を促すことができる。
【0148】
報酬付与条件表示領域908及び914は、それぞれゲームB及びゲームCに関する報酬付与条件と、当該報酬付与条件を達成するまでに必要な行動に関する情報が表示される。また、そのうち達成されたものについてはその旨が表示される。例えば、「累計プレイ時間50時間達成(残り10時間)」、「累計成功回数10回達成(残り0回)」及び「ゲーム進捗25%達成(残り10% ※〇月〇日まで)」と表示され、達成された報酬付与条件について「達成済」の表示が付される。
【0149】
報酬付与条件に関する情報を表示することにより、ユーザの報酬の獲得に対するモチベーションを向上させ、ゲームをより高いプレイ頻度で実行させ、これにより継続的な治療を促すことができる。
【0150】
表示対象ゲームは、プレイ履歴に基づいて変更されてもよい。例えば、表示対象ゲームであるゲームDのプレイ頻度が低下した場合に、表示対象ゲームに含まれないゲームCを新たに表示対象ゲームとしてもよい。図10を用いて、プレイ履歴に基づいて表示対象ゲームが変更される動作の一例を示す。図10は、時間の経過に対する「記憶力」の指標及び「計算力」の指標の変化の一例を表す。
【0151】
期間700における表示対象ゲームにはゲームDが含まれる。当該期間においては、ユーザは所定以上のプレイ頻度でゲームDをプレイしており、「記憶力」は「5点/プレイ単位」の割合で、「計算力」は「1点/プレイ単位」の割合で治療する(図4参照)。
【0152】
期間702においては、ゲームDのプレイ頻度が低下し、「記憶力」の指標及び「計算力」の指標の向上が停滞している。この際、表示対象ゲームの変更が行われる。具体的には、表示対象ゲームに含まれないゲームから、新たに表示対象ゲームとするゲームを特定する。この際、元々の表示対象ゲームであったゲームDを表示対象ゲームから除いてもよい。本実施形態においては、表示対象ゲームからゲームDを除き、元々の表示対象ゲームには含まれないゲームCを新たに表示するものとして説明する。
【0153】
期間704においては、表示対象ゲームが変更され、ゲームCが表示される。新たなゲームが表示されるようになったことを契機にユーザのプレイ頻度が再度向上し、要改善項目の治療を促進することができる。具体的には、ゲームCをプレイすることによって、「記憶力」は「4点/プレイ単位」の割合で、「計算力」は「7点/プレイ単位」の割合で治療する(図4参照)。
【0154】
ゲームのプレイ頻度が低下した場合や、ゲームの進捗が停滞している場合等には、ユーザがゲームから離脱し、要改善項目の治療が継続的に行われなくなる場合がある。このような場合には、表示対象ゲームを変更することによって新たなゲームをプレイすることを可能にし、ユーザに継続的な治療を促すことができる。
【0155】
<報酬付与手段32bに関する変形例>
上記実施形態においては、報酬はランチャーアプリで設定できる称号であるとして説明したが、これに限られず、ユーザのゲームをプレイすることに対するモチベーションを高めるものが含まれる。例えば、報酬は各ゲームにおいて使用できるゲーム媒体であってもよい。
【0156】
ゲーム媒体とは、ゲームに関する要素を表した電子データであって、ゲーム内でクエスト及びステージ等をプレイするために消費するパラメータ(例えば、スタミナ)、キャラクタ、キャラクタが仮想ゲーム空間内にて使用するアイテム(例えば、武器、防具、道具)等が含まれる。
【0157】
また、報酬付与条件は適宜変更されるものであってもよい。例えば、ユーザが任意の報酬付与条件を達成した場合、新たな報酬付与条件が追加されてもよい。他にも、例えば、診断者が情報管理用端末装置2等を用いて報酬付与条件を変更又は追加してもよい。
【0158】
また、報酬付与条件はユーザごとに異なるものであってもよい。例えば、ユーザαはゲームAの報酬付与条件が「ゲームAの累計プレイ時間10時間」であるところ、ユーザβのゲームAの報酬付与条件は「ゲームAの累計プレイ時間20時間」であってもよい。
【符号の説明】
【0159】
1 ゲームシステム
2 情報管理用端末装置
3 情報管理サーバ装置
4 ゲーム用端末装置
5 ゲームサーバ装置
42c 表示手段
42d 受付手段
42e ゲーム実行手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10