(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029836
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】プログラム、端末装置、およびシステム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/69 20140101AFI20240229BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240229BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20240229BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240229BHJP
【FI】
A63F13/69
A63F13/79
A63F13/53
G06Q30/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132242
(22)【出願日】2022-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】福西 藍
(72)【発明者】
【氏名】槙石 隆
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】複数のプログラムの中から報酬の付与先を設定するにあたって、ユーザそれぞれにとって適切なプログラムにすることができるプログラム、端末装置、およびコンピュータシステムを提供する。
【解決手段】プログラムは、患者端末5を、ユーザの行動履歴を取得する履歴取得手段5631と、行動履歴に基づく第1条件に応じて、ユーザに報酬を付与するか否かを判定する判定手段564と、判定手段564によりユーザに報酬を付与すると判定された場合に、第1条件とは異なる行動履歴に基づく第2条件、またはユーザの選択に応じて、プログラムと異なる他のプログラムを含む複数の候補プログラムの中から、報酬の付与先である1以上の付与先プログラムを決定する決定手段565、として機能させるものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムであって、
コンピュータを、
ユーザの行動履歴を取得する履歴取得手段と、
前記行動履歴に基づく第1条件に応じて、前記ユーザに報酬を付与するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記ユーザに報酬を付与すると判定された場合に、前記第1条件とは異なる前記行動履歴に基づく第2条件、または前記ユーザの選択に応じて、前記プログラムと異なる他のプログラムを含む複数の候補プログラムの中から、前記報酬の付与先である1以上の付与先プログラムを決定する決定手段、として機能させる、
プログラム。
【請求項2】
前記行動履歴は、所定期間、それぞれの前記候補プログラムを前記ユーザが実行した実行量を示し、
前記決定手段は、前記実行量に基づいて、前記付与先プログラムを決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記候補プログラムは、ユーザの操作入力に基づいて進行されるゲームを実行するためのゲームプログラムであり、
前記実行量は、前記ゲームの進捗度合い、または、前記ゲームの試行量に基づいて特定される、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記所定期間は、複数の単位期間を含み、
前記決定手段は、直近の前記単位期間における前記実行量に基づいて、前記付与先プログラムを決定する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記行動履歴は、所定期間、それぞれの前記候補プログラムを前記ユーザが実行した実行量を示し、
前記コンピュータに、
前記実行量に基づいて、それぞれの前記候補プログラムにおいてポイントを蓄積する蓄積手段と、
それぞれの前記候補プログラムの蓄積された前記ポイントを比較可能に表示させるポイント表示手段と、
として機能させ、
前記第1条件は、前記蓄積されたポイントが閾値以上であることを含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに、
蓄積された前記ポイントに基づいて、前記報酬の候補である報酬候補を特定する特定手段と、
特定された複数の前記報酬候補を前記ユーザに提示する提示手段と、
提示された複数の前記報酬候補の中から前記ユーザにより選択された前記報酬候補を、前記報酬として受け付ける受付手段として機能させ、
前記決定手段は、選択された前記報酬に対応付けられた候補プログラムを、前記付与先プログラムとして決定する、
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記行動履歴は、前記ユーザの心身または能力の状態を診断する診断者によって設定された前記ユーザの行動方針にそって前記ユーザが行動した履歴を含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記行動方針は、複数の前記候補プログラムの少なくとも一つを前記ユーザが実行することを含み、
前記行動履歴は、前記ユーザによる前記候補プログラムの実行量を含む、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記行動履歴は、前記診断者により確認入力された行動の履歴であって前記ユーザの前記行動方針にそった行動の履歴を含む、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項10】
前記行動履歴は、前記候補プログラムの実行に関連しない行動の履歴を含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項11】
前記判定手段は、前記候補プログラムにおける前記ユーザの実行量と、前記候補プログラムの実行に関連しない行動と、の組み合わせに基づいて、前記第1条件の成就を判定する、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のプログラムを記憶する記憶部と、
前記プログラムを実行する制御部と、を備える、
端末装置。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載のプログラムを記憶する記憶部と、
前記プログラムを実行する制御部と、を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、端末装置、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の条件をユーザが達成したことによる報酬(例えば、アプリで利用可能な価値情報など)をこのユーザに付与する技術が知られている(非特許文献1参照)。この技術では、例えば、複数のゲームのプログラムに対してそれぞれ設定された個別達成条件を複数のゲームのプログラムそれぞれにおいて達成し、かつ報酬を付与する条件を満たした場合には、ユーザに報酬を付与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、複数のプログラムのうち報酬の付与先となるプログラムは、全てのユーザに対して画一的に予め設定されている。しかしながら、このように設定されている付与先が必ずしも全てのユーザに適したものになっておらず、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、複数のプログラムの中から報酬の付与先を設定するにあたって、ユーザそれぞれにとって適切なプログラムにすることができるプログラム、端末装置、およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面は、プログラムであって、コンピュータを、ユーザの行動履歴を取得する履歴取得手段と、行動履歴に基づく第1条件に応じて、ユーザに報酬を付与するか否かを判定する判定手段と、判定手段によりユーザに報酬を付与すると判定された場合に、第1条件とは異なる行動履歴に基づく第2条件、またはユーザの選択に応じて、プログラムと異なる他のプログラムを含む複数の候補プログラムの中から、報酬の付与先である1以上の付与先プログラムを決定する決定手段、として機能させるプログラムである。
【0007】
また、第1の側面において、行動履歴は、所定期間、それぞれの候補プログラムをユーザが実行した実行量を示し、決定手段は、実行量に基づいて、付与先プログラムを決定することができる。
【0008】
また、第1の側面において、候補プログラムは、ユーザの操作入力に基づいて進行されるゲームを実行するためのゲームプログラムであり、実行量は、ゲームの進捗度合い、または、ゲームの試行量に基づいて特定されることができる。
【0009】
また、第1の側面において、所定期間は、複数の単位期間を含み、決定手段は、直近の単位期間における実行量に基づいて、付与先プログラムを決定することができる。
【0010】
また、第1の側面において、行動履歴は、所定期間、それぞれの候補プログラムをユーザが実行した実行量を示し、コンピュータに、実行量に基づいて、それぞれの候補プログラムにおいてポイントを蓄積する蓄積手段と、それぞれの候補プログラムの蓄積されたポイントを比較可能に表示させるポイント表示手段と、として機能させ、第1条件は、蓄積されたポイントが閾値以上であることを含むことができる。
【0011】
また、第1の側面において、コンピュータに、蓄積されたポイントに基づいて、報酬の候補である報酬候補を特定する特定手段と、特定された複数の報酬候補をユーザに提示する提示手段と、提示された複数の報酬候補の中からユーザにより選択された報酬候補を、報酬として受け付ける受付手段として機能させ、決定手段は、選択された報酬に対応付けられた候補プログラムを、付与先プログラムとして決定することができる。
【0012】
また、第1の側面において、行動履歴は、ユーザの心身または能力の状態を診断する診断者によって設定されたユーザの行動方針にそってユーザが行動した履歴を含むことができる。
【0013】
また、第1の側面において、行動方針は、複数の候補プログラムの少なくとも一つをユーザが実行することを含み、行動履歴は、ユーザによる候補プログラムの実行量を含むことができる。
【0014】
また、第1の側面において、行動履歴は、診断者により確認入力された行動の履歴であってユーザの行動方針にそった行動の履歴を含むことができる。
【0015】
また、第1の側面において、行動履歴は、候補プログラムの実行に関連しない行動の履歴を含むことができる。
【0016】
また、第1の側面において、判定手段は、候補プログラムにおけるユーザの実行量と、候補プログラムの実行に関連しない行動と、の組み合わせに基づいて、第1条件の成就を判定することができる。
【0017】
第2の側面は、上記第1の側面として記載のプログラムを記憶する記憶部と、プログラムを実行する制御部と、を備える端末装置である。
【0018】
第3の側面は、上記第1の側面として記載のプログラムを記憶する記憶部と、プログラムを実行する制御部と、を備えるコンピュータシステムである。
【0019】
本開示によれば、複数のプログラムにおいて条件を達成したことによる報酬の付与先を、ユーザそれぞれにとって適切なプログラムにすることができるプログラム、端末装置、およびシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態における支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における支援システムの概要を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態における支援システムがディスプレイに表示する画面例および画面遷移の例を示す図である。
【
図4】第1実施形態における支援システムがディスプレイに表示する画面例および画面遷移の例を示す図である。
【
図5】第1実施形態における支援システムがディスプレイに表示する画面例および画面遷移の例を示す図である。
【
図6】第1実施形態における支援システムの一連の動作を表すシーケンス図である。
【
図7】第1実施形態における支援システムの一連の動作を表すシーケンス図である。
【
図8】第2実施形態における支援システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
本開示の第1実施形態(以下、「本実施形態」ともいう)にかかる支援システム1について、図面を参照して説明する。
【0022】
<支援システムの説明>
支援システム1は、コンピュータシステムの一態様であり、治療中の患者であるユーザ(以下、「患者ユーザ」ともいう)が治療用ゲームをプレイすること、通院することなどの治療のための行動(以下、「治療行動」ともいう)を支援するためのシステムである。ここで治療用ゲームとは、例えば、治療を目的としたゲームであってもよいし、遊びを目的とした一般的なゲームであって医者等の専門家が患者ユーザの治療のために指定したゲーム(言い換えれば、処方したゲーム)であってもよい。
【0023】
図1に示すように、支援システム1は、管理サーバ2、ゲームサーバ3、患者ユーザが使用する患者端末5、および診断者であるユーザ(以下、「診断者ユーザ」ともいう)が使用する診断者端末7にて構成される。診断者とは、患者ユーザの心身または能力の状態を診断する者である。患者端末5および診断者端末7を含む支援システム1のユーザが使用する端末について、以下、特に区別の必要がない場合は、総称して、「ユーザ端末」ともいう。支援システム1では、管理サーバ2および複数のユーザ端末が通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されている。
【0024】
管理サーバ2は、支援システム1を運営する運営者などが使用する情報処理装置である。管理サーバ2は、所定のプログラム(以下、「サーバプログラム」ともいう)を実行することにより、ユーザ端末と連携して、患者ユーザの行動履歴を患者端末5や診断者端末7から収集したり、収集した行動履歴を管理したり、管理している行動履歴を患者端末5や診断者端末7に連携したりする機能を実現する。
【0025】
行動履歴は、患者ユーザが行動した履歴を示す情報である。行動履歴は、例えば、行動がゲームの場合、ゲームを実行した実行履歴(いわゆる、プレイログ)であってもよい。
【0026】
行動履歴は、例えば、所定期間、それぞれの候補プログラムをユーザが実行した実行量(以下、単に「実行量」ともいう)を示してもよい。
【0027】
候補プログラムは、報酬を付与する候補のプログラムである。候補プログラムは、例えば、ユーザの操作入力に基づいて進行されるゲームを実行するためのプログラム(以下、「ゲームプログラム」ともいい、例えば、ゲームアプリである)であってもよい。
【0028】
実行量は、例えば、所定期間において候補プログラムを実行した回数および/または実行した時間それぞれの統計値(例えば、合計値、中央値、または平均値など)であってもよい。また、実行量は、例えば、候補プログラムがゲームプログラムである場合、ゲームの進捗度合い、またはゲームの試行量に基づいて特定されてもよい。ゲームの進捗度合いは、言い換えればゲームの進行量であって、例えば、N(N:自然数)ステージ中どのステージまでクリアしたかなどを示してもよい。また、ゲームの試行量は、例えば、ゲームのプレイ時間、またはセッション実行数などであってもよい。また、セッション実行数は、例えば、ゲームサーバ3と患者端末5との間のセッション、または複数の患者端末5の間でのセッション(いわゆる、オンラインセッションを含む)を開始し終了するまでの一連の通信を1回としてカウントした数であってもよい。
【0029】
行動履歴は、例えば、診断者ユーザによって設定された患者ユーザの行動方針(以下、単に「行動方針」ともいう)にそって患者ユーザが行動した履歴を含んでもよい。行動方針は、例えば、患者ユーザの診断の結果を示す診断情報に含まれてもよい。診断情報の詳細は後述する。このような構成によれば、診断者ユーザが設定した行動方針にそって患者ユーザが行動したかどうかが行動履歴により判定可能になる。このため、行動履歴に基づく第1条件による報酬を付与するかどうかの判定においても、行動履歴に基づく第2条件による付与先プログラムの決定においても、行動方針にそった行動をしたかどうかをふまえて行うことができる。したがって、例えば、報酬を付与することで行動方針にそった行動を行うよう患者ユーザに対して促進することができる。また例えば、行動方針で診断者ユーザが指定したプログラムを実行していない場合には、このプログラムを付与先プログラムに決定して、行動方針どおりにこのプログラムを実行する意欲を高めることができる。
【0030】
行動方針は、例えば、複数の候補プログラムの少なくとも一つを患者ユーザが実行することを含んでもよい。具体的には、行動方針は、「ゲームアプリAを1日1回実行すること」を含んでもよい。この場合、行動履歴は、患者ユーザによる候補プログラムの実行量を含んでもよい。このような構成によれば、患者ユーザに対して診断者が設定したプログラムを実行する意欲を高めることができる。
【0031】
行動履歴は、例えば、診断者ユーザにより確認入力された行動の履歴であって患者ユーザの行動方針にそった行動の履歴を含んでもよい。行動履歴は、例えば、診断情報に含まれてもよい。具体的には、行動履歴は、行動方針どおり患者ユーザが通院したことを診断者ユーザが診察で確認し、その確認の結果として診断者端末7から診断者ユーザが入力した通院の履歴を、診断情報としてもよい。このような構成によれば、診断者ユーザにより確認された患者ユーザの行動に基づいて報酬を付与するか否かを判定したり、付与先プログラムを決定したりすることができる。例えば、患者ユーザが服薬したことを自己申告として単に患者端末5に入力しただけの場合と比較して、患者ユーザが服薬したことを診断者ユーザが確認した場合は信頼できる情報となる。このため、より精度よく患者ユーザの治療行動をとらえることができる。
【0032】
行動履歴は、例えば、候補プログラムの実行に関連しない行動の履歴を含んでもよい。具体的には、行動履歴は、患者ユーザの心身または能力の状態を改善するための行動の履歴として、通院、および/または服薬の履歴を含んでもよい。このような構成によれば、患者ユーザの心身または能力の状態を改善するための行動として、情報処理技術を用いない方法による行動によっても報酬を付与するか否かを判定したり、付与先プログラムを決定したりすることができる。
【0033】
所定期間は、行動履歴の対象の期間である。所定期間は、例えば、患者ユーザが治療を開始してから取得手段563による行動履歴の取得時点までの期間であってもよい。他の例として、所定期間は、診断者ユーザにより設定された任意の期間(例えば、前回の診断から今回の診断までの期間、1年間、または半年間など)であってもよい。また、所定期間は、例えば、複数の単位期間を含んでもよい。単位期間は、例えば、時間単位、日単位、月単位、または年単位の期間であってもよい。
【0034】
ゲームサーバ3は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、ゲームを実行するユーザのアカウントごとのゲームデータおよびゲームの実行状況の管理を行う。ゲームデータとは、ゲーム進行に必要なデータおよびゲームのプレイデータなどを含む。
【0035】
患者端末5は、患者ユーザが使用する情報処理装置である。患者端末5は、スマートフォンやラップトップなどの汎用的な端末装置であってもよい。患者端末5は、所定のプログラム(以下、「端末プログラム」ともいう)を実行することにより、支援システム1に関するUIを患者ユーザに提供したり、支援システム1に関する複数のプログラムを制御したりする。端末プログラムは、例えば、支援システム1専用の患者向けのアプリケーションプログラム(以下、「支援アプリ」ともいう)と、ゲームのアプリケーションプログラム(以下、「ゲームアプリ」ともいう)を含む。支援アプリは、患者ユーザの治療行動(例えば、通院や服薬、治療用ゲームのプレイなど)を支援するためのアプリであって、例えば、ネイティブアプリであってもよい。また他の例として、支援アプリの一部または全部に替えて、情報処理装置に汎用的に備わっているWebブラウザで実現してもよい。この場合、患者ユーザは、Webブラウザ介して管理サーバ2が提供するWebサイト(以下、「支援サイト」ともいう)を利用する。例えば、支援アプリおよびゲームアプリは、通信ネットワーク6を介して、管理サーバ2やアプリケーションストアからダウンロードし、インストールおよびセットアップをして、支援システム1をユーザが利用できるようにする。
【0036】
支援アプリは、例えば、複数のゲームアプリそれぞれのアイコンなどの起動のためのUIをまとめて表示させて、複数のゲームアプリそれぞれを起動させる(言い換えれば、呼び出す)ためのアプリ(いわゆる、ランチャーアプリ)であってもよい。支援アプリは、例えば、ゲームアプリのそれぞれを起動させる際に、ゲームアプリのそれぞれが備える複数の動作モードのうち患者ユーザに指定された動作モード、または予め設定された動作モードで起動させてもよい。本実施形態では、ゲームアプリのそれぞれが、通常のゲームのプレイができる動作モード(以下、「通常モード」ともいう)と、患者の治療用に設けられた動作モード(以下、「治療モード」ともいう)との2種類の動作モードを備える例を説明する。なお、他の例として、支援アプリがゲームアプリを兼ねてもよい。すなわち、支援アプリが、自アプリが提供するゲームと他のゲームアプリが提供するゲームとをまとめて表示させてもよい。
【0037】
診断者端末7は、診断者ユーザが使用する情報処理装置である。診断者端末7は、例えば、スマートフォンやラップトップなどの汎用的な端末装置であってもよい。診断者端末7は、所定のプログラムを実行することにより、患者ユーザの診断情報を管理サーバに送信したり、管理サーバ2から患者ユーザの行動履歴を受信したり、支援システム1に関するUIを診断者ユーザに提供したりする。
【0038】
支援システム1では、ユーザそれぞれのアカウント発行にあたって、ユーザ識別情報(例えば、ユーザID)およびパスワードを含むアカウント情報が、ユーザごとに割り当てられている。このアカウント情報は、ユーザのアカウント認証に利用される。具体的には、このアカウント情報は、支援アプリやWebブラウザからのログイン時、ユーザ端末から管理サーバ2にログイン要求として送信され、管理サーバ2においてアカウント認証の処理が実行される。そして、アカウント認証を経て、管理サーバ2とユーザ端末との相互通信が可能となる。
【0039】
<支援システムの概要>
ここで
図2を参照して、支援システム1の概要を説明する。
【0040】
(1)
図2に示すように、支援システム1では、まず診断者ユーザが、患者ユーザを診察し、診察の結果に基づいて診断して、薬や治療に適したゲームを処方する。(2)診断者ユーザは、この診断の結果を示す診断情報を、管理サーバ2に登録するために、管理サーバ2が提供する支援サイトの画面に入力する。管理サーバ2は、この支援サイトを介して診断情報を受け付けて、自装置の記憶部(不図示)に登録する。
【0041】
診断情報は、例えば、各種検査の結果、診断者の所見、治療方針(後述する患者ユーザの行動方針を含む)などを含んでもよい。診断者の所見とは、例えば、患者ユーザの健康状態、認知症状、精神疾患、認知機能レベル、ストレスレベル、身体障害レベル、職業能力レベル、および/または知的能力レベルなどを含んでもよい。また例えば、患者ユーザを認知症と診断者ユーザが診断した場合、診断情報は、例えば、認知機能レベルの評価を示す評価情報を含んでもよい。
【0042】
診断者は、例えば、医師、資格を有する専門家、医療機関、および/または専門機関などである。
【0043】
(3)患者ユーザは、診断者ユーザの処方に基づいて、治療用ゲームをするために、患者端末5にインストールされた支援アプリのアイコンを操作して起動を要求する。(4)患者端末5は、この要求に基づいて支援アプリを起動させる。(5)起動された支援アプリは、管理サーバ2と連携して患者ユーザのアカウント認証を実行させる。このアカウント認証が成功すると、支援アプリはホーム画面810(
図3~5を参照)を表示する。
【0044】
(6)患者端末5の支援アプリは、ホーム画面810から遷移させてゲームメニュー画面860を表示させる。ゲームメニュー画面860は、複数のゲームアプリ(本例で、ゲームアプリA~Cとする)を起動させるためのボタンをまとめて一覧で表示する。(7)患者ユーザは、ゲームアプリA~Cの中からゲームアプリAのボタン(
図2~5では、「ゲームA」と表記)を押下して実行を要求する。(8)支援アプリは、この要求に基づいてゲームアプリAを医療モードで起動させる。支援アプリは、医療モードでゲームアプリを起動させる際に、医療モードパラメータを引数としてゲームアプリを呼び出してもよい。ゲームアプリAは、この医療モードパラメータに基づいてゲームAを実行させる。具体的には、(9)まず、ゲームアプリAは、ゲームサーバ3にゲームデータの取得要求を送信する。この取得要求は、医療モードパラメータを含む。(10)ゲームサーバ3は、受信した取得要求に含まれる医療モードパラメータに応じたゲームデータを患者端末5のゲームアプリAに送信する。(11)ゲームアプリAは、ゲームサーバ3からゲームデータを受信して、この受信したゲームデータに基づいてゲームAを実行させる。
【0045】
医療モードパラメータは、動作モードが医療モードの場合、診断者の診断情報に応じてゲーム内容に変更を加えるための制御パラメータであり、例えばゲームの難易度や、ゲーム内で付与されるゲーム媒体の付与数などに変更を加える制御パラメータである。
【0046】
ゲーム媒体は、ゲームに関する要素を表した電子データであって、プレイヤキャラクタとして使用するキャラクタの名称、プレイヤキャラクタが仮想ゲーム空間内にて使用するアイテム(例えば、武器、防具、道具など)などが含まれる。付与されたゲーム媒体は、そのゲーム媒体を付与された所有することとなった患者ユーザのアカウント情報(識別情報)と対応づけられて、ゲームサーバ3の記憶部に記憶され管理される。
【0047】
(12)患者端末5のゲームアプリAは、患者ユーザがゲームAを実行した履歴を示す実行履歴をゲームサーバ3に送信する。また、支援アプリは、この実行履歴をゲームアプリAから取得して、管理サーバ2に送信する。(13)管理サーバ2は、受信した実行履歴に基づいて、診断者ユーザに対して、診断者端末7に表示させた支援サイトの画面から患者ユーザのゲームAの実行履歴を提示する。
【0048】
<患者端末の構成>
図1に戻って説明を続ける。以下、患者端末5のハードウェア構成および機能構成について説明する。
【0049】
患者端末5は、ネットワークインタフェース51、出力部52、入力部53、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインタフェース51、出力部52、入力部53、および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0050】
ネットワークインタフェース51は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介して管理サーバ2とゲームサーバ3と他のユーザ端末と通信可能接続されている。
【0051】
―出力部―
出力部52は、画面による出力の場合、制御部56の制御によって(具体的には、制御部56から出力される制御のための情報に基づいて)、各種画像やテキストなどを含む支援サイトや支援アプリの画面を出力するための出力情報を生成する。そして出力部52は、この生成した出力情報に基づいて、接続されたディスプレイ(不図示)上に支援サイトや支援アプリの各種画面を出力する。また、出力部52は、音声による出力の場合、制御部56から出力される情報に基づいて、音声を再生および合成して、接続されたスピーカ(不図示)に音声出力させる。
【0052】
―入力部―
入力部53は、接続されたタッチパッドやキーボードなどの周辺機器(不図示)に対する患者ユーザの操作入力に関するデータをこれらの周辺機器との間で送受信する。例えば、患者ユーザは、このタッチパッドをタッチすることで、患者端末5に操作信号を入力する。
【0053】
―記憶部―
記憶部55は、主記憶装置、補助記憶装置または外部記憶装置などのプログラムやデータを記憶する装置である。記憶部55は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成される。記憶部55には、本実施形態にかかる端末プログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザ情報551などが記憶されている。
【0054】
本実施形態にかかるプログラム(端末プログラムを含む)は、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0055】
ユーザ情報551は、ユーザのアカウントごとに(言い換えれば、ユーザ識別情報ごとに)、アカウント情報、対応するユーザのユーザ識別情報、行動履歴、診断情報、対応するユーザに適用される条件を示す条件情報などが、関連付けられて記憶されている。
【0056】
条件情報は、例えば、第1条件を示す情報(以下、「第1条件情報」ともいう)を含んでもよい。第1条件は、ユーザの行動履歴に基づく条件であって、このユーザに報酬を付与するか否かを判定するための条件である。また、条件情報は、例えば、第1条件とは異なる第2条件を示す情報(以下、「第2条件情報」ともいう)を含んでもよい。第2条件は、ユーザの行動履歴に基づく条件であって、報酬の付与先のプログラム(例えば、ゲームアプリ)を決定するための条件である。
【0057】
―制御部―
制御部56は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置5の動作を制御する、すなわちデータの演算、加工及び転送並びにプログラムの実行や他の装置の制御などを担う処理装置(例えば、プロセッサなど)である。制御部56は、記憶部55に格納されているプログラムを実行することにより、患者端末5における様々な機能を実現することができる。
【0058】
制御部56は、端末プログラム(具体的には、支援アプリやゲームアプリ)を含む各種プログラムを実行することにより、通信手段561、受付手段562、取得手段563、判定手段564、決定手段565、蓄積手段566、特定手段567、および提示手段568として機能する。
【0059】
―通信手段―
通信手段561は、ネットワークインタフェース51を介して管理サーバ2やゲームサーバ3、または他のユーザ端末との通信を行う機能である。
【0060】
通信手段561は、入力部がタッチパッドから受信した各種操作信号に応じて、管理サーバ2やゲームサーバ3、または他のユーザ端末が把握可能な情報を生成して送信する。例えば、通信手段561は、アカウント情報、新たなアカウントの発行要求、支援サイトや支援アプリへのログインの際のアカウントの認証要求、条件情報の取得要求(言い換えれば、ダウンロード要求)、ユーザ情報などを、管理サーバ2に送信する。また、通信手段561は、管理サーバ2から送られてきた診断情報(行動履歴を含む)、後述する換算レートを示すレート情報、条件情報などを受信する。通信手段561は、ゲームサーバ3に、新たなゲームデータの取得要求、ゲームデータ、ゲームにおける報酬の付与指示などを送信する。また、通信手段561は、ゲームサーバ3から送られてきた新たなゲームデータなどを受信する。
【0061】
-受付手段―
受付手段562は、ユーザから、各種選択や指示、または要求などを受け付ける。受付手段562は、例えば、患者ユーザから、新たなアカウントの発行要求や発行された患者用アカウントの認証要求を受け付ける。
【0062】
受付手段562は、例えば、後述する提示手段568により提示された複数の報酬候補の中からユーザにより選択された報酬候補を、報酬として受け付けてもよい。
【0063】
-取得手段―
取得手段563は、管理サーバ2やゲームサーバ3、または他のユーザ端末から、各種情報を取得する。
【0064】
-履歴取得手段―
取得手段563は、履歴取得手段5631を備える。履歴取得手段5631は、患者ユーザの行動履歴を記憶する記憶部から、この行動履歴を取得する。行動履歴を記憶する記憶部は、例えば、自装置5の記憶部55であってもよいし、管理サーバ2の記憶部であってもよい。また例えば、行動履歴がゲームの実行履歴である場合、行動履歴を記憶する記憶部は、ゲームサーバ3の記憶部であってもよい。
【0065】
-判定手段―
判定手段564は、第1条件に応じて、患者ユーザに報酬を付与するか否かを判定する。判定手段564は、例えば、第1条件が「候補プログラムにおける所定期間の実行量が閾値以上であること」を含み、この第1条件を達成した場合、すなわち所定期間における実行量が閾値以上となる場合、判定手段564は患者ユーザに報酬を付与すると判定してもよい。より具体的には、候補プログラムがゲームプログラムであって、第1条件が「所定期間においてゲームの実行回数が閾値以上であること」を含み、所定期間におけるゲームの実行回数が閾値以上となった際、判定手段564は患者ユーザに報酬を付与すると判定してもよい。
【0066】
第1条件は、例えば、「蓄積手段566により蓄積されたポイント(以下、単に「ポイント」ともいう)が閾値以上であること」を含んでもよい。言い換えれば、ポイントは、支援システム1内で患者ユーザが報酬を獲得するために使用可能なものであってもよい。蓄積手段566は報酬を付与する対価として所定のポイント数を消費させてもよい。判定手段564は、例えば、閾値が1000ポイントと設定されている場合、蓄積されたポイントの累計が1000ポイント以上であれば、患者ユーザに報酬を付与すると判定してもよい。他方、蓄積されたポイントの累計が1000ポイント未満であれば、判定手段564は、患者ユーザに報酬を付与しないと判定する。
【0067】
ポイントに関して、報酬がゲームプログラムで使用可能なゲーム媒体の場合、ゲーム媒体ごとに、報酬として付与するにあたってポイントに換算する際のレート(以下、「換算レート」ともいう)が設定されていてもよい。換算レートは、例えば、各ゲーム媒体と、ゲーム媒体それぞれを所定数(例えば、1個)獲得するために必要なポイント数とを対応付けるものであってもよい。より具体的には、換算レートは、ゲーム媒体Aを1個獲得するために必要なポイント数(例えば、300ポイントなど)を示すものであってもよい。
【0068】
判定手段564は、例えば、(ア)候補プログラムにおけるユーザの実行量と、(イ)候補プログラムの実行に関連しない行動と、の組み合わせに基づいて、第1条件の成就を判定してもよい。例えば、上記(ア)は各ゲームアプリにおけるプレイ時間で、上記(イ)は通院または服薬であってもよい。このような構成によれば、患者ユーザの治療行動が候補プログラムの実行に偏ったり、また逆に通院や服薬のみに行動が限定されたりすることなくバランスよく患者ユーザの治療行動を促進することができる。
【0069】
-決定手段―
決定手段565は、判定手段564により患者ユーザに報酬を付与すると判定された場合に、第2条件またはユーザの選択に応じて、自プログラム(例えば、支援アプリ)と異なる他のプログラム(例えば、ゲームアプリ)を含む複数の候補プログラムの中から、報酬の付与先である1以上の付与先プログラムを決定する。複数の候補プログラムは、例えば、自プログラムとは異なる他のプログラムを含むが、自プログラムは含まれてもよいし含まれなくてもよい。なお、付与される報酬の内容は、付与先ごとに予め設定されていてもよい。例えば、ゲームアプリAであれば、ゲームAの特定のゲーム媒体(例えば、ブースターアイテム1×3個など)であってもよい。また、報酬の内容は、さらに患者ユーザごとに設定されていてもよい。
【0070】
決定手段565は、例えば、複数の候補プログラムの中からユーザが選択した候補プログラムを、付与先プログラムとして決定してもよい。
【0071】
決定手段565は、例えば、第2条件が「単位期間において実行回数が最も多いプログラム」とする場合、複数の候補プログラムの中から単位期間において実行回数が最も多い候補プログラムを、付与先プログラムとして決定してもよい。この実行回数は、具体的には、プログラムの起動回数もしくはログイン回数、特定の機能の開始回数、またはゲームパートの開始回数もしくはクリア回数であってもよい。また、決定手段565は、例えば、候補プログラムがゲームプログラムの場合、行動履歴に示された各ゲームプログラムの実行履歴が、行動方針にそっている割合が最も高いゲームプログラムを付与先プログラムとして決定してもよい。
【0072】
上記構成によれば、決定手段565は、ユーザの行動履歴またはユーザの選択に応じて、報酬の付与先プログラムを決定することができる。このため、ユーザがその時点までにとってきた行動にそって、またはユーザの希望にそって柔軟に付与先プログラムを決定することができる。したがって、複数のプログラムの中から報酬の付与先を設定するにあたって、ユーザそれぞれにとって適切なプログラムにすることができる。また、付与先プログラムが診断者ユーザから処方されたゲーム(以下、「処方ゲーム」ともいう)のプログラムの場合、これにより、患者ユーザに対してこの処方ゲームを継続させる意欲を高めることができる。
【0073】
決定手段565は、例えば、行動履歴に示された候補プログラムそれぞれの実行量に基づいて、付与先プログラムを決定してもよい。決定手段565は、例えば、実行量をログイン回数とする場合、複数の候補プログラムの中で所定期間において最もログイン回数が多い候補プログラムを付与先プログラムとして決定してもよい。また、候補プログラムがゲームプログラムであり、実行量をゲームのプレイ時間(言い換えれば、ゲームの実行時間)とする場合、決定手段565は、複数の候補プログラムの中で所定期間において最もプレイ時間の合計値が大きい候補プログラムを付与先プログラムとして決定してもよい。すなわち、定量的によくプレイしているゲームに報酬を付与することでこのゲームに対する意欲を高め、ゲームをプレイすること自体の楽しさを知ってもらうことができる。また、逆に、同じような場合でも、診断者ユーザが登録した治療方針により、決定手段565は、プレイ時間の合計値が最も小さい候補プログラムを付与先プログラムとして決定してもよい。例えば、診断者ユーザが推奨するゲームを患者ユーザが全くプレイしていない場合、試しにプレイさせるきっかけを与えるためにこのゲームを報酬の付与先プログラムとして決定してもよい。
【0074】
上記構成によれば、決定手段565は、ユーザが候補プログラムのそれぞれに対して、どの程度意欲をもって取り組んでいるかを定量的に示す実行量により報酬の付与先を決定ることができる。このため、例えば処方ゲームの中で最もプレイ時間の多いゲームは患者ユーザが相対的に好んでプレイしているゲームである可能性が高く、このゲームのプログラムを報酬の付与先とすることでさらにユーザに処方ゲームのプレイ意欲を高めることができる。
【0075】
決定手段565は、例えば、複数の単位期間のうち直近の単位期間における実行量に基づいて、付与先プログラムを決定してもよい。決定手段565は、例えば、単位期間を「1日」、すなわち日単位で実行量をはかる場合、直近の3日間において最もプレイ回数の合計値が多い候補プログラムを付与先プログラムとして決定してもよい。例えば、所定期間が半年の場合、1か月前まではゲームAに熱中してプレイしていたが、患者ユーザの嗜好が変わり、ここ最近はゲームBの方を熱中してプレイしているという場合がある。このような構成によれば、決定手段565は、患者ユーザの嗜好などの状態が変化しても、決定時点の患者ユーザの最新の状態に合ったプログラムを報酬の付与先に決定することができる。
【0076】
決定手段565は、例えば、受付手段562により受け付けられた患者ユーザにより選択された報酬に対応付けられた候補プログラムを、付与先プログラムとして決定してもよい。このような構成によれば、決定手段565は、患者ユーザが報酬を付与してほしいと希望するプログラムを、報酬の付与先に決定することができる。
【0077】
決定手段565は、例えば、(ア)候補プログラムにおけるユーザの実行量と、(イ)候補プログラムの実行に関連しない行動と、の組み合わせに基づいて、複数の候補プログラムの中から、1以上の付与先プログラムを決定してもよい。
【0078】
-蓄積手段―
蓄積手段566は、行動履歴に示された候補プログラムのそれぞれの実行量に基づいて、それぞれの候補プログラムにおいてポイントを蓄積する。蓄積手段566は、蓄積したポイントを示すポイント情報を、ユーザ情報551として記憶部55に記憶させてポイントを管理する。蓄積手段566は、例えば実行量がゲームアプリのゲームの実行回数である場合、実行回数10回分につき1ポイントを患者ユーザに付与してそれを蓄積していってもよい。また、候補プログラムのそれぞれの実行量は、互いに異なる種類の実行量であってもよい。例えば、蓄積手段566は、ゲームアプリAの実行量はゲームAの実行回数とし、他方ゲームアプリBの実行量はゲームBのクリアしたステージ数(例えば、100ステージ中の50ステージをクリアなど)として、ポイントを蓄積してもよい。また、ポイントは、例えば、
図3の例で示す状況確認画面820のゲージで示したように残高として増減させてもよいし、電子チケットや電子クーポンのようにトークンとして発行してもよいし、スタンプカードのように所定数貯めてから使用可能となるものであってもよい。
【0079】
上記構成によれば、どのような種類の実行量とするか、また1ポイントを蓄積する際にどの程度の実行量を必要とするかについて候補プログラムごとに設定することができる。例えば、候補プログラムがゲームプログラムの場合、対戦ゲームやパズルゲームを提供するものは実行回数を実行量として、他方、アクションゲームやロールプレイングゲームはメインクエストの進捗度合いを実行量とするなど、ゲームの種類に応じた実行量によってポイントを蓄積することができる。このため、候補プログラムが多岐にわたっていても、それぞれの候補プログラム、ひいては患者ユーザとそれぞれの候補プログラムの相性に合わせたポイントの蓄積を行うことができる。
【0080】
-特定手段―
特定手段567は、患者ユーザの提示する各種候補を特定する。特定手段567は、例えば、蓄積手段566により蓄積されたポイントに基づいて、報酬の候補である報酬候補を特定する。また、特定手段567は、例えば、候補プログラムごとに、それぞれの候補プログラムに関する報酬候補を特定してもよい。また、特定手段567は、例えば候補プログラムがゲームのプログラムの場合、ゲームプログラムそれぞれにおいて、蓄積手段566により蓄積されたポイントで獲得可能なゲーム媒体を報酬候補として特定してもよい。より具体的には、特定手段567は、蓄積されたポイントで換算レートに基づいて獲得可能なゲーム媒体を特定し、さらに特定されたゲーム媒体ごとに獲得可能な個数を特定してもよい。
【0081】
-提示手段―
提示手段568は、患者ユーザに、各種情報を提示する。提示手段568がユーザに各種情報を提示する手段は、どのような態様でもよく、例えば、出力部52により画面に表示させてもよいし、特定のファイルに書き込んで出力させてもよい。提示手段568は、画面による出力の場合、各種画像やテキストなどを含む支援サイトや支援アプリの画面を出力するための出力情報を生成してもよい。
【0082】
提示手段568は、特定手段567により特定された複数の報酬候補を患者ユーザに提示する。提示手段568は、例えば、特定手段567により特定された蓄積されたポイントで獲得可能なゲーム媒体をゲームプログラムごとに表示させてもよい。具体的には、提示手段568は、蓄積されたポイントが1000ポイントである場合、後述する
図4、5の例で示す報酬選択画面870のように、1000ポイントを消費して獲得できるゲームA~Cのそれぞれのアイテム(ゲームA:ブースターアイテム1×3個、ゲームB:行動回数増加アイテム×4個、ゲームC:スタミナ回復薬×10個)を報酬候補として表示させてもよい。
【0083】
提示手段568は、ポイント表示手段5681を備えてもよい。ポイント表示手段5681は、それぞれの候補プログラムの蓄積手段566により蓄積されたポイントを比較可能に表示させる。ポイント表示手段5681は、例えば、後述する
図3の例で示す状況確認画面820のように、候補プログラムであるゲームアプリA(ゲームAと表記)とゲームアプリB(ゲームBと表記)のそれぞれにおいて蓄積されたポイントの量を、棒グラフ状のゲージで並べて表示させてもよい。
【0084】
-ゲーム実行手段―
ゲーム実行手段569は、患者ユーザからの操作入力に応じて、ゲームパートを含むゲームを実行する。ゲーム実行手段569は、例えば、患者端末5の入力部53に対するユーザからの操作入力に応じてプレイヤキャラクタを操作しゲームを実行する。また、ゲーム実行手段569は、ゲームを実行するために、ネットワークインタフェース51を介して、ゲームサーバ3からゲームデータとユーザ情報とを受信する。
【0085】
-報知制御手段―
報知制御手段570は、ゲームの実行にあたり、自装置5の患者ユーザの操作などに応じて出力部52における表示制御および音声出力制御を行う。
【0086】
<画面例および画面遷移の例>
図3~5を参照して、提示手段568が患者端末5のディスプレイに表示させる各画面の例と画面遷移の例について説明する。
【0087】
図3は、支援アプリが提供する機能の各種設定のための画面や各種状況を確認するための画面の画面遷移図である。
図3で示す画面の例は、支援アプリの画面の例である。
図3に示すように、患者ユーザが患者端末5の支援アプリを起動させてアカウント認証を経てログインすると、提示手段568はホーム画面810を表示させる。ホーム画面810は、ゲームアプリを起動させるためのプレイボタン811と、状況確認画面820を表示させるための状況確認ボタン812(
図3では、「ミッション状況」と表記)と、報酬設定画面830を表示させるための報酬設定ボタン813と、を含む。
【0088】
患者ユーザが状況確認ボタン812を押下すると、提示手段568は、状況確認画面820(
図3では、「ミッション状況確認画面」と表記)を表示させる。状況確認画面820は、患者ユーザの治療のためのミッションとして診断者ユーザから課された治療行動それぞれの目標値に対してどの程度達成しているかの状況を表示する。この行動それぞれの目標値は、例えば、行動方針に含まれてもよい。
【0089】
状況確認画面820は、診断者から指定された処方ゲームの試行量(例えば、プレイ時間やプレイの進捗度合い)、または服薬や通院の実行量のそれぞれを認識可能にゲージで表示する。具体的には、状況確認画面820は、「1-1.プレイ累計」としてゲームアプリ全体のプレイ時間の目標値(100ポイント)に対する、ゲームアプリのゲームのプレイ時間の累計を表示する。また、状況確認画面820は、「1-2.ゲームA」としてゲームAのプレイ時間の目標値(30ポイント)に対する表示時点までのプレイ時間の累積を示す。また、状況確認画面820は、「1-3.ゲームB」としてゲームBのステージ数の目標値(30ポイント)に対する表示時点までクリアしたステージ数を表示する。また、状況確認画面820は、ゲームAに対して「30P(ポイント)獲得まであと1時間」というメッセージを表示する。すなわち、提示手段568は、患者ユーザがゲームAを追加で1時間実行した場合に30ポイントが蓄積手段566により蓄積されることを予告する。状況確認画面820は、「4.累計獲得ポイント」として、患者ユーザごとに、治療行動全般において蓄積手段566により蓄積されたポイントの累計(900ポイント)を表示する。
【0090】
患者ユーザが報酬設定ボタン813を押下すると、提示手段568は、報酬設定画面830を表示させる。報酬設定画面830は、報酬に関する設定と設定内容の確認をするための画面であり、現在設定されている報酬の付与先プログラム(本例では、ゲームアプリAとし、
図3では「現在の報酬付与先ゲーム:ゲームA」と表記)と、報酬の内容(本例では、ブースターアイテム1を3個)と、を表示する。報酬設定画面830は、ルール設定画面840を表示させるためのルール設定ボタン831を含む。
【0091】
ルール設定ボタン831(
図3では、「選定ルール変更」と表記)を患者ユーザが押下すると、提示手段568は、ルール設定画面840を表示させる。ルール設定画面840は、複数の候補プログラムの中から、付与先プログラムを決定するためのルール(以下、「付与先決定ルール」ともいう)を設定するための画面である。付与先決定ルールは、例えば、(a)第2条件に応じて自動で決定する、(b)ユーザの選択に応じて手動で決定する、の2つの種類があってもよい。ルール設定画面840は、上記(a)のルールで決定するための自動設定領域841と、上記(b)のルールで決定するための手動設定領域842と、画面内のチェックボックスに入力された内容を確定するためのOKボタン843と、を含む。自動設定領域841は、例えば、「ゲームの試行量が最も多い候補プログラム(
図3では、「プレイ活動量1位」と表記)」とするチェックボックスとさらにその下位に、ゲームの試行量を算出する期間に関して、「(所定期間の)累計」と、「(所定期間のうち)直近3日間の累計」との2つのチェックボックスを含む。例えば、
図3の例のように、患者ユーザが、「ゲームの試行量が最も多い候補プログラム」のチェックボックスと「(所定期間の)累計」のチェックボックスの2つにチェックして、OKボタン843を患者ユーザが押下すると、決定手段565は、第2条件に、「所定期間におけるゲームの試行量を累計した値(合計値)が最も大きいこと」を含めるよう付与先決定ルールを設定変更する。
【0092】
図4は、患者ユーザが支援アプリを介してゲームを実行して、またゲームを実行したことによりこの患者ユーザに報酬を付与する際の各種画面の画面遷移図である。
図4で示す画面の例において、ホーム画面810、ゲームメニュー画面860および報酬選択画面870は支援アプリの画面の例である。他方、クリア画面(1/2)910およびクリア画面(2/2)920、930は、ゲームアプリAの画面の例である。
【0093】
図4に示すように、患者ユーザが、ホーム画面810の811を押下すると、提示手段568は、ゲームメニュー画面860を表示させる。ゲームメニュー画面860は、ゲームアプリA~Bのそれぞれを起動させるためのボタンを含む。患者ユーザが、ゲームアプリAを起動させるためのボタン(
図4では、「ゲームA」と表記)を押下すると、支援アプリによりゲームアプリAが起動される。起動されたゲームアプリAは、患者ユーザの操作入力に応じてクエスト1を実行する。
【0094】
クエスト1がクリアすると、ゲームアプリAは、クリア画面(1/2)910を表示する。クリア画面(1/2)910は、次の画面に遷移させるための遷移ボタン911を含み、クエスト1クリアにより患者ユーザに得点が付与される旨などを通知する。
【0095】
患者ユーザが遷移ボタン911を押下すると、提示手段568は、ゲームアプリAに、
図3のルール設定画面840で上記(a)のルールが選定された場合はクリア画面(2/2)920を表示させ、他方、上記(b)のルールが選定された場合はクリア画面(2/2)930を表示させる。
【0096】
クリア画面(2/2)920は、ポイントを付与するための条件を満たしたため100ポイントを獲得、すなわち100ポイントが蓄積手段566により蓄積されたことを患者ユーザに通知する。また、クリア画面(2/2)920は、蓄積されたポイント(1000ポイント)の累計が第1条件を満たしたため、
図3のルール設定画面840で選定された上記(a)ルールに応じて付与先プログラムをゲームアプリAとし、報酬としてゲームAにおけるブースターアイテム1を3個付与する旨を通知する。
【0097】
クリア画面(2/2)930は、クリア画面(2/2)920と同様に、100ポイントを獲得したことを患者ユーザに通知する。また、クリア画面(2/2)930は、蓄積されたポイントの累計が第1条件を満たしたことにより、
図3のルール設定画面840で選定された上記(b)ルールに応じて付与先プログラムをユーザに選択させるための報酬選択画面870を表示する報酬選択ボタン931を含む。
【0098】
患者ユーザが報酬選択ボタン931を押下すると、提示手段568は、報酬選択画面870を表示させる。報酬選択画面870は、報酬の付与先プログラムを患者ユーザが選択するための画面である。報酬選択画面870は、蓄積されたポイントの中から消費するポイント(以下、「消費ポイント」ともいう)ごとに候補プログラムの中から付与先プログラムを選択するための付与先選択領域871と、付与先選択領域871内のチェックボックスに入力された内容を確定するためのOKボタン872と、を含む。
【0099】
付与先選択領域871は、報酬候補領域871aを含む。報酬候補領域871aは、報酬候補を患者ユーザに提示するために、消費ポイントごとに、複数の報酬候補の中から付与する報酬を選択、ひいては候補プログラムの中から付与先プログラムを選択するためのチェックボックスを含む。報酬候補領域871aは、例えば、特定手段567により特定された報酬候補として、消費ポイント1000ポイントで獲得可能なゲームA~Cそれぞれのゲーム媒体とその個数を表示する。また、付与先選択領域871は、参考領域871bを含む。参考領域871bは、蓄積されたポイントから所定範囲(本例では、+1000ポイント)内の消費ポイントが必要な報酬であって蓄積されたポイントを超える消費ポイントが必要なため獲得不可能な報酬を表示する。このような構成によれば、患者ユーザは、ポイントをさらに蓄積することで獲得可能になる報酬を把握することができる。このため、患者ユーザは現時点でポイントを消費して報酬を獲得するか、もう少しポイントを蓄積させてからグレードアップした報酬を獲得するか検討することができる。
図4の例では、報酬候補領域871aにおいてゲームBを付与先プログラムとして選択するようチェックボックスに対してチェックされている。OKボタン872を患者ユーザが押下すると、蓄積手段566は、蓄積されている1000ポイントから消費ポイントである1000ポイントを減算し、支援アプリは、ゲームアプリBに対して、患者ユーザのアカウントに行動回数増加アイテム4個を付与するよう指示する。
【0100】
図5は、患者ユーザが通院をしたことによりこの患者ユーザに報酬を付与する際に表示する各種画面の画面遷移図である。
【0101】
患者ユーザが治療方針にそって通院したことを行動履歴として診断者ユーザが診断者端末7から登録すると、この行動履歴に示された通院の履歴に基づいて、患者ユーザは100ポイントを獲得、すなわち100ポイントが蓄積手段566により蓄積される。患者ユーザがホーム画面810の状況確認ボタン812を押下すると、提示手段568は、状況確認画面820を表示させる前に、通院ミッションクリア画面880をポップアップ表示させる。他の例として、提示手段568は、支援アプリを起動した際に、通院ミッションクリア画面880をポップアップ表示させてもよい。通院ミッションクリア画面880は、通院したことにより100ポイント獲得、すなわち、蓄積手段566により蓄積されたことを患者ユーザに通知する。通院ミッションクリア画面880は、
図3のルール設定画面840で選定された上記(b)ルールに応じて付与先プログラムをユーザに選択させるための報酬選択画面870を表示する報酬選択ボタン881を含む。患者ユーザが報酬選択ボタン881を押下すると、提示手段568は、報酬選択画面870を表示させる。
【0102】
<支援システムの動作の流れ>
図6~7を参照して、支援システム1における処理の流れ・相互作用の一例について説明する。
【0103】
図6(a)は、支援アプリが管理サーバ2から行動履歴を取得して、行動履歴に示された治療や服薬などの治療行動ごとにポイントを蓄積する際の処理の流れ・相互作用を示すシーケンス図である。
【0104】
図6(a)に示すように、まず、診断者端末7は、診断者ユーザから、診断情報の入力を受け付ける(ステップst11)。診断者端末7は、管理サーバ2に、この入力された診断情報を送信する(ステップst12)。管理サーバ2は、診断者端末7から診断者情報を受信すると、自装置の記憶部にこの診断情報を登録する(ステップst13)。管理サーバ2は、登録された診断情報および/または行動方針から、通院や服薬などの治療行動の行動履歴を抽出する(ステップst14)。管理サーバ2は、患者端末5に、この抽出された行動履歴を送信する(ステップst15)。患者端末5の支援アプリによる取得手段563は、管理サーバ2から送信された行動履歴を取得する(ステップst16)。支援アプリによる蓄積手段566は、取得された行動履歴に示された所定期間における治療行動に基づいて、それぞれの行動においてポイントを蓄積する(ステップst17)。なお、他の例として、支援アプリが起動した際に管理サーバ2に行動履歴の取得要求を送信し、この取得要求に応答する形で管理サーバ2から支援アプリに行動履歴が送信されてもよい。
【0105】
図6(b)は、支援アプリがゲームアプリから行動履歴としてゲームの実行履歴を取得して、ゲームごとにポイントを蓄積する際の処理の流れ・相互作用を示すシーケンス図である。
【0106】
図6(b)に示すように、まず、患者端末5のゲームアプリによるゲーム実行手段569は、患者ユーザの操作入力に応じて、ゲームを実行する(ステップst21)。患者端末5のゲームアプリは、支援アプリに対して、実行したゲームの実行履歴を提供する(ステップst22)。支援アプリによる取得手段563は、ゲームアプリから提供された実行履歴を取得する。支援アプリによる蓄積手段566は、取得された実行履歴に示された所定期間における治療に関するゲームアプリの実行量に基づいて、このゲームアプリにおいてポイントを蓄積する(ステップst24)。この実行履歴の提供と取得の態様は、どのような態様でもよい。例えば、ゲームアプリが患者端末5の記憶部にある特定の場所に実行履歴を示すファイルを格納し、特定の場所に対するアクセスパスを支援アプリに設定し、設定されたアクセスパスに基づいてこのファイルを支援アプリが取得してもよい。
【0107】
図7は、
図6で蓄積されたポイントにより報酬を付与すると判定し、報酬の付与先プログラムを決定して、付与先プログラムに報酬を付与する際の処理の流れ・相互作用を示すシーケンス図である。
【0108】
図7に示すように、患者端末5の支援アプリを起動させた際、支援アプリによる受付手段562は、患者ユーザからのログイン要求の入力を受け付ける(ステップst31)。支援アプリによる通信手段561は、受付手段562がログイン要求を受け付けると、管理サーバ2に対してアカウント認証の要求を送信する(ステップst32)。管理サーバ2は、患者端末5の支援アプリからアカウント認証の要求を受信すると、アカウント認証の処理を実行する(ステップst33)。管理サーバ2は、アカウント認証の結果(本例では、認証成功とする)を患者端末5の支援アプリに送信する(ステップst34)。患者アプリによる通信手段561が認証成功を示す結果を受信すると、判定手段564は、上記蓄積手段566により蓄積されたポイントが閾値以上であることを含む第1条件に応じて、患者ユーザに報酬を付与するか否かを判定する。
【0109】
判定手段564により患者ユーザに報酬を付与すると判定された場合、管理サーバ2と患者端末5とは複合フラグメントopt1(Option1)が示すエリア内の処理を実行する。具体的には、まず、患者端末5の支援アプリによる決定手段565は、第2条件、またはユーザの選択に応じて、支援アプリと異なる他のプログラムを含む複数の候補プログラムの中から、報酬の付与先である1以上の付与先プログラムを決定する(ステップst36)。本例では、付与先プログラムをゲームアプリに決定したものとする。決定手段565は、付与先プログラムであるゲームアプリに、報酬の付与を指示する(ステップst37)。支援アプリによる蓄積手段566は、蓄積されたポイントから報酬の付与に必要な消費ポイントを消費する(ステップst38)。患者端末5のゲームアプリは、支援アプリから報酬の指示を受け付けると、ゲームの患者ユーザのアカウントに対して報酬を付与するための処理を行う(ステップst39)。具体的には、ゲームアプリは対応するゲームサーバ3に報酬を付与するための指示を送信し、ゲームサーバ3は患者ユーザのアカウントに報酬であるゲーム媒体を付与してもよい(関連付けてもよい)。
【0110】
以上をまとめると、プログラムであって、患者端末5の制御部56(コンピュータ)を、ユーザの行動履歴を取得する履歴取得手段5631と、行動履歴に基づく第1条件に応じて、ユーザに報酬を付与するか否かを判定する判定手段564と、判定手段564によりユーザに報酬を付与すると判定された場合に、第1条件とは異なる行動履歴に基づく第2条件、またはユーザの選択に応じて、プログラムと異なる他のプログラムを含む複数の候補プログラムの中から、報酬の付与先である1以上の付与先プログラムを決定する決定手段565、として機能させるものである。
【0111】
<効果>
本実施形態によれば、ユーザの行動履歴またはユーザの選択に応じて、報酬の付与先プログラムを決定することができる。このため、ユーザがその時点までにとってきた行動にそって、またはユーザの希望にそって付与先プログラムを決定することができる。したがって、複数のプログラムの中から報酬の付与先を設定するにあたって、ユーザそれぞれにとって適切なプログラムにすることができる。
【0112】
[変形例]
なお、本発明を上記実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されない。以下のような場合も本発明に含まれる。
【0113】
[第1変形例]
上記実施形態では、ユーザの行動履歴が治療行動(具体的には、ゲームの実行、または服薬や通院などの行動)の履歴である例を説明したが、本発明に係るユーザの行動履歴はこれに限定されない。例えば、ユーザの行動履歴は、例えば、ユーザの食事の履歴や運動の履歴、移動の履歴(言い換えれば、ユーザの位置情報の履歴)であってもよい。また、上記実施形態では、候補プログラム、ひいては付与先プログラムがゲームのプログラムである例を説明したが、本発明に係る候補プログラムと付与先プログラムはこれに限定されない。候補プログラムは、例えば、歩数アプリやランニングアプリ、ヘルスケアアプリ(言い換えれば、健康管理アプリ)などであってもよい。
【0114】
[第2変形例]
上記実施形態では、付与先プログラムに対する報酬付与の指示の例として、支援アプリからゲームアプリに指示する例を説明したが、本発明に係る報酬付与の指示の態様はこれに限定されない。例えば、支援アプリからゲームアプリに対する報酬付与の指示を管理サーバ2に一旦送信し、管理サーバ2を経由してゲームサーバ3に報酬付与の指示を送信させて、ゲームサーバ3がこの指示を受信して患者ユーザのゲームのアカウントに対して指示された報酬を付与してもよい。
【0115】
[第3変形例]
上記実施形態では、支援アプリを設けて、この支援アプリが、治療行動の行動履歴を管理したり、この行動履歴に基づいて報酬を付与するか判定したり、報酬の付与先を決定したりする例を説明したが、本発明に係る報酬付与に関する情報の管理・制御の態様はこれに限定されない。例えば、支援アプリを特に設けずに、複数のゲームアプリA~Cの中の1つのゲームアプリにおいて、報酬付与に関する情報の管理・制御を行ってもよい。
【0116】
[第2実施形態]
本開示の第2実施形態(以下、「本実施形態」ともいう)にかかる支援システム1aについて説明する。以下、第1実施形態の支援システム1との相違点を中心に説明する。
【0117】
本実施形態にかかる支援システム1aでは、管理サーバ2が報酬を付与するか否か判定したり、報酬の付与先を決定したりする。このような態様によれば、患者端末5において、複雑な判定処理や決定処理を実行する必要がなく主に出力処理や入力処理を実行すればよい。このため、支援システム1a専用のプログラム(例えば、支援アプリなど)をインストールしなくても、Webブラウザを介して支援サイトを利用するのみで、患者ユーザは、支援システム1における報酬を獲得することができる。なお、
図8に示される管理サーバ2の制御部23の各手段について、
図1に示される患者端末5の制御部56の各手段と同じ名前の手段については同様の機能を有するものとして、重複する説明は割愛する。
【0118】
図8に示すように、管理サーバ2は、ネットワークインタフェース21、記憶部22および制御部23を有する。ネットワークインタフェース21および記憶部22は、バス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0119】
ネットワークインタフェース21は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介して各ユーザ端末やゲームサーバ3と通信可能接続されている。
【0120】
記憶部22は、主記憶装置、補助記憶装置または外部記憶装置などのプログラムやデータを記憶する装置である。記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成される。記憶部22には、本実施形態にかかるサーバプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザ情報221などの各種データなどが記憶されている。
【0121】
ユーザ情報221は、患者端末5のユーザ情報551が記憶するアカウント情報や条件情報、行動履歴、患者ユーザかつ治療行動ごとに蓄積されたポイントを示すポイント情報などの各種情報のマスタデータが記憶されている。
【0122】
制御部23は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置2の動作を制御する、すなわちデータの演算、加工及び転送並びにプログラムの実行や他の装置の制御などを担う処理装置(例えば、プロセッサなど)である。制御部23は、記憶部22に格納されているプログラムを実行することにより、管理サーバ2における様々な機能を実現することができる。
【0123】
制御部23は、各種プログラムを実行することにより、通信手段231、照合手段232、受付手段233、登録手段234、取得手段235、判定手段236、決定手段237、蓄積手段238、特定手段239、および提示手段240として機能する。
【0124】
―通信手段―
通信手段231は、ゲームサーバ3や各ユーザ端末との間で各種データを送受信する。通信手段231は、例えば、診断者端末7から診断情報および/または行動履歴を受信する。また、通信手段231は、提示手段240が生成した出力情報を患者端末5に送信する。
【0125】
-照合手段―
照合手段232は、ユーザ端末から受信したアカウント情報(ユーザの識別情報)を用いて、ユーザアカウントの認証を行う。
【0126】
―受付手段―
受付手段233は、患者端末5から、ログイン要求、出力情報の取得要求、および/または行動履歴の取得要求などを受け付ける。また、受付手段233は、例えば、患者端末5から、提示手段240により提示された複数の報酬候補の中から患者ユーザにより選択された報酬候補を、報酬として受け付ける。
【0127】
―登録手段―
登録手段234は、診断者端末7から取得手段235により取得された診断情報を、ユーザ情報221として記憶部22に登録する。
【0128】
―取得手段―
取得手段235は、診断者端末7から、診断情報を取得する。また、取得手段235は、履歴取得手段2351を備える。履歴取得手段2351は、ゲームサーバ3から、患者ユーザのゲームの実行履歴を取得する。また、履歴取得手段2351は、診断者端末7から、服薬や通院などの治療行動の行動履歴を取得する。
【0129】
―提示手段―
提示手段240は、患者端末5において画面による出力を行う場合、各種画像やテキストなどを含む支援サイトの画面を出力するための出力情報を生成してもよい。提示手段240は、生成した出力情報を、患者端末5に送信する。
【0130】
[他の実施形態]
上記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であり、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0131】
ゲームは、アクションゲーム、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、およびパズルゲームなどであってもよく、様々な種類のゲームに適用することができる。
【0132】
上記実施形態では、管理サーバ2および複数のユーザ端末が一体となってプログラムを機能させる場合を例示したが、これに限定されない。プログラムのすべての手段、すなわち、受付手段、取得手段、判定手段、決定手段、蓄積手段、特定手段などが、管理サーバ2単体、患者端末5単体、管理サーバ2および患者端末5とは別の通信端末単体、これらのうち組み合わせられる2つの装置(例えば、管理サーバ2と患者端末5での分散処理など)、に備えられていてもよい。また、管理サーバ、患者端末を一体となって機能させる場合、どの手段をどの装置にて機能させるかも、適宜変更が可能である。
【0133】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0134】
1 支援システム
2 管理サーバ
23 制御部
3 ゲームサーバ
5 患者端末
56 制御部
563 取得手段
5631 履歴取得手段
564 判定手段
565 決定手段
7 診断者端末